以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図5に券売機10を示す。この券売機10の機体11の前面に、複数のメニュー毎に対応した複数の選択ボタン12が配置され、これら選択ボタン12の領域の下側に券を取り出す取出口13が形成されている。なお、機体11の前面には、図示していないが、貨幣を投入する貨幣投入口や、釣銭を払い出す払出口などの操作部が設けられている。そして、操作部および選択ボタン12によって所定の発券操作をすることにより、機体11内に設置されている発券装置で発券された券が取出口13に送り出される。
図1ないし図3に発券装置20を示す。発券装置20は、券を発券して送り出す発券ユニット(図示せず)、およびこの発券ユニットから送り出された券を取出口13に搬送する搬送ユニット21を有している。
発券ユニットは、券素材としてロール紙を用いており、発券時に、ロール紙の券面に所定内容を印刷するとともに所定長さに切断して搬送ユニット21に送り出す。
また、搬送ユニット21は、フレーム22を有し、このフレーム22の前面には取出口13の後側に配置されて券を取出可能に送り出す発券口23が形成されている。
フレーム22内には、発券口23の後側に複数枚の券を集積して一括して送り出すための集積部24が設けられ、この集積部24および発券口23に対して発券ユニットから送り出された券を搬送する搬送手段25が設けられている。
搬送手段25は、発券ユニットから送り出される券を受け入れるフレーム22の後部側から集積部24および発券口23に亘って券を搬送する搬送路27を有している。この搬送路27は、下側の搬送ベルト28aと上側の搬送ベルト28bとによって形成されている。下側の搬送ベルト28aおよび上側の搬送ベルト28bは、それぞれ複数本であって例えば3本ずつ用いられ、搬送方向に対して直交する幅方向に互いに間隙をあけるとともに下側の各搬送ベルト28aと上側の各搬送ベルト28bとが互いに対向するように配置されている。
下側の各搬送ベルト28aは、それぞれ後側に位置する駆動側の搬送プーリ29aと前側に位置する従動側の搬送プーリ30aとによって回転可能に張設されている。各搬送プーリ29a,30aは、それぞれフレーム22に回転可能に支持された回転軸31a,32aによって支持されている。駆動側の搬送プーリ29aは回転軸31aに固定され、従動側の搬送プーリ30aは回転軸32aに回転可能に支持されている。
上側の各搬送ベルト28bは、それぞれ後側に位置する駆動側の搬送プーリ29bと前側に位置する従動側の搬送プーリ30bとによって回転可能に張設されている。各搬送プーリ29b,30bは、それぞれフレーム22に回転可能に支持された回転軸31b,32bによって支持されている。駆動側の搬送プーリ29bは回転軸31bに固定され、従動側の搬送プーリ30bは回転軸32bに回転可能に支持されている。
下側の搬送ベルト28aの前端側は、従動側の搬送プーリ30aが集積部24の下側に配置されていることにより、集積部24の下側まで延設されている。上側の搬送ベルト28bの前端側は、従動側の搬送プーリ30bが集積部24の後方に配置されていることにより、下側の搬送ベルト28aの中間位置に配置されている。下側の搬送ベルト28aの上面には、搬送プーリ30bおよび上側の搬送ベルト28bによって屈曲された屈曲部33が形成され、この屈曲部33から集積部24に亘って斜めに上昇する搬送面34が形成されている。搬送面34の上方には、集積部24と上側の搬送ベルト28bとの間に上方に開口された空間部35が形成されている。
フレーム22の一側壁の外側において、駆動側の回転軸31a,31bに伝達プーリ36a,36bが固定されているとともに、駆動軸(モータ軸)に駆動プーリ37を固定した搬送駆動手段としての搬送駆動モータ38が取り付けられ、これら伝達プーリ36a,36bと駆動プーリ37とに伝達ベルト39が張設されている。搬送駆動モータ38はステッピングモータによって構成されており、この搬送駆動モータ38の駆動により、搬送ベルト28a,28bが券を集積部24および発券口23へ向けて搬送する搬送方向に回転する。
また、搬送路27上には、集積部24の直前位置に複数の無端体41が配置されている。この無端体41は、例えば、内周側に凹凸を有するタイミングベルトなどで弾性変形が可能な柔軟性を有するリングベルトによって構成されている。
