JPH10196776A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JPH10196776A
JPH10196776A JP8359111A JP35911196A JPH10196776A JP H10196776 A JPH10196776 A JP H10196776A JP 8359111 A JP8359111 A JP 8359111A JP 35911196 A JP35911196 A JP 35911196A JP H10196776 A JPH10196776 A JP H10196776A
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JP
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pressure
shift
automatic transmission
brake
engagement
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Application number
JP8359111A
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English (en)
Inventor
Nobuaki Takahashi
信明 高橋
Hiroya Nakamura
泰也 中村
Kagenori Fukumura
景範 福村
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動変速機での油圧の制御を変速の状況に応
じて制御して変速の遅れを防止する。 【解決手段】 エンジンに連結された自動変速機の変速
時に係合させる摩擦係合装置の係合圧を、変速時の所定
の回転数の変化に対応して、直接的に制御する自動変速
機の制御装置において、前記エンジンに対する燃料の供
給停止状態を検出するフューエルカット検出手段(ステ
ップ2)と、このフューエルカット検出手段が前記燃料
の供給の停止を検出した場合に前記係合圧を変更する手
段(ステッ5)を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動変速機にお
ける摩擦係合装置の油圧を制御する制御装置に関し、特
にその摩擦係合装置の係合圧を直接的に制御する制御装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用の自動変速機は、クラッチやブレ
ーキなどの摩擦係合装置を油圧によって係合もしくは解
放させることにより、車両の走行状態に応じた変速比を
設定するように構成されている。その摩擦係合装置のト
ルク容量あるいは係合圧は、小型軽量化および燃費の向
上などのために、その摩擦係合装置に掛かるトルクに耐
え得る最低の容量あるいは圧力を若干上回る程度に設定
される。通常、これは、スロットル開度などのエンジン
負荷に基づいて設定されるライン圧を最高圧とするトル
ク容量である。
【0003】また一方、トルクの伝達手段として摩擦係
合装置が用いられているのは、変速過渡時の滑りによっ
て慣性エネルギを吸収し、回転変動に伴うショックを解
消するためである。したがって摩擦係合装置の係合・解
放の際には、その油圧を滑らかに変化させる必要があ
る。しかしながら摩擦係合装置の滑りが過剰であれば、
変速に長時間を要して変速の応答性が悪くなり、また摩
擦係合装置の摩耗が激しくなってその耐久性が悪くなる
などの不都合を生じる。
【0004】そのため従来では、アキュームレータを使
用して摩擦係合装置の油圧の変化を滑らかにし、またそ
の背圧を連続的に変化させることにより、そのアキュー
ムレータの特性を多様に変化させ、変速ショックを更に
改善することが行われている。また従来では、より多様
な変速状況に対応するために、摩擦係合装置の油圧を直
接的に制御することも行われている。その一例が特開平
8−296731号公報に記載されている。これは、前
進第2速で係合させられるブレーキの係合圧を、リニア
ソレノイドバルブの出力圧を制御圧としたコントロール
バルブで調圧するように構成されている。すなわちリニ
アソレノイドバルブの出力圧を電気的に制御することに
より、コントロールバルブの調圧レベルを連続的に変化
させ、それに応じてブレーキ圧をリニアに変化させるよ
うに構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように摩擦係
合装置の係合圧を直接的に制御するように構成すれば、
変速の進行状況を回転数に基づいて検出し、その検出結
果に応じて係合圧を制御することにより、良好な変速特
性を得ることができる。しかしながら直接的に制御され
る係合圧は、変速中の回転変化に基づいて制御されるか
