JPH05213194A - 鉄道車両の振動制御装置 - Google Patents
鉄道車両の振動制御装置Info
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- JPH05213194A JPH05213194A JP4783592A JP4783592A JPH05213194A JP H05213194 A JPH05213194 A JP H05213194A JP 4783592 A JP4783592 A JP 4783592A JP 4783592 A JP4783592 A JP 4783592A JP H05213194 A JPH05213194 A JP H05213194A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 流体アクチュエータを介して行なわれる車体
の振動制御において、振動制御を基本振動レベルに分割
することにより、制御器の設計を容易とし、かつ複数の
検知出力を振動制御に取り入れ、より高度な振動制御の
実現を図る。 【構成】 鉄道車両の車体とばねを有する台車間に設置
した流体アクチュエータ、その流体アクチュエータを駆
動する制御弁、車体の上下、左右方向の振動を検知する
検知計、その検知計の出力から前記制御弁への制御入力
を決定する制御器から構成され、車体に発生する上下、
左右振動を能動的に制御する機能を有する鉄道車両の振
動制御装置において、振動制御を車体に発生する上下、
左右方向の振動を構成する基本振動レベルに分割し、各
基本振動の制御に多変数デジタル制御器を用いるように
構成した鉄道車両の振動制御装置である。 【効果】 常に最適な振動制御効果が得られ、乗客の乗
り心地を向上できる。
の振動制御において、振動制御を基本振動レベルに分割
することにより、制御器の設計を容易とし、かつ複数の
検知出力を振動制御に取り入れ、より高度な振動制御の
実現を図る。 【構成】 鉄道車両の車体とばねを有する台車間に設置
した流体アクチュエータ、その流体アクチュエータを駆
動する制御弁、車体の上下、左右方向の振動を検知する
検知計、その検知計の出力から前記制御弁への制御入力
を決定する制御器から構成され、車体に発生する上下、
左右振動を能動的に制御する機能を有する鉄道車両の振
動制御装置において、振動制御を車体に発生する上下、
左右方向の振動を構成する基本振動レベルに分割し、各
基本振動の制御に多変数デジタル制御器を用いるように
構成した鉄道車両の振動制御装置である。 【効果】 常に最適な振動制御効果が得られ、乗客の乗
り心地を向上できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、前後方向に長い鉄道
車両の車体に発生する上下、左右方向の振動抑制に適し
た鉄道車両の振動制御装置に関する。
車両の車体に発生する上下、左右方向の振動抑制に適し
た鉄道車両の振動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両の上下、左右方向の振動を抑制
する方法としては、車体と台車の間に振動方向に合わせ
て流体アクチュエータを設置し、該車体の振動に対し逆
位相の制御力を発生させるのが一般的である。
する方法としては、車体と台車の間に振動方向に合わせ
て流体アクチュエータを設置し、該車体の振動に対し逆
位相の制御力を発生させるのが一般的である。
【0003】従来の鉄道車両の振動制御装置としては、
特開昭56−17754号の「車両の振動制御装置」お
よび特開昭59−156860号の「車両の振動制御装
置」等が知られている。その構成例を図13に示す。車
体1と台車4の間に設置された流体アクチュエータ3
x、3y、3zはそれぞれ制御弁5x、5y、5zで駆
動される。その制御弁への制御入力は、車体1に設置さ
れた加速度検知計6x、6y、6zの出力を用いて、図
14に示す積分器9、位相補償要素10、ゲイン要素1
1から構成される制御器7x、7y、7zにより決定さ
れる。その制御器を伝達関数表現すると数1に示す1式
のようになる。なお、式中のsはラプラス演算子であ
る。
特開昭56−17754号の「車両の振動制御装置」お
よび特開昭59−156860号の「車両の振動制御装
置」等が知られている。その構成例を図13に示す。車
体1と台車4の間に設置された流体アクチュエータ3
x、3y、3zはそれぞれ制御弁5x、5y、5zで駆
