JP3545870B2 - 回転形可変抵抗器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバー等の調整用治具で摺動子を回転操作することにより、抵抗体と摺動子との摺接位置を変化させて抵抗値を調整する回転形可変抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の回転形可変抵抗器の従来例として、実開昭63−165804号公報に開示されているように、合成樹脂製の基台アウトサートした中間端子に鳩目を一体形成し、この鳩目に摺動子を回転可能に支承したものが知られている。上記公報に記載された回転形可変抵抗器は、一対の端子と1つの中間端子とをアウトサートした合成樹脂製の基台と、該基台に回転可能に軸支された摺動子とで構成されており、前記基台の上面には一対の端子に接続する抵抗体が形成されている。また、前記中間端子には摺動子を軸支する鳩目が一体形成されており、該鳩目部分で摺動子と中間端子は電気的に接続されている。
【0003】
このように構成された回転形可変抵抗器は、プリント基板のはんだランドに両端子と中間端子とをはんだ付けすることにより該プリント基板上に実装され、ドライバー等の調整用治具を用いて摺動子を回転操作すると、摺動子の接点部と抵抗体と摺接位置が変化するため、中間端子を介して抵抗値の変化が検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来の回転形可変抵抗器にあっては、金属平板の板面に鳩目を一体形成して中間端子となし、該中間端子を基台にアウトサートして一体化しているため、アウトサート成形時に溶融樹脂が中間端子の板面を伝わって鳩目の周囲まで達することが懸念される。そして、このように溶融樹脂が鳩目の周囲まで達してしまうと、絶縁性の樹脂が摺動子と鳩目との摺動面に入り込むため、抵抗値を調整する際に回転トルクが不安定になるばかりでなく、摺動子と中間端子との電気的接続も不安定になるという問題があった。また、回転形可変抵抗器をプリント基板にはんだ付けする際に用いられるフラックスが、基台の外表面を伝わって内部まで達した場合も、絶縁性のフラックスが摺動子と鳩目との摺動面に入り込みやすいため、同様の問題が発生する。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、回転トルクと電気的接続の安定化を図れる回転形可変抵抗器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基台の表面中央に凹部を形成すると共に、該基台に抵抗体の両端に接続する一対の端子と摺動子に接続する中間端子とをアウトサートし、前記中間端子は、前記摺動子との摺動面となる段部と該段部の外方に位置する平坦部を備えており、前記段部が前記平坦部に対して突出形成されるとともに、前記平坦部の一部と前記段部とが前記凹部の内底面に露出し、前記段部の上面が前記摺動子の底面との摺動面となるように、前記段部上に前記摺動子を軸支した。このような構成により、アウトサート成形時の溶融樹脂が凹部内の平坦部まで流れ出したとしても段部までは達しにくく、また、はんだ付け時に用いられるフラックスが凹部内に侵入したとしても、該フラックスが平坦部に留って段部まで達しにくく、したがって、アウトサート成形時の溶融樹脂やはんだ付け時のフラックスが摺動子と中間端子との摺動面に入り込むことを防止でき、回転トルクと電気的接続の安定化が図れる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の回転形可変抵抗器では、表面に抵抗体が形成された合成樹脂製の基台と、該基台に回転可能に配設され、前記抵抗体上を摺動する摺動子とを備え、前記基台の中央に凹部を形成すると共に、該基台に前記抵抗体の両端に接続する一対の端子と前記摺動子に接続する中間端子とをアウトサートし、前記中間端子に突出形成した段部を前記凹部の底面に露出させ、該段部上に前記摺動子を軸支した。
【0008】
前記摺動子を中間端子の段部上に軸支する場合、摺動子の底部に突出形成した鳩目を段部に形成した孔に軸支しても良いが、段部に突出形成した鳩目を摺動子に形成した筒状部に軸支し、該筒状部の底面を段部上で摺動させることが好ましい。
【0009】
【実施例】
実施例を図面を参照して説明すると、図1は回転形可変抵抗器の平面図、図2は該可変抵抗器の側面図、図3は該可変抵抗器の背面図、図4は該可変抵抗器に備えられる端子と中間端子の斜視図、図5は該可変抵抗器に備えられる基台の平面図、図6は図1のA−A線に沿う断面図、図7は該可変抵抗器の分解斜視図である。