ら、検出された回転変化やそれに相当するデータが、変
速中の実際の状況を表すものでない場合には、所期どお
りの変速を実行できなくなる。
【0006】例えば、上記の従来の装置によるブレーキ
圧の制御は、そのブレーキを係合させる変速におけるイ
ナーシャ相が開始することにより、昇圧勾配(スイープ
アップ率)を低下させ、そのブレーキの係合を滑らかに
生じさせてショックを防止している。そのイナーシャ相
の開始は、回転変化を検出することにより判断している
が、これと類似した回転変化が、エンジンのフューエル
カットを実施することによっても生じることがある。す
なわちアクセルペダルを最大限に踏み込んでエンジン回
転数が予め設定した上限に達するオーバーラン状態にな
ると、エンジンに対する燃料の供給が停止される。それ
に伴ってエンジン出力が低下するから、自動変速機での
回転変動が生じ、これが変速中に生じるとイナーシャ相
と同様の判断が成立し、上記のブレーキ圧のスイープア
ップが低下させられる。その結果、ブレーキの係合が遅
れて変速の遅れが生じるなどの可能性がある。
【0007】また、上記のブレーキ圧などの摩擦係合装
置の係合圧を直接制御してスイープアップする場合、そ
の勾配は、入力トルクなどに応じてある程度の範囲に制
限される。そのため、係合圧の昇圧幅が大きい場合に、
スイープアップ率を過度に大きくすると変速ショックが
悪化するので、係合圧を直接的に制御できるとしても、
必ずしもすべての変速の際の特性が良好になるわけでは
なく、改善の余地があった。
【0008】さらに変速が終了すれば、その変速に関与
した係合側の摩擦係合装置は、ライン圧が供給されて完
全係合状態とされるが、変速の終了の判断が成立するこ
とによって前記係合圧をライン圧まで直接制御によって
昇圧すると、変速終了時期でのショックが生じる可能性
がある。すなわち直接的な油圧制御の場合、係合圧は制
御内容にほぼ正確に従って変化するから、変速終了の判
断が実際の変速終了に対してずれていた場合には、変速
終了の判断とほぼ同時に係合圧かライン圧まで上昇する
ので、摩擦係合装置をその滑りの終了直前に急激に係合
させることになり、それに伴う急激なトルク変化が生じ
てこれが変速ショックとして体感される可能性があっ
た。
【0009】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、摩擦係合装置の油圧を直接的に制御す
ることによる変速の遅れやショックを有効に防止するこ
とのできる制御装置を提供することを目的とするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、エンジンに連
結された自動変速機の変速時に係合させる摩擦係合装置
の係合圧を、変速時の所定の回転数の変化に対応して、
直接的に制御する自動変速機の制御装置において、前記
エンジンに対する燃料の供給停止状態を検出するフュー
エルカット検出手段と、このフューエルカット検出手段
が前記燃料の供給停止状態を検出した場合に前記係合圧
を変更する手段を備えていることを特徴とするものであ
る。
【0011】したがって請求項1の発明によれば、所定
の変速の際に係合させられる摩擦係合装置の係合圧が、
変速の際に回転数変化に基づいて直接的に制御される。
その回転変化は、自動変速機を連結してあるエンジンの
燃料の供給を停止することによっも生じるが、その場合
には、係合圧が変更され、したがって変速の際のイナー
シャ相開始後の油圧とは異なる油圧に制御されるから、
変速の遅れが防止される。
【0012】また請求項2の発明は、変速時に係合させ
る摩擦係合装置の係合圧を直接的に制御する自動変速機
の制御装置において、自動変速機の入力トルクもしくは
該入力トルクに相当する値を検出する動力検出手段と、
この動力検出手段で検出された前記入力トルクもしくは
前記値が予め定めた設定値以上の場合に前記係合圧をス
テップ的に増大させる増大幅を補正する手段と、前記動
力検出手段で検出された入力トルクもしくは前記値が予
め定めた設定値より小さい場合に前記係合圧を変化させ
る変化勾配を補正する手段とを備えていることを特徴と
するものである。
【0013】したがって請求項2の発明によれば、エン
ジン出力が大きいなど自動変速機に対する入力トルクが
大きい場合には、前記変速時の係合圧をステップ的に増
大させ、かつその増大幅を補正するので、入力トルクが
大きいことに伴って前記係合圧を大きく昇圧する場合で
あっても、遅れを生じることなく昇圧することができ、
したがって変速の遅れを防止できる。また自動変速機へ
の入力トルクが特には大きくない場合、係合圧の昇圧の
変化勾配すなわちスイープアップ率を補正するので、前
記摩擦係合装置のトルク容量の変化を滑らかにしてショ
ックを防止することができる。
