JP3549726B2 - 位相追従装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は周期的情報に位相を追従させて上記情報の位相または周波数(または速度)を検出するのに用いられる位相追従装置(PLL:Phase Locked Loop 装置)の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の位相追従装置としては、例えば、特公昭60―37711号公報の第2図に開示されたものから、電圧制御発信器VF及びカウンタを積分器に置き換えた図19に示すPLLがある。同図において、複数の第1の周期的関数入力Vαsinθ,Vβcosθ、上記複数の第1の周期的関数入力Vαsinθ,Vβcosθと乗算をする複数の第2の周期的関数cosθ’,sinθ’を出力する複数の周期的関数発生手段35a,35bと、上記乗算をする複数の乗算手段31a,31bと、上記乗算手段の出力の和差演算をする和差演算手段32と、上記和差演算手段32の出力εを所定伝達関数で伝達する伝達手段33と、少なくとも上記伝達手段33の出力を積分する積分手段34と、上記積分手段34の出力を上記周期的関数発生手段35a,35bに入力する入力手段とからなり、積分手段34の出力θ’を位相情報として取り出すものである。
【0003】
上記従来の位相追従装置においては、和差演算手段32の出力εはksin(θ−θ’)(ここにkは比例係数)で表され、この出力εが適当な伝達関数(例えば比例係数)を通して伝達され、この後積分手段34で積分されて出力位相情報θ’を出力し、さらに、複数の周期的関数発生手段35a,35bにより複数の周期的関数cosθ’,sinθ’を出力し、これらの出力が上記乗算をする複数の乗算手段31a,31bにより上記複数の周期的関数入力Vαsinθ,Vβcosθと乗算されて上記和差演算手段32に与えられる。この時、上記和差演算手段の出力εは上記のごとくksin(θ−θ’)で表される。
したがって、(θ−θ’)がゼロのときεがゼロとなるように作用する結果、θ’がθに追従する。即ち、PLLとして働く。ただし、入力としては二相の信号が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図19に示す、この従来例においては、上記和差演算手段の出力εは上記複数の周期的関数入力Vαsinθ,Vβcosθの振幅Vα,Vβに比例する。したがって、それらの振幅が速度や周波数や検出対象の回路状態(例えば電源系統や電力系統の事故)などにより、変化すると応答特性が変動するという問題があった。また、交流電源系統や電力系統においてはしばしば事故が発生し、交流電圧が不平衡になり、被検出電源系統から検出してくる複数の周期的関数入力Vαsinθ,Vβcosθ自体の位相が狂うという問題があった。
また、Vα,Vβの振幅が不平衡になると、上記和差演算手段の出力εに2倍周波の脈動が現れ、位相出力θ’にも2倍周波の脈動が現れるという問題があった。
また、単相入力では連続位相追従装置として作用できないという問題があった。
また、位相追従対象の周期的関数における位相差と図19に示す乗算対象の各周期的関数における位相差とが異なりそのままでは確実な位相追従動作が得られないという問題があった。
【0005】
本発明の位相追従装置は、上記従来の位相追従装置の問題の内の一つの問題または複数の問題を解決するためになされたものであり、
第1の目的は、被検出対象、即ちPLLの位相追従対象の電圧不平衡に対する耐性を向上することである。
第2の目的は、被検出対象、即ちPLLの位相追従対象が単相でも働くように改善することである。
第3の目的は、被検出対象、即ちPLLの位相追従対象の電圧不平衡に対する耐性を向上するとともに、演算を簡略化することである。
第4の目的は、被検出対象、即ちPLLの位相追従対象の電圧不平衡に対する耐性と電圧変動に対する耐性とを向上することである。
第5の目的は、図19に示した従来例の特長である連続検出特性の改善性、即ち倍周波脈動の軽減特性を踏襲し、併せて、第1ないし第4の目的を具現化することである。
第6の目的は、被検出対象、即ちPLLの位相追従対象の電圧変動に対する耐性を向上することを目的とする。
第7の目的は、被検出対象、即ちPLLの位相追従対象における位相差とPLLでの乗算対象における位相差との差異による不具合を解消することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る位相追従装置は、出力位相情報を入力し、互いに位相が異なる複数の第1の周期的関数の各関数と対となる複数の第2の周期的関数を出力する周期的関数発生手段、上記第1の周期的関数と第2の周期的関数とを上記対ごとに乗算する乗算手段、上記 対ごとの乗算出力の和差演算を行う和差演算手段、この和差演算手段の出力を所定伝達関数で伝達する伝達手段、およびこの伝達手段の出力を積分し上記出力位相情報として出力する積分手段からなり、同期すべき信号源の信号への位相追従動作を行う位相追従装置において、
上記信号源の正相分信号の1相分を生成する正相分演算手段、および上記正相分信号の1相分の位相をシフトすることにより互いに位相の異なる複数の信号を生成する位相シフト手段を設け、この位相シフト手段により生成された位相の異なる信号を上記第1の周期的関数として上記乗算手段へ入力するようにしたものである。
