JP3537785B2 - 船舶の動揺軽減水槽装置及びその制御方法 - Google Patents

船舶の動揺軽減水槽装置及びその制御方法

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JP3537785B2 JP2001241887A JP2001241887A JP3537785B2 JP 3537785 B2 JP3537785 B2 JP 3537785B2 JP 2001241887 A JP2001241887 A JP 2001241887A JP 2001241887 A JP2001241887 A JP 2001241887A JP 3537785 B2 JP3537785 B2 JP 3537785B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、船舶の動揺軽減水
槽装置に係り、U字管型減揺水槽において、少なくとも
二種類以上の固有周期を作り出すことを可能とする第一
タンクとタンクの自由液面二次モーメントを調整する第
二タンクとを一体型とするタンク形状と、ダンパの開閉
による複数の固有周期を加え、更に、液体の移動または
停止等を自動的に制御する船舶の動揺軽減水槽装置及び
その制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より船舶の横揺れを軽減する装置と
して、U字管型の受動制御式の減揺水槽(以下ARTと
も言う)が知られている。
【0003】ARTを計画する時の重要事項は、船の横
揺周期範囲を把握することである。船舶復原性規則に定
められている横揺固有周期の推定計算式は次の通りであ
る。 Ts=(2.01 x B x k)/√GM Ts:船の横揺固有周期、 B:船の幅、 k:環動半
径(係数)、GM:メタセンタ−高さ この式からも理解できるように、GM値が大きい程、船
の横揺固有周期は短く(速く)なる。
【0004】ARTの緒言を列記すると次のようにな
る。 (1) タンクの自由表面二次モ−メントは、次の計算
式で求められる。 ARTの断面二次モーメント(Ti)=(TB−B1
) x L/12 TB:タンク全幅、 B1:タンク内幅、 L:タン
クの長さ (2)自由表面二次モ−メントは、タンク全幅を一定と
仮定すると、ウィングタンクの巾が広い程大きくなる。 (3)また、タンクの自由表面二次モーメントは大きい
程、減揺モーメントも大きくなる。 (4)ウィングタンクの巾を一定とした場合 (イ)ダクト高さを高くすると固有周期は短く(速く)
なる。 (ロ)当然の事ながらダクト高さを低くすると長く(遅
く)なる。 (5)ダクト高さを一定とした場合 (イ)ウィングタンクの巾を広くするとタンク固有周期
は長くなる。 (ロ)ウィングタンクの巾を狭くするとタンク固有周期
は短くなる。 (6)ウィングタンクの巾を一定とした場合 (イ)ウィングタンクの長さとダクトの長さを同一にす
ると、そのタンク形状に於ける最短の固有周期が得られ
る。 (ロ)ウィングタンクの長さよりダクト長さを小さくす
ると、長い固有周期が得られる。
【0005】そこで、前記(5)のダクト高さを一定と
した、複数のウィングタンクを構成し、空気ダクトの開
閉による周期可変のARTが開発された。(実用新案登
録1216073号) しかし乍、 (1)ウィングタンクの幅に限界があり、周期可変量は
0.5から1秒程度であり、減揺装置として要求する広
範囲のタンク周期が得られない。 (2)船の短い(速い)横揺れは、GM値が大きい時で
有るが、船の短い(速い)横揺れに対応させるには、ウ
ィングタンクの巾を狭くする必要があり、その結果、自
由表面二次モーメントは小さく、減揺効率も小さくな
