JP3076915B2 - 圧着端子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、特に、すずコートの無い導線を圧着接続す
る圧着端子に関する。

（従来の技術） 従来、すずコートの無い導線ａと例えばコネクタのピ
ンコンタクトの圧接端子ｂの圧着接続は、第12図及び第
13図に示すように、断面円形の圧着端子ｂの挿入孔ｃに
導線ａを挿入した後、圧着端子ｂの２個所に外方から互
いに直角な４方向の圧力を加えて圧着端子ｂ及び導線ａ
を変形させるか、あるいは第14図及び第15図に示すよう
に、圧着端子ｂに互いに逆方向から圧力を加えて圧着端
子ｂと導線ａを変形させて行なっていた。

（発明が解決しようとする課題） 上述した圧着接続方式によれば、圧着後、経年変化に
より、あるいは、圧着端子と導線の材料の相違に基づく
線膨張係数の違いにより、圧着端子と導線との間に隙間
を生じ、あるいは圧着端子の導線への面接触圧力が低下
し、接触抵抗が不安定になるという不都合があった。ま
た、圧着端子及び導線のどちらか一方又は両方が圧着接
続前に酸化皮膜で覆われていた場合、これを除去しない
で圧着接続したとき、圧着端子と導線との間に不導通膜
が存在することになり電気的接続が不確実になるという
不都合があった。

本発明は、従来のこのような不都合を解消することを
その目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 本発明は、上記の目的を達成するために、単線の導線
を圧着接続する圧着端子において、その導線挿入孔の内
壁面に、これに対して垂直方向の複数の貫通孔または該
内壁面の全周に亘る凹部のいずれか一方を、該導線挿入
孔の軸線方向に沿って所定距離離れた２つの位置に形成
し、圧着時に導線の一部が貫通孔または凹部内に進入す
るようにしたことを特徴とする。

（作 用） 圧着端子の導線挿入孔に導線を挿入した後、外方から
圧着端子に圧力を加えると、圧着端子と導線は変形し、
圧着端子が導線に圧着する。そして導線の前記凹孔対向
部は複数の凹孔内に侵入する。

かくして、導線は２つの凹孔侵入部間では、２つの凹
孔侵入部によって内部応力を発生し圧着端子と導線の材
料の相違に基づく線膨張係数の違いにより、環境の変化
で圧着端子と導線との間に隙間が発生しようとする時、
導線は、前記内部応力によって圧着端子の伸縮に追従す
る為、圧着端子と導線との間に隙間が生じない。したが
って圧着端子と導線との間の接触抵抗が不安定になるこ
とがない。

また、圧着端子に圧力を加えた時、圧着端子の前記凹
孔と導線挿入孔が交叉することにより形成される角部は
導線に食い込むので、仮に導線及び圧着端子に酸化皮膜
が生じていた場合でも、この角部によりこれを破ること
ができる。したがって電気的接続が確実になる。

（実施例） 以下本発明の実施例を図面につき説明する。

第１図及び第２図は本発明の一実施例を示す。

同図において、１は円形の導線挿入孔２が形成された
例えばりん青銅から成るコネクタのピンコンタクトの圧
着端子で、これは断面円形をなし、その直径上に導線挿
入孔２を通る該孔２の径より僅かに小さい円形の貫通孔
３が圧着端子１の導線挿入孔２の軸方向に沿って２個所
に形成されている。

この圧着端子の導線挿入孔２に、第３図及び第５図に
示すように、例えば軟銅線単線から成る導線４を挿入
し、型で上下方向から圧着端子１に圧力を加えると、圧
着端子１と導線４は、第６図に示すように変形して圧着
端子１は導線４に圧着し、貫通孔３と導線挿入孔２とが
交叉することにより形成される角部５は、第７図示のよ
うに、導線４に食い込み、導線４の貫通孔３対応部は貫
通孔３内に侵入する。かくして、導線４は、２つの貫通
孔３の間では２つの貫通孔侵入部によって内部応力を発
生し、圧着端子１と導線４の材料の相違に基づく線膨張
係数の違いにより、環境の変化で圧着端子１と導線４と
の間に隙間が発生しようとするとき、前記内部応力で導
線４は圧着端子１の伸縮に追従するため、圧着端子１と
導線４との間に隙間が生じない。また前記角部５は導線
挿入孔２の上下にできこれが圧着端子に上下方向から圧
力を加えたときに導線４に食い込むので、圧着端子１及
び導線４に酸化皮膜があった場合、これを破ることがで
きる。

第８図乃至第11図は本発明の他の実施例を示す。

この実施例においては、前記実施例の貫通孔３の代わ
りに、圧着端子１の軸方向に沿って離隔した２個所に、
導線挿入孔２の内壁面の全周に亘る凹部3Aが形成され、
この凹部3Aと導線挿入孔２が交叉することにより導線挿
入孔２の全周に亘って角部5Aが形成される。

かくして、この圧着端子１の導線挿入孔２に導線を挿
入し、圧着端子１に外方から圧力を加えると、前述と同
様にして圧着端子１は導線に圧着し、前記凹部3Aに導線
が侵入すると共に前記角部5Aが導線の全周面に食い込
み、前記実施例と同様の作用が行なわれる。

（発明の効果） 本発明は、上述の通りの構成を有するから、圧着端子
及び導線に経年変化があっても、あるいは圧着端子と導
線の線膨張係数が相違していても圧着端子と導線との間
の接触抵抗が不安定になることがなく、また、圧着端子
及び導線に酸化皮膜が生じていたとしても、圧着接続時
に酸化皮膜が破られて確実な電気的接続が得られる等の
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の要部の正面図、第２図は第
１図のII−II線断面図、第３図は、導線を挿入し圧着し
た後の該実施例の正面図、第４図はその側面図、第５図
は第４図のＶ−Ｖ線断面図、第６図は第３図のVI−VI線
断面図、第７図は第３図のVII−VII線断面図、第８図は
本発明の他の実施例の要部の正面図、第９図はその側面
図、第10図は第８図のＸ−Ｘ線断面図、第11図は第８図
のXI−XI線断面図、第12図は従来の圧着端子の一圧着状
態を示す断面図、第13図は第12図のXIII−XIII線断面
図、第14図は従来の圧着端子の他の圧着状態を示す断面
図、第15図は第14図のXV−XV線断面図である。 １……圧着接続部、２……導線挿入孔 ３……貫通孔、3A……凹部 ４……導線、５、5A……角部

フロントページの続き (72)発明者 井守 康堯 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 熊倉 保夫 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 高橋 光男 東京都目黒区目黒本町６丁目18番12号 本多通信工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平２−18877（ＪＰ，Ａ) 実開 昭54−150985（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−201464（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−140372（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭48−42091（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】単線の導線を圧着接続する圧着端子におい
   て、その導線挿入孔の内壁面に、これに対して垂直方向
   の複数の貫通孔または該内壁面の全周に亘る凹部のいず
   れか一方を、該導線挿入孔の軸線方向に沿って所定距離
   離れた２つの位置に形成し、圧着時に導線の一部が貫通
   孔または凹部内に進入するようにしたことを特徴とする
   圧着端子。