【0007】
請求項2に係る位相追従装置は、出力位相情報を入力し、互いに位相が異なる複数の第1の周期的関数の各関数と対となる複数の第2の周期的関数を出力する周期的関数発生手段、上記第1の周期的関数と第2の周期的関数とを上記対ごとに乗算する乗算手段、上記対ごとの乗算出力の和差演算を行う和差演算手段、この和差演算手段の出力を所定伝達関数で伝達する伝達手段、およびこの伝達手段の出力を積分し上記出力位相情報として出力する積分手段からなり、同期すべき信号源の信号への位相追従動作を行う位相追従装置において、
上記信号源の正相分信号を生成する正相分演算手段、および上記正相分信号の振幅を単位化する単位化手段を設け、上記単位化した正相分信号を上記第1の周期的関数として上記乗算手段へ入力するようにしたものである。
【0008】
請求項3に係る位相追従装置は、出力位相情報を入力し、互いに位相が異なる複数の第1の周期的関数の各関数と対となる複数の第2の周期的関数を出力する周期的関数発生手段、上記第1の周期的関数と第2の周期的関数とを上記対ごとに乗算する乗算手段、上記対ごとの乗算出力の和差演算を行う和差演算手段、この和差演算手段の出力を所定伝達関数で伝達する伝達手段、およびこの伝達手段の出力を積分し上記出力位相情報として出力する積分手段からなり、同期すべき信号源の信号への位相追従動作を行う位相追従装置において、
上記第1の周期的関数を互いにα度の整数倍の位相差を有する信号とし、上記第2の周期的関数を互いに上記α度の整数倍の位相差を有する信号とし、
上記信号源の信号を加工処理して生成された信号が互いにφ(φ≠α)度の整数倍の位相差を有する場合、上記互いにφ度の整数倍の位相差を有する信号を互いにα度の整数倍の位相差を有する信号に変更する位相変更手段を設け、この位相変更手段の出力信号を上記第1の周期的関数として上記乗算手段へ入力するようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の位相追従装置の構成を示す図である。同図において、1は信号源である位相追従対象Xの正相分を生成する正相分演算手段で、2は位相追従(PLL:Phase Locked Loop)手段である。この位相追従手段2としては、前述の図19に示す従来の位相追従装置を用いてもよく、さらに後述の図8,10,16,18に示す位相追従手段が用いられる。
正相分演算手段1の周期的関数入力Xおよび出力Vpは、それぞれ(1)式または(2)式で示される。ここで、正相分演算手段1の周期的関数入力Xは、位相追従手段2が同期させるべき信号源X,ひいては位相追従すべき信号源Xであり、以下単に入力Xと呼ぶ。入力Xが図2に示すベクトル関係の三相の場合は(1)式で示され、入力Xが図3に示されるベクトル関係の直角二相の場合は(2)式で示される。
X=〔Va,Vb,Vc〕T, Vp=〔Vpa,Vpb,Vpc〕T ・・・(1)
X=〔Vα,Vβ〕T, Vp=〔Vp α,Vp β〕T ・・・(2)
次に、正相分演算手段1の動作について説明する。まず、正相分演算手段1の入力Xが三相の場合について説明する。
【0010】
一般に、対称座標法によると、非対称三相電圧Va、Vb、Vcと対称成分である零相分Vo、正相分Vp、逆相分Vnとの関係は(3)、(4)式で表される。
【0011】
【数1】
【0012】
従って、(4)式より、正相分Vpによる各相電圧のみ書き出すと(6)式となる。
【0013】
【数2】
【0014】
(6)式に(3)式のVpを代入すると次の(7)式が導かれる。
【0015】
【数3】
【0016】
入力Xが三相の場合、正相分演算手段1はこの(7)式の演算を行う。なお、上式のa、a2は、それぞれ(5)式で示されるベクトルオペレータ(ベクトル回転手段)である。
位相追従手段2の入力信号としては、正相分演算手段1の出力Vp(Vpa,Vpb,Vpc)の内の少なくとも二つを用いればよく、実際上は式(7)の内の任意の二行分の演算を行えばよい。この場合、任意の二行分の演算の出力がYであり、これを位相追従手段2へ入力する第1の周期的関数とする。他の一行分の演算の出力はY’で、これは使用しないか、または他の利用目的に使うものである。
正相分演算手段1の入力Xが二相の場合は、式(8)に示す演算を行う。この式において、β軸は、図3に示すようにα軸に対して90°位相が進む方向に極性を取っている。
【0017】
【数4】
【0018】
ここにj、−jは、ベクトル回転手段で、それぞれ電気角を90°回転させるベクトルオペレータである。
【0019】
ここで、演算対象である正相分の概念の拡大について考える。即ち、上記従来の対称座標法では、正弦波交流のベクトルについてのみ定義されているので、非正弦波についても適用できる概念に拡大する。
ベクトルオペレータを交流理論のごとく定常状態のみで使える複素数でなく、一般波形の位相シフタ、即ち無駄時間要素を用いて表す。この場合、単位の大きさと基準位相をもつ基本波形を単位ベクトルと見なし、相似波形をもち大きさと位相が異なる該波形のベクトルを極座標概念のベクトルとして扱える。即ち、周波数成分が同一位相関係で同一量含まれる交流周期的関数について考えることができる。
【0020】
上記任意な波形のオペレータとして下記時間遅れ要素を用いる。但し、周期的関数の周期をTとする。
任意時間遅れ要素 :exp(−τs)
任意時間進み要素 :−exp(−τs)
