JP3523597B2 - 硫酸化フコガラクタン - Google Patents

硫酸化フコガラクタン

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JP3523597B2 JP2000601042A JP2000601042A JP3523597B2 JP 3523597 B2 JP3523597 B2 JP 3523597B2 JP 2000601042 A JP2000601042 A JP 2000601042A JP 2000601042 A JP2000601042 A JP 2000601042A JP 3523597 B2 JP3523597 B2 JP 3523597B2
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薫 児島
薫 片山
一夫 嶋中
勝重 猪飼
郁之進 加藤
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、糖鎖工学用試薬として有用な硫酸化フコガ
ラクタン、該硫酸化多糖由来低分子化物、及びその製造
方法、さらに糖鎖工学分野において有用な硫酸化フコガ
ラクタン分解酵素、該酵素の製造方法に関する。 背景技術 褐藻類には何種類もの硫酸化フコース含有多糖が含ま
れている。例えば、フコースと硫酸基のみからなる硫
酸化フカン、グルクロン酸、マンノース、フコース及
び硫酸基を含有する硫酸化フコグルクロノマンナン、例
えばWO97/26896公報に記載のフコース硫酸含
有多糖−U(構成糖及びそのモル比がフコース:マンノ
ース:ガラクトース:ウロン酸:硫酸基=約10:7:
4:5:20、以下、U−フコイダンと称す)、フコ
ース、ガラクトースよりなる硫酸化フコガラクタン、例
えば、WO97/26896公報に記載のフコース硫酸
含有多糖−F(構成糖及びそのモル比がフコース:ガラ
クトース=約10:1、以下、F−フコイダンと称す)
等の硫酸化フコース含有多糖が知られている。これらの
硫酸化フコース含有多糖は、おおよそ総て高分子の陰イ
オンであるため、様々な精製工程において理化学的に同
じ挙動を取り、分離が困難であった。そのため褐藻類の
硫酸化フコース含有多糖はそれぞれ分離されることな
く、そのまま生物活性が調べられることが多く、見出さ
れた生物活性を担うのがどの硫酸化フコース含有多糖で
あるのかを決定することは困難であった。 現在までに活性と分子の相関関連が知られているの
は、アグリカルチュラルアンド バイオロジカル ケミ
ストリー (Agricultural and Biological Chemistry
)、第44巻、第8号、第1965頁〜第1966頁
(1980)記載の抗凝血作用を担う硫酸化フカン画
分、WO97/26896公報記載の癌細胞に対するア
ポトーシス誘発作用を担うU−フコイダンである。 硫酸化フカン画分の抗凝血作用に関しては、ヘパリン
の代わりに使用することが検討されてきた。しかし、薬
品として使用する場合、予期せぬ活性すなわち副作用を
防ぐためにも、高純度の硫酸化フカンを得る必要があ
り、その方法が求められていた。 同様に、U−フコイダンに関しても癌細胞に対するア
ポトーシス誘発作用を利用した薬品類を調製するために
高純度のフコース硫酸含有多糖−Uを簡便に得る必要が
あり、その方法が求められていた。 一般的に、多糖の構造解析やオリゴ糖の製造に酵素分
解を利用する方法は、最も効率良い方法である。また、
分離が困難な多糖の混合物から一種類の多糖だけを除去
する際にも、除去したい多糖を特異的に分解する酵素が
あれば、その多糖をその酵素で低分子化した後、限外ろ
過等の分子量分画を行うことにより容易にその他の多糖
と分離することができる。 硫酸化フコガラクタンに関して、硫酸化フコガラクタ
ンを特異的に分解する酵素があれば、硫酸化フコガラク
タンの構造解析、硫酸化フコガラクタンオリゴ糖の製造
が容易である。 以上のことから硫酸化フコガラクタン分解酵素、及び
酵素的に製造した硫酸化フコガラクタンオリゴ糖を得る
方法が求められていた。 発明の目的 即ち、本発明の目的は、(1)糖鎖工学用試薬あるい
は肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HG
F)産生誘導物質として有用な硫酸化フコガラクタン又
はその塩、(2)該硫酸化フコガラクタンに硫酸化フコ
ガラクタン分解酵素を作用させて得られる低分子化物又
はその塩、(3)糖鎖工学的に有用な硫酸化フコガラク
タン分解酵素、(4)硫酸化フコガラクタン又はその塩
に該酵素を作用させて得られる低分子化物の製造方法、
及び(5)硫酸化フコガラクタン分解酵素の製造方法を
提供することにある。 発明の概要 本願の発明者らは鋭意研究の結果、褐藻類に含まれる
硫酸化フコガラクタン、該硫酸化多糖を分解する硫酸化
フコガラクタン分解酵素及びその製造方法を見出した。
さらに、糖鎖工学用試薬として利用できる硫酸化フコガ
ラクタンの低分子化物及びその製造方法を見出し、本発
明を完成させた。 本発明の第1の発明は、下記の理化学的性質を有する
ことを特徴とする硫酸化フコガラクタン又はその塩に関
する。該硫酸化フコガラクタンは、構成糖としてガラク
トースとフコースを含有し、そのモル比が1:1〜6:
1であり、下記一般式(XI)で表される硫酸化糖を構
成糖の必須成分とする。 (式中、RはH又はSO3Hである) さらに、本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素によ
り低分子化され、下記一般式(I)〜(IV)で表され
る化合物より選択される1種以上の化合物が生成する。 (式中、RはH又はSO3Hである) 本発明の第2の発明は、下記一般式(II)、(II
I’)又は(IV)から選択される化学構造を有する糖
化合物またはその塩に関する。 (式中、RはH又はSO3Hである) 本発明の第3の発明は、下記の理化学的性質を有する
ことを特徴とする硫酸化フコガラクタン分解酵素に関す
る。該酵素は、構成糖としてガラクトースとフコースを
含有し、そのモル比が1:1〜6:1である硫酸化フコ
ガラクタン又はその塩に作用して該硫酸化フコガラクタ
ンを低分子化させ、還元性末端に硫酸化ガラクトースあ
るいはガラクトースを持つオリゴ糖を生成させることが
でき、至適pHは、約7〜9の範囲であり、至適温度
は、約25〜45℃である。 本発明の第4の発明は、上記第3の発明に記載の硫酸
化フコガラクタン分解酵素を褐藻類由来の硫酸化フコガ
ラクタン又はその塩に作用させて取得することを特徴と
する硫酸化フコガラクタンの低分子化物又はその塩の製
造方法に関する。該酵素によって得られる低分子化物
は、例えば、上記第2の発明に記載のオリゴ糖又はその
塩が挙げられる。 本発明の第5の発明は、硫酸化フコガラクタン分解酵
素生産能を有するフラボバクテリウム属細菌を培養し、
その培養物から該酵素を採取することを特徴とする上記
第3の発明に記載の硫酸化フコガラクタン分解酵素の製
造方法に関する。 図面の簡単な説明 図1:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン分
解酵素のpHと相対活性(%)の関係を表すグラフであ
る。 図2:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン分
解酵素の温度と相対活性(%)の関係を表すグラフであ
る。 図3:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン低
分子化物(A)の1H−NMRスペクトルを示す図であ
る。 図4:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン低
分子化物(A)の13C−NMRスペクトルを示す図であ
る。 図5:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン低
分子化物(A)の質量分析(マス)スペクトルを示す図
である。 図6:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン低
分子化物(B)の1H−NMRスペクトルを示す図であ
る。 図7:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン低
分子化物(B)の13C−NMRスペクトルを示す図であ
る。 図8:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン低
分子化物(B)の質量分析(マス)スペクトルを示す図
である。 図9:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン低
分子化物(C)の1H−NMRスペクトルを示す図であ
る。 図10:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(C)の13C−NMRスペクトルを示す図で
ある。 図11:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(C)の質量分析(マス)スペクトルを示す
図である。 図12:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(D)の1H−NMRスペクトルを示す図で
ある。 図13:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(D)の13C−NMRスペクトルを示す図で
ある。 図14:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(D)の質量分析(マス)スペクトルを示す
図である。 図15:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(E)の1H−NMRスペクトルを示す図で
ある。 図16:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(E)の13C−NMRスペクトルを示す図で
ある。 図17:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(E)の質量分析(マス)スペクトルを示す
図である。 図18:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(F)の1H−NMRスペクトルを示す図で
ある。 図19:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(F)の13C−DEPT−135゜スペクト
ルを示す図である。 図20:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
低分子化物(F)の質量分析(マス)スペクトルを示す
図である。 図21:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
1H−NMRスペクトルを示す図である。 図22:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
13C−NMRスペクトルを示す図である。 図23:本発明により得られる硫酸化フコガラクタン
の赤外吸収スペクトルを示す図である。 図24:フコース硫酸含有多糖の低分子化物の0.4
M塩化ナトリウム溶出画分の質量分析(マス)スペクト
ルを示す図である。 図25:フコース硫酸含有多糖の低分子化物の0.4
M塩化ナトリウム溶出画分の1H−NMRスペクトルを
示す図である。 図26:フコース硫酸含有多糖の低分子化物の0.4
M塩化ナトリウム溶出画分の13C−NMRスペクトルを
示す図である。 図27:フコース硫酸含有多糖の低分子化物の0.6
M塩化ナトリウム溶出画分の1H−NMRスペクトルを
示す図である。 発明の詳細な説明 以下本発明に関して具体的に説明する。 褐藻類に属する海藻には複数種の硫酸化フコース含有
多糖が含まれている。その分子種としては、硫酸化フカ
ン及び硫酸化フコグルクロノマンナン等や他にも何種類
もの分子種が報告されている。 本発明の硫酸化フコガラクタンとは、構成糖として主
にガラクトースとフコースを含有し、そのモル比が1:
1〜6:1であり、以下、本発明の硫酸化フコガラクタ
ンあるいはG−フコイダンと称し、例えば、2:1の硫
酸化フコガラクタンが例示される。また、平均分子量
は、例えば、HPLCゲルろ過法で約13万(分子量分
布は、約10万〜約20万)の硫酸化多糖である。な
お、上記硫酸化フコガラクタンの分子量、糖組成、及び
硫酸基含量は、該硫酸化フコガラクタンの原料の収穫
期、該原料の乾燥方法、該原料の保存方法により異な
り、また硫酸化フコガラクタンの抽出時の加熱条件、p
H条件糖により異なる。例えば、酸により該硫酸化フコ
ガラクタンは加水分解される場合がある。従って、本明
細書に記載した硫酸化フコガラクタンの分子量、分子量
分布、糖組成、あるいは硫酸基含量はその1例にすぎ
ず、該硫酸化フコガラクタンの抽出処理条件により、そ
の分子量、分子量分布、糖組成、あるいは硫酸基含量は
容易に変化させ得る。例えば、本明細書に記載のフコー
ス硫酸含有多糖−U分解酵素及びフコース硫酸含有多糖
−F分解酵素を用いて本発明の硫酸化フコガラクタンを
調製する場合、例えば上記の糖組成と分子量を示す本発
明の硫酸化フコガラクタンが得られる。すなわち、調製
方法の条件によって任意の分子量、分子量分布、糖組
成、あるいは硫酸基含量の硫酸化フコガラクタンを調製
することができる。例えば、本発明の硫酸化フコガラク
タンの主要な構成糖は、6糖あたりおよそ5残基の硫酸
基を含んでいるが、一般的に糖にエステル結合している
硫酸基は、化学的に不安定であり、酸やアルカリあるい
は熱により容易に切断される。例えば、酸性やアルカリ
性条件下で加熱処理を行えばその硫酸含量は減少するも
のである。すなわち、本発明の硫酸化フコガラクタンか
ら意図的に脱硫酸が可能である。また、脱硫酸の際、酸
やアルカリの種類や濃度、加熱処理時の温度や時間を調
整すれば、切断する硫酸基の量も調整することができ
る。従って、本発明の硫酸化フコガラクタンは、前述の
特徴を備えた硫酸化フコガラクタンもしくは、本発明の
