JP3519451B2 - イムノクロマト法によるハプテンの半定量方法および装置 - Google Patents

イムノクロマト法によるハプテンの半定量方法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分析対象物ハプテンを
含む試料を、簡易に、短時間で、かつ明瞭に半定量を行
なうことができる免疫化学的方法および装置に関する。
【0002】
【先行技術】血液、尿等の生体試料中に含まれる微量物
質の定性または定量方法として、その感度の高さから免
疫学的測定方法が汎用されている。その手法の内、クロ
マトグラフィーを用いたいわゆるイムノクロマト法は、
操作が簡単であり、検定に要する時間も短いため、現在
多くの場面、例えば病院における臨床検査、研究室にお
ける検定試験等に広く使われている。
【0003】最も一般的なイムノクロマト法における目
的物の検出方法としては、検出すべき物質に種々の標識
を付した特異的結合物質をクロマト材上で反応させて検
出すべき物質と標識特異的結合物質との複合体(抗原−
抗体複合体)を形成させ、これを種々の手段により確認
(検出)することが行なわれる。標識としては、放射性
同位元素、発色団、蛍光団、酵素等があげられる。検出
手段としては、放射線検出器、分光光度計等、または目
視が挙げられる。
【0004】従来、試料中の検出すべき物質の量を決定
するには、検出すべき物質を含む試料を適宜希釈して一
定感度を有する測定試薬による定性反応を行ない、陽性
を示す最高希釈倍率に感度を乗じて半定量値を求める方
法、または検体を希釈することなく測定感度の異なる試
薬にて定性反応を行ない、陽性を示す試薬の感度をもっ
て半定量値としていた。定量分析の手法としては、試験
管やマイクロタイターウエルのような容器中で行なう液
相アッセイ、クロマトグラフ媒体上で行なう固相アッセ
イなどがある。
【0005】特開平4−351962号公報には、試料
を希釈せずに半定量を行なうことのできる特異結合分析
方法および装置が開示されている。本公報記載の方法
は、クロマトグラフィーの手法を用い、試料中の分析対
象物を定性または定量するに際し、測定系に特定物質を
存在させ、該特定物質の存在により、分析対象物の指標
として測定される標識物質量を小さくし、結果として分
析対象物を含む試料を希釈したのと同様の結果(以下、
希釈効果という)とするものである。
【0006】本公報記載の典型的な方法では、試料添加
部に添加された分析対象物(a)は、所定量(濃度)でク
ロマト材上に固定化されることなく存在する特定物質
(b)および所定量でクロマト材上に固定化されることな
く存在するの標識特異結合物質(e)と(特異結合物質存
在部において)接触する。一定量の分析対象物(a)は特
定物質(b)と結合するが、分析対象物(a)が特定物質(b)
より過剰に存在する場合には特定物質(b)と結合し得る
部位が存在したままさらに特異結合物質(特定物質(b)
または分析対象物(a)に対し特定物質(b)と同じ結合部位
と結合し得る物質(g))がクロマト材上に固定化されて
存在する部位(検出部)へ移動する。検出部において
は、特定物質(b)と結合し得る部位が存在しない、少な
くとも特定物質(b)と結合した分析対象物(a)は、検出部
を通過する。少なくとも特定物質(b)と結合し得る部位
を有する分析対象物(a)−標識特異結合物質(e)結合体
(f)のみが検出部において固定化され、この固定化され
た結合体(f)を種々の検出手段により検出するものであ
る。
【0007】なお、本公報記載の装置は一つのクロマト
材上に一つの検出部が存在するアッセイストリップを、
検出できる分析対象物の濃度(感度)の設定を段階的に
変えて複数個並列に並べたいわゆるユニット形式のもの
である。
【0008】特開平4−351962号公報記載の方法
と同様ユニット形式の半定量方法及び装置としては、本
願出願人による特許出願(特願平5−131590号)
がある。この特許出願の方法は、クロマト法による免疫
化学的簡易アッセイにおいて、分析対象物の定性分析の
前に、所定量で固定化されて存在する分析対象物に対す
る抗体により、固定化された抗体量に対応する試料中の
分析対象物の一定量を捕捉し、その後の免疫化学的定性
分析に付される分析対象物濃度を減少させることを特徴
とする。
【0009】ユニット形式ではなく、一つのアッセイス
トリップ上に複数の検出部位が存在し、試料中の分析対
象物と標識物質がクロマト移動によりこれら検出部と順
次反応する、いわゆるスティック形式の半定量方法又は
装置の先行例として、クリニカル・ケミストリー(CLI
N. CHEM. 39/4, 619-624(1993))の方法と特開平5−5
743号公報記載の方法がある。
【0010】クリニカル・ケミストリー記載の装置は、
完全抗原であるリポプロテイン(a)を分析対象物とし
ており、コロイド状セレニウムを標識物として用い、一
つのアッセイストリップ上に複数の測定領域(検出部)
が存在するものである。この方法のような完全抗原を分
析対象物とする半定量分析では、分析対象物濃度に比例
して発色する検出部の数が増加する。なお、この方法の
検出部の構成は、最上流の検出部には、それより下流の
検出部に固定化される抗リポプロテイン(a)抗体の倍
量の抗体を固定化し、それ以外の下流の検出部は、全て
同じ量の抗体を固定化してなる。
【0011】特開平5−5743号公報には、フィルタ
ー、標識化試薬含有部材、及び1又は複数の反応領域を
有する多孔性担体を有する免疫測定装置であって、該多
孔性担体がその上流端において該フィルターと該標識化
試薬含有部材とにより挟まれており、該反応領域が該フ
ィルター及び該標識化試薬含有部材から離れてその下流
に位置し、該標識化試薬含有部材が標識された試薬を含
有しており、そして該反応領域に捕捉試薬が固定されて
いることを特徴とする、特異的反応を用いて分析対象物
を測定する測定装置が開示されている。反応領域が下流
に位置するに従って多くの捕捉試薬を固定したものであ
る。
【0012】この公報記載の測定装置の試料添加部(試
料適用部位)は、図3のc)に示すようにクロマト材
(多孔性担体)の上流端の下側に標識化試薬含有部材を
配置し、上側にフィルターを配置したことを特徴とする
ものである。このような試料添加部及び標識物質存在部
(標識化試薬含有部材)の構造とすることにより、従来
の方法よりも鋭敏に分析対象物の定量(半定量)が行え
るとするものである。なお、本公報記載の方法は、主と
して完全抗原を分析対象物としている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来、試料中の分析対
象物を半定量するためには、一般に試料の希釈を必要と
していた。また、試料の希釈を必要としない測定感度の
異なる試薬による方法は、各測定感度における反応の強
さが異なるため判定が難しい等の欠点が有り、あまり一
般に実用化されていない。
【0014】試料の希釈操作は、医療、特に臨床検査等
の現場において、試験実施者は被検試料たる血液、尿等
からの試験実施者に対する病原菌の感染の可能性を増加
させている。また、大量の試料を半定量測定する場合
に、希釈操作が必要なければ操作効率を格段に向上させ
られる。
【0015】また、イムノクロマト法による分析を常時
実施している医療等の現場では、より簡易に、迅速に、
また少ない試料量で半定量を行いたいという要請があ
り、ユニット形式よりもスティック形式の半定量装置の
方が好ましい。
【0016】特開平5−5743号公報は、スティック
形式の半定量装置を開示しているが、この方法は主とし
て完全抗原又はそれに対する抗体を分析対象物としてお
り、ハプテンを分析対象物とする方法についての具体的
記載はない。また、本公報記載の方法では分析結果(ク
ロマトパターン)の明瞭性に改善の余地がある。
