JP3543363B2 - 自動券売機の切符吐出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、複数枚の切符を同時に発券する自動券売機に用いて好適な切符吐出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉄道の駅などでは、例えば、複数人のグループが同一目的地に移動する際に各人がそれぞれ切符を購入しないで済むように、目的地(値段)を指定する釦とは別に、購入枚数を指定する釦が設けられた自動券売機が知られている。後者の釦を利用することにより、指定した枚数だけ同種類の切符を1度で購入することができるので、券売機前での混雑緩和が期待された。
【0003】
このような従来の自動券売機の構成、特に、切符を吐き出す切符吐出装置の構成について、図2を参照して説明する。この図において、1は、ゴムベルトからなる搬送ベルトであり、図示しない切符発券部によって1枚毎に発行された切符を、搬送経路に沿って搬送する。具体的には、1枚毎に発行された切符を、図中A方向から取り込んでガイド3,4に沿って矢印方向に搬送するものである。2は、搬送ベルト1をローラ2aを介して、図において反時計回りに駆動するステッピングモータである。
【0004】
5は、支軸Bを中心として回動するストッパであり、図のようにu方向に上昇したときガイド4に接して、搬送ベルト1によって搬送される切符6を停止させる。7は、ストッパ5と同じく支点Bを中心として回動するタッチレバであり、スプリング7aによってストッパ5の回動と連動する。そして、ストッパ5がd方向に下降したときに、タッチレバー7に取り付けられているタッチローラ7bが、搬送ベルト1に押しつけられるようになっている。これらストッパ5およびタッチレバ7の回動は、ソレノイド8の駆動により行なわれ、オンしたときに、ストッパ5およびタッチレバ7をd方向に回動するようになっている。
【0005】
ガイド3,4および搬送ベルト1からなる搬送路は、ストッパ5から手前であって、切符の長手方向の寸法の約3/4の箇所で若干下向きに屈曲し、また、この屈曲部の手前には、搬送ベルト1と接する搬送ローラ9が備えられる。
【0006】
10は切符取出口であり、ここから購買者は、搬送ベルト1により搬送された切符を取り出すことになる。なお、この図におけるガイド3,4は、タッチローラ7bや他のローラとは干渉しない構造となっている。
【0007】
次に、係る従来装置の動作について説明する。まず、最初の切符が切符発券部により発行されると、ソレノイド8がオフしてストッパ5およびタッチレバ7をu方向に上昇させて、ストッパ5の上端がガイド4に接触する。これにより、搬送ベルト1により搬送された切符は、ストッパ5によって搬送ベルト1上に一旦貯留される。一般に、切符は、印字前ではロール状であり、必要な事項を印字した後に所定寸法にカットされるので、発券直後の切符6は、この図に示すように、上に反った(ロール時の)巻き癖を保って貯留される。
【0008】
次に、2枚目の切符が切符発券部により発行されると、この切符も、搬送ベルト1によって搬送される。この際、すでに貯留している切符は、巻き癖により上に反っているのに対し、搬送される切符は、搬送ローラ9の圧接によって平坦にされる。このため、搬送される切符は、貯留している切符の下側に滑り込んで、ストッパ5により最初の切符と先端が揃えられる。以下、同様な動作が繰り返されて、指定された枚数の切符が、ストッパ5において先端が揃った状態で重ねられた状態で貯留される。
【0009】
こうして、指定枚数の切符が重ねられると、次に、ステッピングモータ2の回転が停止する。そして、ソレノイド8がオンして、ストッパ5およびタッチレバ7をd方向に下降させるとともに、タッチローラ7bが重ねられた切符を搬送ベルト1に圧接すると、再び、ステッピングモータ2が回転して、重ねられた切符を切符取出口10へと搬送する。そして、重ねられた切符が切符取出口10から所定寸法Lだけ露見したならば、ステッピングモータ2の回転が停止する。これにより、複数枚の切符は、切符取出口10から所定寸法Lだけ露見した状態で保持されることになる。なお、切符取出口10からの露見する所定寸法Lは、ソレノイド8がオンした後に、ステッピングモータ2へ供給するパルス数により定めることができる

【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来装置において、複数枚の切符を1度に発券する場合、複数枚の切符6は、図3(b)に示すように、それらの一端が揃った状態で切符取出口10に現われる。このため、購買者は、複数枚の購入指定をしたにもかかわらず、切符取出口10には1枚の切符しか現われていない、と誤認する。そうすると、購買者がその旨を通報するために「係員呼出釦」を押して、実際には自動券売機は正常であるにもかかわらず係員を呼び出してしまう、という事態が頻繁に発生するようになった。この結果、当初の目的である券売機前の混雑緩和を図るどころか、かえって、混雑の原因となってしまう、という問題があった。