硫酸化フコガラクタン分解酵素で低分子化される硫酸化
フコガラクタンであればすべての褐藻類由来のものを包
含する。 本発明の硫酸化フコガラクタンの主骨格は、下記一般
式(XII)に表される。下記一般式において、nは、
1以上の整数であり、例えば、1〜1000の範囲、さ
らに好ましくは1〜500の範囲のものが本発明の硫酸
化フコガラクタンに含まれる。また、本発明の硫酸化フ
コガラクタンには、上記範囲であれば、下記一般式(X
II)が連続的に繰り返した構造をもつもの及び他の構
造が介在して、非連続的に下記一般式(XII)が含有
される構造をもつもののいずれもが含まれる。 (式中、RはH又はSO3Hである) 本発明の硫酸化フコガラクタンが由来する褐藻類は、
特に限定されるものではないが例えば、ガゴメ昆布、ワ
カメ、マ昆布、アラメ、カジメ、クロメ、レッソニアニ
グレセンス、ジャイアントケルプ、ダービリア(durvil
laea)由来のものを調製することができる。特に限定は
ないが、例えば、ガゴメ昆布由来フコイダンには、U−
フコイダン、F−フコイダン及び本発明のG−フコイダ
ンが含まれている。 本発明の硫酸化フコガラクタンの塩としては、薬学的
に許容される塩を用いることができ、例えばナトリウ
ム、カリウム等のアルカリ金属の塩、カルシウム、マグ
ネシウム等のアルカリ土類金属の塩、亜鉛等の遷移金属
の塩、またはアンモニウム塩等が挙げられる。 本明細書において硫酸化フコガラクタン低分子化物と
は、本発明の硫酸化フコガラクタンに本発明の硫酸化フ
コガラクタン分解酵素を作用させて得られるオリゴ糖で
あり、還元性末端糖が硫酸化ガラクトースあるいはガラ
クトースである。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素とは、本発明
の硫酸化フコガラクタンに作用して該硫酸化フコガラク
タンを低分子化させ、還元性末端に硫酸化ガラクトース
あるいはガラクトースを持つオリゴ糖を生成させる。ま
た、WO97/26896公報には、フコース硫酸含有
多糖−Fを分解するエンド型フコース硫酸含有多糖分解
酵素が記載されているが、該酵素は、本発明の硫酸化フ
コガラクタンを分解しない。また、本発明の硫酸化フコ
ガラクタン分解酵素は、本発明の硫酸化フコガラクタン
のD−硫酸化ガラクトースあるいはガラクトースとD−
硫酸化ガラクトースあるいはガラクトースの間のβ1−
6結合及びβ1−4結合をエンド的に分解する酵素であ
る。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素の基質となる
本発明の硫酸化フコガラクタンを製造する際にはまず、
褐藻類から硫酸化フコース含有多糖画分を得てから本発
明の硫酸化フコガラクタンを精製する方法が簡便であ
る。例えば、硫酸化フコース含有多糖画分の製造にはま
ず、褐藻類の水溶性画分抽出液を得る。その際の硫酸化
フコース含有多糖の低分子化を防ぐためには、pHは4
〜9、温度は100℃以下の抽出が好ましい。 当該抽出液からアルギン酸を除くには、酸性処理によ
るアルギン酸の等電点沈殿を利用する方法、カルシウム
塩等、アルギン酸と沈殿を形成する塩を添加する方法、
アルギン酸分解酵素により分解する方法等がある。ま
た、アミノ酸やマンニトール等の低分子を除くには限外
ろ過を用いれば効率良く除去できる。疎水性物質の除去
には活性炭処理なども有効である。 このようにして硫酸化フコース含有多糖の混合物を得
ることができる。この混合物から本発明の硫酸化フコガ
ラクタンを製造する際には、硫酸化フコース含有多糖の
混合物に、WO97/26896公報にエンド型フコー
ス硫酸含有多糖分解酵素として記載のフコース硫酸含有
多糖−F分解酵素及びWO97/26896公報にエン
ド型フコイダン分解酵素として記載のフコース硫酸含有
多糖−U分解酵素を作用させた後に、低分子画分を限外
ろ過法で除去し、本発明の硫酸化フコガラクタンを調製
すれば良い。 こうして得られた硫酸化フコガラクタンには硫酸化フ
コガラクタン以外の何種類かの硫酸化フコース含有多糖
が含まれる場合があるが、例えば、陰イオン交換樹脂を
用いて分離精製することにより、本発明の硫酸化フコガ
ラクタンを単離することができる。この方法によれば、
硫酸化フコース含有多糖の混合物を直接陰イオン交換樹
脂により分離する方法と比べて樹脂量も少なくて済み、
上記2種の硫酸化フコース含有多糖の混入がないため、
分離が格段に向上する。 前述の方法で得られた本発明の硫酸化フコガラクタン
は本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素を精製する際
の活性測定用基質、あるいは本発明の硫酸化フコガラク
タンオリゴ糖製造時の原料としても使用できる。また、
硫酸化フコガラクタンオリゴ糖製造時の原料としては、
上記の硫酸化フコース含有多糖の混合物を使用してもよ
い。 本発明の酵素の製造に使用される菌株としては、本発
明の硫酸化フコガラクタンを低分子化する酵素を産生す
る菌であれば特に限定はないが例えば、WO97/26
896公報記載のフラボバクテリウム(Flavobacterium
)sp. SA−0082株 (通商産業省工業技術院
生命工学工業技術研究所[日本国茨城県つくば市東1丁
目1番3号(郵便番号305−8566)]に平成7年
(1995年)3月29日よりFERM P−1487
2として寄託され、前記通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所にFERM BP−5402[国際寄託
への移管請求日:平成8年(1996年)2月15日]
として寄託)が好適に使用できる。上記菌株はグラム染
色性、DNAのGC含量、主要キノン系等の菌学的性質
から、フラボバクテリウム属であると考えられた。一
方、最近の分類基準に16SrDNAの塩基配列が考慮
されていることが多いため、本発明者らも本細菌の16
SrDNAの塩基配列についてインターネットNational
Center for Biotechnology Information (NCBI)のAdva
nced BLAST searchでホモロジー検索を行った。 上記塩基配列と相同性の高い遺伝子を持つ細菌を検索
したところ、全域に渡って相同性が最も高いものは、ポ
ーラリバクター フィラメンタス(Polaribacterfilame
ntus)で、その相同性は1424塩基にわたって89%
であった。その他の細菌では全域にわたって相同性が高
いものはなかった。なお、比較的相同性の高いものとし
ては、ポーラリバクター イルジェンシー(Polaribact
er irgensii、1360塩基にわたって89%の相同
性)、サイトファーガ スピーシーズ(Cytophaga s
p.、1249塩基にわたって92%の相同性)、フレキ
シバクター マリティムス(Flexibacter maritimus、
1247塩基にわたって91%の相同性)等があった。
一般的に16SrDNAの塩基配列の相同性が90%以
下の場合、同属の細菌と判断できないため、本細菌は、
遺伝子学的分類には既知の細菌と同じ属に帰属しないこ
とが考えられた。即ち、本細菌の菌学的性質が サイト
ファーガ(Cytophaga)目に属するフラボバクテリウム
(Flavobacterium )属細菌とほぼ一致すること及び本
細菌の16SrDNAの塩基配列について相同性が高い
上記4菌株が総て、サイトファーガ目細菌であることな
どから、本細菌は、サイトファーガ目に属する新規細菌
であると考えられる。なお、本明細書に記載のフラボバ
クテリウム属細菌には、菌学的性質から分類されるフラ
ボバクテリウム属細菌及び遺伝子学的分類において相同
性のあるサイトファーガ目細菌も含まれる。従って、サ
イトファーガ目に属する細菌を培養して本発明の硫酸化
フコガラクタン分解酵素を生産する場合は、本発明の硫
酸化フコガラクタンの分解酵素の製造方法に含まれる。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素の製造方法に
使用する菌株の培地は、使用する菌株が代謝し、本発明
の硫酸化フコガラクタン分解酵素を生産するものであれ
ばよく、炭素源としては例えば硫酸化フコガラクタン、
硫酸化フコース含有多糖の混合物、海藻粉末、アルギン
酸、フコース、ガラクトース、グルコース、マンニトー
ル、グリセロール、サッカロース、マルトース等が利用
でき、窒素源としては、ペプトン、酵母エキス、肉エキ
ス等が好適に使用できる。また、本菌株は、上記栄養素
を含んだ海水あるいは人工海水中で非常に良く生育す
る。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素の生産菌を培
養するに当たり、生産量は培養条件により変動するが、
培養温度は15〜30℃、培地のpHは6〜9がよく、
5〜72時間の通気攪拌培養で本発明の硫酸化フコガラ
クタン分解酵素の生産量は最高に達する。培養条件は使
用する菌株、培地組成等に応じ、本発明の硫酸化フコガ
ラクタン分解酵素の生産量が最大になる様に設定するの
は当然のことである。また、当該硫酸化フコガラクタン
分解酵素は菌体中にも培養物上清中にも存在する。 上記のフラボバクテリウム sp.SA−0082を
適当な培地で培養し、その菌体を集め、通常用いられる
細胞破砕手段、例えば、超音波処理等で菌株を破砕する
と無細胞抽出液が得られる。次いでこの抽出液から通常
用いられる精製手段により精製酵素標品を得ることがで
きる。例えば、塩析、イオン交換カラムクロマト、疎水
結合カラムクロマト、ゲルろ過等により精製を行い、実
質的に他の硫酸化フコース含有多糖分解酵素を含まない
純化された本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素を得
ることができる。また、上述の培養液から菌体を除去し
た培養上清中にも本酵素が大量に存在するので、菌体内
酵素と同様の精製手段により精製することができる。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素の理化学的性
質は以下の通りである。 (I)作用:構成糖としてガラクトースとフコースを
含有し、そのモル比が1:1〜6:1である硫酸化フコ
ガラクタン又はその塩に作用して該硫酸化フコガラクタ
ンを低分子化させ、還元性末端に硫酸化ガラクトースあ
るいはガラクトースを持つオリゴ糖を生成させる。 (II)至適pH:本酵素の至適pHは約7〜9付近に
ある(図1)。 すなわち図1は本酵素の反応時のpHと相対活性の関
係を表すグラフであり、縦軸は相対活性(%)、横軸は
pHを示す。 (III)至適温度:本酵素の至適温度は約25〜45
℃付近にある(図2)。 すなわち図2は、本酵素の反応時の温度と相対活性の
関係を表すグラフであり、縦軸は相対活性(%)、横軸
は温度(℃)を示す。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素の確認は、例
えば、該酵素を硫酸化フコガラクタンに作用させて得ら
れる分解物をHPLCにより分析し、低分子化の程度を
測定することによって、あるいは生成する還元末端を常
法により測定することによって行なうことができる。活
性測定は、産生菌の細胞抽出液もしくはクロマト精製後
の酵素液のいずれにおいても可能である。 本発明の硫酸化フコガラクタンの低分子化物又はその
塩は、本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素を本発明
の硫酸化フコガラクタン、若しくは該硫酸化フコガラク
タン含有物に作用させることによって調製することがで
きる。本発明の硫酸化フコガラクタン含有物としては、
例えば本発明の硫酸化フコガラクタンの部分精製品、褐
藻類由来の硫酸化フコース含有多糖画分、褐藻類の水性
溶媒抽出物、もしくは褐藻類藻体が好適に使用できる。 本発明の硫酸化フコガラクタン、若しくは該硫酸化フ
コガラクタン含有物の溶解は通常の方法で行えばよく、
溶解液中の本発明の硫酸化フコガラクタン、若しくは該
硫酸化フコガラクタン含有物濃度はその最高溶解濃度で
もよいが、通常はその操作性、酵素力価を考慮して選定
すればよい。本発明の硫酸化フコガラクタンの溶解液と
しては水、緩衝液等より目的に応じて選択すればよい。
溶解液のpHは通常中性付近で、酵素反応は通常30℃
付近で行う。酵素量や反応時間等を調整することによっ
て、低分子化物の分子量を調整することもできる。次に
低分子化物を分子量分画することによって、更に均一な
分子量分布の本発明の硫酸化フコガラクタンの低分子化
物を調製することができる。分子量分画は通常よく使用
されている方法を適用することができ、例えばゲルろ過
法や分子量分画膜を使用すればよい。低分子化物は、必
要に応じて更にイオン交換樹脂処理、活性炭処理等の精
製操作を行ってもよく、必要に応じて脱塩処理、無菌処
理、凍結乾燥処理をすることもできる。 本発明の硫酸化フコガラクタンの低分子化物は、特に
限定はないが、例えば本発明の硫酸化フコガラクタンに
本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素を作用させて得
られる低分子化物として2糖類〜6糖類が挙げられる。
本発明の低分子化物中に存在する硫酸基の置換位置は、
調製方法によって変化するが、本発明の硫酸化フコガラ
クタン分解酵素を作用させて得られたものであれば、本
発明の低分子化物に含まれる。該低分子化物の化学構造
は、例えば、下記一般式(I)〜(IV)に示される。
その中で、下記一般式(III)は、前述の硫酸化フコ
ガラクタンの構成単位であると考えられる。 (式中、RはH又はSO3Hである) また、本発明の低分子化物は、硫酸基を分子中に有し
ており、該基は種々の塩基と反応し、塩を形成する。こ
れらの本発明の硫酸化フコガラクタンの低分子化物は、
塩になった状態が安定であり、通常ナトリウム及び/又
はカリウム及び/又はカルシウム等の塩の形態で提供さ
れる。これらの物質の塩はダウエックス50W(ダウケ
ミカル社製)等の陽イオン交換樹脂を利用することによ
って遊離の本発明の硫酸化フコガラクタンの低分子化物
に導くことが可能である。また、これらは、更に必要に
応じ公知慣用の塩交換を行い所望の種々の塩に交換する
ことができる。 本発明の硫酸化フコガラクタンの低分子化物の塩とし