【0017】そこで、本発明はより簡易に、迅速に、ま
た少ない試料量でハプテンの半定量を実施し得るステイ
ック形式のイムノクロマト法による半定量方法及び装置
を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するための手段を鋭意検討した。その結果、クロマ
ト法によるハプテンを分析対象物とする免疫化学的簡易
アッセイにおいて; (1)試料中の分析対象物と、(2)標識された分析対象物又
はその化学的変性物(以下、標識物質という)を、(3)
異なる複数の濃度で、上流から下流に順に独立して、同
一クロマト材上に固定化されて存在する分析対象物に対
する抗体と、クロマト材の上流から下流に順次競合的に
抗原−抗体反応させ、標識を指標として、試料中の分析
対象物の濃度を決定することを特徴とする免疫化学的簡
易半定量方法及び分析対象物であるハプテンを含む試料
を添加するための試料添加部(A)、標識された分析対
象物ハプテンまたはその化学的変性物(標識物質)がク
ロマト移動し得る状態で存在する標識物質存在部
(B)、分析対象物に対する抗体が上流から下流に順に
独立して、クロマト材上に固定化されて存在する複数の
検出部(C1〜Cn)及び添加された試料及び未反応の標
識物質を吸収除去する吸収部(D)からなるイムノクロ
マト法による免疫化学的簡易半定量装置により上記目的
を達成できることを見出し本発明を完成した。
【0019】さらに、標識物質存在部(B)が標識物質
を含有する部材の上に標識物質含有部材と同等又はそれ
以上の目の粗さをもつ素材からなる部材を積層すること
により、より短時間で、明瞭かつ精度の高いハプテンの
半定量を行うことができることをも見出した。
【0020】以下、本発明の方法及び装置を詳細に説明
する。本発明の方法又は装置による半定量分析の分析対
象物となるものは、ハプテン(不完全抗原)である。
【0021】ここにハプテン(不完全抗原)とは、抗体
と結合できるが、それ自身では抗体産生を誘起する能力
を有しないものをいい、比較的分子量の小さい(分子量
1000以下程度)ペプチド類等がこれに含まれる。な
お、ハプテンは、適当な担体、例えばウシ血清アルブミ
ン等の蛋白に結合させると、抗体産生能を獲得する。以
下に分析対象物ハプテンの具体例を示すが、ここに記載
されたものに限定されるわけではない。
【0022】ハプテン(不完全抗原)の例: (1) ステロイド系ハプテン 1) エストロン、エストラジオール、エストリオール、
エステトロール、エクイリン、エクイレニン等の卵胞ホ
ルモン 2) プロゲステロン、プレグナンジオール、プレグナン
トリオール、19−ノル−エチステロンおよび酢酸クロ
ルマジノン等の天然または合成黄体ホルモン 3) テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、
ジヒドロテストステロン、アンドロステン、エチオコラ
ノロン等の男性ホルモン 4) コルチゾール、コルチゾン、デオキシコルチコステ
ロン、アルドステロン、テトラヒドロコルチゾール等の
副腎皮質ホルモン 5) ビタミンD類、コレステロール、コール酸、デオキ
シコール酸、ケノコール酸等の胆汁酸、強心性ステロイ
ド、サポニン、サポゲニン等のその他のステロイド類 (2) 生理活性アミン類 1) エピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、エ
フェドリン等のカテコールアミンおよびそれらの代謝産
物 2) モルヒネ、コデイン、ヘロイン、塩酸モルヒネ、コ
カイン、メスカリン、パパベリン、ナルコチン、ヨヒン
ビン、レセルピン、エルゴタミン、ストリキニーネ等の
生理活性アルカロイド類 3) LSD、アンフェタミン、メタンフェタミン、メプ
ロバメート等のアミノ基含有向精神薬類 (3) その他の例 1) TRH、LH−RH等の抗原性を有しない低分子ペ
プチド類 2) ジヨードサイロニン、トリヨードサイロニン、サイ
ロキシン等の甲状腺ホルモン類 3) プロスタグランジンE2、プロスタグランジンE3、
プロスタグランジンF1α等のプロスタグランジン類 4) ビタミンA、ビタミンB類(ビタミンB1、B2、B
6、B12等)、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類 5) ペニシリン、アクチノマイシン、クロロマイセチ
ン、テトラサイクリン等の抗生物質類 6) その他生体内に存在する成分、生体内に投与された
薬物およびその代謝産物等。
【0023】本発明の方法又は装置において、試料(検
体)となり得るものとしては、上記分析対象物を含有す
るものであれば何でもよいが、尿、血清、血漿、血液、
唾液、羊水等の生体試料が主に挙げられる。
【0024】分析対象物の半定量の指標となる標識は、
直接標識または間接標識のいずれであってもよい。直接
標識は、検定結果を目視によって観察でき、追加の処理
または工程を必要としない点で好ましい。間接標識の場
合には、アッセイ終了後に標識を視覚化するための処
理、工程または装置が必要である。
【0025】直接標識に用いることができる標識物とし
ては、金属ゾル、着色ラテックス粒子、色指示薬、リボ
ゾームに含有されている着色物質、各種染料、各種顔料
等の色素類、炭素ゾルのような非金属ゾル、ルミノール
誘導体、アクリジニウムエステル等の化学発光物質、フ
ルオレセイン、ローダミン等の蛍光物質等が挙げられる
がこれらに限定されるものではない。
【0026】間接標識に用いることができる標識物とし
ては、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アル
カリフォスファターゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシ
ダーゼ等の各種酵素等が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0027】直接標識による場合には、肉眼での色調観
察、色濃度、発光強度、蛍光強度等の測定により、間接
標識の場合には、使用した酵素によりその酵素の基質あ
るいはクロモーゲンの変化によって得られる色濃度、発
光強度等を測定することにより検出を行なう。
【0028】本発明において標識された分析対象物又は
その化学的変性物を標識物質という。標識された分析対
象物とは、上記直接又は間接標識と結合したハプテンを
いい、標識された分析対象物の化学的変性物とは、上記
直接又は間接標識と結合したハプテンを化学的に変性物
させたものであり、分析対象物ハプテンの存在下に、分
析対象物ハプテンに対する抗体と競合的に結合し得るハ
プテンに化学的修飾を加えた物質をいう。ハプテンの化
学的変性物及びその変性方法については、後述する。
【0029】さらに、標識物質の構成成分であるハプテ
ンは、分析対象物であるハプテンそのものであってもよ
いし、検出用抗体に対し分析対象物ハプテンとの交叉反
応により結合できるハプテンであってもよい。
【0030】本発明のハプテンの半定量方法は、免疫化
学的競合反応を原理とする。すなわち、試料中の分析対
象物ハプテンと、標識物質が検出部(C)に固定化され
て存在する検出用抗体と競合的に結合することを利用す
る。そして異なる複数の濃度で上流から下流に順に独立
して、同一クロマト材上に固定化されて存在する検出用
抗体からなる複数の検出部(C1〜Cn)を設け、これら
の複数の各検出部(C1〜Cn)において、試料中の分析
対象物ハプテンと標識物質を競合的に反応させ、分析対
象物の濃度に応じて標識物質の標識による発色等が現れ
る検出部の数を指標に分析対象物の濃度(半定量値)を
決定する。
【0031】本発明の原理である競合反応では、分析対
象物濃度と標識により検出(確認)される検出部の数は
反比例する。すなわち、分析対象物濃度が高ければ高い
ほど検出(確認)される検出部の数は少なくなる。