この無端体41は無端体支持手段42によって支持されている。無端体支持手段42は、搬送手段25と共有する回転軸32b、およびこの回転軸32bに固定されたタイミングプーリによって構成される複数の回転体43(図4および図8参照)を有している。図4に示すように、回転軸32bには3つの搬送プーリ30bが幅方向に互いに間隔をあけて配置されているとともに回転軸32bに対して回転可能(空転可能)に支持されており、回転体43は幅方向に隣り合う搬送プーリ30bの間に配置されて回転軸32bに固定され、回転体43と回転軸32bとが一体に回転するように構成されている。
無端体41の一部が幅方向に隣り合う搬送プーリ30bの間を通じて回転体43の上側に噛み合った状態に支持され、回転体43に噛み合う一部に対して反対側が下方に吊り下げられた状態にあって搬送方向に対して自由に動くことが可能な自由端44として形成されている。図1に示すように、自由端44は、幅方向に隣り合う搬送ベルト28a,28b間に位置していて搬送ベルト28a,28bと干渉することがなく、自由端44が垂下した状態で搬送路27よりも下方に位置するように構成されている。
回転体43の上方には、無端体41を回転体43に押える複数の押えローラ45が配置されている。複数の押えローラ45は揺動レバー46に回転可能に支持され、この揺動レバー46を付勢するばねによって押えローラ45が無端体41を回転体43に押え付けている。
フレーム22の一側壁の外側に、ステッピングモータによって構成された無端体駆動手段としての無端体駆動モータ47が配設されている。この無端体駆動モータ47の駆動により、回転軸32bおよび回転体43が回転して、無端体41が搬送ベルト28a,28bによる券の搬送方向と同方向に回転する。
また、集積部24は、券の先端側を掴む掴み部49を有している。この掴み部49は、下側の搬送ベルト28aと掴みローラ50との間に形成されている。掴みローラ50は、掴みローラレバー53にワンウェイクラッチを介して支持され、このワンウェイクラッチの作用により、券が前方の発券口23へ向けて移動する方向には回転可能とし、券が後方へ移動する方向には回転が阻止される。
掴みローラレバー53は、支軸54を支点として上下方向に揺動可能とし、フレーム22側に張設されたスプリング55によって掴みローラ50を搬送ベルト28aに押接している。
また、発券口23には、この発券口23を開閉するシャッタ52が配置されている。フレーム22の前面下部には、シャッタ52を開閉するシャッタ開閉手段としてのシャッタ駆動モータ56が配設されている。このシャッタ駆動モータ56の駆動により、フレーム22の前壁の後側に配置される図示しない開放機構を介して、シャッタ52を上方へ開放移動させ、発券口23を開放するように構成されている。
また、発券口23の前側の上下部には、発券口23に近付けた指を検知するフォトインタランプで構成された指検知センサ58が配設されている。さらに、発券口23の後側の上下部には、発券口23から券が取り出されたことを検知するフォトインタランプで構成された取出検知センサ59が配設されている。
また、図6に発券装置20を制御する制御手段61を示す。この制御手段61は、指検知センサ58および取出検知センサ59が検知信号を入力し、また、搬送駆動モータ38、無端体駆動モータ47およびシャッタ駆動モータ56を制御する。
そして、制御手段61は、搬送駆動モータ38による券の搬送速度V1および無端体駆動モータ47による無端体41の回転速度V2を個別に制御する機能を有する。
さらに、制御手段61は、券の搬送方向の長さが予め決められた所定の基準長さより短い場合、券の搬送速度V1より遅い回転速度V2で無端体41を回転させ、また、券の搬送方向の長さが予め決められた所定の基準長さより長い場合、券の先端が集積部24に到達するまでは券の搬送速度V1より遅い回転速度V2で無端体41を回転させ、券の先端が集積部24に到達した後には券の搬送速度V1より速い回転速度V2で無端体41を回転させる機能を有する。予め決められた所定の基準長さは、例えば、回転体43の中心から集積部24(厳密には、集積部24に集積する券の先端が当接するシャッタ52の内面)までの距離Dとする。
次に、発券装置20の動作を説明する。
購入者が券売機10の前面の操作部で貨幣の投入や選択ボタン12の操作を含む所定の発券操作をすることにより、発券ユニットがロール紙の券面に所定内容を印刷するとともに所定長さに切断して搬送ユニット21に送り出し、搬送ユニット21が券を集積部24に搬送する。1回に発券する券は1枚の場合と複数枚一括して発券する場合とがあり、複数枚一括して発券する場合には発券する複数枚の券を集積部24に集積する。