ては、薬学的に許容される塩を用いることができ、例え
ばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩、カルシ
ウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、亜鉛等
の遷移金属の塩、またはアンモニウム塩等が挙げられ
る。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素を用いれば任
意の硫酸化フコース含有多糖画分に含まれている本発明
の硫酸化フコガラクタンのみを低分子化させることがで
きるので、分子量分画と組み合わせることによって本発
明の硫酸化フコガラクタンを選択的に除去することが可
能である。例えば、硫酸化フカン画分には抗凝血活性、
癌転移抑制活性、ウイルス感染抑制活性等様々な生物活
性があることが報告されている。これまで、褐藻類から
得られた硫酸化フカン画分には硫酸化フカン及びその他
の多糖類が含まれている。従って、本発明の硫酸化フコ
ガラクタン分解酵素を利用することにより、当該硫酸化
フカン画分から硫酸化フコガラクタンを取り除くことが
でき、その結果、高純度の硫酸化フカンを得ることがで
きる。 さらに例えば、硫酸化フコグルクロノマンナンには癌
細胞に対するアポトーシス誘発作用があることが報告さ
れている。従って、本発明の硫酸化フコガラクタン分解
酵素を利用することにより、褐藻類から得た硫酸化フコ
グルクロノマンナンに共雑する本発明の硫酸化フコガラ
クタンを容易に取り除くことができ、その結果、高純度
の硫酸化フコグルクロノマンナンを簡便に得ることがで
きる。 本発明の硫酸化フコガラクタンを除去する方法として
は、たとえば、本発明の硫酸化フコガラクタン含有物が
水系溶媒に溶けた溶液を調製する。本発明の硫酸化フコ
ガラクタン含有物の溶解は通常の方法で行えばよく、溶
解液中の本発明の硫酸化フコガラクタン含有物濃度はそ
の最高溶解濃度でもよいが、通常はその操作性、酵素力
価を考慮して選定すればよい。本発明の硫酸化フコガラ
クタン溶解液としては水、緩衝液等より目的に応じて選
択すればよい。溶解液のpHは通常中性付近が好まし
い。次に本発明の硫酸化フコガラクタン含有物溶液に本
発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素もしくは該酵素の
固定化物、あるいは両方を添加して反応させ本発明の硫
酸化フコガラクタンを低分子化する。酵素反応は通常3
0℃付近で行い、酵素量や反応時間等は、次工程の分子
量分画能に応じて適宜調整すればよい。その後、分子量
分画すれば、本発明の硫酸化フコガラクタンの低分子化
物を容易に除去された目的物を調製することができる。
分子量分画は、通常よく使用されている方法を適用する
ことができ、例えばゲルろ過法や分子量分画膜を利用し
た限外ろ過法を使用すればよい。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素は、本発明の
硫酸化フコガラクタンに作用するため、本発明の硫酸化
フコガラクタンの構造解析に用いることができる。例え
ば、本発明の硫酸化フコガラクタンに本発明の硫酸化フ
コガラクタン分解酵素を作用させると、前記一般式
(I)〜(IV)に示される化学構造を有する低分子化
物が得られる。 さらに本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素を用い
れば、本発明の硫酸化フコガラクタンを含有する硫酸化
フコース含有多糖から本発明の硫酸化フコガラクタン成
分を選択的に除去することができる。例えば、本発明の
硫酸化フコガラクタン成分を除去した後の高純度の硫酸
化フカンもしくは硫酸化フコグルクロノマンナンは、医
薬品の原材料としても好適に使用できる。 本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素は、WO97
/26896号公報に記載のフコース硫酸含有多糖−F
分解酵素及び/又はWO97/26896号公報記載の
フコース硫酸含有多糖−U分解酵素と組み合わせて使用
することができる。特に限定はないが例えば、ガゴメ昆
布からpH4〜9、100℃以下の温度で抽出する方法
で得た硫酸化フコース含有多糖の混合物を上記フコース
硫酸含有多糖−U分解酵素及び本発明の硫酸化フコガラ
クタン分解酵素で処理すると下記一般式(XIV)で表
される硫酸化糖を構成糖の必須成分とし、その繰り返し
構造を有する硫酸化多糖を得ることができる。下記一般
式においてnは、1以上の整数であり、例えば、1〜1
0,000の範囲、さらに好ましくは1〜5,000の
範囲のものが得られる。(式中、Rは、H又はOSO3Hである) 上記硫酸化多糖は、構成糖としてフコースを含有す
る。例えば、抽出時の処理条件が、pH6〜8、95℃
2時間程度の場合は、平均分子量は約20万(分子量
分布は、約1万〜約100万)である。さらに例えば、
抽出時の処理条件が、pH6〜8、25℃ 24時間程
度の場合は、平均分子量は約1,300万(分子量分布
は、約10万〜約2,000万)である。このように抽
出条件によって平均分子量及び分子量分布は異なってく
る。しかしながら、いずれの抽出条件においても得られ
る硫酸化多糖は、上記フコース硫酸含有多糖−F分解酵
素で低分子化される。なお、上記硫酸化多糖の分子量及
び硫酸基含量は、該硫酸化多糖の原料の収穫期、該原料
の乾燥方法、該原料の保存方法により異なり、また抽出
時の加熱条件、pH条件等により異なる。例えば、酸に
より加水分解される場合がある。従って、本明細書に記
載した上記硫酸化多糖の分子量、分子量分布あるいは硫
酸基含量はその1例にすぎず、該硫酸化多糖の抽出処理
条件により、その分子量、分子量分布あるいは硫酸基含
量は容易に変化させ得る。すなわち、調製方法の条件に
よって任意の分子量、分子量分布あるいは硫酸基含量の
上記硫酸化多糖を調製することができる。例えば、上記
硫酸化多糖の主要な構成糖は、7糖あたりおよそ12残
基の硫酸基を含んでいるが、一般的に糖にエステル結合
している硫酸基は、化学的に不安定であり、酸やアルカ
リあるいは熱により容易に切断される。例えば、酸性や
アルカリ性条件下で加熱処理を行えばその硫酸含量は減
少するものである。すなわち、上記硫酸化多糖から意図
的に脱硫酸が可能である。また、脱硫酸の際、酸やアル
カリの種類や濃度、加熱処理時の温度や時間を調整すれ
ば、切断する硫酸基の量も調整することができる。 さらに、上記硫酸化フコガラクタン分解酵素、フコー
ス硫酸含有多糖−F分解酵素及びフコース硫酸含有多糖
−U分解酵素を組み合わせて使用することにより新規硫
酸化糖を取得することができる。また、前述の3種類の
分解酵素の組み合わせにより従来とは異なる硫酸化糖の
分類をすることができる。特に限定はないが、例えば、
上記ガゴメ昆布のような褐藻類由来の硫酸化フコース含
有多糖の混合物に作用させて、 フコース硫酸含有多糖−F分解酵素及びフコース硫酸
含有多糖−U分解酵素で分解されず、硫酸化フコガラク
タン分解酵素で分解される硫酸化糖画分(本発明の硫酸
化フコガラクタン); フコガラクタン分解酵素及びフコース硫酸含有多糖−
F分解酵素で分解されず、フコース硫酸含有多糖−U分
解酵素で分解される硫酸化糖画分; フコガラクタン分解酵素及びフコース硫酸含有多糖−
U分解酵素で分解されず、フコース硫酸含有多糖−F分
解酵素で分解される硫酸化糖画分; フコガラクタン分解酵素、フコース硫酸含有多糖−F
分解酵素及びフコース硫酸含有多糖−U分解酵素で分解
されない硫酸化糖画分; をそれぞれ得ることができる。これらの硫酸化糖画分
は、本発明のフコガラクタン分解酵素とフコース硫酸含
有多糖−F分解酵素あるいはフコース硫酸含有多糖−U
分解酵素を組み合わせることによって初めて得られる。 本発明の硫酸化フコガラクタン又はその塩は、成長因
子産生誘導活性、特にHGF(hepatocyte growth facto
r)産生誘導活性を有する。 部分肝切除を受けた肝臓は、速やかに再生し、もとの
サイズになる。この肝再生因子の本体は、長年不明であ
ったが、劇症肝炎患者の血漿中にHGFが見出され、そ
の患者血漿から、単離、精製された(J.Clin.Inves
t.,88 414−419,1988)。さらに、ヒトHGFのcD
NAもクローニングされ、HGFの1次構造も明らかに
された(Biochem.Biophys.Res.Commun.,163 967-
973,1989)。また、細胞の運動性を亢進させるsca
tter factor(SF)および、腫瘍細胞障害
因子であるtumor cytotoxic fact
or(TCF)とHGFが同一物質であることも明らか
になった(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88 7001-700
5,1991:Biochem.Biophys.Res.Commun.,180 115
1-1158,1991)。 HGFは、肝細胞だけでなく胆管上皮細胞、腎尿細管
上皮細胞、胃粘膜細胞など多くの上皮細胞の増殖を促進
させる。また、上皮細胞の運動性の亢進や血管新生、上
皮細胞の管腔形成で見られるような形態形成を誘導する
など、HGFは極めて多彩な生理活性を示す多機能活性
物質である。つまり、様々な臓器において、その臓器の
障害を修復する際の上皮細胞の増殖を促進、運動性の亢
進や血管新生などの形態形成の誘導等を行う。また、H
GFは、肝細胞増殖作用、タンパク合成促進作用、胆汁
うっ滞改善作用、さらには薬剤による腎障害の予防作用
などを示す。これらのことからも、重症肝炎、肝硬変お
よび肝内胆汁うっ滞の治療薬として期待されている。 またHGFのmRNAは、脳、腎臓、肺等でも合成さ
れており、肝実質細胞、腎細尿管細胞、表皮細胞等に対
しても増殖活性がある、中胚葉性細胞成長因子である。
従って、本発明の硫酸化フコガラクタン又はその塩は、
肝細胞増殖因子の産生を誘導することにより、肝炎、重
症肝炎、肝硬変および肝内胆汁うっ滞、慢性腎炎、肺
炎、創傷の治療剤又は予防剤の成分として有用である。 本発明の硫酸化フコガラクタン又はその塩は、そのH
GF産生誘導作用により、化粧料の有効成分として使用
することができ、例えばHGF産生誘導用化粧料として
有用であり、HGF産生誘導作用を有するバイオ化粧品
が提供できる。 さらに、本発明の硫酸化フコガラクタン又はその塩を
含有する成長因子産生誘導用化粧品、例えばHGF産生
誘導用化粧品は、常法に従って製造することができ、例
えばローション類、乳液類、クリーム類、パック類、浴
用剤、洗顔剤、浴用洗剤、毛髪剤、育毛剤又は洗髪剤が
挙げられる。 本発明の硫酸化フコガラクタン、若しくは該硫酸化フ
コガラクタンの低分子化物又はそれらの塩は、抗原とし
て使用することができる。抗体の作製は、常法により行
われるが、例えば、本発明の硫酸化フコガラクタン、若
しくは該硫酸化フコガラクタンの低分子化物又はそれら
の塩をアジュバンドとともにウサギ等の動物に免疫する
ことによって、ポリクローナル抗体を調製することがで
きる。また、モノクローナル抗体は、抗原を免疫して得
られた抗体産生B細胞とメラノーマ細胞を融合し、目的
の抗体を産生するハイブリドーマを選択し、この細胞を
培養することによって調製することができる。これらの
抗体は、本発明の硫酸化フコガラクタン若しくは該硫酸
化フコガラクタンの低分子化物又はそれらの塩の精製に
使用することができる。また、海藻中の本発明の硫酸化
フコガラクタンの同定に使用することができる。例え
ば、本発明の硫酸化フコガラクタンを認識する抗体を使
用し、海藻抽出液中の本発明の硫酸化フコガラクタン含
量を容易に測定でき、高含有抽出液を効率よく調製する
ことが可能になる。さらに、本発明の硫酸化フコガラク
タン、若しくは該硫酸化フコガラクタンの低分子化物又
はそれらの塩を認識する抗体は、本発明の硫酸化フコガ
ラクタン、若しくは該硫酸化フコガラクタンの低分子化
物又はそれらの塩の受精阻害作用機作、ウイルス感染阻
害機作、生体内での代謝等の解析等に有用である。 また、本発明の硫酸化フコガラクタン又はその塩に本
発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素を作用させて得ら
れた低分子化物即ちオリゴ糖類は、糖鎖工学用試薬とし
て用いることができる。例えば、特公平5−65108
号公報記載の方法によりピリジル−(2)−アミノ化
(PA化)を行い、該低分子化物のPA化物を調製すれ
ば、糖鎖工学用試薬として極めて有用な物質を提供する
ことができる。 実施例 以下に本発明を実施例をもって具体的に示すが、本発
明は以下の実施例の範囲のみに限定されるものではな
い。 実施例1 硫酸化フコガラクタンの調製 (1)硫酸化フコガラクタンを下記の工程により調製し
た。 乾燥ガゴメ昆布2Kgを穴径1mmのスクリーンを装
着したカッターミル(増幸産業社製)により破砕し、2
0リットルの80%エタノール中で25℃、3時間攪拌
後ろ過、洗浄した。得られた残さを50mMの塩化カル
シウム、100mMの塩化ナトリウム、10%のエタノ
ール、及びWO97/26896公報記載のアルテロモ
ナス sp. SN−1009株(通商産業省工業技術
院生命工学工業技術研究所[日本国茨城県つくば市東1
丁目1番3号(郵便番号305−8566)]に平成8
年(1996年)2月13日よりFERM P−154
36として寄託され、前記通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所にFERMBP−5747[国際寄託
への移管請求日:平成8年(1996年)11月15
日]として寄託)を培養し、該培養物から得られたフコ
ース硫酸含有多糖−F分解酵素を1U含む20リットル
の30mMイミダゾール緩衝液(pH8.2)に懸濁
し、25℃で2日攪拌すると高分子の硫酸化フコース含
有多糖による強い粘弾性が完全に消失したので低分子化
した硫酸化フコース含有多糖を除去するため、穴径32
μmのステンレス金網でろ過し、洗浄した。得られた残
さを100mMの塩化ナトリウム、10%のエタノー
ル、及び4gのアルギン酸リアーゼK(ナガセ生化学工
業製)を含む40リットルのリン酸ナトリウム緩衝液
(pH6.6)に懸濁し、25℃、4日攪拌後、遠心分
離し上清を得た。得られた上清中に含まれるアルギン酸