【0014】さらに請求項3の発明は、変速時に係合さ
せる摩擦係合装置の係合圧を直接的に制御する自動変速
機の制御装置において、前記変速の終了を判断する変速
終了判断手段と、この変速終了判断手段によって前記変
速の終了が判断された後に前記係合圧の変化傾向を制御
する終了制御手段とを備えていることを特徴とするもの
である。
【0015】したがって請求項3の発明によれば、変速
の終了が判断された後においても係合圧の変化傾向を制
御するので、その係合圧あるいはトルク容量が所定の変
化傾向をもって変化する。そのため変速終了の判断にず
れがあっても、前記摩擦係合装置のトルク容量が急激に
増大したり、それに伴って変速ショックが生じたりする
ことを未然に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面に基づいて
より具体的に説明する。まず、この発明で対象とするエ
ンジン(駆動力源)Eおよび自動変速機Aについて説明
すると、図6その全体的な制御系統図であって、自動変
速機Aを連結してあるエンジンEは、その出力を電気的
に制御するように構成されており、サーボモータ16に
よって駆動される電子スロットルバルブ13が吸気管路
12に設けられている。一方、エンジンEの出力を制御
するためのアクセルペダル15の踏み込み量すなわちア
クセル開度は、図示しないセンサによって検出され、そ
の検出信号がエンジン用電子制御装置(E−ECU)1
7に入力されている。この電子制御装置17は、中央演
算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、RO
M)ならびに入出力インターフェースを主体とするもの
であって、この電子制御装置17には、制御のためのデ
ータとして、エンジン(E/G)回転数Ne 、吸入空気
量Q、吸入空気温度、スロットル開度、車速、エンジン
水温、ブレーキスイッチからの信号などの各種の信号が
入力されている。そしてこれらのデータに基づいて電子
スロットルバルブ13の開度を制御し、またエンジンE
の燃料噴射量および点火時期などを制御するようになっ
ている。
【0017】自動変速機Aは、油圧制御装置18によっ
て変速およびロックアップクラッチやライン圧あるいは
所定の摩擦係合装置の係合圧が制御される。その油圧制
御装置18は、電気的に制御されるように構成されてお
り、また変速を実行するための第1ないし第3のシフト
ソレノイドバルブS1 ,〜S3 、エンジンブレーキ状態
を制御するための第4ソレノイドバルブS4 、ライン圧
を制御するためのリニアソレノイドバルブSLT、アキュ
ームレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバル
ブSLN、ロックアップクラッチや所定の摩擦係合装置の
係合圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLUが
設けられている。
【0018】これらのソレノイドバルブに信号を出力し
て変速やライン圧あるいはアキュームレータ背圧などを
制御する自動変速機用電子制御装置(T−ECU)19
が設けられている。この自動変速機用電子制御装置19
は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RA
M、ROM)ならびに入出力インターフェースを主体と
するものであって、この電子制御装置19には、制御の
ためのデータとしてスロットル開度、車速、エンジン水
温、ブレーキスイッチからの信号、シフトポジション、
パターンセレクトスイッチからの信号、オーバドライブ
スイッチからの信号、後述するクラッチC0 の回転速度
を検出するC0 センサからの信号、自動変速機の油温、
マニュアルシフトスイッチからの信号などが入力されて
いる。
【0019】またこの自動変速機用電子制御装置19と
エンジン用電子制御装置17とは、相互にデータ通信可
能に接続されており、エンジン用電子制御装置17から
自動変速機用電子制御装置19に対しては、1回転当た
りの吸入空気量(Q/Ne )などの信号が送信され、ま
た自動変速機用電子制御装置19からエンジン用電子制
御装置17に対しては、各ソレノイドバルブに対する指
示信号と同等の信号および変速段を指示する信号などが
送信されている。
【0020】すなわち自動変速機用電子制御装置19
は、入力されたデータおよび予め記憶しているマップに
基づいて変速段やロックアップクラッチのON/OF
F、あるいはライン圧や係合圧の調圧レベルなどを判断
し、その判断結果に基づいて所定のソレノイドバルブに
指示信号を出力し、さらにフェールの判断やそれに基づ
く制御を行うようになっている。またエンジン用電子制
御装置17は、入力されたデータに基づいて燃料噴射量
や点火時期あるいは電子スロットルバルブ13の開度な
