JP3539982B2 - 水性被覆組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は主としてポリ塩化ビニルやポリエステル等のプラスチックのフィルムの表面に塗布して、該フィルム表面に撥水性、潤滑性、離型性等を付与するために使用される水性被覆組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば農業用軟質ポリ塩化ビニル、防塵性ポリ塩化ビニル等に耐水性、防塵性、バリヤー性、剥離性等を付与する目的や、磁気テープ、熱転写リボン等の基材として使用されるポリエステル系のポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルム基材の表面または裏面に撥水性、潤滑性、離型性等を付与するためにコーティング処理が行われる。
【0003】
従来、このようなプラスチックフィルムの表面コーティング処理に使用されるコーティング剤としては、合成樹脂エマルジョンまたは水溶性合成樹脂水溶液等のベースにシリコン系あるいはフッ素系の高分子界面活性剤を添加したものが提供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のコーティング剤は上記高分子界面活性剤を上記ベースに添加して撥水性、潤滑性、離型性等を付与する添加型であるため。上記高分子界面活性剤の移行、効果の持続性等に問題があり、またプラスチックフィルムと塗膜との間にも上記高分子界面活性剤が存在して、上記プラスチックフィルムと塗膜との密着性に悪影響を及ぼすと云う問題点もあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、末端にラジカル重合性ビニル基を有するシリコンマクロモノマーAと、分子内にリン酸基を含有するビニル単量体Bと、上記シリコンマクロモノマーAおよび上記ビニル単量体Bと共重合可能な他のビニル単量体Cとからなり、アルカリ中和により水で希釈可能とした水性グラフト共重合体と、水希釈可能なメラミン樹脂とからなる水性被覆組成物を提供するものである。
【0006】
本発明を以下に詳細に説明する。
〔シリコンマクロモノマーA〕
本発明で使用されるシリコンマクロモノマーAとは末端にラジカル重合性のビニル基を有するシリコンマクロモノマーであり、このようなシリコンマクロモノマーは例えばポリジアルキルシロキサンの末端のOH基を利用してエステル化によってアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のα−β不飽和脂肪酸を導入したり、エステル交換によってメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート等のアクリルエステル、メタクリルエステルを導入することによって得られるポリジアルキルシロキサンのモノアクリルまたはメタクリルエステル、あるいはアリルアルコール等のOH基を有するビニル単量体をエーテル化によって導入することによって得られるポリジアルキルシロキサンのモノアリルエーテル等がある。
通常上記ポリジアルキルシロキサンとしては分子量が1000〜50000程度のもので、アルキル基は炭素数4以下の低級アルキル基を有するものが使用される。
【0007】
〔リン酸基含有ビニル単量体B〕
本発明において使用されるリン酸基含有ビニル単量体Bとは、例えばβ−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、β−ヒドロキシ−γクロロプロピルアクリレート、β−ヒドロキシ−γクロロプロピルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルとリン酸とのモノまたはジエステルである。
上記リン酸基含有ビニル単量体Bを更に具体的に例示すれば、下記の通りである。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【0008】
〔他のビニル単量体C〕
本発明に使用される他のビニル単量体Cとは上記シリコンマクロモノマーAおよび上記リン酸基含有ビニル単量体Bと共重合可能なものであり、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、iso-ブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニル、弗化ビニリデン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のビニル単量体がある。
【0009】
〔グラフト共重合体の製造〕
本発明のグラフト共重合体は通常溶液重合によって製造される。上記溶液重合に使用される溶剤としては通常メタノール、エタノール、iso-プロパノール、sec-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水溶性有機溶剤の一種または二種以上、あるいは上記水溶性有機溶剤の一種または二種以上と若干量の水との混合溶剤等があり、また上記溶液重合に使用される重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等の油溶性開始剤がある。
【0010】
単量体処方としては、通常シリコンマクロモノマーAの一種または二種以上が10〜50重量%程度、リン酸基含有ビニル単量体Bの一種または二種以上が2〜8重量%程度、ビニル単量体Cの一種または二種以上が40〜80重量%程度とし、単量体濃度は通常30〜50重量%程度とする。