購入者が指を券売機10の取出口13を通じて発券口23に近付けると、指検知センサ58が指を検知する。この指検知に基づき、シャッタ駆動モータ56の駆動でシャッタ52を上方に開放移動させて発券口23を開放し、搬送駆動モータ38の駆動で券の先端側を発券口23から所定量突出する取出位置まで搬送し、搬送駆動モータ38を停止する。券の停止状態では、券の後端側が集積部24の掴み部49に掴まれた状態にある。
購入者が券の先端側を掴んで発券口23から取り出すと、取出検知センサ59が券の取り出しを検知し、シャッタ駆動モータ56を駆動してシャッタ52の開放移動を解除することで、シャッタ52が下方に閉鎖移動して発券口23に閉じ、搬送駆動モータ38の駆動を停止する。
次に、券の搬送方向の長さが予め決められた所定の基準長さより短い場合、すなわち券の長さL<距離Dの場合において、集積部24に複数枚の券を集積する動作を、図7および図8を参照して説明する。
なお、図8(a)に示すように、1枚目の券T1は既に集積部24に送り込まれているものとし、2枚目の券T2を集積部24に搬送する場合について説明する。また、1枚目の券T1は、搬送方向の長さが予め決められた所定の基準長さより短いものであり、先端がシャッタ52の内面に当接して停止している。さらに、1枚目の券T1には巻き癖が付いており、券T1の後端が搬送面34から浮き上がらず、搬送面34に接触または近い位置にあるものとする。
図8(a)に示すように、無端体41は、回転体43に吊り下げられた状態にあって、自由端44が垂下していて搬送路27に対して交差している。
そして、発券ユニットから券T2が送り出されるタイミングに応じて、搬送駆動モータ38を駆動し(図7の搬送駆動モータON)、搬送ベルト28a,28bを搬送方向に回転させる。発券ユニットから送り出される券T2を搬送路27に受け入れて搬送ベルト28a,28b間に挟み込んだ状態で集積部24へ向けて搬送する。
図8(b)に示すように、券T2の先端が無端体41の自由端44に当接し、無端体41の自由端44を前方の集積部24へ向けて押動する。
券T2の先端が回転体43の軸心の下方位置に到達するタイミングで、無端体駆動モータ47を駆動し(図7の無端体駆動モータON)、無端体41を上側の搬送ベルト28bと同じ搬送方向に回転させる。このとき、無端体41の回転速度V2は、券T2の搬送速度V1により遅い速度とする。
無端体41の回転速度V2を券T2の搬送速度V1により遅い速度とすることにより、図8(b)(c)に示すように、券T2で押されて前方の集積部24の方向へ移動していく無端体41の自由端44で、搬送面34に接触または近くにある券T1の後端をすくい上げ、この券T1の後端と搬送面34との間に後続の券T2が進入可能とする隙間63を形成する。さらに、図8(c)に示すように、無端体41の自由端44が券T2の上面に接触して券T2を搬送面34に押え付け、券T2に巻き癖が付いていても、券T2を搬送面34に沿わせ、特に券T2の先端が搬送面34から浮き上がるのを防止する。これにより、券T2の先端が、隙間63を通じて券T1の後端の下側に進入し、集積部24の券T1の下側に送り込まれる。集積部24に搬送した券T2は、先端がシャッタ52に当接して移動が規制され、券T1の下側に集積されるとともに掴み部49で掴まれる。
集積部24に搬送した券T2の先端がシャッタ52に当接して搬送が規制されるタイミングで、搬送駆動モータ38の駆動を停止する(図7の搬送駆動モータOFF)。
券T2の先端がシャッタ52に当接して搬送が規制された後も、無端体41の回転は継続し、無端体41の自由端44を券T2の上から後方へ外れた後の所定のタイミングで、無端体駆動モータ47の駆動を停止する(図7の無端体駆動モータOFF)。
図8(d)に示すように、無端体41の自由端44が垂下する初期の状態に復帰する。
このように、券T2の搬送方向の長さが予め決められた所定の基準長さより短い場合、すなわち券T2の長さL<距離Dの場合には、券T2の搬送速度V1より遅い回転速度V2で無端体41を回転させることにより、無端体41で既に集積部24に集積されている券T1の後端を搬送面34の上方に移動させて搬送面34との間に後続の券T2が進入する隙間63を形成することができるとともに、無端体41で券T2の屈曲を押えて券T1の後端の下側に送り込むことができ、券T2を集積部24に確実に搬送して集積させることができる。
