JP4805155B2 - シリコン製造装置 - Google Patents
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- C30B33/00—After-treatment of single crystals or homogeneous polycrystalline material with defined structure
Description
例えば、その一つはジーメンス法と呼ばれる方法であり、この方法では、通電によりシリコンの析出温度に加熱したシリコン棒をベルジャーの内部に配置し、このシリコン棒にトリクロロシラン(SiHCl3)やモノシラン(SiH4)を、水素等の還元性ガスとともに接触させてシリコンを析出させる。
一方、連続的に多結晶シリコンを製造可能な方法として、図9に示した装置による方法が提案されている(例えば特許文献1、2を参照)。このシリコン製造装置は、密閉容器1内に、炭素材料等を基材とする反応管11と、この反応管11の上部側に設置され、クロロシラン類、またはクロロシラン類と水素とを反応管11の内部へ供給する原料ガス供給口6と、反応管11の外周に設置した高周波加熱コイル15とを備えている。
そして、この加熱された反応管11の内面へ、原料ガス供給口6から供給されたクロロシラン類を接触させてシリコンを析出させる。
また、反応管11の内面をシリコンが析出可能な融点未満の温度にしてシリコン析出を行う場合(第2の方法)では、反応管11の内面に一度シリコンを固体として析出させた後、この内面をシリコンの融点以上に加熱して、析出物の一部または全部を溶融させて落下させ、落下方向に設置された冷却回収室21で回収する。
本発明は、上記したような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、反応管の下端部および、その他の反応管内面以外の部分へのシリコン析出を抑制し、これにより長時間に渡る安定的な運転が可能なシリコン製造装置を提供することを目的としている。
前記反応管の下端部近傍の外周側に、環状のスリットからなり、該下端部に向かってシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する第1ガス供給口が設けられ、
前記第1ガス供給口から離間した位置に、第1ガス供給口を形成する部材における第1ガス供給口の外側周囲の壁面に向けてシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する第2ガス供給口が設けられていることを特徴とする。
前記第2ガス供給口は、前記環状部材における第1ガス供給口の外側周囲の壁面に向けてシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する。
具体的には、例えば、前記第2ガス供給口は、前記環状部材における第1ガス供給口の外側周囲の底面または内周面に向けてシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する。
このようにすることで、上記の反応管の外周側領域および反応管の下端部へのシリコン析出を抑制でき、さらに、これらの領域へのシリコン析出を少ない供給ガス量で抑制できる。
さらに上記の発明では、第1ガス供給口から離間した位置に、第2ガス供給口を設けて、第1ガス供給口を形成する部材における第1ガス供給口の外側周囲の壁面に向けてシールガス等を供給するようにしている。
しかし、本発明では第2ガス供給口から上記部材における第1ガス供給口の外側周囲の壁面に向けてシールガス等を供給するようにしたので、第1ガス供給口を形成する部材の壁面へのシリコン析出を抑制することができる。そのため、第1ガス供給口の形状は長時間維持され、その間、第1ガス供給口から反応管の下端部へのシールガス等の供給は阻害されない。
また、第2ガス供給口からのシールガス等によって、反応管の下端部などへのシリコン析出をさらに抑制する作用を与えることも可能である。
本発明では、第1ガス供給口または第2ガス供給口、あるいはこれらの両方から、エッチングガスを供給することが好ましい。ここで、エッチングガスはシールガスと併用してもよい。この場合、エッチングガスとシールガスとの混合ガスを供給してもよく、エッチングガスの供給とシールガスの供給とを時間的に切り替えるようにしてもよい。エッチングガスを用いることにより、きわめて少ない供給ガス量でシリコンの析出を充分に防止することができる。
また、本発明のシリコン製造装置によれば、反応管の下端部および、その他の反応管内面以外の部分へのシリコン析出を少ない供給ガス量で充分に抑制できる。
2 シールガス供給口
3 ガス排出口
4 上部空間
5 原料ガス供給管
6 原料ガス供給口
7 冷却媒体供給口
8 冷却媒体排出口
11 反応管
11a 下端部
12 シールガス供給口
15 高周波加熱コイル
16a,16b 冷却ジャケット
