JP2003020216A - シリコンの製造方法 - Google Patents

シリコンの製造方法

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JP2003020216A
JP2003020216A JP2001202612A JP2001202612A JP2003020216A JP 2003020216 A JP2003020216 A JP 2003020216A JP 2001202612 A JP2001202612 A JP 2001202612A JP 2001202612 A JP2001202612 A JP 2001202612A JP 2003020216 A JP2003020216 A JP 2003020216A
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chlorosilane
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Yuji Inoue
裕司 井上
Satoshi Wakamatsu
智 若松
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応排ガスを冷却するとともに、生成したシ
リコン液滴を汚染することなしに冷却して連続的に製造
する方法を提供すること。 【解決手段】 シリコンの融点以上に加熱された加熱体
を備えた反応器内にクロロシラン類と水素とを供給し、
該加熱体表面でクロロシラン類と水素を反応せしめてシ
リコンを生成するに際し、該加熱体表面を離れてシリコ
ン液滴が落下する反応器空間に液状クロロシラン類を導
入しつつ上記反応を実施するシリコンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクロロシラン類と水
素との反応によってシリコンを製造するための方法に関
する。さらに詳しくは、原料クロロシラン類の副反応を
効率よく防止しながら、連続的に生成するシリコンをも
効率よく冷却してシリコンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テトラクロロシランと水素からトリクロ
ロシランを製造する反応において、反応出口ガスをクロ
ロシラン液で急冷する方法は知られている。特開昭60
−81010号公報には、毛細管やラパール管にクロロ
シラン液を通じて反応出口ガスの温度を600℃以下に
急冷する方法が開示されている。また、特公昭57−3
8524号公報には、ゾンデによって反応出口ガスの温
度を300℃以下に急冷する方法が開示されている。
【0003】また、クロロシラン類と水素からシリコン
を製造するベルジャー排ガス中に四塩化ケイ素を供給
し、排ガス管内で四塩化ケイ素を結露させて、排ガス管
内に堆積するポリマーを溶解除去する方法は知られてい
る(特開平3−285811号公報参照)。しかしなが
ら、これらの方法では、反応器内において起こる平衡反
応による副生物の生成を積極的に抑制しようとすること
は配慮されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シリ
コンの融点以上に加熱された加熱体を備えた反応器内に
クロロシラン類と水素とを供給し、該加熱体表面でクロ
ロシラン類と水素を反応せしめてシリコンを生成する際
に、反応器で起こる副反応を抑制した、シリコンの工業
的に有利な製造方法を提供することにある。本発明のさ
らに他の目的および利点は、以下の説明から明らかにな
ろう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、シリコンの融点以上に加熱さ
れた加熱体表面でクロロシラン類と水素を反応せしめて
生成したシリコンが、該加熱体表面を離れてシリコン液
滴が落下する反応器空間に液状クロロシラン類を導入し
つつ上記反応を実施することによって達成することがで
きる。
