JP3545558B2 - ウェハの測定位置決定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウェハの測定点の位置を決定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハは、その製造工程において種々の測定装置によって測定が行われる。測定処理の際には、ウェハ上の予め定められた測定点に測定プローブ(光学素子や電極等)を正確に位置決めする「位置合わせ処理(アライメント処理)」が行なわれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、測定装置によっては、ウェハを測定装置の支持台上に載置する時に、ウェハが任意の回転方向(オリエンテーション)を取り得るものがある。このような測定装置においては、ウェハの回転方向が不明なので、ウェハ上の測定点を位置決めすることが困難であった。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、ウェハの回転方向が不明な場合にも、ウェハの測定点の位置を決定できる技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、この発明の方法は、被測定ウェハ上の測定点の位置を決定する方法であって、
(a)前記被測定ウェハ表面の位置合わせ基準点と前記測定点との位置関係を予め登録するとともに、前記被測定ウェハ表面の前記位置合わせ基準点の近傍の画像に対してパターンマッチングを行う際に用いられる第1のテンプレート画像と、前記測定点の近傍の画像に対してパターンマッチングを行う際に用いられる第2のテンプレート画像と、を準備する工程と、
(b)前記位置合わせ基準点の近傍の領域について第1の画像を取り込む工程と、
(c)前記第1の画像に関して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を含む第1の処理を行うことによって、前記被測定ウェハの回転方向と前記位置合わせ基準点の位置とを決定する工程と、
(d)決定された前記回転方向および前記位置合わせ基準点の位置と、予め登録された前記位置合わせ基準点と前記測定点との位置関係に基づいて、前記測定点の予測位置を決定する工程と、
(e)前記予測位置の近傍の領域について第2の画像を取り込む工程と、
(f)前記第2の画像に関して前記第2のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を含む第2の処理を行うことによって、前記測定点の実測位置を決定する工程と、
を備え
前記工程(c)における第1の処理は、
(i)前記第1の画像に含まれる直線部分を分析することによって、前記被測定ウェハが取り得る回転角度として、互いに90度の整数倍異なる4つの等価回転角度を決定する工程と、
(ii)前記画像に対して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチングを行なうことによってマッチングパターンを検出し、前記マッチングパターンの方向に基づいて前記4つの等価回転角度の中からウェハ座標系において予め定められた1つの基準方向に対応する1つの等価回転角度を選択する工程と、
(iii)前記選択された等価回転角度から前記被測定ウェハの回転方向を決定する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
パターンマッチング処理では、テンプレート画像とほぼ同じ画像部分の位置とその画像部分の向きとを決定できる。パターンマッチング処理を含む第1の処理では、被測定ウェハの回転方向と位置合わせ基準点の位置を決定することができる。この回転方向と位置合わせ基準点の位置からは、測定装置に固定された座標系と、ウェハに固定された座標系との対応関係を決定することができる。位置合わせ基準点と測定点との位置関係は予め登録されているので、上記2つの座標系の対応関係から、測定点の位置を予測することができる。この予測位置の近傍で、パターンマッチング処理を含む第2の処理を行えば、測定点の位置を正確に決定することができる。従って、ウェハの回転方向が不明な場合にも、ウェハの測定点の位置を正確に決定することができる。
【0007】
上記の方法において、前記被測定ウェハ上の複数の前記測定点のうち、前記位置合わせ基準点から所定の範囲内にある測定点に関しては、前記工程(e)および前記工程(f)の処理を省略し、前記工程(d)において得られた前記予測位置を前記測定点の実測位置として使用することが好ましい。
【0008】
こうすれば、位置合わせ基準点から所定の範囲内にある測定点は、予測位置と実測位置のズレ量は比較的小さい。従って、この範囲内にある測定点について、工程(e)および(f)を省略することによって、或る程度の位置合わせ精度を確保しつつ、全体の位置合わせ処理の処理時間を短縮することができる。
【0009】
また、上記の方法において、前記被測定ウェハ上の複数の前記測定点のうち、前記工程(e)および工程(f)の処理が行われた第1の測定点から所定の範囲内にある第2の測定点に関しては、前記工程(e)および前記工程(f)の処理を省略し、前記第1の測定点における前記予測位置と前記実測位置とのずれ量に基づいて前記第2の測定点の予測位置を補正することによって前記第2の測定点の実測位置を決定するようにしてもよい。
【0010】
こうすれば、上記と同様な理由により、或る程度の位置合わせ精度を確保しつつ、全体の位置合わせ処理の処理時間を短縮することができる。
【0011】
上記の方法において、前記(c)は、前記位置合わせ基準点の近傍の複数の領域について複数の前記第1の画像を取り込み、
前記(d)は、前記複数の第1の画像に関して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を含む第1の処理をそれぞれ行うことによって、前記被測定ウェハの回転方向と前記位置合わせ基準点の位置とを決定することが好ましい。
【0012】
複数の画像に対するパターンマッチング処理を行えば、被測定ウェハの回転方向と位置合わせ基準点の位置とをより正確に決定することができる。
【0013】
【発明の他の態様】
この発明は、以下のような他の態様も含んでいる。第1の態様では、上記の方法の工程(c)における回転方向を決定する処理が、
(i)前記第1の画像に含まれる直線部分を分析することによって、前記被測定ウェハが取り得る回転角度として、互いに90度の整数倍異なる4つの等価回転角度を決定する工程と、
(ii)前記画像に対して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチングを行なうことによってマッチングパターンを検出し、前記マッチングパターンの方向に基づいて前記4つの等価回転角度の中から1つを選択する工程と、
(iii)前記選択された等価回転角度から前記被測定ウェハの回転方向を決定する工程と、
を備える。
【0014】
また、第2の態様では、上記第1の態様において、前記工程(a)が、
(1)基準ウェハ表面の一部の撮像領域の画像を取り込む工程と、
(2)前記画像に含まれる直線部分を分析することによって、前記基準ウェハが取り得る回転角度として、互いに90度の整数倍異なる4つの等価回転角度を決定する工程と、
(3)前記画像の一部からテンプレート画像を抽出する工程と、
(4)前記テンプレート画像の向きとの関連から、前記4つの等価回転角度の中から1つを選択する工程と、を備え、
前記工程(c)は、
前記基準ウェハに対して選択された等価回転角度と、前記被測定ウェハに対して選択された等価回転角度との差を求めることによって、前記基準ウェハに対する前記被測定ウェハの相対的な回転角度を決定する工程、を含む。
【0015】
第3の態様では、上記の方法の工程(c)における回転方向を決定する処理が、
(i)前記第1の画像に含まれる直線部分を分析することによって、前記被測定ウェハが取り得る回転角度として、互いに90度の整数倍異なる4つの等価回転角度を決定する工程と、
(ii)前記第1の画像に対して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチングを行なうことによってマッチングパターンを検出するとともに、前記マッチングパターンの方向に基づいて前記4つの等価回転角度の中から1つを選択する工程と、
(iii)選択された等価回転角度に基づいて前記第1の撮像領域から所定の検索方向を特定し、前記検索方向に沿った所定の位置に存在する少なくとも他の1つの撮像領域を特定するとともに、特定された各撮像領域の画像を取り込む工程と、
(iV)前記各撮像領域の画像に対して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチングを行なってマッチングパターンをそれぞれ検出する工程と、
(V)前記検索方向に沿った前記第1の撮像領域を含む複数の撮像領域のそれぞれにおいて検出されたマッチングパターンの所定の基準位置を互いに結ぶ第1の連結方向を求め、前記第1の連結方向から前記被測定ウェハの回転方向を決定する工程と、を備える。
【0016】
第4の態様では、第3の態様において、
前記工程(a)が、
(1)基準ウェハ表面の一部の第2の撮像領域の画像を取り込む工程と、
(2)前記画像に含まれる直線部分を分析することによって、前記基準ウェハが取り得る回転角度として、互いに90度の整数倍異なる4つの等価回転角度を決定する工程と、
(3)前記画像の一部から前記第1のテンプレート画像を抽出する工程と、
(4)前記第1のテンプレート画像の向きとの関連から、前記4つの等価回転角度の中から1つを選択する工程と、
(5)選択された等価回転角度に基づいて、前記第2の撮像領域から所定の検索方向を特定し、前記検索方向に沿った所定の位置に存在する少なくとも他の1つの撮像領域を特定するとともに、特定された各撮像領域の画像を取り込む工程と、
(6)前記各撮像領域の画像に対して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチングを行なってマッチングパターンをそれぞれ検出する工程と、
(7)前記検索方向に沿った前記第2の撮像領域を含む複数の撮像領域のそれぞれにおいて検出されたマッチングパターンの所定の基準位置を互いに結ぶ第2の連結方向を決定する工程と、を備え、
前記工程(c)は、
