JP4272847B2 - 可変周期型減揺水槽 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶の横揺れを抑制する減揺水槽、特に減揺水槽内の液体の動揺周期の調整が可能である可変周期型減揺水槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、船舶の横揺れ角を減少させるため、U字管型の減揺水槽が使用されている。この減揺水槽は、船舶の横揺れにより励起される、減揺水槽内の液体の移動の位相差を利用して減揺効果を得るものである。船体の動揺は波に対し90度の位相差で起こるが、この場合、船の横揺れ周期と減揺水槽の固有周期が等しいと、減揺水槽内の液体は船体の横揺れに対し90度の位相遅れを生じ、波に対しては180度の位相遅れを生じる。この時、波によって生じる横揺れモーメントと、減揺水槽中の液体によって生じるモーメントは正反対の方向になり、船体に作用する横揺れモーメントが相殺されて、減揺効果が得られる事が知られている。
【0003】
しかし、船の横揺れ周期と減揺水槽の固有周期が大きく異なった場合、減揺水槽内の液体の生ずるモーメントが、波によって生ずる横揺れモーメントを効率よく抑えることが出来ず、時には横揺れ角を増加させるように作用することが知られている。このため、減揺水槽の固有周期を変化させるため、連結水路にダンパーを設けたり、空気ダクトの開度を調整したりするなど多くの発明、考案が行われてきた。U字管型の可変周期型減揺水槽では、例えば特許第3048865号公報(以下従来技術という)に開示されているように、複数に分割した連結水路にダンパーを設置し、その開閉によって減揺水槽の固有周期を変化させる制御方法が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術には、次のような問題点がある。
【0005】
従来技術では、減揺水槽の有効範囲を規則波によるマグニフィケーションカーブで定義しているため、有効範囲を減揺水槽固有周期から±1秒と定義していることと、ダンパーの頻繁な作動を回避するために動作すきま(ヒステリシス特性)をもたせて制御を行うため、制御上の有効範囲は更に狭くなり、減揺水槽に広い有効範囲を与えようとする場合、連結水路の分割数を多くすると共に、連結水路の分割比を厳密に決定し、厳密に固有周期を決定する必要があった。
【0006】
このため、従来技術では当該減揺水槽を搭載する船舶で予想される、最短の横揺れ周期を包含するように、連結水路の全幅を使用した場合の固有周期Aを決する。次に、固有周期Aの有効範囲とヒステリシス特性の重複範囲分を考慮して、第1の分割水路の幅(ダンパーの幅)を決定するが、この場合、分割水路の幅に設ける仕切板の位置をフレーム位置に一致させることは、困難で有り、フレーム位置に一致しない場所であっても、分割水路の仕切板を設置しなければならない。ここで、減揺水槽を搭載する船舶に於いて予想される横揺れ周期範囲が、第1の分割水路のダンパーを閉とした場合の固有周期B及び有効範囲でカバー出来る場合は、連結水路の分割数を2分割として、第1の水路にダンパーを設置するが、減揺水槽を搭載する船舶に於いて予想される横揺れ周期範囲が、1ダンパーでカバーしきれない時は、第1の分割水路のダンパーを閉とした場合の固有周期B及び有効範囲とヒステリシス特性の重複範囲を考慮して第2の分割水路の幅を決定する。この場合も、第2の分割水路の仕切板をフレーム位置に一致させることは困難である。
【0007】
減揺水槽を設置する船舶の船体は、船体構造上フレームスペースに合わせて構造部材が設置されており、減揺水槽の連結水路を分割する仕切板もフレーム上に設置する必要があり、フレーム以外の位置に連結水路の仕切板を設置する場合、船体構造上の問題があった。
【0008】
従来技術の可変周期型減揺水槽装置の制御に於いては、バルブおよびダンパーの頻繁な開閉を避ける目的で、ヒステリシス特性の重複範囲を考慮して制御パターンを決めている。このため、制御上は、実際の有効範囲を更に短くしているのが現状である。
【0009】
従来技術では、減揺水槽の有効周期を定義する手段として、規則波によるマグニフィケーションカーブを使用しているが、実際の海洋波は不規則波であり、減揺水槽の有効範囲も不規則波中に於いて定義しなければならない。また、ヒステリシス特性の重複範囲を考慮しない制御を可能とすれば、更に有効範囲を広げる事が可能となる。
【0010】
本出願人は、先に出願した特開2002−87379において、ヒステリシス特性の重複範囲を考慮しない制御が可能となり、従来技術では有効範囲が狭いため、設定困難であった、分割水路に設ける仕切板の位置を、フレーム位置に一致させて設置することが可能となる次のような可変周期型減揺水槽装置の制御方法を提案している。
【0011】
その第一の制御方法は、左右一対のウイングタンクと該一対のウイングタンク下部を連通する連結水路とを備える減揺水槽と、前記連結水路に設けられ、その開閉によって減揺水槽内部の液体の動揺周期を調整するためのダンパーと、前記ウイングタンク上部を連結する空気ダクトと、この空気ダクトに設けられ、その開閉により減揺水槽の作動・停止を制御するバルブと、船体の横揺れ角を動揺検知手段によって検出し、船体横揺れの中心(ピーク)周期を求め、前記船体横揺れの中心周期に対応する前記ダンパーおよびバルブの開閉制御信号等を出力し、前記減揺水槽を制御する中央演算制御装置とを備える可変周期型減揺水槽において、前記ダンパー及びバルブの開閉制御を行うための前記船体横揺れの中心周期を求めるにあたり、前記中央演算制御装置は、前記動揺検知を10動揺周期以上又は2分間以上求め、この求めた動揺データをフーリェ解析してパワースペクトルを求め、明確にした不規則波中の船体横揺れの中心周期に対し前記減揺水槽を制御すると共に、前記ダンパー及びバルブの開閉制御の時間間隔を前記動揺検知時間により大きくしたことを特徴とした船舶の可変周期型減揺水槽装置の制御方法である。
【0012】
また、その第二の制御方法は、左右一対のウイングタンクと該一対のウイングタンク下部を連通する連結水路とを備える減揺水槽と、前記連結水路に設けられ、その開閉によって減揺水槽内部の液体の動揺周期を調整するためのダンパーと、前記ウイングタンク上部を連結する空気ダクトと、空気ダクトに設けられ、その開閉により減揺水槽の作動・停止を制御するバルブと、船体の横揺れ角を動揺検知手段によって検出し、不規則波中の船体横揺れの中心周期を求め、前記中心周期に対応する前記ダンパーおよびバルブの開閉制御信号等を出力し、可変周期型減揺水槽を制御する中央演算制御装置を備える可変周期型減揺水槽において、前記ダンパー及びバルブの開閉制御の方法として、前記中央演算制御装置は前記中心周期を複数求め、複数の中心周期の一定率以上が切り替え周期を越えた場合にのみ、前記ダンパー及びバルブの切り替えを行いダンパーやバルブが頻繁に作動する事を防止することを特徴とした船舶の可変周期型減揺水槽装置の制御方法である。
【0013】