る。 これらから、比較的小型船で、しかも、GMの変
化量の少ない船種に限られるという問題点があった。
【0006】前述したARTの緒言から解るように、G
M値の大きい満載状態に対応させるには、早い(短い)
周期を確保するために液体通路を高く取り、高い減揺効
率を確保するには、タンク長さを長くし大きな自由表面
二次モーメント確保しなければならない。 また、大き
いGM値に対応させたタンク寸法で、GM値の小さい入
港状態に対応させるには、遅い(長い)周期を得るため
に、ダンパの数を多く設置する必要がある。 更に、入
港時の小さいGMには、タンクの自由表面二次モーメン
トが大き過ぎる。 言い換えれば、満載出航と入港との
間にGM値の幅が有りすぎると、従来のタンクでは、そ
の寸法が巨大になり、ARTの自重、過大な使用液体
量、搭載貨物量の減少や復原性規則などの関係から設置
が困難に至る場合も多くあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、満載出航と
入港との間にGM値の幅が広くても、タンク形状の組み
合わせによる少ない液体使用量と、少ないダンパにて広
範囲のART周期範囲を確保し、動揺状況に応じたタン
ク形状の選択とARTの固有周期の可変や液体の制動を
自動的に制御させることを特徴とする船舶の動揺軽減水
槽装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を達
成するためになされたものであり、請求項1の発明は同
一寸法の液体通路の高さを持ち、前後を分割する横隔壁
を共有した第一タンクと第二タンクの二つの水槽を一体
型とするU字管型減揺水槽を本体とするものである。
【0009】船体の両舷に設定した一対の少なくとも2
つのウィングタンクを構成すべく、両ウィングタンク内
に左右対称的に任意幅の縦隔壁を船体の前後方向に並列
垂下させて複数の分割タンクを形成し、その縦隔壁の下
端辺は、液体通路の高さの内法寸法と同一高さにする。
【0010】船体の両舷に設定したウィングタンクと、
これらウィングタンクの底部を連結して液体を左右方向
へ移動させる液体通路と、液体通路内にARTの固有周
期の可変を目的としたダンパと、ダンパを開閉する時に
その中途に少なくとも一箇所以上の停止を可能とする手
段と、ダンパを所定の位置に停止させる箇所にダンパ廻
りを通過する液体の整流を可能とする一対の整流板と、
更に、前記複数に分割した両ウィングタンクの相対位置
の上部付近に、液体の制動とART固有周期可変を可能
とする遠隔駆動式のバルブ等の手段を介して連通させる
内側のウィングタンク用と外側のウィングタンク用の空
気ダクトで構成する。
【0011】第二タンクは、第一タンクの分割ウィング
タンク内の外側の縦隔壁と同位置を、ウィングタンクの
内側とする両舷一対のウィングタンクを形成し、これら
ウィングタンクの底部には、第一タンクの液体通路の高
さの内法寸法と同一高さとし連結する液体通路と、両ウ
ィングタンクの上部付近に、液体の制動を目的とした遠
隔駆動式のバルブ等の手段を介して連通させる空気ダク
トで構成する。
【0012】第一タンクにはART固有周期可変用のダ
ンパを設け、ダンパを開閉させるための開閉装置と、ダ
ンパの停止位置を検知するためのポテンショメ−タ等を
取り付け、ダンパの全閉、中途停止、全開等の位置を電
気信号にてコントロ−ル部へ送信する手段を施す。
【0013】ART本体の制御手段として、船の横動揺
角等を検知する傾斜センサ−から出力される情報の内容
を解読させると共に、制御信号を出力するコントロ−ル
部と、コントロ−ル部からの制御信号を基に、前記バル
ブやダンパを遠隔駆動させる開閉機器装置部とを具備
