JP7163444B2 - 塗料組成物および塗膜 - Google Patents
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Description
その他の有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、塗料業界において通常使用されている有機溶剤を用いることができる。例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒等の各種有機溶剤が使用できるが、水溶性の有機溶剤を含むことが好ましい。
[FOXの計算式]
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・+Wn/Tgn
なお、FOXの計算式において、左辺の分母に記載されたTgは、N種類のモノマーからなるポリマー成分のガラス転移温度(単位:K)を表しており、Tg(1、2、i、N)は、各モノマーのガラス転移温度(単位:K)を表しており、W(1、2、i、N)は、各モノマーの質量分率であり、W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1の関係が成立する。ここで、モノマーのガラス転移温度とは、そのホモポリマーのガラス転移温度を意味する。
<測定条件>
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
周波数:1Hz
歪み:0.05%
<測定条件>
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
周波数:1Hz
歪み:0.05%
<測定条件>
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
周波数:1Hz
歪み:0.05%
<測定条件>
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
周波数:1Hz
歪み:0.05%
<アクリルエマルションA>
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置および窒素導入管を備えたフラスコに、イオン交換水40.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.5部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)0.2部仕込み、フラスコ内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム0.2部を加える。次いでメチルメタクリレート15.5部、ブチルアクリレート1.5部、スチレン1.8部、アクリル酸80%水溶液1.2部、イオン交換水11.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)1.0部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)0.5部の単量体乳化物からなる滴下用プレエマルションを調製し、120分にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて、フラスコ内の温度を80℃に維持したまま、スチレン2.0部、ブチルアクリレート9.6部、メチルメタクリレート9.4部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート2.0部、グリシジルメタクリレート1.0部、イオン交換水10.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.2部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)0.1部の単量体乳化物からなる滴下用プレエマルションを調製し、120分にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに撹拌を続けながら120分間熟成した。室温まで冷却し、固形分43%、pH8.5に調整し、アクリルエマルションAを得た。前記で得られた樹脂エマルションに含まれる1段目のエマルション粒子のガラス転移温度は84.9℃、2段目のエマルション粒子のガラス転移温度は15.0℃およびエマルション粒子全体のガラス転移温度は42.8℃であった。また、アクリルエマルションAは架橋構造を含むため、分子量は測定不可であった。
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置および窒素導入管を備えたフラスコに、イオン交換水31.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.5部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)0.2部仕込み、フラスコ内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム0.2部を加える。メチルメタクリレート18.0部、ブチルアクリレート17.0部、スチレン13.0部、アクリル酸80%水溶液1.2部、イオン交換水21.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)1.5部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)1.0部の単量体からなる滴下用プレエマルションを調製し、120分にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに攪拌を続けながら120分間熟成した。室温まで冷却し、固形分50%、pH8.0に調整し、アクリルエマルションBを得た。前記で得られたアクリルエマルションBのガラス転移温度は28.1℃であった。また、GPCを用いて測定したアクリルエマルションBの重量平均分子量は10万以上であった。
