JPH0781565A - 鉄道車両台車の蛇行動制御方法 - Google Patents

鉄道車両台車の蛇行動制御方法

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JPH0781565A
JPH0781565A JP25518393A JP25518393A JPH0781565A JP H0781565 A JPH0781565 A JP H0781565A JP 25518393 A JP25518393 A JP 25518393A JP 25518393 A JP25518393 A JP 25518393A JP H0781565 A JPH0781565 A JP H0781565A
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Hisashi Negoro
尚志 根来
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 通常走行時の乗り心地を悪化せずに、高速走
行時に発生する蛇行動を抑制し、安定限界速度を向上さ
せ得る鉄道車両台車の蛇行動制御方法を提供する。 【構成】 台車枠1と輪軸7との間に設置した流体アク
チュエータ10、該輪軸7の振動を検知する加速度計1
3、16、該加速度計13、16からの振動加速度信号
に基づいて前記流体アクチュエータ10を制御する制御
器14からなる制御装置を有する鉄道車両において、各
振動での最大ゲインを低下させるのに最適な周波数の関
数群を求めておき、走行中に検出される振動加速度信号
により上記関数群中から該当する関数を抽出して、流体
アクチュエータ10を介して輪軸のヨー角を制御して車
体の振動制御を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鉄道車両台車に特有
の不安定現象である蛇行動を効率良く抑制し、鉄道車両
の安定限界速度を飛躍的に向上させることのできる鉄道
車両台車の蛇行動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現用されている鉄道車両台車の基本構造
は図6A、Bに示すように、台車枠1、車軸2、車輪
3、軸箱4、一次ばね5および二次ばね6より構成され
る。そして、車輪3には曲線路の通過を容易にするため
に、踏面勾配θが付けられた円錐輪が用いられている。
【0003】その踏面勾配のため、レールに接する踏面
位置によって踏面半径が異なり、更に車輪は使用摩耗に
より不整斉となる。これらが原因となり、車輪の左右中
心は線路中心に対し偏位した位置で転走する。そのた
め、逆に直線路では図7に示すように、車軸2、車輪3
および軸箱4からなる輪軸7が蛇行を起こしやすくな
る。前記蛇行の波長Lは、前記踏面勾配から決まる一定
値であるため、走行速度の上昇とともに前記蛇行の周波
数は高くなり、ある速度で一次ばね5との共振が発生す
る。その結果、台車全体が大きく蛇行するようになり、
鉄道車両の安定走行が維持できなくなる。これを蛇行動
と呼び、また蛇行動の発生する走行速度を安定限界速度
と呼ぶ。
【0004】前記のごとく、蛇行動は本質的には避けら
れない現象であるが、安定限界速度を向上させることは
可能である。その、安定限界速度を向上させるための従
来方法としては、一次ばね5のばね定数を大きくして共
振周波数を高くする方法や、図8に示すように、車体8
と台車枠1との間にヨーダンパ9を設置し、蛇行動を減
衰させる方法がある。
【0005】また、鉄道車両の乗り心地の向上を目的に
なされた発明に輪軸ヨー角制御装置付鉄道用車両(特開
平3−258655号公報)がある。これは図9に示す
ように、台車枠1と輪軸との間に流体アクチュエータ1
0を設置し、記憶装置11に予め蓄積しておいた軌道不
整等に関する情報を外部からの信号(速度信号、ATS
信号、異常信号、非常停止信号等)に従い随時読み出
し、制御器12で制御入力を計算し、前記流体アクチュ
エータ10に入力する構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の内、一
次ばねのばね定数を大きくして共振周波数を高くする方
法やヨーダンパを用いる方法は、容易に実現でき蛇行動
の抑制効果もあるが、軌道不整を台車枠や車体に振動と
して伝えやすくなり、通常走行時の乗り心地が悪化す
る。一方、特開平3−258655号公報の「輪軸ヨー
