JP4153180B2 - サンルーフ制御装置及びサンルーフ制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のルーフガラスを制御するサンルーフ制御装置及びサンルーフ制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に装備されるサンルーフ装置におけるルーフガラスの開閉作動には種々の形態があり、本出願人においては、全閉位置から全開位置(スライド全開位置)まで作動するにあたり、全閉位置、チルト全開位置(全閉位置からルーフガラスの後端が室外側に最も上昇した位置)、擬似全閉位置、フラップダウン位置(擬似全閉位置からルーフガラスの後端が室内側に最も下降した位置)、及びスライド全開位置の順にスライド開作動するサンルーフ装置が考えられている。即ち、この形態のサンルーフ装置は、スライド開作動する際において一旦チルト作動してからスライド開作動するようになっている。尚、スライド閉作動はこのスライド開作動の逆の順で行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、ルーフガラスの一連の開作動又は閉作動中に全閉状態となる位置(全閉位置、擬似全閉位置)が2箇所存在する形態おいて、例えば擬似全閉位置にルーフガラスを停止させた場合、次回の開閉操作時に操作者はルーフガラスが全閉位置に配置されているのか擬似全閉位置に配置されているのかの区別が付かない。従って、仮に操作者が全閉位置に配置されていると思い込んで開作動させると、全閉位置から開作動させれば一旦チルト作動するのにもかかわらず、実際は擬似全閉位置からの開作動となるので、単にスライド全開位置に向かって開作動するといった操作者の意図しない作動が行われ、違和感が生じる。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ルーフガラスの一連の開作動又は閉作動中に全閉状態となる位置が2箇所存在する作動形態を有するサンルーフ制御装置及びサンルーフ制御方法であって、相互の全閉位置の区別を付け、操作者の違和感を軽減することができるサンルーフ制御装置及びサンルーフ制御方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、ルーフガラスを全閉位置、チルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置の順で開作動させるとともに、この逆の順で閉作動させる駆動モータと、前記駆動モータの回転に基づいて前記ルーフガラスの開閉位置を検出する位置検出手段と、操作スイッチの操作及び前記位置検出手段にて検出したルーフガラスの開閉位置に基づいて前記ルーフガラスを開閉作動又は停止すべく前記駆動モータを制御する制御手段とを備えたサンルーフ制御装置であって、前記制御手段は、前記擬似全閉位置を含むように設定した停止禁止領域内において、前記ルーフガラスが作動中に前記操作スイッチの操作により前記ルーフガラスの停止操作がなされると、該領域外の所定位置まで前記ルーフガラスを作動させて停止させる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサンルーフ制御装置において、前記制御手段は、前記ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりも全閉位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスを全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動させて停止させ、前記ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりもスライド全開位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスをスライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動させて停止させる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のサンルーフ制御装置において、前記停止禁止領域は、前記チルト全開位置から前記フラップダウン位置までの間に設定されている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のサンルーフ制御装置において、前記停止禁止領域は、前記チルト全開位置から前記フラップダウン位置までの間に設定されるものであり、前記全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置は、前記チルト全開位置に設定され、前記スライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置は、前記フラップダウン位置に設定されている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、駆動モータによりルーフガラスが全閉位置、チルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置の順で開作動されるとともに、この逆の順で閉作動され、操作スイッチの操作及び前記駆動モータの回転に基づいて検出したルーフガラスの開閉位置に基づいてルーフガラスを開閉作動又は停止するようにしたサンルーフ制御方法であって、前記擬似全閉位置を含むように設定した停止禁止領域内において、前記ルーフガラスが作動中に前記操作スイッチの操作により前記ルーフガラスの停止操作がなされると、該領域外の所定位置まで前記ルーフガラスを作動させて停止させる。