どを制御することに加え、自動変速機Aでの変速時に燃
料噴射量を削減し、あるいは点火時期を変え、もしくは
電子スロットルバルブ13の開度を絞ることにより、出
力トルクを一時的に低下させるようになっている。
【0021】図7は上記の自動変速機Aの歯車列の一例
を示す図であり、ここに示す構成では、前進5段・後進
1段の変速段を設定するように構成されている。すなわ
ちここに示す自動変速機Aは、トルクコンバータ20
と、副変速部21と、主変速部22とを備えている。そ
のトルクコンバータ20は、ロックアップクラッチ23
を有しており、このロックアップクラッチ23は、ポン
プインペラ24に一体化させてあるフロントカバー25
とタービンランナ26を一体に取付けた部材(ハブ)2
7との間に設けられている。エンジンのクランクシャフ
ト(それぞれ図示せず)はフロントカバー25に連結さ
れ、またタービンランナ26を連結してある入力軸28
は、副変速部21を構成するオーバドライブ用遊星歯車
機構29のキャリヤ30に連結されている。
【0022】この遊星歯車機構29におけるキャリヤ3
0とサンギヤ31との間には、多板クラッチC0 と一方
向クラッチF0 とが設けられている。なお、この一方向
クラッチF0 はサンギヤ31がキャリヤ30に対して相
対的に正回転(入力軸28の回転方向の回転)する場合
に係合するようになっている。またサンギヤ31の回転
を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
そしてこの副変速部21の出力要素であるリングギヤ3
2が、主変速部22の入力要素である中間軸33に接続
されている。さらにその多板クラッチC0 の回転数すな
わち入力回転数を検出するためのNC0センサ34が設け
られている。
【0023】したがって副変速部21は、多板クラッチ
C0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊
星歯車機構29の全体が一体となって回転するため、中
間軸33が入力軸28と同速度で回転し、低速段とな
る。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ31の回転
を止めた状態では、リングギヤ32が入力軸28に対し
て増速されて正回転し、高速段となる。
【0024】他方、主変速部22は三組の遊星歯車機構
40,50,60を備えており、それらの回転要素が以
下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構
40のサンギヤ41と第2遊星歯車機構50のサンギヤ
51とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機
構40のリングギヤ43と第2遊星歯車機構50のキャ
リヤ52と第3遊星歯車機構60のキャリヤ62との三
者が連結され、かつそのキャリヤ62に出力軸65が連
結されている。さらに第2遊星歯車機構50のリングギ
ヤ53が第3遊星歯車機構60のサンギヤ61に連結さ
れている。
【0025】この主変速部22の歯車列では後進段と前
進側の四つの変速段とを設定することができ、そのため
のクラッチおよびブレーキが以下のように設けられてい
る。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されて
いる第2遊星歯車機構50のリングギヤ53および第3
遊星歯車機構60のサンギヤ61と中間軸33との間に
第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された第
1遊星歯車機構40のサンギヤ41および第2遊星歯車
機構50のサンギヤ51と中間軸33との間に第2クラ
ッチC2 が設けられている。
【0026】つぎにブレーキについて述べると、第1ブ
レーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機
構40および第2遊星歯車機構50のサンギヤ41,5
1の回転を止めるように配置されている。またこれらの
サンギヤ41,51(すなわち共通サンギヤ軸)とケー
シング66との間には、第1一方向クラッチF1 と多板
ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されて
おり、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ41,5
1が逆回転(入力軸28の回転方向とは反対方向の回
転)しようとする際に係合するようになっている。多板
ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構4
0のキャリヤ42とケーシング66との間に設けられて
いる。そして第3遊星歯車機構60のリングギヤ63の