動される。その制御弁への制御入力は、車体1に設置さ
れた加速度検知計6x、6y、6zの出力を用いて、図
14に示す積分器9、位相補償要素10、ゲイン要素1
1から構成される制御器7x、7y、7zにより決定さ
れる。その制御器を伝達関数表現すると数1に示す1式
のようになる。なお、式中のsはラプラス演算子であ
る。
【0004】
【数1】
【0005】前記制御器の設計は次のようにして行われ
る。初めに制御対象モデルとして、図13における制御
弁5x、5y、5zへの制御入力から加速度検知計6
x、6y、6zの検知出力までの伝達特性を数2に示す
1入力1出力の伝達関数(2式)で記述する。
る。初めに制御対象モデルとして、図13における制御
弁5x、5y、5zへの制御入力から加速度検知計6
x、6y、6zの検知出力までの伝達特性を数2に示す
1入力1出力の伝達関数(2式)で記述する。
【0006】
【数2】
【0007】次に、図15に示すように制御対象モデル
12と制御器7とでループを構成し、加速度目標値13
から加速度検知計出力14までの伝達特性が最適となる
ように制御器7のパラメータ(ゲインK、位相補償要素
の時定数T1〜T4)を調整する。
12と制御器7とでループを構成し、加速度目標値13
から加速度検知計出力14までの伝達特性が最適となる
ように制御器7のパラメータ(ゲインK、位相補償要素
の時定数T1〜T4)を調整する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】鉄道車両の車体に発生
する上下、左右方向の振動は、図16A、Bに示すよう
に、上下動a、ピッチングb、ヨーイングc、左右動
d、ローリングeの各基本振動が合成されたものであ
る。したがって、制御弁への制御入力から加速度検知計
の検知出力までの伝達特性は、図17、図18に示すよ
うに複数の共振特性を持つ複雑なものとなる。そのた
め、数2(2式)で記述される制御対象モデルも高次数
のものとなり、制御器のパラメータ調整が非常に難しく
なる。
する上下、左右方向の振動は、図16A、Bに示すよう
に、上下動a、ピッチングb、ヨーイングc、左右動
d、ローリングeの各基本振動が合成されたものであ
る。したがって、制御弁への制御入力から加速度検知計
の検知出力までの伝達特性は、図17、図18に示すよ
うに複数の共振特性を持つ複雑なものとなる。そのた
め、数2(2式)で記述される制御対象モデルも高次数
のものとなり、制御器のパラメータ調整が非常に難しく
なる。
【0009】また、複数の検知計を用いて制御を行う場
合、制御対象モデルが多出力モデルとなり、さらに各検
知出力間には干渉が存在するため、制御器のパラメータ
調整が非常に難しくなる。以上の理由により、従来の技
術では、より高度な制御の実現性に問題があった。
合、制御対象モデルが多出力モデルとなり、さらに各検
知出力間には干渉が存在するため、制御器のパラメータ
調整が非常に難しくなる。以上の理由により、従来の技
術では、より高度な制御の実現性に問題があった。
【0010】この発明は、前記の現状にかんがみ、鉄道
車両の車体と台車の間に上下、左右方向に設置した流体
アクチュエータにより振動を抑制する振動制御装置にお
いて、車体に発生する上下、左右方向の振動を基本振動
レベルに分割して制御を行うように構成することによ
り、より良好な乗り心地が得られる鉄道車両の振動制御
装置を提供するものである。
車両の車体と台車の間に上下、左右方向に設置した流体
アクチュエータにより振動を抑制する振動制御装置にお
いて、車体に発生する上下、左右方向の振動を基本振動
レベルに分割して制御を行うように構成することによ
り、より良好な乗り心地が得られる鉄道車両の振動制御
装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】図16A、Bに示した振
動は、図2A、B、C、Dに示すように、上下動a、ピ
ッチングb、ヨーイングcおよび左右動dとローリング
eとの連成振動に分解することができる。この事実に着
目すると、図2に示した各振動別に制御器を設計し、各
制御器で得られた制御入力を合成して制御弁に入力する
構成とすることで、各制御器の設計が容易となる。そし
て、制御対象モデルの記述を、制御対象の内部状態を表
現するいくつかの状態変数に関する数3の状態方程式
(3式)で行う。
動は、図2A、B、C、Dに示すように、上下動a、ピ
ッチングb、ヨーイングcおよび左右動dとローリング
