JP2717307B2 - 紙葉類の収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、自動販売機等において機器内部に挿入され
た紙幣等を堆積する際の紙幣等の折れ曲り発生等を防止
することができる紙葉類の収納装置に関する。

（従来の技術） 自動販売機、両替機、現金払出機、券売機等のように
紙幣、券等々の紙葉類を自動的に受入れたり、払出した
りする機構を有した従来の堆積収納装置として例えば第
４図に示したような装置がある。

この堆積装置は、堆積室１と、堆積室１底面のバネ２
によって支持された昇降可能な収納台３と、堆積室１の
上方において所定の間隔をおいて固定された第１及び第
２のガイド５、６と、第１及び第２のガイド５、６間に
画成される紙葉類８の搬送路９と、各ガイド５、６の中
央の開口5a,6a内を昇降し搬送路９中に位置する紙葉類
を収納台３上に押込む押込み部材10と、押込み部材10を
所定の軌道に沿って昇降させるためのガイドとなるレー
ル12と、押込み部材10を昇降させる昇降機構15とを有す
る。

この昇降機構15は、押込み部材10の基端部10aに係合
してこれを常時上方へ弾性付勢するバネ16と、一端を該
基端部10aに止着されるとともにプーリ18に巻き掛けら
れたあと回転板20に他端部を止着されたワイヤー21と、
回転板20を駆動するモータの出力軸22とを有する。符号
23はローラである。

以上の構成において、搬送路９内を紙面と直交する方
向へ搬送されてきて堆積室１上において停止した紙葉類
８は、押込み部材10の降下によって中央部を押し下げら
れて、その中央部から収納台３（或はその上の紙葉類8
a）上に圧接する。紙葉類８が収納台３上に接した後も
押込み部材10は更に降下を続け、紙葉類８の両端部が第
２ガイド６の突片6bの下端を越えて収納台３上に展開し
た後で降下を停止して上方へ戻る。押込み部材10による
押圧が解除されたあとは、バネ２による付勢力により、
紙葉類8aは収納台３と第２ガイド６との間で挟持され
る。

回転板20は、モータの出力軸22が矢印方向へ回転した
ときに回転するため、止着されたワイヤ21の一端が図示
の位置から上方へ移動すると同時にワイヤ21の他端が降
下する。このため、押込み部材10をバネ16に抗して降下
させる。押込み部材10の昇降の範囲は上述の通りであ
り、ワイヤの長さと回転板20の直径を所定に設定するこ
とにより、回転板20の一回転の間に押込み部材10の昇降
動作を一回実行できるように構成している。

ところで、上記堆積収納装置を用いた紙葉類の実際の
収納動作においては、第５図（ａ）に示すように収納台
３上の紙葉類8aのうちの最上部のもの8bの中央部が折れ
癖等に起因して上方に突出した状態で収納されることが
あるが、この突出した部分が搬送路９中に突出すると、
搬送されてくる紙葉類８の障害となるため、第２のガイ
ド６には図示のような突片6bを設けて最上部の紙葉類8b
の突出部が搬送路に干渉しないよう配慮している。ｌは
突片6bによって確保されるスペースである。

ところが第２のガイド６の突片6bが設けられている結
果、押込み部材10を無理に押込むと、押込み部材10がス
ペースｌを下方へ移動する間に収納しようとする紙葉類
８が無理な変形を強制されるため、押込み部材10との間
で滑りを起こして第５図（ｂ）に示すごとき変形を生じ
ることがある。

変形の結果、収納しようとする紙葉類８の端部が搬送
路内に残ると、収納不良が発生する。

（発明の目的） 本考案は上記に鑑みてなされたものであり、紙葉類の
搬送路を構成する下部ガイドよりも下方にスペースを形
成することによる収納不良を防止することができる紙葉
類の収納装置を提供することを目的としている。

（発明の概要） 本発明は上記目的を達成するため、弾性的に上方へ付
勢された昇降可能な紙葉類堆積用の収納台と、該収納台
が上昇位置にあるときに該収納台と接触可能となるよう
に該収納台の上昇経路に固定的に突出された薄肉平板状
の固定ガイドと、該固定ガイドの上方に所定のスペース
を隔てて配設された昇降自在な中空枠体状の可動ガイド
と、該可動ガイドの上方において昇降自在に配設され、
該固定ガイド及び可動ガイドに各々形成された押込み用
開口から該収納台に向けて降下する押込み用部材と、該
可動ガイドの中空内に形成された紙葉類搬送路とを備
え、該可動ガイドは該押し込み用部材と連動して昇降し
かつ該固定ガイドと接したときに降下を停止することを
特徴としている。