の低分子化物を除去するため排除分子量10万のホロフ
ァイバーを装着した限外ろ過機により2リットルに濃縮
後、10%のエタノールを含む100mMの塩化ナトリ
ウムで溶液交換した。この溶液に等量の400mM酢酸
カルシウムを添加攪拌後、遠心分離し、得られた上清を
氷冷しながら、1Nの塩酸でpH2とした。生じた沈殿
を遠心分離により除去し、得られた上清を1Nの水酸化
ナトリウムによりpH8.0とした。この溶液を限外ろ
過により1リットルに濃縮後、100mMの塩化ナトリ
ウムで溶液交換した。この時生じた沈殿は遠心分離によ
り除去した。得られた上清中の疎水性物質を除去するた
め、上清に1Mとなるように塩化ナトリウムを加えて、
1Mの塩化ナトリウムで平衡化した3リットルのフェニ
ルセルロファインカラム(生化学工業製)にかけ、素通
り画分を集めた。この画分を限外ろ過機により、濃縮
後、20mMの塩化ナトリウムで溶液交換し、凍結乾燥
した。凍結乾燥物の重量は29.3gであった。 (2)上記の凍結乾燥物15gを400mMの塩化ナト
リウム及びWO97/26896公報記載のフラボバク
テリウム sp.SA−0082(通商産業省工業技術
院生命工学工業技術研究所[日本国茨城県つくば市東1
丁目1番3号(郵便番号305−8566)]に平成7
年(1995年)3月29日よりFERMP−1487
2として寄託され、前記通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所にFERM BP−5402[国際寄託
への移管請求日:平成8年(1996年)2月15日]
として寄託)を培養し、該培養物から得られたフコース
硫酸含有多糖−U分解酵素を9U含む1.5リットルの
50mMトリス塩酸緩衝液に溶解し、25℃で6日間反
応後、エバポレーターで約300mlに濃縮した。濃縮
液を排除分子量3500の透析チューブに入れて徹底的
に透析し、低分子化された硫酸化フコグルクロノマンナ
ンを除去した。透析チューブ内に残った液を、50mM
の塩化ナトリウムで平衡化した4リットルのDEAE−
セルロファインA−800(チッソ社製)にかけ、50
mM塩化ナトリウムで充分洗浄後、50〜650mMの
塩化ナトリウムの濃度勾配による溶出を行った。更に同
カラムを650mMの塩化ナトリウムで充分溶出させ
た。溶出画分のうち650mMの塩化ナトリウムで溶出
した画分を硫酸化フコガラクタン画分として集め、排除
分子量10万の限外ろ過機により濃縮後、10mMの塩
化ナトリウムで溶液を置換し、凍結乾燥して硫酸化フコ
ガラクタン画分の凍結乾燥物を0.85g得た。この画
分について、糖組成分析を行なった。まず、ジャーナル
オブ バイオロジカルケミストリー( Journal of Bio
logical Chemistry)、第175巻、第595頁(194
8)の記載に従い、フコース量を定量した。 次に、得られた硫酸化フコガラクタンの乾燥標品を1
規定の塩酸に0.5%の濃度で溶解し、110℃で2時
間処理し、構成単糖に加水分解した。次に、グライコタ
ッグ(宝酒造社製)及びグライコタッグ リージェント
キット(宝酒造社製)を用いて加水分解して得られた
単糖の還元性末端をピリジル−(2)−アミノ化(PA
化)し、HPLCにより構成糖の比率を調べた。なお、
HPLCの条件は下記によった。 装置;L−6200型(日立製作所製) カラム;パルパックタイプA(4.6mm×150m
m;宝酒造社製) 溶離液;700mMホウ酸緩衝液(pH9.0):ア
セトニトリル=9:1 検出;蛍光検出器F−1150(日立製作所製)にて
励起波長310nm、蛍光波長380nmで検出。 流速;0.3ml/分 カラム温度;65℃ 次に、アナリティカル バイオケミストリー(Analyti
cal Biochemistry)、第4巻、第330頁(1962)
の記載に従いウロン酸量を定量した。さらに、バイオケ
ミカル ジャーナル(Biochemical Journal)、第84
巻、第106頁(1962)の記載に従い硫酸含量を定
量した。 以上の結果、得られた硫酸化フコガラクタンは、構成
糖としてガラクトースとフコースを含有し、そのモル比
は、約2:1であった。ウロン酸及びその他の中性糖は
実質的に含有されていなかった。また、フコースと硫酸
基のモル比は約1:2であった。 (3)硫酸化フコガラクタン分解酵素の活性測定方法 (2)で得られた硫酸化フコガラクタン画分を用いて
本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素の活性を測定す
るときは下記の要領で行った。 すなわち、60μlの50mMのイミダゾール−塩酸
緩衝液(pH7.5)と、4.8μlの2.5%の硫酸
化フコガラクタン画分溶液と、6μlの4M塩化ナトリ
ウムと、37.2μlの水と12μlの本発明の第1の
発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素とを混合し、37
℃、3時間反応させた後、反応液を100℃で10分間
処理し、遠心分離後100μlをHPLCにより分析
し、低分子化の程度を測定した。対照として、本発明の
第1の発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素の代わり
に、その酵素を溶解してある緩衝液を用いて同様の条件
により反応させたもの及び硫酸化フコガラクタン画分の
代わりに水を用いて反応を行ったものを用意し、それぞ
れ同様にHPLCにより分析した。 1単位の酵素は、上記反応系において1分間に1μm
olの硫酸化フコガラクタン画分のガラクトシル結合を
切断する酵素量とする。切断されたガラクトシル結合の
量は下記式により求めた。 {(4.8×1000×2.5/100)/MG}×{(MG/M)−1}×{1/(180×0.012)}=U/ml 4.8×1000×2.5/100:反応系中に添加した硫酸化フコガ
ラクタン(μg) MG;基質硫酸化フコガラクタン画分の平均分子量 M:反応生成物の平均分子量 (MG/M)−1:1分子の硫酸化フコガラクタンが酵素によ
り切断された数 180:反応時間(分) 0.012:酵素液量(ml) なお、HPLC条件は下記によった。 装置:L−6200型(日立製作所製) カラム:OHpak SB−806HQ(8×300
mm、昭和電工社製) 溶離液:5mMのアジ化ナトリウムを含む50mMの
塩化ナトリウム 検出:視差屈折率検出器(Shodex RI−7
1、昭和電工社製) 流速:1ml/分 カラム温度:25℃ 反応生成物の平均分子量の測定のために、市販の分子
量既知のプルラン(STANDARD P−82、昭和
電工社製)を上記のHPLC分析と同条件で分析し、プ
ルランの分子量と保持時間との関係を曲線に表し、上記
酵素反応生成物の分子量測定のための標準曲線とした。 蛋白質の定量は、酵素液の280nmの吸光度を測定
することにより行った。その際1mg/mlの蛋白質溶
液の吸光度を1.0として計算した。 実施例2 硫酸化フコガラクタン分解酵素の作用機作の
決定 (1)硫酸化フコガラクタン分解酵素の調製 硫酸化フコガラクタン分解酵素の生産のため、フラボ
バクテリウム sp.SA−0082(FERM BP
−5402)をグルコース0.1%、ペプトン1.0
%、酵母エキス0.05%を含む人工海水(ジャマリン
ラボラトリー製)pH7.5からなる培地600mlを
120℃、20分間殺菌した培地に接種し、24℃で2
3時間培養して種培養液とした。下記の実施例3(1)
の方法で調製したガゴメ昆布由来の硫酸化フコース含有
多糖画分0.2%、ペプトン2.0%、酵母エキス0.
01%、及び消泡剤(KM70、信越化学工業製)0.
01%を含む人工海水(pH7.5)からなる培地20
リットルを30リットル容のジャーファーメンターにい
れ120℃で20分間殺菌した。冷却後、上記の種培養
液600mlを接種し、24℃で23時間、毎分10リ
ットルの通気量と毎分125回転の攪拌速度の条件で培
養した。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体を得
た。 得られた菌体を、1,200mlの0.4M塩化ナト
リウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)に懸濁し、超音波破砕後、遠心分離して菌体抽出液
を得た。得られた菌体抽出液を同じ緩衝液で充分透析
し、遠心分離して上清を得た。得られた上清に終濃度が
90%飽和となるように硫安を添加し生じた沈殿を遠心
分離して集めた。得られた沈殿を150mlの50mM
塩化ナトリウムを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(p
H8.0)に溶解させ、同じ緩衝液で充分透析し、遠心
分離した。得られた上清を同じ緩衝液で平衡化した50
0mLのDEAE−セファロースFF(アマシャムファ
ルマシア社製)のカラムにかけ、同じ緩衝液で洗浄後、
50mMから600mM塩化ナトリウムの濃度勾配によ
り溶出させ、活性画分を集めた。 得られた活性画分を0.1M塩化ナトリウムを含む1
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で充分透析
し、同じ緩衝液で平衡化した100mLのDEAE−セ
ルロファインA−800(チッソ社製)のカラムにか
け、同じ緩衝液で洗浄後、0.1Mから0.4Mの塩化
ナトリウムの濃度勾配により溶出させ、活性画分を集め
た。得られた活性画分に4Mとなるように塩化ナトリウ
ムを添加し、4Mの塩化ナトリウムを含む10mMのト
リス−塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化した20mL
のPhenyl−セルロファイン(チッソ社製)のカラ
ムにかけ、同じ緩衝液で洗浄後、4Mから1Mの塩化ナ
トリウムの濃度勾配により溶出後、さらに1Mの塩化ナ
トリウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH
8.0)で充分溶出させ、活性画分を集めた。得られた
活性画分に3Mとなるように塩化ナトリウムを添加し、
3Mの塩化ナトリウムを含む10mMのトリス−塩酸緩
衝液(pH8.0)で平衡化した10mLのPheny
l−セルロファイン(チッソ社製)のカラムにかけ、同
じ緩衝液で洗浄後、3Mから0.5Mの塩化ナトリウム
の濃度勾配により溶出後、さらに0.5Mの塩化ナトリ
ウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)で充分溶出させ、活性画分を集めた。この様にして
得られた精製酵素を硫酸化フコガラクタン分解酵素とし
て用いた。 (2)硫酸化フコガラクタンの低分子化物の調製 実施例1(2)記載の硫酸化フコガラクタン画分に上
記の精製硫酸化フコガラクタン分解酵素を作用させ低分
子化物を調製した。すなわち、1.94gの硫酸化フコ
ガラクタン画分を0.2Mの塩化ナトリウムを含む25
mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解後、18
6mUの実施例2(1)記載の硫酸化フコガラクタン分
解酵素を加え、25℃で、6日間反応させた。反応液を
エバポレーターにより80mlに濃縮し、セルロファイ
ンGCL−1000(チッソ社製)のカラム(4×90
cm)による分子量分画を行った。分子量15,000
以下の画分を集め、硫酸化フコガラクタン酵素消化物画
分とした。 次に、硫酸化フコガラクタン酵素消化物画分の一部を
グライコタッグ(宝酒造社製)及びグライコタッグ リ
ージェント キット(宝酒造社製)を用いて還元性末端
をPA化し、得られたPA化糖を2規定の塩酸中で10
0℃、3時間処理により加水分解し、HPLCにより還
元末端糖を調べた。HPLC条件は下記によった。 装置:L−6200型(日立製作所製) カラム:パルパックタイプA(4.6×150mm、
宝酒造社製) 溶離液:0.7Mホウ酸緩衝液(pH9.0):アセ
トニトリル=9.1 検出:蛍光検出機(F−1150、日立製作所製)に
て励起波長310nm、蛍光波長380nmで検出。 流速:0.3ml/分 カラム温度:65℃ この結果、ガラクトースのみが検出されたので、硫酸
化フコガラクタンの酵素消化物画分の還元性末端は総て
硫酸化ガラクトースあるいはガラクトースであることが
判明した。 また、硫酸化フコガラクタンの酵素消化物画分の中性
糖組成を分析するため、還元性末端糖を分析した試料の
一部を再度PA化し、上記と同じ条件でHPLCにより
分析した。その結果、硫酸化フコガラクタンの酵素消化
物画分はガラクトースとフコースからなり、そのモル比
は、約2:1であることが判明した。前述の結果より、
本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素は、硫酸化フコ
ガラクタンのガラクトシル結合を切断して還元性末端に
硫酸化ガラクトースあるいはガラクトースを持つオリゴ
糖を生成させるエンド型ガラクトシダーゼ類であること
が判明した。 実施例3 (1)ガゴメ昆布から硫酸化フコース含有多糖画分を調
製した。すなわち、市販の乾燥ガゴメ昆布2Kgを穴径
1mmのスクリーンを装着させたカッターミル(増幸産
業社製)で破砕し、20リットルの80%エタノール中
に懸濁後25℃で3時間攪拌し、ろ紙でろ過した。得ら
れた残さを40リットルの100mMの塩化ナトリウム
を含む30mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.
5)に懸濁し、95℃で2時間処理後、穴径106μm
のステンレス製ふるいでろ過した。得られたろ液に20
0gの活性炭、4.5リットルのエタノール、12,0
00Uのアルギン酸リアーゼK(ナガセ生化学工業社
製)を添加し、25℃で20時間攪拌後、遠心分離し
た。得られた上清を排除分子量10万のホロファイバー
を装着させた限外ろ過機で4リットルに濃縮後、遠心分
離により不溶物を除去し、5℃で24時間放置した。生
じた沈殿を遠心分離により除去し、得られた上清を限外
ろ過機により溶液交換して100mM塩化ナトリウム溶
液とした。この溶液を4℃以下に冷却後、塩酸によりp
Hを2.0とし、生じた沈殿を遠心分離により除去し
た。得られた上清のpHを水酸化ナトリウムにより8.