次に、券の搬送方向の長さが予め決められた所定の基準長さより長い場合、すなわち券の長さL>距離Dの場合において、集積部24に複数枚の券を集積する動作を、図9、図10および図11を参照して説明する。
なお、図10(a)に示すように、1枚目の券T1は既に集積部24に送り込まれているものとし、2枚目の券T3を集積部24に搬送する場合について説明する。また、1枚目の券T1は、搬送方向の長さが予め決められた所定の基準長さより短いものであり、先端がシャッタ52の内面に当接して停止している。さらに、1枚目の券T1には巻き癖が付いており、券T1の後端が搬送面34から浮き上がらず、搬送面34に接触または近い位置にあるものとする。
図10(a)に示すように、無端体41は、回転体43に吊り下げられた状態にあって、自由端44が垂下していて搬送路27に対して交差している。
そして、発券ユニットから券T3が送り出されるタイミングに応じて、搬送駆動モータ38を駆動し(図9の搬送駆動モータON)、搬送ベルト28a,28bを搬送方向に回転させる。発券ユニットから送り出される券T3を搬送路27に受け入れて搬送ベルト28a,28b間に挟み込んだ状態で集積部24へ向けて搬送する。
図10(b)に示すように、券T3の先端が無端体41の自由端44に当接し、無端体41の自由端44を前方の集積部24へ向けて押動する。
券T3の先端が回転体43の軸心の下方位置に到達するタイミングで、無端体駆動モータ47を駆動し(図9の無端体駆動モータON)、無端体41を上側の搬送ベルト28bと同じ搬送方向に回転させる。このとき、無端体41の回転速度V2は、券T3の搬送速度V1により遅い速度とする。
無端体41の回転速度V2を券T3の搬送速度V1により遅い速度とすることにより、図10(b)(c)に示すように、券T3で押されて前方の集積部24の方向へ移動していく無端体41の自由端44で、搬送面34に接触または近くにある券T1の後端をすくい上げ、この券T1の後端と搬送面34との間に後続の券T3が進入可能とする隙間63を形成する。さらに、図10(c)に示すように、無端体41の自由端44が券T3の上面に接触して券T3を搬送面34に押え付け、券T3に巻き癖が付いていても、券T3を搬送面34に沿わせ、特に券T3の先端が搬送面34から浮き上がるのを防止する。これにより、券T3の先端が、隙間63を通じて券T1の後端の下側に進入し、集積部24の券T1の下側に送り込まれる。集積部24に搬送した券T3は、先端がシャッタ52に当接して移動が規制され、券T1の下側に集積されるとともに掴み部49で掴まれる。
集積部24に搬送した券T3の先端がシャッタ52に当接して搬送が規制されるタイミング(図9のタイミングt)で、無端体41の回転速度V2を券T3の搬送速度V1により相対的に遅い速度に切り換える。
図10(d)に示すように、回転体43の前方であって先端がシャッタ52に当接して搬送が規制された券T3の先端側の上方にあった無端体41の自由端44が、回転体43の後方に送り出されて券T3の後端側の上方に移動する。
無端体41の自由端44が回転体43の後方に移動し終わると、図11(a)(b)の順に示すように、券T3上の無端体41の自由端44が搬送方向に移動し、この無端体41の自由端44で券T3の後端側が前方へ送り出されて回転体43の下方位置を通過するとともに搬送ベルト28a,28b間から外れる。さらに、図11(c)に示すように、搬送ベルト28a,28b間から外れて無端体41の自由端44で押し上げられる券T3の後端側が、搬送ベルト28bの周面に接触し、搬送ベルト28bとの摩擦で搬送ベルト28bの上方へ跳ね上げられる。
券T3の後端側が搬送ベルト28a,28b間から外れた後の所定のタイミングで、搬送駆動モータ38および無端体駆動モータ47の駆動を停止する(図9の搬送駆動モータOFF、無端体駆動モータOFF)。
図11(c)に示すように、無端体41の自由端44は垂下する初期の状態に復帰する。
このように、券T2の搬送方向の長さが予め決められた所定の基準長さより長い場合、すなわち券T3の長さL>距離Dの場合には、券T3の搬送速度V1より遅い回転速度V2で無端体41を回転させることにより、無端体41で既に集積部24に集積されている券T1の後端を搬送面34の上方に移動させて搬送面34との間に後続の券T3が進入する隙間63を形成することができるとともに、無端体41で券T3の屈曲を押えて券T1の後端の下側に送り込むことができ、券T3を集積部24に確実に搬送して集積させることができる。さらに、券T3の先端が集積部24に到達した後には券T3の搬送速度V1より速い回転速度V2で無端体41を回転させることにより、回転体43の下方にある券T3の後端側を集積部24側に送り出すことができる。