前記第1の連結方向と前記第2の連結方向との角度差から、前記基準ウェハに対する前記被測定ウェハの相対的な回転角度を決定する工程、を含む。
【0017】
第5の態様では、第4の態様において、前記基準ウェハにおける複数のマッチングパターンの基準位置の座標と、前記被測定ウェハにおける複数のマッチングパターンの基準位置の座標とに基づいて、前記基準ウェハの位置合わせ基準点の座標と前記被測定ウェハの位置合わせ基準点の座標との相対関係を決定する工程、を備える。
【0018】
第6の態様は、被測定ウェハ上の測定点の位置を決定する装置であって、
前記被測定ウェハ表面の位置合わせ基準点と前記測定点との位置関係を記憶するとともに、前記被測定ウェハ表面の前記位置合わせ基準点の近傍の画像に対してパターンマッチングを行う際に用いられる第1のテンプレート画像と、前記測定点の近傍の画像に対してパターンマッチングを行う際に用いられる第2のテンプレート画像と、を記憶する記憶手段と、
前記位置合わせ基準点の近傍の領域について第1の画像を取り込む撮像手段と、
前記第1の画像に関して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を含む第1の処理を行うことによって、前記被測定ウェハの回転方向と前記位置合わせ基準点の位置とを決定する基準位置決定手段と、
決定された前記回転方向および前記位置合わせ基準点の位置と、予め登録された前記位置合わせ基準点と前記測定点との位置関係に基づいて、前記測定点の予測位置を決定する撮像位置決定手段と、
前記予測位置の近傍の領域について前記撮像手段によって撮像された第2の画像に関して前記第2のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を含む第2の処理を行うことによって、前記測定点の実測位置を決定する測定位置決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
第7の態様は、コンピュータに上記の発明の各工程または各手段の機能を実行させるコンピュータプログラムを記録した記録媒体である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータが読取り可能な携帯型の記憶媒体や、コンピュータシステムの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置、あるいは、これ以外のコンピュータプログラムが記録された媒体であってコンピュータシステムが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0020】
第8の態様は、コンピュータに上記の発明の各工程または各手段の機能を実行させるコンピュータプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】
A.装置の構成:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、この発明の実施例を適用して半導体ウェハの位置合わせ処理(アラインメント処理)を行なう機能を有する測定装置の構成を示すブロック図である。この測定装置は、制御操作ユニット30と、光学ユニット40と、画像処理ユニット50とを備えている。
【0022】
制御操作ユニット30は、表示部31と、操作部32と、制御部33と、ステージ駆動部34と、ステージ座標読み込み部35と、XYステージ36とを備えている。表示部31としては、例えばモニタや液晶ディスプレイ等が使用される。また、操作部32としては、例えばキーボードやマウス等が用いられる。XYステージ36の上には、半導体ウェハWFが載置される。半導体ウェハWFの表面には、タイル状に配列された矩形の複数の半導体チップが形成されている。なお、この装置は、XYステージ36を回転させる機構は有していない。
【0023】
光学ユニット40は、カメラ41と、光源42と、ハーフミラー43と、対物レンズ44とを備えている。ハーフミラー43は、光源42から出射された光を対物レンズ44に向けて反射し、XYステージ36上の半導体ウェハWFに光を照射する。半導体ウェハWFの表面で反射されたは光は、対物レンズ44とハーフミラー43とを通過して、カメラ41に入射する。すなわち、カメラ41は、半導体ウェハWFの表面の画像を撮像する。画像としては、多階調画像(グレー画像)を読取ることが好ましい。なお、この実施例では、カメラ41の視野サイズは、半導体ウェハの表面に形成された半導体チップの1個分のサイズよりも小さい。後で詳述するように、半導体ウェハWFの多階調画像は、画像処理ユニット50によって処理され、これによって半導体ウェハWFの回転方向が検出される。画像処理ユニット50のモニタ136には、半導体ウェハWFの一部の撮像領域の多階調画像が表示される。
【0024】
ユーザが操作部32を操作してXYステージ36に対する移動指令を入力すると、その指令に応じて、制御部33がステージ駆動部34を制御してXYステージ36をX方向とY方向に移動させる。また、操作部32からステージの座標読み込み指令が入力されると、その時点のステージ座標情報がステージ座標読み込み部35によって読込まれて制御部33に供給される。ステージ座標情報は、必要に応じて表示部31に表示される。ステージ座標情報は、さらに、双方向の通信経路38を介して制御部33から画像処理ユニット50にも供給される。後述するように、画像処理ユニット50は、画像処理によって認識されたウェハの回転方向と、このステージ座標情報とを利用することによって、ウェハの正確な回転方向や測定位置を決定する。
【0025】
図2は、画像処理ユニット50の内部構成を示すブロック図である。この画像処理ユニット50は、CPU110と、ROM114と、RAM116と、入出力インタフェイス140とが、バスライン112に接続されたコンピュータシステムとして構成されている。入出力インタフェイス140には、モニタ136と、磁気ディスク138と、通信経路38とが接続されている。
【0026】
RAM116には、等価回転方向決定手段150と、撮像位置決定手段152と、パターンマッチング手段154と、角度選択手段156と、回転方向決定手段158と、基準位置決定手段160と、測定位置決定手段162とを実現するアプリケーションプログラムが格納されている。これらの各手段の機能については後述する。
【0027】
なお、これらの各手段の機能を実現するコンピュータプログラム(アプリケーションプログラム)は、フロッピディスクやCD−ROM等の携帯型の記録媒体(可搬型の記録媒体)に記録された形で提供され、この記録媒体からコンピュータシステムの外部記憶装置に転送される。そして、実行時には、RAM116に記憶される。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からコンピュータシステムにコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。この明細書において、コンピュータシステムとは、ハードウェアとオペレーションシステムとを含み、オペレーションシステムの制御の下で動作する装置を意味している。アプリケーションプログラムは、このようなコンピュータシステムに、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0028】
B.位置合わせ処理の概要:
図3は、実施例における位置合わせ処理の概要を示す説明図である。基準ウェハ(図3(A))とは、位置合わせ処理の対象となる被測定ウェハ(図3(B))と同じパターンが形成されたウェハである。一般的には、同一のロットで処理された複数のウェハの1枚を基準ウェハWF1として使用し、他のウェハが被測定ウェハWF2となる。1枚のウェハには、位置合わせ基準点RPと、複数の測定点PM1〜PM15(白丸で示す)とが設定される。図3(A),(B)にも示されているように、ウェハがXYステージ36上に載置された時には、任意の回転方向を取りうる。図1に示す測定装置は、XYステージ36上に載置されたウェハを回転するための回転機構を備えていないので、ウェハの回転方向は、画像処理によって認識され、補正される。
【0029】
図4は、実施例における位置合わせ処理の全体手順を示すフローチャートである。ウェハの測定点の位置合わせ処理は、基準ウェハを用いたプリアライメント前処理(ステップT1)と、基準ウェハを用いたファインアライメント前処理(ステップT2)と、被測定ウェハを用いたプリアライメント処理(ステップT3)と、被測定ウェハを用いたファインアライメント処理(ステップT4)とに大別される。ステップT1,T3におけるプリアライメント処理は、基準位置決定手段160(図2)の制御の下に、測定位置決定手段162以外の他の手段150,152,154,156,158が協力して実行する。ステップT2,T4におけるファインアライメント処理は、測定位置決定手段162の制御の下に、撮像位置決定手段152とパターンマッチング手段154が協力して実行する。
【0030】
図4のステップT1における基準ウェハWF1を用いたプリアライメント前処理では、基準ウェハWF1の回転角度θ1と、位置合わせ基準点RPの位置とを含むプリアライメント情報が登録される。ここで、基準ウェハWF1の回転角度θ1は、ステージ座標系の基準方向Dsと基準ウェハWF1の所定の方向DL1とのなす角度である。ステージ座標系の基準方向Dsは、XYステージ36に対して固定された方向であり、例えばXYステージ36上のX方向に設定される。基準ウェハWF1の所定の方向DL1は、基準ウェハWF1に対して固定された方向である。この方向DL1の決定方法については後述する。なお、これらの方向Ds,DL1の設定の仕方は任意であり、これ以外の定義も可能である。
【0031】
図4のステップT1では、まず、位置合わせ基準点RPの近傍においてパターンマッチング用の第1のテンプレート画像を取得する。さらに、位置合わせ基準点RPの近傍の他の領域において、パターンマッチングを行って第1のテンプレート画像にほぼ一致するマッチングパターンの位置を決定する。そして、第1のテンプレート画像の位置と、そのマッチングパターンの位置とに基づいて、基準ウェハの回転角度θ1と、位置合わせ基準点RPの位置とを決定する。
【0032】
