JP2000052985A - 鉄道車両の振動抑制方法及び装置 - Google Patents

鉄道車両の振動抑制方法及び装置

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JP2000052985A
JP2000052985A JP10230913A JP23091398A JP2000052985A JP 2000052985 A JP2000052985 A JP 2000052985A JP 10230913 A JP10230913 A JP 10230913A JP 23091398 A JP23091398 A JP 23091398A JP 2000052985 A JP2000052985 A JP 2000052985A
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vibration
control valve
control
operation amount
equation
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JP10230913A
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English (en)
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Toshiaki Hirata
都史彰 平田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御弁が有する非線形性に対してロバスト性
を示す鉄道車両の振動抑制方法及び装置を提供する。 【解決手段】 車両前後の車体1及び台車2の間に、ヨ
ーイング方向の振動を抑制する方向に設置された複動型
空気圧シリンダ18a,18bへの空気流量を制御する
制御弁であり、動的モデルが非線形システムである比例
流量制御弁19a〜19dを線形システムに近似してモ
デリングし、制御用コンピュータ21によってスライデ
ィングモードを維持しながら前記比例流量制御弁19a
〜19dを制御することにより、線形システムへの近似
による動特性の変化が生じた場合にも、制御性能を著し
く劣化しない鉄道車両の振動抑制方法及び装置を実現す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄道車両の振動抑制
方法及びその装置に関し、特に、非線形性を有する制御
弁を線形システムへ近似してモデリングすることにより
生じる不確定性に影響を受けずに制御を行なう鉄道車両
の振動抑制方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走行中の鉄道車両に発生する振動のう
ち、車体と台車との間に設置されているサスペンション
の共振により増幅される比較的低周波の振動は、乗客の
乗り心地に大きな影響を与える。
【0003】このような鉄道車両の車体に発生する振動
を抑制する方法として、車体と台車との間に振動の方向
に合わせて流体アクチュエータを設置し、振動に対して
逆位相の力を加えることで制御を行なうことがよく行な
われている。
【0004】図4は従来の鉄道車両の振動抑制装置の構
成を示す模式図である。図において2は台車である。該
台車2の上方には、箱型の車体1が四隅にそれぞれ縦長
の空気ばね3を介して設置されている。また車体1及び
台車2の間には、車体1のヨーイング方向の振動を抑制
するダンパ4、及び空気圧シリンダ5が車両の前後にそ
れぞれ一対設置されており、それぞれの空気圧シリンダ
5を制御する制御弁6、及び車体1のヨーイング方向の
振動を検出する振動加速度計7が車両の前後にそれぞれ
一対設置されている。ここで制御対象の一部である制御
弁6の動的モデルを次式で示されるような線形モデルで
記述する。
【0005】
【数1】
【0006】(1)式において、S(t)は制御弁開
度、U(t)は制御弁入力、またa0及びb0 はモデル
パラメータである。この線形モデルを含む制御対象のモ
デルを用いて制御設計を行い、MPUから構成される制
御器9での演算処理をプログラムしている。これは前記
振動加速度計7からの出力Ya(t)を用い、前記制御