1/4周期遅れ要素 :exp(−Ts/4)
1/4周期進み要素 :−exp(−Ts/4)
任意位相遅れ要素 :exp(−(θ/2π)Ts)
任意位相進み要素 :−exp(−(θ/2π)Ts)
【0021】
以上により、正弦波で扱われていた、j、−jに変えて次のように表せる。
j:−exp(−Ts/4)
−j:exp(−Ts/4)
同様に、a、a2に変えて次のように表せる。
a :exp(−(2/3)Ts)=−exp(−(1/6)Ts)
a2:exp(−(1/3)Ts)
以上のオペレータを用いれば、任意な波形について、三相、二相を問わず正相分を導ける。
【0022】
以下、いたずらに任意波形にすることによる理解や構成の煩わしさを避けるため、正弦波をベースにして述べるが、上記位相シフタ・時間遅れ進み演算を行えば正相分の概念を任意な波形に適用できる。即ち、以下に述べるj、−j、a、a2の扱いに関してj:−exp(−Ts/4)、−j:exp(−Ts/4)、a :−exp(−(1/6)Ts)、a2:exp(−(1/3)Ts)で置き換える変形をすれば任意波形に対応する構成が導ける。
【0023】
前記式(7)や式(8)で示される演算に用いうるベクトルオペレータの具体例を、図4に示す。
同図において、(a)は−jの演算、すなわち電気角を90°遅らせる(移相シフトさせる)オペレータを示し、周期的関数の周期Tの1/4だけ位相をずらせる無駄時間遅れ演算を示す。この操作は、ディジタルプロセッサではメモリーに信号を蓄積しておいてT/4だけ経過してから出力することにより簡単に実行できる。
同図(b)はjの演算、すなわち電気角を90°進ませる(移相シフトさせる)オペレータで、前記(a)の符号反転により実現できる。
同図(c)はベクトルオペレータaを示し、比例分と時間遅れ分との和差により実行できることを示す。
同図(d)はベクトルオペレータa2を示し、これも、比例分と時間遅れ分との和差により実行できることを示す。
【0024】
同図(e)もベクトルオペレータaを示し、T/6の時間遅れ演算後、符号を反転することにより実行できることを示す。
同図(f)もベクトルオペレータa2を示し、T/3の時間遅れ演算により実行できることを示す。
同図(g)は−jの演算、すなわち電気角を90°遅らせる(移相シフトさせる)オペレータを示し、ゲインが入力の電気角周波数ωに比例する積分演算により実現できることをを示す。
同図(h)はjの演算すなわち電気角を90°進ませる(移相シフトさせる)オペレータを示し、符号反転とゲインが入力の電気角周波数ωに比例する積分演算とにより実現できることを示す。
同図(i)もベクトルオペレータaを示し、一次遅れ演算により60°位相を遅らせた後、符号反転して実行できることを示す。
同図(j)もベクトルオペレータa2を示し、二次遅れ演算により120°位相を遅らせて実行できることを示す。
【0025】
以上により、得られた正相分Yは、三相分全部の正相信号Vpa,Vpb,Vpcを用いる場合は、後述の図16に示す位相追従手段の3つの入力に代えて入力すればよい。三相中二相分の正相信号Vpa,Vpb、又はVpb,Vpc、又はVpc,Vpaを用いる場合は後述の図8に示す位相追従手段に入力すればよい。式(8)と図4のオペレータにより二相式で実行する場合は、二相分の正相信号Vp α,Vp βを前述の図19の位相追従手段に入力すればよい。これらにより、三相式でも二相式でもいずれの場合も、入力Xの正相分に追従する位相追従装置が得られることになる。
【0026】
以上の説明のごとく、本実施の形態の位相追従装置においては、入力Xの正相分Yを、第1の周期的関数として位相追従手段(PLL手段)2の乗算手段に入力するようにしたので、入力Xに不平衡が生じても入力Xの逆相分や零相分による悪影響を受けなくなる。したがって、入力Xの不平衡、即ち被検出対象(PLLの位相追従対象)の電圧不平衡に対する耐性が向上するという効果が得られる。
また、入力Xが一相や二相だけになっても、式(7)に従い、図4の要素で正相分を演算して複数相(複数行)の正相分信号VpまたはYが得られるので、正常に位相追従手段が働く効果が得られる。
【0027】
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2の位相追従装置の構成を示す図である。同図において、1’は入力Xから正相分の内の一相分のVpxを出力すべく演算する正相分演算手段であり、式(7)または式(8)のいずれかの一行分に相当する。3は上記一相分の出力Vpxを受けて位相をシフトさせ、複数の正相分情報Vpを生成して出力する位相シフト手段、即ちベクトルオペレーション手段である。2は前記実施の形態1と同様の位相追従手段(PLL手段)である。この実施の形態2は、後述する式(9)又は式(10)又は式(11)により一相分の正相分から二〜三相の正相分を導く方式に対応しており、正相分演算手段1’と位相シフト手段3とで構成されている。なお、図中単線(1本の線)で示される入出力は一相分の入出力を示している。
【0028】
入力Xが三相の場合、一相分の正相分VpxはVpa,Vpb,Vpcのいずれかで、それぞれの場合、位相シフト手段3はそれぞれ式(9)、式(10)、式(11)のいずれかの演算を行う。
【0029】
【数5】
【0030】
この時、式(9)、式(10)、式(11)の内少なくとも一つの式の二行分の演算をして、2行分の出力Yを得ればよい。