このように構成された発券装置20によれば、券の搬送速度V1および無端体41の回転速度V2を個別に制御できることにより、長さが異なる屈曲している券に対応でき、集積部24への安定した券の集積ができる。
また、券の搬送方向の長さLが回転体43から集積部24までの距離Dより短い場合、券の搬送速度V1より遅い回転速度V2で無端体41を回転させることにより、無端体41で券の屈曲を押えて集積部24に送り込むことができる。
さらに、券の搬送方向の長さLが回転体43から集積部24までの距離Dより長い場合、券の先端が集積部24に到達するまでは券の搬送速度V1より遅い回転速度V2で無端体41を回転させることにより、無端体41で券の屈曲を押えて集積部24に送り込むことができ、さらに、券の先端が集積部24に到達した後には券の搬送速度V1より速い回転速度V2で無端体41を回転させることにより、回転体43の下方にある券の後端側を集積部24側に送り出すことができる。
また、無端体支持手段42の回転軸32bに、搬送手段25の従動側の搬送プーリ30bを回転可能に支持することにより、無端体支持手段42と搬送手段25とで回転軸32bを共用し、構造を簡単にでき、小形化できる。
また、集積部24では、掴み部49により券の先端側を掴んで集積することにより、先端側を掴んだ券の後端側と搬送路27との間に隙間を形成し、搬送手段25で搬送されてくる券を順次集積することができる。
そして、発券装置20を備えた券売機10は、複数枚集積した券の一括発券を安定して行うことができる。
なお、券の搬送速度V1と無端体41の回転速度V2との速度差の関係は、相対的なものであり、例えば、券の搬送速度V1を一定とし、無端体41の回転速度V2を遅くしたり速くするようにしてもよいし、逆に、無端体41の回転速度V2を一定とし、券の搬送速度V1を速くしたり遅くするようにしてもよく、あるいは、券の搬送速度V1と無端体41の回転速度V2との両方を所定の速度関係になるように制御してもよい。
さらに、券の搬送方向の長さLが回転体43から集積部24までの距離Dより長い場合、券の先端が集積部24に到達した後に券の搬送速度V1より速い回転速度V2で無端体41を回転させる際、券の搬送速度V1が0となるように搬送駆動モータ38を停止してもよい。
さて、券売機10で券を発券する場合、所定の条件を設定しておき、該条件に応じて掴み発券の処理(後端跳ね上げ処理)の実施の有無を制御するようにしてもよい。
そこで、該条件を制御手段61が有する記憶部のテーブルに予め登録しておき、制御手段61により、発券する券に該条件に当てはまるか否かを判断し、該条件に当てはまる券と該条件に当てはまらない券とで発券方法を切り換えるように制御することによって対応することができる。
券売機10による券の発券パターンとしては、選択ボタン12で1つのメニューを選択する都度に即発券(券を集積部24に搬送して集積)する都度発券パターンと、選択ボタン12で複数のメニューを選択した後に決定ボタンが押下されることで選択された複数の券を発券(券を集積部24に搬送して集積)するまとめ発券パターンとがある。ここで記載した所定の条件は、例えば、券の後端側を無端体41によって跳ね上げるようにしているが、条件によってはその後端跳ね上げ処理が適さない場合がある。後端跳ね上げ処理が適さない条件としては、例えば、券が縦ミシン目あるいは横ミシン目入りの所定長さ以上(例えば84mm以上)の普通紙の場合、券が縦ミシン目入りの所定長さ以上(例えば60mm以上)のタッグ紙(裏がシール)の場合、湿度が90%以上の場合などである。
図12には、都度発券パターンでの発券動作のフローチャートを示す。選択ボタン12が押下されると(ステップ1)、選択ボタン12に割り当てられているメニューをロール紙に印字するとともに(ステップ2)、券の長さにカットし(ステップ3)、券を集積部24に搬送する(ステップ4)。
制御手段61はロール紙の種類や湿度などの条件情報を取得し(ステップ5)、ロール紙の種類毎に後端跳ね上げ処理が不可か可能か判断する(ステップ6)。
