JP3499167B2 - マンガン酸リチウム及びこれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

マンガン酸リチウム及びこれを用いたリチウム二次電池

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幸一 沼田
真幸 芳尾
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Compounds Of Iron (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マンガン酸リチウ
ム及びこれを用いたリチウム二次電池に関し、詳しくは
Li(8aサイト)とMn(16dサイト)とを他の元
素で置換したマンガン酸リチウム及びこれを用いたリチ
ウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年の
パソコンや電話等のポータブル化、コードレス化の急速
な進歩によりそれらの駆動用電源としての二次電池の需
要が高まっている。その中でもリチウム二次電池は最も
小型かつ高エネルギー密度を持つため特に期待されてい
る。
【0003】そして、スピネル構造を有するマンガン酸
リチウム(LiMn2 4 )は、リチウム二次電池用の
正極材料として期待されている。その理由として、マン
ガンが安価であること、毒性が低いことが挙げられる。
この材料の短所は、148mAh/gと理論容量が小さ
いこと及びサイクル特性が不充分であることである。サ
イクル特性改善のためにマンガンを他の元素で置換する
ことが試みられている。幾つかの置換元素でサイクル特
性の改善が認められているが、可逆容量が低下してしま
うことが知られている。コバルト酸リチウム(LiCo
2 )やニッケル酸リチウム(LiNiO2 )等は大き
い可逆容量を有しており、LiMn2 4 において、サ
イクル特性確保のために可逆容量が低下してしまうこと
は実用化において大きな課題である。
【0004】従来、リチウム二次電池用のマンガン酸リ
チウムへ他元素を置換する場合には、主としてMn(1
6dサイト)への置換が試みられていた。
【0005】しかし、これら従前公知のマンガン酸リチ
ウムでは、リチウム二次電池としての電池特性が充分で
なく、理論容量に遠く及ばない。
【0006】従って、本発明の目的は、大きい可逆容量
を有するマンガン酸リチウム及びこれを用いた電池特性
に優れたリチウム二次電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、検討の結
果、Li(8aサイト)とMn(16dサイト)とを同
時に他の元素で置換することによって、上記目的が達成
し得ることを知見した。
【0008】 本発明は、上記知見に基づきなされたも
ので、下記一般式(1) (Li1-xx)(Mn2-yy)O4 … (1) [式中、AはMg、Feから選ばれる1種以上、BはA
lをそれぞれ示し、0<x≦0.25、0<y≦1]で
表されることを特徴とするマンガン酸リチウムを提供す
るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のマンガン酸リチウムは下
記一般式を有する。 (Li1-x x )(Mn2-y y )O4 … (1)
【0010】 上記一般式において、AはMg、Feか
ら選ばれる1種以上であり、BはAlである。また、x
は0<x≦0.25、yは0<y≦1である。xが0.
25を超えたり、yが1を超えた場合には、マンガン酸
リチウムに大きい可逆容量を付与することができない。
【0011】スピネル構造を有するマンガン酸リチウム
(LiMn2 4 )は、空間群Fd3mに属する立方晶
である。理想的にはリチウムイオンは四面体の8aサイ
トを、マンガンイオンは八面体の16dサイトを占め
る。これまでに報告されている異種元素置換の多くは1
6dサイト置換に関するものである。置換の形式を次式
のように仮定すると、 (Li)8a〔Mn2-x x 16d 4 マンガンの酸化数VMnは、置換元素の価数をkとする
と、 VMn=(8−1−kx)/(2−x)=(7−kx)
(2−x) 電池の容量はMn(III)とMn(IV)との間の酸
化還元によるので、容量Cは次のようになる。 C=(2−x)〔4−(7−kx)/(2−x)〕=4
(2−x)−(7−kx)=1−(4−k)x (mo
le Li/mole Spinel) となる。LiリッチスピネルLiMn2-x Lix 4
はC=1−3xとなる。
【0012】つまり、16dサイトをLiで1%置換す
ると、容量は約3%減少することになる。同様に2価、
3価の元素についても可逆容量の減少を求めることがで
きる。より高い酸化数を有する異種元素程可逆容量の低
下が小さい。これらの関係は数多くの元素で16dサイ
トを置換した際に確認されている。
【0013】もし、異種元素Mが8aサイトを置換した
とすると、理論容量の計算は上記とは異なることとな
る。(Li1-x x )Mn2 4 のように置換を仮定す
ると、マンガンの酸化数VMnは次のようになる。 VMn=(8−(1−x)−kx)/2=(7−(k−
1)x)/2 容量Cは次式のようになる。 C=2(4−(7−(k−1)x)/2)=8−7+
(k−1)x=1+(k−1)x
【0014】k>1の場合、Mn価数から求められる理
論容量は、無置換よりも大きくなることが期待される。
しかし、8aサイトを置換すると可動のリチウムは減少
し、理論容量はリチウムの存在量に依存することとな
る。つまり、C=1−xとなる。
【0015】但し、VMn<3.5となるとヤーンテラー
効果が強くなり、可逆性が低下することが予想される。
16dサイトだけを異種元素で置換するとサイクル特性
が改善されるが、容量は減少する。従って、上述のよう
に同時に8aサイトを置換すればサイクル特性を改善す
ると共に容量を確保することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例等に基づき具体的に説
明する。
【0017】〔実施例1〕Li:Fe:Mn:Al=
0.97:0.03:1.75:0.25(モル比)と