【0006】即ち、本発明は、シリコンの融点以上に加
熱された加熱体を備えた反応器内にクロロシラン類と水
素とを供給し、該加熱体表面でクロロシラン類と水素を
反応せしめてシリコンを生成するに際し、該加熱体表面
を離れてシリコン液滴が落下する反応器空間に液状クロ
ロシラン類を導入しつつ上記反応を実施することを特徴
とする、シリコンの製造方法を提供するものである。
【0007】本発明の方法では、従来の反応器出口での
ガスの冷却に対して、反応器の内部空間でガスの冷却を
行うことにより、より効果的に副反応の抑制を行うこと
ができる。そして、かかる冷却は、シリコン液滴が加熱
体表面を離れて落下する反応器空間において行うことに
より、反応には殆ど影響することなく行うことができ
る。また、上記冷却を経て回収された排ガスは、副反応
による生成物、例えば、トリクロロシランを使用した場
合には、不純物としての四塩化珪素の生成量が少なく、
再度、原料ガスとしての循環が容易である。
【0008】
【発明の好ましい実施態様】本発明で用いられる反応器
は、シリコンの融点以上に加熱できる加熱体を内部に備
える。該加熱体の加熱方式は特に限定されないが、エネ
ルギー効率的に有利に適用するためには、筒状反応炉心
を高周波コイルにより加熱する態様が最も好ましい。以
下、上記筒状反応炉心を使用する態様を例として本発明
を説明するが、本発明はかかる態様に限定されるもので
ないことは言うまでもない。
【0009】クロロシラン類と水素は、高周波コイルに
より加熱されている筒状反応炉心中に導入され、そこで
反応して溶融状態にあるシリコンを生成する。すなわ
ち、生成したシリコンは筒状反応炉心中にある間は加熱
体からの加熱を受けるが、筒状反応炉心の下端壁から溶
融液滴として落下を開始した際には加熱から実質的に解
放される。
【0010】本発明方法では、シリコン液滴が上記の如
く落下する空間に液状クロロシラン類を導入して、シリ
コンの生成反応が行われる筒状反応炉心の空間から離れ
た、上記空間内にある反応排ガスを冷却する。これによ
って、反応排ガスが副反応を起こすのを早期に防止する
ことができ、副反応物の生成量を効果的に抑えることが
できる。液状クロロシラン類はシリコン液滴が落下を開
始した直後に導入することが、反応排ガスを効率的に冷
却し、上記副反応を効果的に防止することができるため
好ましい。
【0011】シリコンを生成する反応に用いられるクロ
ロシラン類としては、例えばテトラクロロシラン、トリ
クロロシラン、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、モノ
クロロシラン(SiH3Cl)、ヘキサクロロジシラン
(Si2Cl6)、オクタクロロトリシラン等を挙げるこ
とができる。これらは単独でまた2種以上一緒に用いる
ことができる。これらのクロロシラン類のうち、部分水
素化物、特に、テトラクロロシランは、シリコンの生成
速度が速く、本発明において好適に使用される。また、
液状クロロシラン類としては、上記クロロシラン類の液
化物を使用することができるが、反応に使用するクロロ
シラン類と同種のクロロシランを使用することが、精製
が容易であり好ましい。
【0012】本発明方法においては、溶融落下するシリ
コン融液の回収方法として、反応器の底部に液状クロロ
シランの溜めを準備し、その溜めの中にシリコン液滴を
落下させ、それによってシリコン液滴を冷却する方法を
採用することもできる。尚、シリコン液滴は、液状クロ
ロシラン類と接触しても汚染されることはない。 ま
た、反応ガスおよび反応排ガスに液状クロロシラン類に
由来する気化クロロシラン類が混合しても特に問題な
い。以下、本発明を添付図面に従って説明する。
【0013】図1には、本発明において、加熱方法とし
て高周波コイルを用いる場合の1例が示されている。こ
の反応装置13は、(1)下端にシリコン取出口となる
開口部9を有する筒状反応炉心2、(2)上記筒状反応
炉心2の下端から任意の高さまでの内壁をシリコンの融
点以上の温度に加熱するための高周波コイル3、(3)
