JP3541397B2 - 油性青色インキ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、経時安定性に優れ、筆記具用、記録計用及びジェットプリンター用として用いた場合、インキ吐出の良い油性青色インキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油性青色インキは、着色材として油溶性の青色染料、可溶化剤としてオレイン酸などの脂肪酸、溶剤としてキシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素を使用しているものが知られている。しかしながら、芳香族炭化水素は臭気や毒性が高い等の問題があるので、近年、溶剤として臭気や毒性が低い脂肪族アルコールを油性インキの溶剤として使用することが多く提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、溶剤として使用する脂肪族アルコールは、油溶性の青色染料の溶解性が悪く、そのため、脂肪族アルコールを溶剤として用いた油性青色インキは、筆記具、記録計及びジェットプリンターなどに用いた場合、インキ吐出が悪かったり、長期間保存した後ではカスレを生じたり、筆記が不能となることもあるなど問題の多いものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、青色染料であるα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ル及び/又はα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(フェニルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ルと、化1で示される化合物と、脂肪族アルコールと、ロジン樹脂、ブチラール樹脂又はケトン樹脂から選ばれる樹脂とを少なくとも含むことを特徴とする油性青色インキ。
【化2】
Figure 0003541397
(式中、R1は炭素数9〜20の飽和又は不飽和炭化水素、R2は水素又は炭素数1〜3のアルキル基を示す)
【0005】
以下、詳細に説明する。青色染料であるα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ル及び/又はα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(フェニルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ルは着色材として使用するものである。その使用量は、油性青色インキ全量に対し2〜15重量%が好ましい。使用量が2重量%より少なくなると筆跡とした場合の濃度が低下する場合があり、使用量が15重量%より多くなると粘度が高くなり筆記具用、記録計用及びジェットプリンター用としてインキ吐出が低くなってしまう場合がある。
【0006】
上記化1で示される物質は、青色染料であるα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ル及び/又はα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(フェニルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ルの脂肪族アルコールに対する可溶化剤として使用するものである。具体的には、カプリノイルグリシン、ウンデカノイルグリシン、ラウロイルグリシン、トリデカノイルグリシン、ミリストイルグリシン、ペンタデカノイルグリシン、パルミトイルグリシン、ヘプタデカノイルグリシン、ステアロイルグリシン、ノナデカノイルグリシン、エイコサノイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、オレオイルグリシン、trans−9−オクタデセノイルグリシン、リノ−ロイルグリシン、リノレノイルグリシン、アラキドノイルグリシン、オクタデシノイルグリシンなどのグリシン誘導体や、カプリノイルサルコシン、ウンデカノイルサルコシン、ラウロイルサルコシン、トリデカノイルサルコシン、ミリストイルサルコシン、ペンタデカノイルサルコシン、パルミトイルサルコシン、ヘプタデカノイルサルコシン、ステアロイルサルコシン、ノナデカノイルサルコシン、エイコサノイルサルコシン、ウンデシレノイルサルコシン、オレオイルサルコシン、trans−9−オクタデセノイルサルコシン、リノ−ロイルサルコシン、リノレノイルサルコシン、アラキドノイルサルコシン、オクタデシノイルサルコシンなどのサルコシン誘導体や、カプリノイル−N−エチルグリシン、ウンデカノイル−N−エチルグリシン、ラウロイル−N−エチルグリシン、トリデカノイル−N−エチルグリシン、ミリストイル−N−エチルグリシン、ペンタデカノイル−N−エチルグリシン、パルミトイル−N−エチルグリシン、ヘプタデカノイル−N−エチルグリシン、ステアロイル−N−エチルグリシン、ノナデカノイル−N−エチルグリシン、エイコサノイル−N−エチルグリシン、ウンデシレノイル−N−エチルグリシン、オレオイル−N−エチルグリシン、trans−9−オクタデセノイル−N−エチルグリシン、リノ−ロイル−N−エチルグリシン、リノレノイル−N−エチルグリシン、アラキドノイル−N−エチルグリシン、オクタデシノイル−N−エチルグリシンなどのエチルグリシン誘導体や、カプリノイル−N−プロピルグリシン、ウンデカノイル−N−プロピルグリシン、ラウロイル−N−プロピルグリシン、トリデカノイル−N−プロピルグリシン、ミリストイル−N−プロピルグリシン、ペンタデカノイル−N−プロピルグリシン、パルミトイル−N−プロピルグリシン、ヘプタデカノイル−N−プロピルグリシン、ステアロイル−N−プロピルグリシン、ノナデカノイル−N−プロピルグリシン、エイコサノイル−N−プロピルグリシン、ウンデシレノイル−N−プロピルグリシン、オレオイル−N−プロピルグリシン、trans−9−オクタデセノイル−N−プロピルグリシン、リノ−ロイル−N−プロピルグリシン、リノレノイル−N−プロピルグリシン、アラキドノイル−N−プロピルグリシン、オクタデシノイル−N−プロピルグリシンなどのプロピルグリシン誘導体といったものなどが挙げられる。この化合物は1種又は2種以上混合して使用できる。その使用量は油性青色インキ全量に対し1〜5重量%が好ましい。
【0007】
脂肪族アルコールは、溶剤として用いる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコールなどが挙げられる。これらの溶剤は1種又は2種以上混合して使用できる。その使用量は油性青色インキ全量に対して40〜90重量%が好ましい。更に、筆跡乾燥性といった点より、炭素数4以下の脂肪族アルコールを用いることがより好ましい。
【0008】
ケトン樹脂、ロジン樹脂、ブチラール樹脂は粘度の調整、着色材の定着性向上のために用いる。
具体的一例を挙げれば、ケトン樹脂として、ケトンレジンK−90(荒川化学工業(株)製)、ハロン110H(本州化学(株)製)などが、ロジン樹脂とし て、ハーコリンD、ペンタリン255、同261(以上、理化ハーキュレス(株)製)、ガムロジンWW(倉敷商事(株)製)などが、ブチラール樹脂として、デンカブチラール#2000−L、同#3000−1、同#3000−2、同#3000−4、同#3000−K(以上、電気化学工業(株)製)などが、
挙げられる。
これらの樹脂は1種又は2種以上混合して使用できる。その使用量は油性青色インキ全量に対して1〜20重量%が好ましい。
【0009】
更に、以上に示した成分以外に、必要に応じて、防腐剤、防黴剤、湿潤剤、乾燥抑制剤、粘度調節剤、凍結安定剤、消泡剤、界面活性剤など、種々の添加剤を適宜選択して使用することもできる。
【0010】
本油性青色インキの調製は、上記必須成分を従来知られている撹拌機を用いて撹拌混合し、均一に溶解することによって得られる。
【0011】
【作用】
本発明に係る油性青色インキは、青色染料であるα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ル及び/又はα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(フェニルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ルの可溶化剤として上記化1で示される化合物を用いているので、上記青色染料は、溶剤である脂肪族アルコール中に非常に良好に溶解する。しかも、この溶解状態は長期間保存しても良好に維持されるので、筆記具のペン先やプリンタ−のノズルなどで染料の不溶解物による目づまりを発生することが少なく、インキの吐出が良好であると推察される。
【0012】
【実施例】
以下、実施例により更に詳細に説明する。
【0013】
実施例1
α,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ―ル(オイルブル−8B、中央合成化学(株)製)
10重量部
ラウロイルサルコシン 3重量部
エチルアルコ−ル 60重量部
イソプロピルアルコ−ル 15重量部
ロジン樹脂(ガムロジンWW、倉敷商事(株)製) 12重量部
上記成分を撹拌機にて4時間撹拌して油性青色インキを得た。
【0014】
実施例2