し、船の平均周期値に対応させるべく、予め定められた
制御仕様を実行させ、第一タンクと第二タンクの組み合
わせやタンクA,B,Cの選択、ARTの周期可変、そ
して、液体制動等、これらを自動的に操作し得ることを
特徴とする船舶の動揺軽減水槽装置である。
【0014】請求項1の発明の第一タンクは、複数の固
有周期を確保するタンクで、同じく第二タンクは、大き
いGM値に対応させる自由表面二次モーメントを得ると
共に、小さいGM値の時は、自由表面二次モーメントを
殆ど0に近い値を得る調整用のタンクである。
【0015】請求項の発明は、請求項1に記載の船舶
の動揺軽減水槽装置の制御方法において、船の横揺角を
検知し、その値を以て横揺れの単周期や平均横揺周期を
演算した結果に基づき、その平均周期値に対応させるべ
く、必要に応じて予め定められたバルブやダンパを駆動
させる制御仕様を実行させ、第一タンクと第二タンクの
組み合わせと第一タンクが有するタンクA,B,Cの選
択と、タンクの周期可変と、液体制動等とを、自動的に
操作し得ることを特徴とした船舶の動揺軽減水槽装置の
制御方法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施は、第一タン
ク2と第二タンク3から成る2つの水槽を一体型とする
ART本体1に、空気ダクト3組とダンパ1組を設け、
非作動状態とARTの固有周期4種類からなる5つの制
御仕様(非作動、作動−1、作動−2、作動−3、作動
−4)を有する例を図面を参照して説明する。
【0017】前述の目的を達成するための基本的なAR
Tの構成自体は、図1に示すように、同一寸法の液体通
路5,6の高さを持ち、前後を分割した横隔壁13を共
有する第一タンク2と第二タンク3の2つの水槽を一体
型としたU字管型減揺水槽本体1に於いて、
【0018】第一タンク2は、船体の両舷に設定した一
対の少なくとも2つのウィングタンク16a,16bを
構成すべく、両ウィングタンク内に左右対称的に任意幅
の縦隔壁15a,15bを船体の前後方向に並列垂下さ
せて複数の分割タンク4a,4b,4c,4dを形成
し、その縦隔壁15a,15bの下端辺は、液体通路5
の高さの内法寸法と同一高さにする。
【0019】更に、船体の両舷に設定したウィングタン
ク16a,16bと、これらウィングタンクの底部を連
結して液体wを左右方向へ移動させる液体通路5と、液
体通路内にARTの固有周期の可変を可能とするダンパ
9を一組備える。
【0020】ダンパ9には、約90度の開閉を可能とな
す遠隔駆動式を採用し、その開閉の中途に少なくとも一
箇所以上の停止を可能とする手段と、ダンパの停止位置
を検知するためポテンショメ−タ17等を取り付け、ダ
ンパ9の全閉、中途停止、全開の位置を電気信号にてコ
ントロ−ル部18へ送信する手段を施す。
【0021】また、ダンパ9を所定の位置に停止させ箇
所には、図12に示すような、ダンパ廻りを通過する液
体wの整流を可能とする一対の整流板11a,11bを
設ける。
【0022】前記複数に分割した両ウィングタンク4
a,4b,4c,4dの相対位置の上部付近に、液体w
の制動とART固有周期可変を可能とした遠隔駆動式の
バルブ7a,7b等の手段を介して連通させる内側のウ
ィングタンク4c,4d用と外側のウィングタンク4
a,4b用の空気ダクト8a,8bで構成する。
【0023】第二タンク3は、第一タンク2の分割ウィ
ングタンク4c、4d内の外側の縦隔壁15a,15b
と同位置を、ウィングタンク4e,4fの内側とする両
舷一対のウィングタンクを形成し、これらウィングタン
ク4e,4fの底部には、第一タンク2の液体通路5の
高さの内法寸法と同一高さとし連結する液体通路6と、
両ウィングタンク4e,4fの上部付近に、液体wの制