【0011】
このようにして得られたグラフト共重合体はアルカリによって中和されて水溶性ないし水分散性とされ、水で希釈することが出来るようになる。この際使用されるアルカリとしては主としてトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン、アンモニア等の揮発性アルカリがあるが、カセイソーダ、カセイカリ、炭酸ソーダ等の不揮発性アルカリが使用されてもよい。
上記アルカリによる中和は完全中和であっても部分中和であってもよく、また中和は重合前に行われてもよい。
【0012】
本発明においては重合後あるいはアルカリ中和後に所望なれば蒸留により使用した水溶性有機溶剤を除去して水と置換してもよい。
【0013】
更に本発明においては溶液重合に代えてエマルジョン重合が適用されてもよい。
上記エマルジョン重合にあたっては主としてノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤が用いられ、重合開始剤としては過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、過硫酸カリ、過ホウ酸ソーダ等の水溶性開始剤、あるいは上記水溶性開始剤と次亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ、アスコルビン酸ソーダ等の還元剤を併用したレドックス系が使用される。
【0014】
〔調合〕
このようにして得られた水性グラフト共重合体溶液には、架橋剤として水希釈可能なメラミン樹脂が添加される。
上記水希釈可能なメラミン樹脂としては例えばトリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、トリメトキシメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル化メラミン、メチルエチル混合アルキル化メラミンのようなメチロールメラミン、低級アルコキシメチロールメラミン、低級アルキル化メラミン等がある。
上記水希釈可能なメラミン樹脂は望ましくは上記水性グラフト共重合体溶液に対して固形分比で5〜30重量%の範囲で添加される。上記メラミン樹脂の添加量が5重量%未満であれば架橋密度が不足し良好な耐溶剤性や物理特性が得られずまた30重量%を越えると耐水性に劣る結果を生ずる。
【0015】
〔コーティング〕
このようにして得られた本発明の被覆組成物は例えばPVCフィルム、PETフィルム等の基材にスプレー、ロールコーター、フローコーター、スピンコート等の通常のコーティング方法にて通常1μm以下の膜厚で塗布される。
上記コーティングによって得られた塗膜は常温乾燥においても架橋するが、通常は100〜120℃で3〜7分程度の強制乾燥が行われる。
【0016】
【作用】
本発明の被覆組成物は水希釈性があり、有機溶剤の毒性、引火性等の問題は解消される。そして本発明の被覆組成物を基材にコーティングした場合にはメラミン樹脂とリン酸基とにより架橋を生じ、耐水性、物理特性の良好な塗膜となる。そして該塗膜において水性グラフト共重合体は側鎖にポリシロキサンあるいはポリジアルキルシロキサン鎖を有するから外側に該ポリシロキサンあるいはポリジアルキルシロキサン鎖が配向され、それによって良好な撥水性、潤滑性、離型性が得られ、また上記ポリシロキサンあるいはポリジアルキルシロキサン鎖は化学的に結合されているから、転移、移行等がなく、効果は長時間にわたって持続的である。また基材側にはリン酸基含有ビニル単量体Bおよびビニル単量体Cに由来する主鎖が配されるから、基材に対して良好な密着性が得られ、またリン酸基のアルカリ塩のために良好な導電性が得られる。
【0017】
【実施例】
〔実施例1〕(グラフト共重合体Aの製造)
攪拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1lのフラスコにイソプロピルアルコール200重量部(以下単に部とする)を仕込み、窒素ガスにより30分間バブリングを行った後、温度を80℃に昇温する。別に用意した滴下ロートにメチルメタクリレート40部、β−ヒドロキシエチルメタクリレート25部、ホスマーM(ユニケミカル社製商品名:アシッドフォスホオキシエチルメタクリレート)5部、AK−30(東亞合成化学工業株式会社製商品名:シリコンマクロモノマー 分子量約30000)30部、およびアゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合液を入れ2時間かけて滴下する。
1時間後にアゾビスイソブチロニトリル0.1部をメチルエチルケトン30部に溶解した溶液を添加し80℃で5時間反応させた。
このようにして固形分が30.3重量%の乳白色の樹脂液を得た。
次に該樹脂液にジメチルエタノールアミン4.2部、イオン交換水233部を加え共沸により有機溶媒を2時間かけて除去した。
このようにして固形分が30重量%の乳白色の水性グラフト共重合体Aを得た。
【0018】
〔実施例2〕(グラフト共重合体Bの製造)
実施例1と同じ装置で、スチレン30部、β−ヒドロキシエチルメタクリレート30部、ホスマーM10部、FM0725(チッソ株式会社製商品名:末端メタクリロキシ基ポリジメチルシロキサン 分子量10000)30部、およびアゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合液を滴下し、トリエチルアミン9.6部とした以外はすべて実施例1と同じ操作に従って重合を行った。
