JP3498711B2 - 塩化第一銅の製造方法 - Google Patents

塩化第一銅の製造方法

Info

Publication number
JP3498711B2
JP3498711B2 JP2001028572A JP2001028572A JP3498711B2 JP 3498711 B2 JP3498711 B2 JP 3498711B2 JP 2001028572 A JP2001028572 A JP 2001028572A JP 2001028572 A JP2001028572 A JP 2001028572A JP 3498711 B2 JP3498711 B2 JP 3498711B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cuprous chloride
reaction furnace
producing
chloride
molten metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001028572A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002234729A (ja
Inventor
悦郎 小林
英旨 松崎
篤思 村田
一義 本多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2001028572A priority Critical patent/JP3498711B2/ja
Publication of JP2002234729A publication Critical patent/JP2002234729A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3498711B2 publication Critical patent/JP3498711B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅と塩素ガスを出
発原料として塩化第一銅の溶湯を製造する塩化第一銅の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化第一銅は、フタロシアニン系顔料の
合成原料として使用されており、通常は反応炉で製造さ
れた溶湯を粒状化したものが使用されている。この塩化
第一銅は、まず反応炉中で原料銅を塩素ガスにより塩素
化して塩化第二銅を含む溶湯を製造し、さらに別の反応
炉でこの塩化第二銅を還元することにより塩化第一銅の
溶湯を製造する。そして、上記により製造された塩化第
一銅の溶湯を、回転円板式造粒機や噴射式造粒機などに
より粒状化して粒状体とする。尚、上記回転円板式造粒
機とは、カーボンやセラミックス、石英などからなり表
面が平滑に加工された円板を回転させ、そのほぼ中央部
に上記溶湯を滴下することにより、円板の遠心力や溶湯
の表面張力を利用して溶湯を急冷して粒状化する装置で
ある。また噴射式造粒機とは、その要部に樋部と、この
樋部の下方に設けられたガス噴射管とを備えており、樋
部の先端から滴下された溶湯に向けてガス噴射管から乾
燥空気などの気体を噴射することにより、溶湯を急冷し
て粒状化する装置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の塩化
第一銅の製造工程においては、塩化第一銅及び塩化第二
銅を含む溶湯を製造する工程と、この塩化第二銅を含む
溶湯を還元することにより塩化第一銅を製造する工程と
を別々の工程として行っており、1回の製造毎に反応炉
を空にする必要があり、反応炉を長時間連続して稼働す
ることができないという問題があった。また、反応炉間
で溶湯を移し替える必要があるために、製造効率を高め
ることができないという問題があった。本発明は、上記
課題を解決するためになされたものであって、長時間連
続して塩化第一銅の溶湯を効率的に製造することが可能
な塩化第一銅の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は以下の構成を採用した。本発明の塩化第一
銅の製造方法は、原料としての銅を塩素ガスにより塩素
化して塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯を製造する
工程と、前記塩化第二銅を含む溶湯を還元して塩化第一
銅を製造する工程とを1基の反応炉において連続して行
うことを特徴とする。
【0005】本発明の塩化第一銅の製造方法は、上記塩
化第一銅の製造方法において、前記反応炉として第1の
反応部と第2の反応部とに区画されるとともに該両反応
部の一部を連通する流通部を備えたものを用い、前記第
1の反応部において、銅と塩素ガスにより塩化第一銅及
び塩化第二銅を含む溶湯を製造し、該溶湯を前記流通部
を介して前記第2の反応部に導入し、該第2の反応部に
おいて前記塩化第二銅を含む溶湯を還元して塩化第一銅
を製造することを特徴とする。
【0006】本発明の塩化第一銅の製造方法は、互いに
接続された第1の反応炉と第2の反応炉とを用い、前記
第1の反応炉において塩化第一銅及び塩化第二銅を含む
溶湯を製造する工程と、該第1の反応炉から第2の反応
炉へ前記溶湯を導入する工程と、該第2の反応炉におい
て前記溶湯を還元して塩化第一銅を製造する工程とを連
続的に行うことを特徴とする。
【0007】本発明の塩化第一銅の製造方法は、上記塩
化第一銅の製造方法において、前記塩化第一銅及び塩化
第二銅を含む溶湯を製造する工程において、銅と塩素と
の反応による発熱によって原料銅を溶融させて前記工程
が開始されることを特徴とする。
【0008】本発明の塩化第一銅の製造方法は、上記塩
化第一銅の製造方法において、前記塩化第一銅を製造す
るための反応炉から導出される塩化第一銅の溶湯の温度
を480〜800℃の範囲とすることを特徴とする。
【0009】本発明の塩化第一銅の製造方法は、上記塩
化第一銅の製造方法において、前記塩化第一銅及び塩化
第二銅を含む溶湯を製造するための反応炉の反応炉体外
周面の温度を0〜100℃の範囲とすることを特徴とす
る。
【0010】前記塩化第二銅または塩化第一銅を製造す
るための反応炉の内壁に、主に塩化第一銅からなる皮膜
を形成することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明するが、本発明は以下の実施の形態に限
定されるものではない。
【0012】(塩化第一銅の製造方法)図1は、本発明
に係る塩化第一銅の製造方法により塩化第一銅を製造す
るための反応炉の構造の一例を示す図であり、図1
