JP4482178B2 - エマルション塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエマルション塗料組成物、特に室内の塗装に用いられる建築用エマルション塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築用エマルション塗料は、造膜性と塗膜性能を両立させるために、Tgの高い樹脂に造膜助剤として有機溶剤を加え最低造膜温度(MFT)が低くなるように設定して、低温での造膜を可能にしている。また凍結防止、あるいは凍結しても融解後の再分散性を確保するために、凍結安定剤として水酸基をもつ水溶性の低分子量有機溶剤が添加されている。
【0003】
これらの有機溶剤は、室内で塗装した場合に、揮発する、いわゆる揮発性有機化合物(VOC)と呼ばれるものであり、その揮発により空気を汚染し、不快臭やシックハウス症候群、化学物質過敏症など健康を損なう原因ともなる。
【0004】
臭気の対策としては、塗料中に配合する有機溶剤として、臭気の小さいものや高沸点のものを選択する方法がとられているが、有機溶剤が室内に揮散することには変わりがなく、健康への影響が懸念される。このように、有機溶剤成分を含有しない建築用エマルション塗料が望まれているが、造膜助剤を除くために樹脂のTgや分子量を下げてMFTを低くしようとすると一般的に塗膜性能が低下する。また、凍結安定剤としての有機溶剤を除くと、塗料が凍結しやすくなる上に、一旦凍結すると融解しても元の状態に戻らなくなる等の欠点を有しており、有機溶剤を含有しない、いわゆる零VOCの建築用エマルション塗料を得ることは実質的に困難である。
【0005】
そこで、有機溶剤を含有するが、その揮散を抑える方法としては、例えば特開平10−324655号公報、特開平8−104829号公報および特開平8−311407号公報に、有機溶剤が造膜性や凍結安定性の機能を発揮した後に、基本樹脂と反応することによって塗膜に固定する方法が開示されている。
【0006】
しかしながらこの方法では、常温での乾燥を基本とする建築用塗料においては、低温反応性と塗料の長期安定性との両立を図ることが困難なこと、大幅なコストの上昇を伴うことが理由で、一般的に用いることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、造膜性と凍結安定性を損なうことなく零VOCを達成し、塗装時および乾燥時の悪臭や有害物質による健康阻害を最小限に抑えることができるエマルション塗料組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる、Tgが−60℃〜−10℃、数平均分子量が5000〜20000、および酸価が15〜50であるエマルション樹脂、(b)顔料、および(c)HLBが12.5〜18.5のノニオン性界面活性剤を含有する塗料組成物であって、塗料組成物中の上記(a)エマルション樹脂の含有量が樹脂固形分で3重量%以上、上記(b)顔料の含有量が顔料体積濃度で25%以上、および上記(c)ノニオン性界面活性剤の含有量が0.25〜5重量%であり、零VOCであり、造膜助剤及び凍結安定剤を使用しないことを特徴とするエマルション樹脂組成物を提供する。この組成物は、実質的にVOCを含まずに優れた造膜性と凍結安定性とを有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の塗料組成物中に含有されるエマルション樹脂は、エチレン性不飽和モノマーを乳化重合することによって得られる。また、有機溶剤中でエチレン性不飽和モノマーを重合させた後に脱溶剤と乳化とを行う方法でも製造できる。しかし、本発明においては、有機溶剤を使用しなくてもよい乳化重合法で製造するのが好適である。
【0010】
すなわちエチレン性不飽和モノマーを、その0.2〜10重量%の乳化剤の存在下に、0.1〜5重量%のラジカル重合開始剤および適量の連鎖移動剤を用いて40〜100℃の水中で2〜10時間反応させることによってエマルション樹脂が得られる。
【0011】
ここで用いられるエチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ラウリルエステルなど;ビニル化合物、例えば、スチレン、メチルスチレンなど;カルボン酸類、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸など;アクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類、例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステルなど;ニトリル類、例えば、(メタ)アクリロニトリルなど;アミド類、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなど、が挙げられる。これらのエチレン性不飽和モノマーは単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0012】
上記重合開始剤としては、過硫酸塩、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなど;過酸化物、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素など;レドックス開始剤系、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤と上記開始剤のような酸化剤を組み合わせたものなど;アゾ化合物、例えば、4,4'−アゾビス4−シアノ吉草酸など、が挙げられる。