【0010】
これらの図に示すように、本実施例に係る回転形可変抵抗器は、合成樹脂製の基台1と、この基台1上に回転可能に配設された金属製の摺動子2とで構成されている。前記基台1の表面中央には平面視略円形の凹部1aが設けられており、この凹部1aの周面には内方へ若干突出する一対の突部1bが形成されている。前記凹部1aの外方は平面視略馬蹄形の平坦部1cとなっており、この平坦部1cを除く部分は段落ち状に形成されている。前記基台1の一側面には縦溝1dが形成されており、この縦溝1dの上端は前記両突部1b間に位置する段落ち部1eに達している。
【0011】
前記基台1の裏面には一対の端子3と1つの中間端子4が配設されており、これら端子3と中間端子4は共に金属平板を所定形状にフォーミンングしたものからなり、アウトサート成形によって基台1に一体化されている。図4に示すように、各端子3は凹状に折り曲げられており、その折り曲げ部の一方の上端3aは前記平坦部1cに露出している。各端子3の上端3aと平坦部1cとは同一平面内にあり、これら端子3の上端3aを含む平坦部1cの全域に抵抗体5が印刷形成されている。一方、前記中間端子4には一対のストッパ片10と鳩目部材6が一体形成されており、鳩目部材6の周囲の段部4aはその外方に位置する平坦部4bに対して突出形成されている。これら段部4aと鳩目部材6は中間端子4の原材料である金属平板にプレス加工を施すことによって形成されるが、かかるプレス加工時に段部4aの表面の平滑度が高められる。そして、所定形状にフォーミンングした中間端子4を基台1にアウトサート成形することにより、平坦部4bの一部と段部4aおよび鳩目部材6が前記凹部1aの内底面に露出するようになっている。また、各ストッパ片10は折曲線Lに沿って折り曲げられて前記基台1の突部1b内に埋設されているが、折曲線Lと略直交する端面は突部1bの側面から露出し、これら端面がストッパ10aを形成している。
【0012】
前記摺動子2は、環状の上面板7と、この上面板7の中央から下方へ延出する筒状部8と、上面板7の外縁部から裏面側に折り畳まれた環状の下面板9とを有し、これらは1枚の金属平板をプレス加工することによって形成される。前記筒状部8の底面には透孔8aが形成されており、前記鳩目部材6をこの透孔8aに挿入してかしめることにより、摺動子2が前記基台1上に回転可能に支持されると共に、摺動子2と中間端子4とが電気的に接続されるようになっている。前記下面板9には接点部9aが形成されており、この接点部9aは前記抵抗体5上に弾接している。また、前記筒状部8の上部には両側に破断面を有する4つの調整用溝8bが形成されており、さらに、筒状部8の上部から下部にかけて同じく両側に破断面を有する張出し部8cが形成されており、この張出し部8cの内側に形成される溝は前記調整用溝8bの1つに連続している。すなわち、各調整用溝8bのうち、3つの調整用溝8bは上面板7の内周縁と筒状部8の周面とに繋がれているが、残りの調整用溝8bは上面板7の内周縁と張出し部8cの上端とに繋がれている。各調整用溝8bは90度の等間隔を保って十字状に配置されており、摺動子2の回転操作時に、これら調整用溝8bにドライバー等の調整用治具11を係合するようになっている(図6参照)。前記張出し部8cの下部は前記基台1の凹部1a内に位置しており、摺動子2の回転操作時に、張出し部8cの破断面が凹部1a内に露出する前記ストッパ10aと当接することにより、摺動子2の回転角度が所定範囲内に規制されるようになっている。
【0013】
上記の如く構成された回転形可変抵抗器は、図示省略したプリント基板のはんだランドに両端子3と中間端子4とをはんだ付けすることにより、該プリント基板上に面実装される。その結果、例えば両端子3間に所定の電圧を印加し、鳩目部材6を介して摺動子2に接続された中間端子4から中間電圧を取り出すと、摺動子2の接点部9aと抵抗体5との摺接位置に応じた抵抗値の変化を出力することができる。また、抵抗値を微調整する場合は、調整用治具11の先端を調整用溝8bに係合させて回転操作すると、摺動子2が鳩目部材6を中心として回転するため、接点部9aが抵抗体5上を摺接して抵抗値が変化する。その際、摺動子2に設けられた筒状部8の底面は中間端子4の段部4aに摺接しながら基台1の凹部1a内を回動するが、この筒状部8の周面に突出形成された張出し部8cの破断面が一対のストッパ10aのいずれかに当接すると、摺動子2をそれ以上回転することはできず、摺動子2の回転角度が所定の角度範囲内規制される。
