JP3498473B2 - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の制御装置

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JP3498473B2
JP3498473B2 JP09306696A JP9306696A JP3498473B2 JP 3498473 B2 JP3498473 B2 JP 3498473B2 JP 09306696 A JP09306696 A JP 09306696A JP 9306696 A JP9306696 A JP 9306696A JP 3498473 B2 JP3498473 B2 JP 3498473B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、摩擦係合装置の
係合と解放とによって実行されるいわゆるクラッチ・ツ
ウ・クラッチ変速を制御するための制御装置に関し、特
にトルク相における解放側の摩擦係合装置の油圧を制御
するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近では、自動変速機の小型軽量化のた
めに一方向クラッチを廃止し、それに伴って一方向クラ
ッチに替わる摩擦係合装置を係合もしくは解放し、それ
と同時に他の摩擦係合装置を係合もしくは解放させるこ
とにより実行されるいわゆるクラッチ・ツウ・クラッチ
変速が行われるようになってきている。したがってこの
クラッチ・ツウ・クラッチ変速における解放側の摩擦係
合装置は、基本的には、一方向クラッチと同様に動作さ
せる必要がある。すなわち解放側の摩擦係合装置は、ト
ルク相において、係合側の摩擦係合装置が滑りながらト
ルクを伝達している状態で、その受け持つトルクが次第
に低下し、係合側摩擦係合装置が所定以上のトルクを持
ち始めることによって受け持つトルクが零になり、この
時点で解放して回転変化を生じさせてイナーシャ相に移
行する。
【0003】したがってクラッチ・ツウ・クラッチ変速
の際には、係合側摩擦係合装置がトルク容量を持ち始め
た時点や、それに伴って解放側の摩擦係合装置に作用す
るトルクが変化し始めたことを検出することが必要であ
る。しかしながら、係合側の摩擦係合装置がトルク容量
を持ち始めるのは、その油圧ピストンが前進端(ストロ
ークエンド)に達した以降の時点があるが、油圧ピスト
ンのストロークをセンサで検出することは、自動変速機
の小型軽量化の要請から実用上困難である。またトルク
センサを自動変速機に内蔵することも、自動変速機の小
型軽量化の要請から困難であり、したがって所定の摩擦
係合装置のトルクの変化を直接検出することは、実際的
ではない。
【0004】そこで従来では、解放側の摩擦係合装置の
油圧の調圧レベルを決める制御値として一定の値を変速
信号の出力と同時もしくはその直後に出力し、その制御
値で変速の制御を行った場合のタイアップ状態あるいは
エンジンの吹き上がり(オーバーシュート)の状態を回
転数変化などに基づいて検出し、その検出結果に基づい
て摩擦係合装置の油圧の制御値を学習し、補正するよう
にしている。
【0005】その一例が特開平6−341525号公報
に記載されている。この公報に記載された発明では、ク
ラッチ・ツウ・クラッチ変速に関与する一方の摩擦係合
装置の油圧を制御する調圧バルブに、他方の摩擦係合装
置の油圧を作用させるとともに、そのバルブによる調圧
レベルをソレノイドバルブによって直接制御している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにクラッ
チ・ツウ・クラッチ変速での解放側の摩擦係合装置は、
トルクがかからなくなることによって直ちに解放するよ
う制御する必要がある。しかしながら、上記従来の装置
のように、その解放側摩擦係合装置の油圧を制御する場
合に係合側の摩擦係合装置の油圧を信号圧として作用さ
せると、係合側摩擦係合装置のトルク容量に応じて解放
側摩擦係合装置のトルク容量を変化させることができる
ものの、油温に基づく粘性の影響などによって解放側摩
擦係合装置の油圧の制御精度が低下し、その結果、過剰
な滑りによるエンジンのオーバーシュートやこれとは反
対にタイアップによる変速ショックが生じる可能性があ
る。
【0007】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、クラッチ・ツウ・クラッチ変速の際の
解放側摩擦係合装置の油圧を適正に制御してエンジンの
オーバーシュートや変速ショックを有効に防止すること
のできる制御装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載した発明は、所定
の摩擦係合装置の解放と他の摩擦係合装置の係合とによ
って達成されるクラッチ・ツウ・クラッチ変速の際に、
解放側摩擦係合装置の油圧を低下させて該解放側摩擦係
合装置を微少滑り状態に制御する車両用自動変速機の制
御装置において、前記クラッチ・ツウ・クラッチ変速の
実行を判断する変速判断手段と、そのクラッチ・ツウ・
クラッチ変速の開始時点から前記解放側摩擦係合装置の
圧の指令値を次第に低下させるとともにその油圧の指
令値の低下勾配を所定時間の間一定値に維持するととも
に所定時間が経過するごとに小さくする解放圧漸減手段
とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】 したがって請求項1の発明によれば、ク
ラッチ・ツウ・クラッチ変速の際に解放させられる摩擦
係合装置の油圧指令値が変速の開始に伴って、一定の低
下勾配で低下させられるとともに、その低下勾配を所
時間ごとに小さくしつつ、次第に低下させられるので、
解放側摩擦係合装置の過剰な滑りが生じず、しかもタイ
アップとならないいわゆる微少滑り状態に適切に設定す
ることができる。
【0010】 また請求項2の発明は、請求項1に記載
した構成に加え、前記車両のスロットル開度と油温とを
検出する走行状態検出手段と、前記低下勾配と前記所定
時間とを、前記走行状態検出手段で検出されたスロット