【0032】検出部(C)に検出用物質としてハプテン
抗体(以下、検出用抗体という)を固定化し、標識物質
存在部(B)に標識物質として標識されたハプテン−キ
ャリア蛋白結合物またはハプテン若しくはその化学的変
性物を化学的に結合せしめたカルボキシル基含有水溶性
モノオレフィン系高分子化合物(以下、標識−ハプテン
−キャリア結合物、さらに略して標識物質ということも
ある)をクロマト移動しうる状態で保持させる。
【0033】ある濃度の分析対象物を含む試料を試料添
加部(A)に添加し、試料溶液により標識物質存在部
(B)に存在する標識−ハプテン−キャリア結合物(標
識物質)が溶出してクロマト移動しうる状態となった標
識物質と分析対象物は、クロマト移動により検出部
(C)へ移動し、順次複数の検出部(C1〜Cn)に異な
る固定化量で存在する検出用抗体と競合的に結合する。
【0034】競合反応による方法では、検出用抗体量と
標識物質(標識−ハプテン−キャリア結合物)量によ
り、両者間の結合反応を競合阻止し得る最少の分析対象
物ハプテンの濃度(検出感度)が決定できる。従って、
同一クロマト材上の複数の検出部(C1〜Cn)にそれぞ
れ異なった量の検出用抗体を固定化しておけば、複数段
階の検出感度での定量分析を一つのクロマト材上で、1
回の操作で行うことができる。
【0035】検出感度すなわち固定化する検出用抗体の
濃度(固定量)の幅をどのように設定するかはその分析
対象物、それを含む試料等により適宜選択すべきであ
る。
【0036】また、複数の検出部(C1〜Cn)におい
て、上流から下流に濃度を順次高くしていってもよい
し、順次低くしていってもよいが、上流から下流に濃度
を順次高くしていく方が好ましい。その理由は、上流の
低濃度固定抗体から競合反応が順次生じていくので、検
出感度を高め、検出濃度幅を狭めることが可能だからで
ある。
【0037】ここで、本発明で用いるハプテン抗体類
は、コンベンショナルな抗体であっても、モノクローナ
ル抗体であってもよく、公知の方法により作製すること
ができる。ハプテン(分析対象物)またはその化学的変
性物を、ウシ血清アルブミン(BSA)等の抗原性を有
する物質と結合させ、これを抗原として常法に従い、動
物を免疫することにより抗血清を得、得られた抗血清中
から、ハプテン(分析対象物)に対してのみ反応性を有
する抗体を分離する。
【0038】モノクローナル抗体であれば、前記抗原で
免疫したマウスの脾細胞と骨髄腫細胞を融合させ、目的
の抗体を産生する融合細胞を選別し、この融合細胞から
産生されるモノクローナル抗体を得る。
【0039】また、ハプテン−キャリア蛋白結合物また
は、ハプテン若しくはその化学的変性物を化学的に結合
せしめたカルボキシル基含有水溶性モノオレフィン系高
分子化合物の構成成分であるハプテンまたはその化学的
変性物は、競合反応に関与するものであり、キャリア蛋
白またはカルボキシル基含有水溶性モノオレフィン系高
分子化合物は、標識物、クロマト材との結合部位を提供
し、対応するハプテン抗体との反応性を高める等の役割
を果すものである。
【0040】キャリア蛋白としては、ウシ血清アルブミ
ン(BSA)、ウサギ血清アルブミン(RSA)、ヤギ
血清アルブミン(GSA)、ヒト血清アルブミン(HS
A)など血清由来の蛋白や卵白アルブミン(EA)等を
用いることができる。なお、これらを使用する場合に
は、ハプテン抗体を作製する際にハプテンに抗原性を持
たせる目的でこれらの蛋白(例えばBSA)を使用して
いるので、これらの蛋白に対して結合性を有する抗体を
完全に吸収除去しておく必要がある。
【0041】ハプテンの化学的変性は、カルボキシル基
含有水溶性モノオレフィン系高分子化合物(以下、スペ
ーサーという)の官能基、例えば、カルボキシル基や水
酸基と化学的に結合し得るようにハプテンに化学的修飾
を加えるものである。化学的変性は、用いるハプテンの
化学構造に応じて公知の方法により行なうことができ
る。特に、ハプテンにカルボキシル基、アミノ基、水酸
基を導入する化学的変性方法が好ましい。
【0042】本発明で使用するスペーサーは、生理的に
不活性であり、一般に抗原性を有しない物質である。ス
ペーサーは、カルボキシル基の他に水酸基を有していて
もよく、これらの官能基は、ハプテンまたはその化学的
変性物との化学的結合に関与するだけでなく、高分子化
合物であるスペーサーに水溶性を付与する役割を有す
る。ここで、スペーサー(カルボキシル基含有水溶性モ
ノオレフィン系高分子化合物)の「水溶性」とは、スペ
ーサーの少なくとも1重量部が1000重量部の蒸留水
に完全に溶解し、透明な溶液を形成することを意味す
る。
【0043】スペーサーの平均分子量は、約103〜1
7またはそれ以上であってもよく、通常数万〜数百万
程度のものが好適である。
【0044】スペーサーの具体例としては、例えば、ア
クリル酸またはメタアクリル酸のホモ−またはコ−ポリ
マー;マレイン酸と酢酸ビニルとの共重合体またはその
ケン化物、マレイン酸と例えばビニルアルコール、低級
アルキルビニルエーテル、アクリル酸またはその低級ア
ルキルエステル、メタアクリル酸またはその低級アルキ
ルエステルとの共重合体またはそれらの加水分解物が挙
げられる。さらにスペーサーは、例えば、アクリル酸ま
たはメタアクリル酸と、例えばアクリル酸のβ−ヒドロ
キシエチルエステルまたはアクリルアミドとの共重合
物、あるいは前記モノマーを構成単位とする三元共重合
体であってもよい。
【0045】ハプテンまたはその化学的変性物とスペー
サーとの化学的結合は、アミド結合またはエステル結合
によって行なうが、特にアミド結合によるのが好まし
い。アミド結合を形成させる場合は、例えば、公知のカ
ルボジイミド法、カルボニルジイミダゾール法、混合酸
無水物法、活性エステル法、アジド法、酸クロリド法お
よびジフェニルホスホリルアジド(DPPA)法等が挙
げられ、特にカルボジイミド法またはDPPA法が好ま
しい。上記いずれの方法を用いてもよいが、ハプテンの
有するスペーサーとの化学的結合に関与しない官能基の
存在によっては不安定なものもあるので、あまり過激な
条件を必要とする方法は避けるべきである。エステル結
合の形成には、ハプテンまたはその化学的変性物の反応
性水酸基とスペーサーのカルボキシル基を結合させる場
合とその逆の場合がある。前者の場合には、スペーサー
のカルボキシル基を反応性誘導体、例えば酸クロリドと
してハプテンの水酸基と反応させるか、あるいはスペー
サーが例えば無水マレイン酸を含む共重合体であるなら
ばそのままハプテンと反応させてもよい。後者の場合も
エステル結合の形成方法の原理は前者と同様であるが、
ハプテンによっては、そのカルボキシル基を反応性誘導
体、例えば酸クロリドに変換し得る程の安定性を有しな
いことがあり、この場合にはエステル結合を形成するこ
とは困難である。
【0046】次に、本発明の半定量装置の基本例につい
て図1に基づいて説明する。本発明の半定量装置は、試
料添加部(A)、標識物質存在部(B)、複数の検出部
(C1〜Cn)及び吸収部(D)を順次有するスティック
形式のクロマト型免疫化学的分析装置である。
【0047】図1に記載の本発明の装置は、概ね次のよ
うに作製する。すなわち、支持体(e)に両面粘着テー
プ(f)を貼り、粘着部f−イ)及びf−ロ)を露出さ
せる。粘着部f−イ)に適当な重なりをもって複数の検
出部(C1〜Cn)を含むクロマト材(g)の上流端を載
せて固定する。その上流端に適当な重なりをもって標識
物質含有部材(b)を、粘着部f−イ)で固定する。さ
らに、標識物質含有部材(b)の上流端側に適当な重な
りをもって試料添加部(A)を構成する部材(a)を載
せ、粘着部f−イ)で固定し、クロマト材(g)の下流
端に適当な重なりをもって吸収部(D)を構成する部材
(d)を載せ、粘着部f−ロ)で固定する。
【0048】図1に記載の上記本発明の装置を構成する