本発明は、上述した特開2002−87379の制御方法を適用することにより、分割水路の仕切板をフレ−ム上に位置させることが可能な船舶の可変周期型減揺水槽を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、船舶に配置され、左右一対のウイングタンクと、該一対のウイングタンク下部を連通する連結水路と、該連結水路に設けられた、その開閉によって減揺水槽内部の液体の動揺周期を調整するためのダンパーと、前記ウイングタンク上部を連結する空気ダクトと、該空気ダクトに設けられたバルブとを備える可変周期型減揺水槽において、前記連結水路を3フレームスペース以上のフレームスペースで構成するとともに、フレーム位置に設置した仕切板で前記連結水路を3分割し、分割された3個の分割水路のうち、中央の分割水路のみにダンパーを設け、他の分割水路にダンパーを設けなくても、前記ダンパーの開放または閉鎖によって有効周期範囲が連続することを特徴とする可変周期型減揺水槽である。
【0015】
なお、分割水路内にフレ−ムが位置する場合、必要に応じて、そのフレ−ム位置に構造材を設けてもよい。この構造材は、仕切板と同じく水路を実質的に分割するものであってもよいし、窓孔等を有していて水路を実質的に分割するようになっていないものでもよい。前者の場合は、構造材によって分割水路がさらに仕切られるが、それは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。すなわち、本発明でいう仕切板は、ダンパーが設けられている分割水路とダンパーが設けられていない分割水路とを仕切るものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、船舶に配置され、左右一対のウイングタンクと、該一対のウイングタンク下部を連通する連結水路と、該連結水路に設けられた、その開閉によって減揺水槽内部の液体の動揺周期を調整するためのダンパーと、前記ウイングタンク上部を連結する空気ダクトと、該空気ダクトに設けられたバルブとを備える可変周期型減揺水槽において、前記連結水路を3フレームスペース以上のフレームスペースで構成するとともに、フレーム位置に設置した仕切板で前記連結水路を2分割し、分割された2個の分割水路のうち、幅の広い方の分割水路のみにダンパーを設け、幅の狭い方の分割水路にダンパーを設けなくても、前記ダンパーの開放または閉鎖によって有効周期範囲が連続することを特徴とする可変周期型減揺水槽である。
【0017】
なお、分割水路内にフレ−ムが位置する場合、必要に応じて、そのフレ−ム位置に構造材を設けてもよい。この構造材は、仕切板と同じく水路を実質的に分割するものであってもよいし、窓孔等を有していて水路を実質的に分割するようになっていないものでもよい。前者の場合は、構造材によって分割水路がさらに仕切られるが、それは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。すなわち、本発明でいう仕切板は、ダンパーが設けられている分割水路とダンパーが設けられていない分割水路とを仕切るものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の可変周期型減揺水槽の実施の形態を説明する。
【0019】
本発明の可変周期型減揺水槽の実施の形態には、複数の実施の形態が存在するが、連結水路の分割方法を除いて主たる構成は共通しているので、まず共通部分を図1により説明する。図1は、本発明の船舶の可変周期型減揺水槽の説明図であり、(a)は減揺水槽の全体構成を示すブロック図、(b)は減揺水槽の斜視図である。
【0020】
この減揺水槽は、船舶(図示せず)に配置され、動揺緩和流体Wが収容された左右一対のウイングタンク(以下、タンクと略称する)1a及び1bと、タンク1aおよび1bを連通させる連結水路2と、連結水路2に設けられ、その開閉によってタンク内部の液体(以下、動揺緩和流体という)Wの動揺周期を調整するダンパー3と、ダンパー3の開閉を制御するダンパー制御手段4と、タンク1aと1bの間に空気を流通させる空気ダクト5と、空気ダクト5の中間に設けられ、その開閉により減揺水槽の作動・停止を行うことの出来るバルブ6と、バルブ6の開閉を制御するバルブ制御手段7と、動揺検出器8からの動揺信号を統計処理し、その結果に基づいてダンパーおよびバルブの開閉を判定する運転判定手段9とから構成されている。
【0021】
次ぎに、このタンクに於ける第一の制御方法について説明する。実際の海洋の波浪は不規則波であり、単独の正弦波として捉える事が出来ない。同時に不規則波によって引き起こされる船体の横揺れも不規則なものとなる。
【0022】
したがって、タンクの固有周期が船体横揺れの中心周期に対して、有効範囲内にあるかを判定するためには、船体横揺れの中心周期を求める必要がある。
【0023】
このため、動揺検出器8からの出力信号の検知時間を動揺周期10回以上又は2分間以上とする。前記出力信号は運転判定手段9に入力され、統計処理されて、船体横揺れの中心周期が求められる。求められた中心周期に基づいて、運転判定手段9からダンパー制御手段4およびバルブ制御手段7に指令が発せられ、ダンパー3およびバルブ6が、必要に応じ開閉制御される。
【0024】
次ぎに、第二の制御方法について説明する。第一の制御方法で述べたように、実際の海洋の波浪は不規則波であり、単独の正弦波として捉える事が出来ない。同時に不規則波によって引き起こされる船体の横揺れも不規則なものとなる。したがって、タンクの固有周期が船体横揺れの中心周期に対して、有効範囲内にあるかを判定するためには、船体横揺れの中心周期を求めねばならない。このため、動揺検知器8からの信号出力検知時間を不規則波による横揺れとして解析するため、充分な計測時間とする必要がある。
【0025】
この制御方法では、動揺信号検知時間を複数に分割し、それぞれの区分における船体横揺れの中心周期を求める。この場合の分割数は2から5位が適当であるが、1分割当たりの動揺検知時間は動揺周期5回前後又は1分間前後とする。動揺検知器8からの出力信号は運転判定手段9に入力され、統計処理されて、分割区分毎の船体横揺れの中心周期と全動揺信号検知時間に於ける船体横揺れの中心周期が求められる。求められた複数の船体横揺れの中心周期の分布範囲に基づいて、運転判定手段9からダンパー制御手段4およびバルブ制御手段7に指令が発せられ、ダンパー3及びバルブ6が、必要に応じ開閉制御される。
【0026】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第一の実施の形態を、図2の平面図に基づき説明する。
【0027】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク11a、11bを、フレーム12a、12b、12cおよび12dによる3フレームスペース、すなわち、フレーム12a〜12d間の3個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク11a、11bを連結する連結水路も3フレームスペースで構成する。そして、フレーム12bの位置に設けた仕切板15aとフレーム12cの位置に設けた仕切板15bによって、連結水路を1:1:1の分割比で3分割して分割水路13a、13b、13cを設け、中央の分割水路13bにダンパー14を設ける。
【0028】
なお、図2では、ウイングタンク11a及び11bを連結水路の幅と同じ3フレームスペースで構成したが、それに限定されるものではなく、図3に示すように、5フレームスペースで構成してもよい。
【0029】
すなわち、ウイングタンクの幅は連結水路の幅と同じかそれ以上のフレームスペースで構成すればよく、その点は以下に述べる他の実施の形態においても同様である。