弁6への入力U(t)を決定する構成となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】実際の制御弁の動特性
は次式で記述される。
【0008】
【数2】
【0009】(2)式において、b(・)は非線形関数
である。すなわち、実際の制御弁では入力部分に非線形
性が存在し、制御弁入力U(t)の大きさにより、制御
弁の特性が変化する。また制御弁の応答性を決定するモ
デルパラメータa(t)も制御弁の経時劣化により変化
する。このように非線形システムを線形システムに近似
することによって、システム内に不確定性を有し、この
影響を受けて制御弁の動特性が変化する。上述の如き従
来の鉄道車両の振動抑制方法及び装置では、非線形シス
テムである制御弁の動的モデルを線形システムに近似し
てモデリングすることにより、モデル内に不確定性を有
し、所望の制御性能を得ることができなかった。
【0010】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、制御弁が有する非線形性に対し、ロバスト性を
示す制御を行なうことにより、線形システムへの近似に
よる不確定性に影響を受けない鉄道車両の振動抑制方法
及び装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1発明に係る鉄道車両
の振動抑制方法は、鉄道車両の車体に加わる振動加速度
を検出し、該振動加速度を用いて所定の演算を行なうこ
とにより、振動と逆位相の力を車体に加える流体アクチ
ュエータに対する流体の給排流量を調節する制御弁の操
作量を得、前記制御弁を駆動し、前記車体に発生する振
動を抑制する鉄道車両の振動抑制方法において、前記演
算はスライディングモードを維持するように行なうこと
を特徴とする。
【0012】第2発明に係る鉄道車両の振動抑制方法
は、前記演算は、鉄道車両の振動を抑制する制御系が所
定の状態のときの制御弁の操作量である第1操作量を得
る等価制御演算と、前記第1操作量と加算したときの結
果が状態を前記所定の状態へと近づけるような制御弁の
操作量である第2操作量を得る非線形補償演算との加算
であることを特徴とする。
【0013】第3発明に係る鉄道車両の振動抑制装置
は、鉄道車両の車体と台車との間に設置され、前記車体
の振動方向に合わせて設置されている流体アクチュエー
タと、該流体アクチュエータを駆動する制御弁と、車体
に設置された振動加速度計と、該振動加速度計の出力か
ら前記制御弁への入力を決定する制御器とを備え、車体
の振動を能動的に抑制する鉄道車両の振動抑制装置にお
いて、前記制御器は、鉄道車両の振動を抑制する制御系
が所定の状態のときの制御弁の操作量である第1操作量
を算出する等価制御演算手段と、前記第1操作量と加算
したときの結果が状態を前記所定の状態へと近づけるよ
うな制御弁の操作量である第2操作量を算出する非線形
補償演算手段と、前記等価制御演算手段の算出結果及び
前記非線形補償演算手段の算出結果を加算して前記入力
を決定する入力決定手段とを備えることを特徴とする。
【0014】前述したようなモデルの不確定性は、モデ
リングに手間をかけることによって減らせる部分と、制
御問題の構造そのものによってそれ以上減らせない部分
との両方がある。
【0015】そしてこの不確定性に対処するために、モ
デルの不確定性によって制御対象の特性が変化したとき
にも、性能が著しく劣化しない頑健な制御であるロバス
ト制御が利用されている。中でも、モデルの非線形性に
対し強いロバスト性を示すのはスライディングモード制
御と呼ばれるものである。スライディングモード制御は
VSS(Variable StructureSys
tem)理論に基づいている。このVSS理論はパラメ
ータ切換え型のフィードバック制御系であり、その構造
を変化させることに特徴がある。
【0016】次式で記述される2次システムについて考
える。
【0017】
【数3】
【0018】このシステムは次のようにψを定めること
により、安定な2つの構造を持つ。
【0019】
【数4】
【0020】図5、6は(3)式で示される2次システ
ムの2つの構造をそれぞれ示す説明図であり、x1 を横
座標、x2 を縦座標としている。ψ=α1 2 の場合の構
造Iでは、自由応答の軌道が縦長の楕円となっており、
原点に収束していない。またψ=α2 2 の場合の構造II