ル開度と油温とに応じて変更する制御補正手段とを備え
ていることを特徴とするものである。
【0011】 したがって請求項2の発明によれば、請
求項1の発明におけるように解放側摩擦係合装置を微少
滑り状態に設定するにあたり、入力トルクに影響する車
両のスロットル開度と油温とを検出し、その検出結果に
基づいて解放側摩擦係合装置の油圧の漸減制御の内容を
変更するので、解放側摩擦係合装置の過剰な滑りやタイ
アップを、より適切に防止することができる。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を具体化した一例
を説明する。まず、この発明で対象とするエンジンEお
よび自動変速機Aの一例について説明すると、図7はそ
の全体的な制御系統図であって、自動変速機Aを連結し
てあるエンジンEは、その出力を電気的に制御するよう
に構成されており、サーボモータからなるスロットルア
クチュエータ16によって駆動される電子スロットルバ
ルブ13が吸気管路12に設けられている。一方、エン
ジンEの出力を制御するためのアクセルペダル15の踏
み込み量すなわちアクセル開度は、図示しないセンサに
よって検出され、その検出信号がエンジン用電子制御装
置(E−ECU)17に入力されている。この電子制御
装置17は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装
置(RAM、ROM)ならびに入出力インターフェース
を主体とするものであって、この電子制御装置17に
は、制御のためのデータとして、エンジン(E/G)回
転数N、吸入空気量Q、吸入空気温度、スロットル開
度、車速、エンジン水温、ブレーキスイッチからの信号
などの各種の信号が入力されている。そしてこれらのデ
ータに基づいて電子スロットルバルブ13の開度を制御
し、またエンジンEの燃料噴射量および点火時期などを
制御するようになっている。
【0021】自動変速機Aは、油圧制御装置18によっ
て変速およびロックアップクラッチやライン圧あるいは
所定の摩擦係合装置の係合圧が制御される。その油圧制
御装置18は、電気的に制御されるように構成されてお
り、また変速を実行するための第1ないし第3のシフト
ソレノイドバルブS1 ,〜S3 、エンジンブレーキ状態
を制御するための第4ソレノイドバルブS4 、ライン圧
を制御するためのリニアソレノイドバルブSLT、アキュ
ームレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバル
ブSLN、ロックアップクラッチや所定の摩擦係合装置の
係合圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLUが
設けられている。
【0022】これらのソレノイドバルブに信号を出力し
て変速やライン圧あるいはアキュームレータ背圧などを
制御する自動変速機用電子制御装置(T−ECU)19
が設けられている。この自動変速機用電子制御装置19
は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RA
M、ROM)ならびに入出力インターフェースを主体と
するものであって、この電子制御装置19には、制御の
ためのデータとしてスロットル開度、車速、エンジン水
温、ブレーキスイッチからの信号、シフトポジション、
パターンセレクトスイッチからの信号、オーバドライブ
スイッチからの信号、後述するクラッチC0 の回転速度
を検出するC0 センサからの信号、自動変速機の油温、
マニュアルシフトスイッチからの信号などが入力されて
いる。
【0023】またこの自動変速機用電子制御装置19と
エンジン用電子制御装置17とは、相互にデータ通信可
能に接続されており、エンジン用電子制御装置17から
自動変速機用電子制御装置19に対しては、1回転当た
りの吸入空気量(Q/N)などの信号が送信され、また
自動変速機用電子制御装置19からエンジン用電子制御
装置17に対しては、各ソレノイドバルブに対する指示
信号と同等の信号および変速段を指示する信号などが送
信されている。
【0024】すなわち自動変速機用電子制御装置19
は、入力されたデータおよび予め記憶しているマップに
基づいて変速段やロックアップクラッチのON/OF
F、あるいはライン圧や係合圧の調圧レベルなどを判断
し、その判断結果に基づいて所定のソレノイドバルブに
指示信号を出力し、さらにフェイルの判断やそれに基づ
く制御を行うようになっている。またエンジン用電子制
御装置17は、入力されたデータに基づいて燃料噴射量
や点火時期あるいは電子スロットルバルブ13の開度な
どを制御することに加え、自動変速機Aでの変速時に燃
料噴射量を削減し、あるいは点火時期を変え、もしくは
電子スロットルバルブ13の開度を絞ることにより、出
力トルクを一時的に低下させるようになっている。
【0025】図8は上記の自動変速機Aの歯車列の一例
を示す図であり、ここに示す構成では、前進5段・後進
1段の変速段を設定するように構成されている。すなわ
ちここに示す自動変速機Aは、トルクコンバータ20
と、副変速部21と、主変速部22とを備えている。そ
のトルクコンバータ20は、ロックアップクラッチ23
を有しており、このロックアップクラッチ23は、ポン
プインペラ24に一体化させてあるフロントカバー25
とタービンランナ26を一体に取付けた部材(ハブ)2
7との間に設けられている。エンジンのクランクシャフ
ト(それぞれ図示せず)はフロントカバー25に連結さ
れ、またタービンランナ26を連結してある入力軸28
は、副変速部21を構成するオーバドライブ用遊星歯車
機構29のキャリヤ30に連結されている。
【0026】この遊星歯車機構29におけるキャリヤ3
0とサンギヤ31との間には、多板クラッチC0 と一方
向クラッチF0 とが設けられている。なお、この一方向
クラッチF0 はサンギヤ31がキャリヤ30に対して相
対的に正回転(入力軸28の回転方向の回転)する場合
に係合するようになっている。またサンギヤ31の回転
を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
