JP3506670B2 - 水系樹脂組成物 - Google Patents

水系樹脂組成物

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JP3506670B2 JP2000369226A JP2000369226A JP3506670B2 JP 3506670 B2 JP3506670 B2 JP 3506670B2 JP 2000369226 A JP2000369226 A JP 2000369226A JP 2000369226 A JP2000369226 A JP 2000369226A JP 3506670 B2 JP3506670 B2 JP 3506670B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本願発明は、揮発性有機化合物を意図的に
添加せずとも、低温造膜性や低温安定性に優れた水系樹
脂からなる塗料組成物を使用することにより、塗膜から
の室内への揮発性有機化合物の放散をなくし、更に、す
でに室内環境中に放散しているホルムアルデヒドや硫化
水素等の有害化学物質を吸着及び分解する能力のある、
室内環境対応型水系塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水系塗料組成物は乾燥過程において連続
膜を形成し、機能をもたらすが、水系塗料組成物の連続
膜形成条件として、塗装作業温度以上の最低造膜温度
(MFT)を有する水系塗料組成物は造膜不良により連
続膜が形成されず、十分な性能を発揮することができな
い。低温域での造膜性を十分達成させるためには、ベー
ス樹脂のTgを低くし、MFTを低温域に調整すること
で可能となるが、高硬度な膜物性が要求される場合に
は、Tgの高いベース樹脂を使用する必要が生ずる。こ
の場合には、造膜助剤として揮発性有機化合物を添加
し、目的とする膜を形成させる方法をとる場合がある。
【0003】また、水系塗料組成物は水媒体であるた
め、低温(0 ℃以下)領域で凍結する性質があり、さら
に寒冷地においては、マイナス温度領域での長期保管や
塗装作業条件が有るため、低温域での凍結防止や凍結融
解安定性を向上させる目的で、エチレングリコールやプ
ロピレングリコールのような揮発性有機化合物を意図的
に添加する方法が一般的であり、これら揮発性有機化合
物もまた環境、臭気等懸念される要因であることは勿論
である。このように、水系塗料組成物は溶剤系塗料組成
物と比べ、揮発性有機化合物を用いていない点が環境
的、衛生的に優れた特長であると言われるが、MFTの
制限や低温領域での安定性を保持するために揮発性有機
化合物の使用が避けられない場合が多く、環境、臭気等
の問題を完全に解決し得るものであると言うことはでき
ない。
【0004】一方、我々の身の回りでは、様々な新建材
が使われ日常生活において有用な役割をはたしている。
しかし最近になって、日本や欧米等の先進国ではこれら
が原因と考えられるアレルギーと共に新しいタイプの文
明病の一つとして化学物質過敏症が注目されている。ま
た、省エネルギーの観点から現在の建物は非常に気密性
が高く設計されており、室内に化学物質が長時間滞留し
た状態となり、汚染された室内空気に暴露されることに
よって生じる健康障害、所謂シックビル症候群がかなり
の頻度で見られるようになった。また最近、各種建材か
ら放出される色々な化学物質によって室内の汚染濃度
が、外気に比べて高いことが判って来た。上記の室内環
境下において、室内を構成する建材を観察すると、今日
においては、合板を建材として使うことが一層増えてき
ているが、合板、床材の接着剤から、ホルムアルデヒ
ド、トルエン、キシレン等の有機化合物が室内に放出さ
れる場合がある。これらは人間に対しても強い神経毒性
を示す。また、壁紙の接着剤からもホルムアルデヒドが
放出される場合がある。これらの有害化学物質が我々の
生活環境の中に徐々に入り込み、アトピーやアレルギー
症状等を惹き起こしている原因になっているとも言われ
ており、一般人の知らないところで進むこれらの生活環
境の悪化は、まことに憂慮すべき事態に到っていると考
えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記事情に鑑み、本願
発明の目的は、揮発性有機化合物を意図的に添加せずと
も従来の水系塗料組成物の性能に匹敵する低温安定性、
低温造膜性を有する水系塗料組成物であり、該塗料塗装
時に室内への揮発性有機化合物の放散を限りなく零にす
ることができ、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物
を含んだ各種建材や家具等への塗装により、これら有害
化学物質を吸着さらに分解する能力を備え、既に放散し
ている有害化学物質をも吸着、分解せんとする塗料組成
物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記の事情
に鑑み鋭意研究した結果、特定の二層構造水系樹脂組成
物であって、揮発性有機化合物を意図的に添加せずとも
低温造膜性及び低温安定性を備える水系樹脂組成物に対
して、ホルムアルデヒドや硫化水素等の有害化学物質を
吸着する能力のある添加剤と、有害化学物質を分解する
能力のある添加剤とを配合したことを特徴とする室内環
境対応型水系塗料組成物を完成させ、上記の課題を解決
することができたものである。
【0007】ここで、低温造膜性を有するとは、最低造
膜温度(MFT)が、塗装作業環境温度以下を示すもの
で、寒冷地を想定して好ましくは10℃以下、より好ま
しくは5 ℃以下の温度を意味する。 また、低温安定性
を有するとは、寒冷地で特に屋外の低温環境に放置さ
れ、塗料組成物が凍結した後、最低造膜温度(MFT)
に温度を上昇させた状態で、塗膜が形成されることを意
味する。
【0008】特に、特定の二層構造水系樹脂組成物であ
って、揮発性有機化合物を意図的に添加せずとも低温造
膜性や凍結安定性に優れる水系塗料組成物が得られるこ
とを見いだし、更に、有害化学物質を物理的に吸着する
能力のある活性炭、シリカ、ゼオライト、アルミニウム
シリケート、珪藻土等の多孔質顔料や、化学的に吸着す
る能力のあるリン酸系化合物、アミン系化合物等の添加
剤と、二酸化チタンや酸化亜鉛等の、有害化学物質を分
解する能力のある添加剤とを併用することにより、有害
化学物質を吸着及び分解する能力のある、室内環境対応
型水系塗料組成物の発明を完成するに至ったものであ
る。
【0009】本願目的に最も適する水系樹脂組成物は、
後述するが、特に、2層構造のエマルションであって、
2層構造の組成は内層部/外層部ともにビニル系重合体
成分により構成されるもの、または、内層部にビニル系
重合体成分、外層部にウレタン系重合体成分により構成
されるものが挙げられる。
【0010】ホルムアルデヒドや硫化水素等の有害化学
物質を吸着する能力のある添加剤としては、物理吸着
能、化学吸着能等、吸着のメカニズムを特に限定するも
