JP3541253B2 - モノアリルナフトール化合物を含有するエポキシ樹脂用硬化剤およびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

モノアリルナフトール化合物を含有するエポキシ樹脂用硬化剤およびエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なモノアリルナフトール化合物、該化合物を含有するエポキシ樹脂用硬化剤およびエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、電気電子部品、特に半導体封止用材料の分野では半導体素子を外部環境から保護するためにエポキシ樹脂組成物で封止する方法が広く採用されている。この組成物はエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、充填剤およびその他の添加剤で構成されている。エポキシ樹脂としては、フェノール類とホルムアルデヒドとの反応により得られたノボラック樹脂をエポキシ化した樹脂、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が広く用いられ、硬化剤としては、フェノール・ホルムアルデヒドノボラック樹脂が採用されている。
【0003】
しかし、近年の半導体素子における高密度、高集積化の傾向は、封止材に対して耐熱性、耐湿性および密着性などの諸特性のより一層の向上を求めている。
【0004】
とりわけ、表面実装方式による半導体素子の実装においては、半導体素子のパッケージが200〜260℃程度の高温のオーブンに入れられ、苛酷な温度条件にさらされる。そのため、前記のエポキシ樹脂組成物を用いても、未だ半導体素子のパッケージにクラックが発生するという問題があり、硬化物に対する高耐熱性、低吸水性および高密着性の要求をますます強めている。
【0005】
これらの要求を満たすものとしてナフトールとアルデヒドとを反応させたノボラック樹脂などが提案されている。この樹脂はナフトール骨格を導入することによって硬化物の耐熱性、耐湿性などの物性を改善しようとするものであり、事実これらの点では優れた特性を与えるものであるが、反面、高粘度で成形作業性が悪い、密着性が悪いなどの問題を有する。
【0006】
一方、フェノールと塩化アリルから得られるアリルフェノール、ビスフェノール類から得られるジアリルビスフェノール、α−ナフトールと塩化アリルから得られるアリルα−ナフトール等が公知物質として知られている。しかし、モノアリルβ−ナフトールやモノアリルジヒドロキシナフタレンは知られておらず、しかも、これらをエポキシ樹脂用硬化剤の希釈剤として用いた例はなく、これらを含む硬化剤やエポキシ樹脂組成物も知られていない。
【0007】
本発明の課題は、エポキシ樹脂の硬化剤の希釈剤や変性剤や改質剤として有用であり、硬化剤の融点と溶融粘度を低下させて優れた作業性を付与し、かつ、高いガラス転移温度、耐熱性、耐湿性、密着性および可撓性を有してクラックが発生しない硬化物を与えることができる新規なモノアリルナフトール化合物を提供する処にある。
【0008】
また、本発明の他の課題は、ガラス転移温度が高く、耐熱性、耐湿性、密着性および可撓性に優れ、パッケージにクラックが発生するのを防止できる新規なエポキシ樹脂組成物を提供する処にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のモノアリルナフトール化合物は、β−ナフトールまたはジヒドロキシナフタレンにアリル基1個を導入したものであり、下記一般式で示される。
【0010】
【化3】
Figure 0003541253
【0011】
本発明のモノアリルナフトール化合物において、水酸基が1個の場合にはその水酸基の位置は2−位であり、水酸基が2個の場合にはそれらの水酸基の位置は1−位から8−位の任意の位置である。
【0012】
本発明のモノアリルナフトール化合物は、エポキシ樹脂の硬化剤の変性剤として有用である。エポキシ樹脂の硬化剤として提案されているナフトール類のアルデヒド縮合物は、高粘度で成形作業性が悪いという問題を有しているが、この縮合物に本発明のモノアリルナフトール化合物を配合することにより、融点や溶融粘度が著しく低下し、優れた作業性能が得られる。しかも、本発明のモノアリルナフトール化合物を含有するエポキシ樹脂組成物は、アリル基の反応により架橋密度を上げられ、その硬化物は高いガラス転移温度を示し、耐熱性、耐湿性、密着性および可撓性に優れている。
【0013】
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は、上記一般式で示されるモノアリルナフトール化合物、およびナフトール類のアルデヒド縮合物を含有してなる。
【0014】
このナフトール類のアルデヒド縮合物としてはどのようなものでもよいが、特にα−ナフトール・アルデヒド縮合物、β−ナフトール・アルデヒド縮合物、α−ナフトール・β−ナフトール・アルデヒド縮合物、ナフトール・フェノール・アルデヒド縮合物、ナフトール・アルキルフェノール・アルデヒド縮合物、ジヒドロキシナフタレン・アルデヒド縮合物、ジヒドロキシナフタレン・フェノール・アルデヒド縮合物、ジヒドロキシナフタレン・アルキルフェノール・アルデヒド縮合物、ジヒドロキシナフタレン・ナフトール・アルデヒド縮合物のいずれかまたはそれらの混合物が有用である。また、このアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザールなどの脂肪族アルデヒドや、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが有用である。
【0015】