α,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(フェニルアミノ)―1―ナフタレンメタノ―ル(ビクトリアブル−Bベ−ス、保土ヶ谷化学(株)製) 4重量部
パルミトイル−N−エチルグリシン 5重量部
エチルアルコ−ル 63重量部
メチルアルコ−ル 20重量部
ケトン樹脂(ハロン110H、本州化学(株)製) 8重量部
上記成分を実施例1と同様になして油性青色インキを得た。
【0015】
実施例3
α,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ―ル(ビクトリアブル−F4R、独国、BASF社製) 5重量部
ラウロイルグリシン 4重量部
イソプロピルアルコ−ル 50重量
ノルマルブチルアルコ−ル 33重量部
ブチラール樹脂(デンカブチラ−ル#3000−K、電気化学工業(株)製)8重量部
上記成分を実施例1と同様になして油性青色インキを得た。
【0016】
実施例4
α,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ―ル(オイルブル−#613、オリエント化学工業(株)製) 15重量部
ステアロイルグリシン 5重量部
エチルアルコ−ル 70重量部
フェノール樹脂(タマノ−ル510) 8重量部
ケトン樹脂(ハロン110H) 2重量部
上記成分を実施例1と同様になして油性青色インキを得た。
【0017】
実施例5
α,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ―ル(オイルブル−#613、オリエント化学工業(株)製) 6重量部
α,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(フェニルアミノ)―1―ナフタレンメタノ―ル(ビクトリアブル−Bベ−ス、保土ヶ谷化学(株)製) 2重量部
オクタデシノイル−N−エチルグリシン 5重量部
エチルアルコ−ル 40重量部
プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル(乾燥抑制剤) 32重量部
ロジン樹脂(ガムロジンWW) 15重量部
上記成分を実施例1と同様になして油性青色インキを得た。
【0018】
比較例1
実施例1においてラウロイルサルコシンを除き、その量だけオレイン酸を加えた他は、実施例1と同様になして油性青色インキを得た。
【0019】
上記、実施例1〜5、比較例1で得た油性青色インキを、繊維芯のペン先、中 綿を使用した筆記具(マ−クぺんてるMS50、ぺんてる(株)製)に2g充填し、インキ吐出試験、経時後筆記試験及びインキ反応性試験を行なった。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0003541397
【0021】
インキ吐出性試験螺旋式筆記試験機を用いてJIS P 3201筆記用紙Aに、筆記速度10cm/秒、筆記荷重100g、筆記角度60゜で100m筆記したときのインキ吐出量を測定した。(単位:g)
【0022】
経時後筆記試験上記の油性青色インキを充填した筆記具を50℃恒温室に一ヶ月保管した後、JIS P 3201筆記用紙Aに手書きで螺旋筆記した。
評価 ○:あざやかで良好な筆跡が得られた
×:筆記不能
【0023】
インキ反応性試験上記の油性青色インキを蓋付きビンに密封し、50℃恒温室に3ヶ月保管した後、濾紙(アドバンテック東洋(株)製)に点滴し、その状態を観察した。
評価 ○:残渣なし
△:少し残渣あり
×:残渣あり
【0024】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る油性青色インキは、インキ吐出性に優れると共に経時後も良好に筆記ができ、更に長期間保管しても染料の溶解性が低下しないという特徴を有するものである。

Claims (1)

  1. 青色染料であるα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(エチルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ル及び/又はα,α―ビス[4―(ジメチルアミノ)フェニル]―4―(フェニルアミノ)―1―ナフタレンメタノ−ルと、化1で示される化合物と、脂肪族アルコールと、ロジン樹脂、ブチラール樹脂又はケトン樹脂から選ばれる樹脂とを少なくとも含むことを特徴とする油性青色インキ。
    Figure 0003541397
    (式中、R1は炭素数9〜20の飽和又は不飽和炭化水素、R2は水素又は炭素数1〜3のアルキル基を示す)
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