上記シリコンの融点以上の温度に加熱された内壁で囲ま
れた空間4内に下方に向かって開口するように設けら
れ、且つ、内壁をシリコンの析出温度未満に維持するた
めの冷却手段を備えた反応ガス供給管1、(4)高周波
コイルによる加熱から解放されてシリコン液滴が落下す
る空間に液状クロロシラン類を導入する液状クロロシラ
ン類供給管6、および(5)反応排ガスを抜出す排ガス
導出管8より構成されている。この装置の反応炉心中
で、クロロシラン類と水素との反応によりシリコンが生
成され、該シリコンが筒状反応炉心2の内壁を溶融状態
で流下し、下端に位置するシリコン取出口から取出され
る。
【0014】上記装置において、筒状反応炉心2は、シ
リコン取出口として、後で詳述するように、その内部で
析出・溶融したシリコンが自然流下により容器外に落下
し得る開口部を有する構造であればよい。従って、筒状
反応炉心1の断面形状は、円状、多角状等の任意の形状
を採ることができる。また、筒状反応炉心1における開
口部2の開口の仕方は、図1に示すように、ストレート
に開口した態様でもよいし、下方に向かって徐々に径が
減少するように絞り部を形成した態様でもよい。
【0015】また、筒状反応炉心2の開口部は、その周
縁が水平となるように構成する態様でも問題なく粒子状
のシリコンを得るが、図2に示すように周縁が傾斜する
ように構成する態様、さらには図3に示すように周縁を
波状に構成する態様とすることにより、該開口部の周縁
より落下するシリコン融液の液滴が揃い、シリコン粒子
の粒径をより均一に調整することができるため好まし
い。さらに、上述した何れの開口部周縁の形状において
も、溶融シリコンが落下時の液切れを良くするため、先
端部に向かって肉厚が次第に薄くなる刃物状にすること
がより好ましい態様である。
【0016】上記筒状反応炉心1は、1430℃以上に
加熱され、その内部はクロロシラン類やシリコン溶融液
に接触するため、これらの温度条件や接触物に対して十
分に耐える材質を選択することが長期間の安定してシリ
コンの製造を行う上で望ましい。かかる材質としては、
例えば、グラファイト等の炭素材料、炭化ケイ素(Si
C)、炭化ジルコニウム(ZrC)、窒化ケイ素(Si
34)、窒化ホウ素(BN)、および窒化アルミ(Al
N)等のセラミックス材料の、単独材料または複合材料
が挙げられる。
【0017】これらの材料のうち、炭素材料を基材とし
て、少なくともシリコン溶融液と接触する部分を窒化ケ
イ素または窒化ホウ素または炭化ケイ素で被覆すること
により、筒状反応炉心の寿命を著しく増大できるため、
工業的連続使用において特に好ましい。このうち窒化ケ
イ素または窒化ホウ素については、これらの材質がシリ
コン溶融液に対して濡れ性が悪いため、反応炉心の先端
部付近の被覆材として用いることは、筒状反応炉心から
の液切れをよくするために、最も好ましい。
【0018】高周波による加熱は、エネルギー的に効率
が良いことに加えて、高周波を放出する加熱コイルの形
状をシンプルにしながら、筒状反応炉心を均質的な温度
に加熱することができるため、好適である。この高周波
コイル3は、筒状反応炉心の内壁をシリコンの融点以
上、即ち、1430℃以上に加熱することができるもの
であれば、公知のものが特に制限なく使用される。反応
ガス供給管1は、シリコンの融点以上に加熱された筒状
反応炉心2の内壁によって囲まれた空間4に反応ガスす
なわち水素とクロロシラン類との混合物を直接供給する
ためのものであり、空間4内に下方に向かって開口する
ように設けられる。
【0019】反応ガス供給管1の開口方向を示す「下
方」とは、垂直方向のみに限定されず、供給された反応
ガスが該開口に再度接触しないように開口する態様が全
て含まれる。しかし、最も好適な態様は、平面に対して
垂直方向に開口する態様である。また、反応ガス供給管
1には、該空間4内において管1内が加熱され、クロロ
シラン類の熱分解に伴うシリコンの析出が生じないよう
に、管1の内壁をクロロシランの自己分解温度未満に冷