のではなく、有害化学物質を吸着し得る添加剤を選択し
て用いることができる。物理吸着能を有する添加剤とし
ては、活性炭、シリカ、アルミニウムシリケート、珪藻
土等の多孔質の体質顔料を例示し得る。化学吸着能を有
する添加剤としては、リン酸アルミニウム、リン酸チタ
ン、トリポリリン酸二水素アルミニウム等のリン酸系化
合物や、ヒドラジン誘導体等のアミン系化合物等々、種
々の吸着剤を用いることができる。また、化学吸着能を
有する化合物を、物理吸着能を有する多孔質体に添着す
ることもできる。
【0011】ホルムアルデヒドや硫化水素等の有害化学
物質を分解する能力のある添加剤としては、二酸化チタ
ンや酸化亜鉛等の光触媒活性を有するものを例示し得
る。これらは、光(紫外線)エネルギーにより活性化さ
れて強い酸化力を生じ、これに接する有機物や上記有害
化学物質等を酸化分解するものであり、太陽光のみなら
ず、蛍光灯などの微弱な紫外線によっても、触媒活性が
発揮されるものが望ましい。
【0012】上記の有害化学物質を吸着する能力のある
添加剤によって、各種新建材や家具等から室内へ放散せ
んとしたり、既に放散しているホルムアルデヒド等の有
害化学物質を吸着すると共に、有害化学物質を分解する
能力のある添加剤によって、吸着した有害化学物質を分
解することができる。両添加剤は、それぞれ別々に配合
することもできるが、両者を複合一体化させて外観上単
一の添加剤として配合することもできる。特に、上記の
光触媒活性を有する化合物を、物理吸着能を有する多孔
質の添加剤に添着させることにより、吸着と分解の機能
を有効に発揮させることができる。即ち、酸化亜鉛、酸
化チタン等の有害物質除去剤を添着した活性炭、セピオ
ライト、ゼオライト等の粉状或いはシリカ、アルミニウ
ムシリケート等の微粒子状多孔質体を用いることによっ
て、有害化学物質を吸着及び分解して、室内に放散して
いるホルムアルデヒドなどの有害物質を削減することが
可能である。
【0013】より望ましくは、セピオライト(珪酸マグ
ネシウム系の層状結晶をした鉱物)や活性炭にヒドラジ
ン誘導体等のアミン系化合物を添着させ、アルデヒド類
を化学反応によって固定化する無機鉱物系の有害物除去
剤、またはゼオライトに超微粒子の酸化チタンを添着さ
せて、太陽光や蛍光灯の光で低級アルデヒド類を分解す
る機能を持った無機鉱物系の有害物除去剤等を例示し得
る。また、チタン、亜鉛、リンの複合体からなる光触媒
型無機系吸着分解剤、例えば「セブントール」を例示し
得る。また、多孔質なシリカ層でコーティング処理し
た、特開平9−31335号公報に製造方法が例示され
ている多孔質シリカコーティング二酸化チタン光触媒、
例えば「STE−01」、「タイノック」を用いてもよ
い。また、シリカからなる多孔質マイクロカプセルにア
ナターゼ型超微粒子酸化チタン光触媒を内包させた光触
媒酸化チタン内包マイクロカプセル、例えば「ゴットボ
ール」等を使用することができる。これらは、単独でま
たは併用して用い、放散した有害物質を効率よく削減す
ることが可能である。
【0014】本願発明の塗料組成物は、上記有害物除去
剤のほか、例えば酸化チタン、ベンガラ、グラファイ
ト、コバルトグリーン、マンガンブルー等の着色顔料及
び例えば炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、
カオリン、石膏、マイカ、コロイダルシリカ、シリカゲ
ルアルミニウム、フレーク、MIOなどの体質顔料も加
えることができ、さらに、本願発明の塗料組成物には、
通常の塗料に使用されている増粘剤、消泡剤等の添加剤
を用いることができるが、使用に当たっては揮発性有機
化合物を含まない添加剤を選定することが望ましい。
【0015】次に、前述の特定の水系樹脂組成物として
は、2層構造のビニル系ウレタンエマルションであっ
て、外層部にウレタン樹脂成分、内層部にビニル系重合
物成分の構造を有し、外層部のウレタン樹脂成分にはア
ニオン性及びノニオン性の親水性を示す部位を持ったも
のであり、ウレタン樹脂成分またはビニル重合体成分の
少なくとも何れか一方に水酸基を持つものである。
【0016】特に、請求項1に記載のように、外層部に
乳化能を有するポリウレタン樹脂成分、内層部にビニル
系重合物成分の構造を有する2層構造水系樹脂組成物で
あって、外層部のポリウレタン樹脂成分と内層部のビニ
ル系重合物成分との少なくとも何れか一方が水酸基を持
つものであることを特徴とする2層構造水系樹脂組成物
を挙げることができる。また、請求項2に記載のよう
に、外層部に乳化能を有するポリウレタン樹脂成分、内
層部にビニル系重合物成分の構造を有する2層構造水系
樹脂組成物であって、外層部のポリウレタン樹脂成分が
ノニオンおよびアニオン性の親水性部位を持つものであ
ることを特徴とする2層構造水系樹脂組成物を挙げるこ
とができる。さらにまた、請求項3に記載のように、
層部に乳化能を有するポリウレタン樹脂成分、内層部に
ビニル系重合物成分の構造を有する2層構造水系樹脂組
成物であって、外層部のポリウレタン樹脂成分と内層部
のビニル系重合物成分との少なくとも何れか一方が水酸
基を持つものであり、且つ、外層部のポリウレタン樹脂
成分がノニオンおよびアニオン性の親水性部位を持つも
のであることを特徴とする2層構造水系樹脂組成物を挙
げることができる。また、請求項6に記載のように、
層部のポリウレタン樹脂成分は、1分子中に2個の水酸
基と少なくとも1個以上の親水性基を含むグリコール成
分(1)と、イソシアネートと反応しうる官能基を有す
る重合性ビニル単量体(2)をイソシアネート(3)と
反応させて得られた乳化能を有する重合性ポリウレタン
樹脂(4)であり、内層部のビニル系重合物成分は重合
性ビニル単量体(5)を上記の重合性ポリウレタン樹脂
(4)と水中で重合させたものであることを特徴とする
ものが好ましく、あるいは、請求項7に記載のように、
外層部のポリウレタン樹脂成分は、1分子中に2個の水
酸基と少なくとも1個以上の親水性基を含むグリコール
成分(1)及び親水性を示さないイソシアネートと反応
しうるグリコール成分(1a)と、イソシアネートと反
応しうる官能基を有する重合性ビニル単量体(2)をイ
ソシアネート(3)と反応させて得られた乳化能を有す
るポリウレタン樹脂(4)であり、内層部のビニル系重
合物成分は、重合性ビニル単量体(5)を上記の重合性
ポリウレタン樹脂(4)と水中で重合させたものである
ことが好ましい。 さらに、1分子中に2個の水酸基と少
なくとも1個以上の親水性基を含むグリコール成分
(1)の親水性基は、カルボキシル基、スルホン酸基の
ような後で中和により親水性をもたらすイオン性基及び
/又はポリオキシエチレン鎖のような非イオン性の親水
性基であること。乳化能を有する重合性ポリウレタン樹
脂(4)100重量部に対する重合性ビニル単量体
(5)の重量比が100〜3000重量部であること、
グリコール成分(1)とジイソシアネート化合物(3)
とをOH基/NCO基=1.0/1.2〜1.0/2.