(a)は、この反応炉の平面図、図1(b)は側断面図
である。これらの図に示す反応炉1は、横長の浴槽型形
状とされて上面側が開口されている反応炉体10と、こ
の反応炉体10の周面および底面部を覆って設けられて
いる冷却ジャケット装置(冷却装置)11と、反応炉体
10の先端部側(図示右側)に着脱自在に取り付けられ
たノズル装置12とを主体として構成されている。
【0013】図2(a)は、反応炉体10の平面図を示
し、図2(b)は側断面図を示し、図2(c)は正面図
を示す。図2(a)〜(c)に示す反応炉体10は、全
体がSiCを主成分とする耐熱セラミックスで構成され
たもので、細長い長方形状の底壁10Aと、両側壁10
Bと、後部壁10Cと、前部傾斜壁10Dとを主体とし
て浴槽型に形成されている。前記底壁10Aは反応炉体
10の全長の2/3程度を占める平底型のもので、この
底壁10Aに対して反応炉体10の全長の残り1/3程
度を占める前部傾斜壁10Dが連続形成され、前記底壁
10Aと前部傾斜壁10Dの幅方向両側にはこれらに一
体的に側壁10B、10Bが形成され、前記底壁10A
の後端部側には底壁10Aと両側壁10Bとに一体的に
平面視円弧状の後部壁10Cが形成されている。なお、
これら底壁10Aおよび前部傾斜壁10Dに対して両側
壁10Bと後部壁10Cとが接続される部分の内面側は
曲面加工部10Fとされている。また、反応炉1の上方
から反応炉体10の内部へ所定の間隔で4本の塩素導入
管14が挿入されている。
【0014】本発明に係る反応炉体10は、SiCを主
成分とする耐熱セラミックスで構成されているため、銅
を塩素化するために反応炉体10内部に導入される塩素
ガスとの反応による反応炉体10の劣化を抑えることが
できるので、長期間安定して塩化銅の溶湯を製造するこ
とが可能である。ここで、上記「SiCを主成分とす
る」とは、SiCを60原子%以上含有するということ
であり、このような材料の一例として、SiC:75〜
85%、SiO2:5〜10%、Al23:5〜10
%、Fe23:0.1〜1%の化学組成の耐熱セラミッ
クスを挙げることができる。尚、本実施形態では、図1
および図2に示す反応炉体10の全体が、SiCを主成
分とする材料からなる構成としたが、本発明に係る反応
炉体の構成はこれに限定されるものではなく、少なくと
も反応炉体10の内壁がSiCを主成分とする材料から
構成されていればよく、例えば、耐火レンガ、反応炉体
と同材の築炉用レンガ等からなる炉体の内壁にSiCを
主成分とする材料の皮膜を形成した反応炉体を用いるこ
ともできる。
【0015】前記反応炉体10の内部において底壁10
Aと前部傾斜壁10Dとの境界部分の上方には、図1
(a)に示すようにカーボンなどの耐熱材料からなる平
板状の堰板部13が両側壁10B、10Bに設けられた
溝13A、13Aに沿って嵌合されており、この堰板部
13により反応炉体10の内部空間が底壁10A側の第
1の反応部aと前部傾斜壁10D側の第2の反応部bと
に区画されるとともに、前記堰板部13の下端部13B
と底壁10Aとの間には流通部15が形成されている。
【0016】前記反応炉体10の前部傾斜壁10Dの上
部側が両側壁10B、10Bの上端部よりも1段低めら
れ、両側壁10B、10Bと前部傾斜壁10Dの先端部
により凹部型の嵌合部10Gが形成され、この嵌合部1
0Gに位置する前部傾斜壁上端部に丸型の嵌合溝10H
が形成されている。そして、この嵌合部10Gに対して
着脱自在にブロック本体16が装着され、このブロック
本体16に一体化されたノズル17が前記嵌合溝10H
に対して着脱自在に装着され、ブロック本体16とノズ
ル17から前記のノズル装置12が構成されている。こ
のノズル装置12のブロック本体16は例えば耐熱セラ
ミックスなどの材料から構成されており、反応炉体10
の嵌合部10Gに合わせた形状とされている。また、ノ
ズル17は、カーボンや耐熱セラミックスなど材料から
なる筒状部材であり、反応炉体10の溶湯はこのノズル
17を通って反応炉体10から流出される。ノズル17
は、ブロック本体16に耐熱性の接着材を用いて接着さ
れている。
【0017】図1に示す4本の塩素導入管14は、反応
炉1の上方から反応炉体10の内部へ挿入されて、反応
炉体10内の原料銅に塩素ガスを吹き付けるために設け
られている。この塩素導入管14は、石英ガラスなどの
耐熱材料からなる細管であり、その先端部14aが反応
炉体10の底壁10A近傍に配置されてる。そして、塩
素導入管14の先端部14aから塩素ガスが吐出される
ようになっている。図1に示す塩素導入管14の先端部
14aと反応炉体10の底壁10Aとの間隔Lは、1c
m以上10cm以下の範囲とされることが好ましい。間
隔Lが1cm未満であると塩素導入管14の先端部14
aから吐出された塩素ガスが反応炉体10へ到達して反
応炉体10の劣化の原因となる。また、間隔Lが10c
mより長くなると、塩素化されていない原料銅が反応炉
体10の底部に溜まり、反応の効率が悪くなる。
【0018】また、塩素導入管14は、その側面に塩素
導入管14の一部を貫通する1つまたは複数の吐出孔1
4bを備えている。このような構成としたことにより、
塩素導入管14の側面からも塩素ガスを吐出することが
できるので、反応炉体10の広範囲に塩素ガスを供給す
ることが可能である。これにより、原料銅を塩素化する
反応をより効率的に、より速く進行させることができ
る。
【0019】図3は冷却ジャケット装置11を示す図で
あり、図3(a)は冷却ジャケット装置11の平面図で
あり、図3(b)は側面図である。これらの図に示す冷
却ジャケット装置11は、反応炉体10の底面と周面を
覆うことができる形状の浴槽型のジャケット本体20を
主体として構成され、ジャケット本体20は、底壁20
Aと側壁20B、20Cと前部傾斜壁20Dと後部壁2
0Eとを具備して構成されている。すなわち、冷却ジャ
ケット装置11の内部に先の反応炉体10を収納した状
態において、ジャケット本体20の底壁20Aが先の反
応炉体10の底壁10Aの下に配置され、側壁20B、
20Cが先の反応炉体10の側壁10B、10Bの側方
に位置されるともに、円弧状とされた後部壁20Eが先
の反応炉体10の後部壁10Cの側方に位置され、前部
傾斜壁20Dが先の反応炉体10の前部傾斜壁10Dの
上に位置される。また、これらの底壁20A、側壁20
B、20C、前部傾斜壁20D、後部壁20Eは全て中
空の2重構造とされ、各中空部内にジャケット装置11
の長さ方向に沿うように仕切壁21が平行に所定の間隔
で複数立設され、前記底壁20Aと前部傾斜壁20Dの
中空部が連続されてそれらの内部に循環流路22が形成
され、前記側壁20Bの中空部とそれに続く後部壁20