eとの連成振動に分解することができる。この事実に着
目すると、図2に示した各振動別に制御器を設計し、各
制御器で得られた制御入力を合成して制御弁に入力する
構成とすることで、各制御器の設計が容易となる。そし
て、制御対象モデルの記述を、制御対象の内部状態を表
現するいくつかの状態変数に関する数3の状態方程式
(3式)で行う。
【0012】
【数3】
【0013】ここで、uは制御入力、xは状態変数、y
は検知出力である。この状態方程式を用いることで、多
入力多出力の制御対象モデルも容易に記述できるので、
各入出力間の干渉を考慮した制御器を設計することがで
きる。さらに、設計された制御器もまた数3の状態方程
式(3式)で表されるので、ディジタル化、ソフトウエ
ア化してマイクロコンピュータ等に容易に組み込むこと
ができ、制御器の信頼性、保守性も向上できる。
は検知出力である。この状態方程式を用いることで、多
入力多出力の制御対象モデルも容易に記述できるので、
各入出力間の干渉を考慮した制御器を設計することがで
きる。さらに、設計された制御器もまた数3の状態方程
式(3式)で表されるので、ディジタル化、ソフトウエ
ア化してマイクロコンピュータ等に容易に組み込むこと
ができ、制御器の信頼性、保守性も向上できる。
【0014】この発明は、上記の知見に基づいて完成さ
れたものであり、鉄道車両の車体とばねを有する台車間
に上下、左右方向に設置した流体アクチュエータ、該流
体アクチュエータを駆動する制御弁、前記車体の上下、
左右方向の振動を検知する検知計、該検知計の出力から
前記制御弁への制御入力を決定する制御器から構成さ
れ、前記車体に発生する上下、左右振動を能動的に制御
する機能を有する鉄道車両の振動制御装置において、振
動制御を前記車体に発生する上下、左右方向の振動を構
成する基本振動レベルに分割し、各基本振動の制御に多
変数ディジタル制御器を用いることを特徴とする鉄道車
両の振動制御装置である。
れたものであり、鉄道車両の車体とばねを有する台車間
に上下、左右方向に設置した流体アクチュエータ、該流
体アクチュエータを駆動する制御弁、前記車体の上下、
左右方向の振動を検知する検知計、該検知計の出力から
前記制御弁への制御入力を決定する制御器から構成さ
れ、前記車体に発生する上下、左右振動を能動的に制御
する機能を有する鉄道車両の振動制御装置において、振
動制御を前記車体に発生する上下、左右方向の振動を構
成する基本振動レベルに分割し、各基本振動の制御に多
変数ディジタル制御器を用いることを特徴とする鉄道車
両の振動制御装置である。
【0015】
【作用】鉄道車両の振動を検知し、その振動制御を行う
には、車体の上下、左右加速度、台車と車体の左右相対
変位などを各検知計により検出することが必要である。
これらの検知出力値から、車体に発生する各基本振動の
振動状態を特定し、制御器内で制御則に応じて車体と台
車の間に設置した上下、左右方向のアクチュエータを駆
動するための出力を行うことにより振動を抑制すること
ができる。
には、車体の上下、左右加速度、台車と車体の左右相対
変位などを各検知計により検出することが必要である。
これらの検知出力値から、車体に発生する各基本振動の
振動状態を特定し、制御器内で制御則に応じて車体と台
車の間に設置した上下、左右方向のアクチュエータを駆
動するための出力を行うことにより振動を抑制すること
ができる。
【0016】まず、制御弁による流体アクチュエータの
駆動機構の一例として、比例流量制御弁による複動形空
気圧シリンダの駆動機構を図3に基づいて説明する。複
動形空気圧シリンダ15を中立状態に維持する場合に
は、比例流量制御弁17〜20をある開度で開放し、空
気源16から一定の流量で空気を流す。このとき、複動
形空気圧シリンダ15内の圧力は給排気の比例流量制御
弁の開度比で決まり、開度比が大きいほど圧力は高くな
る。この事実を利用し、演算器21で制御入力uの正負
に応じて4式のように比例流量弁17〜20への入力電
圧u1〜u4を決定すれば、u>0のときには図3におい
て右方向の制御力、u<0のときには左方向の制御力が
発生する。なお、4式においてui0、u■0は中立状態
で給排気弁に加えておく基準電圧である。
駆動機構の一例として、比例流量制御弁による複動形空
気圧シリンダの駆動機構を図3に基づいて説明する。複
動形空気圧シリンダ15を中立状態に維持する場合に
は、比例流量制御弁17〜20をある開度で開放し、空
気源16から一定の流量で空気を流す。このとき、複動