ステップT2における基準ウェハWF1を用いたファインアライメント前処理では、基準ウェハWF1上の複数の測定点PM1〜PM15の位置を登録する。この際、まず、複数の測定点の近傍で画像のパターンマッチングに用いる第2のテンプレート画像を取得する。そして、第2のテンプレート画像と各測定点との位置関係を登録する。この際、位置合わせ基準点RPの位置と各測定点との位置関係も登録される。
【0033】
図4のステップT3における被測定ウェハWF2を用いたプリアライメント処理では、被測定ウェハWF2の回転角度θ2と位置合わせ基準点RPの位置とが決定される。この際、位置合わせ基準点RPの近傍の2つの領域において、第1のテンプレート画像を用いてパターンマッチング処理をそれぞれ行うことによって、2つのマッチングパターンの位置を決定する。そして、これらのマッチングパターンの位置から、被測定ウェハの回転角度θ2と、位置合わせ基準点RPの位置とが決定される。
【0034】
図4のステップT4における被測定ウェハWF2を用いたファインアライメント処理では、複数の測定点の近傍で、第2のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を行うことによって、各測定点の実測位置が決定される。
【0035】
C.基準ウェハを用いたプリアライメント前処理:
図5および図6は、基準ウェハWF1を用いたプリアライメント前処理の手順を示すフローチャートである。図5のステップS1では、ウェハのチップ寸法と、X軸方向およびY軸方向のチップ個数とをユーザが入力する。
【0036】
図7は、半導体ウェハの表面に形成されたチップの配列を示す概念図である。半導体ウェハWFの表面上には、同一サイズの矩形の複数のチップCPがタイル状に配置される。X軸方向とY軸方向に沿ったチップ個数の偶数と奇数の組合わせは、偶数−偶数、奇数−偶数、偶数−奇数、奇数−奇数の4通りある。図7(A)は偶数−偶数の例であり、図7(B)は、偶数−奇数の例である。このような4通りの組み合わせのいずれであるかの情報と、チップの縦横のピッチLX,LYから、ウェハの中心Oを基準にして、中心付近のチップの位置を算出することができる。従って、ステップS1では、少なくともチップ個数の4通りの組合わせのいずれであるかを示す情報と、チップのピッチLX,LYを示す情報とが入力される。
【0037】
図5のステップS2では、基準ウェハWF1の中心位置において多階調画像(グレー画像)がカメラ41によって取り込まれる。ウェハが最初にXYステージ36上に載置される時には、図7に示すように、ウェハの外周が、XYステージ36のウェハ保持アーム36a,36bで保持されて、XYステージ36のほぼ中央に位置決めされる。この状態において、カメラ41によって撮像すると、ウェハの中心付近の画像を得ることができる。
【0038】
図8は、ウェハの中心付近を拡大して示す概念図である。この実施例では、各チップCPの右上の角に、他の3つの角にはない特徴的なパターンPTが形成されているものとする。このパターンPTを含む画像部分は、後述するパターンマッチングにおいて、第1のテンプレート画像として利用される。チップCPは、直交するスクライブラインSLによって区分されている。ウェハ表面を撮像して得られた多階調画像では、スクライブラインSLは暗領域として識別されることもあり、あるいは、明領域として識別されることもある。いずれの場合においても、スクライブラインSLは、チップCPとは明度が異なる領域として識別可能である。
【0039】
図8には、チップ個数の4種類の組み合わせに応じたカメラ41の視野W1〜W4の位置が例示されている。前述したように、カメラ41の視野サイズは、チップ1個分のサイズよりも小さいので、視野内に1個のチップがすべて含まれることはない。第1の視野W1は、チップ個数が偶数−偶数の場合におけるウェハ中央での撮像領域に相当する。この視野W1は、スクライブラインSLの交点のほぼ中心に位置している。第2の視野W2は、チップ個数が偶数−奇数の場合におけるウェハ中央での撮像領域に相当する。この視野W2は、2つのチップに挟まれた位置にある。第3の視野W3は、チップ個数が奇数−偶数の場合におけるウェハ中央での撮像領域に相当する。この視野W3も、チップに挟まれた位置にある。第4の視野W4は、チップ個数が奇数−奇数の場合におけるウェハ中央での撮像領域に相当する。この視野W4も、2つのチップのほぼ中央に挟まれた位置にある。なお、実際には、基準ウェハは図8の位置から回転しているので、視野W1〜W4は、スクライブラインSLで示される正規の方位から傾いた状態となる。
【0040】
図5のステップS2では、ウェハの中心位置において画像を取り込むので、図8の視野W1〜W4のいずれかの位置における画像が得られる。この画像は、次のステップS3において、画像内に含まれる直線部分(スクライブラインSL等)を認識するために使用される。チップの個数が奇数−奇数の場合には、図8の第4の視野W4のように直線部分が含まれない可能性が高い。そこで、この場合には、チップのピッチLXまたはLYの1/2だけウェハの中心からずらした位置において撮像するようにしてもよい。
【0041】
図5のステップS3では、等価回転方向決定手段150(図2)が、画像に含まれる直線エッジ情報を検出するとともに、その直線エッジ情報から、基準ウェハの粗回転角度を決定する。「粗回転角度」とは、直線エッジ情報から得られる比較的低精度の回転角度を意味する。直線エッジ情報の抽出方法としては、以下に説明する1次元投影法やソベルオペレータ法等を利用することができる。
【0042】
図9は、1次元投影法による直線エッジ情報の検出処理を示す説明図である。図9には、水平方向にのみ直線部分が存在する2次元多階調画像が示されている。1次元投影法では、この2次元多階調画像を種々の方向に1次元投影して、画素値を加算する。直線部分に平行な方向に投影した場合には、直線部分が存在する座標における画素値が大きなピーク値を持つ。一方、直線部分と平行でない方向に投影した場合には、加算された画素値のピーク値はこれよりも小さくなる。このように、2次元画像をさまざまな方向に1次元投影して、画素値の累算値のピーク値が最大となる投影方向を、直線部分の方向として決定することができる。投影方向は、180°の範囲にわたる複数の投影方向を選択するようにすればよい。この直線部分の方向から、粗回転角度が決定される。例えば、ステージ座標系(XYステージ36に固定された座標系)の所定の方向(例えば時計の3時方向)を基準方向として、この基準方向から反時計回りに直線部分の方向まで測った角度を粗回転角度とすることができる。
【0043】
図10ないし図12は、ソベルオペレータ法による直線エッジ情報の検出処理を示す説明図である。図10は、ソベルオペレータによる画像処理の方法を示している。ソベルオペレータ法では、まず、図10(A−1)または(A−2)に示すような、エッジ画素を含む所定サイズの画素ブロック(図10の例では、3×3ブロック)を多階調画像の中から選択する。ここで、「エッジ画素」は、「8近傍の画素のうちで、少なくとも1つの画素の画素値が、自分自身(図10(A−1),(A−2)の中心画素)の画素値と異なっており、かつ、画像の境界上にない画素」と定義される。図10(A−1)では、画像の角部分の画素がエッジ画素として認識される状態を示しており、図10(A−2)では、直線部分の画素がエッジ画素として認識される状態を示している。エッジ画素の識別は、3×3ブロックを多階調画像内で走査し、ブロックの中央画素が上記の定義に合致するか否かを判断することによって行なわれる。
【0044】
図10(B−1),(B−2)は、水平方向と垂直方向のソベルオペレータをそれぞれ示している。エッジ画素を含む3×3ブロックに対して、これらの水平方向オペレータと垂直方向オペレータとをそれぞれ作用させることによって、水平エッジ値と垂直エッジ値とがそれぞれ求められる。図10(C)は、水平方向オペレータを作用させた場合の演算の例を示している。水平方向オペレータを3×3ブロックの画素値に作用させると水平エッジ値が得られ、同様にして、垂直方向オペレータを3×3ブロックの画素値に作用させると垂直エッジ値が得られる。
【0045】
図11は、ソベルオペレータを用いて得られた水平エッジ値xと垂直エッジ値yとから、画像の直線部分の角度を算出する方法を示す説明図である。図11(A)に示すように、画像の直線部分の角度αは、tan−1(y/x)で与えられる。ここで、角度αは、水平右向き方向(時計の3時方向)から反時計回りに測った角度である。例えば、図11(B)の例では、垂直エッジ値が0であり水平エッジ値が4なので、角度αは0°であると判定できる。また、図11(C)の例では、垂直エッジ値と水平エッジ値がいずれも1なので、角度αは45°であると判定できる。なお、角度αは0°〜180°の範囲の値を取るものとする。180°〜360°の範囲は、0°〜180°の範囲と等価である。
【0046】
図12は、処理対象となる多階調画像の一例と、この多階調画像からソベルオペレータ法によって検出された角度αのヒストグラムを示す説明図である。図12(A)に示す多階調画像内において、図10(A−1)または図10(A−2)のようなエッジ画素を中心画素とする3×3ブロックを検出し、エッジ画素を含む各3×3ブロックについて図11に示す方法で角度αを決定する。図12(B)は、このようして多数の3×3ブロックについて得られた角度αの頻度を示すヒストグラムである。この例では、40°と130°の位置にピークが存在し、40°の位置のピークが最大である。この時、最大ピーク位置の角度α1を、多階調画像内の直線部分の回転方向を示す粗回転角度であるとして採用する。
【0047】
なお、上述した1次元投影法やソベルオペレータ法を用いて検出された粗回転角度α1には、90°の整数倍異なる4つの等価な角度が存在する。換言すれば、粗回転角度α1は、1/4の不確定さを有している。図13は、4つの等価回転角度を示す説明図である。図13(A)に示すように、カメラ41の視野W内にスクライブラインSLの交点付近の画像が見えている場合を考える。この実施例ではカメラ41の視野サイズがチップサイズに比べて小さいので、チップの回転方向が図13(B)〜(E)の4種類のいずれであるかを画像データから特定することができない。従って、ウェハの正しい回転角度は、90°おきの4つの等価な回転角度の中の1つである。図3のステップS3においては、この4つの等価な回転角度の少なくとも1つを粗回転角度として検出する。等価な回転角度の1つが検出できれば、他の等価な回転角度も検出できたものと考えることができる。
【0048】