動を可能とした遠隔駆動式のバルブ7c等の手段を介し
て連通させる空気ダクト8cで構成する。
【0024】また、タンク本体1には図示していないが
注排水管、測深管、空気抜き管など水槽として必要な艤
装を施すが、前記の注排水管、測深管、空気抜き管など
外部に通じる全ての管に閉鎖手段を施し密閉状態を可能
とする。
【0025】制御装置機構は、大きく分けて傾斜センサ
ー20等を含むコントロ−ル部18と、開閉機器装置部
19からなる。
【0026】コントロ−ル部18は、傾斜センサー20
から出力された情報の内容を解読させる演算解読回路2
1と制御実行回路22と情報処理回路23からなる。
【0027】演算解読回路21は、傾斜センサー20か
ら出力されるデ−タを基に、瞬時の横揺角と横揺周期値
からそれぞれの平均値を算出する。 平均値の算出は、
2回から5回位の単周期を平均するものとし、常に新し
い値を算入し古い値を除去する移動平均方式を採用す
る。 また、動揺情報の他に風向や風速、そして船速等
の情報も取り入れ演算解読させれば精度の高い制御が可
能となる。
【0028】演算解読回路21で解読された結果を基
に、どの制御仕様に属するかを判別せしめ、予め設定し
て有るバルブ7a,7b,7cとダンパ9の開閉仕様を
実行させる制御信号を、制御実行回路22を経て開閉機
器装置部19へ出力する。
【0029】また、各機器の作動状況は逐一情報処理回
路23で把握し、その情報はICメモリ−にて保存する
と共に、図示していないがコントロ−ルパネルに表示す
る。また傾斜角、周期等の状況は、図示していないが航
海情報として他の航海機器へ信号を送出することも可能
である。
【0030】開閉機器装置部19は、駆動機、電磁弁2
5a,25b,25c,25d、ダンパの開閉装置1
0、ポテンショメータ17、開閉器付バルブ7a,7
b,7c等で構成する。 機構によっては駆動機を必要
としない場合がある。 例えば、駆動源を他のラインか
ら直接供給を受けられる場合などは駆動機の始動およ
び、停止の工程は省略できる。
【0031】本実施例は、バルブ7a,7b,7cとダ
ンパ9の駆動方式は、油圧駆動を想定した構成である
が、空圧式あるいは電動式を用いた場合、その方式によ
って開閉機器装置部19の内で省略できるものは省略し
ても良い。 また、空気ダクト8a,8b,8cは連結
した方式とした例であるが、空気ダクトを左右連結せず
各々、単独に大気へ開放する方式として、各々にバルブ
7a,7b,7cを設けるか、あるいは、片舷1つにバ
ルブを設けても同じ効果が得られる。
【0032】本実施例は、一組のダンパ9を設け、中途
開度を一箇所とした物であるが、これを中途開度を2箇
所とすればタンク固有周期の数は1つ増加し、更にダン
パを1組増やせばタンク固有周期は更に2箇所増える。
従って、設置する船の周期範囲を考慮して必要とする
ダンパ9の数を設ければ良い。
【0033】まず、本実施例では、実質的に、第一タン
ク2のタンクA、タンクBとタンクC、そして、第二タ
ンク3と合わせ4組のタンクを形成し、使用条件によっ
てその組合わせを選択する。
【0034】図8に示す状態をタンクAと言う。 この
状態は、内側用の空気ダクト8a付きバルブ7aを閉
じ、外側用の空気ダクト8b付きバルブ7bを開く場合
に形成される。 バルブ7aを閉止して空気の流通を遮
断すると、内側のウィングタンク4c,4dは密閉状態
となり、外側のウィングタンク4a,4bのみARTの
機能を有するタンクとなる。 この形状は、前記ART
緒言に記述したように、タンク内の液体の移動は速く
(短い)周期で液体通路内を移動するので、横揺周期の
短い状態に対して順応し得ることになる。 本実施例で
は、タンクAの状態を作動ー1として固有周期を6秒と