17a,17b 冷却媒体供給口
18a,18b 冷却媒体排出口
21 冷却回収室
22 冷却ガス供給口
23 シリコン取出口
24 回収シリコン
31 第1ガス供給口
32 環状部材
32a 下面
32b 内周面
33 第2ガス供給口
34 リング状部材
35 筒状部材
36 保温部材
37 シールガスの流れ
38 シールガスの流れ
39 底板
40 第2ガス供給口の形成用部材
41 ガス供給口
42 細孔
43 細孔
51a 内側部材
51b 外側部材
52 ガス通路孔
クロロシラン類と共に析出反応に供される水素は、例えば、原料ガス供給口6、シールガス供給口12などから供給される。あるいは、クロロシラン類の供給管とは別途の供給管を反応管11の適当な位置に接続して供給することも可能である。
また、析出するシリコンと直接接触する管内面を、シリコンの融液に対して比較的耐性の高いもの、例えば、窒化珪素、炭化珪素、熱分解炭素などで被覆することが、反応管11の耐久性を向上し、シリコン製品の純度を向上する点から好ましい。
反応管11の下端部11aにおける開口の仕方は、管厚を一定としてストレートに開口した態様でもよく、あるいは下方に向かって徐々に径が減少するように絞り部を形成した態様でもよい。開口の周縁は、水平である態様の他、周縁が傾斜するように構成するか、あるいは周縁を波状に構成するようにしてもよく、これにより開口周縁からのシリコン液滴の落下が容易となるとともに、シリコン融液の液滴が揃い、シリコン粒子の粒径をより小さく均一に調整することができる。
なお、反応管11の内面をシリコンが析出可能な融点未満の温度にしてシリコンを析出させる方法(前述した第2の方法)でシリコンを製造する場合には、図8のように原料ガス供給口6を反応管11の内部に設けるのではなく、反応管11の上面から上に設けてもよい。この場合、反応管11の上面近傍から別途に水素ガスを供給するようにしてもよい。
シールガスは、密閉容器1に設置された別途のシールガス供給口2などからも供給され、例えば、反応管11の外部側の領域や、反応管11の下端部11a近傍など、密閉容器1内においてシリコンの析出を防止する必要がある領域に供給される。
反応管11の内面をシリコンの融点以上の温度にしてシリコン析出を行う方法(前述した第1の方法)では、反応管11の内面の温度をシリコンの融点(概ね1410〜1430℃)以上としてシリコンを溶融状態で析出させる。
高周波加熱コイル15は、図示しない電源からコイルへ通電することにより電磁波を発生して反応管11を加熱する。この電磁波の周波数は、反応管11等の、加熱対象の材質もしくは形状に応じて適切な値に設定され、例えば、数十Hz〜数十GHz程度に設定される。
反応管11の内面に析出したシリコンは、反応管11の下端部11aの開口から落下させて、落下方向に設置された冷却回収室21で回収する。前述した第1の方法では、溶融状態で析出したシリコン融液を、反応管11の下端部11aの開口から連続的に落下させて、落下方向に設置された冷却回収部21で回収する。この場合、析出したシリコン融液は、反応管11の内面に沿って下方へ流れ、下端部11aから液滴として自由落下して、落下中もしくは落下後に固化する。冷却回収部21に落下したシリコンは、必要に応じて、シリコン、銅、モリブテン等の固体冷却材、液体四塩化珪素、液体窒素等の液体冷却材、または冷却回収部21に設けた冷却ガス供給口22から供給される冷却ガスにより冷却される。
冷却回収室21の材質としては、金属材料、セラミックス材料、ガラス材料等が使用できるが、工業装置としての頑丈さと、高純度のシリコンを回収することを両立するために、金属製回収室の内部に、シリコン、テフロン(登録商標)、石英ガラス、タンタル、タングステン、モリブテン等でライニングを施すことが好ましい。冷却回収室21の底部にシリコン粒子を敷いてもよい。なお、反応管11での反応後の排ガスは、ガス排出口3より取り出される。
本実施形態のシリコン製造装置における製造条件は、特に制限されないが、冷却回収装置における固体シリコンの析出をより効果的に防止する点からは、該シリコン製造装置にクロロシラン類と水素とを供給し、該クロロシラン類からシリコンへの転化率が20%以上、好ましくは30%以上となる条件下でシリコンを生成させるように、クロロシラン類と水素との供給比率、供給量、滞在時間等を決定することが望ましい。反応容器の大きさに対して経済的なシリコンの製造速度を得るためには、供給ガス中のクロロシラン類のモル分率は、0.1〜99.9モル%とすることが好ましく、より好ましくは5〜50モル%である。また、反応圧力は高い方が装置を小型化できるメリットがあるが、0〜1MPaG程度が工業的に実施し易い。
本実施形態では、反応管11の外周側に、環状部材32を設置し、この環状部材32の内周面と反応管11の外周面との間で形成された環状スリットからなる第1ガス供給口31を通して反応管11の下端部11aへシールガスを供給している。