【0031】
入力Xが二相の場合、一相分の正相分VpxはVp α,Vp βのいずれかで、それぞれの場合、位相シフト手段3はそれぞれ式(12)、式(13)のいずれかの演算を行う。
【0032】
【数6】
【0033】
上記位相シフト手段3の演算には、前記図4で説明した演算要素を用いることができる。また、位相追従手段2には、前記実施の形態1と同様に、図19,後述する図8,図10,図16,図18の位相追従手段を使用できる。以下、後述の図6,図7に示す実施の形態においても図19,図8,図10,図16,図18の位相追従手段を使用できる。
【0034】
以上の説明のごとく、本実施の形態の位相追従装置においては、入力Xから正相分演算手段1によりVpxを出力し、位相シフト手段3によりVpxから複数の正相分情報Vp、即ちYを導き、これらYを、第1の周期的関数として位相追従手段(PLL手段)2の乗算手段に入力するようにしたので、入力Xに不平衡が生じても、入力Xの逆相分や零相分による悪影響を受けなくなる。したがって、入力Xの不平衡に対する耐性が向上するという効果が得られる。また、入力Xが一相や二相だけになっても、正相分を演算して複数相のVpまたはYに復元されるので、正常に位相追従手段が働く効果が得られる。さらに、正相分演算手段の出力が一つで済むので、この演算が簡単になるという効果が得られる。
【0035】
さらに、元々の信号源Xが単相の場合に、この単相信号xを上記一相の正相分Vpxに代えて位相シフト手段3に入力すれば、単相信号源から位相差を持つ複数の周期的関数入力を導くことができる。即ち、多相でなく単相信号源でも、位相シフト手段3等の移相手段を設け、単相の信号から複数の位相の異なる信号を作ることにより、位相差を持つ複数の周期的関数入力を必要とする乗算式による連続式位相追従装置を正常に働かせることができる効果がある。
【0036】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3の位相追従装置の構成を示す図である。同図において、4は正相分Vpの絶対値|Vp|を演算して、これを出力する絶対値演算手段である。この絶対値|Vp|は正相分Vpの各成分の自乗の和の平方根を計算することにより導くことができる。5は割り算(除算)手段で、位相追従手段2に使用する正相分Yの各成分を上記絶対値|Vp|で割り、振幅が単位化された正相分の情報Yuを出力する。この出力Yuが位相追従手段2に入力される。
【0037】
この実施の形態3においては、単位化手段を構成する絶対値演算手段4と割り算手段5とを用い、振幅が単位化された正相分の情報Yuを出力し、これを第1の周期的関数として位相追従手段2の乗算手段に入力するようにしているので、位相追従手段2への入力Yuの振幅は元の入力Xの振幅の変動に対して殆ど変化しなくなる。特に、正相分演算手段1をも用いると、元の入力Xの振幅の変動に対しても、また、不平衡時の入力Xの絶対値の変動に対しても、どちらに対しても、位相追従手段2の入力Yuの振幅が全く変化しなくなる。この理由は、Vpが正相分であるから、Vpが平衡三相信号または平衡二相信号になっているので、これらの絶対値は変動しないからである。したがって、割り算後のYuも平衡三相または平衡二相を保ち、かつその振幅が変わらなくなる。これらの結果、位相追従手段2の応答特性が極めて安定になる。
以上のごとく、位相追従手段2の入力Yuが単位化され、入力Xの振幅の変動に対する耐性が向上するという効果が得られる。
【0038】
実施の形態4.
図7は本発明の実施の形態4の位相追従装置の構成を示す図である。本発明の実施の形態4は、図5に示した実施の形態2の構成に図6に示した実施の形態3の構成を適用したものである。
絶対値演算手段4と割り算手段5とを用いているので、実施の形態3と同様、位相追従手段2の入力Yuの振幅は元の入力Xの振幅の変動に対して変化しなくなり、位相追従手段の応答特性が安定になる。位相追従手段2の入力Yuが単位化され、入力Xの振幅の変動に対する耐性が向上する効果が得られる。加えて、位相シフト手段3を設けているので、実施の形態2と同様、正相分演算手段1’の出力が一つで済むので、この演算が簡単になるという効果が得られる。
以上では、多相入力の場合についての説明であったが、単相入力、即ち単相の信号源の場合にも適用できる。この場合、正相分の一相分Vpxと見なすことにより、換言すれば振幅の変わる単相信号xをVpxに代えて入力することにより適用が可能となる。
【0039】
図8は本発明に係わる位相追従手段2の構成を示すブロック線図である。同図において、21a,21bはそれぞれ乗算手段、22は和差演算手段、23は適宜な伝達関数で伝達する伝達手段、24は第2の和差演算手段、25は積分演算手段、望ましくはリセット手段Resetを持つ積分手段、26a,26bはそれぞれ周期的関数発生手段である。リセット手段は毎周期基準点(例えば0°)に引き戻し、積分器出力が有限の範囲で動作できるようにするものである。
【0040】
第1の周期的関数入力f1(θ),f1(θ+α)及び周期的関数発生手段26a,26bからの第2の周期的関数f2(θ’),f2(θ’+α)はそれぞれf1(x),f2(x)で表せる周期的関数情報または周期的関数であって、周期的関数f1(x),f2(x)は三角関数、方形波関数、Nレベルステップ波形の周期的関数、N点の折点をもつ折れ線近似の波形をもつ周期的関数などである。N点の折点をもつ折れ線近似の波形をもつ周期的関数は、Nレベルステップ波形の周期的関数を積分して得られる。xは周期的関数の信号の位相θまたはこれに変わり得る時間tである。