【0011】
この発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数枚の切符を1度に発券する場合において、購買者が一枚しか発券されていない、とする誤認が防止できる自動券売機の切符吐出装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した問題を解決するために、請求項1に記載の発明にあっては、同種類の切符を、指定された枚数だけ発券する自動券売機の切符吐出装置において、1枚毎に発行された切符を所定の搬送経路で搬送する搬送手段と、前記搬送経路上に設けられ、1枚毎に搬送される切符を、一端を揃えて順次重ねて指定枚数だけ貯留する貯留手段と、前記搬送経路上に設けられ、前記貯留手段で貯留された指定枚数の切符を、各切符が搬送方向へ順次ずれて重なるよう一括して相互にスライドさせるスライド手段とを具備し、前記搬送手段は、前記スライド手段によりスライドされた指定枚数の切符を、そのままの状態で切符取出口へ搬送することを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の発明において、前記搬送手段は、搬送ベルトによって切符を搬送するものであり、前記スライド手段は、前記貯留手段により貯留された指定枚数の切符を前記搬送ベルトに圧接する付勢手段と、周辺部にゴムリングを巻回され、前記付勢手段により前記搬送ベルトに圧接された指定枚数の切符の最上部の切符に当接するカムとを備え、前記カムの回動により、前記搬送ベルトに圧接された指定枚数の切符を、各切符が搬送方向へ順次ずれて重なるようスライドさせることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明にあっては、請求項1に記載の発明において、前記搬送手段は、切符が前記取出口から所定寸法だけ露見するまで、前記スライド手段によりスライドされた指定枚数の切符を搬送することを特徴としている。
【0015】
【作用】
請求項1に記載の発明によれば、指定枚数の切符は、各切符が搬送方向に順次ずれて重なるようスライドされ、切符取出口へと搬送される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、最下部の切符は、付勢手段により搬送ベルトに圧接されているためにその摩擦で静止するのに対し、最上部の切符は、ゴムリングを巻回したカムの回動により回動方向にスライドさせられる。また、この間に挟まれる切符は、切符同士の動摩擦力のみの働きにより、最下部の切符に対する最上部の切符のスライド量よりも少なくスライドする。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、切符取出口には、スライドして重ねられた切符が露見する。
【0018】
【実施例】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1(a),(b)は、この実施例の構成を示す側面図である。
これらの図において、図2と相違する部分は、タッチローラ7bの中心軸7cを力点とし、軸11aを支点とするレバー11と、このレバー11においてタッチレバー7の中心軸7cとは反対側(図において右側)を作用点とする部分であって、搬送路の屈曲部手前に位置する部分にカム12とを備えた点にある。このカム12には、レバー11において軸11aを挟んで中心軸7cに略対向する位置に設けられた軸11bを摺動自在に支持する支持部12bが形成されており、レバー11の回動に応じて、切符吐出装置に設けられたカム軸12cを中心にして回動する。また、支持部12bを除いたカム12の外周には、ゴム12aが巻回されている。なお、図1(a),図1(b)と図2との共通部分には、同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0019】
この実施例において、複数の切符が、ストッパ5によって一端が揃った状態で貯留される過程までは、前述した従来の装置と同じ経過を辿る。すなわち、最初の切符が切符発券部により発行されると、ソレノイド8がオフしてストッパ5およびタッチレバ7をu方向に上昇させ、ストッパ5の上端がガイド4に接触し、切符は、ストッパ5によって搬送ベルト1上に一旦貯留され、次に発券される切符は、順次、貯留している切符の下側に滑り込み、ストッパ5により先端が揃えられて、搬送ベルト1が停止する。この状態までが図1(a)に示される。
【0020】
