JP3549339B2 - 紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙葉類搬送装置における搬送エラー検出機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、発券装置やカード処理装置等において、券やカード等の紙葉類を搬送するために使用される紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構の説明図である。
CPU1は、バスBを介して、制御プログラム及び図5に示すデータテーブルを格納するROM2と、図6に示すワークエリアが設定されるRAM3と、ステッピングモータ5を駆動するドライバ4と、紙葉類Pが搬送路Lに取込まれたことを検知するための取込みセンサSs及び搬送路Lの各位置における紙葉類Pの有無を検知するための透過型のセンサS1〜S8からの検知信号を入力するための入力ポート6とに接続されている。
そして、ステッピングモータ5の駆動力に基づいて搬送路Lに沿って設けられた搬送ベルト7を駆動することにより、紙葉類Pが搬送される。なお、この紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構は、搬送方向の長さ(以下、単に長さという)の種類が単一の紙葉類Pを搬送するものであり、搬送路L上には常に1つの紙葉類Pのみが搬送され、搬送路L上に2以上の紙葉類Pが存在しないようになっている。
CPU1は、ROM2に格納されている制御プログラムに従って、各センサからの検知信号を入力ポート6を介して入力するとともに、ドライバ4に制御信号(相データ)を与えることによってステッピングモータ5に駆動信号を与えて駆動制御をおこなっている。
【0003】
図5は、ROM2のデータテーブルTの説明図である。
データテーブルTには、紙葉類Pの前端が搬送路Lの各範囲h1,h2,h3,…に位置しているときにこれを検知すべき各センサの出力状態を示す明データd1及び暗データd2と、そのデータd1,d2を紙葉類Pの前端が検知されるべき範囲h1,h2,h3,…をステッピングモータ5のステップ数の単位で示す規定値Nr(N1,N2,N3,…)とから構成されるデータブロックB1,B2,B3,…が格納されている。P1,P2,P3,…は、各データブロックのポインタである。
また、奇数番号の範囲h1,h3,h5,…は、各センサ検知領域に相当しており、偶数番号の範囲h2,h4,h6,…は、センサ間領域に相当している。 後述するように、明データd1は、それが“1”のときに明であるべき状態を示しており、“0”のときに照合対象外であることを示している。暗データd2は、それが“1”のときに暗であるべき状態を示しており、“0”のときに照合対象外であることを示している。
【0004】
図6は、RAM3のワークエリアAの説明図である。ワークエリアAは、上述したROM2のデータブロックB1,B2,B3,…が保持されるためのものである。したがって、ワークエリアAは、明データd1及び暗データd2を格納するための明データエリアA1及び暗データエリアA2と、規定値Nrがセットされて減算されるステップカウンタA3と、アドレスポインタP1,P2,P3,…を格納するためのアドレスポインタエリアA4とから構成されている。
【0005】
図7は、紙葉類の搬送エラーの検知動作を示すフローチャートである。
なお、紙葉類Pの搬送が開始される時点で、先頭のデータブロックB1がRAM3のワークエリアAに格納されるようになっている。CPU1は、ドライバ4に1ステップ分の駆動信号を与える都度、すなわちステッピングモータ5が1ステップ分駆動される都度、入力ポート6から各センサS1〜S8のセンサデータを入力する(ステップST1)。次いで、RAM3のワークエリアAの明データエリアA1から明データd1を入力し(ステップST2)、入力ポート6から入力したセンサデータと明データd1とを照合して、一致するか否かを判定する(ステップST3)。明データd1の内、照合対象は、“1”が設定されている部分だけであり、“0”が設定されている部分は照合対象外である。そして、ステップST3の判定結果が肯定ならば、RAM3のワークエリアAの暗データエリアA2から暗データd2を入力し(ステップST4)、入力ポート6から入力したセンサデータと暗データd2とを照合して、一致するか否かを判定する(ステップST5)。暗データd2の内、照合対象は、“1”が設定されている部分だけであり、“0”が設定されている部分は照合対象外である。
ステップST5の判定結果が肯定ならば、ワークエリアAのステップカウンタA3をデクリメントし(ステップST6)、ステップカウンタA3の計数値Nが0になったか否かを判定する(ステップST7)。
ステップST7の判定結果が否定ならばリターンし、肯定ならばワークエリアAのアドレスポインタA4を更新して(ステップST8)、ROM2から読出した次のデータブロックをワークエリアA(A1〜A3)に格納して(ステップST9)からリターンする。