各部(A)〜(D)及びそれらを構成する各部材の材質
等について順次説明する。支持体(e)の材質は、プラ
スチック、ガラス、フィルム等が用いられ、試料の種
類、分析対象物の種類等により適宜選択すべきである。
支持体(e)の形状については、通常縦3〜10cm、
横0.5〜2cmの長方形が好ましいが、分析対象物の
種類、検出部(C)の設定数、アッセイ時間等によって
適宜変更すべきである。
【0049】両面粘着テープ(f)は、クロマトアッセ
イを阻害することがないものであれば特に制限はなく、
通常市販されているものを用いることができる。
【0050】また、(A)〜(D)を構成する各部材を
連結する方法は、特に制限はなく、粘着テープに限ら
ず、連結できる方法であればいかなる方法でもよい。
【0051】試料添加部(A) 試料添加部を構成する部材(a)の材質は、セルロース
濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢
酸セルロース、ナイロン、綿布等の均一な特性を有する
ものが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0052】試料添加部は、添加された分析対象物を含
む試料を受入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を
濾過する機能をも兼ねるので、セルロース濾紙、ガラス
繊維濾紙等の濾過機能をも有する材質のものが好まし
い。
【0053】試料中の分析対象物が試料添加部の材質に
非特異的に吸着し、半定量の精度を低下させることを防
止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異
的吸着防止処理して用いることが特に好ましい。非特異
的吸着防止処理としては、例えば、不活性蛋白による処
理、界面活性剤による処理等がある。不活性蛋白による
処理は、例えば、材質を0.1〜10%牛血清アルブミ
ン(BSA)0.1Mトリス緩衝液(pH6〜9)溶
液、0.1〜10%脱脂粉乳0.1Mトリス緩衝液(p
H6〜9)溶液、および/または0.1〜10%カゼイ
ン溶液などに浸し、37℃1時間または4℃一昼夜放置
後、トリス緩衝液で洗浄後乾燥させることからなる。界
面活性剤による処理は、例えば、材質を非イオン性界面
活性剤であるツイーン20またはトリトンX100の
0.01〜1%溶液に浸し、そのまま乾燥することから
なる。分析対象物、試料の種類によるが、不活性蛋白に
よる処理と界面活性剤による処理を合わせて行なってか
ら使用するのが好ましい。
【0054】標識物質存在部(B) 標識物質存在部(B)は、検出部(C)と同じクロマト
材(g)上に位置していてもよいし、それぞれ独立した
異なる材質のものであってもよい。
【0055】標識物質存在部(B)を後述の検出部
(C)と同一のクロマト材(g)上に位置させる場合
は、クロマト材(g)に検出用物質を固定化し、分析対
象物、標識物質の非特異的吸着防止処理をした後、標識
物質をクロマト材(g)の検出部(C)より上流部に塗
付、乾燥させる。
【0056】標識物質存在部(B)を、後述の検出部
(C)が位置するクロマト材(g)とは異なる素材(以
下、標識物質含有部材(b)という)を用いる場合に
は、ガラスウール、セルロース濾紙、ガラス繊維濾紙、
不織布などを非特異的吸着防止処理をした後、標識物質
の一定量を含浸し、乾燥させて作製する。
【0057】本発明の半定量法において、標識物質の溶
解速度、クロマト移動の均一性が測定感度の制御に影響
を及ぼす場合があるので、前記非特異的吸着防止処理と
共に標識物質のクロマト材(g)又は標識物質含有部材
(b)への塗付または含浸は、0.1〜10%マンニト
ールまたは0.1〜30%サッカロース等の糖類の存在
下で行なうことが好ましい。
【0058】検出部(C) 複数の検出部(C1〜Cn)は、クロマト材(g)上にそ
れぞれ異なる濃度で、上流から下流に順次独立して分析
対象物ハプテンに対する抗体(以下、検出用物質とい
う)を固定化させて作製する。検出用物質の固定化方法
には、検出用物質をクロマト材(g)の一部に物理的又
は化学的結合により直接固定化させる方法と、検出用物
質をラテックス粒子などの微粒子に物理的または化学的
に結合させ、この微粒子を多孔性のクロマト材の一部に
トラップさせて固定化させる間接固定化方法がある。い
ずれの方法も用いることができるが、本発明の装置にお
いては、不溶化の均一性、感度調整の容易さ等から直接
固定化の方が好ましい。
【0059】検出部(C)が存在する部材を構成する材
質(すなわちクロマト材(g))は、多孔性ニトロセル
ロース膜、多孔性セルロース膜、ナイロン膜、ガラス繊
維、不織布、布等、またはこれらに検出用物質結合用の
活性基の有るものが好ましく、特に多孔性ニトロセルロ
ース膜および活性化ナイロン膜が好ましい。
【0060】クロマト材(g)への検出用物質の固定化
の形状は、特に限定されるものではなく、いかなる形状
であってもよいが、クロマト先端部に対し、標識物質の
検出が均一となるクロマト材(g)を横断した線形が特
に好ましい。
【0061】なお、クロマト材(g)は、検出用物質を
固定化後、不活性蛋白による処理等により非特異的吸着
防止処理をして用いるのが好ましい。
【0062】吸収部(D) 吸収部(D)は、添加された試料がクロマト移動により
物理的に吸収されると共に検出部(C)に不溶化されな
い未反応標識物質等を吸収除去する部位であり、セルロ
ース濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性
材料が用いられる。
【0063】添加された試料のクロマト先端部が吸収部
(D)に届いてからのクロマトの速度は、吸収材の材
質、大きさなどにより異なるので、その選定により分析
対象物の測定に合った速度を設定することができる。
【0064】以上、本発明の半定量装置の各部位の基本
的構成について説明したが、装置の製造に際し各部の材
質、大きさ、厚さ等のファクターによりクロマト速度
(液の流れ速度)が異なる。従って、分析対象物の種類
に応じて最も好適に半定量が行ない得るようにこれらの
ファクターは、自由に選択し設定できる。
【0065】本発明の半定量装置によって半定量を精度
よく行う上で最も重要なことは、試料中の分析対象物と
標識物質が同期してクロマト移動し、両者が各検出部
(C1〜Cn)に同時に到達し、競合反応を行うことであ
る。すなわち、標識物質存在部(B)からの標識物質の
溶出が遅く、分析対象物のみが先に各検出部(C1
n)に到達し、検出用物質と反応した後に標識物質が
検出部(C1〜Cn)に到達すると、本発明の測定原理で
ある分析対象物ハプテン及び標識物質が検出用物質と競
合反応が不完全となり、アッセイ結果は不確実なものと
なる。
【0066】そこで、本発明の装置のより好ましい態様
である、標識物質存在部(B)を標識物質を含有する部
材(以下、標識物質含有部材(b)という)の上に標識
物質含有部材と同等又はそれ以上の目の粗さをもつ素材
からなる部材(以下、標識物質溶出促進部材(i)とい
う)を積層する構成とすることにより、標識物質の溶出
を促進させ、試料中の分析対象物と標識物質を同期させ
てクロマト移動させることができる。
【0067】上記の本発明の装置のより好ましい態様を
図2に示した。図2に従って本発明の装置のより好まし
い態様について説明する。なお、図2において、特徴部
分は標識物質存在部(B)の構成であり、その他基本的
な構成については上記図1に即して説明した通りであ
る。
【0068】本発明の標識物質含有部材(b)とは、標
識物質がクロマト移動しうる状態で保持されている部材
をいい、保持されている標識物質は、分析対象物を含む
試料溶液により溶出して標識物質含有部材(b)からク
ロマト材(g)へ移動し、分析対象物とともに検出部