所定枚数の切符が貯留されると、次に、ソレノイド8がオンされる。すると、図1(b)に示されるように、貯留されている切符は、タッチローラ7bによって搬送ベルト1に圧接される。また、タッチレバー7の回動に伴ってレバー11が図において反時計回りに中心軸11aを中心として回動し、この回動によりカム12は、重ねられた切符のうちの最上部の切符に押さえると同時に、カム軸12cを中心として図中反時計回りに回動する。このとき、最上部の切符は、カム12の回動によって右方向(搬送方向と逆の方向)に移動させられるが、重ねられた切符のうちの最下部の切符(最後に発券された切符)は、搬送ベルト1の摩擦力により静止状態を保つので、結果的に、最上部の切符は、最下部の切符に対して、カム12の回動量に対応して右方向に距離Sだけずれることになる。なお、カム12は、搬送路の屈曲部手前に位置するので、その回動とガイド3とが干渉することはない。
【0021】
ここで、もし、重ねられる切符が3枚以上であるならば、最下部に位置する切符は静止し、最上部に位置する切符は移動するので、両者の間に位置する切符は、上に位置する切符の移動による摩擦と下に位置する切符の静止しようとする摩擦とにより、上の切符のずれ量に対して約半分だけずれる。同様な理由から、重ねられる切符は、3枚以上であっても上から順次ずらした状態となる。
【0022】
ソレノイド8がオンして、重ねられた切符がずらされると、ステッピングモータ2が再び回転して、重ねられた切符がずらした状態を保ったまま、切符取出口10へと搬送される。そして、重ねられた切符が切符取出口10から所定寸法Lだけ露見したならば、ステッピングモータ2の回転が停止する。これにより、複数枚の切符は、切符取出口10から所定寸法Lだけ露見した状態であって、ずらされた状態が保持されることになる(図3(a)参照)。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したこの発明によれば、それぞれ次のような効果がある。
指定枚数の切符は、各切符が搬送方向に順次ずれて重なるようスライドされ、そのままの状態で、切符取出口へと搬送される。したがって、一見して複数の切符を認識できるので、購買者が一枚しか発券されていないとする誤認が、事前に防止できる(請求項1)。
【0024】
最下部の切符は、付勢手段により搬送ベルトに圧接されているためにその摩擦で静止するのに対し、最上部の切符は、ゴムリングを巻回したカムの回動により回動方向にスライドさせられ、また、この間に挟まれる切符は、切符同士の摩擦力のみの働きにより、最下部の切符に対する最上部の切符のスライド量よりも少なくスライドする。したがって、切符が2枚以上の場合はもちろん、切符が3枚以上であっても、各切符がずれて重なるようスライドさせることができる(請求項2)。
切符取出口には、スライドして重ねられた切符が露見するので、購買者は、切符を取り出しやすくなる(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】それぞれこの発明の実施例の構成を示す側面図であり、(a)は、ソレノイドがオフの状態を、(b)は、オンの状態を示す。
【図2】従来の切符吐出装置の構成を示す側面図である。
【図3】(a)は、同実施例による切符の発券状態を示す図であり、(b)は、従来装置による切符の発券状態を示す図である。
【符号の説明】
1……搬送ベルト(搬送手段)、5……ストッパ(貯留手段)、6……切符、7b……タッチローラ(付勢手段)、10……切符取出口、12……カム(スライド手段)

Claims (3)

  1. 同種類の切符を、指定された枚数だけ発券する自動券売機の切符吐出装置において、1枚毎に発行された切符を所定の搬送経路で搬送する搬送手段と、前記搬送経路上に設けられ、1枚毎に搬送される切符を、一端を揃えて順次重ねて指定枚数だけ貯留する貯留手段と、前記搬送経路上に設けられ、前記貯留手段で貯留された指定枚数の切符を、各切符が搬送方向へ順次ずれて重なるよう一括して相互にスライドさせるスライド手段とを具備し、前記搬送手段は、前記スライド手段によりスライドされた指定枚数の切符を、そのままの状態で切符取出口へ搬送することを特徴とする自動券売機の切符吐出装置。
  2. 前記搬送手段は、搬送ベルトによって切符を搬送するものであり、
    前記スライド手段は、前記貯留手段により貯留された指定枚数の切符を前記搬送ベルトに圧接する付勢手段と、周辺部にゴムリングを巻回され、前記付勢手段により前記搬送ベルトに圧接された指定枚数の切符の最上部の切符に当接するカムとを備え、前記カムの回動により、前記搬送ベルトに圧接された指定枚数の切符を、各切符が搬送方向へ順次ずれて重なるようスライドさせる
    ことを特徴とする請求項1記載の自動券売機の切符吐出装置。
  3. 前記搬送手段は、切符が前記取出口から所定寸法だけ露見するまで、前記スライド手段によりスライドされた指定枚数の切符を搬送する
    ことを特徴とする請求項1記載の自動券売機の切符吐出装置。
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