JP3549423B2 - バックホウ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋回台に起伏揺動自在に装備されたブームと、該ブームの先端部に土砂掻き込み方向で揺動自在に支持されたアームと、該アームの先端部に土砂掻き込み方向で揺動自在なバケットを支持してバックホウ装置を構成して備えるバックホウに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のバックホウにあっては、掘削した土砂を捨てるためブームを旋回台に対して起立姿勢となるように立ち上げ、そのブームを所定の起立姿勢で停止する際、停止ショックを小さくするために、停止位置の手前から減速していくように制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記バックホウにおいては、一定の減速特性に基づきブーム用油圧アクチュエータを自動的に減速制御するものとなっていたから、作業者が誤って人為操作することでブームをその減速範囲内において停止させてしまうことがあった。そのため作業者がブームが終端位置まで再度起動して移動させる際に、従来のバックホウでは、ブームの作動の増速が前記減速特性と一致する速度まで急になされるものとなっており、それによって比較的急速に増速がなされその増速時に衝撃が生じ易いため、その衝撃で、土砂をすくった状態のバケットから土砂がバックホウの機体上等にこぼれ落ちたり、その衝撃が作業者にとって不快なものとなる虞れが高かった。
【0004】
また、アームがブームの基端部から離れた状態でのブームの立ち上げ時と、ある程度アームがブームの基端部寄りに位置する状態のときのブームの立ち上げ時とで従来は、その起動時のブーム用油圧シリンダの駆動出力の立ち上げゲインが迅速な立ち上げを行うように一定のものに設定されていたが、特に立ち上げ状態に近いブーム姿勢で立ち上げ作動させる際に起動時のショックが大きく、バケットにすくった土砂がそのショックでこぼれ落ちたりする虞れが高かった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、ブームを停止位置手前で誤って停止させたときの所定停止位置へ移動させるための再起動での立ち上げ時や、通常のブームの立ち上げ時における衝撃を小さなものにできるバックホウの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(構成) 本発明の請求項1にかかるバックホウは、バックホウ装置のブームを立ち上げ姿勢での立ち上げ終端停止位置近くで予め設定してある所定の減速特性で漸次減速して、ブームを操作する操作レバーによるブームの上昇操作にも係わらず前記立ち上げ終端停止位置に停止させるブーム用クッション制御手段を備えるとともに、該ブーム用クッション制御手段による前記減速特性で漸次減速している漸減速範囲の途中において前記操作レバーを中立に操作して前記ブーム停止させた後、前記操作レバーによるブームの上昇操作により該ブームを再起動して前記立ち上げ終端停止位置に向けて移動させる際には、前記ブームを前記減速特性に基づく速度に達するまで緩慢に増速させると共に、ブーム上昇速度が前記減速特性に基づく速度に達すると当該減速特性に従って漸次減速してブームの立ち上げ終端停止位置で停止させるように構成してあることを特徴構成とする。
【0007】
(作用) 本発明の請求項1にかかる構成によれば、バックホウ装置のブームを立ち上げ姿勢での立ち上げ終端停止位置へ停止させる所定の減速特性で漸次減速していく途中で停止状態にしてしまったときに、操作レバーによるブームの上昇操作により再度起動して前記立ち上げ終端停止位置へ停止させる際、その再起動時の増速を緩慢にして減速特性に基づく速度に達すると、操作レバーによるブームの上昇操作にも係わらず、前記減速特性に従って漸次減速してブームの立ち上げ終端停止位置で自動停止させるようにしているので、立ち上げ終端停止位置近くで一旦停止させた位置からブームの立ち上げ終端停止位置までの僅かな距離の移動に対する、ブームの再起動と停止時のブームひいてはバケットや機体に生じる衝撃や振動を小さなものにできる。
【0008】