仮定する。
【0035】図9に示す状態をタンクBと言う。 この
状態は、内側用の空気ダクト8a付きバルブ7aを開
き、外側用の空気ダクト8b付きバルブ7bを閉じた場
合に形成される。 バルブ7bを閉止して空気の流通を
遮断すると、外側のウィングタンク4a,4bは密閉状
態となり、内側のウィングタンク4c,4dのみART
の機能を有するタンクとなる。 この形状は、タンクA
よりもタンク内の液体の移動は速く(短い)周期で液体
通路内を移動するのであるが、減揺モーメントの値は、
タンクAよりも小さくなるので単独では使わず、フィン
スタビライザーと併用する時に使用する。
【0036】図10に示す状態をタンクCと言う。 こ
の状態は、両方の空気ダクト8a,8b付きバルブ7
a,7bを開けた場合に形成される。 この場、タンク
AとタンクBは合体して、単体のウィングタンク16
a,16bとしての機能を有するものとなり、液体wの
移動はタンクAよりも遅く、ダクト内を長い周期で移動
することになるので、横揺周期の長い状態に対して順応
し得ることになる。 本実施例では、タンクCの状態を
作動ー2として固有周期を8秒と仮定する。
【0037】ここで、タンクA、B、Cの形成を説明す
る。 各空気ダクト8a,8b,8c付きバルブ7a、
7b、7cを閉止すると空気ダクト8a,8b,8cで
連結された各該当するウィングタンク4a,4b,4
c,4d,4e,4f内の空気の流通が遮断され、タン
ク内は完全な気密状態になるから、船体が動揺しても液
体は殆ど静止したまま移動しないが、該当するバルブを
開放すると、そのタンクは、空気ダクトを介してタンク
内の空気が相互に流通して船体の横揺れに応じ移動する
事になる。
【0038】因みに、全ての空気ダクト8a、8b、8
c付きバルブ7a、7b、7cを閉じると、空気の流通
が遮断され、液体wの移動は殆ど出来ず、減揺タンクは
非作動状態となる。 本実施例では、この状態を非作動
とする。
【0039】更に、タンクCの使用状態にて、図12に
示すように液体通路5内に設けたダンパ9を中途停止さ
せると液体通路5の有効断面積がタンクCより少なくな
り、液体wの移動はタンクCよりも遅く、ダクト内を長
い周期で移動することになるので、更に横揺周期の長い
状態に対して順応し得ることになる。 本実施例では、
作動ー3として固有周期を10秒と仮定する。
【0040】更に、タンクCの使用状態にて、図5に示
すように液体通路5内に設けたダンパ9を全閉させると
液体通路5の有効断面積が作動ー3より少なくなり、液
体wの移動は作動ー3よりも遅く、ダクト内を長い周期
で移動することになるので、更に横揺周期の長い状態に
対して順応し得ることになる。 本実施例では、作動ー
4として固有周期を12秒と仮定する。
【0041】図11に示す第二タンク3は、タンクAと
同じ形状であるから、タンクAと同じ固有周期となる。
本実施例では、タンクAと第二タンク3を同時に使用
する。
【0042】このように非作動状態とARTの固有周期
4種類からなるART本体1が有する5つの制御仕様
(非作動、作動−1、作動−2、作動−3、作動−4)
に於ける制御方法は、次の(イ)から(ホ)の各周期範
囲を隣接する箇所を重複させ、ある一つの制御仕様を実
行中は、その周期範囲から船の平均横揺周期が外れない
限り、他の制御仕様が実行されないように設定する。
【0043】分かり安くするため、具体的に数値を設定
し説明する。 (イ). 非作動は、全ての空気ダクト8a,8b,8
c付きバルブ7a,7b,7cを閉じる事により可能と
なる。 平均周期の値が13.6秒以上の時と4.6秒
以下の時に、バルブ7a,7b,7cを強制的に閉じA
RTは非作動状態となる。この状態は平均周期が13.