(C)へ移動する。
【0069】本発明の標識物質溶出促進部材(i)と
は、試料添加部(A)に添加された分析対象物を含む試
料溶液が毛細管現象により標識物質存在部(B)を構成
する標識物質含有部材(b)に移行するのを助け、標識
物質含有部材(b)に含浸されている乾燥状態の標識物
質の溶出速度を高め、標識物質がクロマト移動可能な状
態になるのを速めて分析対象物と標識物質が同期してク
ロマト移動することを助ける働きを有するものであり、
標識物質含有部材(b)と同一の素材又はそれより目の
粗い素材からなる。
【0070】標識物質溶出促進部材(i)は、濾材の目
の粗さを表す規格である平均流孔径(mean flo
w pore size)で、10μm以上の素材が好
ましく、より好ましくは30〜50μmの素材である。
上記範囲の平均流孔径をもつ素材としては、ボロシリケ
ート・グラスファイバー、織布、不織布等が好ましく、
特にボロシリケート・グラスファイバー等が好ましく、
特にボロシリケート・グラスファイバーが好ましい。
【0071】標識物質溶出促進部材(i)の素材は、標
識物質含有部材(b)の素材よりも平均流孔径が大きい
(目が粗い)ものを用いる方が好ましい。その理由は、
積層された標識物質溶出促進部材に試料が均一かつ速や
かに浸透することにより、試料による「標識物質溶出促
進部材」→「標識物質含有部材」→「クロマト材」の流
れが促進され、標識物質含有部材から標識物質存在部
(B)物質の再溶解→クロマト移動が速まるためと考え
られる。
【0072】標識物質溶出促進部材(i)と標識物質含
有部材(b)の素材の組み合わせとしては、グラスファ
イバーとセルロース濾紙又はガラス繊維濾紙が好まし
い。
【0073】また、標識物質含有部材(b)と標識物質
溶出促進部材(i)は同一の素材からなっていてもよ
く、この場合は、両者共にグラスファイバー、織布又は
不織布等が好ましく、両者共にボロシリケート・グラス
ファイバーであることが特に好ましい。
【0074】なお、標識物質存在部(B)を上記構成と
する場合には、標識物質含有部材(b)は、クロマト材
(g)の平均流孔径が小さい場合は、標識物質溶出促進
部材(i)の効果が小さいので、クロマト材(g)とは
異なる素材を用いるのが好ましい。
【0075】標識物質溶出促進部材(i)を構成する素
材は、分析対象物及び標識物質が非特異的吸着するのを
防止する処理をした後、乾燥させて作成する。
【0076】本態様において用いられる標識物質含有部
材(b)を構成する素材は、前述の標識物質溶出促進部
材(i)と同一又は異なる素材を用いることができ、そ
の素材としては、例えば、グラスファイバー、セルロー
ス濾紙、ガラス繊維濾紙、不織布等が挙げられ、標識物
質含有部材(b)と標識物質溶出促進部材(i)の素材
の好ましい組み合わせについては前述の通りである。
【0077】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。
【0078】実施例1:尿中エストロゲンの半定量測定1−a)エストリオール−16−グルクロナイド−BS
Aの製造 エストリオール−16−グルクロナイド(以下、E3
6Gという)(帝国臓器製薬社製)40mgをジメチル
ホルムアミド1.0mlに溶解し、これに4℃以下でト
リ−n−ブチルアミン20.6μlを添加した後、イソ
ブチルクロロカーボネート11.2μlを加え30分間
撹拌した。これに予めウシ血清アルブミン(以下、BS
Aという)(バイオセル社製)117mgを2.8ml
の水に溶解したものに1NNaOH溶液150μlを加
えた後、ジメチルホルムアミド2.0mlを加え、8℃
に保たれた液を混合した。次いで、これを8℃で撹拌
し、1時間後に1NNaOH溶液16.6μlを加え、
さらに3.5時間撹拌した後、セファデックスG−25
で未反応のE316G及びトリ−n−ブチルアミン等の
低分子試薬を除去した。さらにこれを透析(精製水に対
し)した後、凍結乾燥すると、エストリオール−16−
グルクロナイド−BSA(以下、E316G−BSAと
いう)が得られた。この抗原の凍乾末につてのコーベル
反応により、BSA1モル当たりE316G27〜30
モルの結合が確認された。
【0079】1−b)抗E316Gモノクローナル抗体
の製造 上記1−a)で製造したE316G−BSA25μgを
完全フロインドアジュバントとともにBALB/Cマウ
ス(6〜8週令)に3週間おきに皮下投与し、最後に5
0μgを静脈注射した。
【0080】最終免疫から3日後にマウスの脾臓を摘出
して、脾細胞を採取し、デルベコのモディファイド最少
基本培地(以下、D'MEMという)で3回洗浄した
後、細胞数を算定して、その2×103個をマウスミエ
ローマ細胞P3−NS−1/1−Ag4−1(以下、N
S−1という)1×107個と混合して遠心し細胞を集
めた。このペレットに37℃に温めておいたポリエチレ
ングリコール溶液(PEG−100:4.25%、DM
SO:1.5%含有D'MEM)を1ml加え、1分間
遠心管をゆっくり回転させて細胞融合を行った。37℃
のD'MEMを30秒毎に2mlずつ10回加えた後遠
心分離し、ペレットを20%ウシ胎児血清含有RPMI
−1640培地でNS−1として5×104個/0.2
mlとなるように懸濁し、96ウエルマイクロプレート
に0.2mlずつ分注し、5%CO2培養器で培養し
た。24時間後各ウエルの上清の半量を捨て、HAT培
地(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン、10
%ウシ胎児血清含有RPMI−1640培地)を0.1
ml加え、その後3〜4日毎に半量をHAT培地交換を
行いながら2週間培養した後、増殖したウエル中の培養
上清の抗体活性を測定した。
【0081】活性の認められたウエルの細胞をBALB
/Cマウス胸腺細胞を含む10%ウシ胎児血清含有RP
MI−1640培地で希釈し、限界希釈法によりスクリ
ーニングを行って10株のモノクローナル抗体産生融合
細胞を得た。各2×106個以上の細胞をプリスタン
0.5mlを予め投与したBALB/Cマウスに腹腔内
投与し、腹水腫瘍を作らせて腹水を得た。この腹水を硫
安分画及びアフイゲル−プロテインAマプスキットによ
り精製し、凍結乾燥して白色粉末の抗E316Gモノク
ローナル抗体を得た。
【0082】1−c)E316G−RSAの製造 上記1−a)と同様の方法でE316Gとウサギ血清ア
ルブミン(以下、RSAという)(マイルス社製)を用
いて、E316G−RSAを製造した。
【0083】1−d)金コロイド標識E316G−RS
Aの製造 1−c)で作製したE316G−RSAを精製水に溶解
して2mg/ml溶液を調製した。コロイド金溶液(金
コロイド粒径10nm、アマシャム社製)8.0mlに
0.2MK2CO330μlを加えてpH7.6に調整し
たのち、E316G−RSA溶液100μlを添加し、
室温で10分間撹拌後0.1%PEG6000溶液を4
0μl加え、10分間撹拌した後、15000rpm、
4℃、60分間遠心分離した。得られた沈殿に0.3%
BSA、0.25%PEG6000含有0.1M Tr
is緩衝液(pH7.6)を4.0ml添加して均一に
懸濁させた後、15000rpm、60分間遠心分離を
行ない、同様な洗浄操作を2回くり返した後、得られた
沈殿に0.3%BSA、0.25%PEG6000、4
%シュークロース、0.1%NaN3含有0.1M T
ris緩衝液(pH7.6)0.8mlを加えて均一に
懸濁させて金コロイド標識E316G−RSA溶液を
得、標識物質存在部(B)の作製まで4℃に保存した。
【0084】1−e)試料添加部(A)の製造 クロマトグラフィー用濾紙(アドバンテック東洋社製、
No.585、厚さ0.85mm)をカットして10×
50mmの濾紙片を作製し、これを、5%脱脂粉乳(全
国酪農連合会)含有0.1Mトリス緩衝液(pH8.