回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブ
レーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがケーシング6
6との間に並列に配置されている。なお、この第2一方
向クラッチF2 はリングギヤ63が逆回転しようとする
際に係合するようになっている。
【0027】上記の自動変速機Aでは、各クラッチやブ
レーキを図8の作動表に示すように係合・解放すること
により前進5段・後進1段の変速段を設定することがで
きる。なお、図8において○印は係合状態、●印はエン
ジンブレーキ時に係合状態、△印は係合・解放のいずれ
でもよいこと、空欄は解放状態をそれぞれ示す。
【0028】図8の作動表に示されているように、第2
速と第3速との間の変速は、第2ブレーキB2 と第3ブ
レーキB3 との係合・解放状態を共に変えるクラッチ・
ツウ・クラッチ変速になる。この変速を円滑に行うため
に、上述した油圧制御装置18には図9に示す油圧回路
が組み込まれている。
【0029】図9において符号70は 1-2シフトバルブ
を示し、また符号71は 2-3シフトバルブを示し、さら
に符号72は 3-4シフトバルブを示している。これらの
シフトバルブ70,71,72の各ポートの各変速段で
の連通状態は、それぞれのシフトバルブ70,71,7
2の下側に示しているとおりである。なお、その数字は
各変速段を示す。その 2-3シフトバルブ71のポートの
うち第1速および第2速で入力ポート73に連通するブ
レーキポート74に、第3ブレーキB3 が油路75を介
して接続されている。この油路にはオリフィス76が介
装されており、そのオリフィス76と第3ブレーキB3
との間にダンパーバルブ77が接続されている。このダ
ンパーバルブ77は、第3ブレーキB3 にライン圧が急
激に供給された場合に少量の油圧を吸入して緩衝作用を
行うものである。
【0030】また符号78は B-3コントロールバルブで
あって、第3ブレーキB3 の係合圧をこの B-3コントロ
ールバルブ78によって直接制御するようになってい
る。すなわちこの B-3コントロールバルブ78は、スプ
ール79とプランジャ80とこれらの間に介装したスプ
リング81とを備えており、スプール79によって開閉
される入力ポート82に油路75が接続され、またこの
入力ポート82に選択的に連通させられる出力ポート8
3が第3ブレーキB3 に接続されている。さらにこの出
力ポート83は、スプール79の先端側に形成したフィ
ードバックポート84に接続されている。一方、前記ス
プリング81を配置した箇所に開口するポート85に
は、 2-3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上の
変速段でDレンジ圧を出力するポート86が油路87を
介して連通されている。またプランジャ80の端部側に
形成した制御ポート88には、ロックアップクラッチ用
リニアソレノイドバルブSLUが接続されている。
【0031】したがって B-3コントロールバルブ78
は、スプリング81の弾性力とポート85に供給される
油圧とによって調圧レベルが設定され、かつ制御ポート
88に供給される信号圧が高いほどスプリング81によ
る弾性力が大きくなるように構成されている。
【0032】さらに図9中符号89は 2-3タイミングバ
ルブであって、この 2-3タイミングバルブ89は、小径
のランドと2つの大径のランドとを形成したスプール9
0と第1のプランジャ91とこれらの間に配置したスプ
リング92とスプール90を挟んで第1のプランジャ9
1とは反対側に配置された第2のプランジャ93とを有
している。この 2-3タイミングバルブ89の中間部のポ
ート94に油路95が接続され、またこの油路95は、
2-3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上の変速
段でブレーキポート74に連通させられるポート96に
接続されている。
【0033】さらにこの油路95は途中で分岐して、前
記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート97
にオリフィスを介して接続されている。この中間部のポ
ート94に選択的に連通させられるポート98は油路9
9を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されて
いる。そして第1のプランジャ91の端部に開口してい
るポートにロックアップクラッチ用リニアソレノイドバ
ルブSLUが接続され、また第2のプランジャ93の端部
に開口するポートに第2ブレーキB2 がオリフィスを介
して接続されている。
【0034】前記油路87は第2ブレーキB2 に対して