3秒から5.0秒の間に入るまで保持される。 (ロ). 作動−1は、タンク固有周期を6秒と仮定す
る。 この制御仕様は、空気ダクト付きバルブ7bを全
開、7aを閉じ、ダンパ9を開ける事により可能とな
る。 同じく、図11に示す第2タンク3は、タンク固
有周期を6秒と仮定する。 この制御仕様は、空気ダク
ト付きバルブ7cを開ける事により可能となる。 平均
周期の値が7.3秒から4.6秒の範囲内で、制御を実
行しその状態は保持される。 (ハ). 作動−2は、タンク固有周期を8秒と仮定す
る。 この制御仕様は、空気ダクト付きバルブ7aと7
bを全開、7cを閉じ、ダンパ9を開ける事により可能
となる。 平均周期の値が9.3秒から6.6秒の範囲
内で制御を実行し保持する。 これらの制御の仕様は、
平均周期の値が制御実行中の周期範囲を外れ、該当する
周期範囲に侵入したとき実行される。 (ニ). 作動−3は、タンク固有周期を10秒と仮定
する。 この制御仕様は、空気ダクト付きバルブ7aと
7bを全開、7cを閉じ、ダンパ9を中間位置にする事
により可能となる。 平均周期の値が11.3秒から
8.6秒の範囲内で制御を実行し保持する。 これらの
制御の仕様は、平均周期の値が制御実行中の周期範囲を
外れ、該当する周期範囲に侵入したとき実行される。 (ホ). 作動−4は、タンク固有周期を12秒と仮定
する。 この制御仕様は、空気ダクト付きバルブ7aと
7bを全開、7cを閉じ、ダンパ9を閉じる事により可
能となる。平均周期の値が13.3秒から10.6秒の
範囲内で、制御を実行し保持する。 これらの制御の仕
様は、平均周期の値が制御実行中の周期範囲を外れ、該
当する周期範囲に侵入したとき実行される。
【0044】尚、本発明の実施は、第一タンク2と第二
タンク3から成る2つの水槽を一体型とする、空気ダク
ト3組とダンパ1組を設け、非作動状態とARTの固有
周期4種類からなる5つの制御仕様(非作動、作動−
1、作動−2、作動−3、作動−4)を有する例を説明
したが、更にダンパ組を増やす事も、また、各周期範囲
の隣接する箇所を重複させる値などは、船毎に異なるも
のであり、設計者が適宜決定するものである。
【0045】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように本発明
の船舶の動揺軽減水槽装置及びその制御方法よれば、 (1)一組のダンパで四種類以上のART固有周期を得
る事が可能となる。 (2)ダンパの数が少なくなるから設備費の軽減が可能
となる。 (3)二組のダンパを設けられる場合は、ART固有周
期の数が増える事になるからARTの有効周期範囲は更
に拡大する。 (4)有効周期範囲の拡大は、追波などの長周期の時に
生じる逆効果を、未然に防ぐことが可能となる。 (5)このことは、液体が有効に作動する周期範囲内に
於ける制御はもとより、何らかの要因によりARTの液
体が有効に作動し無い状況下にて生じる宿命とも言える
欠点を最小限に押さえることができる。 (6)更に、有効周期範囲が狭いと言うARTの宿命的
な欠点を、容易に解消する事でき、しかも、その制御は
人手を煩わすことなく自動的に行われる。このように、
本発明は、満載出航と入港との間にGM値の幅が広くて
も、第一タンクと第二タンクの組み合わせやタンクA,
B,Cの選択、ARTの周期可変、そして、液体制動
等、これらを自動的に操作し得ることから、出合周期や
海気象状況等の影響により刻々変わる船の横揺周期に対
し、最適と思われるART固有周期を自動的に可変し、
或いは、前記の逆効果を与える横揺周期に遭遇した場合
でも、同調横揺れを防ぐためARTを非作動とすること
ができるなど、常に安定した減揺効果が得られると言う
作用効果を有しており工業的にその効果の大きい発明で
ある。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第一タンクと第二タンクを一体
型とした減揺水槽本体の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の制御に係わるコントロール部とバルブ
やダンパの開閉操作の制御機構構成関係の実施形態を示
したブロック図である。
【図3】本発明に係わる減揺水槽本体のタンク頂版の平
面図である。