Eの半分程に循環流路23が形成され、前記側壁20C
の中空部とそれに続く後部壁20Eの半分程に循環流路
24が形成されている。尚、後部壁20Eの幅方向中央
内部に仕切板が設けられていて、この仕切板が循環流路
23、24を区分している。
【0020】そして、底壁20Aの幅方向一側に底壁2
0Aの一部を貫通するように設けられた導入管25が先
の循環流路22に接続されている。従って、導入管25
から循環流路に冷却媒体を流入させ、循環流路22を経
て流れた冷却媒体を、底壁20Aの他側に接続された導
出管26から排出できるように構成されている。次に、
後部壁20Eの下側(ジャケット本体20の後部中央下
側)に後部壁20Eの一部を貫通するように設けられた
導入管27Bが先の循環流路23に接続され、後部壁2
0Eの上側(ジャケット本体20の後部端上側)に後部
壁20Eの一部を貫通するように設けられた導出管28
Bが先の循環流路23に接続されている。従って導入管
27Bから循環流路23に冷却媒体を流入させ、循環流
路23を経て流れた冷却媒体を導出管28Bから排出で
きるようになっている。また、他後部壁20Eにおいて
それぞれ導入管27Bと導出管28Bに隣接した位置に
も、導入管(図示せず)と導出管28Cがそれぞれ後部
壁20Eの下側と上側に接続されており、先の構造と同
様に、冷却媒体を循環流路24に流動させることができ
るようになっている。側壁20B側の導入管27Bと側
壁20C側の導入管はジャケット本体20の後部中央下
側に幅方向に並んで配置されており、側壁20Bの導出
管28Bと側壁20Cの導出管28Cはジャケット本体
20の後部中央上側に幅方向に並んで配置されている。
【0021】尚、側壁20Bと後部壁20Eに形成され
ている循環流路23にあっては、導入管27側Bから導
出管28B側に向けて、すなわち側壁20Bと後部壁2
0Eの下側から順次冷却媒体が流動するように構成され
ている。これは、循環流路23を構成するための複数の
仕切壁21の長さ方向一端部に連通部21A…が交互に
形成され、冷却媒体が側壁20Bと後部壁20Eに沿っ
て下側から上側へ蛇行状態で流動できるように構成され
ているためである。さらに、側壁20Cと後部壁20E
に形成されている循環流路24にあっても、仕切壁21
の一端部側に連通部21A…が形成されて冷却媒体が側
壁20Cと後部壁20Eに沿って蛇行状態で下側から上
側へ流動できるようになっている。また、同様に、底壁
20Aと前部傾斜壁20Dの中空部に形成されている仕
切壁21にあっても同様に間欠的に連通部21Bが形成
されていて、循環流路22に沿って冷却媒体が蛇行状態
で流動できるように形成されている。
【0022】また、ジャケット本体20の底壁20Aの
下面側において、後部壁側中央にはブラケット30が、
前部傾斜壁側中央にはブラケット31が取り付けられ、
前部傾斜壁20Cの下面中央側にもブラケット32が形
成されている。また、前記ブラケット30は円弧型の軸
受部を有する軸受部材(図示せず)に上方への移動を許
容された状態で支持され、ブラケット31はジャケット
装置20の幅方向に沿う軸を支持する軸受部材34によ
り軸回りに回転自在に支持されている。従って、前記ブ
ラケット31を支点としてブラケット32を牽引装置な
どで引き下げる操作を行うことで、ブラケット30を軸
受部材から外してジャケット装置20の前部側を下向き
に傾斜させることができるようになっている。このよう
な傾転機能を有していることにより、本実施形態の反応
炉1は製造終了時に反応炉体10内部に残存する塩化銅
の溶湯をノズル17から容易に排出することができるよ
うになっている。また、反応炉1の傾転角度により、ノ
ズル装置12のノズル17から流出する塩化第一銅の溶
湯の流量を調節することができる。
【0023】また、図1および図3に示すように、ジャ
ケット本体20の側壁20Bおよび20Cの後部下側に
は、4つの固定孔35aが設けられ、これらの固定孔3
5aには水冷ジャケット装置11内部に収容された反応
炉体10の側壁の温度を測定するための複数の熱電対3
5が挿入されている。これらの固定孔35aは、反応炉
体10の上方から塩素ガス導入管が導入された際の塩素
ガス導入管の先端部に対応する位置に設けられており、
先の熱電対35によって反応炉体10の側壁10Bにお
いて最も温度が高くなる位置の温度を計測できるように
なっている。
【0024】図1に示すジャケット装置11に反応炉体
10を収容した状態において、反応炉体10とジャケッ
ト本体20との間には、所定の間隔で間隙Dが設けられ
ており、この間隙Dには、耐熱セラミックスなどからな
る緩衝材29が充填されている。この緩衝材29は、熱
衝撃などにより炉体が破損した際にジャケット本体20
に塩化銅の溶湯が直接接触しないようにするために設け
られているものであり、その材料としては反応炉体10
を構成する材料と同等のものを用いることが好ましい。
このような構成とすることにより、緩衝材29と反応炉
体10の熱膨張係数を揃えることができるので、熱膨
張、収縮による反応炉体10への負荷を軽減し、反応炉
体10の破損を抑えることができる。
【0025】次に、以上の構成の反応炉1を用いた塩化
第一銅の製造方法について説明する。上記反応炉1を用
いて塩化第一銅の溶湯を製造する場合、まず原料となる
銅を反応炉体10の第1の反応部aへ投入し、反応炉体
10の上方から導入された石英ガラスなどからなる導入
管を介して塩素ガスを原料銅へ吹き付ける。この原料銅
としては、銅の粗粒や線材などの表面積が大きいものを
用いることが好ましい。このような形状の原料を用いる
ことにより、より効率的に上記塩素化反応を進行させる
ことができる。すると、塩素ガスを吹き付けられた原料
銅の表面で下記の(式1)に示す反応が進行し、原料銅
表面に塩化第一銅及び塩化第二銅が生成する。この(式
1)に示す化学反応は発熱反応であり、この熱により銅
および塩化銅は溶融して溶湯となる。そしてこの溶湯に
連続的に塩素ガスを供給することにより反応が維持さ
れ、連続的に塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯が生
成される。このように、本発明に係る塩化第一銅の製造
方法においては、銅を塩素化して塩化第一銅及び塩化第
二銅を含む溶湯を製造する工程を、反応炉体10および
その内部の原料銅を加熱することなく、銅が塩素化され
る際の発熱を利用して反応を開始させることができる。
従って、原料銅を溶融させるための加熱手段を設ける必
要が無く、また製造工程も簡略化することができる。
【0026】(式1) 2Cu+Cl2→2CuCl 2CuCl+Cl2→2CuCl2