【0030】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第二の実施の形態を、図4の平面図に基づき説明する。
【0031】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク21a、21bを、フレーム22a、22b、22c、22d、22e、22fおよび22gによる6フレームスペース、すなわち、フレーム22a〜22g間の6個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク21a、21bを連結する連結水路も6フレームスペースで構成する。そして、フレーム22bの位置に設けた仕切板25aとフレーム22dの位置に設けた仕切板25bによって、連結水路を1:2:3の分割比で3分割して分割水路23a、23b、23cを設け、中央の分割水路23bにダンパー24を設ける。
【0032】
なお、分割水路23cの水路内に位置しているフレーム22e、22fの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。図5は、フレーム22eの位置に構造材26を配したものである。ただし、この構造材26は、仕切板と同じく水路を実質的に分割するものであってもよいし、窓孔等を有していて水路を実質的に分割するようになっていないものでもよい。前者の場合は、構造材26によって分割水路23cがさらに仕切られるが、それは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0033】
また、周期制御効果には、ダンパー24を設けていない分割水路23a、23cの合計幅と、ダンパー24を設けた分割水路23bの幅とが関係するので、ダンパー24を設けた分割水路23bの幅が変わらないようにして、仕切板25aと仕切板25bのフレーム位置をずらしてもよい。例えば、図6に示すように、フレーム22cの位置に仕切板25aに設け、フレーム22eの位置に仕切板25bを設けて、連結水路を2:2:2の分割比で3分割してもよいし、図7に示すように、フレーム22dの位置に仕切板25aに設け、フレーム22fの位置に仕切板25bを設けて、連結水路を3:2:1の分割比で3分割してもよく、この点は、以下に述べる他の実施の形態においても同様である。
【0034】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第三の実施の形態を、図8の平面図に基づき説明する。
【0035】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク31a、31bを、フレーム32a、32b、32c、32dおよび32eによる4フレームスペース、すなわち、フレーム32a〜32e間の4個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク31a、31bを連結する連結水路も4フレームスペースで構成する。そして、フレーム32bの位置に設けた仕切板35aとフレーム32dの位置に設けた仕切板35bによって、連結水路を1:2:1の分割比で3分割して分割水路33a、33b、33cを設け、中央の分割水路33bにダンパー34を設ける。
【0036】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第四の実施の形態を、図9の平面図に基づき説明する。
【0037】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク41a、41bを、フレーム42a、42b、42c、42d、42e、42fおよび42gによる6フレームスペース、すなわち、フレーム42a〜42g間の6個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク41a、41bを連結する連結水路も6フレームスペースで構成する。そして、フレーム42bの位置に設けた仕切板45aとフレーム42eの位置に設けた仕切板45bによって、連結水路を1:3:2の分割比で3分割して分割水路43a、43b、43cを設け、中央の分割水路43bにダンパー44を設ける。
【0038】
なお、ダンパー44を設けた分割水路43bの幅が変わらないようにして、仕切板45aと仕切板45bのフレーム位置をフレーム42cとフレーム42fにずらしてもよい。
【0039】
また、先に第二の実施形態の説明で述べたような形態で、分割水路の水路内に位置するフレームの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。ただし、構造材によって分割水路を仕切るのは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0040】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第五の実施の形態を、図10の平面図に基づき説明する。
【0041】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク51a、51bを、フレーム52a、52b、52c、52d、52e、52f、52g、52hおよび52iからなる8フレームスペース、すなわち、フレーム52a〜52i間の8個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク51a、51bを連結する連結水路も8フレームスペースで構成する。そして、フレーム52bの位置に設けた仕切板55aとフレーム52fの位置に設けた仕切板55bによって、連結水路を1:4:3の分割比で3分割して分割水路53a、53b、53cを設け、中央の分割水路53bにダンパー54を設ける。
【0042】
なお、ダンパー54を設けた分割水路53bの幅が変わらないようにして、仕切板55aと仕切板55bのフレーム位置をフレーム52cとフレーム52gに、または、フレーム52dとフレーム52hにずらしてもよい。
【0043】
また、先に第二の実施形態の説明で述べたような形態で、分割水路の水路内に位置するフレームの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。ただし、構造材によって分割水路を仕切るのは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0044】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第六の実施の形態を、図11の平面図に基づき説明する。
【0045】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク61a、61bを、フレーム62a、62b、62c、62d、62eおよび62fによる5フレームスペース、すなわち、フレーム62a〜62f間の5個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク61a、61bを連結する連結水路も5フレームスペースで構成する。そして、フレーム62bの位置に設けた仕切板65aとフレーム62dの位置に設けた仕切板65bによって、連結水路を1:2:2の分割比で3分割して分割水路63a、63b、63cを設け、中央の分割水路63bにダンパー64を設ける。