環状部材32の上部空間4は、底板39等によって仕切られ、密閉容器1内におけるクロロシラン類等の反応ガスが流通する空間とは隔離されている。なお、この上部空間4には、高周波加熱コイル15のような反応管11を加熱する装置の他、図示はしないが、反応管11の温度を維持するための保温部材など、必要に応じて各種の部材、機器等が設置される。
このようにすることで、反応管の外周側領域および反応管の下端部へのシリコン析出を抑制でき、さらに、これらの領域へのシリコン析出を少ない供給ガス量で抑制できる。
反応管の下端部におけるシリコンの析出を抑制するために反応管の下端部へシールガス等を供給する第1ガス供給口は、反応管の下端部外周に沿って設けられているので、反応管の外周側に配置され第1ガス供給口のスリットを形成する部材の壁面には、経時でシリコンが析出する。
しかし本発明では、第1ガス供給口の上記部分に第2ガス供給口よりガスが供給されるので、当該部分へのシリコンの析出を効果的に防止できる。しかも、第2ガス供給口は、反応管からの輻射熱を受けるものの、第1ガス供給口ほどには反応管には近接していないため、シリコンの析出が問題となるほどには高温に加熱されにくい。したがって、第2ガス供給口の機能および形状は長時間維持され、それによって、高温に曝される第1ガス供給口の形状も維持され、その結果として、反応管下端部へのシリコン析出も長時間防止できる。
第1ガス供給口、第2ガス供給口、またはこれらの両方から、生成した固体シリコンと反応し得るエッチングガス、あるいはシールガスとエッチングガスとの混合ガスを、連続的または断続的に供給してもよい。
以下、具体的な実施形態を挙げながら本発明のシリコン製造装置における第1ガス供給口および第2ガス供給口について説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態におけるシリコン製造装置の反応管下端部の周辺を示した断面図、図1(b)はそのA−A線による断面図である。図示したように、反応管11の外周側には環状部材32が設けられており、保温部材36、高周波加熱コイル15等が設置された反応管11の外側領域は、環状部材32および底板39等によって、その下方の空間から離隔されている。
ここで、反応管11の下端部11aとは、同図の破線で囲った領域内における管表面のことを示している。
図2は、本発明の他の実施形態におけるシリコン製造装置の反応管下端部の周辺を示した断面図である。図示したように、反応管11の外周側には環状部材32が設けられており、保温部材36、高周波加熱コイル15等が設置された反応管11の外側領域は、環状部材32等によって、その下方の空間から離隔されている。
環状部材32には多数の細孔42が設けられており、これらの細孔42の出口は環状部材32の内周面に、周に沿って配置されている。これらの細孔42によって第2ガス供給口33が構成され、第2ガス供給口33から環状部材32における第1ガス供給口31の外側周囲の壁面(細孔42の出口の上部側における内周面)に向けてシールガス38が供給され、これにより、該壁面へのシリコン析出を抑制している。
環状部材32の内周面と反応管11の外周面との間で形成された環状スリットからなる第1ガス供給口31を通して、シールガス37が反応管11の下端部11aへ供給される。
本発明において、環状部材は、反応管との間にスリット状の第1ガス供給口を形成する構造であれば、その形状は特に限定されない。環状部材の形成材料としては、例えば、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどを含有するセラミックス材料、あるいは石英ガラスなどが挙げられる。
環状部材を設ける位置は、第1ガス供給口の出口が、反応管の下端部を基準として上方に0〜100mmの範囲内となるような位置であることが、反応管の下端部へのシリコン析出を有効に防止する点から好ましい。また、第1ガス供給口の幅は、例えば2.5〜25mmとされる。
第2ガス供給口を設ける位置は、例えば図1または図3のように環状部材の底面へガスを供給する場合には、環状部材の下端部を基準として、下方に0〜200mmの範囲内であることが、環状部材の底面へのシリコン析出を有効に抑制し、反応管の下端部へのシリコン析出を有効に防止する点から好ましい。
図4〜図6は、第1ガス供給口および第2ガス供給口の具体例を示した断面図である。なお、これらの図では、反応管11は片側断面の下端部近傍のみ示し、シールガスおよび/またはエッチングガス(以下、シールガス等という)の流れを点線矢印で示している。図4(a)〜(c)では、図3と同様に環状部材32の下方に周状に第2ガス供給口33を設け、環状部材32の底面32aに向けてシールガス等を供給している。第2ガス供給口33を形成する下側の部材が反応管11の下端部11aからの輻射熱等で高温になり、当該部材にシリコンが析出するおそれがある場合には、図4(c)に示したように、第2ガス供給口33を形成する部材40の下方にさらにガス供給口41を設けて、この部材40における第2ガス供給口33の外側周囲にシールガス等を供給するようにしてもよい。