【0041】
周期的関数f1(x),f2(x)が三角関数の場合は、和差演算手段の出力εは式(14)で示される。即ち、第1の周期的関数入力f1(θ),f1(θ+α)が三角関数波形の入力で、周期的関数発生手段26a,26bを三角関数発生手段とした場合は、和差演算手段22の出力εがksin(θ−θ’)で与えられ、位相差(θ−θ’)に対して連続的に作用する。したがって、位相追従作用が連続的に行われ、脈動が軽減される効果がある。また、周波数や変分周波数を導出する場合、その脈動が軽減される効果がある。
また、周期的関数f1(x),f2(x)が方形波の場合は、図9の波形図に示すように、f1(θ),f2(θ’+α)およびf1(θ+α),f2(θ’)が図9(a)ないし(d)で表され、各乗算手段21a,21bの出力がそれぞれ図9(a)と(b)の積および図9(c)と(d)の積である図9(e)(f)で示される。このため、和差演算手段の出力は図9(e)から(f)を引いた図9(g)のようになる。すなわち、入力位相θと出力位相θ’との差δに相当する時間帯に出力εが現れ、その和差出力εの平均値は入力位相θと出力位相θ’との差δに比例することになる。
【0042】
【数7】
【0043】
従って、和差出力εの平均値に応答させて位相を追従させるようにフィルタ機能をもつ伝達手段23と積分演算手段25とを定めれば、位相追従手段2が構成できる。すなわち、積分演算手段25と伝達手段23とをあわせて、倍周波の脈動を抑制するフィルタを用いればよい。
【0044】
周期的関数f1(x),f2(x)がNレベルステップ波形の周期的関数またはN点の折点をもつ折れ線近似の波形をもつ周期的関数の場合、前記三角関数の場合と上記方形波関数の場合との中間的な和差出力εが得られ、必要なフィルタ機能は方形波関数の場合より緩和される。特に、Nレベルステップ波形の周期的関数を積分して得られるN点の折点をもつ折れ線近似の波形をもつ周期的関数を採用すれば、三角関数の場合と近似できる良好な(和差出力εの脈動が小さい)特性が得られる。
【0045】
図8において、第二の和差演算手段24を設け、被検出入力Xの動作代表周波数ω0を伝達手段23の出力に加え、この第2の和差演算手段24の出力を積分演算手段25の入力に加えれば、上記周波数ω0が動作開始時の初期周波数になる。ω0は例えば基本周波数であればよい。これらにより、この実施の形態の位相追従手段2では、動作開始時の同期引き込み特性が改善される。特に、倍周波脈動を抑えるためにループゲインを低くし、応答速度が低い条件でも同期引き込み特性が改善される。
【0046】
さらに、伝達手段23の出力を導出する手段を設ければ変分周波数Δωを取り出すことができる。また、第2の和差演算手段24の出力または積分演算手段25の入力を導出する手段を設ければ、周波数ωを取り出すことができる。これらは、入力Xに関わる周波数や速度の制御に利用できる。
【0047】
図10は本発明に係わる位相追従手段2の他の構成例を示すもので、伝達手段23から積分演算手段25までの部分変形例を示す。この変形例においては、積分演算手段25の分子を2π倍している。即ち、比例ゲイン2πを積分演算手段25の入力側または出力側に挿入したのと同等である。この場合、第2の和差演算手段24には基本周波数f0を加える。これらにより、第2の和差演算手段24の出力から、周波数fを取り出すことができる。また、伝達手段23の出力からΔfを取り出すことができる。これらも、入力Xに関わる周波数や速度の制御に利用できる。
【0048】
実施の形態5.
つぎに、入力Xの電圧変動に対する耐性を改善する他の実施の形態について説明する。
図11(a)は入力Xの電圧変動に対する耐性を改善する本発明の実施の形態5の位相追従装置の構成を示す図である。本実施の形態においては、位相追従手段2に入力する前に波形整形手段6を設けている。波形整形手段6へは、振幅が変動する入力X、または正相分演算のみ行い振幅は変動する図1または図5に示す位相追従手段2への入力Yと同等のものを入力する。
【0049】
波形整形手段6は複数の入力の波形を整形する複数の波形整形器を備えている。この個々の波形整形器の実施例を図11の(b)〜(e)に示す。同図(b)は±1の符号に判別するコンパレータで、方形波に整形するものである。同図(c)はリミッタで、方形波または台形波、即ちN点折れ線近似波形に近い波形に整形するものである。同図(d)(e)はそれぞれコンパレータで、レベルが1とゼロ、またはゼロと−1の波形に整形するものである。
【0050】
以上の波形整形器を用いて、波形整形した波形Yuは振幅が単位化されている。本実施の形態の位相追従装置においては、この振幅が単位化されたYuを第1の周期的関数として位相追従手段2の乗算手段に入力するので、被追従入力XやYの振幅の変動に影響されなくなる。即ち、入力Xの電圧変動に対する耐性が向上する効果が得られる。この他、波形整形後、ACフィルタを通して基本成分を取り出し、これを位相追従手段2へ入力しても良い。
【0051】
以上に説明した各実施の形態の考え方を適用すると、多数のバラエティに富んだ各種実施形態が可能である。次に、前記実施の形態を適用した詳細な一実施形態を示す。
実施の形態6.