0の範囲内で反応させ、得られたポリウレタン樹脂末端
のイソシアネートをイソシアネートと反応しうる官能基
を有する重合性ビニル単量体(2)と反応させ、ポリウ
レタン樹脂1分子中に0.5〜1.5分子の重合性ビニ
ル基を導入した乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂
(4)を重合性ビニル単量体(5)と水中で重合させて
得られたものであることが好ましい。
【0017】上記態様に係る水系樹脂組成物は、1分子
中に2個の水酸基と少なくとも1個以上の親水性基を含
むグリコール成分(1)を必須の成分として含有するグ
リコール成分と、イソシアネートと反応しうる官能基を
有する重合性ビニル単量体(2)をイソシアネート
(3)と反応させて乳化能を有する重合性ポリウレタン
樹脂(4)を得、この重合性ポリウレタン樹脂(4)を
重合性ビニル単量体(5)と水中で重合させることによ
り水系樹脂組成物を製造するに際して、重合性ポリウレ
タン樹脂(4)と重合性ビニル単量体(5)との少なく
ともいずれか一方に水酸基を導入しておくと共に、重合
性ポリウレタン樹脂(4)がノニオンおよびアニオン性
の親水性部位を持つものとしておくことを特徴とする水
系樹脂組成物の製造方法により、製造することが出来
る。
【0018】より詳しくは、上記の乳化能を有する重合
性ポリウレタン樹脂(4)の合成方法はイソシアネート
と反応しうる官能基を有した化合物との反応により合成
できる。ここでポリウレタン樹脂とあるが、水酸基とイ
ソシアネートとの反応ではウレタン結合を形成するが、
実質上イソシアネートと反応しうるアミンのようなその
他の活性水素含有の化合物との反応を含んだ場合も、本
願発明においてはポリウレタン樹脂と総称している。
【0019】乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂
(4)の合成方法としては、例えば、カルボキシル基、
スルホン酸基、ポリエチレングリコール等の親水性を示
すグリコール(1)とジイソシアネート化合物(3)と
を反応させた後、イソシアネートと反応しうる官能基を
有する重合性ビニル単量体(2)をイソシアネートとの
反応にて導入し、片末端イソシアネート基をグリコール
またはモノオール成分で停止させることにより合成で
き、後述する重合性ビニル単量体(5)をプレエマルシ
ョン化でき、或いは、重合性ポリウレタン樹脂(4)と
重合性ビニル単量体(5)の混合物を水中に分散するこ
とができるものである。特に、請求項6以降の発明によ
れば、後述する重合性ビニル単量体(5)を簡単にプレ
エマルション化でき、或いは、重合性ポリウレタン樹脂
(4)と重合性ビニル単量体(5)の混合物を水中に簡
単に分散することができるものであり、且つ、得られる
重合体の安定性に優れるものを、製造することができ、
製造時に実質的に乳化剤を必要とせず、製造工程の簡素
化を図る事ができると共に、極めて良好な安定性を示す
エマルション樹脂を製造することができる。
【0020】本願発明で用いる親水性を示すグリコール
(1)としては、第1にイオン性基を持つグリコールが
挙げられ、具体的には2,2−ジメチロールプロピオン
酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロ
ール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ポリカプロラ
クトン変性ジメチロールプロピオン酸、ポリカプロラク
トン変性ジメチロールブタン酸や、グリセリン、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパンのようなトリ
オール1分子に対して、無水フタル酸、テトラヒドロ無
水フタル酸、無水こはく酸、無水トリメリット酸のよう
な、1分子に1個の酸無水物基を持つ化合物を1分子を
変性させたジオールカルボン酸成分や、エチレングリコ
ールやジエチレングリコールのようなジオール2分子に
対して、無水ピロメリット酸のような1分子に2個の酸
無水物基をもつ化合物を1分子変性させたジオールカル
ボン酸成分等が使用でき、これらは後述するウレタン化
反応により目的である重合性ポリウレタン樹脂の分子内
にカルボキシル基の導入ができるものであり、エチレン
グリコールやジエチレングリコールのようなジオール1
分子に対して、1分子に1個の酸無水物基を持つ化合物
を1分子反応させた、モノオールカルボン酸は、後述す
るウレタン化反応により末端にカルボキシル基を導入で
きる。また、エポキシ基とカルボキシル基との反応によ
り得られるカルボキシル基含有ジオールおよびモノオー
ルの使用も可能である。例えば、エチレングリコールジ
グリシジルエーテル1分子に対してアジピン酸2分子を
反応させ得られる1分子内に2個の水酸基と2個のカル
ボキシル基を有する化合物等も使用できる。イオン性グ
リコールの選択においては、これらの群から選ばれた1
種または2種以上の使用ができるものである。
【0021】本願発明で用いる親水性を示すグリコール
(1)としては、第2にイオン性基を持たないグリコー
ルが挙げられ、具体的にはポリエチレングリコールのよ
うなノニオン性グリコールであり、親水性を示すもので
あれば、ポリエチレングリコール中にポリプロピレング
リコール鎖やテトラメチレングリコール鎖がブロックま
たはランダムに重合されたものでもよく、これらは、1
分子に1個以上の水酸基を含んだものである必要があ
り、簡便な合成法としてはモノおよびジオールが適して
いる。
【0022】本願発明で用いる乳化能を有する重合性ポ
リウレタン樹脂の合成は、上述した乳化能を有するグリ
コール(1)を用いることができるが、本願目的の水系
樹脂組成物を得るには、得られる水系樹脂組成物の重合
安定性、保存安定性においてはアニオン性のグリコール
が、凍結安定性、低温造膜性においてはノニオン性グリ
コールがそれぞれ効果を発現する。
【0023】また、本願発明の乳化能を有する重合性ポ
リウレタン樹脂の合成は、親水性を示さないその他のグ
リコール成分(1a)の使用ができる。これは、重合性
ビニル単量体(5)を水中で重合させるにあたり、予め
重合性ビニル単量体を、重合性ポリウレタン樹脂を乳化
剤として水中に乳化させる所謂プレエマルションを調整
する必要があるが、その際、重合性ポリウレタン樹脂
(4)の親水性が強すぎた場合、水への溶解性はあるも
のの重合性ビニル単量体(5)を乳化させなかったり、
得られたプレエマルションの安定性が悪かったりするこ
とがある。さらには、プレエマルションが安定であって
も重合中に粒子の融着や高粘度化、あるいは、重合反応
率が低下し未反応の重合性ビニル単量体の残存率が高ま
ることがある。これは、重合性ポリウレタン樹脂の分子
に疎水性のセグメントが欠乏することによる場合があ
る。このため、必要であれば親水性を示さないグリコー
ル成分を重合性ポリウレタン樹脂にイソシアネート化合
物(3)により結合させることができる。親水性を示さ
ないグリコール(1a)としては、オクタノール、デカ
ノール、2−エチルヘキサノール等のアルキルアルコー
ルやポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールおよびこれらのモノアルコール体等が使用でき
る。
【0024】本願発明で用いるイソシアネート化合物
(3)は芳香族、脂肪族、脂環式ジイソシアネートがあ