0とし、4リットルに濃縮後、限外ろ過機により20m
Mの塩化ナトリウムに溶液交換した。この溶液中の不溶
物を遠心分離により除去後、50%のエタノールを82
ml添加して凍結乾燥し、ガゴメ昆布由来の硫酸化フコ
ース含有多糖画分の乾燥物を76g得た。 (2)フラボバクテリウム sp.SA−0082(F
ERM BP−5402)を実施例3(1)の方法で調
製したガゴメ昆布由来の硫酸化フコース含有多糖画分
0.2%、ペプトン1.0%、酵母エキス0.01%を
含む人工海水(pH7.5)からなる培地100mlを
500ml容の三角フラスコにいれ120℃で20分間
殺菌した培地に接種し、24℃で23時間、振とう培養
した。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体と培養液
上清を得た。 得られた菌体を、5mlの0.4M塩化ナトリウムを
含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に懸
濁し、超音波破砕後、遠心分離して菌体抽出液を得た。 上記の培養液上清と菌体抽出液に含まれる本発明の硫
酸化フコガラクタン分解酵素活性を測定した結果、培養
液上清には培地1mlあたり2mU、菌体抽出液には培
地1mlあたり2mUの活性が検出された。上記の培養
条件を用いれば、本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵
素はフラボバクテリウム属細菌の菌体内にも菌体外にも
ほぼ同量含まれることが判明した。 実施例4 実施例3(1)で得られた硫酸化フコース含有多糖画
分7gを700mlの50mM塩化ナトリウムと10%
のエタノールを含む20mMのイミダゾール−塩酸緩衝
液(pH8.0)に溶解し、あらかじめ同緩衝液で平衡
化した、5リットルのDEAE−セルロファインA−8
00(チッソ社製)にかけ、同緩衝液で洗浄後、50〜
1550mMの塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出さ
せ、溶出塩濃度550〜1550mMの硫酸化フコース
含有多糖画分を集めた。 上記の画分には、硫酸化フコガラクタン分解酵素によ
り低分子化される成分すなわち本発明の硫酸化フコガラ
クタンも10%程度含まれていた。そこで、本画分を排
除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過
機により脱塩し、さらに、200mMの塩化ナトリウム
を含む20mMのイミダゾール−塩酸緩衝液(pH8.
0)で溶液置換した。そこに、600mUの本発明の硫
酸化フコガラクタン分解酵素を添加し25℃で3日間反
応後、限外ろ過を行い、ろ液中に含まれる糖の量をフェ
ノール−硫酸法により測定し、糖が検出されなくなるま
で限外ろ過を続けた。この工程により、本発明の硫酸化
フコガラクタン分解酵素により低分子化される成分すな
わち本発明の硫酸化フコガラクタンを前記の硫酸化フコ
ース含有多糖画分から除去することができた。 実施例5 (1)硫酸化フコガラクタンの酵素消化物(i)の調製 実施例3で得られたガゴメ昆布由来の硫酸化フコース
含有多糖画分70gを300mMの塩化ナトリウム、2
0mMの塩化カルシウム、及び10%のエタノールを含
む20mMのイミダゾール−塩酸緩衝液(pH7.5)
に溶解後、排除分子量10万のホロファイバーを装着さ
せた限外ろ過機で限外ろ過し、ろ過可能な物質を徹底的
に除去した。なお、限外ろ過時に添加する緩衝液は溶解
に用いた緩衝液と同じ組成のものを用いた。 次に、限外ろ過内液に、WO97/26896公報記
載の方法でアルテロモナス sp.SN−1009株
(FERM BP−5747)を培養し、該培養物から
得られたフコース硫酸含有多糖−F分解酵素を5U添加
し、25℃で3日間反応させた。上記反応液を排除分子
量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機で限
外ろ過し、上記フコース硫酸含有多糖−F分解酵素で低
分子化された物質、すなわち、フコイダンの低分子化物
を徹底的に除去した。なお、限外ろ過時に添加する緩衝
液は上記反応液に用いた緩衝液と同じ組成のものを用い
た。 次に、限外ろ過内液に、WO97/26896公報記
載の方法でフラボバクテリウム sp.SA−0082
株(FERM BP−5402)を培養し、該培養物か
ら得られたフコース硫酸含有多糖−U分解酵素を20U
添加し、25℃で5日間反応させた。上記反応液を排除
分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機
で限外ろ過し、上記フコース硫酸含有多糖−U分解酵素
で低分子化された物質、すなわち、硫酸化フコグルクロ
ノマンナンの低分子化物を徹底的に除去した。なお、限
外ろ過時には水を添加し、最後に200mMの塩化ナト
リウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8)
に置換した。 次に、限外ろ過内液に、実施例2(1)記載の硫酸化
フコガラクタン分解酵素を2U添加し、25℃で5日間
反応させた。反応液を2等分し、一方は排除分子量10
万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機で限外ろ過
し、上記硫酸化フコガラクタン分解酵素で低分子化され
た物質、すなわち、硫酸化フコガラクタンの低分子化物
を徹底的に限外ろ過した。なお、限外ろ過時には50m
Mの塩化ナトリウムを含む10mMのトリス−塩酸緩衝
液(pH8)を添加した。こうして得られたろ過液を硫
酸化フコガラクタン酵素消化物(i)とした。 (2)硫酸化フコガラクタン酵素消化物(ii)の調製 実施例5(1)で2等分した反応液のもう一方に、実
施例2(1)記載の硫酸化フコガラクタン分解酵素を5
50mU添加し、25℃で7日間反応させ、低分子化の
進行を確認した。反応液を、排除分子量10万のホロフ
ァイバーを装着させた限外ろ過機で限外ろ過し、硫酸化
フコガラクタンの低分子化物を徹底的に限外ろ過した。
なお、限外ろ過時には50mMの塩化ナトリウムを含む
10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8)を添加した。
こうして得られたろ過液を硫酸化フコガラクタン酵素消
化物(ii)とした。 (3)硫酸化フコガラクタン酵素消化物(i)の分離精
製 実施例5(1)で得られた硫酸化フコガラクタン酵素
消化物(i)をエバポレーターで500mlに濃縮後、
電気透析装置により脱塩し、あらかじめ10mMの塩化
ナトリウムを含む10mMのイミダゾール−塩酸緩衝液
(pH8)で平衡化した1リットルのDEAE−セルロ
ファインA−800(チッソ社製)のカラムにかけ、同
緩衝液で洗浄後、10mMから900mMの塩化ナトリ
ウムのグラジエントにより溶出させた。溶出画分は62
mlずつ分取し、それぞれの糖含量をフェノール−硫酸
法により測定した。130mM付近及び220mM付近
の塩化ナトリウムで溶出される画分が糖含量のピークを
形成していたので、それぞれを集め、130mM溶出画
分(i)及び220mM溶出画分(i)とした。 130mM溶出画分(i)を電気透析装置により脱塩
後、50mMとなるように塩化ナトリウムを溶解させ、
あらかじめ50mMの塩化ナトリウムを含む10mMの
イミダゾール−塩酸緩衝液(pH8)で平衡化した10
0mlのDEAE−セルロファインA−800(チッソ
社製)のカラムにかけ、同緩衝液で洗浄後、50mMか
ら200mMの塩化ナトリウムのグラジエントにより溶
出させた。溶出画分は10mlずつ分取し、それぞれの
糖含量をフェノール−硫酸法により測定した。55mM
から75mM付近の塩化ナトリウムで溶出される画分が
糖含量のピークを形成していたので、60mM付近の塩
化ナトリウムで溶出される画分を集めた。この画分をス
ピードバック(サバントインストルメンツ社製;SAVANT
Instruments Inc.)で2mlに濃縮後、あらかじめ1
0%のエタノールで平衡化した200mlのセルロファ
インGCL−25(チッソ社製)のカラムにかけ、同緩
衝液で溶出させた。溶出画分は2mlずつ分取し、それ
ぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により測定した。糖
含量がピークを形成している画分を集め、(A)とし
た。 一方、上記の220mM溶出画分(i)に関しては、
電気透析装置により脱塩後、100mMとなるように塩
化ナトリウムを溶解させ、あらかじめ100mMの塩化
ナトリウムを含む10mMのイミダゾール−塩酸緩衝液
(pH8)で平衡化した100mlのDEAE−セルロ
ファインA−800(チッソ社製)のカラムにかけ、同
緩衝液で洗浄後、100mMから350mMの塩化ナト
リウムのグラジエントにより溶出させた。溶出画分は1
0mlずつ分取し、それぞれの糖含量をフェノール−硫
酸法により測定した。160mM付近の塩化ナトリウム
で溶出される画分を集め、スピードバック(サバントイ
ンストルメンツ社製;SAVANT Instruments Inc.)で2
mlに濃縮後、あらかじめ10%のエタノールで平衡化
した200mlのセルロファインGCL−25(チッソ
社製)のカラムにかけ、同緩衝液で溶出させた。溶出画
分は2mlずつ分取し、それぞれの糖含量をフェノール
−硫酸法により測定した。糖含量がピークを形成してい
る画分を集め、(B)とした。 (4)硫酸化フコガラクタン酵素消化物(ii)の分離
精製 実施例5(2)記載の硫酸化フコガラクタン酵素消化
物(ii)をエバポレーターで500mlに濃縮後、電
気透析装置により脱塩し、あらかじめ10mMの塩化ナ
トリウムを含む10mMのイミダゾール−塩酸緩衝液
(pH8)で平衡化した1リットルのDEAE−セルロ
ファインA−800(チッソ社製)のカラムにかけ、同
緩衝液で洗浄後、10mMから900mMの塩化ナトリ
ウムのグラジエントにより溶出させた。溶出画分は61
mlずつ分取し、それぞれの糖含量をフェノール−硫酸
法により測定した。130mM付近、220mM付近及
び270mMの塩化ナトリウムで溶出される画分が糖含
量のピークを形成していたので、それぞれを集め、13
0mM溶出画分(ii)、220mM溶出画分(ii)
及び270mM溶出画分(ii)とした。 130mM溶出画分(ii)を電気透析装置により脱
塩後、20mMとなるように塩化ナトリウムを溶解さ
せ、あらかじめ20mMの塩化ナトリウムを含む10m
Mのイミダゾール−塩酸緩衝液(pH8)で平衡化した
200mlのDEAE−セルロファインA−800(チ
ッソ社製)のカラムにかけ、同緩衝液で洗浄後、20m
Mから150mMの塩化ナトリウムのグラジエントによ
り溶出させた。溶出画分は13mlずつ分取し、それぞ
れの糖含量をフェノール−硫酸法により測定した。50
mMから70mM付近の塩化ナトリウムで溶出される画
分を集め、エバポレーターで30mlに濃縮後、あらか
じめ10%のエタノールで平衡化した1200mlのセ
ルロファインGCL−25(チッソ社製)のカラムにか
け、同緩衝液で溶出させた。溶出画分は10mlずつ分
取し、それぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により測
定した。糖含量がピークを形成している画分を集め、1
0mlとなるように酢酸を添加後、塩酸でpH3.5と
し、20mMの塩化ナトリウムを含む10mMの酢酸緩
衝液(pH3.5)の導電率と同じになるように塩化ナ
トリウムを添加し、あらかじめ20mMの塩化ナトリウ
ムを含む10mMの酢酸緩衝液(pH3.5)で平衡化
した30mlのDEAE−セルロファインA−800
(チッソ社製)のカラムにかけ、同緩衝液で洗浄後、2
0mMから120mMの塩化ナトリウムのグラジエント
により溶出させた。溶出画分は3mlずつ分取し、それ
ぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により測定した。6
5mMから80mM付近の塩化ナトリウムで溶出される
画分を集め、40mMの塩化ナトリウムを含む10mM
の酢酸緩衝液(pH3.5)の導電率と同じになるよう
に水で希釈し、あらかじめ40mMの塩化ナトリウムを
含む10mMの酢酸緩衝液(pH3.5)で平衡化した
20mlのDEAE−セルロファインA−800(チッ
ソ社製)のカラムにかけ、同緩衝液で洗浄後、40mM
から80mMの塩化ナトリウムのグラジエントにより溶
出させた。溶出画分は3mlずつ分取し、それぞれの糖
含量をフェノール−硫酸法により測定した。50mMか
ら65mM付近の塩化ナトリウムで溶出される画分を集
め、スピードバック(サバントインストルメンツ社製;
SAVANT Instruments Inc.)で2mlに濃縮後、あらか
じめ10%のエタノールで平衡化した200mlのセル
ロファインGCL−25(チッソ社製)のカラムにか
け、同溶液で溶出させた。溶出画分は2mlずつ分取
し、それぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により測定
した。糖含量がピークを形成している画分について質量
分析したところ、前半の画分には(A)と同じ物質が存
在したが、後半の画分には実質的に(A)と同じ物質が
含まれていなかったので、後半の画分を集め、(C)と
した。 一方上記の220mM溶出画分(ii)に関しては、
100mMの塩化ナトリウムを含む10mMのイミダゾ
ール−塩酸緩衝液の導電率と同じになるように水を添加
し、あらかじめ100mMの塩化ナトリウムを含む10
mMのイミダゾール−塩酸緩衝液(pH8)で平衡化し