【0014】
このように、上記実施例にあっては、合成樹脂製の基台1にアウトサートした中間端子4に段部4aを突出形成し、この段部4aに形成した鳩目6に摺動子2の筒状部8をかしめて中間端子4と摺動子2とを電気的に接続するようにしたため、中間端子4を基台1にアウトサート成形する際に、溶融樹脂が凹部1a内の平坦部4bまで流れ出したとしても段部4aまでは達しにくくなり、樹脂が摺動子2と中間端子4との摺動面(段部4aと筒状部8の接触部分)に入り込むことを防止できる。また、両端子3と中間端子4をプリント基板のはんだランドにはんだ付けする際に、用いられるフラックスが凹部1a内に侵入したとしても、該フラックスは平坦部4bに溜って段部4aまで達しにくく、フラックスが摺動子2と中間端子4との摺動面に入り込むことを防止できる。特に、本実施例では、基台1に縦溝1dと段落ち部1eとを形成することにより、フラックスが段落ち部1eに溜まって抵抗体5まで達しにくくする構成を採用してあり、フラックスが凹部1a内に侵入する可能性が高くなっているため、上記した段部4aによるフラックスの侵入防止効果は有効となる。また、段部4aを形成することによって摺動子2と中間端子4との接触面積を小さくすることができるため、摺動面の面精度がラフであってもスムーズな回転感触を得ることができる。したがって、摺動子2を回転操作した際に、摺動子2の筒状部8と中間端子4の段部4aは確実に摺動し、回転トルクと電気的接続の安定化を図ることができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0016】
基台の表面中央に凹部を形成すると共に、該基台に抵抗体の両端に接続する一対の端子と摺動子に接続する中間端子とをアウトサートし、前記中間端子は、前記摺動子との摺動面となる段部と該段部の外方に位置する平坦部を備えており、前記段部が前記平坦部に対して突出形成されるとともに、前記平坦部の一部と前記段部とが前記凹部の内底面に露出し、前記段部の上面が前記摺動子の底面との摺動面となるように、前記段部上に前記摺動子を軸支したため、アウトサート成形時の溶融樹脂が凹部内の平坦部まで流れ出したとしても段部までは達しにくく、また、はんだ付け時に用いられるフラックスが凹部内に侵入したとしても、該フラックスが平坦部に留って段部まで達しにくく、したがって、アウトサート成形時の溶融樹脂やはんだ付け時のフラックスが摺動子と中間端子との摺動面に入り込むことを防止でき、回転トルクと電気的接続の安定化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る回転形可変抵抗器の平面図である。
【図2】該可変抵抗器の側面図である。
【図3】該可変抵抗器の背面図である。
【図4】該可変抵抗器に備えられる端子と中間端子の斜視図である。
【図5】該可変抵抗器に備えられる基台の平面図である。
【図6】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図7】該可変抵抗器の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 基台
1a 凹部
2 摺動子
3 端子
4 中間端子
4a 段部
4b 平坦部
5 抵抗体
6 鳩目部材
8 筒状部
8a 透孔
8b 調整用溝
8c 張出し部
9 下面板
9a 接点部

Claims (2)

  1. 表面に抵抗体が形成された合成樹脂製の基台と、該基台に回転可能に配設され、前記抵抗体上を摺動する摺動子とを備えた回転形可変抵抗器において、
    前記基台の表面中央に凹部を形成すると共に、該基台に前記抵抗体の両端に接続する一対の端子と前記摺動子に接続する中間端子とをアウトサートし、
    前記中間端子は、前記摺動子との摺動面となる段部と該段部の外方に位置する平坦部を備えており、前記段部が前記平坦部に対して突出形成されるとともに、前記平坦部の一部と前記段部とが前記凹部の内底面に露出し、前記段部の上面が前記摺動子の底面との摺動面となるように、前記段部上に前記摺動子を軸支したことを特徴とする回転形可変抵抗器。
  2. 請求項1の記載において、前記摺動子に前記段部上を摺動する筒状部を形成し、該筒状部を前記中間端子の段部に形成した鳩目に軸支したことを特徴とする回転形可変抵抗器。
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