図5(b)では、反応管11と環状部材32との間隙からなるスリットに対して、スリット上方からシールガス等を供給すると共に、環状部材32における多数の細孔43の出口を環状部材32の内周面に周に沿って多段に配置し、これらの細孔43からもシールガス等を供給して、これらのガスを第1ガス供給口31の出口から噴き出すようにしている。そして、環状部材32の下方に周状に第2ガス供給口33を設け、環状部材32の底面32aに向けてシールガス等を供給している。
また、細孔42の出口からのシールガス等の噴出方向は、中心へ向かう水平方向以外に、上方もしくは下方への傾斜方向であってもよく、あるいは、細孔42の出口を基点として環状部材32の中心へ向かう方向から環状部材32の内周接線方向に傾斜した方向、すなわち環状部材32の周方向に沿った方向であってもよい。
図7は、環状部材の内周形状の具体例を示した図である。なお、同図において、点線で囲った位置における壁面が第2ガス供給口からのシールガス等によってシリコン析出を防止すべき箇所である。図示したように、環状部材の内周における断面形状の具体例としては、図7(a)のような反応管11の外周面と略平行な直線状、図7(b)のような曲面状、図7(c)、(d)のような角度を有する先鋭状、図7(e)のような反応管11の下端部11aよりも下方へ延びる長い直線状、図7(f)のような山切り先鋭状などが挙げられる。なお、反応管11の下端部11aと、環状部材32との相対位置は、同図に限定されず場合に応じて適切に配置される。
実施例
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜14]
材質がカーボンであり、円筒形で寸法が外径100mm、内径70mm、長さ1000mmである反応管11を多結晶シリコン製造装置(図8および図9を参照)に装着した。そして、図3に示したように環状部材32および筒状部材35を設置した。これにより、反応管11と環状部材32との間のスリットで第1ガス供給口31を形成すると共に、環状部材32の底面と筒状部材35との間の周状の隙間によって第2ガス供給口33を形成した。なお、環状部材32および筒状部材35の材質として窒化ケイ素セラミックスを使用した。
[実施例15〜19]
環状部材32および筒状部材35の材質として、表2に示した材質を使用した以外は、実施例10と同条件で連続反応を行い、反応管11の表面状態(シリコン付着量)を観察しシール効果を確認した。その結果を表2に示した。
[比較例1]
第2のガス供給口を設けず、第1ガス供給口からの窒素ガスの線速を1.6Nm/sとした以外は実施例1と同じ条件で連続反応を行った。反応終了後、環状部材32の直上における反応管11の表面状態を観察しシール効果を確認したところ、反応管11の表面へのシリコン付着量は0.1mm/Hであった。
[比較例2]
第1ガス供給口31となるスリットを形成する環状部材32と、筒状部材35とを用いず、反応管11の外周側空間の間隙幅を50mmとし、この間隙からの線速を5Nm/Sとした以外は、実施例1と同条件で連続反応を行った。反応終了後、環状部材32の直上における反応管11の表面状態を観察しシール効果を確認したところ、反応管11の表面へのシリコン付着量は0.2mm/Hであった。
Claims (3)
- 筒状の反応管と、該反応管の少なくとも下端部を含む反応領域をシリコンの融点以上に加熱する手段とを備え、前記反応管の上部側に設けられたガス供給管からクロロシラン類と水素とを前記反応管へ供給し、加熱された該反応管の内壁にシリコンを析出させ、該反応管の下端部開口から析出シリコンを取り出すシリコン製造装置であって、
前記反応管の下端部近傍の外周側に、環状のスリットからなり、該下端部に向かってシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する第1ガス供給口が設けられ、
前記第1ガス供給口から離間した位置に、第1ガス供給口を形成する部材における第1ガス供給口の外側周囲の壁面に向けてシールガスおよび/またはエッチングガスを供給する第2ガス供給口が設けられていることを特徴とするシリコン製造装置。 - 前記第1ガス供給口は、前記反応管の外周面と、前記反応管の外周側に隣接して設けられた環状部材の内周面との間隙により形成され、
前記第2ガス供給口は、前記環状部材における第1ガス供給口の外側周囲の壁面に向けてシールガスおよび/またはエッチングガスを供給することを特徴とする請求項1に記載のシリコン製造装置。 - 前記第2ガス供給口は、前記環状部材における第1ガス供給口の外側周囲の底面または内周面に向けてシールガスおよび/またはエッチングガスを供給することを特徴とする請求項2に記載のシリコン製造装置。
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