このようにして固形分が30重量%、乳白色の水性グラフト共重合体Bを得た。
【0019】
〔比較例1〕(比較共重合体Cの製造)
実施例2においてホスマーMをメタクリル酸10部とした以外はすべて同じ配合、操作に従って重合して固形分が30重量%の乳白色の比較共重合体Cを得た。
【0020】
〔比較例2〕(比較共重合体Dの製造)
実施例1,2と同じ装置で、フラスコにイオン交換水200部、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換しながら80℃に昇温する。別にメチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート98部、ホスマーM 2部、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム2部、過硫酸カリウム0.5部をホモジナイザーにより乳化したモノマーエマルジョンを2時間にわたり滴下した後さらに85℃で3時間保持して固形分が40重量%の乳白色エマルジョンである比較共重合体Dを得た。
【0021】
上記実施例1,2および比較例1,2によって得られた共重合体A,B,C,Dについて、表1に示す処方で試料を調合し、厚さ100μmのPETフィルムにロールコーターによって上記試料を夫々膜厚1μmとなるように塗装し、110℃×5分の強制乾燥を行った後、耐水性および物理特性についての試験を行った。その結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1によれば、本発明の水性被覆組成物を使用した試料1,2,3では良好な架橋性(ゲル分率)、潤滑性(動摩擦係数)、密着性、耐水性が得られるが、リン酸基をカルボキシル基に代えた比較共重合体Cを使用した比較試料1では架橋性に劣り、したがって耐水性が悪化し、また耐水性試験後の潤滑性も大巾に低下する。また架橋剤を添加しない比較試料2も同様に架橋性に劣り、耐水性および耐水性試験後の潤滑性が大巾に低下している。更にシリコンマクロモノマーを使用せずシリコンを後添加した比較試料3では架橋性は比較試料1,2に比して良好であるが、試料1,2,3に比しては低く、かつ潤滑性および密着性が劣る。
【0024】
【発明の効果】
したがって、本発明においては毒性、引火性の危険のない水性被覆組成物を使用して、撥水性、潤滑性、離型性、密着性の良好なかつ耐久性のある塗膜が得られる。
【産業上の利用分野】
本発明は主としてポリ塩化ビニルやポリエステル等のプラスチックのフィルムの表面に塗布して、該フィルム表面に撥水性、潤滑性、離型性等を付与するために使用される水性被覆組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば農業用軟質ポリ塩化ビニル、防塵性ポリ塩化ビニル等に耐水性、防塵性、バリヤー性、剥離性等を付与する目的や、磁気テープ、熱転写リボン等の基材として使用されるポリエステル系のポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルム基材の表面または裏面に撥水性、潤滑性、離型性等を付与するためにコーティング処理が行われる。
【0003】
従来、このようなプラスチックフィルムの表面コーティング処理に使用されるコーティング剤としては、合成樹脂エマルジョンまたは水溶性合成樹脂水溶液等のベースにシリコン系あるいはフッ素系の高分子界面活性剤を添加したものが提供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のコーティング剤は上記高分子界面活性剤を上記ベースに添加して撥水性、潤滑性、離型性等を付与する添加型であるため。上記高分子界面活性剤の移行、効果の持続性等に問題があり、またプラスチックフィルムと塗膜との間にも上記高分子界面活性剤が存在して、上記プラスチックフィルムと塗膜との密着性に悪影響を及ぼすと云う問題点もあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、末端にラジカル重合性ビニル基を有するシリコンマクロモノマーAと、分子内にリン酸基を含有するビニル単量体Bと、上記シリコンマクロモノマーAおよび上記ビニル単量体Bと共重合可能な他のビニル単量体Cとからなり、アルカリ中和により水で希釈可能とした水性グラフト共重合体と、水希釈可能なメラミン樹脂とからなる水性被覆組成物を提供するものである。
【0006】
本発明を以下に詳細に説明する。
〔シリコンマクロモノマーA〕
本発明で使用されるシリコンマクロモノマーAとは末端にラジカル重合性のビニル基を有するシリコンマクロモノマーであり、このようなシリコンマクロモノマーは例えばポリジアルキルシロキサンの末端のOH基を利用してエステル化によってアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のα−β不飽和脂肪酸を導入したり、エステル交換によってメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート等のアクリルエステル、メタクリルエステルを導入することによって得られるポリジアルキルシロキサンのモノアクリルまたはメタクリルエステル、あるいはアリルアルコール等のOH基を有するビニル単量体をエーテル化によって導入することによって得られるポリジアルキルシロキサンのモノアリルエーテル等がある。