図12は本発明の実施の形態6の位相追従装置であって、前記図6の実施の形態3に基づく三相入力の場合の詳細な構成を示す図である。同図において、正相分演算手段1としては前記式(7)と前記図4(c)(d)を用い、絶対値演算手段4としては自乗の和に適正な係数(2/3)を掛けた後平方根を取る方法を採用し、位相追従手段2としては前記図8の位相追従手段を採用し、式(14)のαを三相の位相差(2π/3)に選び、伝達手段23が比例積分(PI)制御手段と一次遅れフィルタから成る例を示している。簡単にする場合、伝達手段23は比例ゲインのみでも良い。5a、5bは割り算手段である。三角マークにIと記入したものは積分演算手段25である。
この実施の形態において、前記図6に示す実施の形態3の作用効果が得られることは言うまでもない。また、前記図8の位相追従手段を採用しているので、それらの作用効果も得られることも言うまでもない。
【0052】
図13に図12に示す本発明の実施の形態6のシミュレーション結果を示す。同図(a)は、t=200(ms)の時点で、三相入力の位相がそれぞれ80°変化した場合を示す。この位相変化に対して、基準位相に対する位相差の応答は同図(b)に示すように、良好な応答が得られていることが解る。この応答速度は位相追従手段2の伝達手段23のゲインにより自由に変えることができる。図示しないが、三相がバラバラに位相が変化した場合でも、各相の位相変化に各相の電圧が重みづけされた位相に応答することになる。ここに、各相の電圧が重みとして加重されるためであり、各相が同一電圧であれば各相の位相のほぼ平均値に応答する。
【0053】
実施の形態7.
図14は本発明の実施の形態7の位相追従装置であって、前記図6の実施の形態3に基づく二相入力の場合の詳細な構成を示すブロック線図である。同図において、正相分演算手段1としては前記式(8)と前記図4の(a)(b)を用い、絶対値演算手段4としては自乗の和の平方根を取っている。割り算手段5は通常の割り算でよい。位相追従手段2としては、前記図8および式(14)において位相差αをπ/2(90°)に定めたものを採用している。位相追従手段2の他の部分は前記図12の場合と同じである。前記図12と比較してわかるように、演算の構成が簡単になるという特長が得られる。その他、前記図6に示す実施の形態3の作用効果が得られることは言うまでもない。また、前記図8の位相追従手段2を採用しているので、それらの作用効果も得られることも言うまでもない。
【0054】
なお、図14の構成に加えて、図15に示す三相二相変換手段7を設け、三つの周期的関数入力Va,Vb,Vcを二つの周期的関数Vα,Vβとして取り出し、これを正相分演算手段1に入力することにより、三相の場合にも使用できる。この三相二相変換手段7ではそのブロック中に示したマトリクスの後ろから入力ベクトル[Va,Vb,Vc]を掛ける演算によりVα,Vβが容易に得られる。
【0055】
上記実施の形態においては、位相追従手段2として、二つの乗算手段を用いた例を示したが、三つ以上の乗算器を用い、三つ以上の周期的関数を入力させて、位相差に対応したエラーεを算出し、これに基づいて同様に位相追従手段2を構成できる。
この例として、図16に三つの乗算手段21a,21b,21cを用いた三相の場合を示す。三相では図12のVbpを単位化したVbpsも有効な入力とできる。乗算手段21aの出力は式(15)のように表され、同様にして乗算手段21a,21b,21c三つの出力の和を取ると、式(16)が得られる。このように三つの乗算手段を用い、三相の周期的関数を入力させることにより、三相中の各相の入力の変動に対する応答特性が均一・均質にできる効果がある。
【0056】
【数8】
【0057】
以上の詳細な実施の形態の他、数式や部分要素の実施の形態で述べた多数の組み合わせが可能で、且つ変形も可能である。
【0058】
実施の形態8.