(効果) 従って、本発明の請求項1にかかる構成によれば、ブームの立ち上げ終端停止位置近くでの減速特性に基づいて漸次減速している減速作用範囲の途中において一旦停止状態となったブームの立ち上げを再起動して立ち上げ終端停止位置に向けて移動させる際に、ブームを減速特性に基づく速度に達するまで緩慢に増速させると共に、ブーム上昇速度が減速特性に基づく速度に達すると減速特性に従って漸次減速してブームの立ち上げ終端停止位置で自動停止させることで、ブームの立ち上げ終端停止位置近くでの僅かな距離の移動に対する、ブームの再起動と停止時の衝撃や振動が小さいものになるから、その起動と停止時のバケットの振動も小さくなることでバケットからの土砂のこぼれ落ちも抑制できるとともに、操縦作業者への不快感も弱めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に小旋回型バックホウが示され、1はバックホウ装置、2は機台としての旋回台、3は走行機台、4はクローラ走行装置、50はドーザであり、バックホウ装置1は、ブーム5、アーム6、バケット7等を備えるとともに、ブーム5は、基端側ブーム5xと先端側ブーム5zとを、中間ブーム5yで連結した平行オフセット構造に構成されている。
【0010】
図2に油圧回路の概略が示され、ドーザシリンダ用制御弁29、バケットシリンダ7c用制御弁30、左走行モータ31用制御弁32、ブームシリンダ5c用制御弁9、アームシリンダ6c用制御弁10、右走行モータ33用制御弁34、旋回モータ45用制御弁35、オフセットシリンダ36用制御弁37、サービス用制御弁38が備えられている。運転部44における座席46の両脇夫々に、十字操作型の操作レバー47,48が配置されている。一方がブーム−バケット用であり、他方はアーム−旋回用である。
【0011】
図4に示すように、操作ペダル53が運転部44の前側に備えてあり、制御装置26に入力される操作ペダル53の操作信号に基づいてオフセット制御弁37が切換操作される。操作レバー47,48の操作量検出用の各ポテンショメータ49,50,51,52が制御装置26に接続され、電気的に電磁比例減圧弁型の各パイロット弁9a,9b,10a,10b,30a,30b,35a,35b,37a,37bを操作する構造である。そして、各制御弁9,10,30,35,37に対して、負荷圧よりも僅かに高い圧力で吐出される可変容量型の油圧ポンプ8を備えたL/Sシステムと、騒音や省エネルギーの点で好ましいオートアイドル(AI)システムとを備えてあり、以下に説明する。
【0012】
図2における二点鎖線で囲まれたブームシリンダ5cとアームシリンダ6cとに関する部分を抜粋した主要部の原理回路図が図3に示され、8はエンジン19で駆動される前述した可変容量型の油圧ポンプ、13は油圧ポンプ8の単位時間当たりの吐出油量を可変設定する流量調節機構である。流量調節機構13は、メインポンプ8の吐出圧で作動する馬力制御シリンダ13Aと、調節ポンプ18で駆動される流量制御シリンダ13Bとで構成されている。
【0013】
又、調節シリンダ13に対する圧力補償型の流量調節弁14が設けてある。11はブーム用で12はアーム用の各コンペンセータ(圧力補償弁)であり、ブーム用制御弁9とアーム用制御弁10における供給側油路に絞り弁9s,10sが装備されている。
尚、ブーム用及びアーム用の制御弁9,10以外の各制御弁29,30,32,34,35,37,38の弁構造(操作構造は除く)は全てブーム用及びアーム用の制御弁9,10と基本的には同じものである。
【0014】
各コンペンセータ11,12は、各供給側絞り弁9s,10sに対する圧油供給下手側に位置し、かつ、各アクチュエータ5c,6cに対する圧油供給上手側に配置されている。そして、各コンペンセータ11,12に対する圧油供給下手側であり、かつ、各アクチュエータ5c,6cに対する圧油供給上手側部分と各コンペンセータ11,12のバネ側油室とを連通する低圧側油路11t,12tを設けてある。
【0015】
各コンペンセータ11,12に対する圧油供給上手側であり、かつ、各供給側油路の絞り弁9s,10sに対する圧油供給下手側部分と、各コンペンセータ11,12の反バネ側油室とを連通する高圧側油路11k,12kを設けてある。 各コンペンセータ11,12は、流路断絶側に付勢する圧縮バネ17が備えられた定差減圧弁に構成され、これによってアフターオリフィス型のロードセンシング回路を構成してある。
【0016】
流量制御弁14のバネ側油室14xと各供給側絞り弁9s,10sに対する圧油供給下手側部分とを連通する第1低圧側油路14tを設けてあり、各低圧側油路11t,12tに第1低圧側油路14tが連通している。各制御弁9,10の供給ポート9p,10pに連通される第2油路15と、流量制御弁14におけるバネ側油室14xと反対側の油室とを専用の接続油路16で連通してある。又、流量制御弁14の切換わり時における調節シリンダ13に対する圧は、油圧ポンプ8とともにエンジン駆動される専用の調節ポンプ18で賄うように構成してある。
