JP3546974B2 - ポリエステル強撚織物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル強撚織物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリエステル強撚織物の製造方法に関し、更に詳しくはポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸に強撚を施し、ビリつきによる取扱性の悪さを熱セットにより解消しながら、熱セット斑による染着欠点や染色加工時の加工縮みのばらつきを生じ難いポリエステル強撚織物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルマルチフィラメントはその優れた種々の特性を生かして、衣料分野、生活資材分野や産業資材分野に広く使用されている。主に衣料分野において、ポリエステルマルチフィラメントの熱収縮特性のコントロールのし易さを生かして、織物にソフト感、ふくらみ感を与える試みが数多くなされている。前記の試みの中で、熱収縮特性を異ならせた2種以上のポリエステルマルチフィラメントからなる異収縮混繊糸を用いた織物がよく知られている。但し、通常のポリエチレンテレフタレートばかりで構成された異収縮混繊糸は高収縮成分糸と低収縮成分糸との熱収縮特性差が限られているため、織物の染色加工時の熱処理により両成分間の糸足差の程度が限られ、現在ではそのソフト感、ふくらみ感は特化性の乏しいものになっている。
【0003】
そこで高収縮成分糸の熱収縮特性を大ならしめ、両成分間の熱収縮特性差を大きくし、ソフト感、ふくらみ感を向上させることも行われている。例えば特開平3−124827号公報には第三成分を共重合したポリエステルからなる高収縮糸と主構成単位がポリエチレンテレフタレートからなる低収縮糸とで構成されたポリエステル混繊糸で該高収縮糸と該低収縮糸の沸水収縮差が40%以上80%以下であるポリエステル混繊糸が開示されている。該公報のポリエステル混繊糸は、前記の通常のポリエチレンテレフタレートばかりで構成された異収縮混繊糸に比較し、両成分間の熱収縮特性差が大きく、染色加工後の織物のソフト感、ふくらみ感を向上したものである。
【0004】
但し、該公報のポリエステル混繊糸の様に超高収縮特性を有するフィラメントを含めて構成された異収縮混繊糸には次の様な課題がある。該超高収縮特性を有するフィラメントを含めて構成された異収縮混繊糸を無撚、または撚トルクによるビリつきが生じない範囲の甘撚を施して使用し、製織する場合は問題無いが、撚トルクによるビリつきが生じる中〜強撚を施して使用し、製織する場合はそのままでは経糸準備工程での取扱性が悪く、製織性も悪いので、撚糸パッケージに撚止め湿熱セットを施すことが必要となる。このとき、超高収縮特性を有するフィラメントは熱に対し、デリケートであり、撚糸パッケージの内外層で熱セットの程度に差が生じ易く、撚糸パッケージの内外層で染着性、熱収縮特性に差を生じ易い。結果として染色加工後に好ましくない染着斑を生じたり、加工縮みがばらついたりする場合がある。この様な問題を防ぐために、撚糸パッケージの最内層部を使用しないで除去することが効果的であるが、糸ロスが多く、コスト的な問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の様な課題を解決しようとするものであって、超高収縮特性を有するフィラメントを含めて構成された異収縮混繊糸に中〜強撚を施し、製織するポリエステル強撚織物の製造方法において、撚トルクによるビリつきを抑え、かつ撚糸パッケージの内外層で染着性、熱収縮特性に差を生じることなく撚止めセットを施す様にすることを課題とし、ソフト感、ふくらみ感と中〜強撚によるシャリ感、ドライ感を有する織物を廉価に得ようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を撚糸し、織物の一部または全部に用いて製織するポリエステル強撚織物の製造方法において、該ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸に撚糸機で下記式(1)の実撚数を施し、引き続き接触式加熱体で下記式(2)の温度で熱セットを施して巻取った実撚熱セット糸を用いて製織することを特徴とするポリエステル強撚織物の製造方法。
3000≦T・D1/2 ≦40000 ・・・・・・・・・ (1)
40〔℃〕≦H〔℃〕≦100〔℃〕・・・・・・・・・(2)
(但し、Tは実撚数〔T/m〕、Dはポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸の繊度〔Den〕、Hは加熱体の温度〔℃〕を示す。)
【0007】
本発明で言うポリエステルとはエステル結合を有する重合体であって、衣料用途に使用可能な力学的特性、染着特性を有するものである。具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやイソフタル酸成分共重合ポリエステル、5−ナトリウムイソフタル酸成分共重合ポリエステル等をあげることができる。これらポリエステルに酸化チタン等の艶消し剤やカオリナイト等の微細孔形成剤の他、帯電防止剤等が少量添加されていても良い。
【0008】
本発明で言うポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸は前記のポリエステルから構成されたフィラメントからなり後述の測定法によるSHW(沸水収縮率)が10.0〔%〕未満のフィラメントと10.0〔%〕以上のフィラメントが存在しており、SHWが最大のフィラメントとSHWが最小のフィラメントのSHWの差が少なくとも5.0〔%〕以上存在するものである。SHWが10.0〔%〕未満のフィラメントが存在しないと染色加工時の加工縮みを大きくしても熱収縮率差を顕在化しにくく、ソフト感、ふくらみ感を満足させることができない。SHWが10.0〔%〕以上のフィラメントが存在しないと、加工縮みを大きくすることができず、ソフト感、ふくらみ感を満足させることができない。
【0009】
SHWが最大のフィラメントとSHWが最小のフィラメントのSHWの差が5.0〔%〕未満の場合、加工縮みを与えても構成フィラメント感で糸足差が小さく、ソフト感、ふくらみ感を満足させることができない。より好ましくはSHWが最大のフィラメントは25.0〔%〕以上80.0〔%〕以下である。80.0〔%〕を超えると加工縮みが大きくなり過ぎ、染色加工工程での取扱性が悪くなるので好ましくない。SHWが最小のフィラメントのSHWはより好ましくは8.0〔%〕以下であり、0〔%〕以下の実質的な熱伸長糸であっても良い。SHWが最大のフィラメントと最小のフィラメントとのSHWの差はより好ましくは27.0〔%〕以上である。
【0010】
構成フィラメント間には流体交絡処理が施されていることが好ましい。これにより撚糸工程、経糸、緯糸の準備工程、製織工程における取扱性が向上する他、構成フィラメント間の熱収縮特性の差に関係する染着特性差をこなれたものにする上で有効である。SHWの異なるフィラメントは各々複数本のフィラメントから構成された複数のマルチフィラメントを合糸したものであっても良く、1本1本のフィラメントのSHWが異なるマルチフィラメントであっても良い。
【0011】
前記の熱収縮特性差を有するポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を得るためには、異収縮混繊糸を構成する高収縮ポリエステルマルチフィラメントが第三成分共重合ポリエステルからなることが好ましい。第三成分共重合ポリエステルからなるフィラメントは高収縮特性が得られ易く、SHWを大ならしめる上で好適である。全酸成分に対し、5〜14〔mol%〕のイソフタル酸成分を共重合することが特に好ましい。
【0012】
ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を構成するフィラメントの断面形状は、通常の丸断面、多葉断面、多角断面、偏平断面、中空断面、特殊異形断面のどのようなものも適用可能である。又、それら複数の断面形状を有するフィラメントが混在していても良い。ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を構成するフィラメントの単繊維繊度は0.01〔Den〕以上20.0〔Den〕以下を例示できる。ソフト感、ふくらみ感、張り腰感等からSHWが大なるフィラメント程、単繊維繊度が大なることが好ましい。
【0013】
本発明では、前記のポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸に撚糸機で実撚を施すことが必要である。これは、得られる織物にシャリ感、ドライ感を付与するためである。前記の目的を達するためには、実撚数をT〔T/m〕、Dをポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸の繊度〔Den〕とするときT・D1/2 が3000以上であることが必要である。更に好ましいシャリ感、ドライ感を得るためにはT・D1/2 は5000以上であることが好ましい。但し、40000を越えると染色加工工程での熱処理において、糸足差を発現しづらくなり、織物の風合いが粗硬になるので本発明から排除する。
【0014】
本発明では、撚糸機で実撚を施し、引き続き加熱体で熱セットを施した後、巻取ることが必要である。超高収縮特性を有するフィラメントを含んで構成された異収縮混繊糸は熱に対しデリケートで、撚糸パッケージに巻取られた後、撚止め湿熱セットを施した場合、撚糸パッケージの内外層で熱セット斑を生じ易い。結果的に染色加工織物に好ましくない染着斑を生じたり、加工縮みがばらついたりし、好ましくない。撚止め湿熱セット上がりの撚糸パッケージの内層部分に巻かれた糸を除去すれば、その様な問題は一通り無くなるが、糸ロスを増やし、コスト的な問題が生じる。
【0015】
本発明は実撚を施し、引き続き加熱体で適度に熱セットすることにより、撚トルクによるビリつきが問題にならないレベルの撚糸とした後、巻き取ることにより、撚糸パッケージに撚止め湿熱セットをしなくとも一通りの後工程の取扱性が得られる様に改良している。
【0016】
加熱体は加熱ローラ、接触式ヒータ、非接触式ヒータ等が適用可能であり、超高収縮特性を有するフィラメントをガラス転移温度の±30℃適度にまで高める温度条件を採用すれば良い。接触式加熱体の場合、40℃以上100℃以下の温度条件を採用することが好ましい。接触式加熱体の温度が40℃未満の場合、セット性が乏しく、ビリつきを抑える効果が薄くなるので好ましくない。100℃を超えると超高収縮特性を有するフィラメントの熱収縮特性が大きく低下し、染色加工工程での加工縮みが小さくなり、ソフト感、ふくらみ感が損なわれるため好ましくない。
【0017】
撚糸機の施撚機構と巻取り機構との間に加熱体を設けることが必要となる。従って、施撚機構と巻取り機構とが合体して存在する撚糸機の採用は困難で、所謂、リングツイスター方式の施撚機構による撚糸機(例えば合撚機等)は不向きである。イタリー撚糸機や、二重撚糸機等は施撚機構と巻取り機構との間に加熱体を設け易い点で好適である。図1は実撚を与え、引続き加熱体で熱セットして巻取る装置の正面図である。1は施撚機構、2は加熱体、3は巻取機構、4は異収縮混繊糸、5は実撚熱セット糸パッケージである。
【0018】
前記の様にして、加熱体で熱セットされた後巻取られた撚糸パッケージに更に湿熱セットを施して撚糸を安定化させることが好ましい。加熱体により、熱セットを受けた超高収縮フィラメントは、その後の湿熱セットでセット斑を生じ難くなっており、更に後工程の取扱性を満足させることが可能となる。湿熱セットの温度は50℃以上100℃以下を例示できる。
【0019】
セット斑無くビリつきを抑制されたポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊実撚糸パッケージは必要に応じて他のパッケージに巻き返されて使用される。織物の一部または全部に使用され、生機を得る。撚糸パッケージからの解舒時には適度に張力を高めることにより、更にビリつきを抑えながら使用できる。織物の一部に使用される場合とは、種々の場合がある。例えば経糸のみ該撚糸を用いる場合、緯糸のみ該撚糸を用いる場合、経糸に該撚糸と他の糸条とを交互に配列する場合、緯糸に該撚糸と他の糸条とを交互に打ち込む場合やそれぞれの組合せが存在する。又、該撚糸と、他の糸条を更に合撚して使用することもできる。
【0020】
織機については特に限定されず、どの様なものも使用可能である。特に合成繊維用のフライシャトルルーム、レピアルーム、エアジエットルーム、ウォータージェットルーム等が好ましい。
【0021】
生機は染色加工されて、染色加工織物となる。生機中の超高収縮特性を有するフィラメントを含ませて構成された異収縮混繊糸を熱処理により、糸足差を発現させることによって、ソフト感、ふくらみ感を発現させる。生機は必要により、エンボス処理ができ、リラックス処理される。リラックスは液流染色機式のものやワッシャー式のもの等が好適で、高圧にし、温度を110℃〜140℃程度とすることで織物を縮め、風合いを向上させる。特にシボ立て処理が必要な場合、経方向に張力がかかりづらい高圧ワッシャーリラックスが好ましい。リラツクスは本リラックスに先立ち缶熱予備リラックスを付与しておくことも好ましい。
【0022】
リラックス後、プレセットを行う。テンター等で適度に幅を整えながら、160℃〜200℃で20秒〜120秒程処理する。プレセット後、アルカリ処理して減量加工することも好ましい。織物の組織拘束力を弱め、ソフト感、ふくらみ感、ドレープ性を向上させることができる。但し、あまりに減量率が高すぎるとスリップ等の問題が起こる場合があり、たらついた風合いになるので、40〔%〕以下としておくことが好ましい。
【0023】
減量後、浸染や捺染で所望の色、柄に染色され、必要に応じ、帯電防止剤等の仕上げ剤を付与し、ファイナルセットされて、染色加工織物となる。浸染は高圧液染色機等が好適に利用でき、リラックス時の温度と同等か、若干高めの温度で染色される。ファイナルセットはテンター等を用い、プレセット時と同等か若干低めの温度で処理される。
【0024】
次に本発明で用いた測定法について、説明する。
SHW (沸水収縮率〔%〕)
適当な枠周のラップリールで初荷重1/10〔g/Den〕で8回巻のカセをとり、カセに1/30〔g/Den〕の荷重をかけその長さ10 〔mm〕を測定する。ついでその荷重を取り除き、1/1000〔g/Den〕の荷重をかけた状態でカセを沸騰水中に30〔分〕間浸漬する。その後カセを沸騰水中から取り出し、荷重を取り除き冷却後、再び1/30〔g/Den〕の荷重をかけてそのときの長さ11 〔mm〕を測定する。沸水収縮率は次式により算出される。
SHW(沸水収縮率)〔%〕={(10 −11 )/10 }×100
【0025】
以下、具体的実施例をあげて説明する。
【実施例】
比較例1
SHWが6.5〔%〕のポリエチレンテレフタレートセミダルマルチフィラメント37〔Den〕/72〔フィラメント〕とSHWが15.0〔%〕のポリエチレンテレフタレートセミダルマルチフィラメント37〔Den〕/12〔フィラメントとを引き揃え合糸し、インターレーサーノズルを用いて流体交絡処理し、74〔Den〕/84〔フィラメント〕のポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を得た。該ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を得た。該ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸をパーン状パッケージに巻返し、図1の装置を用いて実撚を付与し、熱セットして、巻取った。スピンドル回転数は12000〔rpm〕、撚数は2500〔T/m〕(T・D1/2 =21506)、接触式ヒータの温度は105〔℃〕とした。
【0026】
経糸、緯糸の両者に前記撚糸を用い、経糸はS、Z2本交互配列、緯糸はS、Z2本交互打ち込みにして、経糸密度が110〔本/インチ〕、緯糸密度が70〔本/インチ〕の平織にし、生機を得た。撚糸パッケージからの撚糸の解舒性は特に問題なく部分整経でき、フライシャトルルーム製織性も良好であった。エンボス処理(100℃)を行い、高圧ワッシャー(120℃)を実施後、190〔℃〕でプレセットし、18〔%〕のアルカリ減量加工を実施した。液流染色機で130〔℃〕で分散染料を用いて染色し、180〔℃〕でファイナルセットして、染色加工織物を得た。染斑は無く、加工縮みのばらつきも少なく、ソフト感、ふくらみ感、適度な張り腰感、シャリ感、ドライ感を有する好ましいものであった。
【0027】
実施例
比較例1で用いたものと同一のSHWが6.5〔%〕のポリエチレンテレフタレートセミダルマルチフィラメント37〔Den〕/72〔フィラメント〕とSHWが45.0〔%〕のイソフタル酸成分9.0〔mol%〕が全酸成分に対し共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント37〔Den〕/6〔フィラメント〕とを比較例1と同様に混繊し、74〔デニール〕/78〔フィラメント〕のポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を得た。接触式ヒータの温度を75〔℃〕とした他は比較例1と同様に実撚と熱セットを付与し、生機を得た。
【0028】
比較例1同様、撚糸パッケージからの撚糸の解舒性は特に問題無く部分整経でき、製織性も良好であった。比較例1と同様に染色加工を施し、染色加工織物を得た。比較例1より、加工縮みは経方向、緯方向共に大きくなったが、加工縮みのばらつきは少なく、染斑も無かった。実施例1の染色加工織物に比較し、ソフト感、ふくらみ感が向上した好ましいものであった。
【0029】
比較例