却するための冷却手段を有することが望ましい。
【0020】例えば、内部に水、熱媒油等の冷媒液体を
通液可能な流路を設けて冷却する液体ジャケット方法、
反応ガス供給管に二重管以上の多重環ノズルを設け、中
心部から反応ガスを供給し、外環ノズルから冷却ガスを
パージして中心ノズルを冷却する空冷ジャケット方式な
どが挙げられる。反応ガス供給管1の冷却温度は、供給
するクロロシラン類の自己分解温度未満に設定すればよ
いが、TCSまたは四塩化ケイ素(SiCl4、以下S
TCという)を原料として用いる場合は、好ましくは8
00℃以下、より好ましくは600℃以下、最も好まし
くは500℃以下とすることがよい。
【0021】反応ガス供給管1の材質としては、筒状反
応炉心2と同様の材質のほか、石英ガラス、鉄、ステン
レス鋼等も使用できる。本発明において、液状クロロシ
ラン類供給管6は、反応炉心2の下方のシリコン液滴落
下領域の空間5に液状クロロシラン類を供給するために
設けられる。液状クロロシラン類導入管6から導入され
た液状クロロシランは、シリコン液滴落下領域の空間5
内に冷却シャワー7となって導入され、その空間5の排
ガスを冷却し、冷却された排ガスは排ガス導出管8から
排出される。このとき、冷却シャワー7は同時に落下し
つつあるシリコン液滴11と接触して固体シリコン粒1
2を生成し、装置下方の取出口9から液状クロロシラン
類とともに取出される。
【0022】液状クロロシラン類導入管6は、装置13
の空間5内に装置13の周壁および互いに対し空間的に
ほぼ等しく離れて位置するように複数本配置することが
できる。また、液状クロロシラン類導入管6の開口部
は、図1に図示されているのとは異なり、装置13の周
壁に直接設けられてもよい。さらに別の態様では、液状
クロロシラン類導入管6は反応炉心2の直下で開口部が
上方に向けて位置するように設置されその開口から液状
クロロシラン類が周縁に向けてシャワーとして放出され
る。この場合、シリコン液滴は反応炉心の内壁を伝って
落下するため、シリコン液滴が液状クロロシラン類導入
管6の開口部に直接落下するのを避けることができる。
【0023】図2には、本発明で用いられる高周波加熱
反応装置の別の例が図示されている。図2において、同
じ番号は図1と同じ意味を有している。図2の装置が図
1の装置と異なるのは、装置の底部に液状クロロシラン
類の溜めを有している点である。液溜め14には液状ク
ロロシラン類が溜まっており、その中にシリコン粒12
が落下して滞留することにより、シリコン粒の冷却を効
果的に行うことができる。シリコン粒12の貯留量があ
る量に達したとき、定期的にあるいは不定期にバルブ1
5を開いて、シリコン粒を液状クロロシラン類と一緒に
抜出すことができる。
【0024】図3には、本発明で用いられる高周波加熱
反応装置のさらに別の例が図示されている。図3におい
て、同じ番号は図1と同じ意味を有している。図3の装
置が図1の装置と異なるのは、溶融シリコンと液状クロ
ロシラン類が落下する部分に、固体基材16を設置した
ことである。図3の装置では、液状クロロシラン類の液
膜で覆われた固体基材16の上にシリコン粒が落下され
ている。液状クロロシラン類の液膜で覆われた固体基材
の上に落下させるこのような方法は、得られる固体シリ
コン粒子を球形で且つ粒度分布の小さい粒子群として得
ることができるので有利である。
【0025】固体基材は、例えば円盤状、漏斗状あるい
は傾斜板状であることができ、これらは回転させること
もできる。図3は、円盤状の固体基材を回転させる態様
を示すものである。また、固体基材を覆う液状クロロシ
ラン類の液膜は、排ガスを冷却するために導入された液
状クロロシラン類により形成されることができ、またこ
のように導入された液状クロロシラン類と別個に導入さ
れた液状クロロシラン類により形成されることもでき
る。
【0026】装置の底部の溜めおよび上記の如き固体基
材の材質としては、金属材料、セラミックス材料、ガラ
ス材料等がいずれも好適に使用できる。工業装置として