り、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、α、α、α'、α'ーテトラメチルキシリレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、1,5ーテトラヒドロナフタレ
ンジイソシアネート、さらにはこれらのイソシアヌレー
ト、ビューレット、アダクト体等が挙げられ、これらの
群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるが、
揮発性有機溶剤に希釈されたイソシアネート化合物に関
しては、本願目的の達成のため有機溶剤を留去する必要
がる。
【0025】イソシアネートと水酸基、或いはイソシア
ネートと反応しうる水酸基以外の官能基との反応条件は
特に限定は無く、イソシアネートと水酸基との反応は5
0℃から100℃内の反応温度で行われ、イソシアネー
トと1級または2級アミンとの反応は室温から50℃内
の反応温度で完結する。また、反応に際しては、必要で
あれば公知であるジブチルスズジラウレートやジオクチ
ルスズジラウレートのようなウレタン化触媒を使用する
こともできる。
【0026】乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂
(4)の合成においては、無溶媒系でも行えるが、得ら
れる樹脂粘度が高く、撹拌や作業性が問題となる場合、
重合性ビニル単量体をキノン系やフェノール系酸化防止
剤を必要量添加し、反応溶媒として用いる事もできる。
この重合性ビニル単量体は事実上イソシアネートとの反
応を起こさない化合物に限られ、好ましくは、メチルメ
タクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレ
ート等のウレタン樹脂に対して溶解力の強いものが良
い。
【0027】本願発明で用いるイソシアネートと反応し
うる官能基を有する重合性ビニル単量体(2)として
は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタ
クリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
4−ヒドロキシブチルアクリレート、アセトアセトキシ
エチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等が
挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上
の使用ができるが、反応性の点から、4−ヒドロキシブ
チルアクリレートのような1級の水酸基を持つ重合性ビ
ニル単量体が好ましい。
【0028】本願発明においては、凍結安定性を向上さ
せるために、重合性ポリウレタン樹脂(4)やビニル系
重合体成分への水酸基の導入を行うが、ウレタン樹脂成
分(4)への水酸基の導入方法としては、導入試薬とし
て、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコールおよびこれ
らのオリゴマーのようなジオールが使用でき、イソシア
ネート官能基1個に対して1分子のグリコールを加え導
入させる方法や、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトールのような、1分子に
3つ以上の水酸基を持つポリオールをイソシアネート官
能基1個に対し、1分子のポリオールを加え導入させる
事ができる。さらに、反応性の高いアルカノールアミン
による選択的且つ短時間での水酸基の導入方法が挙げら
れる。これは、分子内に1級または2級のアミノ基を1
個有し、水酸基を1個以上有する化合物であり、イソシ
アネート官能基1個に対して1分子のアルカノールアミ
ンを加えて尿素結合により導入できる。例えば、アルカ
ノールアミンとしてはエタノールアミン、メチルエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられ、重合性
ポリウレタン樹脂(4)への水酸基の導入試薬はこれら
の群から選ばれた1種または2種以上の使用ができ、得
られる乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂(4)の
分子量は800から5000であり、好ましくは150
0から3500である。
【0029】本願発明で用いる重合性ビニル単量体
(5)としては、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、プロピルメタクリレート、iso−プロピル
メタクリレート、ブチルメタクリレート、iso−ブチ
ルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、
ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、ラウリルメタクリレート等のアルキルメタ
クリル酸エステル類あるいはこれらのアクリル酸エステ
ル類や、アクリロニトリル、アクリルアミド、N,N−
ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルア
ミド、スチレン、ビニルトルエンや、多官能重合性ビニ
ル単量体として、アリルメタクリレート、エチレングリ
コールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリ
スリトールペンタアクリレートやそれらのメタクリル酸
誘導体、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらの群か
ら選ばれた1種又は2種以上の使用ができる。
【0030】本願発明での水酸基の導入方法の二つ目と
して、水酸基を持つ重合性ビニル単量体により重合性ビ
ニル単量体重合物成分に水酸基を導入する方法がある。
ここで用いる水酸基を持つ重合性ビニル単量体は、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートやこれら
のアクリル酸エステル類等が挙げられ、これらの群から
選ばれた1種又は2種以上の使用ができる。
【0031】本願発明の乳化能を有する重合性ポリウレ
タン樹脂(4)と重合性ビニル単量体(5)の水中での
重合に際しては、乳化能を有する重合性ポリウレタン樹
脂(4)100重量部に対し、100から3000重量
部の範囲で用いることができ、高固形分化、重合安定性
の観点から、500から2000の範囲が望ましい。
【0032】重合方法としては、予め水中に乳化能を有
する重合性ポリウレタン樹脂(4)を分散あるいは溶解
しておき、この中に重合性ビニル単量体(5)を乳化さ
せた所謂プレエマルションを調整し、これを重合開始剤
と共に水中に滴下して重合する方法と、乳化能を有する
重合性ポリウレタン樹脂(4)に重合性ビニル単量体
(5)を加え、これを水中に重合開始剤と共に滴下する
方法により合成できる。尚、重合性ポリウレタン樹脂に
導入されたカルボキシル基やスルホン酸基は中和してか
ら用いることができ、プレエマルション法ではプレエマ
ルション調整時に塩基を加えて中和しておくこともでき
る。重合性ポリウレタン樹脂(4)および重合性ビニル
単量体(5)の混合物を水中に滴下する場合は、予め水
中に塩基を溶解させておくことができる。中和剤とし
て、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等の無機塩基やトリエチルアミン、ジメ
チルエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基の使用が
可能であり、目的の水系樹脂組成物の安定性や臭気を考
慮に入れ選定されるものであり、これらの群から選ばれ
た1種又は2種以上の使用ができる。塩基の加える量は
重合性ポリウレタン樹脂の酸価に対して100%以上が
良く、好ましくは150〜180%である。
【0033】ここで用いる重合開始剤としては、公知の
ラジカル開始剤の使用が可能で、過硫酸アンモニウム、
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられ、目的
とする水系樹脂組成物の固形分に対し、0.3〜1.0
%のラジカル開始剤の重量が使用され、水溶液として希
釈した後に用いることが望ましい。
【0034】重合温度については、70〜90℃がよ
く、単量体の残存率および重合安定性の点から75〜8
5℃の範囲が望ましい。重合時間(滴下速度)について
は、2〜5時間の範囲が良く、反応熱の冷却能が十分で
あり、目的の重合温度が安定的に持続できる速度であれ
ば、2〜3時間が適切であるが、これよりも早い滴下速
度の場合、反応容器に樹脂の融着が増える傾向が観察さ
れる。また、滴下終了後、開始剤が全て消費するまでさ
らに加熱撹拌を続け反応を終了するが、依然として未反
応の重合性単量体が残存する場合、さらに開始剤を適量
添加して、重合を進めることもできるし、特に気層部に
浮遊する重合性ビニル単量体については、空気、窒素ガ
ス等の気体を流すことで未反応の重合性単量体を除去す
ることもできる。
【0035】
【実施例】以下に本願発明の実施例を記すが、本願発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】まず、本願発明の塗料組成物の実施に適し
た樹脂の例を説明する。なお、本願発明の塗料組成物の
実施に適した樹脂の例を「態様例」として説明し、それ
以外の例を「他の樹脂例」として説明する。
【0037】「態様例」 1−1 乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂の合成
方法 温度計、コンデンサー、窒素導入管、撹拌装置を取り付
けた1Lのフラスコにポリプロピレングリコール(OH
価=280.5)80g、イソホロンジイソシアネート
177.6g、ジメチロールプロピオン酸 53.6
g、およびメチルメタクリレート 151.5gを加
え、窒素雰囲気下で90℃、4時間加熱撹拌した。これ
に2−ヒドロキシエチルメタクリレート 26.0gを
加え、IRスペクトルにより2260cm-1のイソシア
ネートの吸収が減少しなくなるまで反応を行った後、ポ
リエチレングリコール(OH価=561.0)40.0
gを加え、IRスペクトルにより2260cm-1のイソ
シアネートの吸収が無くなるまで反応を続けた。これ
に、メチルメタクリレート 100.0gを加え、乳化
能を有する重合性ポリウレタン樹脂のメチルメタクリレ
ート溶液(4)−1−1を得た。
【0038】1−2 乳化能を有する重合性ポリウレタ
ン樹脂の合成方法 温度計、コンデンサー、窒素導入管、撹拌装置を取り付
けた1Lのフラスコにポリプロピレングリコール(OH
価=280.5)80g、イソホロンジイソシアネート
177.6g、ジメチロールプロピオン酸 53.6
g、およびメチルメタクリレート 185.3gを加
え、窒素雰囲気下で90℃、4時間加熱撹拌した。これ
に2−ヒドロキシエチルメタクリレート 26.0gを
加え、IRスペクトルにより2260cm-1のイソシア
ネートの吸収が減少しなくなるまで反応を行った後、ポ
リエチレングリコール(OH価=561.0)40.0
gを加え、IRスペクトルにより2260cm-1のイソ
シアネートの吸収が無くなるまで反応を続けた。これ
に、イソホロンジイソシアネート 44.4gを加え、
2時間反応を行った後、メタノール 6.4gを加えI
Rスペクトルにより2260cm-1のイソシアネートの
吸収が無くなるまで反応を続けた。これにメチルメタク
リレート 100.0gを加え、乳化能を有する重合性
ポリウレタン樹脂のメチルメタクリレート溶液(4)−
1−2を得た。
【0039】1−3 乳化能を有する重合性ポリウレタ
ン樹脂の合成方法 温度計、コンデンサー、窒素導入管、撹拌装置を取り付
けた1Lのフラスコにポリプロピレングリコール(OH
価=280.5)80g、イソホロンジイソシアネート
177.6g、ジメチロールプロピオン酸 53.6
g、およびメチルメタクリレート 133.1gを加
え、窒素雰囲気下で90℃、4時間加熱撹拌した。これ
に2−ヒドロキシエチルメタクリレート 26.0gを
加え、IRスペクトルにより2260cm-1のイソシア
ネートの吸収が減少しなくなるまで反応を行った後、エ
チレングリコール 12.4gを加え、IRスペクトル
により2260cm-1のイソシアネートの吸収が無くな
るまで反応を続けた。これに、メチルメタクリレート
100.0gを加え、乳化能を有する重合性ポリウレタ
ン樹脂のメチルメタクリレート溶液(4)−1−3を得
た。
【0040】1−4 乳化能を有する重合性ポリウレタ
ン樹脂の合成方法 温度計、コンデンサー、窒素導入管、撹拌装置を取り付
けた1Lのフラスコにポリプロピレングリコール(OH
価=280.5)80g、イソホロンジイソシアネート
177.6g、ジメチロールプロピオン酸 53.6
g、およびメチルメタクリレート 122.1gを加
え、窒素雰囲気下で90℃、4時間加熱撹拌した。これ
に2−ヒドロキシエチルメタクリレート 26.0gを
加え、IRスペクトルにより2260cm-1のイソシア
ネートの吸収が減少しなくなるまで反応を行った後、メ
タノール 6.4gを加え、IRスペクトルにより22
60cm-1のイソシアネートの吸収が無くなるまで反応
を続けた。これに、メチルメタクリレート 100.0
gを加え、乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂のメ
チルメタクリレート溶液(4)−1−4を得た。
【0041】「他の樹脂例」 1−5 乳化能を有する非重合性ポリウレタン樹脂の合
成方法 温度計、コンデンサー、窒素導入管、撹拌装置を取り付
けた1Lのフラスコにポリプロピレングリコール(OH
価=280.5)80g、イソホロンジイソシアネート
177.6g、ジメチロールプロピオン酸 53.6
g、およびメチルメタクリレート 144.0gを加
え、窒素雰囲気下で90℃、4時間加熱撹拌した。これ
にブタノール 14.8gを加え、IRスペクトルによ
り2260cm-1のイソシアネートの吸収が減少しなく
なるまで反応を行った後、ポリエチレングリコール(O
H価=561.0)40.0gを加え、IRスペクトル
により2260cm-1のイソシアネートの吸収が無くな
るまで反応を続けた。これに、メチルメタクリレート
100.0gを加え、乳化能を有する非重合性ポリウレ
タン樹脂のメチルメタクリレート溶液1−5を得た。
【0042】1−6 乳化能を有する非重合性ポリウレ
タン樹脂の合成方法 温度計、コンデンサー、窒素導入管、撹拌装置を取り付
けた1Lのフラスコにポリプロピレングリコール(OH
価=280.5)80g、イソホロンジイソシアネート
177.6g、ジメチロールプロピオン酸 53.6
g、およびメチルメタクリレート 121.6gを加
え、窒素雰囲気下で90℃、4時間加熱撹拌した。これ