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のサンルーフ制御方法において、前記ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりも全閉位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスを全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動させて停止させ、前記ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりもスライド全開位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスをスライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動させて停止させる。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載のサンルーフ制御方法において、前記停止禁止領域は、前記チルト全開位置から前記フラップダウン位置までの間に設定されている。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のサンルーフ制御方法において、前記停止禁止領域は、前記チルト全開位置から前記フラップダウン位置までの間に設定されるものであり、前記全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置は、前記チルト全開位置に設定され、前記スライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置は、前記フラップダウン位置に設定されている。
【0013】
(作用)
請求項1,5に記載の発明によれば、ルーフガラスが全閉位置、チルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置の順で開作動されるとともに、この逆の順で閉作動されるものであって、擬似全閉位置を含むように設定した停止禁止領域内においてルーフガラスが作動中に操作スイッチの操作によりルーフガラスの停止操作がなされると、該領域外の所定位置までルーフガラスが作動されて停止される。従って、ルーフガラスが擬似全閉位置で停止しないので、操作者が全閉位置と擬似全閉位置とを混同することが防止される。そのため、操作者の意図に反したルーフガラスの作動が行われることがなくなり、操作者の違和感が軽減される。
【0014】
ここで、このようにルーフガラスが作動するサンルーフ装置では、通常、全閉側の機械的限界位置を全閉位置に設定するため、全閉位置で停止した状態のルーフガラスは、ガタが開方向のみになってそのガタ量が小さくなり、閉め切りが完全となる。従って、ルーフガラスが全閉位置で停止した状態では、防水性が高い。一方、作動途中にある擬似全閉位置で停止したルーフガラスは、ガタが開方向と閉方向の両方向に存在するのでそのガタ量は大きく、閉め切りには精度の高い位置制御が要求されるが、ややもすると閉め切りが不完全となり、浸水する虞がある。従って、擬似全閉位置を全閉位置と思い込んで長時間放置したり走行したりすると、車室内に浸水する場合がある。そのため、ルーフガラスを擬似全閉位置で停止させないようにしたことで、車室内への浸水が未然に防止される。
【0015】
請求項2,6に記載の発明によれば、ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりも全閉位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスが全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動して停止し、ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりもスライド全開位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスがスライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動して停止する。つまり、停止操作時において、ルーフガラスが擬似全閉位置付近で挟み込む方向に作動しないので、ルーフガラスによる挟み込みが未然に防止される。
【0016】
請求項3,7に記載の発明によれば、ルーフガラスは、チルト全開位置からフラップダウン位置までの間に設定された停止禁止領域内の停止が禁止される。