【0017】
つまり、第1油路14tと、制御弁9,10の各供給ポート9p,10pに連通する第2油路15との差圧を所定値に維持するように調節シリンダ13を操作する流量制御弁14を設けて負荷制御手段Aが構成されている。
【0018】
そして、エンジン回転数を人為操作で調節設定するアクセルレバー24の操作量を電気的に検出する第1ポテンショメータ25と、ガバナー(回転数調節手段の一例)20のガバナレバー21を駆動操作するギヤードモータ22と、ブームシリンダ5c等の油圧アクチュエータが作動しているか否かを検出する作動検出手段23とを備え、油圧アクチュエータの停止時にはエンジン回転数をアイドリング側に変更操作するとともに、油圧アクチュエータの作動時にはエンジン回転数をアクセルレバー24による設定値に操作するように、第1ポテンショメータ25とギヤードモータ22とを連係するアクセル制御手段Cを備えてある。
【0019】
図4に示すように、ガバナレバー21の操作位置を検出するフィードバック用の第2ポテンショメータ27、ギヤードモータ22、前述した第1低圧側油路(第1油路に相当)14tの圧を検出する圧力センサからなる作動検出手段23、及び、第1ポテンショメータ25を連係するアクセル制御手段Cを制御装置26に備えてある。
【0020】
つまり、アイドリング位置iにあるハンドアクセルレバー24を操作して、作業状態におけるエンジン回転数(通常はフルアクセル位置mにセットすることが多い)を設定し、作業状態であればその設定回転数が維持され、非作業時(無負荷時)にはアクセルレバー24が例えば位置mにセットされたままとしながらエンジン回転数をアイドリング状態に落とすのである。この場合では、圧力センサ23によって作動検出手段が構成されている。
【0021】
又、絞り弁9s,10sの絞り量を変更調節可能な流量調節手段Bを設け、エンジン回転数が高められるとブームシリンダ5c等の油圧アクチュエータの駆動速度が速くなり、エンジン回転数が低められると油圧アクチュエータの駆動速度が遅くなるように、第2ポテンショメータ27と流量調節手段Bとを連係する速度制御手段Eを制御装置26に備えてある。
【0022】
流量調節手段Bは、各コンペンセータ11,12がわの各低圧油路11t,12tと第1低圧油路14tとを電磁高速応答弁28を介して接続させることから構成されている。そして、電磁高速応答弁28は、通常位置bでは各低圧側油路14t,11t,12tを連通し、高圧位置aではコンペンセータがわの両低圧側油路11t,12tと高圧がわの第2油路15とが連通油路21aによって連通される2位置切換弁構造に構成されている。
【0023】
電磁高速応答弁28の作動によってコンペンセータ11,12の低圧側油路11t,12tに作用する油圧をアクチュエータ5c,6cの負荷圧とポンプの吐出圧との中間値に設定できて、コンペンセータ11,12による差圧維持作用によってコンペンセータ11,12への供給圧を、電磁高速応答弁28が通常位置bにある場合よりも高めるようになる。すると、第1低圧側油路14tと調節ポンプ18の吐出圧との差圧を一定に維持する機能上、コンペンセータ11,12の上手側にある絞り弁9s,10sでの差圧を低めるように、すなわち絞り弁9s,10sの絞り量を小さく、つまりは制御弁9,10の開度を小さくするように制御され、その結果、アクチュエータ5c,6cへの供給油量が減じられて駆動速度が遅くなるのである。この作用は、負荷圧とポンプ差圧との差圧に基づく制御構造上、負荷が変動しても維持される。
【0024】
逆に、コンペンセータ11,12への供給圧を低くすると、絞り弁9s,10sでの差圧を高めるように、すなわち絞り弁9s,10sの絞り量を大きく、すなわち制御弁9,10の開度を大きくするように制御され、アクチュエータ5c,6cへの供給油量が増大して駆動速度が速くなる。
【0025】
そして、エンジン19の回転数を検出する第2ポテンショメータ27と、電磁高速応答弁28と、間欠作動時間のデューティー比を可変調節する設定器39と、自動制御モードと手動制御モードとの切換スイッチ40とを制御装置26に接続して、コンペンセータ11,12での分圧を変更設定するように構成されている。つまり、前記分圧の変更によって、絞り弁9s,10sの開度を変更調節可能な流量調節手段Bが構成されている。流量調節手段Bは、高圧位置aに復帰付勢される電磁高速応答弁28を、油圧ポンプ8の吐出油路である高圧油路に接続させる通常位置bに操作するための通電を間欠的に行う間欠作動と、その間欠時間を可変設定する間欠制御を行う機能を有している。
