JP3535921B2 - 電気的導通用座金およびこれを用いたケーブル接続箱 - Google Patents

電気的導通用座金およびこれを用いたケーブル接続箱

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気ケーブルの接続部
などで、導電性部材間の電気的導通をとるのに使用され
る座金と、それを用いたケーブル接続箱に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】例えばOF(油入)ケーブルとCV(架
橋ポリエチレン絶縁)ケーブルの接続箱や、OFケーブ
ルの油止め接続箱などでは、導体接続スリーブと、絶縁
ユニットの埋め込み電極との間に油密保持用のOリング
を介在させるため、両者の電気的導通状態が不完全にな
る。このため従来は、細いリード線の一端を導体接続ス
リーブに、他端を絶縁ユニットの埋め込み電極にそれぞ
れねじ止めして電気的導通を確保している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ねじ止め方式
では、ねじ止めをするためのスペースが必要であり、接
続箱の大型化を招くと共に、非常に奥まった所でねじ止
め作業をしなければならないため、作業がやりにくいと
いう問題がある。
【0004】本発明の目的は、このような問題点に鑑
み、導体接続スリーブのような内周側導電部材と、絶縁
ユニットの埋め込み電極のような外周側導電部材とを簡
単に電気的に導通させることのできる電気的導通用座金
と、これを用いたケーブル接続箱を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の電気的導通用座
金は、外周側導電部材と内周側導電部材とを電気的に導
通させるものであって、ばね性を有する環状金属板の外
周部と内周部にそれぞれ、同じ側に向けて斜めに切り起
こされた多数の弾性爪片を有することを特徴とする(請
求項1)。
【0006】この座金は、外周部に形成された弾性爪片
を外周側導電部材の段部の端面に当て、内周部に形成さ
れた弾性爪片を内周側導電部材の段部の端面に当てた状
態で、締付け金具により加圧することにより、外周側導
電部材と内周側導電部材との導通をとるものである。爪
片は弾性があるため、外周側導電部材と内周側導電部材
の段部の端面間に多少の段差(ケーブル長さ方向のず
れ)があっても、確実に導通をとることができる。
【0007】また本発明の電気的導通用座金は、環状金
属板に、弾性爪片と同じ側に向けて、頂部の高さが弾性
爪片の起き上がり高さより低い多数の膨出部を形成して
おくことが望ましい(請求項2)。
【0008】上記のような膨出部を形成すると、締付け
により弾性爪片が完全に平らになるのを防止でき、爪片
の弾性が損なわれ難くなる。
【0009】本発明の電気的導通用座金は、2本のケー
ブルの導体を導体接続スリーブにより接続し、この導体
接続スリーブを囲むように埋め込み電極を配置したケー
ブル接続箱において好適に用いられる。このようなケー
ブル接続箱においては、導体接続スリーブの外周にケー
ブルの長さ方向と直交する端面を有する段部を形成する
と共に、埋め込み電極の内周にもケーブルの長さ方向と
直交する端面を有する段部を形成しておき、前記導体接
続スリーブの段部の端面には前記電気的導通用座金の内
周部の弾性爪片を接触させ、前記埋め込み電極の段部の
端面には前記電気的導通用座金の外周部の弾性爪片を接
触させるようにして用いることができる(請求項3)。
【0010】このケーブル接続箱においては、埋め込み
電極と導体接続スリーブとがそれらの段部の端面および
電気的導通用座金の弾性爪片を介して電気的に接続され
る。埋め込み電極の段部の端面の位置と導体接続スリー
ブの段部の端面の位置が、ケーブルの長さ方向に若干ず
れていても、このずれは電気的導通用座金の弾性爪片の
弾性変形により吸収される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。図1および図2は本発明の一
実施形態を示す。この電気的導通用座金11は、ばね性
を有する環状金属板13で構成されている。環状金属板
13は外周部と内周部にそれぞれ、同じ側に向けて斜め
に切り起こされた多数の弾性爪片15A、15Bを有し
ている。外周部の弾性爪片15Aと内周部の弾性爪片1
5Bは周方向に所定の間隔をおいて交互に形成されてい
る。
【0012】また環状金属板13には弾性爪片15A、
15Bと同じ側に向けて多数の膨出部17が形成されて
いる。膨出部17の頂部の高さhは、弾性爪片15A、
15Bの起き上がり高さHより低く設定されている。
【0013】以上のように構成された電気的導通用座金
11は、例えば図3のように使用される。図3はOFケ
ーブルとCVケーブルを接続する接続箱の導体接続部付
近を示している。図において、21はOFケーブルの導
体、23はCVケーブルの導体、25は導体接続スリー
ブ、25aは導体接続スリーブ25の外周に形成された
段部、27は導体接続スリーブ25に形成された油通路
である。また29はエポキシ絶縁ユニット、31は同絶
縁ユニット29に埋め込まれた埋め込み電極、31aは
埋め込み電極31の内周に形成された段部である。
【0014】導体接続スリーブ25と埋め込み電極31
は互いに嵌合するように形成されており、その嵌合部に
はOリング33を介在させて、OFケーブル側の絶縁油
がCVケーブル側へ流れ込まないようにしてある。この
Oリング33があるため、導体接続スリーブ25と埋め
込み電極31との導通が不完全になる。
【0015】本発明の電気的導通用座金11は弾性爪片
15A、15B側を、導体接続スリーブの段部25aの
端面と、埋め込み電極の段部31aの端面に向けて配置
される。その状態で、導体接続スリーブ25の雄ねじ部
にねじ結合したナット型の締付け金具35のねじ込みに
より、段部25a、31aの端面に押し付けられる。締
付け金具35と電気的導通用座金11との間には補助座
金37を介在させてある。本発明の電気的導通用座金1
1はこのようにして導体接続スリーブ25と埋め込み電
極31の導通をとるものである。
【0016】なお前記段部25a、31aの端面はケー
ブルの長さ方向と直交する面である。またこれらの端面
はケーブルの長さ方向において可能な限り同じ位置とな
るように設けられている。
【0017】締付け金具35は従来の接続箱にも用いら
れている部品であるが、この締付け金具35と通常の座
金との組み合わせでは、図4に示すように導体接続スリ
ーブの段部25aの端面と、埋め込み電極の段部31a
の端面に段差が生じると、導通が不完全になる。この
点、本発明の座金11は、弾性を有する爪片15A、1
5Bが、両段部25a、31aの端面に押し付けられる
ようになっているので、両段部25a、31aの端面に
多少の段差が生じても、良好な導通状態を得ることがで
きる。
【0018】また環状金属板13に膨出部17を形成し
ておくと、締め過ぎにより弾性爪片15A、15Bが完
全に平らになるのを防止できるため、爪片15A、15
Bの弾性が損なわれ難いという利点がある。なお膨出部
17は必要に応じ設ければよく、省略することも可能で
ある。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明の座金を使用
すると、導体接続スリーブのような内周側導電部材と、
絶縁ユニットの埋め込み電極のような外周側導電部材と
を簡単な作業で電気的に導通させることができる。また
リード線をねじ止めする場合のようなスペースが不要で
あるから、接続箱等の小型化にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る電気的導通用座金の一実
施形態を示す正面図。
【図2】 (A)、(B)、(C)はそれぞれ図1のA
−A線、B−B線、C−C線における断面図。
【図3】 本発明に係る電気的導通用座金を使用したケ
ーブル接続箱の要部を示す断面図。
【図4】 同じくケーブル接続箱の他の状態を示す断面
図。
【符号の説明】
11:電気的導通用座金 13:環状金属板 15A、15B:弾性爪片 17:膨出部 25:導体接続スリーブ 25a:段部 29:エポキシ絶縁ユニット 31:埋め込み電極 31a:段部 33:Oリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−86710(JP,A) 実開 昭51−67971(JP,U) 実開 昭57−113706(JP,U) 実開 平7−20414(JP,U) 実開 昭48−77558(JP,U) 実開 平4−28207(JP,U) 実公 昭48−2912(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16B 39/24 H01R 4/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周側導電部材と内周側導電部材とを電気
    的に導通させる座金であって、ばね性を有する環状金属
    板(13)の外周部と内周部にそれぞれ、同じ側に向け
    て斜めに切り起こされた多数の弾性爪片(15A、15
    B)を有することを特徴とする電気的導通用座金。
  2. 【請求項2】環状金属板(13)に、弾性爪片(15
    A、15B)と同じ側に向けて、頂部の高さ(h)が弾
    性爪片(13)の起き上がり高さ(H)より低い多数の
    膨出部(17)を形成したことを特徴とする請求項1記
    載の電気的導通用座金。
  3. 【請求項3】2本のケーブルの導体を導体接続スリーブ
    (25)により接続し、この導体接続スリーブを囲むよ
    うに埋め込み電極(31)を配置したケーブル接続箱に
    おいて、 前記導体接続スリーブ(25)の外周にケーブルの長さ
    方向と直交する端面を有する段部(25a)を形成する
    と共に、埋め込み電極(31)の内周にもケーブルの長
    さ方向と直交する端面を有する段部(31a)を形成
    し、前記導体接続スリーブの段部(25a)の端面に請
    求項1記載の電気的導通用座金(11)の内周部の弾性
    爪片(15B)を接触させ、前記埋め込み電極の段部
    (31a)の端面に請求項1記載の電気的導通用座金
    (11)の外周部の弾性爪片(15B)を接触させたこ
    とを特徴とするケーブル接続箱。
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