【0027】そして、図1に示すように反応炉体10の
第1の反応部aと第2の反応部bは堰板部13の下方の
流通部15を介して連通されているので、上記の溶湯は
第1の反応部aから第2の反応部bへと移動し、反応の
進行とともに上記原料銅と塩素ガスとの反応により生成
された溶湯の液面が、両反応部a、bで次第に上昇す
る。この第2の反応部bには、塩化第二銅を還元して塩
化第一銅を生成するための還元剤としての金属銅が投入
されるようになっており、この金属銅と塩化第二銅の下
記(式2)に示す反応により、塩化第一銅が生成され
る。この還元剤としての金属銅は、なるべくその表面積
を大きくすることが好ましい。具体的には、特に限定さ
れるものではないが、銅線材を略球状に巻いた銅線塊を
用いることが好ましい。そして、反応炉体10内の溶湯
の液面がノズル装置12のノズル17へ達すると、第2
の反応部bから塩化第一銅の溶湯がノズル17を通じて
流出する。このように反応炉体10からの塩化第一銅溶
湯の導出をオーバーフロー方式とすることにより、原料
銅と塩素ガスの供給量を調節することでノズル17から
流出する塩化第一銅溶湯の流量を調節することが可能と
なっている。
【0028】このように、本発明に係る塩化第一銅の製
造方法によれば、銅を塩素化して塩化第一銅及び塩化第
二銅を含む溶湯を製造する工程と、この塩化第二銅を還
元して塩化第一銅を製造する工程とを連続して行うこと
ができるので、それぞれを別の反応炉で製造することが
なく連続的な製造が可能であるとともに、製造工程を簡
略化して効率的な製造が可能となる。また、本発明に係
る塩化第一銅の製造において、原料銅と塩素ガスおよび
還元剤としての金属銅を連続的に供給するならば、長時
間連続して塩化第一銅の溶湯を製造することが可能であ
る。
【0029】(式2) CuCl2+Cu→2CuCl
【0030】上記塩化第一銅の製造方法においては、第
2の反応部bにおいて製造された塩化第一銅の溶湯のノ
ズル17における温度を480℃以上800℃以下の範
囲とすることが好ましい。上記温度が480℃未満であ
ると、ノズル17付近や溶湯を搬送するための樋におい
て、溶湯の固化が発生する、溶湯の粘度が上昇して粒状
化の際に粒径が細かくならない等の問題がある。また、
上記温度が800℃を越えると、ノズル17の酸化摩耗
が激しく、破損の原因となるためである。
【0031】本発明に係る反応炉1においては、冷却ジ
ャケット装置11が備えられている。この冷却ジャケッ
ト装置11により内部に溶湯を有する反応炉体10の底
部および外周が冷却されると、反応炉体10の内壁面に
主に塩化第一銅からなる皮膜が形成される。これは、反
応が進行している反応炉体10内の溶湯に含まれる金属
(銅)およびその化合物(塩化銅)のうち、塩化第一銅
の融点が最も低いので冷却ジャケット装置11によって
冷却された反応炉体10の内壁に凝固した塩化第一銅が
付着するためである。そして、このような塩化第一銅の
皮膜により、溶湯と炉壁を隔離することができるので、
反応炉体10を塩素ガスからより効果的に保護すること
ができるとともに、反応炉体10に含まれる炭素や珪素
が不純物として反応炉体10内の溶湯に混入するのを抑
制することができる。
【0032】また、本発明に係る塩化第一銅の製造方法
においては、上記熱電対35によって計測される反応炉
体10の外周面の温度を0℃以上100℃以下の範囲と
することが好ましい。反応炉体10の外周面の温度が0
℃未満となると、冷却水が配管部で凍結し、冷却不能と
なり、温度が100℃を越えると、冷却水が蒸発すると
同時に、上記反応炉体10の内壁面の塩化第一銅を主成
分とする皮膜が形成されにくくなるためである。
【0033】さらに、上記冷却ジャケット装置12内を
循環される冷却媒体の温度は、反応炉体10の冷却に供
された冷却媒体が導出される導出管26、28B、28
Cの位置において0℃以上100℃以下とされることが
好ましい。このような範囲とすることにより、反応炉体
10の外周面の温度を0℃以上100℃以下に制御する
ことができるので、反応炉体10の内壁面に塩化第一銅
を主成分とする皮膜を形成して、反応炉体10の内壁が
塩素ガスにより劣化するのを防ぐことができる。
【0034】上記実施形態では、図1に示す反応炉1を
用いて塩化第一銅の溶湯を製造する場合について説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、原料銅
と塩素ガスから塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯を
製造するための反応炉(第1の反応炉)と、塩化第二銅
を含む溶湯を還元して塩化第一銅の溶湯を製造するため
の反応炉(第2の反応炉)とを別々に構成することもで
きる。このような構成とした場合について、図8を参照
して説明する。図8は、本構成に係る製造工程を模式的
に示す断面構成図であり、この図に示す第1の反応炉1
01と、第2の反応炉102とは樋部103によって互
いに連通されている。すなわち、図8に示す第1の反応
炉101内の塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯10
4を導出するための出湯口105と、上記第2の反応炉
102に設けられて塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶
湯104を反応炉102内に導入するための導入口10
6とが樋部103で連通されている。
【0035】すなわち、本構成においては、第1の反応
炉101において銅と塩素ガスを原料として塩化第一銅
及び塩化第二銅を含む溶湯104を製造し、この溶湯1
04を第1の反応炉101の出湯口105から樋部10
3へと流出させ、樋部103に接続された第2の反応炉
102の導入口106を介して第2の反応炉102内へ
前記溶湯104を導入し、第2の反応炉102において
前記溶湯104を還元して塩化第一銅の溶湯107を製
造する。このように塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶
湯104を製造するための第1の反応炉101と、塩化
第一銅の溶湯107を製造するための第2の反応炉10
2とが別々に構成されている場合であっても、本発明に
よれば、上記2つの工程を連続的に行うことができ、効
率的に塩化第一銅を製造することができる。
【0036】(塩化第一銅製造プラント)図4は、本発
明に係る塩化第一銅の製造方法によって塩化第一銅を製
造することができる製造プラントの構成の一例を示すも
ので、この実施形態の製造プラントAは、銅原料の塩素
化と還元を行うための反応炉1と、この反応炉1に接続