【0013】
上記乳化剤としては、アニオン系乳化剤、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩など、ノニオン系乳化剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど;アニオン系またはノニオン系であってラジカル重合性基を有する、いわゆる反応性乳化剤、例えば、アクアロンHS−10、(第一工業製薬社製、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸塩)、アクアロンRN−20(第一工業製薬社製、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル)、エレミノールJS−2、(三洋化成工業社製、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム)、ラテムルS−180A、(花王社製、スルホコハク酸型反応性活性剤(オレイルアンモニウム塩))、アントックスMS−60(日本乳化剤社製、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル)、が挙げられる。
【0014】
上記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2−メチル−5−t−ブチルチオフェノールなどが挙げられる。
【0015】
また得られたエマルション樹脂のpHを調整するために中和剤が使用されてよく、中和剤としては、アンモニア、N,N−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ2−メチル−1−プロパノールなどのアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物が用いられる。
【0016】
本発明の塗料組成物に含有されるエマルション樹脂は、Tgが−60〜−10℃、数平均分子量が5000〜20000、酸価が15〜50である。
【0017】
上記エマルション樹脂は、いわゆるコア/シェル構造と呼ばれる複層構造であってもよい。複層構造を呈する場合には、コア部の割合は80重量%以下の範囲にあればよい。またシェル部のポリマーはTgが−60〜−10℃、数平均分子量が5000〜20000、酸価が15〜50、コア部のポリマーはTgが−60〜−20℃、数平均分子量が5000〜500000、酸価が0〜50であればよい。これらは慣用の2段重合法を用いて得ることができる。
【0018】
上記エマルション樹脂のTgが−10℃より高いと、塗装膜厚が厚いときに乾燥後表面に亀裂を生じやすくなり好ましくない。また、−60℃より低いものは、汎用原料による合成が困難である。
【0019】
分子量が20000を越えると乾燥後塗膜表面に亀裂を生じる。5000未満では樹脂合成時の連鎖移動剤を多量に必要とするため、エマルション樹脂にメルカプタン臭が残り好ましくない。
【0020】
酸価が15より低いと塗膜付着性が低下し、50より高いと塗膜の耐水性が悪化し好ましくない。
【0021】
なお、本発明におけるTgおよび酸価は、製造に用いたモノマーの種類および量から計算により、求めることができる。また数平均分子量は、得られたエマルション樹脂をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することにより決定することができる。
【0022】
本発明の塗料組成物において、上記エマルション樹脂は、樹脂固形分で3重量%以上含有される。3重量%未満では、塗料組成物の濃度が低くなり実際的でない。
【0023】
本発明の塗料組成物に含有される顔料(b)は、特に限定されず、例えば、チタン白、カーボンブラックの様な無機系顔料、シアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アゾ系、アンスラキノン系、キノフタロン系、アンスラピリジニン系、キナクリドン系、トルイジン系、ピラスロン系、ペリレン系等の有機系顔料の全てを挙げることができる。
【0024】
本発明の塗料組成物において零VOCを達成するためには、顔料体積濃度(PVC)が25%以上であることが必要である。25%未満であると得られる塗膜の表面粘着性が大きくなり、塗膜品質が劣り実用的でない。
【0025】
また、本発明で用いられるノニオン性界面活性剤(c)HLBが12.5〜18.5の範囲のものである。HLBが12.5より小さいと親水基の水和能力が低下し凍結時の塗料安定性が確保できなくなる。逆に18.5より大きいと親水性が高すぎて粒子表面の疎水性部への吸着性が低下して凍結安定化機能が発現しない。
【0026】
なお、本発明におけるHLB値は、グリフィンの計算式で求められたものである。
ノニオン性界面活性剤が0.2重量%未満だと、塗料組成物が凍結時に凝集し、溶解後に再分散しなくなる。また5重量%を越えると、得られる塗膜の耐水性が低下し好ましくない。
【0027】