【0046】
なお、ダンパー64を設けた分割水路63bの幅が変わらないようにして、仕切板65aと仕切板65bのフレーム位置をフレーム62cとフレーム62eにずらしてもよい。
【0047】
また、先に第二の実施形態の説明で述べたような形態で、分割水路の水路内に位置するフレームの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。ただし、構造材によって分割水路を仕切るのは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0048】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第七の実施の形態を、図12の平面図に基づき説明する。
【0049】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク71a、71bを、フレーム72a、72b、72c、72d、72eおよび72fによる5フレームスペース、すなわち、フレーム72a〜72f間の5個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク71a、71bを連結する連結水路も5フレームスペースで構成する。そして、フレーム72bの位置に設けた仕切板75aとフレーム72eの位置に設けた仕切板75bによって、連結水路を1:3:1の分割比で3分割して分割水路73a、73b、73cを設け、中央の分割水路73bにダンパー74を設ける。
【0050】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第八の実施の形態を、図13の平面図に基づき説明する。
【0051】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク81a、81bを、フレーム82a、82b、82c、82d、82e、82f、82gおよび82hによる7フレームスペース、すなわち、フレーム82a〜82h間の7個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク81a、81bを連結する連結水路も7フレームスペースで構成する。そして、フレーム82bの位置に設けた仕切板85aとフレーム82dの位置に設けた仕切板85bによって、連結水路を1:2:4の分割比で3分割して分割水路83a、83b、83cを設け、中央の分割水路83bにダンパー84を設ける。
【0052】
なお、ダンパー84を設けた分割水路83bの幅が変わらないようにして、仕切板85aと仕切板85bのフレーム位置をフレーム82cとフレーム82e、フレーム82dとフレーム82f、またはフレーム82eとフレーム82gにずらしてもよい。
【0053】
また、先に第二の実施形態の説明で述べたような形態で、分割水路の水路内に位置するフレームの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。ただし、構造材によって分割水路を仕切るのは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0054】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第九の実施の形態を、図14の平面図に基づき説明する。
【0055】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク91a、91bを、フレーム92a、92b、92c、92d、92e、92f、92gおよび92hによる7フレームスペース、すなわち、フレーム92a〜92h間の7個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク91a、91bを連結する連結水路も7フレームスペースで構成する。そして、フレーム92bの位置に設けた仕切板95aとフレーム92eの位置に設けた仕切板95bによって、連結水路を1:3:3の分割比で3分割して分割水路93a、93b、93cを設け、中央の分割水路93bにダンパー94を設ける。
【0056】
なお、ダンパー94を設けた分割水路93bの幅が変わらないようにして、仕切板95aと仕切板95bのフレーム位置をフレーム92cとフレーム92f、またはフレーム92dとフレーム92gにずらしてもよい。
【0057】
また、先に第二の実施形態の説明で述べたような形態で、分割水路の水路内に位置するフレームの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。ただし、構造材によって分割水路を仕切るのは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0058】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第十の実施の形態を、図15の平面図に基づき説明する。
【0059】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク101a、101bを、フレーム102a、102b、102c、102d、102e、102f、10gおよび102hによる7フレームスペース、すなわち、フレーム102a〜102h間の7個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク101a、101bを連結する連結水路も7フレームスペースで構成する。そして、フレーム102bの位置に設けた仕切板105aとフレーム102fの位置に設けた仕切板105bによって、連結水路を1:4:2の分割比で3分割して分割水路103a、103b、103cを設け、中央の分割水路103bにダンパー104を設ける。
【0060】
なお、ダンパー104を設けた分割水路103bの幅が変わらないようにして、仕切板105aと仕切板105bのフレーム位置をフレーム102cとフレーム102gにずらしてもよい。
【0061】
また、先に第二の実施形態の説明で述べたような形態で、分割水路の水路内に位置するフレームの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。ただし、構造材によって分割水路を仕切るのは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0062】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第十一の実施の形態を、図16の平面図に基づき説明する。
【0063】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク111a、111bを、フレーム112a、112b、112c、112d、112eおよび102fによる5フレームスペース、すなわち、フレーム112a〜102f間の5個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク111a、111bを連結する連結水路も5フレームスペースで構成する。そして、フレーム112dの位置に設けた仕切板115によって、連結水路を3:2の分割比で2分割して分割水路113a、113bを設け、幅の広い方の分割水路113aにダンパー114を設ける。