された塩素ガス供給装置2および排ガス処理装置3と、
前記反応炉1から搬出される塩化第一銅溶湯を急冷し、
粒状化するためのアトマイズ装置5と、このアトマイズ
装置5から回収される塩化第一銅の粉末あるいは粒体を
分級するための分級機6を主体として構成されている。
【0037】前記反応炉1は、図1に示す塩化第一銅製
造用の反応炉1であり、その構成は上記反応炉の説明に
述べたとおりである。そして、この反応炉1で製造され
た塩化第一銅の溶湯が、図1に示す反応炉1の先端のノ
ズル17から、図4に示す樋部62へと流出するように
なっている。図4に示すように反応炉1には、冷媒循環
装置18と、塩素ガス供給装置2と排ガス処理装置3と
が接続されている。冷媒循環装置18は、冷却ジャケッ
ト装置11へ循環させる冷却媒体を冷却するための冷却
塔18Aと、冷媒を循環させるための循環ポンプ18B
を備えて構成されている。尚、図4に符号Xで示す箇所
は、実際の製造プラントでは接続されて冷却媒体を循環
できるようになっている。この冷媒循環装置18の冷却
塔18Aにより冷却された冷却媒体は、循環ポンプ18
Bによって冷媒管18Cを介して反応炉1の各導入管へ
導入される。そして、図3に示す冷却ジャケット装置1
1の循環流路22〜23を経由して各導出管から冷媒管
18Dを介して冷却塔18Aへ戻され、再び冷却され
る。このようにして、循環する冷却媒体が反応炉1の反
応炉体10を冷却するようになっている。
【0038】塩素ガス供給装置2は、反応炉1に接続さ
れて反応炉体10に塩素ガスを供給する装置である。図
5は、塩素ガス供給装置2の構成の一例を示す図であ
り、この図において塩素ガス供給装置2は、外部から搬
入された液体塩素を貯蔵するための2基の塩素貯槽41
と、この塩素貯槽41から液体塩素を気化させて塩素ガ
スとするための塩素気化器46と、塩素ガスを一時的に
貯留するための塩素ガス貯溜タンク45とを主体として
構成されている。圧送装置42は、タンクローリから貯
槽へ液体塩素を液送する圧縮空気製造設備で、コンプレ
ッサ42a、ドライヤ42b、レシーバタンク42cか
ら構成されている。
【0039】上記構成の塩素ガス供給装置2において、
塩素貯槽41に貯蔵されている液体塩素は、塩素気化器
46へ圧送される。次に、塩素気化器46において気化
されて塩素ガス貯溜タンク45へ送られ、この塩素ガス
貯溜タンク45で一時的に貯留される。そして、必要に
応じて反応炉1へ供給されて反応に供されるようになっ
ている。この塩素ガス供給装置2の塩素貯槽41や、塩
素ガス貯溜タンク45において、使用されず不要になっ
た塩素ガスは、これらに接続された排気ファン47によ
り排気されて塩素除害塔48へ送られる。そして、この
塩素除害塔48で塩素を取り除かれた排気ガスが外部へ
放出されるようになっている。
【0040】また、図4に示す反応炉1には、塩素を含
む反応炉1からの排ガスを処理するための第1の排ガス
処理装置3が接続されている。図6は、第1の排ガス処
理装置3の構成の一例を示す図である。この図に示す排
ガス処理装置3は、排ガスに含まれる微粉末を取り除く
ための2基のサイクロン50とバグフィルタ52と、排
ガスに含まれる塩素ガスを中和、除害するための水洗塔
54とアルカリ塔56とを主体として構成されている。
前記バグフィルタ52には、バグフィルタ52内部のろ
布に付着したダスト払い落としのための圧力源51が接
続されており、この圧力源は空気を圧縮してバグフィル
タ52に送り込むためのコンプレッサ51aと、コンプ
レッサ51aで作られた圧縮空気の水分を除去するため
のドライヤ51bとから構成されている。また、バグフ
ィルタ52の底部には、バグフィルタ52で回収された
塩化第一銅の微粉末を回収するためのスクリューコンベ
ア52aが接続されている。
【0041】上記の構成の第1の排ガス処理装置3へ反
応炉3から送られた排ガスは、まずサイクロン50によ
り15ミクロン程度以上の大きさの粉末を取り除かれ、
サイクロン50を通過した排ガスは続いてバグフィルタ
52に導入され、バグフィルタ52によりさらに小さな
微粉末まで取り除かれる。そして、バグフィルタ52を
通過した排ガスは、水洗塔54の吸気口に接続されたフ
ァン53aにより水洗塔54内に導入され、続いてデミ
スタ55により水分を取り除かれた後、アルカリ塔56
の吸気口に接続されたファン53bによりアルカリ塔5
6内に導入される。これら水洗塔54とアルカリ塔56
を通過させて、排ガスに含まれる塩素ガスを中和した
後、排ガスが外部へ放出されるようになっている。尚、
上記排ガス処理装置3の構成は、塩素ガスおよび微粉末
を含む排ガスからこれらを取り除くための基本的な構成
の一例を示したものであり、本発明を限定するものでは
ない。例えば、排ガスを無害化するための他の装置を適
宜追加しても良いことは勿論である。
【0042】アトマイズ装置5は、前記反応炉1で製造
された塩化第一銅の溶湯を急冷して粒状化するための装
置である。このアトマイズ装置5は、図4に示すように
箱形の金属製の装置本体部61と、装置本体部61の上
方側端から内部に導入された樋部62と、装置本体部6
1の底部に配設されたスクリューコンベア63とを主体
として構成されている。そして、装置本体部61内部に
導入された樋部62の先端部62aの下方には、図示さ
れないガス噴射部が備えられている。
【0043】装置本体部61の内部はほぼ空洞であり、
その上面に装置本体部61の内部を負圧にするための排
気口64が設けられている。そして、図示されていない
が、樋部62が接続されている部分の下部および装置本
体部61上面には、外気を装置本体部61内部へ導入す
るための複数の吸気口が設けられている。これらの排気
口64および吸気口が設けられていることにより、装置
本体部61内部に気流が形成され、上記ガス噴射部によ
り飛散された塩化第一銅が固化する前に装置本体部61
の内壁に衝突して変形するのを防ぐようになっている。
【0044】上記構成のアトマイズ装置5において、樋
部62を介して装置本体部61内部に導入された塩化第
一銅の溶湯は、アトマイズ装置5内部で樋部61の先端
から滴下されて樋部62先端の下方に設置されたガス噴
射装置65のガス噴射ノズル(図示せず)から噴射され
た乾燥空気などのガスにより装置本体部61内部へ飛散
され、急冷、固化される。そして、固化されて粉末ある
いは粒体となった塩化第一銅は、装置本体部61の底部
に堆積する。この装置本体部61底部に堆積した塩化第
一銅の粉末あるいは粒体を、装置本体部61の底部に設
置されたスクリューコンベア63により装置本体部61
外へ搬出する。
【0045】上記アトマイズ装置5には、装置本体部6