油圧を供給・排出するためのものであって、その途中に
は小径オリフィス101とチェックボール付きオリフィ
ス102とが介装されている。またこの油路87から分
岐した油路103には、第2ブレーキB2 から排圧する
場合に開くチェックボールを備えた大径オリフィス10
4が介装され、この油路103は以下に説明するオリフ
ィスコントロールバルブ105に接続されている。
【0035】オリフィスコントロールバルブ105は第
2ブレーキB2 からの排圧速度を制御するためのバルブ
であって、そのスプール106によって開閉されるよう
に中間部に形成したポート107には第2ブレーキB2
が接続されており、このポート107より図での下側に
形成したポート108に前記油路103が接続されてい
る。第2ブレーキB2 を接続してあるポート107より
図での上側に形成したポート109は、ドレーンポート
に選択的に連通させられるポートであって、このポート
109には、油路110を介して前記 B-3コントロール
バルブ78のポート111が接続されている。なおこの
ポート111は、第3ブレーキB3 を接続してある出力
ポート83に選択的に連通させられるポートである。
【0036】オリフィスコントロールバルブ105のポ
ートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反
対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を
介して、 3-4シフトバルブ72のポート114に接続さ
れている。このポート114は、第3速以下の変速段で
第3ソレノイドバルブS3 の信号圧を出力し、また第4
速以上の変速段で第4ソレノイドバルブS4 の信号圧を
出力するポートである。さらにこのオリフィスコントロ
ールバルブ105には、前記油路95から分岐した油路
115が接続されており、この油路115を選択的にド
レーンポートに連通させるようになっている。
【0037】なお、前記 2-3シフトバルブ71において
第2速以下の変速段でDレンジ圧を出力するポート11
6が、前記 2-3タイミングバルブ89のうちスプリング
92を配置した箇所に開口するポート117に油路11
8を介して接続されている。また 3-4シフトバルブ72
のうち第3速以下の変速段で前記油路87に連通させら
れるポート119が油路120を介してソレノイドリレ
ーバルブ100に接続されている。
【0038】そして図9中、符号121は第2ブレーキ
B2 用のアキュームレータを示し、その背圧室には、リ
ニアソレノイドバルブSLNが出力する油圧に応じて調圧
されたアキュームレータコントロール圧が供給されてい
る。なおこのアキュームレータコントロール圧は、リニ
アソレノイドバルブSLNの出力圧が低いほど高い圧力に
なるように構成されている。したがって第2ブレーキB
2 の係合・解放の過渡的な油圧は、リニアソレノイドバ
ルブSLNの信号圧が低いほど高い圧力で推移するように
なっている。
【0039】また符号122は C-0エキゾーストバルブ
を示し、さらに符号123はクラッチC0 用のアキュー
ムレータを示している。なお C-0エキゾーストバルブ1
22は2速レンジでの第2速のみにおいてエンジンブレ
ーキを効かせるためにクラッチC0 を係合させるように
動作するものである。
【0040】したがって、上述した油圧回路によれば、
B-3コントロールバルブ78のポート111がドレーン
に連通していれば、第3ブレーキB3 の係合圧を B-3コ
ントロールバルブ78によって直接調圧することがで
き、またその調圧レベルをリニアソレノイドバルブSLU
によって変えることができる。またオリフィスコントロ
ールバルブ105のスプール106が、図の左半分に示
す位置にあれば、第2ブレーキB2 はこのオリフィスコ
ントロールバルブ105を介して油路103に連通させ
られるので、大径オリフィス104を介して排圧が可能
になり、したがって第2ブレーキB2 からのドレーン速
度を制御することができる。
【0041】上述した第3ブレーキB3 は、前進第2速
で係合させられ、またその係合圧は、リニアソレノイド
バルブSLUによって直接的に制御される。その制御の一
例を第1速から第2速へのアップシフトの場合を例に採
って図10に示してある。第1速から第2速へのアップ
シフトの判断がt0 時点に成立し、その後の所定時間T
1 が経過したt1 時点に第2速へのアップシフトの制御
が開始される。これと同時にリニアソレノイドバルブS
LUのデューティ比が一時的に(t1 時点からt2 時点ま
での間)増大させられる。これは、第3ブレーキB3 に
油圧を急速に送り込んで摩擦板同士の間のクリアランス
などを詰めるために行われ、したがって第3ブレーキB
3 の係合圧あるいはそのトルク容量が上昇することはな