図17は本発明の実施の形態8の位相追従装置の構成を示すブロック線図である。ここでは、正相分演算手段1で生成する周期的関数における位相差と位相追従手段2で乗算対象とする関数である、第1および第2の周期的関数における位相差とが異なる場合を扱っている。
【0059】
即ち、前者の正相分演算手段1は、前記図15に一例を示す三相二相変換手段7のα−β軸電圧Vα、Vβから同α−β座標上の正相分Vpα、Vpβを演算し、更に、この正相分Vpα、Vpβから絶対値演算手段4および割り算(除算)手段5を用いて、単位化された正相分Vpαs、Vpβsを導出している。
また、後者の位相追従手段2では、前記(14)式で説明した、任意な位相差αをもつ2つの三角関数Vya、Vybを第1の周期的関数として乗算手段21a、21bに入力する。
そして、この2者間の位相差の相異による不具合を解消するため位相変更手段8を新たに設けている。
【0060】
以下、任意な位相差αが60度の整数倍の場合について、位相変更手段8による演算内容の具体例を列挙する。
(1)α=60度の場合
(ケース1a)
Vya=Vpαs
Vyb=(1/2)Vpαs+(√3/2)Vpβs
(ケース1b)
Vya=(1/2)Vpβs+(√3/2)Vpαs
Vyb=Vpβs
(2)α=−60度の場合
(ケース2a)
Vya=Vpαs
Vyb=(1/2)Vpαs−(√3/2)Vpβs
(ケース2b)
Vya=−(1/2)Vpβs+(√3/2)Vpαs
Vyb=−Vpβs
(3)α=120度の場合
(ケース3a)
Vya=Vpαs
Vyb=−(1/2)Vpαs+(√3/2)Vpβs
(ケース3b)
Vya=−(1/2)Vpβs+(√3/2)Vpαs
Vyb=Vpβs
(4)α=−120度の場合
(ケース4a)
Vya=Vpαs
Vyb=−(1/2)Vpαs−(√3/2)Vpβs
(ケース4b)
Vya=(1/2)Vpβs+(√3/2)Vpαs
Vyb=−Vpβs
【0061】
以上では、互いに90度の位相差を有する正相分入力ベクトルVpαs、Vpβsを、位相変更手段8によって互いに60度の整数倍の位相差を有する正相分信号Vya、Vybに変更する場合について説明したが、一般に、互いに任意のφ(φ≠α)度の整数倍の位相差を有する三角関数を、乗算手段21a、21bに入力される互いに任意のα度の整数倍の位相差を有する三角関数に変更することができる。従って、この位相変更手段8を設けることにより、同じ位相追従手段2で任意な位相差の三角関数への位相追従動作が可能になる。
勿論、既述した位相シフタ、即ち無駄時間要素を用いることにより、この位相変更の方式は、三角関数に限らず、任意波形の周期的関数を扱うものにも適用することができる。
【0062】
実施の形態9.
図18は本発明の実施の形態9に係り、特にその位相追従手段2の変形例を示す。同図において、積分手段25は電圧制御発信手段(電圧制御可変周波数発信器VCO、V/Fコンバータ)251およびカウンタ252からなる。電圧制御発信手段は周波数入力ωに比例したパルス周波数のパルスを発生する。カウンタ252は上記パルスを計数してカウント値をディジタル信号で出力する。この時、カウンタでカウントした値は入力ωの積分値、即ち位相θに対応する値をもつので、これを出力すれば良いこととなる。
【0063】
他方、周期的関数発生手段26a、26bはリードオンリーメモリ(ROM)261a、261bおよびディジタル/アナログコンバータ(D/A)262a、262bからなる。ROM261は位相信号に相当するディジタル量(カウント値)に対応する数値を出力し、この入出力関係を所定の周期的関数、即ち三角関数に定めておく。この時、前記任意な位相差αはROMの入出力関係の書き込みデータにより自由に設定できる。さらに、ROMのディジタル出力はD/Aコンバータによりアナログ量に変換され、乗算手段21a、21bへ入力される。これらの結果、前述の通り、位相追従手段として作用する。
【0064】
この実施の形態においては、カウンタの特性として360度と0度との間の切り替わりに際して、正確高精度に周期動作させ得る特長がある。これに対して、アナログ積分器では360度から0度に戻すリセット動作において、細かい誤差を生じやすい問題があった。また、電圧制御発信手段やカウンタから他の制御に利用するクロック信号Cs1またはCs2を取り出せる特長もある。これらは、周波数逓倍器を通して、ディジタルプロセッサやマイクロプロセッサ用クロック信号を発生させたり、ディジタル演算上の同期信号を生成するのにも使用できる効果がある。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る位相追従装置は、出力位相情報を入力し、互いに位相が異なる複数の第1の周期的関数の各関数と対となる複数の第2の周期的関数を出力する周期的関数発生手段、上記第1の周期的関数と第2の周期的関数とを上記対ごとに乗算する乗算手段、上記対ごとの乗算出力の和差演算を行う和差演算手段、この和差演算手段の出力を所定伝達関数で伝達する伝達手段、およびこの伝達手段の出力を積分し上記出力位相情報として出力する積分手段からなり、同期すべき信号源の信号への位相追従動作を行う位相追従装置において、
上記信号源の正相分信号の1相分を生成する正相分演算手段、および上記正相分信号の1相分の位相をシフトすることにより互いに位相の異なる複数の信号を生成する位相シフト手段を設け、この位相シフト手段により生成された位相の異なる信号を第1の周期的関数として乗算手段へ入力するようにしたので、入力の不平衡、即ち被検出対象の電圧不平衡に対する耐性が向上するとともに、正相分の演算に際して、1相の正相分のみ演算すればよいので、正相分演算が簡単化されるという効果が得られる。
【0066】
請求項2に係る位相追従装置は、同装置において、信号源の正相分信号を生成する正相分演算手段、および上記正相分信号の振幅を単位化する単位化手段を設け、上記単位化し た正相分信号を第1の周期的関数として乗算手段へ入力するようにしたので、位相追従装置が同期させるべき信号源の逆相分や零相分が除去されて、これら逆相分や零相分による悪影響を除去することができるとともに、同期させるべき信号源の振幅変動による悪影響を除去することができる。したがって、入力の不平衡及び振幅変動に対する耐性が向上するという効果が得られる。即ち、被検出対象の電圧不平衡及び電圧変動に対する耐性を向上することができる。