本発明で用いられるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、多環フェニルがジスチレン化フェニル等のポリオキシ多環フェニルエーテル、脂肪酸がラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸等であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。このようなノニオン性界面活性剤は、沸点が高くVOC成分には当たらない。
【0028】
本発明の塗料組成物は、上記の成分の他に必要に応じて、慣用の体質顔料、顔料分散剤、表面調整剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防かび剤、防藻剤等のその他成分を含有することができる。
【0029】
なお、上記ノニオン性界面活性剤は、上記(a)エマルション樹脂の製造時に添加してもよいが、最終的な塗料化の際に添加することが好ましい
このようにして得られた本発明の塗料組成物は、目的に応じて水により希釈され、当業者によく知られた方法を用い塗装することができる。塗装は被塗物に対して2度以上行うことも可能である。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお部は重量部を表す。
【0031】
製造例1 エマルション樹脂の製造
滴下漏斗、温度計、窒素導入管、環流冷却器および撹拌機を備えた5口セパラブルフラスコにイオン交換水200部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。スチレン318部、メタクリル酸メチル40部、アクリル酸2−エチルへキシル581部およびメタクリル酸61部からなるモノマー混合液にラウリメルカプタン10部を加えた後、これを、ペレックスSS−H(花王社製アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)20部をイオン交換水600部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させた。このようにして得られたプレエマルションの1/20量をフラスコに仕込み10分間撹拌した後、過硫酸アンモニウム0.75部をイオン交換水10部に溶解させた開始剤水溶液を添加して重合反応を開始した。その後、10分間撹拌してから、過硫酸アンモニウム2.25部をイオン交換水150部に溶かした開始剤水溶液と、上記モノマープレエマルションの残量とを別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は200分間、後者は180分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸の10モル%に相当するアンモニア水で中和した。中和物を400メッシュの金網で濾過し、固形分50%のエマルション樹脂を得た。
【0032】
製造例2 エマルション樹脂の製造
表1に示した処方で製造例1と同様の操作でエマルション樹脂を製造した。
【0033】
製造例3 複層構造を有するエマルション樹脂の製造
製造例1と同様の装置に脱イオン水200部を仕込み80℃に昇温した。ペレックスSS−H(花王社製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)10部とニューコール504(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、HLB=16.0)10部とをイオン交換水300部に溶解させた乳化剤水溶液を2つ作り、それぞれに表1に示した配合の第1段および第2段のモノマーと連鎖移動剤との混合物を加え、撹拌してプレエマルションを調製した。得られた第1段のプレエマルションの1/10量をフラスコに仕込み10分間撹拌してから、過硫酸アンモニウム0.75部をイオン交換水10部に溶解させた開始剤水溶液を添加して重合を開始させた。10分間撹拌してから、過硫酸アンモニウム2.25部をイオン交換水150部に溶かした開始剤水溶液と上記第1段のモノマーのプレエマルションの残量とを別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は200分間、後者は80分間にわたって均等に滴下した。後者の滴下が終わってから、10分おいて第2段のモノマーのプレエマルションを90分間にわたり滴下した。全ての滴下が終わった後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸に対して10モル%に相当するアンモニア水で中和した。これを400メッシュの金網で濾過し、固形分50%のエマルションを得た。
【0034】
製造例4〜6 エマルション樹脂の製造
表1に示した処方で製造例1と同様の操作でエマルションを製造した。
【0035】
表1に、製造例1〜6で得られたエマルション樹脂のTg、酸価およびポリスチレン換算のGPCで求めた数平均分子量を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1
表2に示した配合で作成された顔料ペースト75.47部に、表3に示したノニオン界面活性剤を所定量添加してから、製造例1で得られたエマルション樹脂23.38部と、サンノプコ社製ウレタン変性ポリエーテル系増粘剤SNシックナー612の水希釈物(有効成分12%)1.15部とを加えてPVC60%のエマルション塗料を作成した。得られた塗料を用いて、以下に示した試験板の作成および評価を行った。その結果を表3に示す。