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置および窒素導入管を備えたフラスコに、イオン交換水31.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.5部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)0.2部仕込み、フラスコ内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム0.2部を加え、次いでメチルメタクリレート13.0部、ブチルアクリレート10.5部、アクリル酸80%水溶液1.2部、イオン交換水11.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)1.0部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)0.5部からなる滴下用プレエマルションを調製し、120分にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて、フラスコ内の温度を80℃に維持したまま、ブチルアクリレート3.5部、メチルメタクリレート21.0部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーンKBM503)0.5部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーンKBM403)0.5部、イオン交換水10.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.2部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)0.1部からなる滴下用プレエマルションを調製し、120分にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに撹拌を続けながら120分間熟成した。室温まで冷却し、固形分50%、pH8.5に調整し、アクリルエマルションCを得た。前記で得られた樹脂エマルションに含まれる1段目のエマルション粒子のガラス転移温度は15.2℃、2段目のエマルション粒子のガラス転移温度は70.1℃およびエマルション粒子全体のガラス転移温度は40.6℃であった。また、アクリルエマルションCは架橋構造を含むため、分子量は測定不可であった。
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置および窒素導入管を備えたフラスコに、イオン交換水31.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.5部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)0.2部仕込み、フラスコ内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム0.2部を加え、メチルメタクリレート24.0部、ブチルアクリレート9.0部、スチレン15.5部、アクリル酸80%水溶液1.2部、イオン交換水21.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)1.5部、2-ポリオキシエチレン-4-ノニル-2-プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)1.0部の単量体からなる滴下用プレエマルションを調製し、120分にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに攪拌を続けながら120分間熟成した。室温まで冷却し、固形分50%、pH8.5に調整し、アクリルエマルションDを得た。前記で得られたアクリルエマルションDのガラス転移温度は59.7℃であった。また、GPCを用いて測定したアクリルエマルションDの重量平均分子量は10万以上であった。
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置および窒素導入管を備えたフラスコに、イオン交換水31.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.5部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(第一工業製薬(株)製;ノイゲンET-170)0.2部仕込み、フラスコ内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム0.2部を加え、スチレン9.0部、メチルメタクリレート10.5部、ブチルアクリレート2.0部、アクリル酸80%水溶液0.5部、イオン交換水11.