なお、ステップS3において得られる直線エッジ情報とその粗回転角度は、ほとんどの場合はスクライブラインSLのものである。但し、スクライブラインSLに限らず、ウェハの多階調画像内に存在する直線的な画像部分に関する直線エッジ情報やその粗回転角度を検出してもよい。チップ内の回路が有する直線的な部分は、スクライブラインSLに平行なものがほとんどである。従って、スクライブラインSL以外の直線的画像部分を検出しても、ウェハの粗回転角度を求めることができる。
【0049】
ステップS4では、ステップS3で検出された直線エッジ情報が信頼できるか否かが判定される。この判定は、例えば、図9に示す1次元投影法を用いた場合には、累算画素値のピーク値が所定の閾値以上であるか否かによって行なうことができる。また、図10〜図12に示すソベルオペレータ法を用いた場合には、図12(B)のヒストグラムのピーク値が所定の閾値以上であるか否かによって判定することができる。あるいは、モニタ136にウェハの画像を表示しておけば、はっきりとした直線エッジが画像内に含まれるか否かをユーザが目視で判定することができる。直線エッジ情報が信頼できないものである場合には、ステップS5において、XYステージ36を所定量(例えば1視野分)だけ移動させ、ウェハ中心付近の別の位置において多階調画像を取り込む。そして、ステップS3を再度実行することによって直線エッジ情報を検出し、粗回転角度α1を求める。
【0050】
こうして、粗回転角度α1が求められると、ステップS6において、撮像位置決定手段152が、ウェハの中心付近においてスクライブラインSLの交点位置を視野に含むように、XYステージ36の目標位置座標を算出して移動させる。前述したように、X軸方向とY軸方向に沿ったチップの個数の4種類の組み合わせ(偶数−偶数、偶数−奇数、奇数−偶数、奇数−奇数)によって、ウェハの中心における初期の視野の位置は図8に示す4つの視野W〜W4の位置にほぼ決まっている。撮像位置決定手段152(図2)は、ステップS3で得られた粗回転角度α1と、チップの寸法(ピッチLX,LY)と、チップの個数情報から、X方向とY方向にそれぞれどの程度移動させればスクライブラインSLの交点位置を視野内に含む位置に移動できるかを算出する。画像処理ユニット50は、この移動量を制御部33(図1)に通知して、XYステージ36を移動させる。その後、カメラ41によって多階調画像を再度撮像する。なお、粗回転角度α1には1/4の不確定さがあるので、1回の移動によって、視野の中心がスクライブラインSLの交点位置に到達できるとは限らない。この場合には、例えばウェハの中央位置を中心として90°回転した方向に移動方向を変更して、同じ距離だけ移動すれば、スクライブラインSLの交点位置に視野(すなわち撮像領域)の中心を移動させることができる。図14は、スクライブラインSLの交点位置に視野の中心を移動させた状態を示している。図14に示したように、ウェハの直線部分(スクライブラインSL)の方向は、ステージ座標系の基準方向Dsから粗回転角度α1だけ回転している。ステップS6においてカメラ41で取り込んだ画像はモニタ136に表示される。
【0051】
図5のステップS7では、ステップS6で取り込まれた画像を時計回りに粗回転角度α1だけ回転させる画像処理を行う。ステップS8では、撮像位置決定手段152が、スクライブラインSLの交点Paの正確な位置(座標値)の実測値を求めて、これを保存する。スクライブラインSLの交点位置の座標は、後に、基準ウェハWF1の位置合わせ基準点を決定する際に使用される。基準ウェハのスクライブラインSLの交点位置は、例えば、図14に示す、カメラ41の視野Waの中心点Paの座標で代表される。この点Paの位置は、ユーザがモニタ136に表示された画像上において、マウス等のポインティングデバイスを用い、カーソルを移動させて指定することができる。あるいは、カメラ41で取り込んだ多階調画像を処理することによって、スクライブラインSLの交点の中心位置の座標を自動的に決定することも可能である。画像処理で交点の中心位置を求める場合には、まず、前述したステップS3と同様な方法に従って直線エッジを検出する。そして、スクライブラインSLのエッジを近似した直線を求める。さらに、これらの近似直線で構成される4つの角部の中心位置を、スクライブラインSLの交点位置として決定する。なお、視野Waの中心位置の座標は、ステージ座標読み込み部35(図1)で取り込まれたステージ座標系の座標(ステージに固定された座標)である。視野Wa(すなわち取込まれた画像)内の任意の位置のステージ座標系の座標は、この座標値から容易に算出できる。
【0052】
第1のテンプレート画像MPaの基準点Qaと、スクライブライン交点Paとの座標値のオフセット(δx,δy)は、アライメント情報ファイル139に保存される。
【0053】
ステップS9では、ステップS7で回転した画像の中からパターンマッチング用の第1のテンプレート画像(モデルパターンとも呼ぶ)を切り出して登録する。図15は、第1のテンプレート画像MPaの登録の様子を示す説明図である。ステップS7では、まず、スクライブラインSL交点位置における多階調画像(図15(A))を、図15(B)に示すように粗回転角度α1だけ時計回りに回転させて、回転後の画像をモニタ136に表示する。画像の回転は、アフィン変換によって実行される。ユーザは、表示された画像を観察して、テンプレート画像MPaとして使用できる画像パターンが存在するか否かを判断する。テンプレート画像MPaとして使用できる画像パターンとは、その画像パターンの向きから、粗回転角度α1として等価な4つ等価回転角度の中の1つを選択できるような画像パターンを意味する。テンプレート画像MPaとしては、90°の整数倍の回転対称性が無い画像パターンが好ましい。換言すれば、90°の整数倍の回転対称性(90°,180°,270°の回転対称性)のいずれかを有する画像パターンは、テンプレート画像MPaとしては不適切である。スクライブラインSLの交点付近の視野Waには、隣接する4つのチップのそれぞれの角部が含まれるので、これらの4つの角部の内の1つにのみ含まれる特有の画像パターンを第1のテンプレート画像MPaとして登録することができる。
【0054】
現在の視野Wa内にテンプレート画像MPaとして使用できる画像パターンが存在しない場合には、カメラ41で取り込んだ画像をモニタ136に表示して観察しながら、XYステージ36を少しずつ移動させる。そして、テンプレート画像MPaとして使用できる画像パターンが視野内に入る状態に設定する。
【0055】
現在の視野Wa内にテンプレート画像MPaとして使用できる画像パターンが存在する場合には、図15(B),(C)に示すように、回転後の画像内からテンプレート画像MPaとして登録する領域を切り出す。テンプレート画像MPaの範囲は、ユーザがマウス等のポインティングデバイスを用いて指定する。テンプレート画像MPaは、スクライブラインSLの交点付近に存在すれば望ましいが、必ずしも交点付近に存在しなくても良い。
【0056】
図5のステップS10では、第1のテンプレート画像MPaの画像と、テンプレート画像MPaの所定位置にある基準点(例えば図15(c)に示す左上点Qa)の座標が磁気ディスク138内のアライメント情報ファイル139(図2)に登録される。なお、基準点Qaの座標は、例えばステージ座標系の座標値で表わされる。
【0057】
図6のステップS11では、ユーザが、回転して切り出したテンプレート画像MPaの所定の方向(例えば時計の3時の方向)を、ウェハ座標系の基準方向(0°方向)Dw1と定めることによって、粗回転角度α1の不確定性を取り除く。例えば、図15(B)に示すように、粗回転角度α1だけ時計廻りに回転した画像において、時計の3時方向がウェハ座標系の基準方向Dw1として設定される。なお、ユーザが指定せずに、自動的に時計の3時方向が基準方向Dw1として設定されるようにしてもよい。ウェハの回転角度は、ステージ座標系の基準方向Dsから、ウェハ座標系の基準方向Dw1までの角度である。従って、図15(B)の場合には、基準ウェハの回転角度は、粗回転角度α1に等しい。なお、ウェハ座標系の基準方向を、時計の3時方向以外の方向に選択した場合には、基準ウェハの回転角度はα1とは異なる値となる。しかし、この場合にも、粗回転角度α1に所定の値を加算または減算した値が基準ウェハの回転角度になる。例えば、図15(B)の状態において、時計の12時方向がウェハ座標系の基準方向として選択された場合には、基準ウェハの回転角度は、(α1+90°)となる。図6のステップS12では、この回転角度α1の値がアライメント情報ファイル139に保存される。
【0058】
ステップS13では、隣接するチップのスクライブライン交点位置に撮像領域が来るようにXYステージ36を移動させて画像を撮像する。ステップS14では、この画像について、パターンマッチングを行なうことによって、第1のテンプレート画像MPaと同じ画像パターン(マッチングパターン)を検出する。図16は、ステップS13,S14の処理内容を示す説明図である。この例では、第1のテンプレート画像MPaの登録を行なった交点位置から斜め右下に隣接する交点位置に視野Wbを移動させている。隣接するチップのスクライブライン交点位置は、縦、横、斜めのいずれの方向に隣接していてもよい。この視野(撮像領域)Wbにおける画像の中から、第1のテンプレート画像MPaにマッチングするマッチングパターンMPbを検出する。
【0059】
ステップS14では、マッチングパターンMPbを検出した後に、その基準点Qbの座標も算出する。そして、2つの画像パターンMPa,MPbの基準点Qa,Qb同士を結ぶ直線L1の方向として、第2の基準点Qbから第1の基準点Qaに向う方向(基準点の連結方向)DL1を特定する。また、この連結方向DL1の回転角度(ステージ座標系の基準方向Dsから反時計回りに測った角度)θ1を算出する。なお、基準点Qa,Qbの座標は、ステージ座標系の座標として求められているので、連結方向DL1の回転角度θ1は、これらの座標から簡単な計算で求めることができる。
【0060】
この実施例では、図15(B)に示す粗回転角度α1の代りに、基準点の連結方向DL1の回転角度θ1を基準ウェハの回転角度として使用する。2つの回転角度α1,θ1の違いは、ウェハ座標系の基準方向としてどの方向を選択するか、に起因するものであり、いずれを回転角度として定義してもよい。但し、画像パターンの基準点の連結方向の回転角度θ1の方が、粗回転角度α1よりも高精度に決定できるという利点がある。前述した図3(A)に示されている回転角度θ1は、この基準点の連結方向DL1で定義される回転角度である。