にブタノール 14.8gを加え、IRスペクトルによ
り2260cm-1のイソシアネートの吸収が減少しなく
なるまで反応を行った後、メタノール 6.4gを加
え、IRスペクトルにより2260cm-1のイソシアネ
ートの吸収が無くなるまで反応を続けた。これに、メチ
ルメタクリレート 100.0gを加え、乳化能を有す
る非重合性ポリウレタン樹脂のメチルメタクリレート溶
液1−6を得た。
【0043】「態様例」 2−1 乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂による
水系樹脂の合成方法 フラスコに温度計、コンデンサー、撹拌装置を取り付け
た2Lのフラスコに水 300gを入れ、内温80℃に
した。別途水 270gに乳化能を有するポリウレタン
樹脂(4)−1−1をポリウレタン樹脂成分として3
3.7g、水酸化ナトリウム 2.5gを加え均一にな
るまで撹拌した。これに、メチルメタクリレート 18
0.9g、および2−エチルヘキシルアクリレート 1
80.9gを撹拌しながら加え、プレエマルションを調
整した。このプレエマルションおよび過硫酸ナトリウム
2.0gを溶解した水溶液32gを同速度、3時間で
滴下した。さらに、3時間80℃で加熱撹拌を行った。
下記表1の組成表に記載の乳化能を示すポリウレタン樹
脂を用いた水系樹脂組成物は上記の手順により合成し、
得られる水系樹脂組成物の固形分での酸価が5mgKO
H/gとなるようポリウレタン樹脂量を調整した。
【0044】その他の態様例2−2,2−3,2−4,
2−1−1および他の樹脂例2−5,2−6について
は、態様例2−1と同様の手順で下記表1の組成表に示
した重合性ビニル単量体を用い重合を行い、それぞれ水
系樹脂組成物を得た。態様例2−1−a,2−1−b,
2−2−a,2−2−b,2−3−a,2−4−aおよ
び他の樹脂例2−5−a,2−6−aについては、態様
例2−1と同様の手順で、表1の組成表に示した重合性
ビニル単量体を用い、メチルメタクリレートおよび2−
エチルヘキシルアクリレートと共に2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートを加えて重合を行い、それぞれ水系樹
脂組成物を得た。
【0045】「他の樹脂例」 2−7 フラスコに温度計、コンデンサー、撹拌装置を
取り付けた2Lのフラスコに水 300g、レベノール
WZ(花王株式会社製)8gを入れ、内温80℃にし
た。別途撹拌装置を取り付けた1Lの容器に水 234
gを入れ、レベノールWZ 8g、エマルゲン913
(花王株式会社製)3.8g、エマルゲン909(花王
株式会社製)6.0gおよびエレミノールJS−2(三
洋化成工業株式会社製)4gを溶解しておき、メチルメ
タクリレート 181.6g、2−エチルヘキシルアク
リレート 181.6g、アクリル酸 8gを加えよく
撹拌してプレエマルションを得た。反応容器に得られた
プレエマルションと過硫酸ナトリウム 2gを含んだ水
溶液 32gを同速度で3時間かけて滴下した。さら
に、3時間加熱撹拌を行った。40℃まで冷却後30%
アンモニア水 4gを水 20gに希釈した溶液を添加
し、他の樹脂例2−7−1の水系樹脂組成物を得た。
【0046】他の樹脂例2−7−a、参考例2−7−1
の合成は、上記2−7の「他の樹脂例」と同様の操作に
より、下記表1の組成表に示した重合性ビニル単量体を
用い、2−7−aおよび2−7−1の水系樹脂組成物を
得た。
【0047】
【表1】
【0048】評価 低温造膜性、凍結安定性、膜物性について得られた水系
樹脂組成物を評価した。低温造膜性については、熱勾配
試験装置(造膜温度測定装置)ASTM−2354−6
5T(理学工業株式会社製)により造膜温度(単位は摂
氏、以下同じ)を調べた。凍結安定性については、−3
0℃に5時間保存後、20℃の雰囲気下にて溶解した際
の樹脂の安定性により評価した。膜物性については、ド
クターブレード15milによりガラス板上にキャスト
したものを20℃、1週間放置した膜について40℃雰
囲気下でのタックの有無、カーボン汚染について評価し
た。参考例2−1−1および2−7−1についてはTg
の測定を行った。Tg測定用膜作成は、テフロン製平板
にドクターブレード15milによりキャストしたもの
を20℃、1週間放置した膜について、EXSTAR−
6000 ステーションBMS−6100(セイコーイ
ンスツルメンツ株式会社製)により測定した。
【0049】
【表2】
【0050】評価基準 上記表2に示した試験結果の各評価基準を、次に示す。 凍結安定性 凍結融解後初期状態に戻る−−−−−−−−◎ 凍結融解後やや粘度が上がるが融着なし−−○ 凍結融解後かなり粘度が上がり融着あり−−△ 凍結後室温にて融解せず−−−−−−−−−× ベタつき度 得られた膜を40℃雰囲気下に3時間放置した状態で、
指触によりタック(ベタつき)の状態を判断した。 ほとんどベタつかない−−1 ややベタつく−−−−−−2 ベタつく−−−−−−−−3 耐汚染性評価 得られた膜にカーボン粉末5部を水100部に懸濁させ
た溶液を塗布し、40℃雰囲気下に3時間保存後、流水
にて汚染部位を洗浄し、汚れが良く落ちるものを評価1
とし、最も汚れが落ち難いものを評価5とした。
【0051】表2に記載した態様例および他の樹脂例の
結果から分かるように、乳化能を有する重合性ポリウレ
タン樹脂(4)−1−1から(4)−1−4を用いた水
系樹脂組成物は、凍結安定性に優れるものが多く、特に
ポリウレタン樹脂成分にノニオンおよびアニオンの両者
を含有したものや水酸基を含有したものが優れている。
また、得られた膜性能においてはタックが無く、耐汚染
性が良好であることが確認できた。他の樹脂例として乳
化能を有する非重合性ポリウレタン樹脂1−5および1
−6を用いた場合、凍結安定性の悪化が観察されるだけ
でなく、得られる膜性能が異なり、タックが有り耐汚染
性の悪化が確認された。これは、ポリウレタン樹脂成分
が高分子量化されないことに起因すると考えられる。
【0052】
【表3】
【0053】表3の参考例の試験結果から、態様例では
Tgを下げずにMFTが下がることが確認され、凍結安
定性も優れることを示している。以上の結果から分かる
ように、乳化能を有するポリウレタン樹脂(4)により
得られた水系樹脂組成物はガラス転移温度(Tg)を下
げることなく、最低造膜温度(MFT)を下げる傾向が
確認された。また、凍結安定性においては、ポリウレタ
ン樹脂(4)にアニオンおよびノニオン性部位が導入さ
れたものが良く、水酸基が導入された樹脂についてはさ
らに良好な結果が得られた。
【0054】このように、本願発明の水系樹脂組成物、
特に上記態様例に係る水系樹脂組成物は、揮発性有機溶
剤である造膜助剤や凍結安定剤を意図的に添加せずと
も、実質上の使用に際し支障を来さない性能を発現する
ことが確認された。
【0055】
【実施例1〜4、比較例a〜bならびに比較例1〜3】
前述の態様例および他の樹脂例の樹脂を用いて、実施例
1〜4、比較例a〜bならびに比較例1〜3の塗料組成
物を製造し、これらの塗料組成物成分を表4に示す。こ
の表の塗料組成物成分では、添加剤を除く成分を100
重量部となるように調整し、これに2.9重量部の添加
剤を加えて、合計102.9重量部とした。なお、エマ
ルション樹脂及び添加剤については、表5に示すと共
に、その詳細を後述する。
【0056】
【表4】
【0057】まず、比較例aは、上記表4のエマルショ
ン樹脂として、低Tgアクリル樹脂エマルションである