でも、自由応答の軌道が横長の楕円となっており、原点
に収束していない。
【0021】この2次システムに対し、次式で示される
切換え則を導入することにより、VSSを適用する。
【0022】
【数5】
【0023】図7は(4)式で示される切換え則を導入
したときの構造を示す説明図である。システムの状態が
第1象限内にある場合には、構造Iの軌道に沿って状態
は推移し、システムの状態が第2象限へと移るときに、
構造IIへと切換わる。このように順次構造が切換わるこ
とにより状態は原点へ収束するため、漸近安定なシステ
ムを実現できる。
【0024】また、次式で記述される2次システムにつ
いて考える。
【0025】
【数6】
【0026】このシステムは次のようにψを定めること
により、不安定な2つの構造を持つ。
【0027】
【数7】
【0028】図8、9は(5)式で示される2次システ
ムの2つの構造をそれぞれ示す説明図であり、x1 を横
座標、x2 を縦座標としている。ψ=−αの場合の構造
Iでは、自由応答の軌道が直線L1,L2を漸近線とす
る双曲線となっており、閉ループ系の固有ベクトルであ
る直線L1に沿うときは、状態が原点へと収束するが、
その他の場合は発散する。またψ=αの場合の構造IIで
は、自由応答の軌道が原点を中心とした渦状となってお
り、発散する。
【0029】この2次システムに対し、次式で示される
切換え則を導入することにより、VSSを適用する。
【0030】
【数8】
【0031】図10は(6)式で示される切換え則を導
入したときの構造を示す説明図である。システムの状態
が構造Iの領域の直線L1の他の部分にある場合には、
双曲線に沿って状態は推移し、x2 =0を越えるときに
構造IIへと切換わる。構造IIの領域では、渦状の軌道に
沿って状態は推移し、直線L1に至る。直線L1は閉ル
ープ系の固有ベクトルであるため、状態点は原点へと向
かって移動する。このように順次構造が切換わることに
より状態は原点へ収束するため、漸近安定なシステムを
実現できる。
【0032】しかし、このままではシステムのパラメー
タξまたはフィードバックゲインαが変化した場合に動
特性が変化する。図11はパラメータξが変化したとき
のシステムの動特性の変化を示す説明図である。パラメ
ータξが何らかの原因によりξ′(ξ′≠ξ)に変化し
た場合、固有ベクトルの傾きもc′へと変化する。ここ
でc>c′と変化したとき、切換えは以前の直線L1を
用いるので、固有ベクトルは構造IIの領域内へと移り、
この結果、状態点は固有ベクトルに沿って原点へ移動で
きなくなる。
【0033】ここでパラメータ変動に対して不感なシス
テムを構成するために、スライディングモード制御を適
用する。図12はスライディングモード制御を適用した
ときの位相面の軌道を示す説明図である。図においてL
3は切換え線s=0である。ここでは切換え線L3の傾
きを固有ベクトルの傾きよりも小さくしている。このこ
とにより、制御対象は軌道に沿って構造Iの領域から切
換え線L3へ到達する。構造IIの領域内では構造Iの領
域へと押し戻され、切換え線L3上で小さな振動を繰り
返し原点へと向かう。
【0034】このシステムの状態がスライディングモー
ドである。図13はスライディングモード制御の原理を
説明する説明図である。図においてSは超平面である。
ここで超平面Sとはn次元空間のn−1次元部分空間で
ある。スライディングモード制御はVSSを構成する各
構造に対する軌道が一つの超平面Sに集中する現象であ
り、2次元システムでは位相面内の直線または曲線に集
中する。
【0035】スライディングモード制御の特徴は、状態
ベクトルが超平面に拘束されるため、制御対象の運動方
程式が超平面の方程式にとってかわられることである。
前述の2次システムの場合では、制御対象の挙動は、切
換え線L3によって決められており、x1 =x、x2
dx/dtであることから、x=x0 exp(−ct)
(x0 は切換え線L3に到達したときの値)となる。即
ち、パラメータξ,αと無関係となり、切換え線L3の
傾きcにだけ依存する。
【0036】このことからスライディングモード制御を
用いた場合は、制御対象のパラメータ変動、非線形性、
雑音などに対してロバストな制御系を構成できる。
【0037】本発明に係る鉄道車両の振動抑制方法及び
装置によれば、その動的モデルを線形システムに近似し