【0026】
速度制御手段Eの作用を説明すれば、先ず、切換スイッチ40を自動制御モードに操作して電磁高速応答弁28への通電を間欠的に行わせるとともに、その間欠時間の1サイクル中における通電時間割合、すなわちデューティー比をエンジン19の回転数が低いと小にするように連係される。これにより、掘削作業中に旋回速度を遅くしたいといった場合にはアクセルレバー24を操作してエンジン回転数を低くすれば良く、逆に駆動速度を速くしたい場合にはエンジン回転数を高くすれば良い。
【0027】
又、アクチュエータの駆動速度を意図的に変更したい場合には、切換スイッチ40を手動操作モードに操作して、第2ポテンショメータ27と制御装置26との連係を絶つ。すると、デューティー比が設定器39によって決定される状態になり、その設定器39の人為操作によってコンペンセータ11,12への供給圧を、アクチュエータ5c,6cの負荷圧とポンプ吐出圧との間の任意の値に設定でき、アクチュエータ5c,6cの駆動速度をエンジン回転数とは無関係に調節することができる。
【0028】
次に、クッション制御装置について説明する。各制御弁9,10,30,35,37の中立位置への切換えに伴って、油圧アクチュエータの駆動速度を漸減して停止させるクッション手段Dを備えている。一例を上げると、操作レバー47を中立操作するとブーム上げ又は下げの位置にあるブーム用制御弁9が中立位置に戻ることによってブームシリンダ5cの伸長又は短縮動が停止するのであるが、そのときのブーム用パイロット弁9a,9bへの供給電流を制御して、徐々にブームシリンダ5cへの油路を閉じ操作するのである。つまり、圧油供給を即座に断つと慣性によって停止衝撃が生じるので、クッション手段Dはそれを防止するべくアクチュエータ速度を減速して止める漸減作用を行うのである。
【0029】
そして、ブームシリンダ5cの伸縮速度等の油圧アクチュエータ速度を検出する速度検出手段Fを備え、ブーム用制御弁9等の制御弁の中立操作時におけるブームシリンダ5c等の油圧アクチュエータの駆動速度が速いと漸減作用を強化し、かつ、油圧アクチュエータの駆動速度が遅いと漸減作用を弱化させるように制御するクッション作用調節手段Gを備えてある。
【0030】
速度検出手段Fは、アクセルレバー24の操作位置を検出する第1ポテンショメータ(電流指示手段Hの一例)25の制御装置26への出力信号電流を検出することで構成されている。前述したように、このL/Sシステムではアクセル操作によるエンジン回転数変動によってアクチュエータ速度も同調して変動するので、電磁高速応答弁28のソレノイド(電気クアチュエータの一例)28aを作動させる出力電流を指示する信号電流、又は、ガバナレバー21操作用ギヤードモータ(電気アクチュエータの一例)22を作動させる出力電流を指示する信号電流の値を検出することにより、アクチュエータ速度を割り出せるのである。つまり、流量調節手段Bの変更調節操作を電気アチュエータで行うように構成するとともに、その電気アクチュエータへの供給電流値を決める電流指示手段Hを備え、この電流指示手段Hによる指示値を検出することによって速度検出手段Fが構成されている。
【0031】
実際の挙動としては、操作レバー47を中立位置以外の位置から中立操作すると、図5に示すように、その信号電流(ゲイン)を漸減して零にするように制御され、そうなると図6に示すように、制御弁9の開度が漸減して全閉に、すなわちブームシリンダ5cの伸縮速度が減速して停止するようになる。この場合では、ブームシリンダ5cの伸縮速度が最大であるとき(図5,図6の実線ライン)に中立操作してから実際に停止するまでの時間を基準として減速度を設定してあり、伸縮速度がやや速い速度中(図5,図6の一点鎖線ライン)ときや遅い速度小(図5,図6の二点鎖線ライン)のときには中立操作してもそのときの信号電流(ゲイン)及びアクチュエータ速度が暫くそのまま続行される状態(空動状態)の後に、設定された減速度で漸減される制御形態となる。
【0032】
L/Sシステムを採る本バックホウにおいて、ブームシリンダ5c等の油圧アクチュエータ速度が決まる制御作動は、先ず、エンジン回転数を変える指示としてアクセルレバー24を操作し、第1ポテンショメータ25の変動によって制御電流(指示電流又は信号電流)が変化し、それから、高速応答弁28への供給電流、及びギヤードモータ22への供給電流が変化する。ギヤードモータ22が動くとガバナレバー21の操作位置が変化してエンジン回転数が変わり、その回転数変動を第2ポテンショメータ27が検出して結果的にブームシリンダ5cの速度を変更する。又、高速応答弁28の作動間隔が変わると分圧が、すなわち制御弁9内装絞り弁9s前後の差圧(ゲイン圧)が変わり、その結果ブームシリンダ5cの速度が変更されるのである。