形空気圧シリンダ15内の圧力は給排気の比例流量制御
弁の開度比で決まり、開度比が大きいほど圧力は高くな
る。この事実を利用し、演算器21で制御入力uの正負
に応じて4式のように比例流量弁17〜20への入力電
圧u1〜u4を決定すれば、u>0のときには図3におい
て右方向の制御力、u<0のときには左方向の制御力が
発生する。なお、4式においてui0、u■0は中立状態
で給排気弁に加えておく基準電圧である。
【0017】4式 u>0 : u1=ui0+u u2=u■0 u3=ui0 u4=u■0+u u<0 : u1=ui0 u2=u■0−u u3=ui0−u u4=u■0
【0018】次に、制御計算の内容を図4に基づいて説
明する。分割器24は検知計の出力から各基本振動成分
を5式の方程式で算出する。hおよびlは図5に示すよ
うに、車体中心からの検知計の設置位置を示す。
明する。分割器24は検知計の出力から各基本振動成分
を5式の方程式で算出する。hおよびlは図5に示すよ
うに、車体中心からの検知計の設置位置を示す。
【0019】5式 ya=(yxf+yzf+yxr+yzr)/4 yb=(yxf+yzf−yxr−yzr)/4 yc=(yyf+yyr)/2 yd=(yyf+yyr)/2−(h/b)ye ye=−(yxf−yzf+yxr−yzr)/4
【0020】多変数ディジタル制御器25は、前記数3
(3式)に示した状態方程式の形で設計されたものを制
御周期△tでディジタル化した次の6式の形で用いられ
る。制御周期△tは、流体アクチュエータおよび制御弁
の応答性、制御器として使用しているマイクロコンピュ
ータの演算能力によって決まるが、数msec〜数十m
secの範囲の値を用いるのが一般的である。
(3式)に示した状態方程式の形で設計されたものを制
御周期△tでディジタル化した次の6式の形で用いられ
る。制御周期△tは、流体アクチュエータおよび制御弁
の応答性、制御器として使用しているマイクロコンピュ
ータの演算能力によって決まるが、数msec〜数十m
secの範囲の値を用いるのが一般的である。
【0021】6式 x(k+1)=Adx(k)+Bdu(k) y(k)=Cdx(k)
【0022】合成器26は、多変数ディジタル制御器2
5で計算された各基本振動に対する制御入力を7式で合
成して各制御弁への制御入力を算出する。
5で計算された各基本振動に対する制御入力を7式で合
成して各制御弁への制御入力を算出する。
【0023】7式 uxf=ua+ub uyf=uc+ude uzf=ua+ub uxr=ua−ub uyr=−uc+ude uzr=ua−ub
【0024】なお、前記分割器24、多変数ディジタル
制御器25および合成器26はソフトウエアの形でマイ
クロコンピュータ23内に構成される。したがって、実
装時には図4に示すようにA/D変換装置22、D/A
変換装置27が必要となる。
制御器25および合成器26はソフトウエアの形でマイ
クロコンピュータ23内に構成される。したがって、実
装時には図4に示すようにA/D変換装置22、D/A
変換装置27が必要となる。
【0025】前記のごとく、振動制御を基本振動レベル
に分割することにより制御器の設計が容易となり、また
複数の検知出力を振動制御に取り入れることができるの
で、より高度な振動制御ができる。
に分割することにより制御器の設計が容易となり、また
複数の検知出力を振動制御に取り入れることができるの
で、より高度な振動制御ができる。
【0026】
実施例1 図1に示すこの発明による鉄道車両の振動制御装置に基
づいて、この発明の詳細を説明する。図1では図13に
おけるばね2の代りに、高周波振動の遮断に優れた空気
ばね28を用いている。流体アクチュエータおよび制御
弁には図3に示す複動形空気圧シリンダ15および比例
流量制御弁17〜20を用いる。また、左右方向に作動
する流体アクチュエータ15yf、15yrの負担を軽
減するため、該流体アクチュエータに並列してオイルダ
ンパ30f、30rを設置する。図中の16は空気源、
22はA/D変換装置、23はマイクロコンピュータ、
27はD/A変換装置、29は図3における比例流量制
御弁17〜20と演算器21から成る制御弁ユニットで
ある。
づいて、この発明の詳細を説明する。図1では図13に
おけるばね2の代りに、高周波振動の遮断に優れた空気
ばね28を用いている。流体アクチュエータおよび制御
弁には図3に示す複動形空気圧シリンダ15および比例