頑丈であり、かつ高純度のシリコンを回収することを両
立するために、溜めの内部を、シリコン、テフロン(登
録商標)、石英ガラス等でライニングを施すことはより
好適である。
【0027】本発明におけるシリコンの製造条件は、特
に制限されないが、上記高周波加熱反応装置にクロロシ
ラン類と水素とを供給し、該クロロシラン類からシリコ
ンへの転化率が20%以上、好ましくは25%以上とな
る条件下でシリコンを生成せしめるように、クロロシラ
ン類と水素との供給比率、供給量、滞在時間等を決定す
ることが好ましい。例えば、前供給ガス中のクロロシラ
ン類のモル分率は0.1〜90モル%、好ましくは1〜
50モル%であることが、反応容器の大きさに対して経
済的なシリコンの製造速度を得るために好ましい。ま
た、反応圧力は高い方が装置を小型化できるメリットが
あるが、0〜1MPaG程度が工業的に実施しやすく、
好ましい。
【0028】滞在時間については、一定容量の反応炉心
に対して、圧力と温度の条件によって変化するが、反応
条件下において、反応容器である筒状反応炉心内でのガ
スの平均的な滞在時間は0.01〜60秒、好ましくは
0.01〜10秒に設定すれば、十分に経済的なクロロ
シラン類の転化率を得ることが可能である。
【0029】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明によれば、加熱体表面でシリコンを生成、溶融して該
シリコンを落下せしめる際、落下空間部において発生す
る副反応を抑制し且つ汚染のない固体シリコンを長期に
亘り連続的に製造し得るという優れた効果を奏すことが
できる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するために実施例
を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例により限
定されるものではない。
【0031】実施例1 図1に示した型の反応装置を用いた。トリクロロシラン
と水素とをモル比1:10で反応ガス導入管1より加熱
領域4に設置された高周波コイル3により1500℃に
加熱した円筒状カーボン反応炉芯2に導入した。そこで
トリクロロシランと水素とを反応させることにより該炉
芯内面に生成したシリコン液滴が、該炉芯下端よりシリ
コン液滴落下領域5に落下した。残余の反応生成ガスは
該炉芯下端開口部よりシリコン液滴落下領域5に設けて
ある反応生成ガス導出管8を通して流出させた。該炉芯
下端より落下するシリコン融液11と該炉芯下端より流
出する反応生成ガスを、該シリコン液滴落下領域中、中
段に設けてある液状クロロシラン導入管6より噴出され
る、反応原料として用いたトリクロロシランの50倍モ
ル量のトリクロロシラン液のシャワー7により300℃
以下に急冷した。急冷により該シリコン液滴をシリコン
固体粒子とし、急冷に用いた後のクロロシラン液と共に
液体クロロシラン抜出し口9より抜出した。反応生成ガ
ス導出管より流出した反応生成ガスを分析したところ、
生成シリコンに対するトリクロロシラン消費モル原単位
は3.11、四塩化珪素副成モル原単位は2.07であ
った。また流出した反応生成ガスのモル成分比は四塩化
珪素:トリクロロシラン:塩化水素:水素は3%:47
%:1%:49%であり、トリクロロシランを用いた急
冷により、副反応による四塩化珪素の生成とトリクロロ
シランの消費を抑制できた。液体クロロシラン抜出し口
から抜出したシリコン粒子を急冷に用いたクロロシラン
液と分離後、付着したクロロシランを不活性雰囲気下で
蒸発させて取り除いた後、取出して評価したところ、製
品シリコンの表面は高純度に維持されていた。
【0032】実施例2 実施例1の液状クロロシラン導入管6を円筒状カーボン
反応炉芯下端直下に設けた以外は、実施例1と同様に行
った。その結果、生成シリコンに対するトリクロロシラ
ン消費モル原単位は1.70、四塩化珪素副成モル原単
位は0.69であった。また流出した反応生成ガスのモ