請求項4,8に記載の発明によれば、ルーフガラスは、チルト全開位置からフラップダウン位置までの間に設定された停止禁止領域内の停止が禁止される。そして、その停止禁止領域内で停止操作がなされると、ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりも全閉位置側にあるときには、該ルーフガラスはチルト全開位置まで作動して停止し、ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりもスライド全開位置側にあるときには、該ルーフガラスはフラップダウン位置まで作動して停止する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図3は、サンルーフ装置を装備した自動車の要部斜視図であって、自動車1のルーフパネル2に形成した天窓3に対してルーフガラス4が設けられている。ルーフガラス4は、前後方向に往復スライド移動(スライド開閉作動)可能、かつ、その前端部において車幅方向を支点として上下動(チルト開閉作動)可能に設けられている。そして、ルーフガラス4は、同図3の破線で示す駆動モータ5の駆動に基づいて図示しない駆動伝達機構を介して開閉作動が行われる。この駆動モータ5は、該モータ5を駆動制御する後述の駆動制御回路11とともに駆動ユニット10を構成している。駆動ユニット10は、天窓3の前方におけるルーフパネル2と室内側の成形天井パネル(図示略)との間に配設されている。
【0018】
尚、本実施形態のルーフガラス4は、図2に示すように、主に、全閉位置、チルト全開位置(全閉位置からルーフガラス4の後端が室外側に最も上昇した位置)、擬似全閉位置、フラップダウン位置(擬似全閉位置からルーフガラス4の後端が室内側に最も下降した位置)、及びスライド全開位置を有している。そして、本実施形態では、ルーフガラス4が全閉位置からチルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置の順で開作動することをスライド開作動(図2においてS/O作動)、この逆の作動をスライド閉作動(図2においてS/C作動)という。このスライド開閉作動は、後述するスライド開閉スイッチSW2,SW3をそれぞれ操作することにより行われる。又、ルーフガラス4が全閉位置からチルト全開位置まで開作動することをチルト開作動(図2においてT/U作動)、この逆の作動をチルト閉作動(図2においてT/D作動)という。このチルト開閉作動は、後述するチルト開閉スイッチSW4,SW5をそれぞれ操作することにより行われる。
【0019】
図1は、駆動モータ5を駆動制御するサンルーフ装置の電気的構成を説明するための電気ブロック図を示す。駆動モータ5を駆動制御する駆動制御回路11はバッテリ(図示略)に接続され、該回路11にはバッテリから駆動電源+Bが供給される。駆動電源+Bは、駆動制御回路11内において電源供給回路12にて所定電源電圧に調整されて制御部13に供給される。
【0020】
駆動制御回路11は、イグニッションスイッチSW1が接続される。イグニッションスイッチSW1は、駆動制御回路11内において入力回路14を介して制御部13に接続される。イグニッションスイッチSW1は、操作されると操作信号(オン信号)を入力回路14を介して制御部13に出力する。制御部13は、イグニッションスイッチSW1のオン信号に基づいて電源供給回路12から供給される駆動電源に基づいて動作する。
【0021】
又、駆動制御回路11は、前記ルーフガラス4を開閉操作するための各種スイッチSW2〜SW5、即ちスライド開スイッチSW2、スライド閉スイッチSW3、チルト開スイッチSW4、及びチルト閉スイッチSW5がそれぞれ接続される。各種スイッチSW2〜SW5は、駆動制御回路11内において入力回路14を介して制御部13に接続される。各種スイッチSW2〜SW5は、それぞれ操作されると、指令信号(本実施形態では、Lレベル(接地レベル)のオン信号)を入力回路14を介して制御部13に出力する。
【0022】
制御部13には、該制御部13の動作に必要な基準クロック信号がクロック発振回路15から入力される。又、制御部13は、電圧モニタ回路16により前記電源供給回路12から供給される駆動電源が監視されている。
【0023】
又、前記制御部13は、駆動回路17を介して前記駆動モータ5に駆動電源を供給して該モータ5の制御を行う。
即ち、本実施形態の制御部13は、スライド開スイッチSW2が一旦操作される、即ち該スイッチSW2からオン信号が一旦入力されると、その後該スイッチSW2からオフ信号が入力されてもルーフガラス4を全閉位置からチルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置までの順で一気に開作動(オート開作動)させるべく駆動モータ5に駆動電源を供給し、該モータ5を駆動する。そして、制御部13は、後述するルーフガラス4の開閉位置の検出によって該ルーフガラス4がスライド全開位置に配置されたことが検出されると、駆動モータ5への駆動電源を停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。
【0024】