このナフトール類のアルデヒド縮合物は、常法に従い、原料や溶剤にとかした原料に、必要によりアルカリ触媒や酸触媒を加えて加熱撹拌すれば容易に得ることができる。
【0016】
ナフトール類のアルデヒド縮合物とモノアリルナフトール化合物との配合比(重量比)は、97/3〜50/50、好ましくは95/5〜65/35である。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記モノアリルナフトール化合物とナフトール類のアルデヒド縮合物とからなる硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有してなる。
【0018】
エポキシ樹脂の種類は特に限定されず、従来公知のものが用いられる。例えば、ビスフェノール型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでも、軟化点が室温を超えており、室温下では固形状もしくは高粘度の溶液状を呈するものが好結果をもたらす。
【0019】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、通常、エポキシ当量160〜200、軟化点50〜130℃のものが用いられ、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量180〜210、軟化点50〜130℃のものが用いられ、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量180〜210、軟化点60〜110℃のものが一般的に用いられる。
【0020】
前記硬化剤を含む本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含むのが好ましく、その場合には半導体封止用組成物として特に有効である。
【0021】
本発明のモノアリルナフトール化合物を高純度、高収率で得るためには、下記の2方法で製造するのが良く、いずれの方法によってもよい。
【0022】
(A法)予め、ナフトール類と塩基と水と、必要により有機溶剤を加えて均一混合し、フェノラート化させ、その溶液系にハロゲン化アリルを長時間かけて滴下しながらアリル化反応を行ない、次いで高温加熱してクライゼン転位させて製造する方法。
【0023】
(B法)ナフトール類とハロゲン化アリルと必要により有機溶剤を加え、均一混合し、その溶液系に塩基の水溶液を滴下しながらアリル化し、次いで加熱してクライゼン転位させて製造する方法。
【0024】
アリル化するナフトール類はβ−ナフトールまたはジヒドロキシナフタレンであり、ジヒドロキシナフタレンとしては、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンなどが挙げられる。
【0025】
使用するハロゲン化アリルとしては、通常、塩化アリルおよび臭化アリルが用いられるが、主として経済的な理由から塩化アリルが好ましい。
【0026】
また、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどの脂肪族アルコールのアルカリ金属アルコラート;などの水溶性塩基が用いられる。特に、反応性と経済性より水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。
【0027】
これらの方法におけるハロゲン化アリルと塩基の使用量は、ナフトール類1モルに対して両者とも1.0〜2.0モルの範囲であり、1.0〜1.5モルの範囲が好ましい。ハロゲン化アリルは、塩基と等モルかまたはそれ以上使用するのが好ましい。ハロゲン化アリルと塩基の使用量がナフトール類1モルに対して1.0モル未満になると、反応性が悪くなる。
【0028】
これらの反応は有機溶剤の存在下で行なわせるのが好ましく、その有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
【0029】
A法のアリル化反応を詳述すると、まず、溶剤にナフトール類を溶解し、これに所定量の塩基または塩基の水溶液を加えて均一化する。次いで、撹拌しながらこの反応系の温度を20〜100℃、好ましくは50〜99℃に昇温し、ハロゲン化アリルを1時間以上、好ましくは2時間以上かけて滴下しながら反応させる。滴下終了後さらに必要により1〜4時間撹拌する。水を使用する場合には、生成するアリルエーテルが水に不溶であるので、反応の進行につれて反応液が懸濁して不均一になる。そのため、反応液を100〜1000rpmで撹拌する方が好ましい。アリル化反応終了後、無機塩類あるいは水層を除去し、有機層を適量の蒸留水で数回洗浄する。その後、有機層から溶剤を留去すると、アリルエーテル化物含有生成物が得られる。次いで、この反応生成物を無溶剤下あるいは溶剤存在下で転位反応させる。この転位反応は100〜170℃の温度で1〜12時間、好ましくは120〜150℃で2〜6時間行なう。このようにして、ほぼ100%のモノアリルナフトール化合物が得られる。
【0030】
B法のアリル化反応を詳述すると、まず、溶剤にナフトール類を溶解し、これに所定量のハロゲン化アリルを加えて均一化する。次いで、撹拌しながら反応系の温度を20〜100℃、好ましくは40〜90℃に昇温し、アルカリ金属水酸化物の水溶液を1〜10時間、好ましくは2〜6時間かけて滴下して反応させる。滴下終了後さらに必要により1〜4時間撹拌する。水を使用する場合には、A法同様、反応系を100〜1000rpmで撹拌する方が良い。アリル化反応終了後は、A法と同様に、洗浄、精製し、クライゼン転位反応を行なう。この方法でもほぼ100%のモノアリルナフトール化合物が得られる。
【0031】