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.5部、の単量体からなる滴下用プレエマルションを調製し、120分にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、引き続いて、フラスコ内の温度を80℃に維持したまま、スチレン6.0部、ブチルアクリレート12.5部、メチルメタクリレート2.5部、アクリル酸80%水溶液0.5部、ダイアセトンアクリルアミド1.0部、イオン交換水11.0部、α-スルホナト-ω-(1-(アリルオキシメチル)-アルキルオキシポリオキシエチレン)アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)0.5部の単量体からなる滴下用プレエマルションを調製し、120分にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに撹拌を続けながら120分間熟成した。室温まで冷却し、固形分46%、pH9.0に調整し、アクリルエマルションEを得た。前記で得られた樹脂エマルションに含まれる1段目のエマルション粒子のガラス転移温度は80.1℃、2段目のエマルション粒子のガラス転移温度は-5.3℃およびエマルション粒子全体のガラス転移温度は31.5℃であった。また、アクリルエマルションEは架橋構造を含むため、分子量は測定不可であった。
<アクリルディスパージョンA>
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下装置および窒素導入管を備えた反応器中に、メチルエチルケトン10部を仕込み、反応器内部を窒素で置換しながら、90℃まで昇温した。続いて、予め別容器にて攪拌混合しておいた、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(日油株式会社性;ノフマーMSD)0.3部、スチレン7.9部、メチルメタクリレート3.9部、ターシャリーブチルメタクリレート6.8部、n-ブチルアクリレート6.4部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート1.0部、及びtert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.3部の混合物B-1を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度を保持したまま、更に予め別容器にて攪拌混合しておいた、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.3部、及びメチルエチルケトン1.0部の混合物を、1時間かけて滴下した。得られた混合物を、同温度を保持したまま、6時間攪拌を続けて反応させた後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.5部、メチルエチルケトン1.0部を加え、更に2時間攪拌を続けた。続いて、予め別容器にて攪拌混合しておいた、スチレン1.3部、メチルメタクリレート3.9部、n-ブチルアクリレートを1.3部、メタクリル酸2.0部、及びtert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.2部の混合物B-2を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度を保持したまま、更に予め別容器にて攪拌混合しておいた、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.2部とメチルエチルケトン1.0部の混合物を、1時間かけて滴下した。得られた混合物を、同温度を保持したまま、6時間攪拌を続けて反応させた後、冷却した。得られた混合物に、トリエチルアミン2.3部を加えて攪拌し、更にイオン交換水47.86部を加えた。このものから、エバポレーターを用いて減圧下(約50mmHg)、50℃にてメチルエチルケトン12部を留去し、次いでイオン交換水7.5部、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル5.0部、消泡剤0.02部、防腐剤0.02部を加えて、加熱残分35%のアクリルディスパージョンBを得た。アクリルディスパージョンBに含まれる樹脂は、ガラス転移点Tgが50℃、重量平均分子量が37000であった。
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下装置および窒素導入管を備えた反応器中に、メチルエチルケトン10部を仕込み、反応器内部を窒素で置換しながら、90℃まで昇温した。続いて、予め別容器にて攪拌混合しておいた、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(日油株式会社性;ノフマーMSD)0.3部、スチレン7.9部、メチルメタクリレート7.9部、n-ブチルアクリレート9.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート1部、及びtert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.3部の混合物B-1を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度を保持したまま、更に予め別容器にて攪拌混合しておいた、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.3部、及びメチルエチルケトン1部の混合物を、1時間かけて滴下した。得られた混合物を、同温度を保持したまま、6時間攪拌を続けて反応させた後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート0.5部、メチルエチルケトン1部を加え、更に2時間攪拌を続けた。続いて、予め別容器にて攪拌混合しておいた、スチレン1.3部、メチルメタクリレート1.3部、n-ブチルアクリレートを3.9部、メタクリル酸2部、及びtert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.2部の混合物B-2を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度を保持したまま、更に予め別容器にて攪拌混合しておいた、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.2部とメチルエチルケトン1部の混合物を、1時間かけて滴下した。得られた混合物を、同温度を保持したまま、6時間攪拌を続けて反応させた後、冷却した。得られた混合物に、トリエチルアミン2.3部を加えて攪拌し、更にイオン交換水47.86部を加えた。このものから、エバポレーターを用いて減圧下(約50mmHg)、50℃にてメチルエチルケトン12部を留去し、次いでイオン交換水7.5部、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル5部、消泡剤0.02部、防腐剤0.02部を加えて、加熱残分35%のアクリルディスパージョンBを得た。アクリルディスパージョンBに含まれる樹脂は、ガラス転移点Tgが21℃、重量平均分子量が40000であった。
攪拌機、温度計、窒素導入管、コンデンサーを備えたガラス製丸底フラスコにETERNACOLL UH-200(登録商標;宇部興産製ポリカーボネートジオール;数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g;1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)261部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)17.5部及びN-メチルピロリドン(NMP)166部を窒素気流下で仕込んだ。4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)を115部、ジブチル錫ジラウリレート(触媒)を0.3部加えて90℃まで加熱して5時間攪拌を続け、ポリウレタンプレポリマーを得た。ウレタン化反応終了時の遊離NCO基含量は2.50%であった。反応混合物にトリエチルアミン13.3部を添加・混合したものの中から512部を抜き出して、強攪拌下のもと水850部の中に加えた。ついで35%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(MPMD)水溶液33.6部を加えて鎖延長反応を行い、35%ブチルアミン(BA)水溶液22.3部を加えて分子末端の封止反応を行って、加熱残分35%のポリウレタンディスパージョンを得た。得られたポリウレタンディスパージョンのガラス転移温度Tgは30℃、また重量平均分子量は40,000であった。
攪拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、メチルエチルケトン125部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製:エポトートYD-014、エポキシ当量950)210部、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株):デナコールEX-841)75部を加え、窒素気流下100℃で溶解させた後、オクチルアミン22.0部、ジブチルアミン14.7部を加え5時間反応させ、変性エポキシ樹脂を得た。ついで、当該反応系内に、アクリル酸16.0部、スチレン10.0部、アクリル酸ブチル10.0部、メチルエチルケトン40.0部およびtert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート12.0部からなる混合物を1時間かけて滴下し4時間保温した。80℃に冷却後、トリエチルアミン21.0部および水500部を順に添加混合することにより水分散物を得た。次いで脱溶剤を行い、不揮発分を水にて37.0%に調整し、pH9.7、重量平均分子量20000、固形分酸価31、ガラス転移温度55℃のエポキシディスパージョンAを得た。
窒素ガス置換した4つ口フラスコに、n-ブタノールを120部とビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製:エピコート1010、エポキシ当量3000~5000)を150部とを仕込み、加熱溶解した。この溶液に、メタクリル酸を25部、スチレンを11部、エチルアクリレートを1.0部、過酸化ベンゾイルを3.0部とn-ブタノールを10部からなる、それぞれの原料成分を均一に混合したものを、フラスコ内を110℃に保ちながら攪拌しつつ、2時間かけて、徐々に、滴下した。滴下終了後も、さらに同温度で4時間攪拌し、固形分が58%なるカルボキシル基含有自己乳化性ビニル重合体変性エポキシ樹脂溶液を得た。続いて、窒素ガスを封入した4つ口フラスコに上記カルボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂溶液100部を仕込み、これを100℃まで加熱し、ジメチルエタノールアミンを4.0部とイオン交換水を260部との混合液を、攪拌しながら、10分かけて滴下し、目的とする樹脂の水性分散体を得た。さらに、減圧下にて、n-ブタノールと水とを共沸蒸留によって130部留去し、不揮発分が25%なる、溶剤を含まない目的樹脂のエポキシディスパージョンBを得た。エポキシディスパージョンBのガラス転移温度は70℃、重量平均分子量は58000であった。
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下装置および窒素導入管を備えた反応器中に、メチルエチルケトン15部を仕込み、反応器内部を窒素で置換しながら、90℃まで昇温した。続いて、予め別容器にて攪拌混合しておいた、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(日油株式会社性;ノフマーMSD)0.05部、スチレン5.0部、メチルメタクリレート5.0部、n-ブチルアクリレート13.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.3部、メタクリル酸3.85部、及びtert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.3部の混合物を、5時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度を保持したまま、更に予め別容器にて攪拌混合しておいた、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)0.3部とメチルエチルケトン2部の混合物を、1時間かけて滴下した。得られた混合物を、同温度を保持したまま、6時間攪拌を続けて反応させた後、冷却した。得られた混合物に、トリエチルアミン4.5部を加えて攪拌し、更にイオン交換水42.7部を加えた。このものから、エバポレーターを用いて減圧下(約50mmHg)、50℃にてメチルエチルケトン15.0部を留去し、次いでイオン交換水10部、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル5.0部、消泡剤0.02部、防腐剤0.02部を加えて、加熱残分35%のアクリル樹脂水溶液を調製し、水溶性アクリル樹脂を合成した。アクリル樹脂水溶液に含まれる水溶性アクリル樹脂は、ガラス転移点Tgが22℃、重量平均分子量Mwが45000であった。
尚、上記アクリルエマルションA~E、アクリルディスパージョンA、B、ウレタンディスパージョン、エポキシディスパージョンA、B、及びアクリル樹脂水溶液について、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、以下のFOXの計算式によって求めた。
[FOXの計算式]
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・+Wn/Tgn
なお、FOXの計算式において、左辺の分母に記載されたTgは、N種類のモノマーからなるポリマー成分のガラス転移温度(単位:K)を表しており、Tg(1、2、i、N)は、各モノマーのガラス転移温度(単位:K)を表しており、W(1、2、i、N)は、各モノマーの質量分率であり、W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1の関係が成立する。ここで、モノマーのガラス転移温度とは、そのホモポリマーのガラス転移温度を意味する。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したものであり、予め作成した標準ポリスチレンの検量線から求めた換算値を使用した。
調製したアクリルエマルションA~E、アクリルディスパージョンA、B、ウレタンディスパージョン、エポキシディスパージョンA、B、及びアクリル樹脂水溶液を用いて、表1~3に示す配合処方に伴う成分をディスパーにより撹拌して、水性塗料を調製した。なお、表に示す配合処方における各成分の配合量は、質量部で示される。
次いで、水性塗料の乾燥性、耐ブロッキング性、初期耐水性、及び防食性について評価を行った。結果を表1~3に示す。なお、評価方法は後述する。
・体質顔料(沈降性硫酸バリウム):「沈降性バリウム100」、堺化学工業(株)製
・防錆顔料(リン酸亜鉛):「K-WHITE #140W」、テイカ(株)製
・着色顔料(酸化チタン):「R-32」、堺化学工業(株)製
・分散剤:「DISPERBYK-194N」、ビックケミージャパン(株)製
表中の「PVC」は、顔料体積濃度であり、水性塗料中の塗膜形成成分全体の容積の中で、顔料全体の容積が占める割合である。
乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケーターを用いて表中の配合処方に示される樹脂成分の混合物を予め80℃に加温しておいたポリプロピレン(PP)板へ塗布し、80℃で30分間強制乾燥して、表中の配合処方の樹脂成分からなる単離膜を得た。RSA-GII(TAインスツルメント社製)を用いて、以下の測定条件にて各温度での単離膜の損失弾性率及び貯蔵弾性率を測定し、損失弾性率及び貯蔵弾性率から損失正接を算出し、損失正接の温度変化曲線を作成し、損失正接のスペクトルピーク値を読み取った。
<測定条件>
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
周波数:1Hz
歪み:0.05%
乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケーターを用いて予め80℃に加温しておいたポリプロピレン(PP)板へ水性塗料を塗布し、80℃で30分間強制乾燥して、単離膜を得た。RSA-GII(TAインスツルメント社製)を用いて、以下の測定条件にて単離膜の貯蔵弾性率を測定し、塗膜の平坦領域貯蔵弾性率を読み取った。
<測定条件>
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
周波数:1Hz
歪み:0.05%