そしてこの副変速部21の出力要素であるリングギヤ3
2が、主変速部22の入力要素である中間軸33に接続
されている。さらにその多板クラッチC0 の回転数すな
わち入力回転数を検出するためのNC0センサ34が設け
られている。
【0027】したがって副変速部21は、多板クラッチ
C0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊
星歯車機構29の全体が一体となって回転するため、中
間軸33が入力軸28と同速度で回転し、低速段とな
る。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ31の回転
を止めた状態では、リングギヤ32が入力軸28に対し
て増速されて正回転し、高速段となる。
【0028】他方、主変速部22は三組の遊星歯車機構
40,50,60を備えており、それらの回転要素が以
下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構
40のサンギヤ41と第2遊星歯車機構50のサンギヤ
51とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機
構40のリングギヤ43と第2遊星歯車機構50のキャ
リヤ52と第3遊星歯車機構60のキャリヤ62との三
者が連結され、かつそのキャリヤ62に出力軸65が連
結されている。さらに第2遊星歯車機構50のリングギ
ヤ53が第3遊星歯車機構60のサンギヤ61に連結さ
れている。
【0029】この主変速部22の歯車列では後進段と前
進側の四つの変速段とを設定することができ、そのため
のクラッチおよびブレーキが以下のように設けられてい
る。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されて
いる第2遊星歯車機構50のリングギヤ53および第3
遊星歯車機構60のサンギヤ61と中間軸33との間に
第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された第
1遊星歯車機構40のサンギヤ41および第2遊星歯車
機構50のサンギヤ51と中間軸33との間に第2クラ
ッチC2 が設けられている。
【0030】つぎにブレーキについて述べると、第1ブ
レーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機
構40および第2遊星歯車機構50のサンギヤ41,5
1の回転を止めるように配置されている。またこれらの
サンギヤ41,51(すなわち共通サンギヤ軸)とケー
シング66との間には、第1一方向クラッチF1 と多板
ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されて
おり、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ41,5
1が逆回転(入力軸28の回転方向とは反対方向の回
転)しようとする際に係合するようになっている。多板
ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構4
0のキャリヤ42とケーシング66との間に設けられて
いる。そして第3遊星歯車機構60のリングギヤ63の
回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブ
レーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがケーシング6
6との間に並列に配置されている。なお、この第2一方
向クラッチF2 はリングギヤ63が逆回転しようとする
際に係合するようになっている。
【0031】上記の自動変速機Aでは、各クラッチやブ
レーキを図9の作動表に示すように係合・解放すること
により前進5段・後進1段の変速段を設定することがで
きる。なお、図9において○印は係合状態、●印はエン
ジンブレーキ時に係合状態、△印は係合・解放のいずれ
でもよいこと、空欄は解放状態をそれぞれ示す。
【0032】図9の作動表から知られるように上記の自
動変速機の第2速と第3速との間の変速は、第2ブレー
キB2 と第3ブレーキB3 との係合・解放状態を共に切
り換えるクラッチ・ツウ・クラッチ変速となる。これら
の摩擦係合装置のトルク容量は、変速の状態に応じて正
確に制御する必要があるので、その変速のうち例えば第
2速から第3速へのアップシフトの場合は、解放側の第
3ブレーキB3 の油圧を調圧バルブによって制御し、か
つその調圧バルブの調圧値をリニアソレノイドバルブに
よって直接制御することにより、第3ブレーキB3 の油
圧を電気的に直接制御するようになっている。また第2
ブレーキB2 の係合圧の上昇に伴って第3ブレーキB3
を次第に解放させる必要があるので、上記の調圧バルブ
には、第2ブレーキB2 の油圧が信号圧として入力され
ている。
【0033】その調圧バルブの一例を図10に模式的に
示してある。ここに示すバルブは、B-3コントロールバ
ルブと称される調圧バルブであって、二つのランドを備
えたスプール70を挟んで二つのプランジャ71,72
が同一軸線上に配置されている。図10での上側のプラ
ンジャ71の端部側には、リニアソレノイドバルブSLU
の信号圧PSLU を作用させるための第1制御ポート73
が形成され、また他方のプランジャ72の端部側には、
第2ブレーキB2 の油圧PB2を作用させるための第2制
御ポート74が形成されている。この第2ブレーキB2
の油圧PB2が作用するプランジャ72とスプール70と
の間にスプリング75が配置されている。
【0034】またスプール70における二つのランドの
間に開口した入力ポート76と出力ポート77とが形成
されており、その入力ポート76には、前進第2速でD
レンジ圧(ドライブ(D)レンジで出力される油圧)が
入力されるようになっている。また出力ポート77は、
ソレノイドリレーバルブ(図示せず)を介して第3ブレ
ーキB3 に接続されている。
【0035】さらにスプール70と図10での下側のプ