い。
【0042】その後に、所定時間の間(t2 時点からt
3 時点までの間)、デューティ比が下げられ、第3ブレ
ーキB3 の係合圧が低圧に維持される。すなわち低圧待
機状態である。そしてt3 時点にデューティ比がステッ
プ的に増大させられ、その後のt4 時点からイナーシャ
相の開始するt5 時点までの間、デューティ比が所定の
勾配で次第に増大させられ、第3ブレーキB3 の係合圧
のスイープアップ制御が行われる。
【0043】そのデューティ比すなわち第3ブレーキ圧
PB3のステップ的な昇圧およびその後のスイープアップ
は、変速を迅速に進行させることを主な目的として実施
される。これに対してその後のイナーシャ相では、回転
変化が急激に生じると、変速終了時のショックが増大す
る可能性があるので、デューティ比の増大率すなわち第
3ブレーキ圧PB3のスイープアップ率は、トルク相での
スイープアップ率より小さい値に設定される。なお、イ
ナーシャ相の開始は、入力回転数NC0が第2速の同期回
転数(出力回転数と第2速の変速比との積)に向けて所
定回転数ΔN、低下したことによって判断される。
【0044】イナーシャ相での第3ブレーキ圧PB3のス
イープアップ制御を、入力回転数が第2速の同期回転数
に対して所定回転数ΔN2 、高い回転数に低下するt6
時点まで継続する。その後、デューティ比を一旦下げ、
ついで再度、イナーシャ相と同様の勾配でスイープアッ
プ制御を行い、これを変速終了の判断が成立するまで継
続する。この変速の終了の判断は、この実施例において
は、係合の終了を検出したt7 時点から予め定めた時間
ΔTが経過したt8 時点として判断される。そしてその
後に終了制御が実行される。この終了制御については後
述する。
【0045】請求項1の発明は、上述した油圧の制御の
うちトルク相での回転変化に基づく油圧の制御に関する
ものである。すなわちトルク相でのスイープアップ制御
からイナーシャ相でのスイープアップ制御への切り換え
は、上述のように入力回転数の変化を検出することによ
り実行されるが、このような回転変化は、変速が進行し
た場合以外に、自動変速機Aへの入力トルクすなわちエ
ンジンEの出力が低下した場合にも生じる。そのエンジ
ントルクの低下の一例は、オーバーランを防止するため
に燃料の供給を停止するフューエルカットの実施であ
り、この発明の制御装置は、このような場合の制御を以
下のように実行するよう構成されている。
【0046】図1はその例として第1速から第2速への
アップシフトの場合の例を示しており、第1速から第2
速へのアップシフトの判断がステップ1で行われた後、
エンジンEのオーバーランによるフューエルカットが実
行されたことを示すフラグFORが“1”か否かが判断さ
れる(ステップ2)。上記のステップ1の制御は、上述
した変速判断からT1 時間が経過することにより、ある
いはそれに伴ってリニアソレノイドバルブSLUのデュー
ティ比の制御が開始することにより判断される。またフ
ラグFORは、エンジンEでの燃料の供給が遮断(フュー
エルカット)されたことによって“1”にセットされる
フラグであり、エンジン用電子制御装置17によって制
御され、その信号が自動変速機用電子制御装置19に送
信され、そしてこのステップ2の判断が自動変速機用電
子制御装置19によって行われる。なお、このステップ
2か請求項1におけるフューエルカット検出手段に相当
する。
【0047】エンジンEでのフューエルカットが行われ
ていないことにより、ステップ2で否定判断された場合
には、イナーシャ相が開始したか否かが判断される(ス
テップ3)。このイナーシャ相の開始の判断は前述した
とおりであって、入力回転数NC0が第2速への同期回転
数に向けて所定回転数ΔN低下することにより判断され
る。イナーシャ相が開始していないことによりステップ
3で否定判断された場合にはステップ2に戻り、また反
対にイナーシャ相の開始が検出されてステップ3で肯定
判断された場合には、第3ブレーキPB3のスイープアッ
プ率が予め定められた所定値DUS4 に設定される(ステ
ップ4)。このスイープアップ率DUS4は、トルク相で
のスイープアップ率DUSよりも小さい値であって、変速
ショックが悪化せず、また変速の遅れが生じない範囲で
定められている。
【0048】一方、エンジンEのオーバーランが生じて
フューエルカットが実行されていることによりステップ
2で肯定判断された場合には、スイープアップ率が所定
値DUS4Fに設定される(ステップ5)。このスイープア
ップ率DUS4Fは、イナーシャ相でのスイープアップ率D
US4 より大きい値であり、したがって第3ブレーキB3
の係合圧PB3がトルク相における上昇勾配と同程度の勾
配をもって高くなり、少なくとも通常のイナーシャ相で
の係合圧の上昇率より大きくなる。すなわちステップ5