ル成分比は四塩化珪素:トリクロロシラン:塩化水素:
水素が2%:46%:6%:46%であり、トリクロロ
シランを用いた炉芯管直下での急冷により、副反応によ
る四塩化珪素の副成をさらに抑制でき、トリクロロシラ
ンの消費も効率よく行うことができた。液体クロロシラ
ン抜出し口から抜出したシリコン粒子を急冷に用いたク
ロロシラン液と分離後、付着したクロロシランを不活性
雰囲気下で蒸発させて取り除いた後、取出して評価した
ところ、製品シリコンの表面は高純度に維持されてい
た。
【0033】実施例3 急冷用液状クロロシラン類として、反応原料として用い
たトリクロロシランに替えて、四塩化珪素を用いた以外
は、実施例1と同様に行った。その結果、生成シリコン
に対するトリクロロシラン消費モル原単位は2.15、
四塩化珪素副成モル原単位は1.03であった。流出し
た反応生成ガスのモル成分比は四塩化珪素:トリクロロ
シラン:塩化水素:水素が53%:2%:2%:43%
であり、四塩化珪素を用いた急冷により、副反応による
四塩化珪素の副成とトリクロロシランの消費を抑制でき
た。液体クロロシラン抜出し口から抜出したシリコン粒
子を急冷に用いたクロロシラン液と分離後、付着したク
ロロシランを不活性雰囲気下で蒸発させて取り除いた
後、取出して評価したところ、製品シリコンの表面は高
純度に維持されていた。
【0034】実施例4 図2に示した型の反応装置を用いた。シリコン液滴落下
領域下部に液体クロロシラン類の液溜めを設け、実施例
1と同様にトリクロロシランと水素とをモル比1:10
で反応ガス導入管1より加熱領域4に設置された高周波
コイル3により1500℃に加熱した円筒状カーボン反
応炉芯2に導入した。そこでトリクロロシランと水素と
を反応させることにより該炉芯内面に生成したシリコン
液滴を、該炉芯下端よりシリコン液滴落下領域5に落下
させた。残余の反応生成ガスは該炉芯下端開口部よりシ
リコン液滴落下領域5に設けてある反応生成ガス導出管
8を通して流出させた。該炉芯下端より落下するシリコ
ン液滴11と該炉芯下端より流出する反応生成ガスを、
該シリコン液滴落下領域中、中段に設けてある液状クロ
ロシラン導入管6より噴出される、反応原料として用い
たトリクロロシランの20倍モル量のトリクロロシラン
液のシャワー7により冷却した。該反応生成ガスは急冷
された後、反応生成ガス導出管より流出した。一方、該
シリコン液滴は冷却されながら、液状のまま、クロロシ
ラン液溜めに落下した。クロロシラン液溜めにてシリコ
ン液滴は固化し、該液溜め下部に堆積した。冷却用シャ
ワーに用いたクロロシラン液は該液溜めに落下した。溜
まったクロロシラン液は堆積したシリコン凝固物と共に
液状クロロシラン導出管9により定期的に該反応装置よ
り抜出した。反応生成ガス導出管より流出した反応生成
ガスを分析したところ、生成シリコンに対するトリクロ
ロシラン消費原単位は3.54、四塩化珪素副成原単位
は2.55であった。また流出した反応生成ガスのモル
成分比は四塩化珪素:トリクロロシラン:塩化水素:水
素は3%:38%:2%:57%であり、トリクロロシ
ラン液のシャワーを用いた急冷により、副反応による四
塩化珪素の生成とトリクロロシランの消費を抑制でき、
さらに液溜めを用いることにより、より少量の冷却液で
効率よくシリコン液滴の凝固を行う事ができた。抜出し
たシリコン粒子をクロロシラン液と分離後、付着したク
ロロシランを不活性雰囲気下で蒸発させて取り除いた
後、取出して評価したところ、製品シリコンの表面は高
純度に維持されていた。
【0035】実施例5 図3に示した反応装置を用いた。シリコン液滴落下領域
中、中段の液体クロロシラン類のシャワーにより液膜が
形成されるよう回転体を設けた以外は、実施例4と同様
に行った。該シリコン液滴は液状のまま、液膜のついた
回転体表面上に衝突し、回転体の回転作用により分裂
し、小粒子となって空間へ放出された。放出されたシリ
コン小粒子は空間中で凝固した後、クロロシラン液溜め
に落下した。冷却用シャワーに用いたクロロシラン液は