【0033】
次に、前記操作レバー47を操作して、ブーム5を立ち上げ姿勢にするときの立ち上げ終端位置まで操作する際、その立ち上げ終端位置に停止するときにショックが生じないようにブーム5を漸次減速するブーム用クッション手段Dbについて説明する。
すなわち、操作レバー47をブーム上昇側に操作し続けている状態にしていると、ブーム5が立ち上がっていって前記立ち上げ終端位置に達すると必ず停止するよう制御しているのであって、その停止に伴うショックが生じないよう終端位置の手前位置から漸次減速するのである。尚、途中で操作レバー47を中立に操作すると、終端への減速制御範囲内においてもブーム5の揺動が停止する。この減速制御は、制御装置26で、自動時においてはエンジン回転数に基づいて減速特性が演算設定される。すなわち、基準減速曲線を中心として予め基準エンジン回転数と実際のエンジン回転数との比を演算し、その比率で速度の減速曲線を演算して算出し、その減速曲線に従う減速となるように、制御するのである。
次に、ブーム用クッション手段Dbの作動範囲内に停止状態となっているものを、再度所定停止位置へブーム5を作動させる手段について説明する。すなわち、図7に示すように、ブーム5を終端への減速制御範囲内において停止させたものを再始動すると、制御装置26における再始動制御手段は、ブーム用クッション手段Dbによる減速特性(図7における一点鎖線)へ戻るまでの立ち上げを緩慢に行うように増速特性を設定している。これにより、急速に減速特性に一致することがないように、増速側の立ち上げが緩慢になるので、急に立ち上げるものに比較して、増速時のショックがきわめて小さいものにできるに至った。
【0034】
そして、図1及び図4に示すように、アーム6の先端とブーム5の基端部との間の距離Lを、ブーム5の旋回台53に対する角度検出するポテンショメータ43と、アーム6のブーム5に対する相対角度を検出するポテンショメータ42と、予め設定されているブーム長さやアーム長さとによって、制御装置26に備えたブーム立ち上げ起動制御手段Ddにおいて演算して算出するようにしている。そして、このブーム立ち上げ起動制御手段Ddは、その算出された距離Lが小であるほどブーム5を立ち上げ側に起動操作する際のトルクが小となっているので、起動時の衝撃が小さくなるよう、起動信号の立ち上げゲインKを小さくして立ち上げをゆっくり行うように設定している。(図8のグラフ参照)尚、距離Lが最大の場合でも、そのブーム立ち上げ時の制御電流やブーム用制御弁9に対するパイロット圧は、機体の揺れが生じにくい立ち上がりとなっている。(図9のグラフ参照)
【図面の簡単な説明】
【図1】バックホウを示す全体側面図
【図2】油圧回路の概略全体図
【図3】ブーム及びアーム用の油圧回路図
【図4】制御ブロック図
【図5】中立操作に伴う制御電流の変化グラフを示す図
【図6】中立操作に伴う制御弁の挙動変化グラフを示す図
【図7】ブーム立ち上げ終端位置への減速並びに再起動から停止までの制御電流(指示電流)とブーム位置との関係を示すグラフ
【図8】請求項2に係る発明に関するグラフ
【図9】ブーム上げ操作と、パイロット圧、制御電流、ブームの振動等を示すグラフ
【符号の説明】
1 バックホウ装置
5 ブーム
5c ブーム用油圧シリンダ
6 アーム
Db ブーム用クッション制御手段
Claims (1)
- バックホウ装置(1)のブーム(5)を立ち上げ姿勢での立ち上げ終端停止位置近くで予め設定してある所定の減速特性で漸次減速して、ブーム(5)を操作する操作レバー(47)によるブームの上昇操作にも係わらず前記立ち上げ終端停止位置に自動停止させるブーム用クッション制御手段(Db)を備えるとともに、該ブーム用クッション制御手段(Db)による前記減速特性で漸次減速している漸減速範囲の途中において前記操作レバー(47)を中立に操作して前記ブーム(5)停止させた後、前記操作レバー(47)によるブームの上昇操作により該ブーム(5)を再起動して前記立ち上げ終端停止位置に向けて移動させる際には、前記ブーム(5)を前記減速特性に基づく速度まで緩慢に増速させると共に、ブーム上昇速度が前記減速特性に基づく速度に達すると当該減速特性に従って漸次減速してブームの立ち上げ終端停止位置で自動停止させるように構成してあるバックホウ。
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