ステップST3,S5で否定ならば、紙葉類Pが存在すべき領域内に到達しておらず、正常な搬送がなされず搬送エラーが生じていることになるので、所定のエラー処理、すなわち、ステッピングモータ5の停止及びジャム発生の旨の警報等を行う(ステップST10)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、従来の紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構では、センサ検知領域及びセンサ間領域に対応して、紙葉類が正常に搬送された場合の検知状態を保持するデータテーブルTを設けておき、ステッピングモータ5が1ステップ分駆動される都度、各センサの実際の検知状態を、上記データテーブルから取り出した検知状態と照合し、その照合結果が一致するか否かに基づいて、搬送エラーの検出を行っている。
したがって、センサ検知領域及びセンサ間領域に対応する紙葉類の検知状態を保持するためのデータテーブルを作成する必要がある。
搬送エラーを正確に検知するためには、センサ検知領域及びセンサ間領域と、上記データテーブルに保持される紙葉類の検知状態とが正確に対応していなければならないので、紙葉類を検知するセンサを正確な位置に取付けなければならないので、センサの取付け作業に手間がかかっている。
仕様変更等によってセンサの取り付け位置が移動した場合には、搬送路L上における各範囲h1,h2,h3,…の値が変更するので、データテーブルTに保持されている各データブロックBの規定値Nrをいちいち変更しなくてはならず、作業が大変面倒である。
保守作業等において、いったん搬送停止状態にある紙葉類の位置を手動でずらしてしまったときには、紙葉類の位置とステップカウンタの計数値Nとの対応がとれなくなってしまうため、搬送エラーを正確に検出することができない。このような場合には、いったんRAM3のワークエリアを初期化して、紙葉類を搬送路の開始位置まで戻して搬送をやり直す必要がある。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的は、センサ検知領域及びセンサ間領域に対応してセンサの検知状態を保持するデータテーブルの作成を不要とし、センサの取付け位置精度が要求されず、センサの取付け位置が多少移動してもソフトウェア上の改修作業を必要とせず、かつ、保守作業等で搬送路上における紙葉類の位置を手動で変更したとしても装置の復旧作業の手間がかからない紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、搬送方向の長さの種類が単一の紙葉類をステッピングモータを駆動源とする搬送機構によって搬送路上に2以上の紙葉類が存在しないように搬送する紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構において、紙葉類の搬送方向の長さ以下の間隔で前記搬送路上に設けられた紙葉類の有無を検知するための検知手段と、前記各検知手段に対応して設けられた計数手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記計数手段の全てを紙葉類の搬送開始時点で初期化する初期化処理と、前記ステッピングモータが所定の単位ステップ数駆動される度に、前記各検知手段の検知信号が紙葉類を検知している状態であるか否かを判定する紙葉類検知処理と、その判定結果が肯定ならば、その間当該検知手段に対応する前記計数手段を計数させ、その計数手段の計数値が前記紙葉類の搬送方向の長さに対応する規定値を超過したときに搬送エラーが生じたと判定する搬送エラー判定処理とを行うことを特徴としている。
上記構成によれば、紙葉類の搬送が開始されると、ステッピングモータが所定の単位ステップ数駆動される度に、各検知手段の検知信号が紙葉類を検知している状態であるか否かが判定される。その判定結果が肯定ならば、紙葉類を検知している当該検知手段に対応する計数手段を所定単位数だけ計数させる。紙葉類が検知手段の検知領域において正常に搬送されていれば、計数手段の計数値が規定値を超過することはない。一方、紙葉類が検知手段の検知領域を正常に通過できない状態であれば、計数手段の計数値が紙葉類の搬送方向の長さに対応する規定値を超過するから、その場合には搬送エラーが生じたと判定する。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構の実施の形態におけるRAMのワークエリアの構成図であり、図2は、カウンタ初期化処理のフローチャートであり、図3は、搬送エラー検知処理のフローチャートである。なお、搬送エラー検出機構の基本的なハードウェア構成については、図4を参照して説明する。
【0009】