（実施例） 以下、本発明の紙葉類の収納装置を詳細に説明する。

第１図は本発明の一実施例の構成説明図であり、前記
第４図、第５図（ａ）（ｂ）に示した従来例とは搬送路
30を画成する固定ガイド25及び可動ガイド26と、昇降機
構15の各構成において相違している。

この堆積装置は、紙葉類収納用空所としての堆積室１
と、堆積室１底面に下端を止着したバネ２によって支持
された昇降可能な収納台３と、堆積室１上方内壁に固定
的に突設された平板状の固定ガイド25と、固定ガイド25
の上方において昇降可能に配設された可動ガイド26と、
可動ガイド26を構成する枠体28内に画成される紙葉類の
搬送路30と、各ガイド25、26の中央の押込み用開口25a,
26a内を昇降し搬送路30中に位置する紙葉類を収納台３
上に押込む押込み部材10と、押込み部材10及び可動ガイ
ド26を所定の軌道に沿って昇降させるためのガイドとな
るレール12と、押込み部材10及び可動ガイド26を昇降さ
せる昇降機構15とを有する。

固定ガイド25はできるだけ、薄肉であることが好まし
い。また、固定ガイドの配設位置は、紙葉類を載置して
いない収納台３がバネ２によって付勢されているとき
な、収納台上面と接し得る位置に設定する。

中空枠体状の可動ガイド26の内部に画成される搬送路
30は第１図に示した初期位置において紙面直交方向に位
置する紙葉類供給部と整合する位置関係にあることが好
ましい。

収納台３或は台３上の紙葉類の最上面と、搬送路30と
の間のスペース１は前記従来例と同様に最上部の紙葉
類の折れ曲がりによる上方への突出部が搬送されてくる
記録紙と干渉しない程度に設定する。

この昇降機構15は、押込み部材10の基端部10aに係合
してこれを常時上方へ弾性付勢するバネ16と、一端を該
基端部10aに止着されるとともにプーリ18に巻き掛けら
れたあと回転板20に他端部を止着されたワイヤー21と、
回転板20を駆動するモータの出力軸22とを有する。ま
た、可動ガイドの枠体28の基端部28aはワイヤ21に遊挿
されるとともにバネ36によって下方へ付勢され、更にワ
イヤ21に止着されたストッパ35によって支持されてい
る。

符号23はレール12に沿って押込み部材10の移動を円滑
化するローラであり、38は可動ガイドの移動を円滑化す
るローラである。

回転板20の周縁部に他端を止着されたワイヤ21は、回
転板20が図示の位置から180°回転したときに、押込み
部材10及び可動ガイド26を下方に引っ張り、更に180°
回転して図示の位置に復帰したときに押込み部材10及び
可動ガイド26を元の位置に戻す。

回転板20の回転によって押込み部材10と可動ガイド26
は、第１図に示した位置から距離１（可動ガイド26底
面と固定ガイド25との間の間隔）分を降下する間だけ等
間隔を保持するが、可動ガイド26が固定ガイド25に突当
ってそれ以上降下できなくなると、押込み部材10だけが
バネ36を圧縮しながら降下を続けて、搬送路30内の紙葉
類を収納台３（或は収納台上の紙葉類8a）上に押込む。
収納台３は押込み部材10の押圧力によって強制されてバ
ネ２を縮めて降下し、新たに収納されようとする紙葉類
が可動ガイド26及び固定ガイド25を離脱することによっ
て収納台３上に展開する。回転板20の最初の180°の回
転で、新たに収納しようとする紙葉類の収納が完了し、
次の180°の回転によって押込み部材10及び可動ガイド2
6が共に第１図に示した初期の位置に復帰する。

この初期位置は可動ガイド26にとっては、紙面直交方
向から搬送されてくる新たな紙葉類を搬送路30内に受入
れるための位置であるから、高い位置精度を確保する必
要があるが、本発明の構成によれば、搬送路30の上下幅
をある程度確保しさえすれば可動ガイド26の上下方向位
置の多少のズレに関係なく適正な受入れ位置を確保する
ことができる。