乾燥膜厚が50μmとなるようにアプリケーターを用いて予め80℃に加温しておいたポリプロピレン(PP)板へ水性塗料を塗布し、80℃で30分間強制乾燥して、単離膜を得た。RSA-GII(TAインスツルメント社製)を用いて、以下の測定条件にて単離膜の貯蔵弾性率を測定し、貯蔵弾性率の変化点(低下開始温度)をTg1として読み取り、これを軟化点とした。
<測定条件>
温度範囲:-50℃~200℃
昇温速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
周波数:1Hz
歪み:0.05%
表中の「分子量10万以上、又は架橋構造を有する樹脂(%)」は、表中の配合処方に示される樹脂成分全体における分子量10万以上の樹脂または架橋構造を有する樹脂の割合(質量%)を示す。
<乾燥性>
表面の温度が40℃±5℃に保持された鋼板上に、塗装直後の膜厚が100μmとなるよう水性塗料を塗装した後、鋼板の塗装表面を40℃±5℃に保持した状態で、得られた塗膜の表面乾燥性をJIS K 5600-3-2の試験方法(バロチニ法)に準じて評価した。バロチニを軽く刷毛ではいて、塗膜の表面にきずを付けずに、バロチニが除去できるまでの時間を表面乾燥時間とし、以下の基準により乾燥性の評価を行った。
◎:表面乾燥時間が3分未満
○:表面乾燥時間が3分以上5分未満
△:表面乾燥時間が5分以上10分未満
×:表面乾燥時間が10分以上
表面の温度が80℃±5℃に保持された100×100×0.3mmのブリキ板2枚に、それぞれ塗装直後の膜厚が100μmとなるよう水性塗料を塗装した後、100℃で30分間強制乾燥させ、試験体を作製した。試験体2枚をその塗膜面を内側にして重ね、均等になるようにして20kg(0.2kg/cm2)の錘をのせ、40℃±5℃に保持した状態で30分間加圧した後、錘を外して圧着状態と剥離の具合から、以下の基準により耐ブロッキング性の評価を行った。
◎:圧着が認められず、塗膜表面に跡が残らない。
○:軽い圧着が認められるが、塗膜表面に跡が残らない。
△:圧着が認められ、塗膜表面に跡が残る。
×:圧着が認められ、塗膜表面に剥離が認められる。
表面の温度が80℃±5℃に保持されたSS400のブラスト板を用いて、乾燥膜厚が100μmとなるように水性塗料の塗装を行った後、100℃で30分間強制乾燥した後、得られた試験板の下半分を23℃の水道水に24時間浸せきし、取り出した試験板の外観をただちに観察し、以下の基準により初期耐水性の評価を行った。
◎:浸せき部の塗膜に膨れがなく、非浸せき部と比較して目視で色相の差がなかった。
○:浸せき部の塗膜に膨れはないが、非浸せき部との色相の差が明確であった。
△:浸せき部の塗膜に一部膨れが認められた。
×:浸せき部の塗膜全体に膨れが認められた。
表面の温度が80℃±5℃に保持されたSS400のブラスト板を用いて、乾燥膜厚が100μmとなるように水性塗料の塗装を行った後、100℃で30分間強制乾燥し、得られた塗膜にクロスカットを入れて、試験板を作製した。作製した試験板を、JIS Z2371:2015の方法に従って1週間塩水を噴霧した。試験後の試験板を以下の評価基準に基づいて評価した。また、クロスカットを入れていない塗膜部分を一般部、クロスカットを入れた塗膜部分をカット部とする。
◎:一般部に錆・膨れがなく、カット部には切り込みから1mm未満の個所にしか膨れがない。
○:一般部に錆・膨れがなく、カット部の切り込みから3mm未満の個所にしか膨れがない。
△:一般部に錆・膨れがなく、カット部の切り込みから5mm未満の個所にしか膨れがない。
×:カット部の切り込みから5mm以上の部分にも膨れが生じ、一般部に錆・膨れがある。
Claims (5)
- 水、有機溶剤、顔料、樹脂を含む塗料組成物であって、
顔料体積濃度(PVC)が0.1~35%の範囲内であり、
前記樹脂は、JIS K7244-4に基づく固体粘弾性測定装置を用いて、測定周波数1Hzにて測定される損失正接(tanδ)の温度変化曲線におけるスペクトルピークの少なくとも1つが45℃以上180℃以下にあり、
前記塗料組成物から形成した塗膜が2点以上の軟化点を有し、そのうちの軟化点の1点が-19℃以上25℃未満であるとともに別の1点が45℃以上であり、
前記樹脂が分子量10万未満の樹脂を樹脂成分中に1~30質量%の範囲内で含むとともに、分子量10万以上の樹脂または架橋構造を有する樹脂を樹脂成分中に20~99質量%の範囲内で含み、
前記塗料組成物が架橋形成成分を含むことを特徴とする塗料組成物。 - 前記塗料組成物から形成した塗膜の架橋密度が、1.0×10 -6~1.0×10 -2(mol/cc)の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の塗料組成物。
- 前記樹脂がSP値9.2~9.9の範囲内である単量体を構成成分として1種以上含むとともに、前記有機溶剤がSP値8.0~11.1、沸点が160~260℃の範囲内である有機溶剤を1種以上含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の塗料組成物。
- 前記樹脂が異相構造を有する樹脂粒子を含み、前記樹脂粒子が、45℃未満と、55℃~95℃の少なくとも2点のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の塗料組成物。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の塗料組成物から得られる塗膜であって、該塗膜は予め加温しておいた鋼板上に100μm塗装し、鋼板が35~45℃を保持した条件にて、JIS K 5600-3-2に準じて測定される表面乾燥性(バロチニ法)における表面乾燥時間が10秒~5分であることを特徴とする塗膜。
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