ランジャ72との間に開口したフィードバックポート7
8が形成されており、このフィードバックポート78と
出力ポート77とがオリフィス79を介して連通されて
いる。さらに出力ポート77を挟んでフィードバックポ
ート78とは反対側には、スプール70によって選択的
に開閉されドレインポート80が形成されている。
【0036】したがってこの B-3コントロールバルブ
は、第2ブレーキ圧PB2によるプランジャ72の押圧力
がスプリング75の弾性力以下の状態では、リニアソレ
ノイドバルブSLUによるプランジャ71の押圧力(信号
圧PSLU とプランジャ71の受圧面積との積)からスプ
リング75の弾性力を減じた値を、フィードバック圧の
受圧面積で除した圧力に、Dレンジ圧を調圧して第3ブ
レーキB3 に出力する。また第2ブレーキ圧PB2による
押圧力がスプリング75の弾性力より大きい場合はに、
リニアソレノイドバルブSLUによるプランジャ71の押
圧力(信号圧PSLU とプランジャ71の受圧面積との
積)から第2ブレーキ圧PB2による押圧力(第2ブレー
キ圧PB2とプランジャ72の受圧面積との積)を減じた
値を、フィードバック圧の受圧面積で除した圧力に、D
レンジ圧を調圧して第3ブレーキB3に出力する。
【0037】そして上記のスプリング75の弾性力は、
第2ブレーキB2 がトルク容量を持ち始めるまで(すな
わち第2ブレーキB2 を係合させるピストンがストロー
クエンドに達するまで)の間の第2ブレーキ圧PB2によ
る押圧力以下に設定されている。その結果、第3ブレー
キ圧PB3は、第2ブレーキB2 がトルク容量を持ち始め
までは、リニアソレノイドバルブSLUによって制御さ
れ、また第2ブレーキB2 がトルク容量を持ち始めた後
は、リニアソレノイドバルブSLUおよび第2ブレーキ圧
PB2によって制御されるようになっている。
【0038】つぎに上述した自動変速機Aにおけるクラ
ッチ・ツウ・クラッチ変速時の油圧の制御について説明
する。図1は、第2速から第3速へのアップシフトの際
の解放側摩擦係合装置である第3ブレーキB3 の油圧の
制御例を説明するためのフローチャートであって、デー
タの読み込みなどの入力信号の処理(ステップ1)を行
った後に、油温が予め定めた基準温度THO以上か否かを
判断し(ステップ2)、否定判断された場合には、リタ
ーンする。油温が低いことにより粘性が高い場合には、
適正な制御ができないからである。なお、読み込まれる
データには、車速やスロットル開度、油温などが含ま
れ、したがってステップ1がこの発明の走行状態検出手
段に相当する。
【0039】ついで第2速から第3速へのアップシフト
を判断し(ステップ3)、否定判断された場合にはリタ
ーンする。また肯定判断された場合には、所定時間T1
秒の経過を待って(ステップ4)、第3ブレーキB3 の
解放圧を制御するリニアソレノイドバルブSLUのデュー
ティ比DSLU を所定の値DSOに低下させる(ステップ
5)。この値DS0は、マップ値DS01 と学習値DS02 と
からなるものであり、そのマップ値DS01 は、スロット
ル開度θと油温TOLとをパラメータとして設定され、そ
の一般的傾向を図2に概念的に示してある。なお、学習
値については後述する。したがってステップ3がこの発
明の変速判断手段に相当する。
【0040】そしてデューティ比DSLU を所定の勾配D
DS1 で低下させる(ステップ6)。その制御時間TA が
予め設定した時間T2 に至った場合(ステップ7で肯定
判断された場合)、デューティ比の低下勾配を前記の勾
配より小さい値DDS2 に設定する(ステップ8)。その
制御時間TB が予め設定した時間T3 に至った場合(ス
テップ9で肯定判断された場合)、デューティ比の低下
勾配を前記の勾配より小さい値DDS3 に設定する(ステ
ップ10)。
【0041】ここでこれらの勾配DDS1 ,DDS2 ,DDS
3 およびその継続時間T2 ,T3 は、それぞれ個別に予
め用意してあるマップ値を採用することができる。また
それらのマップ値は、例えば上記のデューティ比の初期
設定値と同様に、スロットル開度θと油温TOLをパラメ
ータとして設定でき、その一般的傾向は、図2に示すマ
ップ値DS01 と同様に、スロットル開度θが大きいほ
ど、また油温TOLが高いほど小さい値に設定する。した
がってこれらステップ5,6,8,10がこの発明の解
放圧漸減手段に相当する。
【0042】上記の各勾配での制御中、すなわちステッ
プ7で否定判断された場合、およびステップ9で否定判
断された場合、ならびにステップ10の制御を実行した
場合に、第3ブレーキB3 の滑りの発生を判断する(ス
テップ11)。この第3ブレーキB3 の滑り判断は、必
要に応じて種々の方法で判断することができ、例えば入
力回転数NC0が第2速の同期回転数より上昇し、その上
昇値が予め設定したしきい値を越えることによって判断
することができる。
【0043】ステップ11で否定判断された場合にはリ
ターンし、また肯定判断された場合には、ステップ12
に進んでリニアソレノイドバルブSLUのデューティ比
を、第3ブレーキB3 の滑りが始まった時点のデューテ
ィ比まで戻す(ステップアップさせる)。すなわち第3
ブレーキB3 の滑りは、滑りに伴う回転変化が所定のし
きい値を越えることによって判断され、また不可避的な
制御の遅れなどがあるので、実際に滑りが生じた時点と
滑りが判断された時点との間に時間差があり、これを是
正するためである。なお、そのステップアップ値DS1
は、滑りが判断された時点のデューティ比の勾配および
予め設定したマップ値とに基づいて算出され、決定され
る。
【0044】したがって解放側の摩擦係合装置である第
3ブレーキB3 は、トルク容量がほぼ零で極わずか滑っ
ている状態に設定される。この状態で係合側の摩擦係合
装置である第2ブレーキB2 の油圧ピストン(図示せ
ず)がストロークエンドに達し、第2ブレーキB2 がト
ルク容量を持ち始めると、第3ブレーキB3 が滑ること
により上昇していた入力回転数NC0が次第に低下し始め
る。
【0045】その場合、第3ブレーキB3 のトルク容量
は、実質的にほぼ零であるから、第2ブレーキB2 がト
ルク容量を持ち始めることによって第1遊星歯車機構4
0のキャリヤ42に従前とは反対方向にトルクが作用し
始めると、キャリヤ42がそのトルク方向に回転し始め
る。これは、一方向クラッチがトルクの作用方向に変更
に伴って解放するのとほぼ同様な状況であり、したがっ
てタイアップやそれに伴うショックなどは生じない。
【0046】そしてその回転数が変速前の変速段である
第2速の回転数よりも低下すると、イナーシャ相の開始
が判断され、これと同時に第3ブレーキB3 の油圧が大
きく低下させられ、実質的に解放状態とされる。それ以
降は、第2ブレーキB2 の油圧が次第に昇圧され、最終
的には、入力回転数が第3速の同期回転数に達するとと
もに、第2ブレーキB2 の油圧がライン圧にまで高めら
れ、また第3ブレーキB3 が完全に解放される。このイ
ナーシャ相開始以降の制御は、従来知られているものと
特に変わるところはない。
【0047】上述したように第3ブレーキB3 の解放圧
は、理想的には、第2ブレーキB2がトルク容量を持ち
始めた時点で零になるよう制御することが好ましい。そ
のためには、第2ブレーキB2 の油圧ピストンがそのス
トロークエンドに達して第2ブレーキB2 がトルク容量
を持ち始める時点を検出し、その検出結果に基づいて第
3ブレーキB3 の解放圧の制御内容を変更することが好
ましい。その制御の一例を以下に説明する。
【0048】図3において、先ず、油温が予め設定した
基準温度THO以上か否かを判断し(ステップ21)、油
温がその基準温度THOより低い場合には、特に制御を行
うことなくリターンする。オイルの粘性が高いことによ
る外乱の影響を防止するためである。油温が基準温度T
HO以上であれば、フラグXSTについて判断する(ステッ
プ22)。このフラグXSTは、第3ブレーキB3 の滑り
が検出されることにより“1”にセットされるフラグで
あり、制御の開始当初は滑りが発生していないので、
“0”にセットされており、否定判断される。
【0049】ステップ22で否定判断されることにより
ステップ23に進み、第3ブレーキB3 の滑りの発生を
判断する。これは、具体的には、入力回転数NC0の回転
角速度ωが判断基準値ωST以上になったか否かによって
判断することができる。変速制御を開始した当初は、通
常であれば、滑りが発生していずに否定判断され、その
場合は、イナーシャ相の開始を判断する(ステップ2
)。
【0050】変速信号の出力の直後のためにイナーシャ
相が開始していず、ステップ24で否定判断されるの
で、ステップ25に進んでイナーシャ相開始カウンタC
TST を“1”だけアップカウントする。また同時に、ス
トロークエンドカウンタCTB2ED を“1”だけアップカ
ウントする(ステップ26)。なお、これらのカウンタ
CTST ,CTB2ED は、変速制御開始時点(デューティ比
の低下出力時点)からの時間をカウントするためのもの
であり、図3に示すルーチンが数ms(ミリ秒)ごとに実
行されることにより、そのサイクルタイムを“1”とし
てカウントするものである。
【0051】また第3ブレーキB3 に滑りが発生せずに
イナーシャ相が開始することによりステップ24で肯定
判断されることがある。これは、第2ブレーキB2 がト
ルク容量を持ち始めた後においても第3ブレーキB3 が
実質的に係合している状態である。このような場合に
は、いわゆるタイアップによりショックが悪化するの
で、次回の第2速から第3速へのアップシフトの際の第
3ブレーキB3 の制御圧を低下させるために、変速開始
と同時に設定するリニアソレノイドバルブSLUのデュー
ティ比DS0を予め定めた所定値GDSF1だけ低下させる
(ステップ27)。
【0052】前述したようにこのデューティ比DS0は、
マップ値DS01 と学習値DS02 とからなるので、この学
習値DS02 が所定値GDSF1だけ低下させられることにな
る。したがってこのステップ27がこの発明における制
御補正手段に相当する。
【0053】また変速開始に伴って第3ブレーキB3 の
解放圧を前述したように低下させ、その結果、第3ブレ
ーキB3 に滑りが生じると、ステップ23で肯定判断さ
れ、その場合はフラグXSTを“1”にセットした後、ス
テップ25およびステップ26に進んで、各カウンタC
TST ,CTB2ED による時間のカウントを継続する。
【0054】第3ブレーキB3 の滑りが発生してステッ
プ22で肯定判断されると、第2ブレーキB2 の油圧ピ
ストンのストロークエンドを判定する(ステップ2
9)。これは、具体的には、滑り量ωの変化率(ωドッ
ト:入力回転数NC0の変化率)が所定の基準値ωedドッ
ト以下か否かによって判断される。
【0055】すなわち前述した B-3コントロールバルブ
の第2制御ポート74に入力されている第2ブレーキB
2 の油圧は、第2ブレーキB2 より上流側の油路での油
圧であり、管路抵抗などによる圧力差の分、第2ブレー
キB2 での油圧より高い油圧である。これに対して第2
ブレーキB2 の油圧ピストンがそのストロークエンドに
達すると、オイルの流動がなくなるために、第2ブレー
キB2 での油圧と、 B-3コントロールバルブで採用して
いる第2ブレーキ圧PB2との差圧が零になる。したがっ
て見掛け上、第2ブレーキB2 の係合圧が瞬間的に増大
した状態となり、タイアップ傾向が生じて入力回転数N
C0が一時的に低下する。
【0056】第2ブレーキB2 の油圧ピストンがそのス
トロークエンドに達すると、第3ブレーキB3 の滑り起
因する入力回転数NC0に上記のような変化が生じるの
で、その回転変化に基づいてステップ29で第2ブレー
キB2 のストロークエンドを検出する。
【0057】このステップ29で否定判断された場合に
は、ストロークエンドカウンタCTB2ED によるカウント
値を“1”だけアップカウントし(ステップ30)、つ
いでイナーシャ相の開始を判断する(ステップ32)
た第2ブレーキB2 のストロークエンドが検出されて
ステップ29で肯定判断された場合には、直ちにステッ
プ32に進んでイナーシャ相の開始を判断する。
【0058】第2ブレーキB2 がトルク容量を持ち始め
ると、第3速に向けた変速が進行し、第3ブレーキB3
にかかっていたトルクが次第に低下し、ついにはこれが
実質的に解放状態となって回転変化が生じる。この回転
変化に基づいてイナーシャ相の開始を判断することがで
き、そのための方法は、例えば従来行われている方法で
よい。すなわち変速前の変速段(この場合は第2速)で
の変速比に出力回転数N0 を掛けた値と入力回転数NC0
との差が所定値以上となったことによりイナーシャ相の
開始を判断することができる。
【0059】イナーシャ相が開始していないことにより
ステップ31で否定判断された場合には、イナーシャ相
開始カウンタCTST のカウントを継続し(ステップ3
2)、リターンする。これに対してイナーシャ相の開始
が判断された場合には、第2ブレーキB2 の油圧ピスト
ンのストロークエンドからイナーシャ相の開始までの時
間CTIN (=CTST −CTB2ED )を演算する(ステップ
33)。
【0060】この演算して求められた時間CTIN が目標
範囲内、すなわち予め設定した第1の基準値TTIN1以上
でかつ第2の基準時間TTIN2以下であるか否かを判断す
る(ステップ34)。このステップ34で肯定判断され
れば、第3ブレーキB3 が過剰に滑らずに、すなわちエ
ンジンの吹き上がり(オーバーシュート)が過剰になら
ずに、イナーシャ相に移行して変速が進行することにな
り、したがって変速ショックが悪化したりエンジンが吹
き上がったりしないので、第3ブレーキB3 の油圧の制
御が適正に行われたことになる。そのためステップ34
で肯定判断された場合には、リターンする。
【0061】これに対してステップ34で否定判断され
た場合には、前記演算して求めた時間の長短を判断す
る。すなわち一例として、第1の基準時間TTIN1より小
さいか否かを判断する(ステップ35)。第2ブレーキ
B2 の油圧ピストンのストロークエンドからイナーシャ
相開始までの時間CTIN が第1の基準時間TTIN1より短
いためにステップ35で肯定判断された場合には、第3
ブレーキB3 の制御開始油圧DS0の学習値として、所定
値GDS0 を減じた値を採用し、また油圧の低下勾配をD
DS1 とする制御時間、すなわち 2-3シフトバルブを切り
換えるために第1ソレノイドバルブS1 をONからOF
Fに制御するまでの時間T2 を所定時間GT2だけ長くす
る(ステップ36)。
【0062】すなわち前記演算して求めた時間CTIN が
第1の基準時間TTIN1より短ければ、第3ブレーキB3
の解放圧が高めに推移してタイアップ傾向となり、その
結果、第2ブレーキB2 の油圧ピストンのストロークエ
ンドの直後にイナーシャ相が開始したことになる。そこ
でこの場合、次回の変速の際の第3ブレーキB3 の解放
圧を低めに制御するよう学習する。
【0063】これとは反対に、第2ブレーキB2 の油圧
ピストンのストロークエンドからイナーシャ相開始まで
の時間CTIN が第2の基準時間TTIN2より長いことによ
り、ステップ35で否定判断された場合には、第3ブレ
ーキB3 の制御開始油圧DS0の学習値として、所定値G
DS0 を加えた値を採用し、また油圧の低下勾配をDDS1
とする制御時間、すなわち 2-3シフトバルブを切り換え
るために第1ソレノイドバルブS1 をONからOFFに
制御するまでの時間T2 を所定時間GT2だけ短くする
(ステップ37)。
【0064】すなわち前記演算して求めた時間CTIN が
第2の基準時間TTIN2より長ければ、第3ブレーキB3
の解放圧が低めに推移して、第2ブレーキB2 の油圧ピ
ストンがストロークエンドに達してもイナーシャ相の発
生までに時間がかかり、その間に第3ブレーキB3 の滑
り(エンジンのオーバーシュート)が過剰になることに
なる。そこでこの場合、次回の変速の際の第3ブレーキ
B3 の解放圧を高めに制御するよう学習する。
【0065】上述した制御による入力回転数NC0の変化
とリニアソレノイドバルブSLUのデューティ比の変化を
タイムチャートで示せば、図4のとおりである。図4に
おいて、t0 時点で第2速から第3速のアップシフトが
判断され、所定のT1 秒の経過の後のt1 時点に制御が
開始される。このt1 時点にデューティ比がDS0に低下
させられるとともに、これに対応した第3ブレーキB3
の油圧を初期油圧としてDDS1 の勾配でデューティ比
(第3ブレーキ圧)が次第に低下される。所定時間T2
の経過後のt2 時点に第1ソレノイドバルブS1 の切換
え信号を出力し、同時にデューティ比(第3ブレーキ
圧)の低下勾配をDDS2 (<DDS1 )に変更する。
【0066】未だ第3ブレーキB3 の滑りが検出されて
いない場合には、所定時間T3 秒の経過したt3 時点に
デューティ比(第3ブレーキ圧)の低下勾配をDDS3
(<DDS2 )に変更する。その後のt4 時点に第3ブレ
ーキB3 の滑りが発生し、これがt5 時点に検出され
る。これと同時にデューティ比(第3ブレーキ圧)が滑
りの発生した時点の値までステップアップされる。その
ステップアップ幅DS1は、勾配および所定の遅れ時間に
基づいて演算して求められことは前述したとおりであ
る。
【0067】その後のt6 時点に第2ブレーキB2 の油
圧ピストンがストロークエンドに達して入力回転数NC0
が一時的に低下し、すなわち入力回転数NC0の変化率
(変化勾配)が変化する。その後、僅かな間、入力回転
数NC0が上昇し続けた後、次第に第3速の同期回転数に
向けて低下し始め、第2速の回転数に対して所定回転数
低下したt7 時点にイナーシャ相の開始が判断される。
これと同時にデューティ比が低下させられ、第3ブレー
キB3 は、第2ブレーキB2 の油圧の上昇に応じて低下
させられる。
【0068】なお、上述した制御例では、第3ブレーキ
B3 の解放圧の学習制御を、第2ブレーキB2 の油圧ピ
ストンのストロークエンドからイナーシャ相の開始まで
の時間の長短に基づいて行うようにしたが、これに替え
て、第3ブレーキB3 の滑り(エンジンの吹き上がり)
の遅速に応じて学習制御を行うようにしてもよい。
【0069】その例を図5に簡略化して示してあり、滑
り検出フラグXSTが“1”か否かの判断(ステップ4
1)を行い、滑りが発生していないことにより否定判断
された場合には、滑りの発生を判断する(ステップ4
2)。これは、図3に示すステップ23と同様な判断ス
テップである。ここで否定判断された場合には、イナー
シャ相の開始を判断し(ステップ43)、イナーシャ相
が開始していなければ、滑り検出カウンタCTNTOV およ
びイナーシャ相開始カウンタCTST のそれぞれを“1”
づつアップカウントする(ステップ44,45)。
【0070】また第3ブレーキB3 の滑りが発生せずに
イナーシャ相が開始してステップ43で肯定判断された
場合には、図3に示す制御例と同様に、次回の第2速か
ら第3速へのアップシフトの際の第3ブレーキB3 の制
御圧を低下させるために、変速開始と同時に設定する第
3ブレーキB3 の油圧DS0を予め定めた所定値GDSF1だ
け低下させる(ステップ46)。さらに第3ブレーキB
3 の滑りが検出されてステップ42で肯定判断された場
合には、フラグXSTを“1”にセット(ステップ47)
した後にステップ44に進む。
【0071】第3ブレーキB3 の解放圧が次第に低下さ
せられて滑りが生じ、フラグXSTが“1”にセットされ
た場合には、ステップ41で肯定判断され、ついでイナ
ーシャ相が開始したか否かが判断される(ステップ4
8)。この判断ステップは、図3に示す制御例における
ステップ31と同様にして実行でき、ここで否定判断さ
れた場合には、イナーシャ相開始カウンタCTST を
“1”だけアップカウントし(ステップ49)、リター
ンする。
【0072】一方、イナーシャ相が開始していてステッ
プ48で肯定判断された場合には、第3ブレーキB3 の
滑りが目標範囲に入っているか否かを判断する(ステッ
プ50)。その判断の仕方としては、滑り検出カウンタ
CTNTOV の値が下限値TT23L以上でかつ上限値TT23H以
下であるか否かを判断すればよい。その場合、肯定判断
されれば、第3ブレーキ圧の制御値が適正であることに
なるので、特に制御を行うことなくリターンする。また
反対に目標範囲から外れていて否定判断された場合に、
カウント値が上限値より大きいか否かを判断する(ステ
ップ51)。
【0073】このステップ51で肯定判断された場合、
および否定判断された場合のそれぞれで、第3ブレーキ
圧の制御値の学習補正を行う(ステップ52,53)
すなわち、肯定判断された場合、すなわちカウント値C
TNTOV が上限値TT23Hを超えている場合には、第3ブレ
ーキB3 の解放圧が高めに推移して滑りの発生が遅れて
いることによるので、デューティ比の初期制御値DS0を
所定値GDS0 だけ低下させる。また反対に否定判断され
た場合、すなわちカウント値CTNTOV が下限値TT23Lに
満たない場合には、第3ブレーキB3 の解放圧が低めに
推移して滑りの発生が早いことによるので、デューティ
比の初期制御値DS0を所定値GDS0 だけ高くする。
【0074】またステップ50での目標範囲に入ってい
るか否かの判断の仕方として、滑りの検出からイナーシ
ャ相の開始までの時間(CTST −CTNTOV )が所定の基
準値TT23I以下か否かを判断してもよい。その場合、肯
定判断されれば、特に制御を行うことなくリターンし、
また否定判断されれば、第3ブレーキB3 の滑りが早期
に生じ、これは第3ブレーキB3 の制御圧が低めに推移
していることに起因するので、デューティ比の初期制御
値DS0を所定値GDS0 だけ高くする。このように制御す
れば、前述した例と同様に、第3ブレーキB3 の解放圧
を適正に制御して、エンジンの吹き上がりや変速ショッ
クのない第2速から第3速へのクラッチ・ツウ・クラッ
チ変速を実行することができる。
【0075】さらに第3ブレーキB3 の解放圧の学習制
御を滑りの大小に基づいて行うこととしてもよい。その
例を図6に簡略化して示してある。図6において、滑り
検出フラグXSTが“1”か否かの判断(ステップ61)
を行い、滑りが発生していないことにより否定判断され
た場合には、滑りの発生を判断する(ステップ62)。
これは、図3に示すステップ23と同様な判断ステップ
である。ここで否定判断された場合には、イナーシャ相
の開始を判断し(ステップ63)、イナーシャ相が開始
していなければリターンする。また第3ブレーキB3 の
滑りが発生せずにイナーシャ相が開始してステップ63
で肯定判断された場合には、図3に示す制御例と同様
に、次回の第2速から第3速へのアップシフトの際の第
3ブレーキB3 の制御圧を低下させるために、変速出力
と同時に設定する第3ブレーキB3の油圧DS0を予め定
めた所定値GDSF1だけ低下させる(ステップ64)。
【0076】さらに第3ブレーキB3 の滑りが検出され
てステップ62で肯定判断された場合には、フラグXST
を“1”にセット(ステップ65)した後にリターンす
る。
【0077】一方、第3ブレーキB3 の解放圧が次第に
低下させられて滑りが生じ、フラグXSTが“1”にセッ
トされた場合には、ステップ61で肯定判断される。こ
の場合は、ステップ66に進んで、今回の走査過程で検
出された滑り量ωi が前回の走査過程で検出された滑り
量ωi-1 より大きいか否かを判断する。今回の滑り量ω
i の方が大きい場合には、これを最大値に置き換え(ス
テップ67)、ついでイナーシャ相の開始を判断する
(ステップ68)。また今回検出した滑り量ωiが前回
検出した滑り量ωi-1 を上回っていない場合には、直ち
にステップ68に進んでイナーシャ相の開始を判断す
る。
【0078】イナーシャ相が開始していずにステップ6
8で否定判断された場合にはリターンし、また肯定判断
された場合には、滑り量ωが予め設定した基準滑り量ω
trg以上か否かを判断する(ステップ69)。滑り量ω
が基準滑り量ωtrg 以下であれば、第3ブレーキB3 の
過剰な滑りすなわちエンジンの吹き上がりが生じていな
いことになるのでリターンする。これとは反対に滑り量
ωが基準滑り量ωtrg以上であれば、第3ブレーキB3
の解放圧が低く、過剰な滑りすなわちエンジンの吹き上
がりが生じていることになるので、デューティ比の初期
制御値DS0を所定値GDS0 だけ高くする(ステップ7
0)。このステップ70がこの発明の制御補正手段に相
当し、このように制御すれば、第3ブレーキB3 の滑り
量が適正範囲に収束し、エンジンの吹き上がりや変速シ
ョックのない第2速から第3速へのクラッチ・ツウ・ク
ラッチ変速を実行することができる。
【0079】なお、以上述べた例では、第3ブレーキB
3 の解放圧の低下勾配DDS1 ,DDS2 ,DDS3 およびそ
の制御時間T2 ,T3 をマップから求めることとした
が、この発明では、これらの値を演算して求めることと
してもよい。例えば各低下勾配での滑り検出遅れは、勾
配ごとに実験的に求まるから、第3ブレーキB3 のトル
ク容量の低下許容量が、低下勾配とそれに応じた滑り検
出遅れとの積として演算できることから、各低下勾配D
DS1 ,DDS2 ,DDS3 を演算できる。
【0080】また第2ブレーキB2 に油圧を供給し始め
てからストロークエンドに達するまでの時間すなわちス
トローク時間からDDS2 の勾配での制御時間T3 を減じ
た値にDDS3 の勾配を掛けた値が、最大限で学習補正で
きない値に収まる必要があるから、この関係からその制
御時間T3 を求めることができる。さらに各低下勾配と
それぞれの制御時間との積の和が、最大限でばらつきに
よる油圧の振れ以下に収まる必要があるので、その関係
から制御時間T2 を求めることができる。
【0081】またこの発明は、上記の実施例に限定され
ないのであって、図8に示すギヤトレインを備えた自動
変速機以外の自動変速機を対象とする制御装置に適用す
ることができる。したがってこの発明で対象とするクラ
ッチ・ツウ・クラッチ変速は第2速から第3速へのアッ
プシフトに限定されず、またその制御対象となる摩擦係
合装置は、第3ブレーキに限定されない。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載し
た発明によれば、クラッチ・ツウ・クラッチ変速の際に
解放させられる摩擦係合装置の油圧指令値が変速の開始
に伴って、一定の低下勾配で低下させられるとともに、
その低下勾配を所定時間ごとに小さくしつつ、次第に低
下させられるので、解放側の摩擦係合装置を、過剰な滑
りが生じず、しかもタイアップとならないいわゆる微少
滑り状態に適切に設定することができ、その結果、解放
側摩擦係合装置が一方向クラッチとほぼ同様な挙動を示
すので、クラッチ・ツウ・クラッチ変速をエンジンのオ
ーバーシュートや変速ショックなどを生じさせずに良好
に実行することができる。
【0083】 また請求項2の発明によれば、請求項1
の発明におけるように解放側摩擦係合装置を微少滑り状
態に設定するにあたり、入力トルクに影響する車両のス
ロットル開度および油温を検出し、その検出結果に基づ
いて解放側摩擦係合装置の油圧の漸減制御の内容を変更
するので、解放側摩擦係合装置の過剰な滑りやタイアッ
プを、より適切に防止することができる。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置で実行される制御内容を説
明するためのフローチャートである。
【図2】第3ブレーキを解放制御する際のデューティ比
の低下勾配とそれぞれの制御継続時間とのマップ値の一
般的傾向を示す図である。
【図3】係合側摩擦係合装置の油圧ピストンのストロー
クエンドの検出とそれに伴う学習制御のルーチンの一例
を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す制御を実行した場合の入力回転数お
よびデューティ比の変化を示すタイムチャートである。
【図5】滑り検出のタイミングに基づく学習制御のため
のルーチンを簡略化して示すフローチャートである。
【図6】滑り量に基づく学習制御のためルーチンを簡略
化して示すフローチャートである。
【図7】この発明による全体的な制御系統を示す図であ
る。
【図8】この発明で対象とする自動変速機のギヤトレイ
ンの一例を示すスケルトン図である。
【図9】その自動変速機で各変速段を設定するための摩
擦係合装置の係合作動表を示す図である。
【図10】この発明で使用することのできる B-3コント
ロールバルブの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
17 エンジン用電子制御装置 18 油圧制御装置 19 自動変速機用電子制御装置 A 自動変速機 B2 第2ブレーキ B3 第3ブレーキ E エンジン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−34023(JP,A) 特開 平6−341527(JP,A) 特開 平7−27219(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の摩擦係合装置の解放と他の摩擦係
    合装置の係合とによって達成されるクラッチ・ツウ・ク
    ラッチ変速の際に、解放側摩擦係合装置の油圧を低下さ
    せて該解放側摩擦係合装置を微少滑り状態に制御する車
    両用自動変速機の制御装置において、 前記クラッチ・ツウ・クラッチ変速の実行を判断する変
    速判断手段と、 そのクラッチ・ツウ・クラッチ変速の開始時点から前記
    解放側摩擦係合装置の油圧の指令値を次第に低下させる
    とともにその油圧の指令値の低下勾配を所定時間の間一
    定値に維持するとともに所定時間が経過するごとに小さ
    くする解放圧漸減手段とを備えていることを特徴とする
    車両用自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記車両のスロットル開度と油温とを
    出する走行状態検出手段と、 前記低下勾配と前記所定時間とを、前記走行状態検出手
    段で検出されたスロットル開度と油温とに応じて変更す
    る制御補正手段とを備えていることを特徴とする請求項
    1に記載の車両用自動変速機の制御装置。
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