【0064】
なお、仕切板115をフレーム112cの位置に設けて、連結水路を2:3の分割比で2分割して分割水路113a、113bを設け、幅の広い方の分割水路113bにダンパー114を設けてもよい。
【0065】
また、先に第二の実施形態の説明で述べたような形態で、分割水路の水路内に位置するフレームの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。ただし、構造材によって分割水路を仕切るのは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0066】
次ぎに、本発明の可変周期型減揺水槽に係る第十二の実施の形態を、図17の平面図に基づき説明する。
【0067】
この減揺水槽装置においては、一対のウイングタンク121a、121bを、フレーム122a、122b、122c、122d、122e、122f、122gおよび122hによる7フレームスペース、すなわち、フレーム122a〜122h間の7個のフレームスペースで構成し、ウイングタンク121a、121bを連結する連結水路も7フレームスペースで構成する。そして、フレーム172eの位置に設けた仕切板125によって、連結水路を4:3の分割比で2分割して分割水路123a、123bを設け、幅の広い方の分割水路123aにダンパー124を設ける。
【0068】
なお、仕切板125をフレーム122dの位置に設けて、連結水路を3:4の分割比で2分割して分割水路123a、123bを設け、幅の広い方の分割水路123bにダンパー124を設けてもよい。
【0069】
また、先に第二の実施形態の説明で述べたような形態で、分割水路の水路内に位置するフレームの位置に、必要に応じて、構造材を配してもよい。ただし、構造材によって分割水路を仕切るのは周期制御効果には影響しないので、連結水路を分割したことに含めない。
【0070】
【実施例】
実施例1
上述した第一の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽、すなわち、3フレームスペースの連結水路を1:1:1に3分割して中央の分割水路にダンパーを設けた可変周期型減揺水槽に関して、その周期制御方法を、499トン型の積荷変化の少ない船舶(漁業実習船等)に適用した場合を例に説明する。
【0071】
通常、船の横揺れ周期Tsは次の(1)式で表される。
【0072】
Ts=2.01κ/(GM)1/2 ・・・・・・・(1)
ただし、κ=慣動半径
【0073】
また、499トン型の漁業実習船は、減揺水槽使用状態で、GM=約1.0〜0.5、κ=約3.7〜4.0の範囲で変化する。このため、横揺れ周期Tsは、約7.5秒から11.5秒の範囲で変化する。この時、タンクの幅を9.4m、タンクの長さを1.8mとして、減揺水槽の連結水路が3フレームスペース分開放状態の場合の連結水路の断面積を約0.97m2とし、不規則波中の短周期側有効範囲を約7.5秒とすると、3フレームスペース開放状態での、長周期側有効範囲は約10.5秒となる。ここで、水路幅が1フレームスペースの分割水路13bに設置したダンパー14を閉じて2フレームスペース分のみ開放状態にした場合、連結水路の有効断面積は約0.65m2となり、短周期側の有効範囲は約8.7秒であり、長周期側の有効範囲は約12.2秒となる。このため、周期制御を行う場合、分割水路13bを開放状態にして、7.5秒から8.7秒に対応させ、分割水路13bを閉鎖状態にして、8.7秒から11.5秒に対応させることにより、周期制御が可能となる。周期が7.5秒以下および11.5秒以上は減揺水槽を停止する。
【0074】
一方、従来技術では、上記の場合、3フレームスペース開放状態で短周期側有効範囲を7.5秒に設定すると、長周期側有効範囲は9.5秒と定義される。ダンパーにより分割水路を閉鎖した場合、短周期側有効範囲は8.7秒であるから、長期側有効範囲は10.7秒と定義され、11.5秒までを有効作動範囲とする場合、分割水路の幅をフレームスペースから外して幅を広げた位置に仕切板を設置するか、更に連結水路を分割してダンパーを設置しなければならない。
【0075】
以上のように、本出願人が出願した特開2002−87379の制御方法を適用して、周期変化の少ない船舶では、3フレームスペースで構成される連結水路を、フレーム位置にあわせて設置した仕切板で分割し、ダンパーを設ける分割水路幅をフレームスペース構成比1、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比2の比率で構成することにより、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0076】
なお、実施例1において、連結水路の幅が6フレームスペースで構成されている第二の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽を用いた場合も、第一の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽の場合と同様に、ダンパーを設けた分割水路幅をフレームスペース構成比1、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比2の比率で構成されているので、第一の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽の場合と同一の周期範囲となり、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0077】
実施例2
上述した第三の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽、すなわち、4フレームスペースの連結水路を1:2:1に3分割して中央の分割水路にダンパーを設けた可変周期型減揺水槽に関して、その周期制御方法を、実施例1と同様の499トン型の積荷変化の少ない船舶(漁業実習船等)に適用した場合を例に説明する。
【0078】
実施例1と同様に、499トン型の積荷変化の少ない船舶の横揺れ周期Tsは、約7.5秒から11.5秒の範囲で変化する。この時、減揺水槽の連結水路が4フレームスペース分開放状態の場合の連結水路の断面積を約1.30m2とし、不規則波中の短周期側有効範囲を約7.5秒とすると、4フレームスペース開放状態での、長周期側有効範囲は約10.5秒となる。ここで、水路幅が2フレームスペースの分割水路33bに設置したダンパー34を閉じて2フレームスペース分のみ開放状態にした場合、連結水路の有効断面積は約0.65m2となり、短周期側の有効範囲は約9.8秒であり、長周期側の有効範囲は約13.7秒となる。このため、周期制御を行う場合、分割水路33bを開放状態にして、7.5秒から9.8秒に対応させ、分割水路33bを閉鎖状態にして、9.8秒から11.5秒に対応させることにより、周期制御が可能となる。周期が7.5秒以下および11.5秒以上は減揺水槽を停止する。
【0079】
一方、従来技術では、上記の場合、4フレーム開放状態で短周期側有効範囲を7.5秒に設定すると、長周期側有効範囲は9.5秒と定義される。ダンパーにより分割水路を閉鎖した場合、短周期側有効範囲は9.8秒であるから、長期側有効範囲は11.8秒と定義され、9.5秒から9.8秒までの間が制御範囲から外れるから、分割水路の幅をフレームスペースから外して幅を狭めた位置に仕切板を設置して有効範囲を連続させなければならない。