【図4】本発明に係わる減揺水槽本体の液体通路部頂版
の平面図である。
【図5】本発明に係わる減揺水槽本体のタンク底面の平
面図である。
【図6】本発明に係わる減揺水槽本体を構成する第一タ
ンクの実施形態を示す横断面図である。
【図7】本発明に係わる減揺水槽本体を構成する第二タ
ンクの実施形態を示す横断面図である。
【図8】図6に於ける第一タンクで、内側の空気ダクト
付きバルブを閉じ、外側の空気ダクト付きバルブを開く
事によって液体移動が可能となるタンクAの横断面図を
示す。
【図9】図6に於ける第一タンクで、内側の空気ダクト
付きバルブを開き、外側の空気ダクト付きバルブを閉じ
る事によって液体移動が可能となるタンクBの横断面図
を示す。
【図10】図6に於ける第一タンクで、内側の空気ダク
ト付きバルブと、外側の空気ダクト付きバルブの両方を
開く事によって液体移動が可能となるタンクCの横断面
図を示す。
【図11】図7に於ける第二タンクで、空気ダクト付き
バルブのを開く事によって液体移動が可能となる横断面
図を示す。
【図12】図5に於ける整流板の配置を拡大したダンパ
位置(中間)と整流板の状態を示す図である。
【符号の説明】
1・・・ART本体(減揺水槽本体)、2・・・第一タ
ンク 3・・・第二タンク、4
a,4b・・・外側のウィングタンク、4c,4d・・
・内側のウィングタンク、4e,4f・・・ウィングタ
ンク、 5,6・・・液体通路 7a,7b,7c・・・開閉器付バルブ、 8a・・・
内側の空気ダクト 8b・・・外側の空気ダクト、 8c・・・
空気ダクト 9・・・ダンパ 10・・・
ダンパの開閉装置 11a,11b・・・・整流板、 12・・
・肋板 13・・・横隔壁、 14・・・液
体の流れ方向 15a,15b・・・・縦隔壁、 16a,16
b・・・ウィングタンク w・・・液体、17・・・ポテンショメータ、
18・・・コントロール部 19・・・開閉機器装置部、 20・・・傾
斜センサー 21・・・演算解読回路、 22・・・制
御実行回路 23・・・情報処理回路、 24・・・駆
動源25a、25b、25c、25d・・・電磁弁

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体の両舷に設けられた一対のウイング
    タンク(16a、16b)をそれぞれ構成する外側のウ
    イングタンク(4a,4b)及び内側のウイングタンク
    (4c,4d)であって、その下端辺が液体通路(5)
    の高さの内法寸法と略同一高さである任意幅の縦隔壁
    (15a、15b)を両ウイングタンク(16a,16
    b)内に左右対称的に船体の前後方向に並列垂下させる
    ことにより形成される外側のウイングタンク(4a,4
    b)及び内側のウイングタンク(4c,4d)と、ウイ
    ングタンク(16a,16b)の底部を連結して液体
    (w)を左右方向へ移動させる液体通路(5)と、液体
    通路内に設けられ、開閉の中途で少なくとも一箇所以上
    の停止が可能であり、その位置信号がコントロール部
    (18)へ送信される遠隔駆動式のダンパ(9)と、外
    側のウイングタンク(4a,4b)の上部付近に設けら
    れ、遠隔駆動式のバルブ(7b)を含み、外側のウイン
    グタンク(4a、4b)間を連通させる空気ダクト(8
    b)と、内側のウイングタンク(4c,4d)の上部付
    近に設けられ、遠隔駆動式のバルブ(7a)を含み、内
    側のウイングタンク(4c、4d)間を連通させる空気
    ダクト(8a)と、を備える第一タンク(2)と、 第
    一タンクのウイングタンク(16a、16b)内の縦隔
    壁(15a、15b)と同位置をウイングタンクの内側
    とする両舷一対のウイングタンク(4e、4f)と、こ
    れらウイングタンク(4e、4f)の底部に設けられて
    これらを連結する、第一タンクの液体通路(5)の高さ
    の内法寸法と略同一高さの液体通路(6)と、両ウイン
    グタンク(4e、4f)の上部付近に設けられ、遠隔駆
    動式のバルブ(7c)を含み、両ウイングタンク(4
    e、4f)間を連通させる空気ダクト(8c)と、を備