一方、制御部13は、スライド閉スイッチSW3が一旦操作される、即ち該スイッチSW3からオン信号が一旦入力されると、その後該スイッチSW3からオフ信号が入力されてもルーフガラス4をスライド全開位置から前記逆の順で全閉位置に一気に閉作動(オート閉作動)させるべく駆動モータ5に駆動電源を供給し、該モータ5を駆動する。そして、制御部13は、後述するルーフガラス4の開閉位置の検出によって該ルーフガラス4が全閉位置に配置されたことが検出されると、駆動モータ5への駆動電源を停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。
【0025】
又、上記のようにしてルーフガラス4がオート作動している途中に、スライド開閉スイッチSW2,SW3のいずれかが操作されると、制御部13は、駆動モータ5への駆動電源を停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。そして、再びスライド開閉スイッチSW2,SW3が操作されると、制御部13は駆動モータ5に駆動電源を供給し、ルーフガラス4が停止した位置からスライド全開位置又は全閉位置まで一気に作動させるようになっている。
【0026】
制御部13は、チルト開スイッチSW4を操作している間、即ち該スイッチSW4からオン信号が入力されている間、ルーフガラス4を通常開作動(マニュアル開作動)させるべく駆動モータ5に駆動電源を供給し、該モータ5を駆動する。チルト開スイッチSW4の操作を止める、即ち該スイッチSW4からオフ信号が入力されると、制御部13は、ルーフガラス4の作動を停止させるべく駆動モータ5への駆動電源の供給を停止する。又、この場合、後述するルーフガラス4の開閉位置の検出によって該ルーフガラス4がチルト全開位置に配置されると、制御部13は、チルト開スイッチSW4が操作されていても、駆動モータ5への駆動電源の供給を停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。
【0027】
一方、制御部13は、チルト閉スイッチSW5を操作している間、即ち該スイッチSW5からオン信号が入力されている間、ルーフガラス4を通常閉作動(マニュアル閉作動)させるべく駆動モータ5に駆動電源を供給し、該モータ5を駆動する。チルト閉スイッチSW5の操作を止める、即ち該スイッチSW5からオフ信号が入力されると、制御部13は、ルーフガラス4の作動を停止させるべく駆動モータ5への駆動電源の供給を停止する。又、この場合、後述するルーフガラス4の開閉位置の検出によって該ルーフガラス4が全閉位置に配置されると、制御部13は、チルト閉スイッチSW5が操作されていても、駆動モータ5への駆動電源の供給を停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。
【0028】
前記駆動制御回路11には、駆動モータ5の回転周期(回転速度)及び回転方向を検出する一対のホール素子磁気センサ18a,18bが該回路11を構成する基板上に配設されている。具体的には、駆動モータ5の回転軸(図示略)には回転方向に多極着磁されたセンサマグネットが一体回転するように設けられ、そのセンサマグネットの近傍位置にホール素子磁気センサ18a,18bが互いに回転方向に所定間隔を有して配置されている。つまり、本実施形態の回転センサは、磁気を用いた非接触型の回転センサが用いられている。各ホール素子磁気センサ18a,18bは、駆動モータ5が回転するとそのモータ5の回転に応じたパルス状の出力信号をそれぞれ検出回路19に出力する。又、各ホール素子磁気センサ18a,18bから出力される出力信号(パルス信号)は、互いに位相差(例えば、1/2周期)を有している。検出回路19は、各出力信号(パルス信号)の波形を成形する等して制御部13に出力する。
【0029】
前記制御部13は、各ホール素子磁気センサ18a,18bから検出回路19を介して入力される出力信号(パルス信号)の周期に基づいて駆動モータ5の回転周期(回転速度)を検出する。
【0030】
即ち、制御部13は、前記スライド開スイッチSW2及び前記チルト開スイッチSW4が操作されオン信号が入力されると、出力信号(パルス信号)の1周期毎に(例えば、立ち上がりエッジに基づいて)カウント数に「1」を加算する(図2参照)。一方、制御部13は、前記スライド閉スイッチSW3及び前記チルト閉スイッチSW5が操作されオン信号が入力されると、出力信号(パルス信号)の1周期毎に開時において加算されたカウント数から「1」を減算する。そして、制御部13は、そのカウント数に応じてルーフガラス4の開閉位置を検出するようになっている。
【0031】
尚、図2に示すように、本実施形態では、カウント数が「10」以下になると、ルーフガラス4が全閉位置に配置されているとみなされる。又、ルーフガラス4がチルト全開位置に配置されると、カウント数は「128」となり、ルーフガラス4が擬似全閉位置に配置されると、カウント数は「205」となる。又、ルーフガラス4がフラップダウン位置に配置されると、カウント数は「248」となり、ルーフガラス4がスライド全開位置に配置されると、カウント数は「1062」となる。尚、カウント数が「248」〜「254」の間(図2においてスライドA領域)は、後述する挟み込み判定を行わない荷重反転マスク領域である。つまり、カウント数が「254」〜「1062」の間(図2においてスライドB領域)で挟み込み判定が行われる。又、ルーフガラス4が全開側の機械的限界位置に配置されると、カウント数が「1150」になる。このようなルーフガラス4とカウント数との相対関係を決定する原点位置設定(初期位置設定)は、例えば、ルーフガラス4を全閉側の機械的限界位置に配置した状態でカウント数を「0」に設定することにより行われる。