本発明においては、図4の検知手段を構成するセンサS1〜S8は、紙葉類の長さ以下の間隔で設けられて、紙葉類Pが搬送路L上のどのような位置にあっても、センサS1〜S8のいずれか1つによって、その存在が検知されるようになっている。
また、各センサは、紙葉類の存在を検知するものであればよく、透過型センサ、反射型センサ、及びその他の形式のいずれもでもよい。したがって、本実施の形態では、紙葉類を検知したときにセンサがON状態となり、非検知のときにOFF状態となるものとして説明する。
【0010】
なお、本発明の搬送エラー検出機構は、従来と同様に、長さが単一の種類の紙葉類を搬送するものであって、かつ、搬送路L上には常に1つの紙葉類Pのみが搬送され、搬送路L上に2以上の紙葉類Pが存在しないようになっている。そして、搬送エラーを搬送路のいかなる位置においても確実に検知するために、センサ間の距離が紙葉類の長さよりも短くなるようにセンサを設置することにより、紙葉類Pが常に1以上のセンサによって検知されているようにしている。
【0011】
図1に示されているように、RAM3のワークエリアAには、センサS(S1〜S8)のそれぞれに対応して本発明の計数手段を構成するカウンタC(C1〜C8)が設けられている。これらのカウンタは、図2に示すように、紙葉類の搬送開始時点に初期化されるようになっている。
RAM3には、予めROM2に格納されている規定値KがROM2から読み出されて設定されている。この規定値Kは、紙葉類の長さに対応して設定される値であって、紙葉類の長さに相当するステッピングモータ5のステップ量にマージンを加えた値に設定すればよい。このマージンは、紙葉類の長さの誤差やステッピングモータ5が1ステップ駆動された際に生じる紙葉類Pの搬送量の誤差等を考慮して適宜設定すればよい。
【0012】
図2のフローチャートに基づいて、カウンタCの初期化処理を説明する。図4において、本発明の制御手段を構成するCPU1は、取込みセンサSsの検知信号に基づいて紙葉類Pが搬送路Lに取込まれたか否かを監視している(ステップST10)。CPU1は、紙葉類Pが搬送路L上に取込まれたことを検知すると(ステップST10で肯定)、ドライバ4に制御信号(相データ)を与えることにより、ステッピングモータ5を起動するとともに(ステップST11)、RAM3のワークエリアA上のカウンタC(C1〜C8)をクリアして初期化する(ステップST12)。
【0013】
次に、図3のフローチャートに基づいて、搬送エラー検知処理を説明する。なお、この搬送エラー検知処理は、CPU1がドライバ4に1ステップ分の制御信号(相データ)を与える都度、すなわちステッピングモータ5が1ステップ分駆動される都度、すなわち紙葉類Pが搬送路L上を一定量だけ搬送される都度、起動されるようになっている。なお、ステッピングモータが加減速制御されていれば、そのステップ周期も変化するから、搬送エラー検知処理は、必ずしも一定周期で起動されるわけではないことに注意されたい。
まず、図2の初期化処理が終了するとともに、ステッピングモータ5が起動されるので、紙葉類Pは、取込みセンサSsの検知領域を通過して搬送路L上をセンサS1に向かって搬送される。紙葉類Pの前端が取込みセンサSsの検知領域を通過してからセンサS1に到達するまでの間、センサS1〜S8は、全てOFFであるから、各センサがONか否かを判定するステップST21,ST24,…,ST27の判定結果は否定であるため、後述するステップST22,ST23,ST25,ST26,…,ST28,ST29は、全てスキップされる。紙葉類Pの前端がセンサS1に検知されるまで、ステッピングモータ5が1ステップ分駆動される都度に、上記スキップ動作が繰り返して実行される。
【0014】
そして、紙葉類Pの前端がセンサS1の検知領域に到達した以降は、ステッピングモータ5が1ステップ分駆動される都度、以下の処理が実行される。すなわち、CPU1は、センサS1の検知信号を入力ポート6を介して入力し、そのセンサデータがONであるか否かを判定し(ステップST21)、この判定結果が肯定であれば、カウンタC1をインクリメントし(ステップST22)、次いで、カウンタの計数値が紙葉類の長さに対応する規定値Kを超過しているか否かを判定し(ステップST23)、この判定結果が肯定ならば搬送エラーが発生したものとみなしてエラー処理(ステップST30)へ移行する。すなわち、カウンタC1の計数値が規定値Kを超過したということは、紙葉類Pの後端がセンサS1の検知領域n1を通過して当該センサS1がONからOFFになっていなければならないにも関わらずONが維持されていること、すなわち、センサS1の検知位置における紙葉類の搬送エラーが発生したことを示している。
【0015】
一方、ステップST21でセンサS1がOFF状態又はステップST23の判定結果が否定ならば、次のセンサS2について同様に、センサS2の検知信号を入力ポート6を介して入力し、そのセンサデータがONであるか否かを判定し(ステップST24)、肯定ならばカウンタC2をインクリメントし(ステップST25)、カウンタの計数値が規定値Kを超過しているか否かを判定し(ステップST26)、肯定ならば、上述の場合と同様に、搬送エラーが発生したものとみなしてエラー処理へ移行する。
搬送路Lの上流側のセンサS1,S2において紙葉類搬送エラーが検出されなければ、上記のような一連の処理を順次、下流側の各センサS3〜S8に対しても行う(ステップST27〜S29)。
1枚の紙葉類Pが搬送路Lの最後のセンサS8を通過するまで、搬送エラーが発生せずに搬送が終了すれば、次の紙葉類Pの搬送が開始される時点で、図2のカウンタ初期化処理が実行され、次いで図3の搬送エラー検出処理が実行される。以下、紙葉類Pが搬送路L上に取り込まれる都度、上述の処理が繰り返して実行される。
【0016】
すなわち、上記処理によれば、ステッピングモータ5が1ステップ分駆動される都度、紙葉類Pを検知してON状態となっているセンサに対応するカウンタのみがインクリメントされる一方、OFF状態となっているセンサに対応するカウンタの計数処理及びその計数値と規定値Kとの比較処理は、いずれもスキップされるようになっている。
そして、紙葉類Pを検知しているセンサに対応するカウンタの計数値が紙葉類Pの長さに対応する規定値Kを超過しているか否かが判定され、この判定結果が肯定ならば、紙葉類Pが当該センサの検知領域で搬送エラーを生じているので、所定のエラー処理を実行する。一方、紙葉類Pが正常に搬送されてセンサの検知領域を通過すれば、当該センサは、上記カウンタの計数値が規定値Kを超過する前にOFF状態となるから、それ以後における上記カウンタの計数処理及びその計数値と規定値Kとの比較処理は、いずれもスキップされて次のセンサに対する処理に移行するので、通過した後のセンサに対応するカウンタへの処理は、次の紙葉類Pの搬送開始時点におけるカウンタ初期化処理(図2)によって初期化されるまで行う必要はない。
【0017】
なお、上述の説明では、ステッピングモータ5が正方向に回転されて紙葉類Pが正方向に搬送される場合について説明したが、紙葉類Pが逆方向に搬送される場合には、カウンタの計数動作をインクリメントからデクリメントに変更するとともに、規定値Kを負の値として取り扱えばよい。すなわち、ステッピングモータが逆方向に1ステップ分駆動される都度、搬送エラー検知処理を起動し、紙葉類Pを検知しているセンサに対応するカウンタのみデクリメントし、そのカウンタの計数値が負の規定値−Kを超過したこと、つまり計数値が−Kよりも小となったことをもって搬送エラーが発生したものと判定すればよい。
【0018】
また、上述した搬送エラー検出機構においては、紙葉類がジャム等によって搬送遅れや搬送停止が発生した場合に、カウンタCの計数値が規定値Kを超過することをもって、搬送エラーの発生を検出できるが、同様の原理により2枚以上の紙葉類が搬送方向にずれた状態で重なって搬送された場合も、搬送エラーを検出することができる。
【0019】
上述した実施の形態によれば、ステッピングモータのステップに基づいて各センサ位置を通過する紙葉類の長さを計数し、その計数値が紙葉類Pの長さに対応する規定値Kを超過したことをもって搬送エラーが生じたと判定する。したがって、搬送路L上における各センサの設置されている順番が変更されず、かつ、センサ間の距離が紙葉類Pの長さを超過しない限り、搬送路L上におけるセンサの位置を任意に移動することができる。そして、センサの位置を移動したとしても、規定値Kを変更する必要がない。
なお、搬送する紙葉類の長さが変更した場合には、変更した分に相当する量だけ規定値Kを変更すればよい。
【0020】
なお、図3では、搬送エラー検知処理の起動タイミングをステッピングモータ5が1ステップ駆動されるタイミングとしたが、nステップ毎(但し、n≧2)としてもよく、その場合には、カウンタCの計数単位をn毎とすればよい。
また、カウンタCの計数単位及び規定値Kの単位を同一とすれば、ステッピングモータ5のステップ数と上記カウンタCの計数単位及び規定値Kの単位とが必ずしも一致していなくてもよい。
【0021】
以上詳述したように、従来は、搬送路上におけるセンサ検知領域及びセンサ間領域に対応して各センサの検知状態を保持したデータテーブルを設けておく必要があったが、本発明では、このようなデータテーブルを作成する必要がなく、紙葉類Pの長さに対応する規定値Kを設定するだけでよいので、ソフトウェアの設計に手間が掛からない。
また、従来は、上記理由から、センサ取付け位置が移動した場合には、データテーブルの内容を修正する必要があったが、本発明では、データテーブル自体が無いので、面倒なソフトウェアの改修作業を行う必要がない。
【0022】
従来は、搬送エラーを正確に検出するために、センサ検知領域及びセンサ間領域と、データテーブルに格納されている各センサの検知状態とが正確に対応していなくてはならないため、センサの取付け精度が厳しく要求されるのに対して、本発明では、各センサは、紙葉類の有無を検知できればよく、その位置精度は要求されないので、センサ取り付けの作業の手間がかかない。
【0023】
従来は、搬送路上における紙葉類の位置を手動で変更した場合には、紙葉類の位置とステップカウンタの計数値Nとの対応がとれなくなってしまうため、いったん、RAM3のワークエリア全域を初期化するとともに、紙葉類を搬送路開始位置まで戻してから搬送動作を再開する必要があるから、搬送動作の復旧作業が面倒であった。これに対して、本発明では、RAM3のカウンタCをクリアした後、搬送動作を再開すれば、その紙葉類の前端を最初に検知したセンサに対応するカウンタによって計数動作を開始することができるので、搬送動作の復旧作業が容易である。
【0024】
なお、ここで、実施の形態の説明と、特許請求の範囲の記載との対応について説明しておくと、図2の初期化処理が、各計数手段を紙葉類の搬送開始時点で初期化する「初期化処理」に相当している。図3のステップST21,ST24,…,ST27でなされる各センサがONか否かの判定処理が、ステッピングモータが所定の単位ステップ数駆動される度に、検知手段の検知信号が紙葉類を検知している状態であるか否かを判定する「紙葉類検知処理」に相当している。図3のステップST22,ST23,ST25,ST26,…,ST28,ST29でなされる各カウンタの計数動作及びその計数値と規定値との比較動作が、上記紙葉類検知処理の判定結果が肯定ならば、当該検知手段に対応する計数手段を所定単位数だけ計数させ、その計数手段の計数値が前記紙葉類の搬送方向の長さに対応する規定値を超過したときに搬送エラーが生じたと判定する「搬送エラー判定処理」に相当している。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構によれば、従来と違って、搬送路上における検知手段の検知領域及び検知手段間の領域に対応して各検知手段の検知状態を保持するデータテーブルが不要であって、紙葉類の長さに対応する規定値を設定するだけでよいので、製品のソフトウェア設計に手間が掛からない。
検知手段の位置に多少の変更が生じても、従来と違って、データテーブル自体が無いので、データテーブルを変更するような面倒なソフトウェアの改修作業を行う必要がない。
従来と違って、検知手段の取り付け精度が要求されないので、センサ取り付けの作業が容易にできる。
搬送エラーを検出した際には、計数手段をクリアした後、紙葉類の搬送を再開すれば、その紙葉類の前端を最初に検知した検知手段に対応する計数手段の計数動作を開始することにより搬送エラー検出処理を再開できるので、搬送動作を容易に復旧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構の実施の形態におけるRAMのワークエリアの構成図である。
【図2】カウンタ初期化処理のフローチャート
【図3】搬送エラー検知処理のフローチャートである。
【図4】従来の紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構の説明図である。
【図5】従来機構におけるRAMのワークエリアの説明図である。
【図6】従来機構におけるROMのデータテーブルの説明図である。
【図7】従来装置における紙葉類の搬送エラーの検知動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 CPU(制御手段)
5 ステッピングモータ
S(S1〜S8) 検知手段
C(C1〜C8) 計数手段
K 規定値
P 紙葉類
L 搬送路
Claims (1)
- 搬送方向の長さの種類が単一の紙葉類をステッピングモータを駆動源とする搬送機構によって搬送路上に2以上の紙葉類が存在しないように搬送する紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構において、
紙葉類の搬送方向の長さ以下の間隔で前記搬送路上に設けられた紙葉類の有無を検知するための検知手段と、前記各検知手段に対応して設けられた計数手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記計数手段の全てを紙葉類の搬送開始時点で初期化する初期化処理と、前記ステッピングモータが所定の単位ステップ数駆動される度に、前記各検知手段の検知信号が紙葉類を検知している状態であるか否かを判定する紙葉類検知処理と、その判定結果が肯定ならば、その間当該検知手段に対応する前記計数手段を計数させ、その計数手段の計数値が前記紙葉類の搬送方向の長さに対応する規定値を超過したときに搬送エラーが生じたと判定する搬送エラー判定処理とを行うこと、
を特徴とする紙葉類搬送装置の搬送エラー検出機構。
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