以上のようにして得られた本発明のモノアリルナフトール化合物は、熱硬化性樹脂原料、各種樹脂の変性剤、改質剤や希釈剤や硬化剤、ファインケミカルズ中間原料などとして有用である。特に、エポキシ樹脂の硬化剤として検討されているナフトール類のアルデヒド縮合物の変性剤として使用すると、得られる樹脂組成物の流動性が良くなって成形作業性に優れる。さらに、できた硬化物は、耐熱性、耐湿性、密着性および可撓性を有し、クラックの発生が防止される。
【0032】
次に、応用評価について説明する。
【0033】
まず、硬化剤の主剤であるナフトール類のアルデヒド縮合物に、本発明のモノアリルナフトール化合物を3〜50重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で配合し、これらの合計フェノール性水酸基に対するエポキシ樹脂のエポキシ基のモル比が通常1/0.8〜1.2、好ましくは1/0.9〜1.1となるようにエポキシ樹脂を配合し、さらに硬化触媒(例えば、リン系化合物、イミダゾール類、第三級アミン類、有機塩基類)を、全樹脂組成物の0.1〜3.0重量%となるように加える。
【0034】
必要に応じて、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、充填剤、充填剤の表面を処理するための表面処理剤、難燃剤、離型剤、着色剤、可撓性付与剤などが挙げられる。
【0035】
充填剤の種類は、特に限定されず、例えば、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉、石英ガラス粉、タルク、ケイ酸カルシウム粉、ケイ酸ジルコニウム粉、アルミナ粉、炭酸カルシウム粉などが挙げられる。これらの充填剤のなかで、シリカ系充填剤が好ましい。充填剤の割合は、全組成物の60〜90重量%、好ましくは70〜85重量%である。充填剤の配合量が90重量%を超えると、組成物の流動性が低下して成形が困難となり、60重量%未満では熱膨張が大きくなる傾向がある。
【0036】
表面処理剤としては、公知のシランカップリング剤などが挙げられ、難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、リン酸塩、臭素化物が挙げられる。離型剤としては、各種ワックス類が挙げられ、着色剤としては、カーボンブラックなどが挙げられる。可撓性付与剤には、例えば、シリコーン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴムなどが含まれる。
【0037】
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製方法は、特に限定されず、常法に従って行なうことができる。また、この樹脂組成物を用いて半導体を封止する際の条件は、適当に選択でき、特に限定されない。封止条件の一例を具体的に説明すると、例えば、175℃、成形圧100kg/cmでの3分間の成形と、180℃での5時間の後硬化などである。通常はトランスファー成形によって成形される。
【0038】
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、耐熱性、耐湿性、密着性および可撓性に優れ、クラックの発生を防止できる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の態様を具体的に例示して説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
なお、合成物の分析・同定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)、赤外吸収スペクトル(IR)および核磁気共鳴スペクトル(NMR)により行なった。以下にGPCとNMRの測定条件を示す。
【0041】
(GPC分析)
溶 媒: テトラヒドロフラン
流 量: 0.8ml/min
カラム: 東ソー(株)製のG4000H、G3000H、G2000H(直列)であって、排除限界分子量がそれぞれ400,000、60,000、10,000である。
担 体: スチレン・ジビニルベンゼン共重合体
(NMR)
合成物のNMRスペクトルは以下に帰属されていることで確認を行なった。
【化4】
Figure 0003541253
【0042】
実施例1
撹拌装置、還流冷却管、温度計を備えた反応容器内に、β−ナフトール144g(1モル)、水酸化ナトリウム48g(1.2モル)の水溶液240gおよびメチルイソブチルケトン200gを仕込み、撹拌しながら80℃に加熱して均一化させてフェノラート化させた。この反応液に塩化アリル91.8g(1.2モル)を、滴下ロートを用いて3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間撹拌して反応させた。反応終了後、2層に分離した反応液を分液ロートに移し、下層の水層を分離除去した後、有機層を500mlの蒸留水で5回洗浄した。次いで、この有機層から減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に留去した。得られた反応生成物は液状物であった。この反応生成物は、未反応ナフトール0重量%、アリルエーテル化物12.0重量%、アリルナフトール88.0重量%の混合物であった。
【0043】
次に、この反応生成物を反応容器に移し、140℃に加熱して2時間撹拌して転位反応を行なった。その結果、赤褐色の液状物が得られた。この生成物は、未反応ナフトール0重量%、アリルエーテル化物0.5重量%、下記式で示されるモノアリルβ−ナフトール99.5重量%の化合物(A−1)であった。この化合物の赤外吸収スペクトルを図1に示す。
【0044】
【化5】
Figure 0003541253
【0045】
実施例2