通常上記ポリジアルキルシロキサンとしては分子量が1000〜50000程度のもので、アルキル基は炭素数4以下の低級アルキル基を有するものが使用される。
【0007】
〔リン酸基含有ビニル単量体B〕
本発明において使用されるリン酸基含有ビニル単量体Bとは、例えばβ−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、β−ヒドロキシ−γクロロプロピルアクリレート、β−ヒドロキシ−γクロロプロピルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルとリン酸とのモノまたはジエステルである。
上記リン酸基含有ビニル単量体Bを更に具体的に例示すれば、下記の通りである。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【0008】
〔他のビニル単量体C〕
本発明に使用される他のビニル単量体Cとは上記シリコンマクロモノマーAおよび上記リン酸基含有ビニル単量体Bと共重合可能なものであり、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、iso-ブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニル、弗化ビニリデン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のビニル単量体がある。
【0009】
〔グラフト共重合体の製造〕
本発明のグラフト共重合体は通常溶液重合によって製造される。上記溶液重合に使用される溶剤としては通常メタノール、エタノール、iso-プロパノール、sec-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水溶性有機溶剤の一種または二種以上、あるいは上記水溶性有機溶剤の一種または二種以上と若干量の水との混合溶剤等があり、また上記溶液重合に使用される重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等の油溶性開始剤がある。
【0010】
単量体処方としては、通常シリコンマクロモノマーAの一種または二種以上が10〜50重量%程度、リン酸基含有ビニル単量体Bの一種または二種以上が2〜8重量%程度、ビニル単量体Cの一種または二種以上が40〜80重量%程度とし、単量体濃度は通常30〜50重量%程度とする。
【0011】
このようにして得られたグラフト共重合体はアルカリによって中和されて水溶性ないし水分散性とされ、水で希釈することが出来るようになる。この際使用されるアルカリとしては主としてトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン、アンモニア等の揮発性アルカリがあるが、カセイソーダ、カセイカリ、炭酸ソーダ等の不揮発性アルカリが使用されてもよい。
上記アルカリによる中和は完全中和であっても部分中和であってもよく、また中和は重合前に行われてもよい。
【0012】
本発明においては重合後あるいはアルカリ中和後に所望なれば蒸留により使用した水溶性有機溶剤を除去して水と置換してもよい。
【0013】
更に本発明においては溶液重合に代えてエマルジョン重合が適用されてもよい。
上記エマルジョン重合にあたっては主としてノニオン界面活性剤および/またはアニオン界面活性剤が用いられ、重合開始剤としては過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、過硫酸カリ、過ホウ酸ソーダ等の水溶性開始剤、あるいは上記水溶性開始剤と次亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ、アスコルビン酸ソーダ等の還元剤を併用したレドックス系が使用される。
【0014】
〔調合〕
このようにして得られた水性グラフト共重合体溶液には、架橋剤として水希釈可能なメラミン樹脂が添加される。
上記水希釈可能なメラミン樹脂としては例えばトリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、トリメトキシメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル化メラミン、メチルエチル混合アルキル化メラミンのようなメチロールメラミン、低級アルコキシメチロールメラミン、低級アルキル化メラミン等がある。
上記水希釈可能なメラミン樹脂は望ましくは上記水性グラフト共重合体溶液に対して固形分比で5〜30重量%の範囲で添加される。上記メラミン樹脂の添加量が5重量%未満であれば架橋密度が不足し良好な耐溶剤性や物理特性が得られずまた30重量%を越えると耐水性に劣る結果を生ずる。
【0015】
〔コーティング〕
このようにして得られた本発明の被覆組成物は例えばPVCフィルム、PETフィルム等の基材にスプレー、ロールコーター、フローコーター、スピンコート等の通常のコーティング方法にて通常1μm以下の膜厚で塗布される。
上記コーティングによって得られた塗膜は常温乾燥においても架橋するが、通常は100〜120℃で3〜7分程度の強制乾燥が行われる。
【0016】
【作用】