た200mlのDEAE−セルロファインA−800
(チッソ社製)のカラムにかけ、同緩衝液で洗浄後、1
00mMから300mMの塩化ナトリウムのグラジエン
トにより溶出させた。溶出画分は13mlずつ分取し、
それぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により測定し
た。140mMから170mM付近の塩化ナトリウムで
溶出される画分を集め、エバポレーターで30mlに濃
縮後、あらかじめ10%のエタノールで平衡化した12
00mlのセルロファインGCL−25(チッソ社製)
のカラムにかけ、同溶液で溶出させた。溶出画分は10
mlずつ分取し、それぞれの糖含量をフェノール−硫酸
法により測定した。糖含量がピークを形成している画分
を集め、質量分析を行ったところ、実施例5(3)記載
の(B)と同じ物質であると推定された。 また上記の270mM溶出画分(ii)に関しては、
150mMの塩化ナトリウムを含む10mMのイミダゾ
ール−塩酸緩衝液(pH8)と同じ導電率になるように
水を添加し、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを
含む10mMのイミダゾール−塩酸緩衝液(pH8)で
平衡化した200mlのDEAE−セルロファインA−
800(チッソ社製)のカラムにかけ、同緩衝液で洗浄
後、150mMから300mMの塩化ナトリウムのグラ
ジエントにより溶出させた。溶出画分は12mlずつ分
取し、それぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により測
定した。160mMから180mM付近の塩化ナトリウ
ムで溶出される画分を集め、スピードバック(サバント
インストルメンツ社製;SAVANT Instruments Inc.)で
2mlに濃縮後、あらかじめ10%のエタノールで平衡
化した200mlのセルロファインGCL−25(チッ
ソ社製)のカラムにかけ、同溶液で溶出させた。溶出画
分は2mlずつ分取し、それぞれの糖含量をフェノール
−硫酸法により測定した。糖含量がピークを形成してい
る画分を集め、(D)とした。 実施例6 (1)硫酸化フコガラクタンの酵素消化物(iii)の
調製 実施例3で得られたガゴメ昆布由来の硫酸化フコース
含有多糖画分15gを1500mlの300mMの塩化
ナトリウム、20mMの塩化カルシウム、及び10%の
エタノールを含む20mMのイミダゾール−塩酸緩衝液
(pH7.5)に溶解後、排除分子量10万のホロファ
イバーを装着させた限外ろ過機で限外ろ過し、ろ過可能
な物質を徹底的に除去した。なお、限外ろ過時に添加す
る緩衝液は上記反応液に用いた緩衝液と同じ組成のもの
を用いた。限外ろ過内液に、実施例5(1)で使用した
フコース硫酸含有多糖−F分解酵素を1U添加し、25
℃で3日間反応させた。 上記反応液を排除分子量10万のホロファイバーを装
着させた限外ろ過機で限外ろ過し、上記フコース硫酸含
有多糖−F分解酵素で低分子化された物質、すなわち、
フコイダンの低分子化物を徹底的に除去した。なお、限
外ろ過時に添加する緩衝液は溶解に用いた緩衝液と同じ
組成のものを用いた。 該限外ろ過内液に、実施例5(1)で使用したフコー
ス硫酸含有多糖−U分解酵素を1U添加し、25℃で5
日間反応させた。 上記反応液を排除分子量10万のホロファイバーを装
着させた限外ろ過機で限外ろ過し、上記フコース硫酸含
有多糖−U分解酵素で低分子化された物質、すなわち、
硫酸化フコグルクロノマンナンの低分子化物を徹底的に
除去した。なお、限外ろ過時には200mMの塩化ナト
リウム及び10%のエタノールを含む10mMのトリス
−塩酸緩衝液(pH8)を添加した。 次に限外ろ過内液に、実施例2(1)記載の硫酸化フ
コガラクタン分解酵素を600mU添加し、25℃で5
日間反応させた。反応液を排除分子量10万のホロファ
イバーを装着させた限外ろ過機で限外ろ過し、上記硫酸
化フコガラクタン分解酵素で低分子化された物質、すな
わち、硫酸化フコガラクタンの低分子化物を徹底的に限
外ろ過した。なお、限外ろ過時には20mMの塩化ナト
リウムを含む10%のエタノールを添加した。こうして
得られたろ過液を硫酸化フコガラクタン酵素消化物(i
ii)とした。 (2)硫酸化フコガラクタン酵素消化物(iii)の分
離精製 実施例6(1)で得られた硫酸化フコガラクタン酵素
消化物(iii)を電気透析装置により脱塩し、エバポ
レーターで50mlに濃縮後、あらかじめ50mMの酢
酸アンモニウム(pH5.5)で平衡化した100ml
のDEAE−セロファインA−800(チッソ社製)の
カラムにかけ、同緩衝液で洗浄後、50mMから4Mの
酢酸アンモニウムのグラジエントにより溶出させた。溶
出画分は10mlずつ分取し、それぞれの糖含量をフェ
ノール−硫酸法により測定した。420mMから620
mM付近の酢酸アンモニウムで溶出される画分が糖含量
のピークを形成していたので、その画分を集め420か
ら620mM溶出画分とした。 (3)420から620mM溶出画分の精製 該画分を、電気透析装置により脱塩し、50mMの酢
酸アンモニウム溶液と同じ導電率とし、あらかじめ50
mMの酢酸アンモニウム(pH5.5)で平衡化した1
00mlのDEAE−セルロファインA−800(チッ
ソ社製)のカラムにかけ、同緩衝液で洗浄後、100m
Mの酢酸アンモニウム(pH5.5)で洗浄し、100
mMから800mMの酢酸アンモニウムのグラジエント
により溶出させた。溶出画分は10mlずつ分取し、そ
れぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により測定した。
440mMから530mM付近の酢酸アンモニウムで溶
出される画分を集めた。 該画分を、電気透析装置により脱塩し、200mMの
酢酸アンモニウム溶液と同じ導電率とし、あらかじめ2
00mMの酢酸アンモニウム(pH5.5)で平衡化し
た100mlのDEAE−セルロファインA−800
(チッソ社製)のカラムにかけ、同緩衝液で洗浄後、2
00mMから700mMの酢酸アンモニウムのグラジエ
ントにより溶出させた。溶出画分は10mlずつ分取
し、それぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により測定
した。420mMから470mM付近の酢酸アンモニウ
ムで溶出される画分を集めた。該画分について質量分析
及び該磁気共鳴スペクトル(NMR)分析を行ったとこ
ろ実施例5(3)記載の(B)と同じ物質であると推定
された。なお、質量分析はAPI−III質量分析器
(パーキンエルマー・サイエクス社製)を用いて行っ
た。NMR分析は核磁気共鳴装置JMN−A500(日
本電子社製)を用いて行った。 (4)硫酸化フコガラクタン酵素消化物の再酵素消化及
び分離精製 実施例6(2)の420から620mM溶出画分以外
は比較的分子量が大きかったので再度硫酸化フコガラク
タン分解酵素により分解した。すなわち、420から6
20mM溶出画分以外の溶出画分を集め、電気透析装置
で脱塩後、該溶液が200mMの塩化ナトリウム及び1
0%のエタノールを含む10mMリン酸緩衝液(pH
7.5)となるように調整し、実施例2(1)記載の硫
酸化フコガラクタン分解酵素を460mU添加し、25
℃で8日間反応させた。反応液を電気透析装置により脱
塩し、50mMの酢酸アンモニウム溶液と同じ導電率と
し、あらかじめ50mMの酢酸アンモニウム(pH5.
5)で平衡化した100mlのDEAE−セルロファイ
ンA−800(チッソ社製)のカラムにかけ、同緩衝液
で洗浄後、100mMから1Mの酢酸アンモニウムのグ
ラジエントにより溶出させた。溶出画分は10mlずつ
分取し、それぞれの糖含量をフェノール−硫酸法により
測定した。180mMから280mM付近の酢酸アンモ
ニウム溶出画分及び360mMから430mM付近の酢
酸アンモニウムで溶出される画分を集め、それぞれ、
(E)及び(F)とした。 実施例7 硫酸化フコガラクタン酵素消化物の構造決定 実施例5及び6で得られた6つの画分(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)について
それぞれ電気透析装置により脱塩後、凍結乾燥し、糖組
成及び質量を分析した。質量分析は、API−III質
量分析機(パーキンエルマー・サイエクス社製)を用い
た。また、NMR分析は、JNM−α500型核磁気共
鳴装置(日本電子社製)を用いた。分析試料は、定法に
より重水で置換後、構造解析を行った。構成糖の結合様
式は、1−検出異種核検出法であるHMBC法を用いて
行った。1H−NMRの帰属にはDQF−COSY法及
びHOHAHA法を、13C−NMRの帰属にはHSQC
法を用いた。 (1)低分子化物(A)の物性 質量分析及びNMRの帰属の結果を以下に示し、本発
明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(A)の1H−N
MRスペクトルを図3に、13C−NMRスペクトルを図
4に、マススペクトルを図5にそれぞれ示した。即ち、
図3は本発明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(A)
1H−NMRスペクトルを示す図であり、図4は本発
明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(A)の13C−N
MRスペクトルを示す図であり、図5は本発明の硫酸化
フコガラクタン低分子化物(A)のマススペクトルを示
す図である。図3、図4において縦軸はシグナルの強度
を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図5
において、縦軸は相対強度(%)を、横軸は、m/Z値
を示す。 分子量; 632 MS m/z 653.2[M+Na+−2H+]-、31
5.0[M−2H+]2- 1 H−NMR(D2O) δ;5.15(1H,d,J=4.3Hz,F1−1−
H),4.93(1H,d,J=3.7Hz,F2−1
−H),4.53(1H,d−d,J=10.4,4.
3Hz,F1−3−H),4.49(1H,d,J=
7.6Hz,G1−1−H),4.46(1H,d−
d,J=10.7,3.1Hz,F2−3−H),4.
36(1H,q,J=6.7Hz,F2−5−H),
4.14(1H,q,J=6.7Hz,F1−5−
H),4.09(1H,d,J=2.4Hz,F1−4
−H),4.03(1H,d,J=3.1Hz,F2−
4−H),3.97(1H,d−d,J=10.4,
4.3Hz,F1−2−H),3.90(1H,br−
s,G1−4−H),3.81(1H,d−d,J=1
0.7,3.7Hz,F2−2−H),3.59(1
H,m,G1−3−H),3.59(1H,m,G1−
5−H),3.59(2H,m,G1−6−H),3.
56(1H,m,G1−2−H),1.19(3H,
d,J=6.7,F1−6−H),1.14(3H,
d,J=6.7,F2−6−H)13 C−NMR(D2O) 各炭素の13C−NMR分析時
のケミカルシフト値を表1に示す。糖組成 L−フコース:D−ガラクトース=2:1 硫酸基 2分子 なお、1H-NMRにおけるピークの帰属の番号は、下記
式(V)の通りである。 (2)低分子化物(B)の物性 質量分析及びNMRの帰属の結果を以下に示し、本発
明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(B)の1H−N
MRスペクトルを図6に、13C−NMRスペクトルを図
7に、マススペクトルを図8にそれぞれ示した。即ち、
図6は本発明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(B)
1H−NMRスペクトルを示す図であり、図7は本発
明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(B)の13C−N
MRスペクトルを示す図であり、図8は本発明の硫酸化
フコガラクタン低分子化物(B)のマススペクトルを示
す図である。図6、図7において縦軸はシグナルの強度
を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図8
において、縦軸は相対強度(%)を、横軸は、m/Z値
を示す。 分子量; 1116 MS m/z 1181.2[M+3Na+−4H+]-
579.0[M+2Na+−4H+]2-、378.6[M
+Na+−4H+3- 1 H−NMR(D2O) δ;5.20(1H,d,J=4.3Hz,F1−1−
H),4.95(1H,d,J=3.7Hz,F2−1
−H),4.64(1H,HODと重複,G1−1−
H),4.60(1H,d,J=7.9Hz,G2−1
−H),4.55(1H,d−d,J=10.7,1.
8Hz,F1−3−H),4.47(1H,m,F2−
3−H),4.45(1H,d,J=7.6Hz,G3
−1−H),4.42(1H,br−s,G2−4−
H),4.38(1H,q,J=6.4Hz,F2−5
−H),4.28(1H,m,G2−3−H),4.2
0(1H,m,G3−3−H),4.17(1H,br
−s,G3−4−H),4.14(1H,q,J=6.
4Hz,F1−5−H),4.11(1H,d,J=
1.8H,F1−4−H),4.06(1H,d,J=
1.8Hz,F2−4−H),4.01(1H,m,G
2−6−H),3.97(1H,d−d,J=10.
7,4.3Hz,F1−2−H),3.90(1H,b
r−s,G1−4−H),3.88(1H,m,G2−
5−H),3.83(1H,m,G2−6−H),3.