流量制御弁17〜20を用いる。また、左右方向に作動
する流体アクチュエータ15yf、15yrの負担を軽
減するため、該流体アクチュエータに並列してオイルダ
ンパ30f、30rを設置する。図中の16は空気源、
22はA/D変換装置、23はマイクロコンピュータ、
27はD/A変換装置、29は図3における比例流量制
御弁17〜20と演算器21から成る制御弁ユニットで
ある。
【0027】制御器の設計には各種の最適制御理論を適
用することができるが、ここではヨーイングの制御器設
計を例にとり、H■制御理論を適用した場合について説
明する。図6に示す制御系を構成し、軌道外乱33から
ヨーイング加速度34までの伝達関数をG(s)とす
る。次に、8式を満足するヨーイング制御器32をH■
制御設計アルゴリズムで求める。
用することができるが、ここではヨーイングの制御器設
計を例にとり、H■制御理論を適用した場合について説
明する。図6に示す制御系を構成し、軌道外乱33から
ヨーイング加速度34までの伝達関数をG(s)とす
る。次に、8式を満足するヨーイング制御器32をH■
制御設計アルゴリズムで求める。
【0028】8式 ‖W(s)G(s)‖■<1
【0029】ここで、‖A(s)‖■はA(s)のH■
ノルムと呼ばれる量で、s=2πjf(j:虚数単位、
f:周波数)とおいたときのA(s)のゲイン|A(2
πjf)|のfに関する最大値に相当する。また、W
(s)は重み関数である。このとき8式は下記の9式と
等価であり、G(s)をW(s)で規定できることがわ
かる。
ノルムと呼ばれる量で、s=2πjf(j:虚数単位、
f:周波数)とおいたときのA(s)のゲイン|A(2
πjf)|のfに関する最大値に相当する。また、W
(s)は重み関数である。このとき8式は下記の9式と
等価であり、G(s)をW(s)で規定できることがわ
かる。
【0030】9式 |G(2πjf)|<|W(2πjf)|-1
【0031】そこで、W(s)として下記の10式に示
すような形を持つものを考える。
すような形を持つものを考える。
【0031】
【数10】
【0032】10式におけるξ1、ξ2、ωn、αは制御
パラメータであり、制御対象により最適な値が存在す
る。例えば、ωn=2π、ξ1=0.6、ξ2=4.0、
α=0.03とする。このときのW(s)のゲイン線図
g1を図7に示す。制御器の設計結果は図8のようにな
り、G(s)のゲイン線図を制御無の場合のg2と制御
有の場合のg3とで比較すると、ωnをヨーイングの固有
振動数に選ぶことにより、ヨーイングの共振を集中的に
制御できることがわかる。また、g3がW(s)-1のゲ
イン線図g4の下側にあることから、9式が満足されて
いることがわかる。
パラメータであり、制御対象により最適な値が存在す
る。例えば、ωn=2π、ξ1=0.6、ξ2=4.0、
α=0.03とする。このときのW(s)のゲイン線図
g1を図7に示す。制御器の設計結果は図8のようにな
り、G(s)のゲイン線図を制御無の場合のg2と制御
有の場合のg3とで比較すると、ωnをヨーイングの固有
振動数に選ぶことにより、ヨーイングの共振を集中的に
制御できることがわかる。また、g3がW(s)-1のゲ
イン線図g4の下側にあることから、9式が満足されて
いることがわかる。
【0033】実施例2 加速度検知計の検知出力だけでは制御効果が不十分な場
合がある。そこで、図9に示すように相対変位検知計3
5を設置し、その検知出力も制御に利用する。その結果
の一例として、相対変位を用いない場合のヨーイング制
御系の一巡伝達関数のゲイン線図g5と相対変位を用い
た場合のヨーイング制御系の一巡伝達関数のゲイン線図
g6を図10に示す。これから、相対変位を用いること
により、低周波数域での制御が改善されることがわか
る。
合がある。そこで、図9に示すように相対変位検知計3
5を設置し、その検知出力も制御に利用する。その結果
の一例として、相対変位を用いない場合のヨーイング制
御系の一巡伝達関数のゲイン線図g5と相対変位を用い
た場合のヨーイング制御系の一巡伝達関数のゲイン線図
g6を図10に示す。これから、相対変位を用いること
により、低周波数域での制御が改善されることがわか
る。
【0034】実施例3 走行速度が速くなるにしたがって、図2に示した各振動
のうちピッチングおよびヨーイングが顕著になることが
一般的に知られている。そこで、図11に示すように、
速度計36の出力に応じて制御をオン・オフするスイッ
チ37を設置することにより、低速走行時にはすべての