【0032】
又、制御部13は、各出力信号(パルス信号)の位相差に応じて駆動モータ5の回転方向を検出し、その駆動モータ5の回転方向の検出に基づいてルーフガラス4の開閉方向を検出している。
【0033】
又、制御部13は、前記ルーフガラス4が図2に示すスライドB領域でオート閉作動を行っている間、駆動モータ5の回転周期(回転速度)が予め定めた挟み込み判定値より長く(遅く)なると、前記ルーフガラス4と前記ルーフパネル2との間で異物が狭持されて回転周期が長くなった(回転速度が遅くなった)と判定する。すると、制御部13は、閉作動中のルーフガラス4により挟み込んだ異物を解放すべく駆動モータ5を逆転させ、該ルーフガラス4を所定カウント数だけ開作動させる(荷重反転作動)。このとき、制御部13は、駆動モータ5の逆転に基づいて、カウント数を減算から加算に切り換える。
【0034】
又、制御部13は、上記したようにスライド開閉スイッチSW2,SW3の操作に基づいてルーフガラス4がオート作動している途中に、該スイッチSW2,SW3のいずれかが操作されると、制御部13は、駆動モータ5への駆動電源を停止して、ルーフガラス4の作動を停止する。ここで、図2に示すように、チルト全開位置とフラップダウン位置との間にルーフガラス4の停止を禁止する停止禁止領域が設けられている。尚、この停止禁止領域には、チルト全開位置とフラップダウン位置とは含まれない。
【0035】
具体的に、本実施形態の制御部13は、ルーフガラス4がこの停止禁止領域内を作動している途中に上記のような停止操作が行われた場合、ルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもチルト全開位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラス4の作動方向にかかわらず該ルーフガラス4をチルト全開位置まで作動させて停止させ、ルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもフラップダウン位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラス4の作動方向にかかわらず該ルーフガラス4をフラップダウン位置まで作動させて停止させるようになっている。
【0036】
尚、本実施形態では、ルーフガラス4が停止禁止領域内を作動している途中にイグニッションスイッチSW1がオフされても、上記と同様に、停止禁止領域内で停止しないようになっている。
【0037】
このように本実施形態では、ルーフガラス4を擬似全閉位置で停止しないようにしたので、操作者が全閉位置と擬似全閉位置とを混同することが防止され、操作者の意図に反したルーフガラス4の作動が行われることがない。従って、操作者の違和感が軽減される。
【0038】
ここで、本実施形態では、ルーフガラス4の全閉側の機械的限界位置を全閉位置に設定しているため、全閉位置で停止した状態のルーフガラス4は、ガタが開方向のみになってそのガタ量が小さくなり、閉め切りが完全となる。従って、ルーフガラス4が全閉位置で停止した状態では、防水性が高い。一方、作動途中にある擬似全閉位置で停止したルーフガラス4は、ガタが開方向と閉方向の両方向に存在するのでそのガタ量は大きく、閉め切りには精度の高い位置制御が要求されるが、ややもすると閉め切りが不完全となり、浸水する虞がある。従って、擬似全閉位置を全閉位置と思い込んで長時間放置したり走行したりすると、車室内に浸水する場合がある。そのため、本実施形態のようにルーフガラス4を擬似全閉位置で停止しないようにしたことで、車室内への浸水が未然に防止される。
【0039】
又、上記したように、ルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもチルト全開位置側にあるときには、該ルーフガラス4がチルト全開位置まで作動して停止し、ルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもフラップダウン位置側にあるときには、該ルーフガラス4がフラップダウン位置まで作動して停止する。つまり、本実施形態では、上記した停止操作時において、ルーフガラス4が擬似全閉位置付近で挟み込む方向に作動しないので、ルーフガラス4による挟み込みが未然に防止される。
【0040】
上記したように、本実施形態のサンルーフ装置は、以下のような特徴がある。(1)本実施形態では、擬似全閉位置の両側にあるチルト全開位置とフラップダウン位置との間において、スライド開閉スイッチSW2,SW3の停止操作によるルーフガラス4の停止を禁止する停止禁止領域を設けた。従って、ルーフガラス4が擬似全閉位置で停止しないので、操作者が全閉位置と擬似全閉位置とを混同することを防止することができる。そのため、操作者の意図に反したルーフガラス4の作動が行われることがなくなり、操作者の違和感を軽減することができる。
【0041】