82(1H,m,F2−2−H),3.68(1H,
m,G1−3−H),3.66(1H,m,G2−2−
H),3.65(2H,m,G3−6−H),3.62
(1H,m,G3−5−H),3.61(2H,m,G
1−6−H),3.59(1H,m,G1−2−H),
3.55(1H,m,G1−5−H),3.54(1
H,m,G3−2−H),1.21(3H,d,J=
6.4,F1−6−H),1.15(3H,d,J=
6.4,F2−6−H)13 C−NMR(D2O) 各炭素の13C−NMR分析時
のケミカルシフト値を表2に示す。糖組成 L−フコース:D−ガラクトース=2:3 硫酸基 4分子 なお、1H−NMRにおけるピークの帰属の番号は下記
式(VI)の通りである。(3)低分子化物(C)の物性 質量分析及びNMRの帰属の結果を以下に示し、本発
明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(C)の1H−N
MRスペクトルを図9に、13C−NMRスペクトルを図
10に、マススペクトルを図11にそれぞれ示した。即
ち、図9は本発明の硫酸化フコガラクタン低分子化物
(C)の1H−NMRスペクトルを示す図であり、図1
0は本発明の硫酸化フコガラクタン低分子物(C)の13
C−NMRスペクトルを示す図であり、図11は本発明
の硫酸化フコガラクタン低分子化物(C)のマススペク
トルを示す図である。図9、図10において縦軸はシグ
ナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。
また、図11において、縦軸は相対強度(%)を、横軸
は、m/Z値を示す。 分子量;502 MS m/z 523[M+Na+]-、250[M−2H
+]2- 1 H−NMR(D2O) δ4.57(1H,d,J=7.9Hz,G1−1−
H),4.43(1H,d,J=7.9Hz,G2−1
−H),4.20(1H,br−s,G1−3−H),
4.20(1H,br−s,G1−4−H),4.20
(1H,br−s,G2−3−H),4.15(1H,
br−s,G2−4−H),3.95(1H,m,G1
−6−H),3.82(1H,m,G1−5−H),
3.80(1H,m,G1−6−H),3.63(2
H,m,G2−6−H),3.62(1H,m,G2−
5−H),3.55(1H,m,G2−2−H),3.
50(1H,m,G1−2−H)13 C−NMR(D2) 各炭素の13C−NMR分析時の
ケミカルシフト値を表3に示す。 糖組成 D−ガラクトースのみ 硫酸基 2分子 なお、1H−NMRにおけるピークの帰属の番号は下記
式(VII)の通りである。 (4)低分子化物(D)の物性 質量分析及びNMRの帰属の結果を以下に示し、本発
明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(D)の1H−N
MRスペクトルを図12に、13C−NMRスペクトルを
図13に、マススペクトルを図14にそれぞれ示した。
即ち、図12は本発明の硫酸化フコガラクタン低分子化
物(D)の1H−NMRスペクトルを示す図であり、図
13は本発明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(D)
13C−NMRスペクトルを示す図であり、図14は本
発明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(D)のマスス
ペクトルを示す図である。図12、図13において縦軸
はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を
示す。また、図14において、縦軸は相対強度(%)
を、横軸は、m/Z値を示す。 分子量;1358 MS m/z 711.2[M+3Na+−5H+]2-、4
66.6[M+2Na+−5H+]3-、344.2[M+
Na+−5HH]4- 1 H−NMR(D2O) δ;5.19(1H,d,J=4.3Hz,F1−1−
H),4.93(1H,d,J=3.7Hz,F2−1
−H),4.62(1H,HODと重複,G1−1−
H),4.59(1H,HODと重複,G2−1−
H),4.54(1H,d−d,J=10.6,2.7
Hz,F1−3−H),4.46(1H,d,J=7.
6Hz,G3−1−H),4.46(1H,m,F2−
3−H),4.41(1H,br−s,G2−4−
H),4.41(1H,d,J=7.6Hz,G4−1
−H),4.37(1H,q,J=6.4Hz,F2−
5−H),4.27(1H,m,G2−3−H),4.
24(1H,br−s,G3−4−H),4.21(1
H,m,G3−3−H),4.19(1H,m,G4−
3−H),4.15(1H,br−s,G4−4−
H),4.13(1H,q,J=6.7Hz,F1−5
−H),4.09(1H,d,J=2.7Hz,F1−
4−H),4.04(1H,d,J=2.8Hz,F2
−4−H),3.98(1H,m,G2−6−H),
3.96(1H,d−d,J=10.6,4.3Hz,
F1−2−H),3.93(1H,m,G3−6−
H),3.88(1H,br−s,G1−4−H),
3.86(1H,m,G2−5−H),3.81(1
H,m,G2−6−H),3.81(1H,m,F2−
2−H),3.80(1H,m,G3−5−H),3.
80(1H,m,G3−6−H),3.66(1H,
m,G1−3−H),3.65(1H,m,G2−2−
H),3.64(1H,m,G1−6−H),3.64
(1H,m,G4−6−H),3.61(1H,m,G
4−5−H),3.58(1H,m,G1−2−H),
3.56(1H,m,G1−6−H),3.56(1
H,m,G4−6−H),3.55(1H,m,G4−
2−H),3.54(1H,m,G1−5−H),3.
54(1H,m,G3−2−H),1.20(3H,
d,J=6.7,F1−6−H),1.14(3H,
d,J=6.4,F2−6−H)13 C−NMR(D2O) 各炭素の13C−NMR分析時
のケミカルシフト値を表4および5に示す。 糖組成 L−フコース:D−ガラクトース=2:4 硫酸基 5分子 なお、1H−NMRにおけるピークの帰属の番号は下記
式(VIII)の通りである。 (5)低分子化物(E)の物性 質量分析及びNMRの帰属の結果を以下に示し、本発
明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(E)の1H−N
MRスペクトルを図15に、13C−NMRスペクトルを
図16に、マススペクトルを図17にそれぞれ示した。
即ち、図15は本発明の硫酸化フコガラクタン低分子化
物(E)の1H−NMRスペクトルを示す図であり、図
16は本発明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(E)
13C−NMRスペクトルを示す図であり、図17は本
発明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(E)のマスス
ペクトルを示す図である。図15、図16において縦軸
はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を
示す。また、図17において、縦軸は相対強度(%)
を、横軸は、m/Z値を示す。 分子量;1036 MS m/z 528.0[M+Na+−3H+]2-、34
4.0[M−3H+3- 1 H−NMR(D3O) δ;5.19(1H,d,J=4.3Hz,F1−1−
H),4.87(1H,d,J=3.7Hz,F2−1
−H),4.63(1H,HODと重複,G1−1−
H),4.59(1H,d,J=7.9Hz,G2−1
−H),4.53(1H,d−d,J=10.7,
1.8Hz,F1−3−H),4.44(1H,d,J
=7.6Hz,G3−1−H),4.40(1H,br
−s,G2−4H),4.32(1H,q,J=6.4
Hz,F2−5−H),4.27(1H,m,G2−3
−H),4.19(1H,m,G3−3−H),4.1
6(1H,br−s,G3−4−H),4.12(1
H,q,J=6.4Hz,F1−5−H),4.06
(1H,d,J=1.8Hz,F1−4−H),3.9
9(1H,m,G2−6−H),3.88(1H,br
−s,G1−4−H),3.88(1H,d−d,J=
10.7,4.3Hz,F1−2−H),3.86(1
H,m,G2−5−H)、3.81(1H,m,G2−
6−H),3.81(1H,m,F2−3−H),3.
69(1H,d,J=1.8Hz,F2−4−H),
3.66(1H,m,G1−3−H),3.65(1
H,m,G2−2−H),3.64(1H,m,F2−
2−H),3.63(2H,m,G1−6−H),3.
61(1H,m,G3−5−H),3.61(2H,
m,G3−6−H),3.60(1H,m,G1−2−
H),3.53(1H,m,G1−5−H),3.53
(1H,m,G3−2−H),1.19(3H,d,J
=6.4,F1−6−H),1.12(3H,d,J=
6.4,F2−6−H)13 C−NMR(D2O) 各炭素の13C−NMR分析時
のケミカルシフト値を表6に示す。糖組成 L−フコース:D−ガラクトース=2:3 硫酸基 3分子 なお、1H−NMRにおけるピークの帰属の番号は下記
式(IX)の通りである。(6)低分子化物(F)の物性 質量分析及びNMRの帰属の結果を以下に示し、本発
明の硫酸化フコガラクタン低分子化物(F)の1H−N
MRスペクトルを図18に、13C−DEPT−135゜
スペクトルを図19に、マススペクトルを図20にそれ
ぞれ示した。即ち、図18は本発明の硫酸化フコガラク
タン低分子化物(F)の1H−NMRスペクトルを示す
図であり、図19は本発明の硫酸化フコガラクタン低分
子化物(F)の13C−DEPT−135゜スペクトルを
示す図であり、図20は本発明の硫酸化フコガラクタン
低分子化物(F)のマススペクトルを示す図である。図
18、図19において縦軸はシグナルの強度を、横軸は
化学シフト値(ppm)を示す。また、図20におい
て、縦軸は相対強度(%)を、横軸は、m/Z値を示
す。 分子量;1278 MS m/z 660.0[M+2Na+−4H+]2-、432.0
[M+Na+−4H+]3-、318.2[M−4H+4- 1 H−NMR(D2O) δ;5.19(1H,d,J=4.3Hz,F1−1−
H),4.87(1H,d,J=3.8Hz,F2−1
−H),4.61(1H,HODと重複,G1−1−
H),4.59(1H,J=7.9Hz、G2−1−
H),4.53(1H,d−d,J=10.6, 2.
7Hz,F1−3−H),4.46(1H,d,J=
7.6Hz,G3−1−H),4.42(1H,d,J
=7.6Hz,G4−1−H),4.41(1H,br
=s,G2−4−H),4.32(1H,q,J=6.
4Hz,F2−5−H),4.27(1H,m,G2−
3−H),4.24(1H,br−s,G3−4−
H),4.20(1H,m,G3−3−H),4.20
(1H,m,G4−3−H),4.16(1H,br−
s,G4−4−H),4.12(1H,q,J=6.7
Hz,F1−5−H),4.06(1H,d,J=2.
7Hz,F1−4−H),3.98(1H,m,G2−
6−H),3.94(1H,m,G3−6−H),3.
89(1H,d−d,J=10.6,4.3Hz,F1
−2−H)、3.88(1H,br−s,G1−4−
H),3.86(1H,m,G2−5−H),3.86
(1H,m,G2−6−H),3.82(1H,m,F
2−3−H),3.80(1H,m,G3−5−H),
3.80(1H,m,G3−6−H),3.69(1
H,d,J=2.8,F2−4−H),3.66(1
H,m,G1−3−H),3.65(2H,m,G1−
6−H),3.65(2H,m,G4−6−H),3.