【0067】
請求項3に係る位相追従装置は、同装置において、上記第1の周期的関数を互いにα度の整数倍の位相差を有する信号とし、上記第2の周期的関数を互いに上記α度の整数倍の位相差を有する信号とし、
上記信号源の信号を加工処理して生成された信号が互いにφ(φ≠α)度の整数倍の位相差を有する場合、上記互いにφ度の整数倍の位相差を有する信号を互いにα度の整数倍の位相差を有する信号に変更する位相変更手段を設け、この位相変更手段の出力信号を上記第1の周期的関数として上記乗算手段へ入力するようにしたので、信号源側の周期的関数における各関数の位相差が、乗算対象の第1および第2の周期的関数における各関数の位相差と異なる場合にも確実な位相追従動作が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の位相追従装置の構成を示す図である。
【図2】三相ベクトルの代表例を示す図である。
【図3】二相ベクトルの代表例を示す図である。
【図4】本発明に係わるベクトルオペレータまた移相手段に用いうる演算要素を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2の位相追従装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態3の位相追従装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態4の位相追従装置の構成を示す図である。
【図8】本発明に係わる位相追従手段の一例の構成を示す図である。
【図9】図8に示す位相追従手段の作用の一例を説明する動作波形図である。
【図10】本発明に係わる位相追従手段の他の例の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態5の位相追従装置の構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態6の位相追従装置の一例を詳細に示すブロック線図である。
【図13】本発明の実施の形態6に係わるシミュレーション結果を示す動作波形図である。
【図14】本発明の実施の形態7の位相追従装置の一例を詳細に示すブロック線図である。
【図15】本発明の二相式の実施方法に係わる三相二相変換手段の構成を示す原理図である。
【図16】本発明に係わる位相追従手段のさらに他の例の構成を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態8の位相追従装置の一例を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態9の位相追従装置の一例を示す図である。
【図19】従来例の位相追従装置を示すブロック線図である。
【符号の説明】
1,1’ 正相分演算手段、2 位相追従手段、3 位相シフト手段、
4 絶対値演算手段、5,5a,5b 割り算手段、6 波形整形手段、
7 三相二相変換手段、8 位相変更手段、21a,21b,21c 乗算手段、
22 和差演算手段、23 伝達手段、24 第2の和差演算手段、
25 積分演算手段、26a,26b 周期的関数発生手段。
Claims (3)
- 出力位相情報を入力し、互いに位相が異なる複数の第1の周期的関数の各関数と対となる複数の第2の周期的関数を出力する周期的関数発生手段、上記第1の周期的関数と第2の周期的関数とを上記対ごとに乗算する乗算手段、上記対ごとの乗算出力の和差演算を行う和差演算手段、この和差演算手段の出力を所定伝達関数で伝達する伝達手段、およびこの伝達手段の出力を積分し上記出力位相情報として出力する積分手段からなり、同期すべき信号源の信号への位相追従動作を行う位相追従装置において、
上記信号源の正相分信号の1相分を生成する正相分演算手段、および上記正相分信号の1相分の位相をシフトすることにより互いに位相の異なる複数の信号を生成する位相シフト手段を設け、この位相シフト手段により生成された位相の異なる信号を上記第1の周期的関数として上記乗算手段へ入力するようにしたことを特徴とする位相追従装置。 - 出力位相情報を入力し、互いに位相が異なる複数の第1の周期的関数の各関数と対となる複数の第2の周期的関数を出力する周期的関数発生手段、上記第1の周期的関数と第2の周期的関数とを上記対ごとに乗算する乗算手段、上記対ごとの乗算出力の和差演算を行う和差演算手段、この和差演算手段の出力を所定伝達関数で伝達する伝達手段、およびこの伝達手段の出力を積分し上記出力位相情報として出力する積分手段からなり、同期すべき信号源の信号への位相追従動作を行う位相追従装置において、
上記信号源の正相分信号を生成する正相分演算手段、および上記正相分信号の振幅を単位化する単位化手段を設け、上記単位化した正相分信号を上記第1の周期的関数として上記乗算手段へ入力するようにしたことを特徴とする位相追従装置。 - 出力位相情報を入力し、互いに位相が異なる複数の第1の周期的関数の各関数と対となる複数の第2の周期的関数を出力する周期的関数発生手段、上記第1の周期的関数と第2の周期的関数とを上記対ごとに乗算する乗算手段、上記対ごとの乗算出力の和差演算を行う和差演算手段、この和差演算手段の出力を所定伝達関数で伝達する伝達手段、およびこの伝達手段の出力を積分し上記出力位相情報として出力する積分手段からなり、同期すべき信号源の信号への位相追従動作を行う位相追従装置において、
上記第1の周期的関数を互いにα度の整数倍の位相差を有する信号とし、上記第2の周期的関数を互いに上記α度の整数倍の位相差を有する信号とし、
上記信号源の信号を加工処理して生成された信号が互いにφ(φ≠α)度の整数倍の位相差を有する場合、上記互いにφ度の整数倍の位相差を有する信号を互いにα度の整数倍の位相差を有する信号に変更する位相変更手段を設け、この位相変更手段の出力信号を上記第1の周期的関数として上記乗算手段へ入力するようにしたことを特徴とする位相追従装置。
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