しかも、作動途中にある擬似全閉位置で停止したルーフガラス4は、ガタが開方向と閉方向の両方向に存在するのでそのガタ量は大きく、閉め切りには精度の高い位置制御が要求されるが、ややもすると閉め切りが不完全となり、浸水する虞がある。従って、擬似全閉位置を全閉位置と思い込んで長時間放置したり走行したりすると、車室内に浸水する場合がある。そのため、本実施形態のようにルーフガラス4を擬似全閉位置で停止させないようにしたことで、車室内への浸水を未然に防止することができる。
【0042】
(2)本実施形態では、ルーフガラス4がこの停止禁止領域内を作動している途中に上記のような停止操作が行われた場合、ルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもチルト全開位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラス4の作動方向にかかわらず該ルーフガラス4がチルト全開位置まで作動して停止し、ルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもフラップダウン位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラス4の作動方向にかかわらず該ルーフガラス4がフラップダウン位置まで作動して停止する。つまり、停止操作時において、ルーフガラス4が擬似全閉位置付近で挟み込む方向に作動しないので、ルーフガラス4による挟み込みを未然に防止することができる。
【0043】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、ルーフガラス4の停止を禁止する停止禁止領域をチルト全開位置とフラップダウン位置との間に設けたが、少なくとも擬似全閉位置を含んでいれば、この領域に限定されるものではない。
【0044】
○上記実施形態では、ルーフガラス4が停止禁止領域内を作動している途中に停止操作が行われた場合、ルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもチルト全開位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラス4の作動方向にかかわらず該ルーフガラス4がチルト全開位置まで作動して停止するようにしたが、停止位置はこれに限定されるものではなく、擬似全閉位置から全閉位置側の所定位置であれば適宜変更してもよい。
【0045】
又、ルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもフラップダウン位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラス4の作動方向にかかわらず該ルーフガラス4がフラップダウン位置まで作動して停止するようにしたが、停止位置はこれに限定されるものではなく、擬似全閉位置からスライド全開位置側の所定位置であれば適宜変更してもよい。
【0046】
又、ルーフガラス4が作動している方向の先にある位置で停止するようにしてもよい。具体的には、ルーフガラス4がスライド全開方向に向かって作動している状態でルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもチルト全開位置側にあるときに停止操作がなされた場合、該ルーフガラス4をフラップダウン位置まで作動させて停止するようにしてもよい。又、ルーフガラス4が全閉方向に向かって作動している状態でルーフガラス4の現在の位置が擬似全閉位置よりもフラップダウン位置側にあるときに停止操作がなされた場合、該ルーフガラス4をチルト全開位置まで作動させて停止するようにしてもよい。
【0047】
○上記実施形態では、駆動モータ5の回転周期が予め定めた挟み込み判定値より長くなると、ルーフガラス4により挟み込みが発生したと判定するようにしたが、挟み込みの判定はこれに限定されるものではない。
【0048】
○上記実施形態では、回転センサにホール素子磁気センサ18a,18bを用いたが、磁界の変化に伴って抵抗が変化する磁気抵抗素子を用いてもよい。又、これらのような非接触型の磁気センサ以外、例えば光学式の回転センサを用いてもよい。又、摺動接点を用いた接触型の回転センサを用いてもよい。
【0049】
○上記実施形態の駆動制御回路11の回路構成はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
○上記実施形態では、駆動モータ5と、ホール素子磁気センサ18a,18bや制御部13等を有する駆動制御回路11とを駆動ユニット10として一体に構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、駆動制御回路11を別に設ける構成としてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ルーフガラスの一連の開作動又は閉作動中に全閉状態となる位置が2箇所存在する作動形態を有するサンルーフ制御装置及びサンルーフ制御方法であって、相互の全閉位置の区別を付け、操作者の違和感を軽減することができるサンルーフ制御装置及びサンルーフ制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のサンルーフ装置の電気的構成図である。