後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまらない場合には(ステップ6のYES)、集積部24に搬送した券の後端跳ね上げ処理を行い(ステップ7)、次に集積部24に搬送する券の集積を可能とする。
購入継続のために(ステップ8のYES)、継続して選択ボタン12が押下された場合には、同様の処理(ステップ1〜7)を行って券を集積部24に集積する。そして、決定ボタンが押下されると(ステップ8のNO)、シャッタ52を開いて発券口23から複数枚の券を一括発券し(ステップ9)、券売機10の前面の表示装置で「券をお取りください」と表示する(ステップ10)。これにより、発券口23から一括発券された複数枚の券を購入者が取り出すことができる。
一方、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまった場合には(ステップ6のNO)、集積部24に搬送した券の後端跳ね上げ処理を行わず、シャッタ52を開いて発券し(ステップ9)、券売機10の前面の表示装置で「券をお取りください」と表示する(ステップ10)。これにより、発券口23から発券された券(後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまった券と、この券の前に集積部24に券が集積されていた場合には集積済みの券とが含まれる)を購入者が取り出すことができる。この場合、続けて選択ボタン12が押下されると、最初(ステップ1)から同様の処理を行う。
また、図13には、まとめ発券パターンでの発券動作のフローチャートを示す。複数の選択ボタン12が押下された後(ステップ11)、決定ボタンが押下されると(ステップ12)、制御手段61は、ロール紙の種類や湿度の条件情報を取得し(ステップ13)、選択された複数のメニューを、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまらないメニューと、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまるメニューとにソートする(ステップ14)。
まず、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまらないメニューがある場合(ステップ15のYES)、そのメニューをロール紙に順次印字するとともに(ステップ16)、券の長さに順次カットし(ステップ17)、各券を集積部24に搬送する(ステップ18)。集積部24に搬送した券の後端跳ね上げ処理を行い(ステップ19)、複数枚の券を集積部24に集積する。シャッタ52を開いて発券口23から複数枚の券を一括発券し(ステップ20)、券売機10の前面の表示装置で「券をお取りください」と表示する(ステップ21)。これにより、発券口23から一括発券された複数枚の券を購入者が取り出すことができる。
続いて、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまるメニューがある場合(ステップ22のYES)、このメニューのうちの1つをロール紙に印字するとともに(ステップ23)、券の長さにカットし(ステップ24)、券を集積部24に搬送する(ステップ25)。集積部24に搬送した券の後端跳ね上げ処理を行わずに、シャッタ52を開いて発券口23から複数枚の券を発券し(ステップ26)、券売機10の前面の表示装置で「券をお取りください」と表示する(ステップ27)。これにより、発券口23から発券された券を購入者が取り出すことができる。発券口23から券が取り出された後、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまるメニューに未発券のメニューがあれば(ステップ28のYES)、未発券のメニューを1枚ずつ同様の処理で発券する。
なお、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまらないメニューと、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまるメニューとの発券順序は、どちらが先でもよいが、後端跳ね上げ処理の不可条件に当てはまるメニューを先にすることにより券の取り忘れを防止することができる。
このように、発券する券にその条件に当てはまるか否かを判断し、条件に当てはまる券と条件に当てはまらない券とで発券方法を切り換えるように制御することにより、券の集積不良に伴う発券不良を防止することができる。