【0080】
以上のように、本出願人が出願した特開2002−87379の制御方法を適用して、周期変化の少ない船舶では、4フレームスペースで構成される連結水路を、フレーム位置にあわせて設置した仕切板で分割し、ダンパーを設ける分割水路幅をフレーム構成比1、ダンパーを設けない分割水路幅をフレーム構成比1の比率で構成することにより、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0081】
なお、実施例2において、連結水路の幅が6フレームスペースで構成されている第四の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽を用いた場合や連結水路の幅が8フレームスペースで構成されている第五の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽を用いた場合も、第三の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽の場合と同様に、ダンパーを設けた分割水路幅をフレームスペース構成比1、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比1の比率で構成されているので、第三の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽の場合と同一の周期範囲となり、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0082】
実施例3
上述した第六の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽、すなわち、5フレームスペースの連結水路を1:2:2に3分割して中央の分割水路にダンパーを設けた可変周期型減揺水槽に関して、その周期制御方法を、実施例1と同様の499トン型の積荷変化の少ない船舶(漁業実習船等)に適用した場合を例に説明する。
【0083】
実施例1と同様に、499トン型の積荷変化の少ない船舶の横揺れ周期Tsは、約7.5秒から11.5秒の範囲で変化する。この時、減揺水槽の連結水路が5フレームスペース分開放状態の場合の連結水路の断面積を約1.62m2とし、不規則波中の短周期側有効範囲を約7.5秒とすると、5フレームスペース開放状態での、長周期側有効範囲は約10.5秒となる。ここで、水路幅が2フレームスペースの分割水路63bに設置したダンパー64を閉じて3フレームスペース分のみ開放状態にした場合、連結水路の有効断面積は約0.97m2となり、短周期側の有効範囲は約9.1秒であり、長周期側の有効範囲は約12.7秒となる。このため、周期制御を行う場合、分割水路63bを開放状態にして、7.5秒から9.1秒に対応させ、分割水路63bを閉鎖状態にして、9.1秒から11.5秒に対応させることにより、周期制御が可能となる。周期が7.5秒以下および11.5秒以上は減揺水槽を停止する。
【0084】
一方、従来技術では、上記の場合、5フレーム開放状態で短周期側有効範囲を7.5秒に設定すると、長周期側有効範囲は9.5秒と定義される。ダンパーにより分割水路を閉鎖した場合、短周期側有効範囲は9.1秒であるから、長期側有効範囲は11.1秒と定義され、11.1秒から11.5秒までの間が制御範囲から外れるから、分割水路の幅をフレームスペースから外して幅を広げた位置に仕切板を設置するか、更に連結水路を分割してダンパーを設置しなければならない。
【0085】
以上のように、本出願人が出願した特開2002−87379の制御方法を適用して、周期変化の少ない船舶では、5フレームスペースで構成される連結水路を、フレーム位置にあわせて設置した仕切板で分割し、ダンパーを設ける分割水路幅をフレームスペース構成比2、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比3の比率で構成することにより、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0086】
実施例4
上述した第七の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽、すなわち、5フレームスペースの連結水路を1:3:1に3分割して中央の分割水路にダンパーを設けた可変周期型減揺水槽に関して、その周期制御方法を、実施例1と同様の499トン型の積荷変化の少ない船舶(漁業実習船等)に適用した場合を例に説明する。
【0087】
実施例1と同様に、499トン型の積荷変化の少ない船舶の横揺れ周期Tsは、約7.5秒から11.5秒の範囲で変化する。この時、減揺水槽の連結水路が5フレームスペース分開放状態の場合の連結水路の断面積を約1.65m2とし、不規則波中の短周期側有効範囲を約7.5秒とすると、5フレームスペース開放状態での、長周期側有効範囲は約10.5秒となる。ここで、水路幅が3フレームスペースの分割水路73bに設置したダンパー74を閉じて2フレームスペース分のみ開放状態にした場合、連結水路の有効断面積は約0.66m2となり、短周期側の有効範囲は約10.5秒であり、長周期側の有効範囲は約14.7秒となる。このため、周期制御を行う場合、分割水路73bを開放状態にして、7.5秒から10.5秒に対応させ、分割水路73bを閉鎖状態にして、10.5秒から11.5秒に対応させることにより、周期制御が可能となる。周期が7.5秒以下および11.5秒以上は減揺水槽を停止する。
【0088】
一方、従来技術では、上記の場合、5フレーム開放状態で短周期側有効範囲を7.5秒に設定すると、長周期側有効範囲は9.5秒と定義される。ダンパーにより分割水路を閉鎖した場合、短周期側有効範囲は10.5秒であるから、長期側有効範囲は12.5秒と定義され、9.5秒から10.5秒までの間が制御範囲から外れるから、分割水路の幅をフレームスペースから外して幅を狭めた位置に仕切板を設置しなければならない。
【0089】
以上のように、本出願人が出願した特開2002−87379の制御方法を適用して、周期変化の少ない船舶では、5フレームスペースで構成される連結水路を、フレーム位置にあわせて設置した仕切板で分割し、ダンパーを設ける分割水路幅をフレーム構成比3、ダンパーを設けない分割水路幅をフレーム構成比2の比率で構成することにより、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0090】
なお、実施例4において、連結水路の幅が5フレームスペースで構成されている第十一の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽を用いた場合、第七の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽の場合と同様に、ダンパーを設けた分割水路幅をフレームスペース構成比3、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比2の比率で構成されているので、第七の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽の場合と同一の周期範囲となり、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0091】