【図2】 ルーフガラスの開閉作動を説明するための説明図である。
【図3】 サンルーフ装置を装備した自動車の要部斜視図である。
【符号の説明】
4…ルーフガラス、5…駆動モータ、13…位置検出手段及び制御手段を構成する制御部、18a,18b…位置検出手段を構成するホール素子磁気センサ、SW2,SW3…操作スイッチとしてのスライド開閉スイッチ。
Claims (8)
- ルーフガラスを全閉位置、チルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置の順で開作動させるとともに、この逆の順で閉作動させる駆動モータと、
前記駆動モータの回転に基づいて前記ルーフガラスの開閉位置を検出する位置検出手段と、
操作スイッチの操作及び前記位置検出手段にて検出したルーフガラスの開閉位置に基づいて前記ルーフガラスを開閉作動又は停止すべく前記駆動モータを制御する制御手段と
を備えたサンルーフ制御装置であって、
前記制御手段は、前記擬似全閉位置を含むように設定した停止禁止領域内において、前記ルーフガラスが作動中に前記操作スイッチの操作により前記ルーフガラスの停止操作がなされると、該領域外の所定位置まで前記ルーフガラスを作動させて停止させることを特徴とするサンルーフ制御装置。 - 請求項1に記載のサンルーフ制御装置において、
前記制御手段は、前記ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりも全閉位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスを全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動させて停止させ、前記ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりもスライド全開位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスをスライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動させて停止させることを特徴とするサンルーフ制御装置。 - 請求項1又は2に記載のサンルーフ制御装置において、
前記停止禁止領域は、前記チルト全開位置から前記フラップダウン位置までの間に設定されていることを特徴とするサンルーフ制御装置。 - 請求項2に記載のサンルーフ制御装置において、
前記停止禁止領域は、前記チルト全開位置から前記フラップダウン位置までの間に設定されるものであり、
前記全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置は、前記チルト全開位置に設定され、
前記スライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置は、前記フラップダウン位置に設定されていることを特徴とするサンルーフ制御装置。 - 駆動モータによりルーフガラスが全閉位置、チルト全開位置、擬似全閉位置、フラップダウン位置、及びスライド全開位置の順で開作動されるとともに、この逆の順で閉作動され、操作スイッチの操作及び前記駆動モータの回転に基づいて検出したルーフガラスの開閉位置に基づいてルーフガラスを開閉作動又は停止するようにしたサンルーフ制御方法であって、
前記擬似全閉位置を含むように設定した停止禁止領域内において、前記ルーフガラスが作動中に前記操作スイッチの操作により前記ルーフガラスの停止操作がなされると、該領域外の所定位置まで前記ルーフガラスを作動させて停止させることを特徴とするサンルーフ制御方法。 - 請求項5に記載のサンルーフ制御方法において、
前記ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりも全閉位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスを全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動させて停止させ、前記ルーフガラスの現在の位置が擬似全閉位置よりもスライド全開位置側にあるときには、停止操作前のルーフガラスの作動方向にかかわらず該ルーフガラスをスライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置まで作動させて停止させることを特徴とするサンルーフ制御方法。 - 請求項5又は6に記載のサンルーフ制御方法において、
前記停止禁止領域は、前記チルト全開位置から前記フラップダウン位置までの間に設定されていることを特徴とするサンルーフ制御方法。 - 請求項6に記載のサンルーフ制御方法において、
前記停止禁止領域は、前記チルト全開位置から前記フラップダウン位置までの間に設定されるものであり、
前記全閉位置側の停止禁止領域外の所定位置は、前記チルト全開位置に設定され、
前記スライド全開位置側の停止禁止領域外の所定位置は、前記フラップダウン位置に設定されていることを特徴とするサンルーフ制御方法。
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