角制御装置付鉄道用車両」は、通常走行時の乗り心地の
向上には効果が有るが、不安定現象である蛇行動の抑制
に効果的であるとはいえない。また、蛇行動波長Lによ
る共振点は、速度に依存するため、一定のばね定数もし
くは制御方法では速度向上ができない。更にその速度に
合わせ随時ばね系の設定を行うことは経済的に効率が悪
くなる。したがって、通常走行時の乗り心地を悪化せず
に、高速走行時に発生する蛇行動を速度に合わせて抑制
し安定限界速度を向上させることのできる方法が必要と
なる。
【0007】この発明は、上記のごとく従来技術には乗
り心地を維持したまま蛇行動を抑制し得る制御装置は出
現していない現状に鑑みて、通常走行時の乗り心地を悪
化させずに、高速走行時に発生する蛇行動を抑制し、安
定限界速度を向上させることのできる鉄道車両台車の蛇
行動制御方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の鉄道車両台車の蛇行動制御方法は、鉄道
車両において、台車の台車枠および/または輪軸の振動
を検知するセンサを設け、予め台車枠もしくは輪軸に発
生する振動の最大ゲインを低下させる周波数の関数群を
求めておき、走行中に台車枠もしくは輪軸に発生する振
動の最大ゲインを低下させる周波数の関数を上記関数群
中から抽出し、台車枠と輪軸の間に設けた流体アクチュ
エータを介して輪軸のヨー角を制御して車体の振動制御
を行なう。
【0009】
【作用】鉄道車両台車の蛇行動を抑制し、制御するため
には、輪軸もしくは台車と輪軸の振動加速度あるいは台
車と輪軸間の相対変位等の値を各センサで検出すること
が必要である。これらの値から輪軸もしくは台車と輪軸
の運動状態を特定し、制御器内で制御則に応じて台車と
輪軸間に設置した流体アクチュエータを作動するための
出力を行うことにより、蛇行動を抑制することができ
る。
【0010】したがって、制御器内の制御理論は多変数
入力、多変数出力を扱うものとなり、制御設計としては
制御すべき対象(輪軸、台車)を定量的にモデル化し、
制御パラメータを適切に、対象に応じて決定し、以下の
A、B、Cマトリックスのデータを求めることになる。
【0011】したがって、対象の運動力学的特性(共振
点)が振動により変動すると、上記の制御パラメータ、
A、B、Cマトリックスのデータが最適なものからずれ
てしまう。そこで、予め振動に応じた最適な制御パラメ
ータにより、それぞれに応じたA、B、Cマトリックス
を算出し、制御器内で記憶しておけば、各振動に応じた
最適な制御が実現できる。
【0012】ここで使用する制御方法は、制御対象モデ
ルの記述を、制御対象の内部状態を表現するいくつかの
状態変数に関する次の1式、2式の状態方程式で行う。
【0013】
【数1】
【0014】ここで、uは制御入力、xは状態変数、y
は検知出力であり、それぞれ多変数ベクトルである。状
態方程式を用いることで多入出力の制御対象モデルを容
易に記述できるので、各入出力間の干渉を考慮した制御
設計を行える。また、設計された制御器もまた上記の状
態方程式で表せるので、デジタル化ソフトウェア化して
マイクロコンピュータ等に容易に組み込める。すなわ
ち、1式、2式で示した状態方程式の形で設計されたも
のを、次の3式、4式で示すように、デジタル化ソフト
ウェア化したものを制御器として使用している。式中の
kはデジタル化された時間である。
【0015】 3式 x(k+1)=ADx(k)+BDu(k) 4式 y(k)=CDx(k)
【0016】そこで、重み関数W(n)として次の5式
のようなものを考える。
【0017】
【数2】
【0018】5式中のω、ξ1、ξ2、αは制御パラメー
タであり、制御対象により最適な値が存在する。H
御理論を使用すると、図3(A)〜(B)に示すよう
に、各周波数ごとに最も制御効果の現れるg1(n)か
ら得られる重みW(n)を求めておく。そして、走行中
に各センサから得られる振動の周波数回析を逐次行な
う。例えば、走行中の振動の周波数解析結果が図4に示
す場合には、周波数1Hzにピークがあるので、1Hz
を最も効率的に制御する上記図3(A)のデータを選
び、走行中に得られる振動加速度に基づいて、図5のフ
ローチャートに示す制御を行なう。
【0019】上記により、どんな振動 にも対応した最
適な制御が行え、速度が飛躍的に向上できる。例えば、
図4に示すように、各振動ごとの最適なAD(n)、BD
(n)、CD(n)をデータベース化しておき、最適な