【0038】
試験板の作成
〈付着性試験板〉
フレキシブル板(150×70×4mm)にニッペウルトラシーラーII透明(日本ペイント社製)を原液のまま塗布量0.1Kg/m2になるように刷毛で塗装し、24時間室温で乾燥した。この表面に実施例1で得られたエマルション塗料を7%水希釈したものを塗布量0.15Kg/m2になるように刷毛で塗装し、3時間室温で乾燥後、再度塗装を行い、その後72時間室温で乾燥して、性能評価のための試験板を作製した。
【0039】
〈造膜性試験板〉
ガラス板(70×150×4mm)に実施例1で得られたエマルション塗料を無希釈のまま、フィルムアプリケーター30MILを用いて、室温でJIS K5400.3.3(7)表2に示す条件で塗装し、24時間、室温で乾燥することにより造膜性評価のための試験板を作製した。
【0040】
〈表面粘着性試験板〉
ガラス板(70×150×4mm)に実施例1で得られたエマルション塗料を無希釈のまま、フィルムアプリケーター6MILを用いて、室温ににてJIS K5400.3.3(7)表2に示す条件で塗装し、72時間、室温で乾燥することにより表面粘着性評価のための試験板を作製した。
【0041】
〈耐水性試験板〉
JIS K 5663 5.9(1)に準拠して作成した。
〈耐アルカリ性試験板〉
JIS K 5663 5.10(1)に準拠して作成した。
〈耐洗浄性試験板〉
JIS K 5663 5.11(1)に準拠して作成した。
【0042】
試験方法と評価
〈低温安定性〉
JIS K 5663 5.5に準じて行った。
評価:−5℃に冷却したとき変質しないものを合格(◯)とした。
〈耐水性〉
JIS K 5663 5.9に準じて行った。
評価:水に浸したとき異常がないものを合格(◯)とした。
〈耐アルカリ性〉
JIS K 5663 5.9に準じて行った。
評価:アルカリに浸したとき異常がないものを合格(◯)とした。
〈耐洗浄性〉
JIS K 5400 5.11に準じて行った。
評価:洗浄に耐えるものを合格(◯)とした。
【0043】
〈付着性〉
試験方法:JIS K 5400 8.5.2に準じて行った。ただし、規定条件は次の通りとした。
【0044】
カッターガイド:隙間間隔5mm ます目の数9
試験板:フレキシブル板
評価:JIS K 5400 8.5.1の表18に示された6点以上で合格(◯)とした。
【0045】
〈造膜性〉
評価:試験板の塗膜を10倍ルーペにて表面を観察。ワレがないものを合格(◯)とした。
〈表面粘着性〉
JIS K 5400 8.12に準じて行った。
評価:見本品と比べても粘着性が大きくないものを合格(◯)とした。
【0046】
実施例2および3
表3に示す様にエマルション樹脂の種類、界面活性剤の種類と量を変える以外は実施例1と同様にエマルション塗料組成物を作成した。それぞれの塗料について、実施例1と同様に試験板を作製して評価を行い、表3に示す結果を得た。
【0047】
比較例1〜6
表3に示す様にエマルション樹脂の種類、界面活性剤の種類と量を変える以外は実施例1と同様にエマルション塗料組成物を作成した。それぞれの塗料について、実施例1と同様に試験板を作製して評価を行い、表3に示す結果を得た。
【0048】
比較例7
表2に示した配合で作製された顔料ペースト35部に、ニューコール509(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、HLB18.0を0.5部、製造例2で得らたエマルション樹脂63.85部、およびサンノプコ社製ウレタン変性ポリエーテル系増粘剤SNシックナー612の水希釈物(有効成分12%)1.15部を加えてPVC20%の塗料組成物を調整した。実施例1と同様に試験板を作製して評価を行い、表3に示す結果を得た。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】
本発明のエマルション塗料組成物は、有機溶剤成分を含有しない、いわゆる零VOCのエマルション塗料である。よって、塗装時および乾燥時の悪臭や有害物質による健康阻害を最小限に抑えることができる。また、本発明のエマルション塗料組成物は、VOCとなる造膜助剤および凍結安定剤を使用しなくても、塗料に求められる性能を満足させるものである。また、本発明のエマルション塗料組成物は、安価な原材料を使用することにより零VOCを達成しているため、塗料の製造コスト上昇を最小限に抑えることができる。
Claims (2)
- (a)エチレン性不飽和モノマーを重合して得られるTgが−60〜−10℃、数平均分子量が5000〜20000、および酸価が15〜50であるエマルション樹脂、
(b)顔料および
(c)HLBが12.5〜18.5のノニオン性界面活性剤を含有する塗料組成物であって、
塗料組成物中の前記(a)エマルション樹脂の含有量が樹脂固形分で3重量%以上、前記(b)顔料の含有量が顔料体積濃度で25%以上、および前記(c)ノニオン性界面活性剤の含有量が0.2〜5重量%であり、
零VOCであり、造膜助剤及び凍結安定剤を使用しない
ことを特徴とするエマルション塗料組成物。 - 前記エマルション樹脂中の粒子が複層構造であることを特徴とする請求項1記載のエマルション塗料組成物
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