前述の他の樹脂例2−7−aを用い、これに添加剤とし
てセブントール2.9重量部を配合し、塗料組成物を完
成させたものである。この、塗料組成物を、被塗物の試
料に、2回塗装し、塗付量0.11〜0.13kg/m2
・回に調整することにより、約40μmの膜厚の塗膜を
形成した。この比較例aの樹脂種、添加剤の種類、並び
に得られた塗料組成物の性能を、表5に示す。
【0058】比較例b〜d及び実施例1〜4は、比較例
と同様に、表4の配合に基づく塗料組成物であるが、
表5の各実施例の欄に示す樹脂種及び添加剤を用いて塗
料組成物を完成させたものである。この、各塗料組成物
を、比較例aと同様に、被塗物の試料に2回塗装し、塗
付量0.11〜0.13kg/m2・回に調整することに
より、約40μmの膜厚の塗膜を形成し、その性能を、
表5に示した。
【0059】ここで比較例b〜dは、エマルション樹脂
として、下記に示す2層構造のアクリル樹脂系エマルシ
ョンを用いた。実施例1〜4は、エマルション樹脂とし
て、前述の態様例2−1−aを用いた。また、各実施例
の表5の中の商標名は次の通りである。「セブントー
ル」は、武田薬品工業株式会社製の、チタン、亜鉛、リ
ンの複合生成物からなる光触媒型無機系吸着分解剤であ
る。「ゴットボール」は、鈴木油脂工業株式会社製の、
シリカからなる多孔質マイクロカプセルにアナターゼ型
超微粒子酸化チタン光触媒を内包させた光触媒酸化チタ
ン内包マイクロカプセルである。「タイノック」は、多
木化学株式会社製の光触媒である。「STE−01」は
石原テクノ株式会社製の、多孔質シリカコーティング二
酸化チタン光触媒である。
【0060】比較例b〜dの、2重構造を有するアクリ
ル樹脂系エマルションの合成方法温度計、コンデンサ
ー、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた4つ口フラス
コに、イオン交換水208g、ネオペレックスF−25
(花王株式会社製)10gを入れ、フラスコ内温を80
℃にする。また別の500ml容器(1)にイオン交換
水63g、ネオペレックスF−25 4g、エマルゲン
913(花王株式会社製)3g、エマルゲン909(花
王株式会社製)1g、及びエレミノールJS−2(三洋
化成工業株式会社製)4gを攪拌溶解し、さらにメチル
メタアクリレート(MMA)104g、、2−エチルへ
キシルアクリレート(2−EHA)56gを加えて、再
攪拌し、プレエマルション(1)を作成する。4つ口フ
ラスコにプレエマルション(1)と重合触媒水溶液
(1)(イオン交換水20gに過硫酸ナトリウム0.9
gを溶解したもの。)を同時に1.5時間かけて滴下す
る。その間フラスコ内温は80℃±2を保つ。プレエマ
ルション(1)と重合触媒水溶液(1)を滴下終了後、
1時間熟成させる。その後に、500ml容器(2)に
イオン交換水110g、ネオペレックスF−25 6
g、エマルゲン913 4g、エマルゲン909 2
g、及びエレミノールJS−2 7gを攪拌溶解し、さ
らにメチルメタクリレート(MMA)104g、2−エ
チルへキシルアクリレート(2−EHA)190g、ア
クリル酸 8g及び2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト(2−HEMA)6gを加えて、再攪拌し、プレエマ
ルション(2)を重合触媒水溶液(2)(イオン交換水
20gに過硫酸ナトリウム1.5gを溶解したもの)と
同時に4つ口フラスコへ2.5時間かけて滴下する。そ
の間フラスコの内温は、80℃±2を保つ。全てが滴下
終了後、フラスコ内温を84℃±2に上げて3時間熟成
させる。その後冷却し、内温が50℃以下になった後、
防腐剤0.1g、消泡剤0.3g、PH調整剤(アンモ
ニア水)3gを添加し、20分攪拌後2重構造のアクリ
ル樹脂系エマルションを得た。
【0061】
【表5】
【0062】比較例1〜3は、有害化学物質を吸着及び
分解する効果のある添加剤を含まない、もしくは揮発性
有機化合物を添加したものは、比較例a〜d及び実施例
1、2と同一条件とした塗膜を、各被塗物の試料上に形
成した。また、コントロールとして、各被塗物上に塗膜
を形成しないものを準備し、それぞれの試験結果を表7
に示した。
【0063】即ち、比較例1は前記の表4の配合例にお
いて、添加剤を含有しないものである。樹脂としては、
前述の他の樹脂例2−7−aを用いた。比較例2及び3
は下記の表6の配合とした塗料組成物であり、エマルシ
ョン樹脂として、前述の他の樹脂例2−7−1を用い
た。さらに、比較例2は、添加剤として、セブントール
を、2.9重量部添加した。比較例3では、添加剤を用
いなかった。
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】各実施例及び比較例の試験方法を以下に示
す。 1.ホルムアルデヒド抑制効果 ガラス板(1×50×50mm)に試験塗料をハケを用い
て2回塗装し、塗付量0.11〜0.13kg/m2・回
に調整し、室温にて5日間放置乾燥したものを試験片と
して、ガス採取袋(1リットル テドラパック)に入れ
密封後、約4ppm濃度のホルムアルデヒドガスを1L注
入し、2時間後テドラパック中のガス濃度を北川式検知
管により測定し抑制率を算出した。 2.促進耐候性 フレキシブル板(3×70×150mm)に試験塗料をハ
ケを用いて2回塗装し、塗付量0.11〜0.13kg/
2・回に調整し、室温にて7日間放置乾燥したものを
試験片として、促進耐候性試験機(キセノンランプ式)
を使用して、促進耐侯性試験を行い、白亜化の程度、割
れ、はがれ、膨れ、穴の程度色及び艶の変化の程度を目
視で観察した。 3.VOC放散量 アルミニウム板(0.8×70×150mm)に試験塗料
を中毛ローラーを用いて2回塗装し、塗付量0.11〜
0.13kg/m2・回に調整、20℃にて24時間放置
したものを試験片として、図1に示すサンプリング装置
にて行った。このサンプリング装置は、試料片1を収納
したセパラブルフラスコ2(1リットル)と、流量計3
と、ポンプ4と、ガスメーター5とをテフロン管6(3
×4mm)及びシリコン管7(4×7mm,7×10mm)で
接続して、循環する流路を形成したものである。セパラ
ブルフラスコ2と流量計3との間には吸着管8を配位
し、ガスメーター3とセパラブルフラスコとの間にはク
リーナー9を配位した。図中10は、温度計を示す。試
料板1は、アルミ板70×150mmを3枚用いた。ガス
メ−タ−3は、DRY TEST GAS MATER(株式会社シナガワ
社製)。ポンプ4は、MINI PUMP(柴田科学機械工業株
式会社社製)。吸着管8は、ORBO-32S/スペルコ社製
(活性炭)。クリーナー9は、ORBO-32S/スペルコ社製
(活性炭)。 4.加温安定性 容量が500ml、内径が85〜95mmの内面が耐水処理
された金属製の缶に試験塗料を約400ml入れ、ふたで
密閉し、温度35℃で3ヶ月間保存した後、室温に戻
し"容器の中の状態"、"塗装作業性"、"塗膜の外観"の変
化の有無を調べて判定した。
【0067】上記の各実施例及び比較例においては、上
記の各性能試験に加えて低温造膜性及び凍結安定性の試
験を行ったが、いずれの例も、5℃における造膜性が認
められ、凍結後に5℃上昇させた状態で、塗膜が形成さ
れることが、確認された
【0068】
【発明の効果】本願発明は、揮発性有機化合物を意図的
に添加せずとも、低温造膜性や凍結安定性に優れた水系
樹脂からなる塗料組成物を使用することにより、塗膜か