    える第二タンク(3)と、 船の横動揺角等を検知する
    傾斜センサー(20)と、傾斜センサーから出力された
    情報の内容を解読させる演算解読回路(21)と、制御
    実行回路(22)と、情報処理回路(23)とを含むコ
    ントロール部(18)と、 コントロール部で解読され
    た結果を基に、予め設定して有るバルブ(7a、7b、
    7c)またはダンパ(9)の開閉仕様を実行する開閉機
    器装置部(19)と、 を具備することを特徴とする船
    舶の動揺軽減水槽装置。
  2. 【請求項2】 液体通路(5)内のダンパ(9)を所定
    の位置に停止させる箇所にダンパ廻りを通過する液体を
    整流する一対の整流板(11a、11b)を設けたこと
    を特徴とする請求項1記載の船舶の動揺軽減水槽装置。
  3. 【請求項3】 船体の両舷に設けられた一対のウイング
    タンク(16a,16b)をそれぞれ構成する外側のウ
    イングタンク(4a,4b)及び内側のウイングタンク
    (4c,4d)であって、その下端辺が液体通路(5)
    の高さの内法寸法と略同一高さである任意幅の縦隔壁
    (15a,15b)を両ウイングタンク(16a,16
    b)内に左右対称的に船体の前後方向に並列垂下させる
    ことにより形成される外側のウイングタンク(4a,4
    b)及び内側のウイングタンク(4c,4d)と、ウイ
    ングタンク(16a,16b)の底部を連結して液体
    (w)を左右方向へ移動させる液体通路(5)と、液体
    通路内に設けられ、開閉の中途で少なくとも一箇所以上
    の停止が可能であり、その位置信号がコントロール部
    (18)へ送信される遠隔駆動式のダンパ(9)と、外
    側のウイングタンク(4a,4b)の上部付近に設けら
    れ、遠隔駆動式のバルブ(7b)を含み、外側のウイン
    グタンク(4a,4b)間を連通させる空気ダクト(8
    b)と、内側のウイングタンク(4c,4d)の上部付
    近に設けられ、遠隔駆動式のバルブ(7a)を含み、内
    側のウイングタンク(4c,4d)間を連通させる空気
    ダクト(8a)と、を備える第一タンク(2)と、第一
    タンクのウイングタンク(16a,16b)内の縦隔壁
    (15a,15b)と同位置をウイングタンクの内側と
    する両舷一対のウイングタンク(4e,4f)と、これ
    らウイングタンク(4e,4f)の底部に設けられてこ
    れらを連結する、第一タンクの液体通路(5)の高さの
    内法寸法と略同一高さの液体通路(6)と、両ウイング
    タンク(4e,4f)の上部付近に設けられ、遠隔駆動
    式のバルブ(7c)を含み、両ウイングタンク(4e,
    4f)間を連通させる空気ダクト(8c)と、を備える
    第二タンク(3)と、を備える船舶の動揺軽減水槽装置
    において、 船の横揺角を検知し、その値を以て横揺れの単周期や平
    均横揺周期を演算した結果に基づき、その平均周期値に
    対応させるべく、必要に応じて予め定められたバルブ
    (7a,7b,7c)やダンパ(9)を駆動させる制御
    仕様を実行させる制御方法であって、 第一タンク(2)と第二タンク(3)の組み合わせを実
    行し、 第一タンク(2)に関して、 バルブ(7a)を閉じるとともにバルブ(7b)を開い
    た状態をタンクAと定義し、 バルブ(7a)を開くとともにバルブ(7b)を閉じた
    状態をタンクBと定義し、 バルブ(7a)及びバルブ(7b)を開けた状態をタン
    クCと定義したとき、 タンクA、B又はCいずれかを選択して実行するとき、 タンクAを選択したときは、第二タンクを(3)を作動
    し、ダンパは開とし、 タンクBを選択したときは、タンクAと第二タンクを
    (3)を非作動とし、ダンパは開とし、 タンクCを選択したときは、第二タンクを(3)を非作
    動とし、ダンパの開閉は予め定められた状態とする、
    ことを特徴とした船舶の動揺軽減水槽装置の制御方法。
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