てモデリングされている非線形システムである制御弁
を、等価制御演算及び非線形補償演算の和によって制御
弁の操作量を得、制御弁の状態をスライディングモード
を維持するように制御することにより、線形システムへ
の近似による不確定性に影響を受けず、動特性が変化し
た場合にも著しく性能が劣化しない制御を行なうことが
可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下本発明をその実施の形態を示
す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る鉄道車
両の振動抑制装置の実施の形態の要部の構成を示す模式
図である。図において2は台車である。該台車2の上側
には箱体の車体1がその四隅に縦長の空気ばね3を介し
て設置されている。また車両前側の車体1及び台車2の
間には、車体1のヨーイング方向の振動を抑制するダン
パ4、複動型空気圧シリンダ18aがそれぞれ一端が車
体1に接続され、他端が台車2に接続されて横向きに設
置されている。
【0039】前記複動型空気圧シリンダ18aのピスト
ンによって区切られた2つ圧力室の内、一方の圧力室に
は、該圧力室内に供給する空気の流量を制御する比例流
量制御弁19a及び該圧力室内の圧力を検出する圧力計
8aが接続されており、他方の圧力室には、同様に比例
流量制御弁19b及び圧力計8bが接続されている。
【0040】また車両後側の車体1及び台車2の間にも
車両前側と同様に、車体1のヨーイング方向の振動を抑
制するダンパ4、複動型空気圧シリンダ18bがそれぞ
れ一端が車体1に接続され、他端が台車2に接続されて
横向きに設置されている。
【0041】前記複動型空気圧シリンダ18bのピスト
ンによって区切られた2つの空間の内、前記複動型空気
圧シリンダ18aの比例流量制御弁19a及び圧力計8
aが接続された空間と同じ側の空間には、比例流量制御
弁19c及び圧力計8cが接続されており、他方の空間
には比例流量制御弁19d及び圧力計8dが接続されて
いる。
【0042】また車体の前後それぞれには、車体1のヨ
ーイング方向の振動を検出する振動加速度計7a,7b
が設置されている。前記振動加速度計7a,7b及び圧
力計8a〜8dはA/D変換器20を介して制御用コン
ピュータ21に接続されている。また該制御用コンピュ
ータ21と前記比例流量制御弁19a〜19dとがD/
A変換器22を介して接続されている。
【0043】連続した時系列tの関数であり、前記振動
加速度計7a,7bからの出力Ya 1 (t),Ya
2 (t)及び前記圧力計8a〜8dからの出力Yp
1 (t)〜Yp4 (t)はA/D変換器20によって離
散化され、離散的な時系列kの関数である加速度Ya1
(k),Ya2 (k)及び圧力Yp1 (k)〜Yp
4 (k)に変換される。
【0044】そして加速度Ya1 (k),Ya2 (k)
及び圧力Yp1 (k)〜Yp4 (k)は前記制御用コン
ピュータ21に入力される。制御用コンピュータ21内
では入力された各値を用いて、次式に示す計算処理によ
りヨーイング加速度Yya(k)及び差圧のヨーイング
成分Yyp(k)が算出される。
【0045】
【数9】
【0046】次に次式に示す計算処理により、制御弁開
度推定値Sy(k)を求める。
【0047】
【数10】
【0048】これは複動型空気圧シリンダの動特性が次
式で記述できることを利用している。
【0049】
【数11】
【0050】ここでYp(t)は複動型空気圧シリンダ
の差圧、Xp(t)は複動型空気圧シリンダのピストン
変位、c1 〜c3 は定数である。制御により振動が十分
に抑制されている場合は、(8)式の第3項が無視でき
るとし、制御弁開度S(t)を次式で推定する。
【0051】
【数12】
【0052】これを制御周期Δtで離散化することによ
って、前述の(7)式が得られる。次に、次式に示す計
算処理により制御切換え値σ(k)を求める。
【0053】
【数13】
【0054】これは以下のようにして求められた式であ
る。すなわち、鉄道車両の車体、車体と台車との間の支
持装置、車体と台車との間に設置された流体アクチュエ
ータ、及び制御弁から構成される振動制御の制御対象の
動特性モデルは次式の連立線形微分方程式(状態方程
式)で記述できる。
【0055】
【数14】