実施例5
上述した第八の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽、すなわち、7フレームスペースの連結水路を1:2:4に3分割して中央の分割水路にダンパーを設けた可変周期型減揺水槽に関して、その周期制御方法を、実施例1と同様の499トン型の積荷変化の少ない船舶(漁業実習船等)に適用した場合を例に説明する。
【0092】
実施例1と同様に、499トン型の積荷変化の少ない船舶の横揺れ周期Tsは、約7.5秒から11.5秒の範囲で変化する。この時、減揺水槽の連結水路が7フレームスペース分開放状態の場合の連結水路の断面積を約1.89m2とし、不規則波中の短周期側有効範囲を約7.5秒とすると、7フレームスペース開放状態での、長周期側有効範囲は約10.5秒となる。ここで、水路幅が2フレームスペースの分割水路83bに設置したダンパー84を閉じて5フレームスペース分のみ開放状態にした場合、連結水路の有効断面積は約1.35m2となり、短周期側の有効範囲は約8.5秒であり、長周期側の有効範囲は約11.9秒となる。このため、周期制御を行う場合、分割水路83bを開放状態にして、7.5秒から8.5秒に対応させ、分割水路83bを閉鎖状態にして、8.5秒から11.5秒に対応させることにより、周期制御が可能となる。周期が7.5秒以下および11.5秒以上は減揺水槽を停止する。
【0093】
一方、従来技術では、上記の場合、7フレーム開放状態で短周期側有効範囲を7.5秒に設定すると、長周期側有効範囲は9.5秒と定義される。ダンパーにより分割水路を閉鎖した場合、短周期側有効範囲は8.5秒であるから、長期側有効範囲は10.5秒と定義され、10.5秒から11.5秒までの間が制御範囲から外れるから、分割水路の幅をフレームスペースから外して幅を広げた位置に仕切板を設置するか、更に連結水路を分割してダンパーを設置しなければならない。
【0094】
以上のように、本出願人が出願した特開2002−87379の制御方法を適用して、周期変化の少ない船舶では、7フレームスペースで構成される連結水路を、フレーム位置にあわせて設置した仕切板で分割し、ダンパーを設ける分割水路幅をフレームスペース構成比2、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比5の比率で構成することにより、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0095】
実施例6
上述した第九の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽、すなわち、7フレームスペースの連結水路を1:3:3に3分割して中央の分割水路にダンパーを設けた可変周期型減揺水槽に関して、その周期制御方法を、実施例1と同様の499トン型の積荷変化の少ない船舶(漁業実習船等)に適用した場合を例に説明する。
【0096】
実施例1と同様に、499トン型の積荷変化の少ない船舶の横揺れ周期Tsは、約7.5秒から11.5秒の範囲で変化する。この時、減揺水槽の連結水路が7フレームスペース分開放状態の場合の連結水路の断面積を約1.89m2とし、不規則波中の短周期側有効範囲を約7.5秒とすると、7フレームスペース開放状態での、長周期側有効範囲は約10.5秒となる。ここで、水路幅が3フレームスペースの分割水路93bに設置したダンパー94を閉じて4フレームスペース分のみ開放状態にした場合、連結水路の有効断面積は約1.08m2となり、短周期側の有効範囲は約9.3秒であり、長周期側の有効範囲は約13.0秒となる。このため、周期制御を行う場合、分割水路93bを開放状態にして、7.5秒から9.3秒に対応させ、分割水路93bを閉鎖状態にして、9.3秒から11.5秒に対応させることにより、周期制御が可能となる。周期が7.5秒以下および11.5秒以上は減揺水槽を停止する。
【0097】
一方、従来技術では、上記の場合、7フレーム開放状態で短周期側有効範囲を7.5秒に設定すると、長周期側有効範囲は9.5秒と定義される。ダンパーにより分割水路を閉鎖した場合、短周期側有効範囲は9.3秒であるから、長期側有効範囲は11.3秒と定義され、11.3秒から11.5秒までの間が制御範囲から外れるから、分割水路の幅をフレームスペースから外して設置しなければならない。
【0098】
以上のように、本出願人が出願した特開2002−87379の制御方法を適用して、周期変化の少ない船舶では、7フレームスペースで構成される連結水路を、フレーム位置にあわせて設置した仕切板で分割し、ダンパーを設ける分割水路幅をフレームスペース構成比3、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比4の比率で構成することにより、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0099】
実施例7
上述した第十の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽、すなわち、7フレームスペースの連結水路を1:4:2に3分割して中央の分割水路にダンパーを設けた可変周期型減揺水槽に関して、その周期制御方法を、実施例1と同様の499トン型の積荷変化の少ない船舶(漁業実習船等)に適用した場合を例に説明する。
【0100】
実施例1と同様に、499トン型の積荷変化の少ない船舶の横揺れ周期Tsは、約7.5秒から11.5秒の範囲で変化する。この時、減揺水槽の連結水路が7フレームスペース分開放状態の場合の連結水路の断面積を約1.89m2とし、不規則波中の短周期側有効範囲を約7.5秒とすると、7フレームスペース開放状態での、長周期側有効範囲は約10.5秒となる。ここで、水路幅が4フレームスペースの分割水路103bに設置したダンパー104を閉じて3フレームスペース分のみ開放状態にした場合、連結水路の有効断面積は約0.81m2となり、短周期側の有効範囲は約10.49秒であり、長周期側の有効範囲は約14.7秒となる。このため、周期制御を行う場合、分割水路103bを開放状態にして、7.5秒から10.49秒に対応させ、分割水路103bを閉鎖状態にして、10.49秒から11.5秒に対応させることにより、周期制御が可能となる。周期が7.5秒以下および11.5秒以上は減揺水槽を停止する。
【0101】
一方、従来技術では、上記の場合、7フレーム開放状態で短周期側有効範囲を7.5秒に設定すると、長周期側有効範囲は9.5秒と定義される。ダンパーにより分割水路を閉鎖した場合、短周期側有効範囲は10.49秒であるから、長期側有効範囲は12.49秒と定義され、9.5秒から10.49秒までの間が制御範囲から外れるから、分割水路の幅をフレームスペースから外して幅を広げた位置に仕切板を設置するか、更に連結水路を分割してダンパーを設置しなければならない。
【0102】
以上のように、本出願人が出願した特開2002−87379の制御方法を適用して、周期変化の少ない船舶では、7フレームスペースで構成される連結水路を、フレーム位置にあわせて設置した仕切板で分割し、ダンパーを設ける分割水路幅をフレームスペース構成比3、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比4の比率で構成することにより、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0103】