実施例の撚糸工程で熱セットを施すこと無く、実撚のみを付与し巻取った。その後、撚糸パッケージに75℃で30分の湿熱セットを施し、ビリ止め処理を行った。その後は実施例と同様に染色加工織物を得た。染色加工工程において、幅入りのばらつきが大きく、取扱性が悪い他、バンド縞と称する経方向の染着欠点が発生した。
【0030】
実施例
実施例において用いたSHWが6.5〔%〕のポリエチレンテレフタレートセミダルマルチフィラメント37〔Den〕/72〔フィラメント〕の代わりにポリエチレンテレフタレートセミダルレジンの部分配向糸を冷延伸後、弛緩熱処理して得られたSHWが−1.5〔%〕で37〔Den〕/72〔フィラメント〕のものに変更した他は実施例と同様に実撚と熱セットを施し、撚糸パッケージに巻取った。その後も実施例と同様に染色加工織物を得た。実施例の染色加工織物より、更にソフト感、ふくらみ感が向上した極めて好ましいものであった。
【0031】
実施例
実施例における実撚と熱セットが施された撚糸パッケージに更に70℃で30分の湿熱セットを施した。該湿熱セットを施した撚糸パッケージの糸を用いて実施例と同様に生機を得て、染色加工織物を得た。部分整経での取扱性等において、実施例を更に向上させ、染斑等の問題の無い、極めて好ましいものであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、超高収縮特性を有するフィラメントを含めて構成された異収縮混繊糸に中〜強撚を施し、製織するポリエステル強撚織物の製造方法において、従来撚糸パッケージに湿熱撚止めセットを施した後、製織し、染色加工を施すと、撚糸パッケージの内外層でセット斑を起こし易く、染斑や染色加工時の加工縮みのばらつきが生じ易くなる課題を実撚付与後巻取る前に加熱体で熱セットを施すことにより改善したものである。熱セットの程度を適度にコントロールすることにより、ソフト感、ふくらみ感を損なうこと無く、実撚によるシャリ感、ドライ感を満足させることができる。撚糸パッケージの内層部分の糸を除去することなく染斑を起こさず、加工縮みにばらつきを少なくすることができる。糸ロス等が少なく、廉価に中〜強撚織物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実撚熱セット装置の正面図である。
【符号の説明】
1 施撚機構
2 加熱体
3 巻取り機構
4 異収縮混繊糸
5 実撚熱セット糸パッケージ

Claims (4)

  1. ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を撚糸し、織物の一部または全部に用いて製織するポリエステル強撚織物の製造方法において、該ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸に撚糸機で下記式(1)の実撚数を施し、引き続き接触式加熱体で下記式(2)の温度で熱セットを施して巻取った実撚熱セット糸を用いて製織することを特徴とするポリエステル強撚織物の製造方法。
    3000≦T・D1/2 ≦40000 ・・・・・・・・・・・ (1)
    40〔℃〕≦H〔℃〕≦100〔℃〕・・・・・・・・・・ (2)
    (但し、Tは実撚数〔T/m〕、Dはポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸の繊度〔Den〕、Hは加熱体の温度〔℃〕を示す。)
  2. ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸が下記式(3)を満足する請求項に記載のポリエステル強撚織物の製造方法。
    25.0〔%〕≦SHW〔%〕≦80.0〔%〕・・・・・・ (3)
    (但し、SHW〔%〕は沸水収縮率である。)
  3. ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を構成する高収縮ポリエステルマルチフィラメントが第三成分共重合ポリエステルからなる請求項1又は2に記載のポリエステル強撚織物の製造方法。
  4. ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸に撚糸機で実撚数を施し、引き続き加熱体で熱セットを施して巻取った実撚熱セット糸のパッケージに湿熱セットを施したものを用いて製織する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル強撚織物の製造方法。
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