【0056】(11)式において、X(t)は制御弁開度
以外の制御対象の状態を表現する物理量である。(11)
式に対し、次式によって制御切換え値を定義する。
【0057】
【数15】
【0058】(12)式のσ(t)が常に0となる状態が
スライディングモードである。スライディングモードが
維持されるように制御が行なわれた場合、(11)式及び
(12)式より次式が導かれる。
【0059】
【数16】
【0060】ここで、(13)式は次のように変形でき、
仮想的な入力V(t)をもつフィードバック制御系とし
て表現できる。
【0061】
【数17】
【0062】(14)式はX(t)が測定可能な場合には
そのまま利用できるが、実際にはX(t)は測定不可能
である。測定可能であるのは、次式で示す振動加速度Y
a(t)だけである。
【0063】
【数18】
【0064】このため、オブザーバZ(t)を用いて次
のようにシステムを記述する。
【0065】
【数19】
【0066】ただし、K0 を状態推定に用いるオブザー
バゲインとしてAZ =A11−A12Γ−K0 C、BZ =K
0 ,CZ =Γである。
【0067】そして、(15)式を制御周期Δtで離散化
することによって(10)式が得られる。次に第1操作量
である等価制御入力Uya(k)及び第2操作量である
非線形補償入力Uyb(k)を次式で示す等価制御演算
及び非線形補償演算によって算出する。
【0068】
【数20】
【0069】ここで非線形補償入力Uyb(k)は次の
条件を満たす。
【0070】
【数21】
【0071】そして制御入力Uy(k)は次式によって
算出される。
【0072】
【数22】
【0073】非線形補償入力Uyb(k)をこのように
与えることにより、切換え線をσ(k)=0として、シ
ステムの状態が前記切換え線上になく、切換え線によっ
て分けられる2つの構造の内一方にあるとき、他方の構
造へと状態が推移し、これを繰り返すことでスライディ
ングモードが維持される。またパラメータK及びδは、
チャタリングと呼ばれる制御入力への高周波成分の重畳
が発生しないように思考錯誤的に調整する。
【0074】最後にヨーイング制御入力Uy(k)を次
式にしたがって各比例流量制御弁19a〜19dへの入
力Uν1 (k)〜Uν4 (k)に分配してD/A変換器
22に出力する。
【0075】
【数23】
【0076】図2、3はそれぞれ本実施の形態及び従来
技術によって制御周期を10msecとして実施し、台
車部分にヨーイング方向の正弦波変位外乱を与えた結果
の周波数応答を示す片対数グラフである。図において、
縦軸はヨーイング加速度の外乱速度に対する倍率(d
B)、横軸(対数軸)は周波数(Hz)である。破線で
示す周波数応答は制御を行なわなかった場合のものであ
り、細線及び太線で示す周波数応答はそれぞれ比例流量
制御弁の応答時定数を40msec及び60msecと
した場合のものである。なお、制御設計は応答時定数が
40msecとして行っている。また従来技術を用いた
ものでは、ヨーイング方向の振動を抑制する制御対象に
対し、次式の形態で制御則を設計している。
【0077】
【数24】
【0078】式中のパラメータAC ,BC ,CC につい
ては、線形制御の一種であり、ロバスト制御としても知
られているH∞制御を適用して決定している。
【0079】従来技術、本実施の形態ともに周波数1H
z〜3Hzの範囲内で制御効果がみられる。周波数3H
z〜5Hzの範囲では制御効果がほとんどなく、従来技
術による場合においては、この範囲で応答時定数の違い
による制御性能の悪化が大きい。これに対して、本実施
の形態による場合では、応答時定数のずれが制御性能に
全く影響を与えていない。
【0080】なお、本実施の形態では、制御弁開度S
(t)の推定を(9)式を用いて行なっているが、
(1)式を利用して制御弁開度S(t)を推定し、複動
型空気圧シリンダの差圧Yp(t)を用いず、入力を振
動加速度Ya(t)だけとして制御器を設計してもよ
く、制御器の入力を複動型空気圧シリンダの差圧ではな
く、複動型空気圧シリンダの変位または制御弁の弁開度
を直接測定し、モデリングして制御器を設計してもよ
い。
【0081】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明に係る鉄道車両