【0061】
図6のステップS16では、第2のスクライブライン交点Pb(図16)の位置が決定され、アライメント情報ファイル139に保存される。例えば、第2のスクライブライン交点PbとマッチングパターンMPbとの位置関係は、第1のスクライブライン交点Paとテンプレート画像MPaとの位置関係と等しいものと仮定される。従って、第2のスクライブライン交点Pbの位置は、マッチングパターンMPbの基準点Qbの位置と、第1のスクライブライン交点Paとテンプレート画像MPaの基準点Qaの相対位置とに基づいて算出される。
【0062】
あるいは、第1のスクライブライン交点Paの決定方法と同様の方法によって、第2のスクライブライン交点Pbの位置を決定するようにしても良い。すなわち、第2のスクライブライン交点Pbの位置を、ユーザが指定してもよく、また、第2の視野Wb内の画像を解析することによって、第2のスクライブライン交点Pbの位置を自動的に決定するようにしてもよい。
【0063】
図6のステップS17では、2つのスクライブライン交点Pa,Pbの中点Pabの座標が算出され、位置合わせ基準点(図3(A)の点RP)としてアライメント情報ファイル139に保存される。この位置合わせ基準点Pabは、各測定点の位置を決定するときの原点(すなわちウェハ座標系の座標原点)として使用される。この実施例では、位置合わせ基準点Pabの座標が、スクライブラインで規定される格子の互いに対角方向にある2つのスクライブライン交点Pa,Pbの座標から決定されているので、その位置を高精度に設定することができる。
【0064】
なお、位置合わせ基準点としては、この他にも種々の設定方法がある。例えば、2つの画像パターンMPa,MPbの基準点Qa,Qbの中点Qabを位置合わせ基準点として使用することもできる。さらに、スクライブライン交点Pa,Pbと基準点Qa,Qbの中の1つの点を、位置合わせ基準点として選択することも可能である。
【0065】
以上の基準ウェハに関する前処理によって、アライメント情報ファイル139内に以下の情報が登録される。
(a)基準ウェハの粗回転角度α1と、高精度な回転角度θ1;
(b)第1のテンプレート画像MPaの画像データ;
(c)テンプレート画像の基準点Qa,Qbの座標値;
(d)テンプレート画像の基準点Qa,Qbからそれぞれのスクライブライン交点Pa,Pbまでの座標のオフセット(δx,δy);
(e)位置合わせ基準点Pabの座標値。
【0066】
これらの情報は、ステージ座標系とウェハ座標系との対応関係を決定するために用いられる情報(「座標系対応関係決定情報」と呼ぶ)である。この座標系対応関係決定情報を用いることによって、ステージ座標系と基準ウェハWF1のウェハ座標系とをアフィン変換によって相互に座標変換することができる。また、後述するように、この座標系対応関係決定情報を用いて、ステージ座標系と被測定ウェハのウェハ座標系との対応関係を求めることができる。
【0067】
なお、ステージ座標系とウェハ座標系は、アフィン変換によって容易に相互に変換することができるので、上記の座標系対応関係決定情報中のいくつかの座標値は、ステージ座標系の座標値として登録しても良く、また、ウェハ座標系の座標として登録しても良い。いずれの場合にも、アフィン変換の変換係数を登録しておくようにすれば、アフィン変換を容易に実行することができる。
【0068】
D.基準ウェハを用いたファインアライメント前処理:
図17は、基準ウェハWF1を用いたファインアライメント前処理の手順を示すフローチャートである。ファインアライメント前処理では、基準ウェハWF1上の複数の測定点PM1〜PM15(図3(A)において白丸で示す)の位置(位置合わせ基準点RPとの相対的な位置関係)が、以下のようにして登録される。
【0069】
ステップS21では、測定点(例えば図3(A)のPM1)を視野内に含む位置をユーザが指定して、XYステージ36を移動させる。図18は、i番目の測定点PMiを含む視野W(i)を示す説明図である。この視野W(i)は、アフィン変換によって基準ウェハWF1の粗回転角度α1だけ回転した後の画像を示している。
【0070】
図17のステップS22では、ユーザが図18に示す画面上でi番目の測定点PMiの位置を、マウスなどのポインティングデバイスを用いて指示する。測定点PMiの座標値(Xi,Yi)は、アライメント情報ファイル139に保存される。ステップS23では、測定点PMiの近傍において、第2のテンプレート画像MRa(第2のテンプレート画像)として適切な画像パターンをユーザが探す。第2のテンプレート画像MRaとして適切な画像パターンは、90°の整数倍の回転対称性が無い画像パターンであることが好ましい。
【0071】
適切な画像パターンが見いだされると、ステップS24において、その画像パターンが画面の中央になるようにXYステージ36の位置をユーザが調整する。そして、ステップS25において視野内の画像を取り込み、粗回転角度α1だけ画像を回転する。
【0072】
ステップS26では、ユーザが第2のテンプレート画像MPaの領域を指定することによって、第2のテンプレート画像MRaの画像データを切り出し、その基準点Raの座標(x,y)とともに保存する。
【0073】
なお、第2のテンプレート画像MRaは、プリアライメント前処理で用いられた第1のテンプレート画像MPa(図15(C))と同じものであってもよい。例えば、各測定点の近傍に第1のテンプレート画像MPaが存在する場合には、ステップS26の代わりに、パターンマッチング手段154(図2)が、第1のテンプレート画像MPaを用いたパターンマッチング処理を行って基準点Raの位置を決定する。
【0074】
ステップS27では、第2のテンプレート画像MRaの基準点Raから、i番目の測定点PMiまでのX座標とY座標のオフセット(ΔX,ΔY)を求めてアライメント情報ファイル139に保存する。測定点PMiの位置は、ユーザによって指定される。この座標のオフセット(ΔX,ΔY)は、i番目の測定点PMiの近傍に存在する第2のテンプレート画像MRaと、i番目の測定点PMiとの位置関係を示す情報である。
【0075】
ステップS28では、他の測定点があるか否かが判断され、他の測定点がある場合にはステップS21に戻り、上述したステップS21〜S27の処理が繰り返される。一方、全ての測定点に関してステップS21〜S27の処理が終了すると、基準ウェハWF1でのファインアライメント前処理が終了する。
【0076】
なお、第2のテンプレート画像MRaとしては、全ての測定点に対して共通の1つの画像パターンを使用してもよく、あるいは、各測定点に対してそれぞれ異なる画像パターンを登録しても良い。
【0077】
上述した基準ウェハWF1のファインアライメント前処理では、複数の測定点に関して、それぞれ以下の情報がアライメント情報ファイル139に登録される。
(a)第2のテンプレート画像MRaの画像データ;
(b)第2のテンプレート画像MRaの基準点Raの位置(すなわち基準点Raと位置合わせ基準点RPとの位置関係);
(c)第2のテンプレート画像MRaの基準点Raと測定点PMiとの座標のオフセット(ΔX,ΔY)。
【0078】
上記の情報は、ウェハ座標系において、各測定点PMiの位置を決定するために使用される情報であり、以下では「測定位置決定情報」と呼ぶ。この測定位置決定情報を用いることによって、被測定ウェハにおける各測定点の位置を求めることができる。
【0079】
なお、ステージ座標系とウェハ座標系とは相互に座標変換することができるので、測定位置決定情報に含まれる座標値は、ステージ座標系の座標値として登録してもよく、また、ウェハ座標系の座標として登録しても良い。
【0080】
なお、基準ウェハWF1に関しては、図1に示す装置を用いて種々の測定等の所定の処理が行なわれる。例えば、図1に示す装置が膜厚計である場合には、基準ウェハWF1内の複数の測定点PM1〜PM15においてウェハ表面の膜厚が測定される。
【0081】
E.被測定ウェハを用いたプリアライメント処理:
被測定ウェハWF2に対しても、基準ウェハWF1と同じ測定点において同じ測定処理(例えば膜厚測定)が実行される。しかし、被測定ウェハWF2がXYステージ36に載置された時には、被測定ウェハWF2の回転角度が不明なので、基準ウェハWF1と同じ測定点にプローブを位置決めできるようにXYステージ36の位置を移動させることができない。そこで、被測定ウェハWF2についての測定処理を実行する前に、まず、以下に説明するプリアライメント処理によって、その被測定ウェハWF2の回転角度と位置合わせ基準点の位置とを決定する。被測定ウェハWF2の回転角度と位置合わせ基準点の位置とは、被測定ウェハのウェハ座標系とステージ座標系との対応関係を示す情報であると考えることもできる。そして、後述するファインアライメント処理によって、各測定点の座標を正確に決定する。
【0082】
図19および図20は、被測定ウェハのプリアライメント処理の手順を示す説明図である。ステップS1〜S6までの処理は、図5に示した基準ウェハに関するプリアライメント前処理と同じである。これによって、ウェハの中心近くのスクライブライン交点の画像が取り込まれる。図21は、被測定ウェハに設定された視野の一例を示している。ここでは、視野Wcを撮像領域とした画像が取込まれる。図19のステップS3においては、図21に示す粗回転角度α2prが検出されている。なお、この粗回転角度α2prは、90°の整数倍の不確定さを有している。被測定ウェハにおいては、不確定さを取除く前の粗回転角度を「予備回転角度」とも呼ぶ。この名前は、不確定さを含む予備的な回転角度であることを意味している。
【0083】
ステップS31では、パターンマッチング手段154(図2)が、この視野Wc内の画像に関して、基準ウェハの前処理において登録された第1のテンプレート画像MPaを用いたパターンマッチング処理を行なう。
【0084】