制御を行い、高速走行時にはピッチングとヨーイングの
制御のみを行うように制御を容易に切り替えることがで
きる。
のうちピッチングおよびヨーイングが顕著になることが
一般的に知られている。そこで、図11に示すように、
速度計36の出力に応じて制御をオン・オフするスイッ
チ37を設置することにより、低速走行時にはすべての
制御を行い、高速走行時にはピッチングとヨーイングの
制御のみを行うように制御を容易に切り替えることがで
きる。
【0035】実施例4 曲線通過時には、車体に遠心加速度が発生し加速度検知
計の出力に重畳するため、振動制御の効果が低下する可
能性がある。そこで、図12に示すように、ハイパスフ
ィルタ38を設置し、その遮断周波数を0.2〜0.3
Hzの範囲に設定すると、遠心加速度は除去され、振動
制御の効果の低下を防ぐことができる。
計の出力に重畳するため、振動制御の効果が低下する可
能性がある。そこで、図12に示すように、ハイパスフ
ィルタ38を設置し、その遮断周波数を0.2〜0.3
Hzの範囲に設定すると、遠心加速度は除去され、振動
制御の効果の低下を防ぐことができる。
【0036】
【発明の効果】この発明は、流体アクチュエータを介し
て行われる車体の振動制御において、振動制御を上下、
左右方向の振動を構成する基本振動レベルに分割するこ
とにより、制御器の設計が容易となり、また複数の検知
出力を振動制御に取り入れられるから、より高度な振動
制御ができる。
て行われる車体の振動制御において、振動制御を上下、
左右方向の振動を構成する基本振動レベルに分割するこ
とにより、制御器の設計が容易となり、また複数の検知
出力を振動制御に取り入れられるから、より高度な振動
制御ができる。
【図1】この発明の実施による鉄道車両の振動制御装置
の一例を示す説明図である。
の一例を示す説明図である。
【図2】鉄道車両の車体に発生する振動の基本振動およ
び基本振動の連成振動への分解説明図で、Aは上下動
を、Bはピッチングを、Cはヨーイングを、Dは左右動
とローリングとの連成振動を示す。
び基本振動の連成振動への分解説明図で、Aは上下動
を、Bはピッチングを、Cはヨーイングを、Dは左右動
とローリングとの連成振動を示す。
【図3】制御弁による流体アクチュエータの駆動機構の
一例として、比例流量制御弁による複動形空気圧シリン
ダの駆動機構を示す説明図である。
一例として、比例流量制御弁による複動形空気圧シリン
ダの駆動機構を示す説明図である。
【図4】この発明の実施による制御計算部分の実装図で
ある。
ある。
【図5】この発明の実施による検知計の配置を示す説明
図である。
図である。
【図6】この発明の実施例1における振動制御系を示す
説明図である。
説明図である。
【図7】この発明の実施例1における重み関数W(s)
のゲイン線図である。
のゲイン線図である。
【図8】この発明の実施例1における軌道外乱からヨー
イング加速度への伝達関数G(s)のゲイン線図であ
る。
イング加速度への伝達関数G(s)のゲイン線図であ
る。
【図9】この発明の実施例2における相対変位検知計の
配置を示す説明図である。
配置を示す説明図である。
【図10】この発明の実施例2におけるヨーイング制御
系の一巡伝達関数のゲイン線図である。
系の一巡伝達関数のゲイン線図である。
【図11】この発明の実施例3における制御計算部分を
示す説明図である。
示す説明図である。
【図12】この発明の実施例4における制御計算部分を
示す説明図である。
示す説明図である。
【図13】従来の鉄道車両の振動制御装置の一例を示す
説明図である。
説明図である。
【図14】従来の鉄道車両の振動制御装置における制御
器の一例を示す説明図である。
器の一例を示す説明図である。
【図15】従来の鉄道車両の振動制御装置における振動
制御系を示す説明図である。
制御系を示す説明図である。
【図16】鉄道車両の車体に発生する上下、左右方向の
基本振動を示す説明図で、Aは上下動とピッチングとの
連成振動を、Bはヨーイングと左右動とローリングとの
連成振動を示す。
基本振動を示す説明図で、Aは上下動とピッチングとの
連成振動を、Bはヨーイングと左右動とローリングとの
連成振動を示す。
【図17】従来の鉄道車両の振動制御装置における制御
弁への制御入力から加速度検知計の検知出力までの伝達
特性(上下方向)のゲイン線図である。
弁への制御入力から加速度検知計の検知出力までの伝達
特性(上下方向)のゲイン線図である。