次に、第２図に示す如く収納台３上の紙葉類8aの内の
最上部のもの8bの中央部が折れ癖等によって図示のよう
に上方に突出した場合においても、干渉防止用のスペー
ス１が予め確保されているため、この突出部分が可動
ガイド26内の搬送路30内に突出して干渉し、新たな紙葉
類８を搬送する障害となることがない。

また、前記従来例において説明した如く、押込み時に
おいて、収納台上の紙葉類の上面と搬送路との間に大き
なスペースが存すると、押込み部材が新たな紙葉類８に
接した後における降下距離が増大して（即ち、スペース
分だけ余分に降下するから）、前述の如き収納不良が発
生する。

本発明によれば、押込み部材10が搬送路30中の紙葉類
８と接して押込みを開始する時点においては、可動ガイ
ド26は既に固定ガイド25に突当って停止しているため、
搬送路30と紙葉類8aの最上部との間の距離は僅かに固定
ガイド25の板厚と、可動ガイド26の枠体28の底板28aの
板厚との合計厚に過ぎない。このため、押込み部材10が
新たな紙葉類８に接した後、収納台３上の紙葉類8aの上
面に達するまでに押込む距離は数mm程度となり、新たな
紙葉類８の変形量も上記合計厚に相当する値となる。こ
のため、押込み部材と新たな紙葉類との間の滑りに起因
して、新たな紙葉類の一部が搬送路30内に残留すること
による収納不良が発生する余地がなくなる。従って、紙
葉類の収納装置の信頼性を高め、無人化運用を可能とす
ることができる。

日本国の紙幣や、米国ドル紙幣は金種間において幅が
均一であるため、搬送路の幅を一定にしておけばよく、
搬送路幅と紙葉の幅との差に起因した収納不良の発生率
は比較的低い。ところが、欧州の国々では金種によって
幅が異なってくるため、小さい幅の紙幣を搬送する場合
には幅が一定である搬送路の幅方向片側に寄せて搬送す
る必要が生じ、押込み時における横滑りや、収納後にお
ける飛び出し等が生じ易かった。本発明によれば、この
ような不都合も解消できる。

なお、上記実施例及び特許請求の範囲においては、紙
葉類の堆積方向を上下方向にした場合を記述したが、堆
積方向を水平方向その他の方向にしてもよく、上下方向
以外の方向も本発明の技術的範囲に含まれるものであ
る。

（発明の効果） 以上のように本発明の紙葉類の収納装置によれば、紙
葉類の搬送路を構成する下部ガイドよりも下方にスペー
スを形成することによる収納不良を防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図本発明の一実施例の構成及び動作順序を示す説明
図、第２図は最上部の紙葉類が突出した状態の説明図、
第３図は押込み状態の説明図、第４図は従来の堆積収納
装置の構成説明図、第５図（ａ）及び（ｂ）は最上部の
紙葉類の突出状態の説明図及び収納不良状態の説明図で
ある。 １……堆積室、２……バネ、３……収納台、５、６……
ガイド、8,8a,8b……紙葉類、９……搬送路、10……押
込み部材、12……レール、15……昇降機構、18……プー
リ、21……ワイヤー、20……回転板、25……固定ガイ
ド、26……可動ガイド、30……搬送路

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】弾性的に上方へ付勢された昇降可能な紙葉
   類堆積用の収納台と、該収納台が上昇位置にあるときに
   該収納台と接触可能となるように該収納台の上昇経路に
   固定的に突出された薄肉平板状の固定ガイドと、該固定
   ガイドの上方に所定のスペースを隔てて配設された昇降
   自在な中空枠体状の可動ガイドと、該可動ガイドの上方
   において昇降自在に配設され、該固定ガイド及び可動ガ
   イドに各々形成された押込み用開口から該収納台に向け
   て降下する押込み用部材と、該可動ガイドの中空内に形
   成された紙葉類搬送路とを備え、該可動ガイドは該押し
   込み用部材と連動して昇降しかつ該固定ガイドと接した
   ときに降下を停止することを特徴とする紙葉類の収納装
   置。