2)溶液に浸漬して37℃1時間インキュベーション
後、0.1Mトリス緩衝液(pH8.2)にて1回洗浄
後、5%BSA(バイオセル社製)含有0.1Mトリス
緩衝液(pH8.2)に浸漬した。37℃、1時間イン
キュベーション後、0.1%BSA0.1Mトリス緩衝
液(pH8.2)にて1回洗浄、液切り後、0.05%
ツイーン20、0.1%BSA、1%シュークロース含
有0.1Mトリス緩衝液に浸した後、液切りして凍結乾
燥を行い、試料添加部(A)を構成する部材(a)とし
て用いた。
【0085】1−f)標識物質存在部(B)の製造 (f−1)標識物質溶出促進部材(i)の調製 ボロシリケートグラスファイバー(Borosilic
ate GlassFiber、平均流孔径:39μ
m)(LYPORE、Grade9254、Lydal
l社製)をカットして10×50mmの短冊とし、これ
を10%脱脂粉乳含有0.1Mトリス緩衝液(pH8.
2)に浸漬して37℃、90分間インキュベーション
後、0.1Mトリス緩衝液(pH8.2)にて2回洗浄
後、5%BSA含有0.1Mトリス緩衝液(pH8.
2)に浸漬した。37℃、1時間インキュベーション
後、0.1%BSA含有0.1Mトリス緩衝液(pH
8.2)に浸した後、液切りして室温で乾燥させ、標識
物質溶出促進部材(i)及び標識物質含有部材(b)を
調製するたもの部材として用いた。
【0086】(f−2)標識物質含有部材(b)の調製 1−d)で作製した金コロイド標識E316G−RSA
溶液を同量の30%シュークロース含有0.1%NaN
3溶液で希釈し、10×20mmの上記(f−1)で得
られた部材に120μlをしみ込ませて凍結乾燥を行な
い、標識物質含有部材(b)を作製した。これを半定量
装置作製時に5×2mmに切断し、5×5mmの標識物
質溶出促進部材(i)2枚にて上下から挟んで使用した
(1−h)。
【0087】1−g)検出部(C)の製造 ニトロセルロース膜(クロマト材(g))(ザルトリウ
ス社製、孔径8μm)を30×100mmの大きさに切
断し、カマグ・リノマット(Cammg Linoma
t)IVを用いて1−b)で作製した抗E316Gモノ
クローナル抗体の0.15、0.2、0.3及び0.4
mg/ml溶液(50μg/mlBSA含有50mMト
リス緩衝液、pH8.2)の各10μlを一端から1
2、14、16及び18mmの位置に順次線型にスプレ
イ後、25℃、湿度80%の恒温恒湿器中に25分間放
置し、次いで0.1Mトリス緩衝液(pH8.2)に5
%脱脂粉乳(全国酪農連合会)を溶解した溶液、次いで
5%BSA溶液に浸漬してブロッキングした後、1%サ
ッカロース、1%マンニトール含有0.1Mトリス緩衝
液にて洗浄し、室温に放置して乾燥させ、4つの検出部
位を含む検出部(C)とした。
【0088】1−h)半定量装置の製造 1−g)で製造した検出部(C)を含むニトロセルロー
ス膜の幅100mmを5mm幅で切断して5×30mm
の短冊状とした(以下、検出部(C)の抗体低濃度固定
側を上流と呼ぶ)。また1−e)で製造した試料添加部
(A)用濾紙片も切断して8×10mmの短冊を作製し
た。
【0089】図2のa)に示すように、支持体(e)で
あるプラスチック板に両面粘着テープ(f)を貼り、図
中のイ)、ロ)部に粘着面を露出させた。イ)部のクロ
マト材(g)接触部側に1−h)で製造した標識物質溶
出促進部材(i)(5×5mm)を貼り、次に上記1−
g)で製造した検出部(C)を含むニトロセルロース膜
の短冊(クロマト材(g))(5×10mm)の上流側
が標識物質溶出促進部材(i)と2mm重なるようにプ
ラスチック板(E)の上にのせた。さらにそのクロマト
材(g)の上流端が1−h)で製造した標識物質含有部
材(b)(5×2mm)と1mmの重なりをもつように
標識物質含有部材(b)をクロマト材(g)の上にの
せ、標識物質含有部材(b)を挟むようにもう1枚の標
識物質溶出促進部材(i)をのせ、その上に上記試料添
加部(A)の短冊状濾紙片(8×10mm)をのせて前
記両面粘着テープ(f)の粘着部イ)で固定した(図2
のd)。
【0090】最後にクロマトグラフィー用濾紙(アドバ
ンテック東洋社製、No.585)の8×15mm濾紙
片を吸収部(D)として、検出部(C)のニトロセルロ
ース膜(クロマト材(g))の短冊の下流端から3mm
の重なりをもって両面粘着テープ(f)のロ)部の粘着
面に固定した。
【0091】1−i)測定 (i−1)男子尿による測定 E316Gをエストリオール換算で0、12.5、2
5、50及び100ng/mlの各濃度になるように男
子尿に溶解させて試料を調製した。この試料について1
−h)で作製した半定量装置の試料添加部(A)に各濃
度の飼料100μlずつを添加して試験を行った。
【0092】試料中のエストリオールは試料により溶解
された金コロイド標識E316G−RSAと共にクロマ
ト移動により検出部(C)へ移動して順次上流から下流
の固定化抗E316Gモノクローナル抗体と競合的に反
応し、未反応標識物質が吸収部(D)に移動後、検出部
(C)における呈色バンドを観察した。
【0093】本装置における検出感度は、標識物質存在
部(B)における金コロイド標識E316G−RSAの
保持量と検出部(C)に固定化された各抗E316Gモ
ノクローナル抗体とにより、両者の反応が最上流の検出
部では12.5ng/ml、以下順次下流の検出部では
25、50、100ng/mlのエストリオールにより
阻止できるように設定した。
【0094】表1に本定量測定の結果を示す。表1中、
(a)欄には検出部における呈色バンドの数、(b)欄
にはバンドの形成が認められた場合を(+)、認められ
なかった場合を(−)と表示した判定パターンを示し
た。
【0095】
【表1】
【0096】表1の結果から、各試料について設定した
検出感度通りの半定量結果(パターン)が得られたこと
がわかる。また、試料添加からアッセイ終了までの時間
は、およそ3分であった。その後、放置しておいても判
定パターンには全く変化は見られなかった。
【0097】(i−2)婦人尿による測定 次に月経周期の各時期に採尿した正常婦人尿各3例につ
いて表2(a)欄に観察された呈色バンドの数、(b)
欄に呈色バンドが形成された場合を(+)、形成されな
かったばあいを(−)と表示した判定パターン、(c)
欄に本法による半定量値、(d)欄にラジオイムノアッ
セイ(RIA)による定量値を示した。
【表2】
【0098】表2の結果から、本法による半定量値はR
IAによる定量値とよく一致していることがわかる。婦
人尿を試料とする上記半定量も(i−1)の男子尿の場
合と同様に測定時間は3分であり、その後放置しても判
定パターンに変化は見られなかった。
【0099】実施例2:尿中プレグナンジオール半定量
測定2−a)プレグナンジオール−3−グルクロナイド−B
SAの製造 プレグナンジオール−3−グルクロナイド(以下、P−
diol 3Gという)とBSAを用いて実施例1の1
−a)と同様の方法でP−diol 3G−BSAを製
造した。
【0100】2−b)抗P−diol 3Gモノクロー
ナル抗体の製造 上記2−a)で製造したP−diol 3G−BSAを
用い、実施例1の1−b)と同様な方法で4株の抗P−
diol 3G抗体産生融合細胞株を得た。モノクロー