図22は、被測定ウェハに関するパターンマッチングの方法を示す説明図である。まず、図22(A)に示す読み取られた画像を、アフィン変換によって予備回転角度α2prだけ時計廻りに回転して、図22(B)に示すような画像を作成する。そして、回転後の画像内において、第1のテンプレート画像MPaとマッチングする画像パターンをパターンマッチング処理によって検出する。この時、図22(C)に示すように、90°ずつ回転した4つのテンプレート画像を予め作成しておくことが好ましい。そして、これらの4つのテンプレート画像の中で、マッチング度が最も高くなるテンプレート画像を決定し、これにマッチングした画像パターン(マッチングパターン)の基準点の座標を決定する。図22(B)の例では、180°回転のテンプレート画像のマッチング度が最も高い。従って、この被測定ウェハの粗回転角度α2は、(α2pr+180°)であることが決定される。すなわち、テンプレート画像を用いたパターンマッチングによって、予備回転角度α2prの不確定さを解消して、粗回転角度α2の値を決定することができる。なお、回転対称な4つのテンプレート画像に関連付けられた角度(0°、90°、180°、270°)のうち、パターンマッチングによって選択された角度を、以下では「マッチング角度」と呼ぶ。
【0085】
図23は、被測定ウェハの予備回転角度α2prと粗回転角度α2との関係を示す説明図である。予備回転角度α2prは、ステージ座標系の基準方向Dsから、被測定ウェハの直線部分(スクライブラインSL)の方向まで反時計回りに測った角度である。粗回転角度α2は、ステージ座標系の基準方向Dsから、ウェハ座標系の基準方向Dw2まで反時計回りに測った角度である。ウェハ座標系の基準方向Dw2は、マッチングパターンMPcが正立(図22(C)の最初のテンプレート画像の向きに)した時に、時計の3時方向を向く方向であると定義されている。予備回転角度α2prは、ウェハの直線部分から決定されていただけなので、この例では、予備回転角度α2prと粗回転角度α2とは180°の差がある。もちろん、これらの角度α2pr,α2が等しい場合もある。
【0086】
図19のステップS32では、マッチングパターンMPcの基準点Qcの座標がアライメント情報ファイル139に保存される。図20のステップS33では、被測定ウェハの回転角度の不確定さを解消して、その相対回転角度Δαを求める。ここで、被測定ウェハの相対回転角度Δαは、非測定ウェハの粗回転角度α2と、基準ウェハの粗回転角度α1との差分(α2−α1)として定義される。
【0087】
被測定ウェハ内の各測定点の位置は、この相対的な回転角度Δαを用いて決定することもできる。しかし、この実施例では、以下の手順により、基準ウェハとの相対的な回転角度をより正確に求めることによって、各測定点の位置をより正確に決定している。
【0088】
ステップS34では、パターンマッチングの結果から、マッチングパターンMPcの近傍にある第1のスクライブライン交点Pc(図23)の位置を算出する。図24は、マッチングパターンMPcの基準点Qcと、第1のスクライブライン交点Pcとの関係を示す説明図である。前述したように、パターンマッチング処理では、図24(a)〜(d)に示す4つのマッチング角度のいずれか1つにおいて、画像パターンがマッチングすることが確認される。スクライブライン交点Pcの座標(Xc,Yc)は、マッチング角度に応じてそれぞれ以下のように算出される。
【0089】
(a)マッチング角度が0度の場合:
Xc=Xs+δx,Yc=Ys+δy
【0090】
(b)マッチング角度が90度の場合:
Xc=Xs+δy,Yc=Ys−δx
【0091】
(c)マッチング角度が180度の場合:
Xc=Xs−δx,Yc=Ys−δy
【0092】
(d)マッチング角度が270度の場合:
Xc=Xs−δy,Yc=Ys+δx
【0093】
ここで、δx,δyは、前述した基準ウェハのプリアライメント前処理において求められていた、テンプレート画像MPaの基準点Qa(図16)と、その近傍のスクライブライン交点Paとの座標のオフセットである。この座標のオフセット(δx,δy)を用いることによって、マッチングパターンMPcの基準点Qcから、スクライブライン交点Pcの座標を上記のように算出することができる。なお、図24に示す関係は、被測定ウェハWF2を予備回転角度α2prだけ回転させた状態のものなので、上記の4つの式の各座標値としては、予備回転角度α2prだけ回転するようにアフィン変換を行った値が使用される。
【0094】
図20のステップS35では、2つの目のスクライブライン交点を視野内に含む位置に被測定ウェハWF2を移動させる。図25は、被測定ウェハにおいて設定された2つの視野の関係を示す説明図である。被測定ウェハの2つのスクライブライン交点Pc,Pdの位置関係は、ウェハ座標系において、基準ウェハの2つのスクライブライン交点位置Pa,Pbの位置関係と同じである。従って、2番目のスクライブライン交点Pdは、最初のスクライブライン交点Pcから、基準ウェハの直線L1に相当する直線L2の方向に沿った方向に存在する。2番目のスクライブライン交点PdにXYステージ36を移動させる移動量は、基準ウェハの2つの基準点Qa,Qbの座標値の差分と同じである。こうして、図25の2番目の視野Wdが設定される。
【0095】
図20のステップS36では、2番目の視野Wdの画像が読み取られ、粗回転角度α2だけ画像をアフィン変換で回転するとともに、回転後の画像に関してパターンマッチングを実行する。このパターンマッチングでは、第1のテンプレート画像MPaと最も一致したマッチングパターンMPdの基準点Qd(図25)の座標が得られる。
【0096】
ステップS37では、回転方向決定手段158(図2)が、2つの基準点Qc,Qdの連結方向DL2の回転角度θ2を求める。この回転角度θ2は、ステージ座標系の基準方向Dsから、基準点の連結方向DL2まで反時計回りに測定した角度である。
【0097】
ステップS38では、2つ目のマッチングパターンMPdの基準点Qdの座標から、2点目のスクライブライン交点Pdの座標が算出される。この演算は、前述した図24に示すものと同じである。ステップS39では、1点目と2点目のスクライブライン交点Pc,Pdの中心点Pcd(図25)の座標を求める。この中心点Pcdは、ウェハ座標系における原点となる。また、以下に説明するファインアライメント処理における位置合わせ基準点RP(図3(B))として使用される。
【0098】
基準ウェハWF1と被測定ウェハWF2との相対的な回転角度は、被測定ウェハにおける基準点の連結方向DL2の回転角度θ2と、基準ウェハにおける基準点の連結方向DL1の回転角度θ1とを用いて高精度に決定することができる。
【0099】
図26は、高精度な相対回転角度を求める方法を示す説明図である。図26(A)は、基準ウェハに関して得られた2つの基準点Qa,Qbを結ぶ直線L1を示している。これらの基準点Qa,Qbを結ぶ連結方向DL1は、第2の基準点Qbから第1の基準点Qaに向う方向に取られている。この連結方向DL1の回転角度θ1は、ステージ座標系の基準方向Dsから連結方向DL1まで反時計回りに測った角度である。図26(B)は、被測定ウェハに関して得られた2つの基準点Qc,Qdを結ぶ直線L2を示している。これらの基準点Qc,Qdを結ぶ連結方向DL2も、第2の基準点Qdから第1の基準点Qcに向う方向に取られている。この連結方向DL2の回転角度θ2も、ステージ座標系の基準方向Dsから連結方向DL2まで反時計回りに測った角度である。このように、基準ウェハにおける連結方向DL1の回転角度θ1も、被測定ウェハにおける連結方向DL2の回転角度θ2も、いずれも同じ定義に従って決定されている。従って、これらの差分△θ=θ2−θ1を求めることによって、これを、基準ウェハと被測定ウェハとの相対的な回転角度として採用することができる。
【0100】
ところで、被測定ウェハの回転角度(回転方向)を決める方法としては、他の方法も考えられる。図27は、粗回転角度α1,α2を用いた粗い相対回転角度の決定方法を示す説明図である。粗回転角度α1,α2は、ステージ座標系の基準方向Dsから、ウェハ座標系の基準方向Dw1,Dw2まで反時計回りに測った角度である。従って、粗回転角度の差分△α=α2−α1を、基準ウェハと被測定ウェハとの相対的な回転角度とすることができる。但し、上述した回転角度θ1、θ2の方が、粗回転角度α1,α2よりも精度が高いので、その相対回転角度△θも、粗回転角度から決定された相対回転角度△αよりも精度が高い。
【0101】
回転方向決定手段158が被測定ウェハの回転角度(回転方向)を決定する方法としては、上述の方法も含めて、以下のような種々の方法が考えられる。
【0102】
方法1:基準ウェハの高精度回転角度θ1と、被測定ウェハの高精度回転角度θ2との差分△θから、両者の相対的な回転角度(回転方向)を決定する。この方法1は、図26に示したものである。この方法によれば、相対的な回転角度(回転方向)を高精度に決定できるという利点がある。
【0103】
方法2:基準ウェハの粗回転角度α1と、被測定ウェハの粗回転角度α2との差分△αから、両者の相対的な回転角度(回転方向)を決定する。この方法2は、図27に示したものである。この方法を用いる場合には、基準ウェハや被測定ウェハにおいて、少なくとも1カ所の画像でパターンマッチングを行えばよい。従って、処理を高速化できるという利点がある。
【0104】
方法3:被測定ウェハの高精度回転角度θ2そのものを、被測定ウェハの回転角度(回転方向)として利用する。図26(B)から解るように、高精度回転角度θ2は、ステージ座標系の基準方向Dsから、ウェハ座標系の連結方向DL2までの回転角度である。従って、被測定ウェハは、ステージ座標系の基準方向Dsからθ2だけ回転しているものと考えることが可能である。なお、方法3の変形として、高精度回転角度θ2に一定値を加算または減算した値を、被測定ウェハの回転角度(回転方向)としてもよい。この方法3によれば、基準ウェハからの相対的な回転角度ではなく、ステージ座標系の所定の基準方向Dsを基準とした回転角度(回転方向)を高精度に決定できるという利点がある。特に、基準ウェハの位置合わせ基準点や複数の測定点の座標を、予めステージ座標系の座標に変換している場合には、この回転角度θ2を被測定ウェハの回転角度としてそのまま利用することができる。
【0105】
方法4:被測定ウェハの粗回転角度α2そのものを、被測定ウェハの回転角度(回転方向)とする。この場合も、方法3と同様に、回転角度α2に一定値を加算または減算した値を、被測定ウェハの回転角度(回転方向)としてもよい。この方法4によれば、基準ウェハからの相対的な回転角度ではなく、ステージ座標系の所定の基準方向Dsを基準とした回転角度(回転方向)を高速に決定できるという利点がある。
【0106】