該液溜めに落下した。溜まったクロロシラン液は堆積し
たシリコン凝固物と共に液状クロロシラン導出管9によ
り定期的に該反応装置より抜出した。反応生成ガス導出
管より流出した反応生成ガスを分析したところ、生成シ
リコンに対するトリクロロシラン消費原単位は3.3
7、四塩化珪素副成原単位は2.31であった。また流
出した反応生成ガスのモル成分比は四塩化珪素:トリク
ロロシラン:塩化水素:水素は3%:42%:2%:5
3%であり、トリクロロシラン液のシャワーを用いた急
冷により、副反応による四塩化珪素の生成とトリクロロ
シランの消費を抑制でき、さらに液膜のついた回転体と
液溜めを併用することにより、少量の冷却液で効率よく
シリコン液滴の凝固を行うことができた。抜出したシリ
コン粒子をクロロシラン液と分離後、付着したクロロシ
ランを不活性雰囲気下で蒸発させて取り除いた後、取出
して評価したところ、製品シリコンの表面は高純度に維
持されていた。
【0036】比較例1 トリクロロシラン液のシャワーを用いない以外は実施例
1と同様に行った。カーボン反応炉芯内面に生成したシ
リコン液滴は、該炉芯下端よりシリコン液滴落下領域5
に落下し、最下部の反応器底に液状のまま到達した。残
余の反応生成ガスは徐冷されながら、該炉芯下端開口部
よりシリコン液滴落下領域5に設けてある反応生成ガス
導出管8を通して流出させた。反応生成ガス導出管より
流出した反応生成ガスを分析したところ、生成シリコン
に対するトリクロロシラン消費モル原単位は4.16、
四塩化珪素副成モル原単位は2.98であった。また流
出した反応生成ガスのモル成分比は四塩化珪素:トリク
ロロシラン:塩化水素:水素は4%:3%:2%:91
%であり、副反応による四塩化珪素の生成とトリクロロ
シランの消費が相当量あった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられる高周波加熱反応装置
の1例を示す概念図である。
【図2】本発明において用いられる高周波加熱反応装置
の他の1例を示す概念図である。
【図3】本発明において用いられる高周波加熱反応装置
のさらに他の1例を示す概念図である。
【符号の説明】
1 反応ガス導入管 2 円筒状反応炉心 3 高周波加熱コイル 4 加熱領域 5 シリコン液滴落下領域 6 液状クロロシラン導入管 7 冷却液シャワー 8 反応生成ガス導出管 9 固体シリコン粒および液体クロロシラン抜出口 10 クロロシラン液 11 (落下中)シリコン粒 12 固体シリコン粒 13 高周波加熱反応装置 14 液溜め 15 固体シリコン粒および液体クロロシラン抜出用バ
ルブ 16 固体基材 17 駆動装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンの融点以上に加熱された加熱体
    を備えた反応器内にクロロシラン類と水素とを供給し、
    該加熱体表面でクロロシラン類と水素を反応せしめてシ
    リコンを生成するに際し、該加熱体表面を離れてシリコ
    ン液滴が落下する反応器空間に液状クロロシラン類を導
    入しつつ上記反応を実施することを特徴とする、シリコ
    ンの製造方法。
  2. 【請求項2】 液状クロロシランを、シリコン液滴が落
    下を開始した直後に導入し、それによって反応排ガスを
    冷却する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応器の底部に液状クロロシランの溜め
    を準備し、その溜めの中にシリコン液滴を落下させ、そ
    れによってシリコン液滴を冷却する請求項1に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 クロロシラン類がテトラクロロシランお
    よびトリクロロシランよりなる群から選ばれる少なくと
    も1種である請求項1に記載の方法。
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