1の排気口64から排気された排気ガスを処理するため
の第2の排ガス処理装置7が接続されている。図7は、
第2の排ガス処理装置7の構成の一例を示す図である。
この図に示す排ガス処理装置7は、排ガスに含まれる微
粉末を取り除くためのサイクロン70とバグフィルタ7
2とを主体として構成されている。前記バグフィルタ7
2には、バグフィルタ72内部のろ布に付着したダスト
払い落としのための圧力源71が接続されており、この
圧力源71は空気を圧縮してバグフィルタ72に送り込
むためのコンプレッサ71aと、コンプレッサ71aで
作られた圧縮空気の水分を除去するためのドライヤ71
bとから構成されている。また、バグフィルタ72の底
部には、バグフィルタ72で回収された塩化第一銅の微
粉末を回収するためのスクリューコンベア72aが接続
されている。
【0046】上記の構成の排ガス処理装置7において、
アトマイズ装置5の排気口64から排出された排ガス
は、まずサイクロン70に導入されてやや大きめの粉末
を取り除かれ、続いてバグフィルタ72に導入されて微
粉末を取り除かれる。そして、ファン73により外部に
放出される。尚、図7に示す排ガス処理装置7は、塩化
第一銅の微粉末を含む排ガスから微粉末を回収し、排ガ
スを無害化するための基本的な構成の一例を示したもの
であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0047】分級機6は、アトマイズ装置5において粒
状化された塩化第一銅の粒体を、その寸法により分級す
るための装置である。図4に示すように、この分級機6
は、塩化第一銅の粒体が導入される導入口75と、分級
された塩化第一銅粒体が導出される導出口76と、分級
機6内部のガスを排気するための排気口77と、分離さ
れた規格外の塩化第一銅粒体を排出するための排出口7
8とを備えて構成されている。
【0048】分級機6へ投入された塩化第一銅粒体は、
分級されて規格に合致する寸法の粒体のみが導出口76
から搬出されて、導出口76に接続されたスクリューコ
ンベア79により搬出装置9へ搬送される。また、分級
により分離された規格外の塩化第一銅粒体は排出口78
から分級機6外へ排出、回収される。また、粒径が小さ
すぎるために分級機6内部を飛散している塩化第一銅の
微粉末は、排気口77から排出されてアトマイズ装置5
の排気口64へ戻され、アトマイズ装置5の装置本体部
61の排ガスとともに図1および図7に示す第2の排ガ
ス処理装置7へと排出される。尚、分級機6としては、
図に示す分級機に限定されるものではなく、粒体を分級
するための一般的なふるい分級機を使用することが可能
であり、目的とする粒体の大きさに合わせて適宜なもの
を選択すればよい。
【0049】図1に符号8で示す搬入装置は、原料銅を
反応炉へ投入するための装置であり、原料銅を搬送する
スクリューコンベア81a、81bと、原料を一時的に
貯留するためのホッパー82a〜82cと、原料銅を反
応炉1へ投入するフィーダ83とを主体として構成され
ている。そして、外部からホッパー82aへ投入された
原料銅は、ホッパー82aの底部に接続されたスクリュ
ーコンベア81aによって搬送されてホッパー82bへ
投入され、ホッパー82bへ貯留された原料銅はホッパ
ー82bの底部からスクリューコンベア81bによって
搬送されてホッパー82cへ投入される。そして、ホッ
パー82cからフィーダ83へ投入され、反応炉体10
の上面開口部から反応炉体10へ投入される。
【0050】図1に符号9で示す搬出装置は、分級機6
によって分級された塩化第一銅粒体を一時貯留するため
の複数のホッパー91と、これらのホッパー91へ塩化
第一銅粒体を投入した際に発生する粉塵を集めて回収す
るための集塵機92とを主体として構成されている。そ
して、ホッパー91の底部には、ホッパー91に貯留さ
れている塩化第一銅粒体を所定量毎に出荷用コンテナに
移載するためのスクリューコンベア93がそれぞれ設け
られている。
【0051】次に、上記構成の塩化第一銅の製造プラン
トAにおける塩化第一銅の製造プロセスについて図1お
よび図4を参照して以下に説明する。まず、搬入装置8
により原料銅が反応炉1へ投入され、続いて塩素ガス供
給装置2により反応炉1へ供給された塩素ガスが反応炉
1内の原料銅へ吹き付けられる。これにより反応炉1の
反応炉体10の第1の反応部a内では、原料銅と塩素ガ
スにより塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯が生成さ
れ、このうちの塩化第二銅が反応炉体10の第2の反応
部bに移動するとともに還元されて塩化第一銅の溶湯が
生成される。そして、反応炉体10内での反応の進行と
ともに次第に上昇した溶湯の液面が、反応炉体10先端
のノズル17に達して、第2の反応部bからノズル17
を介して樋部62へ塩化第一銅の溶湯が流出する。この
反応炉1からの排ガスは第1の排ガス処理装置3へ送ら
れ、微粉末、塩素ガスを取り除かれた後、外部へ放出さ
れる。
【0052】樋部62を通ってアトマイズ装置5へ導入
された塩化第一銅の溶湯は、アトマイズ装置5により粒
状化されて塩化第一銅の粒体となってアトマイズ装置5
の底部堆積し、アトマイズ装置5の底部に設けられたス
クリューコンベア63により回収されて分級機6へ投入
される。そして分級機6により分級された塩化第一銅粒
体が、分級機6の導出口76からスクリューコンベア7
9へ導出され、搬出装置9へ搬送されて搬出される。ま
た、上記アトマイズ装置5および分級機6の排ガスは、
第2の排ガス処理装置7へ送られて塩化第一銅の微粉末
を取り除かれた後、外部へ放出される。
【0053】このように、塩化第一銅の粒体を製造する
プラントに本発明に係る塩化第一銅の製造方法を適用す
るならば、反応炉1において、銅と塩素ガスを原料とし
て塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯を製造する工程
と、この溶湯を還元して塩化第一銅の溶湯を製造する工
程とを連続して行うことができるので、長時間に渡り効
率的に塩化第一銅の溶湯を製造することが可能である。
従って、前記製造プラントAにおいても長時間連続して
安定的に塩化第一銅の粒体を製造することが可能であ
る。
【0054】
【実施例】以下実施例により、さらに詳細に本発明の効
果を明らかにするが、本発明は以下の実施例に限定され
るものではない。
【0055】まず、原料銅として、直径10cm程度の
球形の銅線塊を反応炉内に投入し、塩素導入管の先端を
上記銅線塊の内部に挿入したのち、塩素導入管を介して
塩素ガスを銅線塊に吹き付け、反応を開始させた。その
後、連続的に塩素ガスを供給することにより塩化第一銅