ところで、被測定ウェハのプリアライメント処理によって、位置合わせ基準点RP(図3)の位置と、回転角度θ2とが決定されたので、これらを用いてステージ座標系の座標と被測定ウェハのウェハ座標系との座標変換を行うことができる。このような座標変換を行えば、被測定ウェハの各測定点の座標を予測することができる。しかし、プリアライメント処理で得られた結果から各測定点の座標を決定するときには、以下のような問題がある。
【0107】
第1の問題は、被測定ウェハの回転角度θ2の誤差である。上述したように、回転角度θ2は、2回のパターンマッチングで得られた基準点Qc,Qdの位置から決定される。従って、パターンマッチングにおける位置合わせ誤差によって、回転角度θ2の値に誤差が生じる。この誤差のために、位置合わせ基準点RPから遠い位置に存在する測定点においては、座標変換で予測される測定点の予測位置と、実際の位置(実測位置)とのずれが大きくなり、位置合わせ精度が悪くなるという問題がある。回転角度θ2の誤差に起因する位置合わせ誤差は、位置合わせ基準点RPから遠い測定点ほど大きい。
【0108】
第2の問題は、XYステージ36の機械的精度の影響である。XYステージ36の機械的精度に起因して、ステージ座標系の直交度の誤差や、非線形歪み(たわみ)の誤差が生じる。これらの誤差により、各測定点の位置合わせ精度が悪くなる。この機械的精度に起因する誤差も、位置合わせ基準点RPから遠い測定点ほど大きい。
【0109】
第3の問題は、ウェハ自身のたわみの影響である。基準ウェハと被測定ウェハではたわみ方が異なるので、この相違によって位置合わせ誤差が発生する。
【0110】
このように、種々の原因によって測定点の位置合わせ誤差が発生するので、この実施例では以下に示すファインアライメント処理によって、各測定点の位置を正確に決定している。
【0111】
F.被測定ウェハを用いたファインアライメント処理:
図28は、被測定ウェハを用いたファインアライメント処理の手順を示すフローチャートである。ステップS41では、プリアライメント処理で得られた情報(プリアライメント情報)を用いて最初の測定点の座標を予測し、測定点の近傍にあるテンプレート画像(マッチング画像)の位置にXYステージ36を移動させる。なお、ステージ座標系における測定点の座標は、被測定ウェハの回転角度α2,θ2と、位置合わせ基準点RPのステージ座標と、基準ウェハにおける位置合わせ基準点RPと各測定点との相対的な位置関係とに基づいて予測できる。このような測定点の座標の予測値を、以下では「予測位置」または「予測値」と呼ぶ。また、以下で説明するファインアライメント処理によって決定される測定点の座標の値を、「実測位置」または「実測値」と呼ぶ。
【0112】
ステップS42では、測定点近傍の画像を取込み、プリアライメント処理で求めた粗回転角度α2だけ画像を回転する。図29は、回転後の画像を示す説明図である。この画像は、前述した基準ウェハのプリアライメント処理における図18の画像とほぼ同じものである。
【0113】
図28のステップS43では、第2のテンプレート画像MRa(図18)を用いたパターンマッチングを行い、マッチングパターンMRb(図29)が決定される。ステップS44では、マッチングパターンMRbの基準点Rbの座標を決定する。ステップS45では、基準点Rbの座標を、基準ウェハで求められていた測定点PMiと基準点Raの座標のオフセット△X,△Yで補正することによって、測定点PMiの実測位置を決定する。この測定点PMiの実測位置は、ステージ座標系の座標に変換される。従って、この測定点PMiの実測位置に従って、測定プローブを測定点PMiに正確に位置決めすることができる
【0114】
図28のステップS46では、他の測定点があるか否かが判断され、他の測定点がある場合にはステップS41に戻ってステップS41〜S45の処理が繰返される。こうして、被測定ウェハ上の複数の測定点PM1〜PM15(図3)について、ステップS41〜S45を繰返し実行することによって、各測定点の実測位置を正確に決定することができる。各測定点における測定処理(例えば膜厚測定)は、ステップS45とステップS46の間に行うことができる。あるいは、すべての測定点に関してステップS41〜S45を繰返して実行した後に、各測定点における測定処理を順次実行するようにしてもよい。
【0115】
このように、上記実施例では、プリアライメント処理によって、被測定ウェハの位置合わせ基準点RP(=Pcd)の座標を決定するとともに、その回転角度α2,θ2を決定した。そして、これらのプリアライメント情報と、基準ウェハにおいて登録されていた位置合わせ基準点RPと各測定点との位置関係とに従って、被測定ウェハの複数の測定点の位置を予測した。また、この予測位置においてファインアライメント処理を行うことによって、各測定点の実測位置を正確に決定した。従って、上述したような種々の位置合わせ誤差を低減し、高精度に測定点を位置決めすることが可能である。
【0116】
G.第2実施例:
上述した第1実施例では、各測定点ごとにファインアライメント処理を実行していたので、すべての測定点で高精度な位置合わせが可能となるが、かなりの処理時間を要する。しかし、プリアライメント情報から算出される被測定ウェハの測定点の予測位置が、必要な位置合わせ精度を有しているならば、ファインアライメント処理を省略することが可能になる。
【0117】
ところで、第1実施例で述べたように、プリアライメント処理ではウェハ中心近くの2つのスクライブライン交点Pc,Pdの近傍でそれぞれパターンマッチングを行い、2ヶ所のマッチング基準点Qc,Qdを求めて回転角度を決定していた。また、2点のスクライブライン交点Pc,Pdの位置から位置合わせ基準点RP(=Pcd)の位置を求めていた。このとき、マッチングパターンの基準点Qc,Qdの位置には多少の誤差がある。従って、測定点がこれらのマッチングパターンから遠くなるほど、このマッチング誤差による位置合わせの際のずれ量(位置合わせ誤差)が大きくなると考えられる。
【0118】
図30は、位置合わせ基準点RPから測定点PMiまでの距離と、位置合わせ誤差との関係を示す説明図である。ここでは話を単純化するために、パターンマッチング以外の誤差は無視できるとする。このとき、例えば図30(B)に示すように、位置合わせ基準点RPから測定点PM5までの距離が約30mmであり、測定点PM5の近傍における位置合わせ誤差(予測位置と実測位置との差)が±5μmであると仮定する。この位置合わせ誤差は、主に、回転角度θ2の誤差δθに起因している。従って、各測定点における位置合わせ誤差は、位置合わせ基準点RPからの距離に比例する。例えば、位置合わせ基準点RPから約100mm離れた測定点PM1においては、位置合わせ誤差は±16.7μmとなる。仮に、許容される位置合わせ精度が±10μmであると仮定すると、100mm離れた位置では要求される位置合わせ精度を満足しないが、約60mm離れた位置までは要求精度を満足できることになる。
【0119】
そこで第2実施例では、位置合わせ基準点RPから測定点PMiまでの距離が所定値Lmax以下の場合には、ファインアライメント処理を省略し、プリアライメント情報(位置合わせ基準点RPの位置と回転角度α2,θ2)を用いて算出される予測位置を、その測定点PMiの実測位置として採用する。一方、位置合わせ基準点RPから測定点PMiまでの距離が所定値Lmaxより大きい場合には、その測定点PMiについてファインアライメント処理を行って実測位置を決定する。
【0120】
例えば、図30(A)に示すようにウェハ上にPM1〜PM15の15ヶ所の測定点のうち、位置合わせ基準点RPから半径60mmの範囲内(図の破線で描かれた円の内側)にある4つの測定点PM5,PM8,PM11,PM13についてはファインアライメント処理を省略し、プリアライメント情報のみを用いた演算によって、測定点の実測位置を決定する。一方、その他の測定点についてはファインアライメント処理を実行して実測位置を決定する。
【0121】
この第2実施例では、位置合わせ基準点RPから所定の範囲内にある測定点に関しては、ファインアライメント処理を省略するので、各測定点における位置合わせ精度を満足しつつ、位置合わせ処理全体の処理時間を短縮することができる。
【0122】
H.第3実施例:
第3実施例においても、第2実施例と同様に、測定点の位置に応じて、ファインアライメント処理を実行するか否かを決定する。ただし、第2実施例と異なるのは、ファインアライメント処理を行った測定点から所定の範囲内にある他の測定点について、ファインアライメント処理を省略するようにした点である。
【0123】
図31は、第3実施例における処理の方法を示す説明図である。測定点の位置は、図30(A)と同じである。第3実施例では、プリアライメント処理を行った後、PM1〜PM15の15ヶ所の測定点を、この順序で位置合わせしつつ測定を実行するものと仮定する。また、i番目の測定点PMiと、それ以前にファインアライメント処理を行った測定点との距離が所定値Lmax(=60mm)以下の場合には、その測定点PMiのファインアライメント処理を省略しても要求される位置合わせ精度が得られると仮定する。
【0124】
図31において、位置合わせ基準点RPから最初の測定点PM1までの距離は所定値Lmax(60mm)よりも大きいので、この測定点PM1についてはファインアライメント処理を行って実測位置を決定する。この測定点PM1から距離Lmaxの範囲は、図中で破線で示されている。1番目の測定点PM1から2番目の測定点PM2までの距離はLmax以下である。そこで、2番目の測定点PM2に対しては、ファインアライメント処理を省略する。以下同様に、各測定点ごとにファインアライメント処理を省略するかどうかを決定する。従って、ファインアライメント処理が実行される測定点は、図中で黒丸で示す測定点PM1,PM4、PM6,PM8,PM10,PM12、PM13の7ヶ所のみとなり、他の測定点ではファインアライメント処理を省略できる。
【0125】
以下では、ファインアライメント処理を省略した測定点を「ファインアライメント省略測定点」と呼び、ファインアライメント処理が行なわれた測定点を「ファインアライメント済測定点」と呼ぶ。
【0126】
ファインアライメント省略測定点の実測位置は、その近傍にあるファインアライメント済測定点の予測位置と実測位置とのずれ量に基づいて、ファインアライメント省略測定点の予測位置を補正することによって決定される。ファインアライメント済測定点の予測位置は、プリアライメント情報を用いた座標変換で得られる。座標値の補正方法としては、例えば、ファインアライメント済測定点の予測位置と実測位置との対応関係を表すアフィン変換係数を求め、このアフィン変換係数を用いて、ファインアライメント省略測定点の予測位置をアフィン変換する方法がある。あるいは、ファインアライメント済測定点の予測位置と実測位置とのずれ量から、位置合わせ基準点の位置と、ウェハの回転角度とを補正し、これらに基づいてファインアライメント省略測定点の実測位置を算出するようにすることもできる。