64(1H,m,G2−2−H),3.64(1H,
m,F2−2−H),3.62(1H,m,G4−5−
H),3.59(1H,m,G1−2−H),3.54
(1H,m,G1−5−H),3.54(1H,m,G
3−2−H),3.54(1H,m,G4−2−H),
1.19(3H,d,J=6.7,F1−6−H),
1.12(3H,d,J=6.4,F2−6−H)13 C−NMR(D2O) 各炭素の13C−NMR分析時
のケミカルシフト値を表7および8に示す。 糖組成 L−フコース:D−ガラクトース=2:4 硫酸基 4分子 なお、1H−NMRにおけるピークの帰属の番号は下記
式(X)の通りである。 実施例8 (1)本発明の硫酸化フコガラクタンの主要構造の解析 実施例1(2)で調製した硫酸化フコガラクタン画分
の全構造及び硫酸化フコガラクタン分解酵素の切断部位
を決定するために、NMR分析を行った。 質量分析及びNMRの帰属の結果を以下に示し、本発
明の硫酸化フコガラクタンの1H−NMRスペクトルを
図21に、13C−NMRスペクトルを図22に、赤外吸
収(IR)スペクトルを図23にそれぞれ示し、即ち、
図21は本発明の硫酸化フコガラクタンの1H−NMR
スペクトルを示す図であり、図22は本発明の硫酸化フ
コガラクタンの13C−NMRスペクトルを示す図であ
り、図23は本発明の硫酸化フコガラクタンの赤外吸収
スペクトルを示す図である。図21、図22において縦
軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)
を示す。また、図23において、縦軸は透過率(%)
を、横軸は、波数(cm-1)を示す。1H−NMR及び
13C−NMRによる分析結果を表9および10に示す。 表9および10に示した帰属より、本発明の硫酸化フ
コガラクタンは、実施例7(4)に記載の(D)の化合
物が主骨格であり、さらに本発明の硫酸化フコガラクタ
ンは、該化合物が繰り返し結合している構造である事が
判明した。また、繰り返し構造間の結合は、下記式(X
III)に示すようにG2のガラクトースがβ結合でG
4のガラクトースの6位に結合したものであった。すな
わち硫酸化フコガラクタンは、下記に示す主骨格の繰り
返し構造を有することが判明した。 また、本発明の硫酸化フコガラクタンの化学構造及び
本発明の硫酸化フコガラクタン低分子化物の化学構造か
ら、本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素は、硫酸化
フコガラクタンのD−硫酸化ガラクトースあるいはガラ
クトースとD−硫酸化ガラクトースあるいはガラクトー
スの間のβ1−6結合及びβ1−4結合をエンド的に分
解する酵素であることが判明した。さらに、本発明の硫
酸化フコガラクタンの分子量は、実施例1(3)の条件
で測定したところ、その平均値は約13万であった。ま
たその分子量分布は約1万〜約20万であった。 (2)本発明の硫酸化フコガラクタンのHGF産生誘導
活性 実施例1(2)記載の方法で得られた本発明の硫酸化
フコガラクタンのHGF産生誘導活性を測定した。HG
F産生誘導活性は、以下のようにして測定した。すなわ
ち、1×105cells/mlとなるように10%牛
胎児血清を含んだDME培地に懸濁したMRC−5細胞
懸濁液(CCL171:大日本製薬社製、code.0
2−021)500μlを48穴の細胞培養プレートに
入れ、37℃、5%CO2存在下で24時間培養後に1
%牛胎児血清を含んだDME培地に交換した。その後、
試料として実施例1−(2)に記載の方法で得られた硫
酸化フコガラクタンを最終濃度が1、10、100μg
/mlとなるように添加し、さらに24時間培養した
後、培地を回収し、Quantikine Human Hepatocyte G
rowth Factor(HGF)ELISA Kit(フナコシ社製、Cod
e.RS−0641−00)を用いて、培地中のHGF
の量を測定した。一方、コントロールとして試料と同量
の蒸留水を添加した。コントロールのHGF量は4.3
ng/mlであり、この値を100%とした、各試料添
加区のHGF産生量を表11に示す。なお、実験は全て
2連で行い、その平均値を採用した。 表11に示したように、本発明の硫酸化フコガラクタ
ンがHGFの産生を誘導することを確認した。即ち、本
発明の硫酸化フコガラクタンは、HGF産生誘導物質と
して有用であることを確認した。 実施例9 (1)実施例3で得られたガゴメ昆布由来の硫酸化フコ
ース含有多糖画分70gを300mMの塩化ナトリウ
ム、及び10%のエタノールを含む20mMのイミダゾ
ール−塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解後、排除分子量
10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機で限外
ろ過し、ろ過可能な物質を徹底的に除去した。なお、限
外ろ過時に添加する緩衝液は溶解に用いた緩衝液と同じ
組成のものを用いた。 次に、限外ろ過内液に、WO97/26896号公報
記載の方法でフラボバクテリウム sp.SA−008
2株(FERM BP−5402)を培養し、該培養物
から得られたフコース硫酸含有多糖−U分解酵素を20
U添加し、25℃で5日間反応させた。上記反応液を排
除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過
機で限外ろ過し、上記フコース硫酸含有多糖−U分解酵
素で低分子化された物質、すなわち、硫酸化フコグルク
ロノマンナンの低分子化物を徹底的に除去した。なお、
限外ろ過時には水を添加し、最後に200mMの塩化ナ
トリウムを含む10mMのイミダゾール−塩酸緩衝液
(pH8)に置換した。 次に、限外ろ過内液に、実施例2(1)記載の硫酸化
フコガラクタン分解酵素を2U添加し、25℃で5日間
反応させた。反応液を排除分子量10万のホロファイバ
ーを装着させた限外ろ過機で限外ろ過し、上記硫酸化フ
コガラクタン分解酵素で低分子化された物質、すなわ
ち、硫酸化フコガラクタンの低分子化物を徹底的に限外
ろ過した。なお、限外ろ過時に添加する緩衝液は上記反
応液に用いた緩衝液と同じ組成のものを用いた。 次に、限外ろ過液に最終濃度が20mMになるように
塩化カルシウムを添加し、さらにWO97/26896
公報記載の方法でアルテロモナス sp.SN−100
9株(FERM BP−5747)を培養し、該培養物
から得られたフコース硫酸含有多糖−F分解酵素を5U
添加し、25℃で3日間反応させた。上記反応液を排除
分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機
で限外ろ過し、上記フコース硫酸含有多糖−F分解酵素
で低分子化された物質を徹底的に限外ろ過した。なお、
限外ろ過時には水を添加した。こうして得られたろ過液
に含まれているフコース硫酸含有多糖の低分子化物につ
いて理化学的性質を調べた。 (2)上記(1)で得られたろ過液を集め、排除分子量
3000のホロファイバーを装着させた限外ろ過機によ
り限外ろ過し、ろ過液と非ろ過液に分離した。 このろ過液をロータリーエバポレーターで約3リット
ルに濃縮後、遠心分離して上清を得た。得られた上清を
排除分子量300の膜を装着させた電気透析器により脱
塩し、この溶液に0.1Mとなるように酢酸カルシウム
を添加し、生じた沈殿を遠心分離により除去した。上清
をあらかじめ50mMの酢酸カルシウムにより平衡化さ
せたDEAE−セルロファイン(樹脂量4リットル)に
かけ、50mMの酢酸カルシウム及び50mMの塩化ナ
トリウムで充分洗浄後、50mM〜800mMの塩化ナ
トリウムのグラジエントにより溶出させた。この時の分
取量は1本当り500mlで行った。分取した画分をセ
ルロースアセテート膜電気泳動法[アナリティカル バ
イオケミストリー(Analytical Bioch
emistry)、第37巻、第197〜202頁(1
970)]により分析したところ塩化ナトリウム濃度が
約0.4Mで溶出される画分(以下、0.4M溶出画分
と称す。)が均一であることが判明した。また、約0.
6Mの濃度で溶出される画分(以下0.6M溶出画分と
称す。)も電気泳動的にほぼ均一であった。 そこで、まず0.4M溶出画分の液を150mlに濃
縮後、濃度が4Mとなるように塩化ナトリウムを添加
し、あらかじめ4Mの塩化ナトリウムにより平衡化した
Phenyl−セルロファイン(樹脂量200ml)に
かけ、4Mの塩化ナトリウムにより充分洗浄した。非吸
着性の硫酸化糖画分を集め、排除分子量300の膜を装
着させた電気透析器により脱塩し、脱塩液505mlを
得た。 得られた脱塩液のうち40mlを10%のエタノール
を含む0.2Mの塩化ナトリウムによって平衡化させた
セルロファインGCL−90のカラム(4.1cm×8
7cm)にかけて、ゲルろ過を行った。分取は1フラク
ション当り9.2mlで行った。 全フラクションに対して総糖量の分析をフェノール硫
酸法〔アナリティカル ケミストリー(Analytical Che
mistry)、第28巻、第350頁(1956)〕により
行った。 この結果、硫酸化糖は1つのピークを形成したので、
そのピークの中央部分を集め、排除分子量300の膜を
装着させた電気透析器により脱塩後、凍結乾燥し、11
2mgの本発明の硫酸化糖の乾燥品を得た。該乾燥品の
一部を取り糖組成分析及び質量分析を行った。また、乾
燥品のうちの10mgを常法により重水置換し、NMR
分析に供した。 糖組成分析の結果、0.4M溶出画分は、フコースの
みからなる硫酸化糖であることが判明した。 また、API−III質量分析機(パーキンエルマー
・サイエクス社)を用いた、硫酸化糖の質量分析の結果
を図24に示し、以下に解析結果を示す。すなわち図2
4は硫酸化糖の質量分析の結果を示す図であり、縦軸は
相対強度(%)を、横軸はm/z値を示す。その結果、
分子量は、全硫酸基がナトリウム塩になっている状態で
2264±1であった。つまり、構成糖がフコースだけ
の硫酸化糖であることから、フコースが7分子、硫酸基
が12分子結合したもので、その硫酸基がすべてナトリ
ウム塩になっているもので、理論的分子量は2265で
あることが判明した。 つまり、本物質をMとすると、図24中の主なシグナ
ルは下記のように帰属することができる。 m/z 1109.05--- 〔M−2Na+2- (理論値 1109.5) 731.45--- 〔M−3Na+3- (理論値 732) 542.75--- 〔M−4Na+4- (理論値 543.25) 430.05--- 〔M−5Na+5- (理論値 430) この結果、本物質はフコース7分子、硫酸基12分子
のオリゴ糖である。 次に、フコースの結合様式、及び硫酸基の結合位置を
決定するために、JNM−α500 の型核磁気共鳴装
置(日本電子社製)を用い、NMR分析を行った。構成
糖の結合様式は1H−検出異種核検出法であるHMBC
法を用いて行った。1H−NMRの帰属にはDQF−C
OSY法及びHOHAHA法を、13C−NMRの帰属に
はHSQC法を用いた。 NMRの帰属の結果を以下に示し、0.4M溶出画分
の硫酸化糖の 1H−NMRスペクトルを図25に、13
−NMRスペクトルを図26にそれぞれ示した。但し、
1H−NMRでの化学シフト値はジオキサンの化学シフ
ト値を3.53ppmに、13C−NMRではジオキサン
の化学シフト値を66.5ppmとして表した。測定は
両方共に60℃で行った。すなわち図25は、0.4M
溶出画分の硫酸化糖の1H−NMRスペクトルを示す図
であり、図26は0.4M溶出画分の硫酸化糖の13C−
NMRスペクトルを示す図である。図25、図26にお
いて縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(p
pm)を示す。1H−NMR及び13C−NMRによる分
析結果を表12および13に示す。 なお、NMRのピークの帰属の番号は下記式(XV)
の通りである。 以上の結果より、本物質は下記式(XVI)で表され
る硫酸化通であることが判明した。(3)実施例9(2)に記載した、DEAE−セルロフ
ァインの0.6M溶出画分に関しても0.4M溶出画分
と全く同様に精製して凍結乾燥品を得た。 この標品は、HPLCによる分析の結果、0.4M溶
出画分よりも分子量の大きな硫酸化糖であることが判明
したが、NMRの分析結果によると0.4M溶出画分と
ほぼ同じスペクトルが得られた。 図27に0.6M溶出画分の1H−NMRスペクトル
を示した。但し、溶媒は重水を用い、1H−NMRでの
化学シフト値はジオキサンの化学シフト値を3.53p
pmとして表した。測定は60℃で行った。すなわち図
27は0.6M溶出画分の1H−NMRスペクトルを示
す図であり、縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフ
ト値(ppm)を示す。 この結果、0.6M溶出画分は0.4M溶出画分が数
分子結合した構造を持つことが強く示唆された。そこ
で、0.6M溶出画分を実施例9(1)記載のフコース
硫酸含有多糖−F分解酵素によりさらに分解して得た分
解物をHPLCにより分析したところ、反応生成物の多
くが実施例9(2)に記載したDEAE−セルロファイ
ンの0.4M溶出画分の硫酸化糖と同じ位置に溶出され
てきた。 なお、HPLCの分析条件は下記の通りである。 カラム Shodex SB802.5(昭和電工社
製) カラム温度 25℃ 溶液 5mMのアジ化ナトリウムを含む50mMの塩
化ナトリウム 検出 示唆屈折率検出器 Shodex RI−71 上記0.6M溶出画分、0.4M溶出画分につきプルラ
ン(昭和電工社製)を標準物質としたゲルろ過法により
分子量を測定したところ、0.4M溶出画分はプルラン
換算で分子量約8500、0.6M溶出画分は分子量約
26000であり、0.6M溶出画分は0.4M溶出画
分の硫酸化等の3量体であることが判明した。また、7
糖残基の繰り返しの結合位置は約0.6M溶出画分の1
H−NMRスペクトルを詳細に検討することにより、式
(XV)中のFのフコースの3位にα−(1→3)結合
でつながっていることが明らかとなった。さらに、上記
の方法に準じ、上記フコース硫酸含有多糖の低分子化物
中より、(XVI)で表される硫酸化糖の5量体、すな
わち下記一般式(XIV)においてn=5で表される硫
酸化糖を得た。 以上のことから、ガゴメ昆布のような褐藻類から得ら
れた硫酸化フコース含有多糖をフコース硫酸含有多糖−
U分解酵素及び本発明の硫酸化フコガラクタン分解酵素
で処理することにより、硫酸化フコース含有多糖−F分
解酵素によって低分子化され、下記一般式で表される硫
酸化糖を構成糖の必須成分とする硫酸化多糖が得られる
ことが確認できた。また、該硫酸化多糖の分子量は、実
施例1(3)の方法で測定したところ、抽出時の処理条
件が、pH6〜8、95℃ 約2時間の場合は、平均分
子量は約20万(分子量分布は、約1万〜約100万)
であった。また、抽出時の処理条件が、pH6〜8、2
5℃ 約24時間の場合は、平均分子量は約1,300
万(分子量分布は、約10万〜約2,000万)であっ
た。 産業上の利用の可能性 本発明により糖鎖工学用試薬あるいはHGF産生誘導
物質として有用な硫酸化フコガラクタン及びその低分子
化物が提供される。また、該硫酸化フコガラクタンの構
造解析や分解、硫酸化フコガラクタンの低分子化物の再
現性よい製造に用いることができる新規な硫酸化フコガ
ラクタン分解酵素が提供される。また、該酵素の製造方
法についても提供される。また、本発明の硫酸化フコガ
ラクタン分解酵素により硫酸化フコース含有多糖の混合
物から硫酸化フコガラクタンを選択的に除去する方法が
提供される。さらに、本発明の硫酸化フコガラクタン分
解酵素と他のフコース硫酸含有多糖分解酵素を組み合せ
て使用することにより、新規の硫酸化糖が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 19/00 C12R 1:20) (72)発明者 嶋中 一夫 大阪府高槻市寺谷町14番20号 (72)発明者 猪飼 勝重 滋賀県甲賀郡甲南町希望ケ丘本町9− 421−45 (72)発明者 加藤 郁之進 京都府宇治市南陵町1−1−150 (56)参考文献 国際公開97/032010(WO,A1) Carbohydrate Rese arch,1975年,No.44,p241− 249 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 19/00 - 19/64 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の理化学的性質を有することを特徴
    とする硫酸化フコガラクタン又はその塩: (1)構成糖:ガラクトースとフコースを含有し、その
    モル比が1:1〜6:1である、 (2)下記一般式(XI)で表される硫酸化糖を構成糖
    の必須成分とする: 【化1】(式中、RはH又はSO3Hである)、 (3)下記理化学的性質を有する硫酸化フコガラクタン
    分解酵素により分解され、下記一般式(I)〜(IV)
    で表される化合物より選択される1種以上の化合物が生
    成する: 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】(式中、RはH又はSO3Hである)。 (イ)作用:構成糖としてガラクトースとフコースを含
    有し、そのモル比が1:1〜6:1である硫酸化フコガ
    ラクタン又はその塩に作用して該硫酸化フコガラクタン
    を分解し、還元性末端に硫酸化ガラクトースあるいはガ
    ラクトースを持つオリゴ糖を生成させる、 (ロ)至適pH:本酵素の至適pHは7〜9である、 (ハ)至適温度:本酵素の至適温度は25〜45℃であ
    る。
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