及び塩化第二銅を含む溶湯を作製し、連続的にこの塩化
第二銅を含む溶湯を還元用の金属銅により還元して塩化
第一銅の溶湯を得た。尚、前記還元用の金属銅として
は、直径10cm程度の球形の銅線塊を用いた。上記塩
化第一銅の溶湯を製造する際の反応炉体外周の温度は4
0℃とし、反応炉の冷却ジャケット装置の循環されてい
る冷却媒体の温度は20℃とした。そして、ノズルから
導出される塩化第一銅の溶湯の温度は600℃とした。
次に、上記にて得られた塩化第一銅の溶湯を、アトマイ
ズ装置を用いて粒状化して粒径0.5mmの塩化第一銅
の粒体を得た。
【0056】上記にて得られた塩化第一銅の粒体を、フ
レコンバッグ中で10ヶ月保存した後、目視による表面
観察を行ったところ本発明の塩化第一銅の製造方法によ
り製造された上記塩化第一銅の粒体には、凝固、変色な
どの品質低下は認められなかった。また、上記塩化第一
銅の流体を30℃、60%RHの環境で10日間保存し
た後、目視による表面観察を行った。その結果、本発明
の塩化第一銅の製造方法により製造された塩化第一銅の
粒体には、凝固、変色などの品質低下は認められなかっ
た。
【0057】次に、上記塩化第一銅の溶湯を上記装置を
用いて粒状化せず、冷却固化したバルク材を粉砕する方
法により比較サンプルとして平均粒径10μmの塩化第
一銅の粉体を作製した。この粉体を30℃、60%RH
の環境で1日間保存した後、目視による表面観察を行っ
たところ、上記粒状体としたものとは異なり、吸湿によ
る変色が確認された。
【0058】このように、本発明に係る製造方法により
製造された塩化第一銅の溶湯を、粒状化装置により粒径
0.5mm程度の粒状体とするならば、吸湿による変色
などの品質低下を防ぎ、長期間に渡る安定保存が可能で
ある。
【0059】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の塩
化第一銅の製造方法は、原料としての銅を塩素ガスによ
り塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯を製造する工程
と、前記塩化第二銅を含む溶湯を還元して塩化第一銅を
製造する工程とを連続して行う構成とされているので、
反応炉を空にすることなく連続的に塩化第一銅の溶湯を
製造することができる。
【0060】次に、本発明に係る塩化第一銅の製造方法
において、上記塩化第一銅の製造方法において、前記塩
化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯を製造する工程と、
前記塩化第一銅を製造する工程とを、1基の反応炉内で
連続的に行うならば、1基のみの反応炉で塩化第一銅の
溶湯を製造することができるので、製造工程を簡素化す
ることができるとともに、長時間連続して塩化第一銅を
製造することができる。
【0061】次に、本発明に係る塩化第一銅の製造方法
は、前記塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯を製造す
る工程において、銅と塩素との反応による発熱によって
原料銅を溶融させて前記工程が開始されるので、反応炉
に原料銅を溶解するための加熱手段を設ける必要がな
く、単純な構成の装置で塩化第一銅の溶湯を製造するこ
とができる。
【0062】次に、本発明に係る塩化第一銅の製造方法
において、前記反応炉から導出される塩化第一銅の溶湯
の温度を480〜800℃の範囲とするならば、反応炉
で製造された塩化第一銅の溶湯を粒状化する工程に導入
される塩化第一銅の溶湯の温度や粘度を最適化すること
ができるので、塩化第一銅の粒体を製造するのに好適な
塩化第一銅の溶湯を製造することができる。
【0063】次に、本発明に係る塩化第一銅の製造方法
において、前記塩化第二銅または塩化第一銅を製造する
ための反応炉の内壁に、主に塩化第一銅からなる皮膜を
形成するならば、反応炉の内壁を前記皮膜によって保護
することができるので、反応炉の劣化を抑えて、長期間
安定して塩化第一銅の溶湯を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は、本発明の一実施の形態である
反応炉の平面図であり、図1(b)は側断面図である。
【図2】 図2(a)は、本発明に係る反応炉体の平面
図であり、図2(b)は側断面図、図2(c)は正面図
である。
【図3】 図3(a)は、本発明に係る冷却ジャケット
装置の平面図であり、図3(b)は側面図である。
【図4】 図4は、本発明にかかる反応炉を備えた塩化
第一銅製造プラントの構成の一例を示す図である。
【図5】 図5は、図4に示す塩素ガス供給装置2の構
成の一例を示す図である。
【図6】 図6は、図4に示す第1の排ガス処理装置3
の構成の一例を示す図である。
【図7】 図7は、図4に示す第2の排ガス処理装置7
の構成の一例を示す図である。
【図8】 図8は、本発明に係る塩化第一銅の製造工程
を模式的に示す断面構成図である。
【符号の説明】
1 反応炉 10 反応炉体 11 冷却ジャケット装置(冷却装置) 13 堰板部 15 流通部 101 第1の反応炉 102 第2の反応炉 a 第1の反応部 b 第2の反応部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本多 一義 秋田県秋田市茨島3−1−6 株式会社 ジェムコ 第1事業所内 (56)参考文献 特開 昭59−88318(JP,A) 特開 昭46−4515(JP,A) 特開 昭55−60003(JP,A) 特開 昭63−105924(JP,A) 特開 昭53−45699(JP,A) 特開 平4−266457(JP,A) 特許155854(JP,C2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 1/00 - 57/00 B22D 1/00 - 47/02 F27D 9/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料としての銅を塩素ガスにより塩素化
    して塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶湯を製造する工
    程と、前記塩化第二銅を含む溶湯を還元して塩化第一銅
    を製造する工程とを1基の反応炉において連続して行う
    ことを特徴とする塩化第一銅の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記反応炉として第1の反応部と第2の
    反応部とに区画されるとともに該両反応部の一部を連通