撹拌装置、還流冷却管、温度計を備えた反応容器内に、β−ナフトール144g(1モル)、メチルイソブチルケトン200g、塩化アリル99.5g(1.3モル)を仕込み、80℃に加熱して均一に溶解した後、撹拌しながら水酸化ナトリウム(1.3モル)の10%水溶液を滴下ロートにより2時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間撹拌して反応させた。反応終了後、2層に分離した反応液を分液ロートに移し、下層の水層を分離除去した後、有機層を500mlの蒸留水で5回洗浄した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に留去した。得られた反応生成物は、赤褐色の液状物であった。この反応生成物は、未反応ナフトール0重量%、アリルエーテル化物10重量%、アリルナフトール90重量%の混合物であった。
【0046】
次に、この反応生成物を反応容器に移し、140℃に加熱して2時間撹拌して転位反応を行なった。その結果、赤褐色の液状物が得られた。この生成物は、実施例1で得られたのと同じモノアリルβ−ナフトール(純度100%)の化合物(A−2)であった。
【0047】
実施例3
β−ナフトールの代わりに1,6−ジヒドロキシナフタレン160g(1モル)を使用する以外は実施例1と同様にして、アリルナフトール化合物(A−3)を合成した。得られた最終生成物は黄褐色の液状物で、下記式で示されるモノアリル1,6−ジヒドロキシナフタレン(純度98.2%)であった。
【0048】
【化6】
Figure 0003541253
【0049】
実施例4
β−ナフトールの代わりに1,6−ジヒドロキシナフタレン160g(1モル)を使用する以外は実施例2と同様にして、アリルナフトール化合物(A−4)を合成した。得られた最終生成物は黄褐色の液状物で、実施例3で得られたのと同じモノアリル1,6−ジヒドロキシナフタレン(純度99.6%)であった。
【0050】
実施例5〜11
表1に示すナフトール類のアルデヒド縮合物に、モノアリルβ−ナフトール(A−1)またはモノアリル1,6−ジヒドロキシナフタレン(A−3)を表2に示す割合(重量部)で配合し、エポキシ樹脂用硬化剤を調製した。
【0051】
【表1】
Figure 0003541253
【0052】
【表2】
Figure 0003541253
【0053】
配合物の溶融粘度(150℃)と融点を、配合前のナフトール・アルデヒド縮合物(B−1〜B−6)のそれと比較して表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 0003541253
【0055】
実施例12〜18および比較例1
下記に示すエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、充填剤、三酸化アンチモン、シランカップリング剤、ワックスおよびカーボンブラックを、表4に示す割合(重量部)で配合して、二本ロールで70〜110℃の温度にて混練した後に冷却し、粉砕して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0056】
Figure 0003541253
【0057】
得られた組成物を、175℃、100kg/cm、3分間の硬化条件で成形し、次いで、180℃、6時間の条件でポストキュアーさせて成形試験片を作製した。この試験片は、80ピン四方向フラットパッケージ(80ピンQFP、サイズ20×14×2mm)であり、ダイパッドサイズ8×8mmである。
【0058】
このようにして得られた半導体装置について、−50℃/5分〜150℃/5分のTCTテストを行ないクラック発生数を調べた。また、前記試験片を、85℃/85%RHの相対湿度の恒温槽中に放置して吸湿させた後に、260℃の半田溶融液に10秒間浸漬して耐クラック性試験を行なった。結果を表5に示す。
【0059】
また、得られた試験片の200℃における曲げ強度(高温強度)、ガラス転移温度、熱膨張係数、85℃/85%RHで500時間の加湿試験後の吸水率を調べた。結果を表6に示す。
【0060】
【表4】
Figure 0003541253
【0061】
【表5】
Figure 0003541253
【0062】
【表6】
Figure 0003541253
【0063】
【発明の効果】
本発明のモノアリルナフトール化合物は、各種樹脂の変性剤、改質剤、希釈剤および硬化剤として有効に利用できる。特に、エポキシ樹脂用硬化剤の変性剤として利用すると、成形作業性に優れるとともに、得られるエポキシ樹脂硬化物が耐熱性、耐湿性、密着性および可撓性に優れ、半田処理においてもパッケージにクラックが発生しにくい。
【0064】
このモノアリルナフトール化合物を配合した硬化剤を含む本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れ、また機械的強度も大きく、しかも吸水率が小さく耐湿性に優れ、半田処理においてもクラックの発生が極めて少ない。そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体封止用組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造したモノアリルナフトール化合物の赤外吸収スペクトル図である。

Claims (2)

  1. 下記一般式で示されるアリル基を1個有するナフトール化合物、およびナフトール類のアルデヒド縮合物を含有してなるエポキシ樹脂用硬化剤。
    Figure 0003541253
  2. 下記一般式で示されるアリル基を1個有するナフトール化合物、ナフトール類のアルデヒド縮合物およびエポキシ樹脂を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0003541253
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