らの室内への揮発性有機化合物の放散を限りなく零とす
ることが可能であり、更に、すでに室内環境中に放散し
ているホルムアルデヒドや硫化水素等の有害化学物質を
吸着及び分解する能力のある、高機能性室内環境対応型
として特に有効な水系塗料組成物を提供するものであ
る。本願発明により得られた水系塗料組成物は、自然環
境、作業環境、住(空間)環境に優しい塗材であり、特
に快適性・安全性が望まれる住宅、病院、学校、食堂等
の室内用塗料として有用であり、室内環境を改善し得る
室内空気汚染防止用塗料として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】VOC放散量試験のサンプリング装置の説明図で
ある。
【符号の説明】
1 試料片 2 セパラブルフラスコ 3 流量計 4 ポンプ 5 ガスメーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−95979(JP,A) 特開 平11−343464(JP,A) 特開 平7−34027(JP,A) 特開 平10−259325(JP,A) 特開 平10−140045(JP,A) 特開 平3−166212(JP,A) 特開 平9−3400(JP,A) 特開2000−354736(JP,A) 特開 平10−152964(JP,A) 特開2001−354736(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 201/10

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外層部に乳化能を有するポリウレタン樹
    脂成分、内層部にビニル系重合物成分の構造を有する2
    層構造水系樹脂組成物であって、外層部のポリウレタン
    樹脂成分と内層部のビニル系重合物成分との少なくとも
    何れか一方が水酸基を持つことにより、揮発性有機化合
    物を意図的に添加せずとも低温造膜性及び低温安定性を
    備える2層構造水系樹脂組成物に対して、有害化学物質
    を吸着する能力のある添加剤と、当該有害化学物質を分
    解する能力のある光触媒活性を有する添加剤とを配合し
    たことを特徴とする室内環境対応型水系塗料組成物。
  2. 【請求項2】 外層部に乳化能を有するポリウレタン樹
    脂成分、内層部にビニル系重合物成分の構造を有する2
    層構造水系樹脂組成物であって、外層部のポリウレタン
    樹脂成分がノニオンおよびアニオン性の親水性部位を持
    つものであることにより、揮発性有機化合物を意図的に
    添加せずとも低温造膜性及び低温安定性を備える2層構
    造水系樹脂組成物に対して、有害化学物質を吸着する能
    力のある添加剤と、当該有害化学物質を分解する能力の
    ある光触媒活性を有する添加剤とを配合したことを特徴
    とする室内環境対応型水系塗料組成物。
  3. 【請求項3】 外層部に乳化能を有するポリウレタン樹
    脂成分、内層部にビニル系重合物成分の構造を有する2
    層構造水系樹脂組成物であって、外層部のポリウレタン
    樹脂成分と内層部のビニル系重合物成分との少なくとも
    何れか一方が水酸基を持つものであり、且つ、外層部の
    ポリウレタン樹脂成分がノニオンおよびアニオン性の親
    水性部位を持つものであることにより、揮発性有機化合
    物を意図的に添加せずとも低温造膜性及び低温安定性を
    備える2層構造水系樹脂組成物に対して、有害化学物質
    を吸着する能力のある添加剤と、当該有害化学物質を分
    解する能力のある光触媒活性を有する添加剤とを配合し
    たことを特徴とする室内環境対応型水系塗料組成物。
  4. 【請求項4】 上記の有害化学物質を吸着する能力のあ
    る添加剤は、活性炭、シリカ、アルミニウムシリケート
    及び珪藻土の物理吸着能を有する多孔質の添加剤と、リ
    ン酸系化合物及びアミン系化合物の化学吸着能を有する
    添加剤からなる群から選択された少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の室内環
    境対応型水系塗料組成物。
  5. 【請求項5】 上記の有害化学物質を吸着する能力のあ
    る添加剤が物理吸着能を有する多孔質の添加剤であり、
    上記の有害化学物質を分解する能力のある添加剤が光触
    媒活性を有するものであり、この光触媒活性を有する添
    加剤が、物理吸着能を有する多孔質の添加剤に添着され
    たことを特徴とする請求項1〜4までのいずれかに記載
    の室内環境対応型水系塗料組成物。
  6. 【請求項6】 外層部のポリウレタン樹脂成分は、1分
    子中に2個の水酸基と少なくとも1個以上の親水性基を
    含むグリコール成分(1)と、イソシアネートと反応し
    うる官能基を有する重合性ビニル単量体(2)をイソシ
    アネート(3)と反応させて得られた乳化能を有する重
    合性ポリウレタン樹脂(4)であり、内層部のビニル系
    重合物成分は重合性ビニル単量体(5)を上記の重合性
    ポリウレタン樹脂(4)と水中で重合させたものである
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の室内環
    境対応型水系塗料組成物。
  7. 【請求項7】 外層部のポリウレタン樹脂成分は、1分
    子中に2個の水酸基と少なくとも1個以上の親水性基を
    含むグリコール成分(1)及び親水性を示さないイソシ
    アネートと反応しうるグリコール成分(1a)と、イソ
    シアネートと反応しうる官能基を有する重合性ビニル単
    量体(2)をイソシアネート(3)と反応させて得られ
    た乳化能を有するポリウレタン樹脂(4)であり、内層
    部のビニル系重合物成分は、重合性ビニル単量体(5)
    を上記の重合性ポリウレタン樹脂(4)と水中で重合さ
    せたものであることを特徴とする請求項1〜5の何れか
    に記載の室内環境対応型水系塗料組成物。
  8. 【請求項8】 1分子中に2個の水酸基と少なくとも1
    個以上の親水性基を含むグリコール成分(1)の親水性
    基は、後で中和により親水性をもたらすイオン性基及び
    /又は非イオン性の親水性基であり、 乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂(4)100重
    量部に対する重合性ビニル単量体(5)の重量比が10
    0〜3000重量部であり、 グリコール成分(1)とジイソシアネート化合物(3)
    とをOH基/NCO基=1.0/1.2〜1.0/2.
    0の範囲内で反応させ、得られたポリウレタン樹脂末端
    のイソシアネートをイソシアネートと反応しうる官能基
    を有する重合性ビニル単量体(2)と反応させ、ポリウ
    レタン樹脂1分子中に0.5〜1.5分子の重合性ビニ
    ル基を導入した乳化能を有する重合性ポリウレタン樹脂
    (4)を重合性ビニル単量体(5)と水中で重合させて
    得られたものであることを特徴とする請求項6又は7に
    記載の室内環境対応型水系塗料組成物。
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