ナル抗体は、2×106個の細胞を予めプリスタンを
0.5ml腹腔内投与したBALB/Cマウスの腹腔に
移植して腹水を採取し、この腹水をP−diol 3G
−BSAと結合させたセファロース4B(ファルマシア
社製)を用いたアフィニティークロマトグラフィーによ
り精製し、抗P−diol 3Gモノクローナル抗体を
得た。
【0101】2−c)プレグナンジオール−3−グルク
ロナイド結合ビニルメチルエーテル無水マレイン酸共重
合体の製造 (c−1)P−diol 3G−リジン誘導体の製造 P−diol 3G99mg、p−ベンジルオキシカル
ボニルリジンメチルエステル・トルエンスルホン酸塩1
40mgをDMF12mlに溶かし、氷冷下撹拌しつつ
ジフェニルホスホリルアジド65mg、ついでトリエチ
ルアミン0.056mlを加えたのち、実施例1の1−
b)と同様にして下記構造式
【化1】 で表わされる目的のP−diol 3G−リジン誘導体
100mg(対理論収率58%)を得た。
【0102】(c−2)P−diol 3G結合ビニル
メチルエーテル無水マレイン酸共重合体 の製
造 上記(c−1)で得たP−diol 3G−リジン誘導
体38mgをメタノール3mlに溶かし、パラジウム黒
10mgを加え、常温常圧で水蒸気流中で撹拌する。2
時間で反応を終了し触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮し、
残渣にジエチルエーテルを加えて目的物26.6mgを
粉末として得た。この生成物をビニルメチルエーテル無
水マレイン酸共重合体(以下、PVMMAという)10
0mgとともにDMF(ジメチルホルムアミド)6ml
に加温溶解したのち、DCC(ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド)4mgを加え、室温で4日間放置した。反応
液を透析し、プレグナンジオール含量0.46mg/m
l(硫酸発色による定量)のP−diol 3G結合ビ
ニルメチルエーテル無水マレイン酸共重合体(以下、P
−diol 3G PVMMAという)の溶液30ml
を得た。
【0103】2−d)着色ラテックス標識P−diol
3G PVMMAの製造 赤色アミノ化ポリスチレンラテックス(固形分10%、
日本合成ゴム社製、粒径0.37μm)0.5mlに
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)・精製水
(1:1)で調製した10%トリエチルアミン溶液12
mlを加えて懸濁させ、15分撹拌後、遠心分離した。
沈殿をDMF・水(1:1)10mlで2回、精製水1
0mlで1回遠心洗浄後、精製水0.5mlに懸濁さ
せ、2−c)で製造したP−diol 3G PVMMA
の溶液0.63ml(プレグナンジオール0.29mg
相当)に1mlの精製水を加えて混合し、次いで1−エ
チル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイ
ミド塩酸塩7.5mgを加え、撹拌下、一夜反応を行っ
た。反応終了後、遠心分離して得た沈殿をグリシン緩衝
液10mlで3回遠心洗浄を繰返した後、30%サッカ
ロース、0.1%ヤギ血清アルブミン(以下、GSAと
いう)(マイルス社製)含有グリシン緩衝液10mlに
懸濁し、P−diol 3G PVMMA結合着色ラテッ
クスを製造した。
【0104】2−e)試料添加部(A)の製造 クロマトグラフ用濾紙(アドバンテック東洋社製、N
o.526)をカットして10×50mmの濾紙片を作
製し、実施例1−e)と同様の方法により試料添加部
(A)を製造した。
【0105】2−f)標識物質存在部(B)の製造 (f−1)標識物質含有部材(b)を製造するための部
材及び標識物質溶出促進部材(i)の製造 ボロシリケート・グラスファイバー濾紙(Borosi
licate Glass Fiber、平均流孔径:
35μm)(LYPORE、Grade9818、Ly
dall社製)をカットして10×50mmの短冊と
し、実施例1−f)と同様の方法により処理して標識物
質含有部材(b)を製造するたもの部材及び標識物質溶
出促進部材(i)とした。
【0106】(f−2)標識物質含有部材(b)の製造 2−d)で作製した着色ラテックス標識P−diol
3G PVMMA懸濁液を10×20mmにカットした
上記(f−1)で得た標識物質含有部材(b)を製造す
るたもの部材に120μl含浸させ、室温にて乾燥させ
た。これを半定量装置作製時に5×2mmにカットして
標識物質含有部材(b)とし、5×5mmの標識物質溶
出促進部材(i)を積層させて使用した(2−h)。
【0107】2−g)検出部(C)の製造 ニトロセルロース膜(cellulose nitra
te on Mylar、孔径8μm、ザリトリウス社
製)を30×100mmの大きさに切断し、カマグ・リ
ノマットIVを用いて2−b)で作製した抗P−dia
l 3Gモノクローナル抗体の0.5、1.0、1.5
及び3mg/ml溶液(50μg/mlBSA含有50
mMトリス緩衝液、pH8.2)の各10μlを一端か
ら12、14、16及び18mmの位置に順次線型にス
プレイ後、実施例1−g)と同様の方法で処理して4段
階の検出感度の検出部位を有する検出部(C)を作製し
た。
【0108】なお、ここで使用したニトロセルロース膜
(cellulose nitrate on Myl
ar)とは、プラスチック板上で直接ニトロセルロース
繊維膜を一体成形したものである。これを使用すること
により、試料溶液による濡れによってクロマト材の膨張
によるが歪みを防止することができる。
【0109】2−h)半定量装置の製造 2−g)で製造した検出部(C)を含む幅100mmの
ニトロセルロース膜(クロマト材(g))を5mm幅に
切断して5×30mmの短冊状とし、2−e)で製造し
た試料添加部(A)用の濾紙片も切断して8×10mm
の短冊状とした。図2のb)に示すように、支持体
(e)であるプラスチック板の片側全面に両面粘着テー
プ(f)を貼り、その上に両面粘着テープ(f)の下流
端側12mmを残して検出部(C)を含むニトロセルロ
ース膜(クロマト材(g))の短冊(5×30mm)を
貼った(図2のb)において右側が上流端である)。次
いで、クロマト材(g)の上流端に接触して実施例2−
f)で製造した標識物質溶出促進部材(i)(5×5m
m)を貼り2−f)で製造した標識物質含有部材(b)
(5×2mm)の下流端がニトロセルロース膜(クロマ
ト材(g))の上流端と標識物質溶出促進部材(i)の
下流端とのそれぞれ1mmずつと重なるようにのせ、そ
の上にもう1枚の標識物質溶出促進部材(i)(5×5
mm)をのせ、さらにその上に試料添加部(A)用短冊
状濾紙片(8×10mm)をのせて両面粘着テープ
(f)の上流端側の粘着部で固定した。
【0110】最後にクロマトグラフィー用濾紙(アドバ
ンティック東洋社製、No.585)の8×15mmの
濾紙片を吸収部(D)として検出部(C)を含むニトロ
セルロース膜(クロマト材(g))の下流端に3mmの
重なりをもって両面粘着テープ(f)の下流端側の粘着
部で固定した(図2のc)。
【0111】2−i)測定 尿中プレグナンジオールの測定は、妊婦尿7例について
行った。2−h)で作製した半定量装置の各試料添加部