なお、実施例7において、連結水路の幅が7フレームスペースで構成されている第十二の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽を用いた場合、第十の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽の場合と同様に、ダンパーを設けた分割水路幅をフレームスペース構成比4、ダンパーを設けない分割水路幅をフレームスペース構成比3の比率で構成されているので、第十の実施の形態に係る可変周期型減揺水槽の場合と同一の周期範囲となり、十分に横揺れ周期をカバー可能な可変周期型減揺水槽となる。
【0104】
【発明の効果】
本発明により、可変周期型減揺水槽の連結水路の分割を行う場合、連結水路の仕切板をフレーム位置に合わせて設置する事が可能である。このため、従来例のようなフレーム位置から外れた場所に連結水路の仕切板を設置する必要が無く、構造強度上の連続性を損なうことが無いため、船体構造上の安全性を損なうことが無い。
【0105】
また、フレーム位置以外の場所に連結水路の仕切板を設置する従来例では、減揺水槽の構造部材を増大したり、局所的な補強等を行う必要が有るため、減揺水槽の部材重量、製作工数等が増加して建造コストが増加することになる。しかし、本発明によれば、従来例のように減揺水槽の部材増加や製作工数を増加させることなく、減揺水槽を設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の船舶の可変周期型減揺水槽の説明図であり、(a)は減揺水槽の全体構成を示すブロック図、(b)は減揺機能を発揮させる部分の斜視図である。
【図2】本発明の可変周期型減揺水槽の第一の実施の形態を示す平面図である。
【図3】本発明の可変周期型減揺水槽の第一の実施の形態を示す平面図である。
【図4】本発明の可変周期型減揺水槽の第二の実施の形態を示す平面図である。
【図5】本発明の可変周期型減揺水槽の第二の実施の形態を示す平面図である。
【図6】本発明の可変周期型減揺水槽の第二の実施の形態を示す平面図である。
【図7】本発明の可変周期型減揺水槽の第二の実施の形態を示す平面図である。
【図8】本発明の可変周期型減揺水槽の第三の実施の形態を示す平面図である。
【図9】本発明の可変周期型減揺水槽の第四の実施の形態を示す平面図である。
【図10】本発明の可変周期型減揺水槽の第五の実施の形態を示す平面図である。
【図11】本発明の可変周期型減揺水槽の第六の実施の形態を示す平面図である。
【図12】本発明の可変周期型減揺水槽の第七の実施の形態を示す平面図である。
【図13】本発明の可変周期型減揺水槽の第八の実施の形態を示す平面図である。
【図14】本発明の可変周期型減揺水槽の第九の実施の形態を示す平面図である。
【図15】本発明の可変周期型減揺水槽の第十の実施の形態を示す平面図である。
【図16】本発明の可変周期型減揺水槽の第十一の実施の形態を示す平面図である。
【図17】本発明の可変周期型減揺水槽の第十二の実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1a、1b ウイングタンク
2 連結水路
3 ダンパー
4 ダンパー制御手段
5 空気ダクト
6 バルブ
7 バルブ制御手段
8 動揺検出器
9 運転判定手段
11a、11b ウイングタンク
12a、12b、12c、12d、12e、12f フレーム
13a、13b、13c 分割水路
14 ダンパー
15a、15b 仕切板
21a、21b ウイングタンク
22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g フレーム
23a、23b、23c 分割水路
24 ダンパー
25a、25b 仕切板
26 構造材
31a、31b ウイングタンク
32a、32b、32c、32d、32e フレーム
33a、33b、33c 分割水路
34 ダンパー
35a、35b 仕切板
41a、41b ウイングタンク
42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g フレーム
43a 43b、43c 分割水路
44 ダンパー
45a、45b 仕切板
51a、51b ウイングタンク
52a〜52i フレーム
53a、53b、53c 分割水路
54 ダンパー
55a、55b 仕切板
61a、61b ウイングタンク
62a、62b、62c、62d、62e、62f フレーム
63a、63b、63c 分割水路
64 ダンパー
65a、65b 仕切板
71a、71b ウイングタンク
72a、72b、72c、72d、72e、72f フレーム
73a、73b、73c 分割水路
74 ダンパー
75a、75b 仕切板
81a、81b ウイングタンク
82a〜82h フレーム
83a、83b、83c 分割水路
84 ダンパー
85a、85b 仕切板
91a、91b ウイングタンク
92a〜92h フレーム
93a、93b、93c 分割水路
94 ダンパー
95a、95b 仕切板
101a、101b ウイングタンク
102a〜102h フレーム
103a、103b、103c 分割水路
104 ダンパー
105a、105b 仕切板
111a、111b ウイングタンク
112a〜112f フレーム
113a、113b 分割水路
114 ダンパー
115 仕切板
121a、121b ウイングタンク
122a〜122h フレーム
123a、123b 分割水路
124 ダンパー
125 仕切板
Claims (2)
- 船舶に配置され、左右一対のウイングタンクと、該一対のウイングタンク下部を連通する連結水路と、該連結水路に設けられた、その開閉によって減揺水槽内部の液体の動揺周期を調整するためのダンパーと、前記ウイングタンク上部を連結する空気ダクトと、該空気ダクトに設けられたバルブとを備える可変周期型減揺水槽において、前記連結水路を3フレームスペース以上のフレームスペースで構成するとともに、フレーム位置に設置した仕切板で前記連結水路を3分割し、分割された3個の分割水路のうち、中央の分割水路のみにダンパーを設け、他の分割水路にダンパーを設けなくても、前記ダンパーの開放または閉鎖によって有効周期範囲が連続することを特徴とする可変周期型減揺水槽。
- 船舶に配置され、左右一対のウイングタンクと、該一対のウイングタンク下部を連通する連結水路と、該連結水路に設けられた、その開閉によって減揺水槽内部の液体の動揺周期を調整するためのダンパーと、前記ウイングタンク上部を連結する空気ダクトと、該空気ダクトに設けられたバルブとを備える可変周期型減揺水槽において、前記連結水路を3フレームスペース以上のフレームスペースで構成するとともに、フレーム位置に設置した仕切板で前記連結水路を2分割し、分割された2個の分割水路のうち、幅の広い方の分割水路のみにダンパーを設け、幅の狭い方の分割水路にダンパーを設けなくても、前記ダンパーの開放または閉鎖によって有効周期範囲が連続することを特徴とする可変周期型減揺水槽。
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