本発明の被覆組成物は水希釈性があり、有機溶剤の毒性、引火性等の問題は解消される。そして本発明の被覆組成物を基材にコーティングした場合にはメラミン樹脂とリン酸基とにより架橋を生じ、耐水性、物理特性の良好な塗膜となる。そして該塗膜において水性グラフト共重合体は側鎖にポリシロキサンあるいはポリジアルキルシロキサン鎖を有するから外側に該ポリシロキサンあるいはポリジアルキルシロキサン鎖が配向され、それによって良好な撥水性、潤滑性、離型性が得られ、また上記ポリシロキサンあるいはポリジアルキルシロキサン鎖は化学的に結合されているから、転移、移行等がなく、効果は長時間にわたって持続的である。また基材側にはリン酸基含有ビニル単量体Bおよびビニル単量体Cに由来する主鎖が配されるから、基材に対して良好な密着性が得られ、またリン酸基のアルカリ塩のために良好な導電性が得られる。
【0017】
【実施例】
〔実施例1〕(グラフト共重合体Aの製造)
攪拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた1lのフラスコにイソプロピルアルコール200重量部(以下単に部とする)を仕込み、窒素ガスにより30分間バブリングを行った後、温度を80℃に昇温する。別に用意した滴下ロートにメチルメタクリレート40部、β−ヒドロキシエチルメタクリレート25部、ホスマーM(ユニケミカル社製商品名:アシッドフォスホオキシエチルメタクリレート)5部、AK−30(東亞合成化学工業株式会社製商品名:シリコンマクロモノマー 分子量約30000)30部、およびアゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合液を入れ2時間かけて滴下する。
1時間後にアゾビスイソブチロニトリル0.1部をメチルエチルケトン30部に溶解した溶液を添加し80℃で5時間反応させた。
このようにして固形分が30.3重量%の乳白色の樹脂液を得た。
次に該樹脂液にジメチルエタノールアミン4.2部、イオン交換水233部を加え共沸により有機溶媒を2時間かけて除去した。
このようにして固形分が30重量%の乳白色の水性グラフト共重合体Aを得た。
【0018】
〔実施例2〕(グラフト共重合体Bの製造)
実施例1と同じ装置で、スチレン30部、β−ヒドロキシエチルメタクリレート30部、ホスマーM10部、FM0725(チッソ株式会社製商品名:末端メタクリロキシ基ポリジメチルシロキサン 分子量10000)30部、およびアゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合液を滴下し、トリエチルアミン9.6部とした以外はすべて実施例1と同じ操作に従って重合を行った。
このようにして固形分が30重量%、乳白色の水性グラフト共重合体Bを得た。
【0019】
〔比較例1〕(比較共重合体Cの製造)
実施例2においてホスマーMをメタクリル酸10部とした以外はすべて同じ配合、操作に従って重合して固形分が30重量%の乳白色の比較共重合体Cを得た。
【0020】
〔比較例2〕(比較共重合体Dの製造)
実施例1,2と同じ装置で、フラスコにイオン交換水200部、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換しながら80℃に昇温する。別にメチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート98部、ホスマーM 2部、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム2部、過硫酸カリウム0.5部をホモジナイザーにより乳化したモノマーエマルジョンを2時間にわたり滴下した後さらに85℃で3時間保持して固形分が40重量%の乳白色エマルジョンである比較共重合体Dを得た。
【0021】
上記実施例1,2および比較例1,2によって得られた共重合体A,B,C,Dについて、表1に示す処方で試料を調合し、厚さ100μmのPETフィルムにロールコーターによって上記試料を夫々膜厚1μmとなるように塗装し、110℃×5分の強制乾燥を行った後、耐水性および物理特性についての試験を行った。その結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1によれば、本発明の水性被覆組成物を使用した試料1,2,3では良好な架橋性(ゲル分率)、潤滑性(動摩擦係数)、密着性、耐水性が得られるが、リン酸基をカルボキシル基に代えた比較共重合体Cを使用した比較試料1では架橋性に劣り、したがって耐水性が悪化し、また耐水性試験後の潤滑性も大巾に低下する。また架橋剤を添加しない比較試料2も同様に架橋性に劣り、耐水性および耐水性試験後の潤滑性が大巾に低下している。更にシリコンマクロモノマーを使用せずシリコンを後添加した比較試料3では架橋性は比較試料1,2に比して良好であるが、試料1,2,3に比しては低く、かつ潤滑性および密着性が劣る。
【0024】
【発明の効果】
したがって、本発明においては毒性、引火性の危険のない水性被覆組成物を使用して、撥水性、潤滑性、離型性、密着性の良好なかつ耐久性のある塗膜が得られる。
Claims (1)
- 末端にラジカル重合性ビニル基を有するシリコンマクロモノマーAと、分子内にリン酸基を含有するビニル単量体Bと、上記シリコンマクロモノマーAおよび上記ビニル単量体Bと共重合可能な他のビニル単量体Cとからなり、アルカリ中和により水で希釈可能とした水性グラフト共重合体と、水希釈可能なメラミン樹脂とからなることを特徴とする水性被覆組成物
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