(A)に試料である妊婦尿をそれぞれ150μl添加し
て測定を行なった。この半定量測定では、検出感度を呈
色バンド4本で2.5μg/ml以下、3本で5μg/
ml、2本で10μg/ml、1本で20μg/ml及
び0本で40μg/ml以上と設定した。
【0112】結果を表3に示す。表3中、(a)欄に観
察された呈色バンドの数、(b)欄に呈色バンドが形成
された場合を(+)、形成されなかった場合を(−)と
表示した判定パターン、(c)欄に半定量値、及び
(d)欄にラジオイムノアッセイ(RIA)による試料
中のプレグナンジオールの定量値を示した。
【0113】
【表3】
【0114】表3の結果から、各妊婦尿のプレグナンジ
オールの半定量値は、RIAによる定量値とよく一致し
ていることがわかる。本実施例の半定量の測定時間は、
およそ3分であり、その後放置しておいても判定パター
ンに変化はなかった。
【0115】実施例3:標識物質存在部(B)の構成の
違いによる半定量性能(明瞭性、精度)の比較 標識物質存在部(B)の構成の違いによる半定量性能
(判定結果の明瞭性及び精度)の比較を実施例1のエス
トロゲン測定をモデルとして行った。本発明の標識物質
存在部(B)の構成は、図2のa)で示され、比較例で
ある、従来尿中ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(hCG)
などの定性イムノクロマトに用いられている標識物質存
在部(B)の構成は、図3のa)、b)、c)で示され
る。なお、試料添加部(A)、標識物質存在部(B)の
原材料(素材)による差を防ぐため、比較例の半定量装
置は実施例1と同一原材料(素材)を用い、構成のみを
図3のa)、b)、c)のように変えて行った。
【0116】エストロゲン濃度0、12.5、25、5
0及び100ng/mlの試料の反応パターンの経時的
推移と観察結果を表4に示した。
【0117】
【表4】
【0118】本発明の標識物質存在部(B)の構成で
は、試料添加後2分で呈色バンド形成の有無は明瞭とな
り、5分後においても判定パターンに全く変化は認めら
れなかったが、比較例の構成(図3のa、b、c)で
は、いずれも試料添加後2分では呈色バンド形成の有無
は不明瞭であり、経時的に呈色バンドは明瞭となってい
くが、本来呈色バンドが形成されないはずの検出部にお
いても、わずかな呈色バンドあるいは明瞭な呈色バンド
が認められた。上記の如く、本発明の装置の好ましい態
様による判定パターンは極めて明瞭であり、かつ精度の
高いものであった。
【0119】
【発明の効果】本発明の方法又は装置によって、分析対
象物ハプテンを含む試料を、簡易に、短時間で、かつ明
瞭に半定量を行なうことができる免疫化学的方法および
装置が提供された。
【0120】本発明の方法又は装置によって、いわゆる
スティック形式のハプテンの半定量方法及び装置が提供
された。
【0121】さらに、本発明の装置の好ましい態様によ
れば、分析対象物を含む試料と分析対象物を検出するた
めの標識物質を確実に同期してクロマト材上を移動させ
てより短時間に明瞭かつ確実なアッセイ結果を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半定量装置の基本的構成を示す図であ
る。
【図2】本発明の半定量装置の好ましい構成を示す図で
ある。
【図3】従来の半定量装置の標識物質存在部(B)の構
成を示す図である。
【符号の説明】
A:試料添加部 B:標識物質存在部 C:検出部 D:吸収部 a:試料添加部(A)を構成する部材 b:標識物質含有部材 d:吸収部(D)を構成する部材 e:支持体 f:両面粘着テープ f−イ)及びf−ロ):粘着部 g:クロマト材 i:標識物質溶出促進部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/532 G01N 33/532 A (56)参考文献 特開 平5−5743(JP,A) 特開 平4−351962(JP,A) 特開 平1−244370(JP,A) 特開 平5−312809(JP,A) 特開 平1−233369(JP,A) 特開 平2−138293(JP,A) 特表 平3−504166(JP,A) 国際公開93/03370(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 - 33/577

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロマト法によるハプテンを分析対象物と
    する免疫化学的簡易アッセイにおいて; (1)試料中の分析対象物と、(2)標識物質として標識され
    たハプテン−キャリア蛋白結合物またはハプテン若しく
    はその化学的変性物を化学的に結合せしめたカルボキシ
    ル基含有水溶性モノオレフィン系高分子化合物(以下、
    標識物質という)を、(3)上流から下流に順次高くなる
    濃度で、独立して、同一クロマト材上に固定化されて存
    在する分析対象物に対する抗体と、クロマト材の上流か
    ら下流に順次競合的に抗原−抗体反応させ、標識を指標
    として、試料中の分析対象物の濃度を決定することを特
    徴とする免疫化学的簡易半定量方法。
  2. 【請求項2】分析対象物ハプテンがエストロゲン又はプ
    レグナンジオールである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】分析対象物であるハプテンを含む試料を添
    加するための試料添加部(A)、標識物質がクロマト移
    動し得る状態で存在する標識物質存在部(B)、分析対
    象物に対する抗体が上流から下流に順次高くなる濃度
    で、独立して、同一クロマト材上に固定化されて存在す
    る複数の検出部(C〜C並びに添加された試料及
    び未反応の標識物質を吸収除去する吸収部(D)からな
    るイムノクロマト法による免疫化学的簡易半定量装置。
  4. 【請求項4】標識物質存在部(B)が標識物質を含有す
    る部材(以下、標識物質含有部材(b)という)の上に
    標識物質含有部材と同等又はそれ以上の目の粗さをもつ
    素材からなる部材(以下、標識物質溶出促進部材(i)
    という)を積層することを特徴とする請求項記載の装
    置。
  5. 【請求項5】標識物質含有部材(b)が標識物質溶出促
    進部材(i)に上下から挟まれてなることを特徴とする
    請求項記載の装置。
  6. 【請求項6】標識物質溶出促進部材(i)の平均流孔径
    が10μm以上である請求項記載の装置。
  7. 【請求項7】標識物質溶出促進部材(i)の平均流孔径
    が30〜50μmである請求項記載の装置。
  8. 【請求項8】標識物質含有部材(b)及び標識物質溶出
    促進部材(i)が同一の素材からなる請求項記載の装
    置。
  9. 【請求項9】標識物質含有部材(b)及び標識物質溶出
    促進部材(i)の素材が共にボロシリケート・グラスフ
    ァイバーである請求項記載の装置。
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