の振動抑制方法及び装置によれば、その動的モデルが非
線形システムを線形システムとして近似し、モデリング
されて行なわれる制御弁の制御にスライディングモード
制御を適用し、制御弁の操作量を等価制御演算による結
果と非線形補償演算による結果との和で与えることによ
り、制御弁の状態がスライディングモードを維持し、非
線形システムへの近似による制御弁の特性の変化に対し
て、性能が著しく劣化しない頑健な制御を行なうことが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄道車両の振動抑制装置の実施の
形態の要部の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る鉄道車両の振動抑制装置の実施の
形態の周波数応答を示す片対数グラフである。
【図3】従来技術を用いて設計した振動抑制装置の周波
数応答を示す片対数グラフである。
【図4】従来の鉄道車両の振動抑制装置の構成を示す模
式図である。
【図5】(3)式で示される2次システムのψ=α1 2
の場合の構造を示す説明図である。
【図6】(3)式で示される2次システムのψ=α2 2
の場合の構造を示す説明図である。
【図7】(3)式で示される2次システムに(4)式で
示される切換え則を導入したときの構造を示す説明図で
ある。
【図8】(5)式で示される2次システムのψ=−αの
場合の構造を示す説明図である。
【図9】(5)式で示される2次システムのψ=αの場
合の構造を示す説明図である。
【図10】(5)式で示される2次システムに(6)式
で示される切換え則を導入したときの構造を示す説明図
である。
【図11】(5)式のパラメータξを変化させたときの
システムの動特性の変化を示す説明図である。
【図12】(5)式で示されるシステムに対してスライ
ディングモード制御を適用したときの位相面の軌道を示
す説明図である。
【図13】スライディングモードの原理を説明する説明
図である。
【符号の説明】
1 車体 2 台車 3 空気ばね 4 ダンパ 7a,7b 振動加速度計 18a,18b 複動型空気圧シリンダ 19a〜19d 比例流量制御弁 21 制御用コンピュータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道車両の車体に加わる振動加速度を検
    出し、該振動加速度を用いて所定の演算を行なうことに
    より、振動と逆位相の力を車体に加える流体アクチュエ
    ータに対する流体の給排流量を調節する制御弁の操作量
    を得、前記制御弁を駆動し、前記車体に発生する振動を
    抑制する鉄道車両の振動抑制方法において、前記演算は
    スライディングモードを維持するように行なうことを特
    徴とする鉄道車両の振動抑制方法。
  2. 【請求項2】 前記演算は、鉄道車両の振動を抑制する
    制御系が所定の状態のときの制御弁の操作量である第1
    操作量を得る等価制御演算と、前記第1操作量と加算し
    たときの結果が状態を前記所定の状態へと近づけるよう
    な制御弁の操作量である第2操作量を得る非線形補償演
    算との加算である請求項1記載の鉄道車両の振動抑制方
    法。
  3. 【請求項3】 鉄道車両の車体と台車との間に設置さ
    れ、前記車体の振動方向に合わせて設置されている流体
    アクチュエータと、該流体アクチュエータを駆動する制
    御弁と、車体に設置された振動加速度計と、該振動加速
    度計の出力から前記制御弁への入力を決定する制御器と
    を備え、車体の振動を能動的に抑制する鉄道車両の振動
    抑制装置において、前記制御器は、鉄道車両の振動を抑
    制する制御系が所定の状態のときの制御弁の操作量であ
    る第1操作量を算出する等価制御演算手段と、前記第1
    操作量と加算したときの結果が状態を前記所定の状態へ
    と近づけるような制御弁の操作量である第2操作量を算
    出する非線形補償演算手段と、前記等価制御演算手段の
    算出結果及び前記非線形補償演算手段の算出結果を加算
    して前記入力を決定する入力決定手段とを備えることを
    特徴とする鉄道車両の振動抑制装置。
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