D(n)、BD(n)、CD(n)を抽出し制御を行
う。
【0020】
【実施例】この発明の実施例を図1、図2に基づいて説
明する。基本構成は図6A、Bに示すものと同じ形式
で、台車枠と輪軸との間に流体アクチュエータを設置し
た台車において、各軸箱4に輪軸7の振動を検知するセ
ンサとして加速度計13、16を設置し、軸箱4の前後
方向と左右方向の振動加速度aF1、、F2、aF3、aF4
R1、aR2、aR3、aR4を検知するように構成する。な
お、図中の14は制御器、15は制御弁である。
【0021】上記加速度計13、16からのセンサ出力
は、図2に示すように、A/D変換装置17でディジタ
ル値に変換され、制御用コンピュータ18に入力され
る。該制御用コンピュータ18内では、まずセンサ出力
変換部19で演算を行い、輪軸左右振動加速度aFL、a
RLおよび輪軸ヨー角加速度aFY、aRYを計算する。そし
て、上記結果を用いて、制御計算部20で輪軸7に発生
させるヨー方向の制御力に相当する制御信号uF、uR
計算する。
【0022】制御器の設計には各種の最適制御理論 を
適用することができるが、ここではH制御理論の適用
について説明する。軌道外乱から輪軸のヨー加速度まで
の伝達関数をG(n)とし、下記6式を満足する制御器
をH制御設計で求める。 6式 ‖W(n)・G(n)‖<1 ここで、‖A‖はAのHノルムと呼ばれる量で、|
A|の最大値に相当する。また、W(n)は重み関数で
ある。このとき、6式は下記の7式と等価であり、G
(n)をW(n)で規定することができる。 7式 |G(n)|<|W(n)|-1
【0023】この発明は、台車枠もしくは輪軸に発進す
る振動の最大ゲインを低下させる周波数の関数群を求め
ておき、走行中に検出される振動加速度により車体の振
動制御を行なうのであるが、その代りに、予め角速度で
の共振点を低下させる周波数の関数群を求めておき、走
行中に検出される速度信号により上記関数群中から該当
する関数を抽出して、車体の振動制御を行なっても、同
様の効果が得られる。
【0024】
【発明の効果】この発明は、通常走行時の乗り心地を悪
化させずに、高速走行時に発生する蛇行動を速度に応じ
て最適に抑制し、安定限界速度を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御方法を実施するための蛇行動制
御装置を有する台車の制御系を示す説明図である。
【図2】この発明の実施例における制御計算のブロック
図である。
【図3】各振動加速度での伝達関数G(n)のゲインー
周波数線図で、(A)は周波数のピークが1Hzの場
合、(b)は周波数のピークが2Hzの場合、(c)は
周波数のピークが3Hzの場合である。
【図4】走行中の振動の周波数解析の一例を示す伝達関
数G(n)のゲインー周波数線図である。
【図5】振動加速度信号により蛇行動制御する場合のフ
ローチャートである。
【図6】鉄道車両台車の基本構成を示す説明図で、Aは
平面図、Bは正面図ある。
【図7】鉄道車両における輪軸の蛇行動を示す説明図で
ある。
【図8】鉄道車両におけるヨーダンパの配置を示す説明
図である
【図9】従来の輪軸ヨー角度制御装置を有する鉄道車両
台車の説明図である。
【符号の説明】
1 台車枠 2 車軸 3 車輪 4 軸箱 5 一次ばね 6 二次ばね 7 輪軸 8 車体 9 ヨーダンパ 10 流体アクチュエータ 11 記憶装置 12 制御器 13 加速度計 14 制御器 15 制御弁 16 加速度計 17 A/D変換装置 18 制御用コンピュータ 19 センサ出力変換部 20 安定化制御計算部 21 D/A変換装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道車両において、台車の台車枠および
    /または輪軸の振動を検知するセンサを設け、予め台車
    枠もしくは輪軸に発生する振動の最大ゲインを低下させ
    る周波数の関数群を求めておき、走行中に検出される振
    動加速度により、台車枠もしくは輪軸に発生する振動の
    最大ゲインを低下させる周波数の関数を上記関数群中か
    ら抽出し、台車枠と輪軸の間に設けた流体アクチュエー
    タを介して輪軸のヨー角を制御して車体の振動制御を行
    なうことを特徴とする鉄道車両台車の蛇行動制御方法。
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