    する流通部を備えたものを用い、 前記第1の反応部において、銅と塩素ガスにより塩化第
    一銅及び塩化第二銅を含む溶湯を製造し、該溶湯を前記
    流通部を介して前記第2の反応部に導入し、該第2の反
    応部において前記塩化第二銅を含む溶湯を還元して塩化
    第一銅を製造することを特徴とする請求項1に記載の塩
    化第一銅の製造方法。
  3. 【請求項3】 互いに接続された第1の反応炉と第2の
    反応炉とを用い、 前記第1の反応炉において塩化第一銅及び塩化第二銅を
    含む溶湯を製造する工程と、該第1の反応炉から第2の
    反応炉へ前記溶湯を導入する工程と、該第2の反応炉に
    おいて前記溶湯を還元して塩化第一銅を製造する工程と
    を連続的に行うことを特徴とする塩化第一銅の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶
    湯を製造する工程において、銅と塩素との反応による発
    熱によって原料銅を溶融させて前記工程を開始すること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    塩化第一銅の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記塩化第一銅を製造するための反応炉
    から導出される塩化第一銅の溶湯の温度を480〜80
    0℃の範囲とすることを特徴とする請求項1ないし4の
    いずれか1項に記載の塩化第一銅の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記塩化第一銅及び塩化第二銅を含む溶
    湯を製造するための反応炉の反応炉体外周面の温度を0
    〜100℃の範囲とすることを特徴とする請求項1ない
    し5のいずれか1項に記載の塩化第一銅の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記塩化第二銅または塩化第一銅を製造
    するための反応炉の内壁に、主に塩化第一銅からなる皮
    膜を形成することを特徴とする請求項1ないし6のいず
    れか1項に記載の塩化第一銅の製造方法。
JP2001028572A 2001-02-05 2001-02-05 塩化第一銅の製造方法 Expired - Fee Related JP3498711B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001028572A JP3498711B2 (ja) 2001-02-05 2001-02-05 塩化第一銅の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001028572A JP3498711B2 (ja) 2001-02-05 2001-02-05 塩化第一銅の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002234729A JP2002234729A (ja) 2002-08-23
JP3498711B2 true JP3498711B2 (ja) 2004-02-16

Family

ID=18893049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001028572A Expired - Fee Related JP3498711B2 (ja) 2001-02-05 2001-02-05 塩化第一銅の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3498711B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6392784B2 (ja) * 2013-12-24 2018-09-19 京セラ株式会社 積層型電子部品およびその実装構造体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002234729A (ja) 2002-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008273831A (ja) 高純度の多結晶性シリコン顆粒を連続的に製造する方法
US4909837A (en) Process and apparatus for granulating molten slag
JP3498711B2 (ja) 塩化第一銅の製造方法
US4234318A (en) Process for granulation of sulfur
JP3498713B2 (ja) 塩化第一銅粒状体の製造方法
JP3501128B2 (ja) 塩化第一銅製造用反応炉
JP3541809B2 (ja) 出湯口構造及びそれを使用した塩化第一銅製造用反応炉
JP3498712B2 (ja) 塩化第一銅粒状体の製造方法
KR101525860B1 (ko) 고순도 실리콘 미세분말의 제조 장치
JP2002234728A (ja) 塩化第一銅製造用反応炉
JP2008190017A (ja) 球状金属粒子の製造方法及び製造装置
JP2006199555A (ja) シリコンの精錬方法
JP2014513202A (ja) アルミニウムスラグを処理する方法
JP2010095433A (ja) シリコンの製造方法
JP3710977B2 (ja) SiO2粒子の精製方法および該方法の実施のための装置
JPS59160525A (ja) 溶融滓の粒状化処理方法
EP1989336B1 (en) Reactor intended for titanium production
JP2017081811A (ja) 溶融スラグの処理装置および溶融スラグの処理方法
JP2020190407A (ja) 流動可能な無機粒子を処理する方法及びその方法を行うのに適した回転管
JPH1157451A (ja) 無機質球状粒子の製造方法及び装置
JP2003020216A (ja) シリコンの製造方法
JP4370401B2 (ja) 製錬炉およびこれを用いた白金族元素の回収法
JP2002224553A (ja) 粒状体製造装置
JPS5934143B2 (ja) 溶滓の冷却装置
RU2149734C1 (ru) Способ получения гранул

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20031104

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees