JP3548762B2 - パワーウインドウスイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載用のパワーウインドウスイッチの部品の共用化技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の車窓をモータにより昇降させる機構はパワーウインドウと呼ばれており、このパワーウインドウは、車窓と、ウインドウレギュレータと呼ばれる昇降機構と、この昇降機構を作動させるモータと、これらの動きを操作するためのパワーウインドウスイッチから構成されている。このうち、車窓、昇降機構及びモータは自動車のドア内に設置され、パワーウインドウスイッチは車室側のドア側面に設置されている。
【0003】
最近、このパワーウインドウの普及に従って、スイッチの誤操作により手指などを車窓に挟み込む場合がある。これを防止する体策の一例として、不用意にパワーウインドウが動作しないように、操作スイッチを引き上げ構造としたものがある。この引き上げ構造の操作スイッチは、引き上げ動作により車窓が上昇するものであり、従来の押し下げ構造の操作スイッチと比して誤操作は少なくなるので、挟み込みはある程度は減少する。しかし、これだけでは十分ではないので、車窓の位置とモータの負荷状態を測定し、モータの負荷が異常に大きくなると、手指などを挟みこんでいる状態であると判断し、モータを停止又は逆回転させて、挟み込みを防止する挟み込み防止機能付きパワーウインドウが提供されている。この挟み込み防止機能は、マイクロコンピュータ等の演算制御電子回路で構成されるものであり、この演算制御回路はモータ近傍又はパワーウインドウスイッチ内のいずれかの位置に設置される。このうち、モータ近傍への設置は、ドア内部のため水濡れ対策が必要となり適切ではない。従って、一般的に、演算制御回路はパワーウインドウスイッチ内に設置される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この演算制御電子回路は構成が複雑で部品点数も多く、必要となる面積も大きいため、パワーウインドウスイッチ内に設置するには部品実装が高密度化して、接点機構等の配置が困難となる。このため、スイッチ内に挟み込み防止機能を備えるには、パワーウインドウスイッチの多くの部品を新たに設計し直す必要があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、演算制御電子回路をハイブリッドIC化し、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICの端子と、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子とを略同等の配列とすることにより、部品の設計変更を行うことなく、挟み込み機能を有する演算制御回路をスイッチ内に配置することができるパワーウインドウスイッチを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、車窓をモータにより上下駆動するパワーウインドウ装置に備えられ、車窓の上下駆動を指示する操作ノブと、操作ノブからの指示情報に基づいてモータに動作指令を与えると共にモータの動作を制御する演算制御回路とを備えたパワーウインドウスイッチにおいて、演算制御回路は、パワーウインドウ装置に挟み込み防止機能を持たせないための、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドIC、又はパワーウインドウ装置に挟み込み防止機能を持たせるための、挟み込み防止機能を備えたハイブリッドICの何れか一方により構成されており、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICは、モータに流れる電流値と、車窓の位置又はモータの回転速度に関する情報より挟み込みが生じたか否かを判断するものであり、車窓の位置に関する情報は、パワーウインドウスイッチ外に設けられる車窓位置検出用スイッチから得られるものであり、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICの端子と、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子とが略同等の配列とされ、さらに、これらハイブリッドICの何れか一方が装着される基板は、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子がコネクタを介して車窓位置検出用スイッチに接続される構成とされていることにより、これらハイブリッドICの端子配列に対応して共用化されているものである。この構成においては、ハイブリッドICの交換と、車窓位置検出用スイッチの設置だけで、パワーウインドウスイッチに挟み込み防止機能を持たせることができるので、他の部品の設計変更が必要でなくなり、挟み込み防止機能を有しないパワーウインドウスイッチから挟み込み防止機能を有するパワーウインドウスイッチへの変更等を容易に行うことができる。
【0006】
また、モータに流れる電流値と車窓の位置情報より挟み込み状態か否かを判断するハイブリッドICにおいては、指等が車窓に挟まれると車窓が上限位置に達する前にモータに流れる電流値が上昇するので、これより挟み込み状態であると判断することができる。一方、モータに流れる電流値とモータの回転速度情報より挟み込み状態か否かを判断するハイブリッドICにおいては、指等が車窓に挟まれるとモータの回転速度が低下し、モータに流れる電流値が上昇するので、これより挟み込み状態であると判断することができる。これら2種類の挟み込み防止機能を備えたハイブリッドICの端子配列が等しく、さらに基板がハイブリッドICの端子配列に対応して共用化されているので、挟み込み防止機能の種類変更、さらには性能向上を、部品の設計変更を行うことなく、ハイブリッドICの交換だけで行うことができる。
【0007】
また、請求項2の発明は、車窓をモータにより上下駆動するパワーウインドウ装置に備えられ、車窓の上下駆動を指示する操作ノブと、操作ノブからの指示情報に基づいてモータに動作指令を与えると共にモータの動作を制御する演算制御回路とを備えたパワーウインドウスイッチにおいて、演算制御回路は、パワーウインドウ装置に挟み込み防止機能を持たせないための、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドIC、又はパワーウインドウ装置に挟み込み防止機能を持たせるための、挟み込み防止機能を備えたハイブリッドICの何れか一方により構成されており、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICは、モータに流れる電流値を検知して動作するものであり、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICの端子と、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子とが略同等の配列とされ、さらに、これらハイブリッドICの何れか一方が装着される基板は、これらハイブリッドICの端子配列に対応して共用化されているものである。この構成においては、ハイブリッドICの交換により、パワーウインドウスイッチに挟み込み防止機能を持たせることができるので、他の部品の設計変更が必要でなくなり、挟み込み防止機能を有しないパワーウインドウスイッチから挟み込み防止機能を有するパワーウインドウスイッチへの変更等を容易に行うことができる。また、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICとの構成上の差異が小さくなるので、ハイブリッドICの端子配列の同等化を容易に図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照して説明する。図1(a)は本実施の形態によるパワーウインドウスイッチの分解斜視図、図1(b)は挟み込み防止機能を有しないパワーウインドウスイッチのハイブリッドIC(以下、HICという)の外観図、図1(c)は挟み込み防止機能を有するパワーウインドウスイッチのHICの外観図である。このパワーウインドウスイッチ1は、挟み込み防止機能を有し、又は有しないパワーウインドウ装置に備えられるものであり、オートノブ2とマニュアルノブ3とウインドウロックノブ4の3つの操作ノブを有するものである。オートノブ2は、スイッチ1の表面を保護するカバーケース5に回転自在に支持されており、また、このオートノブ2には、バネ6に押圧されたプランジャー7が保持されている。プランジャー7は感触プレート8に当接されており、この感触プレート8はオートスイッチ9に係合している。使用者がオートノブ2を回転操作すると、プランジャー7の感触プレート8への押圧点が変位し、これにより、オートスイッチ9のON/OFF動作が行われる。使用者がこのオートノブ2を一旦操作すると、指を離しても車窓の昇降が自動的に行われるような構成となっている。また、マニュアルノブ3もオートノブ2と同様の機構となっており、このマニュアルノブ3を回転操作させ、マニュアルスイッチ10のON/OFF動作を行うことにより、使用者の所望位置に車窓を停止させることができる。また、ウインドウロックノブ4を押圧してウインドウロックスイッチ11をONすることにより、オートスイッチ9とマニュアルスイッチ10による動作が禁止される。
【0009】
また、マニュアルスイッチ10等は基板12上に配置されており、この基板12上には、さらに、モータの駆動を制御する演算制御回路が組み込まれたHIC13、電解コンデンサ14、リレー15、シャント抵抗16等が配置されている。この基板12は、コネクタアッシー17と共に、ケース18と端子カバー19により保護されている。
【0010】
図1(b)に示すように、挟み込み防止機能を備えていないHIC13aは8本の端子20を備えており、一方、図1(c)に示すように、挟み込み防止機能を備えているHIC13bは9本の端子20を備えており、両HIC13a,13bの端子20は略同等の配列となっている。また、基板12は、HIC13a,13bの端子配列に対応して共用化されている。これにより、HIC13aからHIC13bへの変更と、それに伴う基板12の配線パターンの軽微な変更を行うだけで、パワーウインドウイッチ1に挟み込み防止機能を持たせることができる。さらに、この挟み込み防止機能の付加には他の部品の設計変更が不要である。一般に部品の設計変更には、その部品に対応した金型の新設が必要であり、このことは、コスト高の要因となっていた。しかし、本発明においては、部品の設計変更が不要であるので、低コストでの挟み込み防止機能のパワーウインドウスイッチ1への付加が可能である。
【0011】
図2は挟み込み防止機能を有しない2ドア車のパワーウインドウ装置の回路図である。このパワーウインドウ装置30は、運転席側パワーウインドウスイッチ31と、助手席側パワーウインドウスイッチ32と、これらのスイッチ31,32からの昇降指示により駆動され車窓を昇降させるモータ33,34とを有している。運転席側パワーウインドウスイッチ31は、運転席側の車窓を昇降させるための運転席スイッチ35と助手席側の車窓を昇降させるための助手席スイッチ36を備えており、運転手が運転席に座ったまま、全ての車窓の昇降制御ができるような構成となっている。運転席側パワーウインドウスイッチ31には、助手席側パワーウインドウスイッチ32の昇降動作を禁止するためのウインドウロックスイッチ37が備えられている。また、運転席側パワーウインドウスイッチ31は、運転席スイッチ35等からの指示情報に基づいてモータ33,34に動作指令を与えると共にモータ33,34の動作を制御するためのHIC13aが搭載された回路基板を含んでいる。このHIC13aは8本の端子20a〜20hを備えており、端子20a〜20dは運転席スイッチ35に、端子20eは電源ラインに、端子20f,20gは運転席側車窓の昇降を行うモータ33のリレーに、端子20hはグランドにそれぞれ接続されている。
【0012】
一方、図3は挟み込み防止機能を有する2ドア車のパワーウインドウスイッチの回路図である。このパワーウインドウスイッチ40の構成は、上述の図2に示したパワーウインドウスイッチ30において、挟み込み防止機能を有しないHIC13aを挟み込み防止機能を有するHIC13bに変更し、さらに、車窓の位置を検出するためのスイッチ39を加えたものであり、その他の運転席スイッチ35、助手席スイッチ36、ウインドウスイッチ37等は上述のパワーウインドウスイッチ30と同等の構成となっている。HIC13bは、9本の端子20a〜20iを備えており、そのうちの8本の端子20a〜20hは、図2に示したHIC13aと同等の配列となっており、さらに端子20iが車窓位置検出用スイッチ39に接続されている。このように、挟み込み防止機能を有しないパワーウインドウ装置30と挟み込み防止機能を有するパワーウインドウスイッチ装置40との差異が、HICと基板の配線といった軽微なものとなり、他の部品の設計変更が不要となるので、パワーウインドウスイッチへの挟み込み防止機能の付加を容易に行うことが可能となる。また、挟み込み防止機能の性能向上をHICの交換だけで実現できるので、パワーウインドウスイッチの生産開始後も演算制御回路の性能改善を進めることで、パワーウインドウスイッチの性能向上を容易に図ることができる。
【0013】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、挟み込み防止機能は、モータの電流値と車窓の位置により挟み込み状態であるか否かを判断するものの他、モータの電流値とモータの回転速度より挟み込み状態であるか否かを判断するものであってもよい。
【0014】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載のパワーウインドウスイッチによれば、演算制御回路をハイブリッドICにより構成し、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICの端子と、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子とを略同等の配列とし、さらに、これらハイブリッドICが装着される基板を、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子が車窓位置検出用スイッチに接続される構成とすることにより、ハイブリッドICの端子配列に対応して共用化したので、ハイブリッドICの交換と、車窓位置検出用スイッチの設置だけで、パワーウインドウスイッチに挟み込み防止機能を持たせることができ、他の部品の設計変更が不要となり、機能変更を容易に行うことが可能となる。
【0015】
また、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICは、モータに流れる電流値と、車窓の位置又はモータの回転速度に関する情報より挟み込みが生じたか否かを判断するようにしたので、2種類の挟み込み防止機能間の変更が、挟み込み防止機能を備えたハイブリッドICの交換だけで可能となる。これにより、他の部品の設計変更を行うことなく、挟み込み防止機能の変更を容易に行うことが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載のパワーウインドウによれば、演算制御回路をハイブリッドICにより構成し、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICの端子と、挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子とを略同等の配列とし、さらに、これらハイブリッドICが装着される基板をハイブリッドICの端子配列に対応して共用化したので、ハイブリッドICの交換によりパワーウインドウスイッチに挟み込み防止機能を持たせることができ、機能変更を容易に行うことが可能となる。また、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICは、モータに流れる電流値を検知して動作するものとしたので、挟み込み防止機能を有するハイブリッドICとの共用点が大きくなり、ハイブリッドIC間の端子配列の同等化を容易に図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態によるパワーウインドウスイッチの分解斜視図であり、(b)は挟み込み防止機能を具備しないHICの外観図、(c)は挟み込み防止機能を具備するHICの外観図である。
【図2】挟み込み防止機能を有しないパワーウインドウスイッチ装置の回路図である。
【図3】挟み込み防止機能を有するパワーウインドウスイッチ装置の回路図である。
【符号の説明】
1 パワーウインドウスイッチ
2 オートノブ(操作ノブ)
3 マニュアルノブ(操作ノブ)
4 ウインドウロックノブ(操作ノブ)
12 基板
13,13a,13b ハイブリッドIC
20,20a〜20i 端子
30,40 パワーウインドウスイッチ装置
33,34 モータ
Claims (2)
- 車窓をモータにより上下駆動するパワーウインドウ装置に備えられ、該車窓の上下駆動を指示する操作ノブと、該操作ノブからの指示情報に基づいて前記モータに動作指令を与えると共に該モータの動作を制御する演算制御回路とを備えたパワーウインドウスイッチにおいて、
前記演算制御回路は、前記パワーウインドウ装置に挟み込み防止機能を持たせないための、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドIC、又は前記パワーウインドウ装置に挟み込み防止機能を持たせるための、挟み込み防止機能を備えたハイブリッドICの何れか一方により構成されており、
前記挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICは、前記モータに流れる電流値と、前記車窓の位置又は前記モータの回転速度に関する情報より挟み込みが生じたか否かを判断するものであり、
前記車窓の位置に関する情報は、パワーウインドウスイッチ外に設けられる車窓位置検出用スイッチから得られるものであり、
前記挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICの端子と、前記挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子とが略同等の配列とされ、
さらに、これらハイブリッドICの何れか一方が装着される基板は、前記挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子がコネクタを介して前記車窓位置検出用スイッチに接続される構成とされていることにより、これらハイブリッドICの端子配列に対応して共用化されていることを特徴とするパワーウインドウスイッチ。 - 車窓をモータにより上下駆動するパワーウインドウ装置に備えられ、該車窓の上下駆動を指示する操作ノブと、該操作ノブからの指示情報に基づいて前記モータに動作指令を与えると共に該モータの動作を制御する演算制御回路とを備えたパワーウインドウスイッチにおいて、
前記演算制御回路は、前記パワーウインドウ装置に挟み込み防止機能を持たせないための、挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドIC、又は前記パワーウインドウ装置に挟み込み防止機能を持たせるための、挟み込み防止機能を備えたハイブリッドICの何れか一方により構成されており、
前記挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICは、前記モータに流れる電流値を検知して動作するものであり、
前記挟み込み防止機能を備えていないハイブリッドICの端子と、前記挟み込み防止機能を備えているハイブリッドICの端子とが略同等の配列とされ、
さらに、これらハイブリッドICの何れか一方が装着される基板は、これらハイブリッドICの端子配列に対応して共用化されていることを特徴とするパワーウインドウスイッチ。
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JPH10169311A JPH10169311A (ja) | 1998-06-23 |
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