なるように炭酸リチウム、酸化鉄、二酸化マンガン及び
水酸化アルミニウムを秤量・混合し、850℃で20時
間焼成した。得られた焼成品を再度混合した後、900
℃で20時間焼成し、マンガン酸リチウム(Li0.97
0.03Mn1. 75Al0.254 )を得た。
【0018】〔実施例2〕Li:Fe:Mn:Al=
0.94:0.06:1.75:0.25(モル比)と
なるように炭酸リチウム、酸化鉄、二酸化マンガン及び
水酸化アルミニウムを秤量・混合し、850℃で20時
間焼成した。得られた焼成品を再度混合した後、900
℃で20時間焼成し、マンガン酸リチウム(Li0.94
0.06Mn1. 75Al0.254 )を得た。
【0019】〔比較例1〕Li:Mn:Al=1.0:
1.75:0.25(モル比)となるように炭酸リチウ
ム、二酸化マンガン及び水酸化アルミニウムを秤量・混
合し、850℃で20時間焼成した。得られた焼成品を
再度混合した後、900℃で20時間焼成し、マンガン
酸リチウム(LiMn1.75Al0.254 )を得た。
【0020】実施例1、実施例2及び比較例1で得られ
たマンガン酸リチウム粉末についてX線回折測定を行っ
た。X線回折パターンを図1に示すと共に、その縦軸を
拡大した図を図2に示す。図1及び図2に示されるよう
に、Feを加えることによって220面の反射強度が高
くなり、400面の反射強度が低くなっている。これは
8aサイトに異種元素が置換されたことに対応する。
【0021】次に、実施例1、実施例2及び比較例1で
得られたマンガン酸リチウムを用いて金属リチウム対極
でモデルセルを作製し、3.0〜4.5Vの電圧範囲で
充放電を実施した。図3にこの充放電曲線を示す。図3
に示されるように、Feの添加によって充放電電圧が若
干高くなり、容量が増大していることが判る。この容量
の増加は8aサイトに異種元素が置換されたことに対応
する。
【0022】〔実施例3〕Li:Mg:Mn:Al=1
−x:x:1.75:0.25(モル比)でx=0.0
1、0.03、0.05、0.07、0.09、0.1
0となるように炭酸リチウム、酸化マグネシウム、二酸
化マンガン及び水酸化アルミニウムを秤量・混合し、8
50℃で20時間焼成した。得られた焼成品を再度混合
した後、900℃で20時間焼成し、マンガン酸リチウ
ム(Li1-x Mgx Mn1.75Al0. 254 )を得た。
【0023】〔比較例2〕Li:Mn:Al=1.0:
1.75:0.25(モル比)となるように炭酸リチウ
ム、二酸化マンガン及び水酸化アルミニウムを秤量・混
合し、850℃で20時間焼成した。得られた焼成品を
再度混合した後、900℃で20時間焼成し、マンガン
酸リチウム(LiMn1.75Al0.254 )を得た。
【0024】実施例3で得られた各マンガン酸リチウム
のX線回折測定を行い、格子定数(a軸)を求めた。図
4に格子定数のMg置換量依存性を示す。図4に示され
るように、Mg量が増加すると格子定数が大きくなって
いる。これは8aサイトにMgが入り、マンガンの平均
価数が下がったことに対応すると考えられる。
【0025】また、実施例3にで得られたマンガン酸リ
チウム(Li0.90Mg0.10Mn1.75Al0.254 )及び
比較例2で得られたマンガン酸リチウムを用いて金属リ
チウム対極でモデルセルを作製し、3.0〜4.5Vの
電圧範囲で充放電を実施した。図5にこの充放電曲線を
示す。図5に示されるように、Mgの添加によって充放
電電圧が若干高くなり、容量が増大していることが判
る。この容量の増加は実施例1及び実施例2の場合と同
様に、8aサイトに異種元素が置換されたことに対応す
ると考えられる。
【0026】
【発明の効果】本発明の大きい可逆容量を有するマンガ
ン酸リチウムを用いると、リチウム二次電池の電池特性
に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1、実施例2及び比較例1のX
線回折パターンを示すグラフである。
【図2】図2は、図1の縦軸を拡大したX線回折パター
ンを示すグラフである。
【図3】図3は、実施例1、実施例2及び比較例1にお
ける充電放電試験結果を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例3における格子定数のMg置換
量(x)依存性を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例3及び比較例2における充電放
電試験結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−73960(JP,A) 特開 平2−139861(JP,A) 特開 平11−16571(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 25/00 - 47/00 H01M 4/02 H01M 4/58 H01M 10/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) (Li1-xx)(Mn2-yy)O4 … (1) [式中、AはMg、Feから選ばれる1種以上、BはA
    lをそれぞれ示し、0<x≦0.25、0<y≦1]で
    表されることを特徴とするマンガン酸リチウム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のマンガンリチウムを正
    極材料とするリチウム二次電池。
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DE102008029804A1 (de) * 2008-06-24 2010-07-08 Süd-Chemie AG Mischoxid enthaltend einen Lithium-Mangan-Spinell und Verfahren zu dessen Herstellung
KR102167121B1 (ko) 2017-10-11 2020-10-16 주식회사 엘지화학 양극 활물질, 이의 제조방법, 및 이를 포함하는 리튬 이차전지

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