【図18】従来の鉄道車両の振動制御装置における制御
弁への制御入力から加速度検知計の検知出力までの伝達
特性(左右方向)のゲイン線図である。
弁への制御入力から加速度検知計の検知出力までの伝達
特性(左右方向)のゲイン線図である。
1 車体 2 ばね 3 流体アクチュエータ 4 台車 5 制御弁 6 加速度検知計 7 制御器 8 流体源 9 積分器 10 位相補償要素 11 ゲイン要素 12 制御対象モデル 13 加速度目標値 14 加速度検知計出力 15 複動形空気圧シリンダ 16 空気源 17〜20 比例流量制御弁 21 制御弁入力演算器 22 A/D変換装置 23 マイクロコンピュータ 24 分割器 25 多変数ディジタル制御器 26 合成器 27 D/A変換装置 28 空気ばね 29 制御弁ユニット 30 オイルダンパ 31 ヨーイング制御対象モデル 32 ヨーイング制御器 33 軌道外乱 34 ヨーイング加速度 35 相対変位検知計 36 速度計 37 制御切り替えスイッチ 38 ハイパスフィルタ a 上下動 b ピッチング c ヨーイング d 左右動 e ローリング 添字x 左側 添字y 中央 添字z 右側 添字f 前台車側 添字r 後台車側
Claims (1)
- 【請求項1】 鉄道車両の車体とばねを有する台車間に
上下、左右方向に設置した流体アクチュエータ、該流体
アクチュエータを駆動する制御弁、前記車体の上下、左
右方向の振動を検知する検知計、該検知計の出力から前
記制御弁への制御入力を決定する制御器から構成され、
前記車体に発生する上下、左右振動を能動的に制御する
機能を有する鉄道車両の振動制御装置において、振動制
御を前記車体に発生する上下、左右方向の振動を構成す
る基本振動レベルに分割し、各基本振動の制御に多変数
ディジタル制御器を用いることを特徴とする鉄道車両の
振動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4783592A JPH05213194A (ja) | 1992-02-03 | 1992-02-03 | 鉄道車両の振動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4783592A JPH05213194A (ja) | 1992-02-03 | 1992-02-03 | 鉄道車両の振動制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05213194A true JPH05213194A (ja) | 1993-08-24 |
Family
ID=12786424
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4783592A Pending JPH05213194A (ja) | 1992-02-03 | 1992-02-03 | 鉄道車両の振動制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05213194A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2009023475A (ja) * | 2007-07-19 | 2009-02-05 | Kayaba Ind Co Ltd | 鉄道車両のサスペンション制御装置 |
WO2013137296A1 (ja) * | 2012-03-14 | 2013-09-19 | カヤバ工業株式会社 | 鉄道車両用制振装置 |
JP2017056846A (ja) * | 2015-09-17 | 2017-03-23 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | 制振装置 |
-
1992
- 1992-02-03 JP JP4783592A patent/JPH05213194A/ja active Pending
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US8948941B2 (en) | 2012-03-14 | 2015-02-03 | Kayaba Industry Co., Ltd. | Railway vehicle vibration damping device |
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