【0127】
なお、第3実施例においても、第2実施例と同様に、位置合わせ基準点RPからの距離がLmax以下の測定点については、ファインアライメント処理を行わないものとしてもよい。
【0128】
以上説明したように、第3実施例では、ファインアライメント済測定点から一定の範囲内の測定点については、ファインアライメント処理を省略して、ファインアライメント済測定点の予測位置と実測位置とのずれ量に基づいて、その測定点の予測位置を補正するようにした。従って、ファインアライメント処理を行う測定点の数を低減することができる。この結果、各測定点における位置合わせ精度を満足しつつ、位置合わせ処理全体の処理時間を短縮することができる。
【0129】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0130】
(1)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0131】
(2)位置合わせ基準点RPの座標を決定するための第1のパターンマッチングは、位置合わせ基準点RPの近傍の領域の画像に関して行えばよく、位置合わせ基準点を含む領域の画像に対してパターンマッチングを行う必要はない。同様に、各測定点の座標を決定するための第2のパターンマッチングも、各測定点を含む領域の画像に対してパターンマッチングを行う必要はなく、各測定点の近傍の領域の画像に対して行えばよい。
【0132】
(3)上記実施例では、位置合わせ基準点RPの位置と回転角度θ2とを決定する際に、2つの領域においてパターンマッチングを行うようにしていたが、1カ所の領域におけるパターンマッチングによって位置合わせ基準点RPの位置と回転角度θ2とを決定するようにしてもよい。あるいは、3カ所以上の領域についてパターンマッチングを行うことによって、位置合わせ基準点RPの位置と回転角度θ2とを決定するようにしてもよい。また、各測定点の位置を決定する際に、複数の領域に関してパターンマッチングを行うようにしてもよい。一般に、パターンマッチングを行う領域の数が増加するほど、それによって決定される座標や回転角度の精度が向上する。
【0133】
(4)上記実施例では、装置にウェハの回転機構が備えられていない場合について説明したが、回転機構を有する装置に対しても本発明を適用することが可能である。本発明によれば、回転機能を有する装置においても、ウェハの回転方向(回転角度)を画像処理によって検出することが可能なので、測定点の位置決め処理が簡単であり、また、高速に処理できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を適用して半導体ウェハの位置合わせ処理を行なう機能を有する測定装置の構成を示すブロック図。
【図2】画像処理ユニット50の内部構成を示すブロック図。
【図3】実施例における位置合わせ処理の概要を示す説明図。
【図4】実施例における位置合わせ処理の全体手順を示すフローチャート。
【図5】基準ウェハWF1を用いたプリアライメント前処理の手順を示すフローチャート。
【図6】基準ウェハWF1を用いたプリアライメント前処理の手順を示すフローチャート。
【図7】半導体ウェハWF内に形成された複数のチップの配列の様子を示す概念図。
【図8】ウェハの中心付近を拡大して示す概念図。
【図9】1次元投影法による直線エッジ情報の検出処理を示す説明図。
【図10】ソベルオペレータによる画像処理の方法を示す説明図。
【図11】ソベルオペレータを用いて得られた水平エッジ値と垂直エッジ値とから、画像の直線部分の角度を算出する方法を示す説明図。
【図12】処理対象となる多階調画像の一例と、この多階調画像からソベルオペレータ法によって検出された角度のヒストグラムを示す説明図。
【図13】4つの等価回転角度を示す説明図。
【図14】スクライブラインSLの交点位置に視野の中心を移動させた状態を示す説明図。
【図15】テンプレート画像MPaの登録の様子を示す説明図。
【図16】ステップS10の処理内容を示す説明図。
【図17】基準ウェハWF1を用いたファインアライメント前処理の手順を示すフローチャート。
【図18】基準ウェハWF1のファインアライメント前処理におけるi番目の測定点PMiを含む視野W(i)を示す説明図。
【図19】被測定ウェハのプリアライメント処理の手順を示すフローチャート。
【図20】被測定ウェハのプリアライメント処理の手順を示すフローチャート。
【図21】被測定ウェハにおいて設定される視野の一例を示す説明図。
【図22】被測定ウェハに関するパターンマッチングの方法を示す説明図。
【図23】被測定ウェハにおけるウェハの予備回転角度α2prと粗回転角度α2との関係を示す説明図。
【図24】マッチングパターンMPcの基準点Qcと第1のスクライブライン交点Pcとの関係を示す説明図。
【図25】被測定ウェハにおいて設定された2つの視野の関係を示す説明図。
【図26】高精度な相対回転角度を求める方法を示す説明図。
【図27】粗い相対回転角度を求める方法を示す説明図。
【図28】被測定ウェハを用いたファインアライメント処理の手順を示すフローチャート。
【図29】被測定ウェハを用いたファインアライメント処理において、測定点の近傍で得られた回転後の画像を示す説明図。
【図30】第2実施例における処理の方法を示す説明図。
【図31】第3実施例における処理の方法を示す説明図。
【符号の説明】
30…制御操作ユニット
31…表示部
32…操作部
33…制御部
34…ステージ駆動部
35…ステージ座標読み込み部
36…XYステージ
36a,36b…ウェハ保持アーム
38…通信経路
40…光学ユニット
41…カメラ
42…光源
43…ハーフミラー
44…対物レンズ
50…画像処理ユニット
110…CPU
112…バスライン
114…ROM
116…RAM
136…モニタ
138…磁気ディスク
139…アライメント情報ファイル
140…入出力インタフェイス
150…等価回転方向決定手段
152…撮像位置決定手段
154…パターンマッチング手段
156…角度選択手段
158…回転方向決定手段
160…基準位置決定手段
162…測定位置決定手段

Claims (4)

  1. 被測定ウェハ上の測定点の位置を決定する方法であって、
    (a)前記被測定ウェハ表面の位置合わせ基準点と前記測定点との位置関係を予め登録するとともに、前記被測定ウェハ表面の前記位置合わせ基準点の近傍の画像に対してパターンマッチングを行う際に用いられる第1のテンプレート画像と、前記測定点の近傍の画像に対してパターンマッチングを行う際に用いられる第2のテンプレート画像と、を準備する工程と、
    (b)前記位置合わせ基準点の近傍の領域について第1の画像を取り込む工程と、
    (c)前記第1の画像に関して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を含む第1の処理を行うことによって、前記被測定ウェハの回転方向と前記位置合わせ基準点の位置とを決定する工程と、
    (d)決定された前記回転方向および前記位置合わせ基準点の位置と、予め登録された前記位置合わせ基準点と前記測定点との位置関係に基づいて、前記測定点の予測位置を決定する工程と、
    (e)前記予測位置の近傍の領域について第2の画像を取り込む工程と、
    (f)前記第2の画像に関して前記第2のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を含む第2の処理を行うことによって、前記測定点の実測位置を決定する工程と、
    を備え
    前記工程(c)における第1の処理は、
    (i)前記第1の画像に含まれる直線部分を分析することによって、前記被測定ウェハが取り得る回転角度として、互いに90度の整数倍異なる4つの等価回転角度を決定する工程と、
    (ii)前記画像に対して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチングを行なうことによってマッチングパターンを検出し、前記マッチングパターンの方向に基づいて前記4つの等価回転角度の中からウェハ座標系において予め定められた1つの基準方向に対応する1つの等価回転角度を選択する工程と、
    (iii)前記選択された等価回転角度から前記被測定ウェハの回転方向を決定する工程と、
    を備えることを特徴とするウェハの測定位置決定方法。
  2. 請求項1記載のウェハの測定位置決定方法であって、
    前記被測定ウェハ上の複数の前記測定点のうち、前記位置合わせ基準点から所定の範囲内にある測定点に関しては、前記工程(e)および前記工程(f)の処理を省略し、前記工程(d)において得られた前記予測位置を前記測定点の実測位置として使用する、ウェハの測定位置決定方法。
  3. 請求項1または請求項2記載のウェハの測定位置決定方法であって、
    前記被測定ウェハ上の複数の前記測定点のうち、前記工程(e)および工程(f)の処理が行われた第1の測定点から所定の範囲内にある第2の測定点に関しては、前記工程(e)および前記工程(f)の処理を省略し、前記第1の測定点における前記予測位置と前記実測位置とのずれ量に基づいて前記第2の測定点の予測位置を補正することによって前記第2の測定点の実測位置を決定する、ウェハの測定位置決定方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のウェハの測定位置決定方法であって、
    前記(c)は、前記位置合わせ基準点の近傍の複数の領域について複数の前記第1の画像を取り込み、
    前記(d)は、前記複数の第1の画像に関して前記第1のテンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を含む第1の処理をそれぞれ行うことによって、前記被測定ウェハの回転方向と前記位置合わせ基準点の位置とを決定する、ウェハの測定位置決定方法。
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