が請求項1において係合圧を変更する手段に相当する。
【0049】エンジンEでのフューエルカットが実行さ
れている状態では、たとえフューエルカットが実行され
ているとしても、エンジンEが高回転数で回転している
状態であるから、第3ブレーキ圧PB3のスイープアップ
率をステップ5におけるように高いスイープアップ率D
US4Fに設定することにより、第3ブレーキB3 のトルク
容量が増大し、その結果、入力トルクに応じた係合圧と
なって変速が迅速に進行する。したがってエンジンEで
のフューエルカットの実行によって回転数の変化が生じ
た場合には、イナーシャ相におけるスイープアップ率D
US4 に替えてこれよりも高いスイープアップ率DUS4Fを
採用することにより、変速の遅れを防止することができ
る。
【0050】なお、ステップ5で設定されるスイープア
ップ率DUS4Fは基準値とこれに付加される学習制御値と
からなる値とし、その学習制御値を入力回転数NC0の変
化勾配などに基づいて学習補正し、これによってスイー
プアップ率DUS4Fを学習補正するようにしてもよい。
【0051】なおまた、フューエルカット時に採用され
るスイープアップ率DUS4Fは、少なくとも通常のイナー
シャ相でのスイープアップ率DUS4 よりも大きい値であ
り、したがって例えばトルク相でのスイープアップ率D
US4 と同じ値あるいはこれに近似した値とされることも
ある。
【0052】ところで、トルク相やイナーシャ相におい
て係合圧をスイープアップ制御するのは、変速の遅れを
回避すると同時に、変速ショックを防止するためであ
り、そのスイープアップ率の大小は、トルク相あるいは
イナーシャ相に拘わらず、いずれも変速ショックや変速
時間に影響を及ぼす。また一方、変速に関与する摩擦係
合装置の係合圧は、前述したように入力トルクに応じた
ものとする必要がある。すなわちスロットル開度が大き
いことにより自動変速機Aへの入力トルクが大きい場合
には、上述した例における第3ブレーキ圧PB3を相対的
に高い圧力で推移させる必要がある。これに対して低圧
待機時の油圧やスイープアップ率は、所定値に制限され
ているから、入力トルクが大きい場合には、トルク相で
のスイープアップ率を大きくできないことにより、変速
時間が延びる可能性がある。そこでこの発明による制御
装置は、上述したトルク相でのリニアソレノイドバルブ
SLUのステップアップ幅DUPとスイープアップ率DUSを
以下に述べるように制御する。
【0053】図2は請求項2の発明における制御例を示
しており、先ず、スロットル開度θが予め定めた設定値
θ1 ,θ2 の間にあるか否かが判断される(ステップ1
1)。これらの設定値θ1 ,θ2 は、エンジン出力が低
出力もしくは中出力状態である否かを判定するための設
定値である。スロットル開度θがこれらの設定値θ1,
θ2 の間にあって、低中出力状態である場合には、すな
わちステップ11で肯定判断される場合には、ステップ
12に進んでトルク相における第3ブレーキ圧PB3のス
イープアップ率すなわちリニアソレノイドバルブSLUの
デューティ比の変化勾配DUSが学習制御により補正され
る。
【0054】この学習補正制御は、入力回転数NCOの変
化勾配(一定時間ごとの変化量もしくはその複数のサン
プリング値の平均値)に基づいて行われる。すなわち前
回の変速の際のイナーシャ相における入力回転数NC0の
最大変化勾配を求め、その最大変化勾配が予め定めた設
定値より大きい場合には、前回のスイープアップ率から
補正値を減算し、今回のスイープアップ率とする。これ
とは反対に入力回転数NCOの最大変化勾配が予め定めた
他の設定値より小さい場合には、前回のスイープアップ
率DUSに補正値を加え、これを今回のスイープアップ率
とする。なお、その補正値は予めマップ値として定めて
おくことができる。
【0055】一方、ステップ11で否定判断された場合
には、ステップ13に進んでスロットル開度θが予め定
めた設定値θ3 ,θ4 の間にあるか否かが判断される。
これらの設定値θ3 ,θ4 は前記の設定値θ1 ,θ2 に
対して大きい値であり、したがってステップ13では、
エンジン出力が高出力状態にあるか否かが判断されるこ
とになる。このステップ13で否定判断された場合に
は、このルーチンから抜け、またステップ13で肯定判
断された場合には、トルク相におけるリニアソレノイド
バルブSLUのステップアップ幅DUPの学習補正制御が行
われる。このステップ14における学習補正制御は、基
本的には、ステップ12におけるスイープアップ率DUS
の学習補正制御と同じであり、前回の変速の際における
イナーシャ相での入力回転数NC0の最大変化勾配に基づ
いて行われる。具体的には、入力回転数NC0の最大変化
勾配が予め定めた所定値以上であれば、前回のステップ
アップ幅DUPから補正値を減算し、また反対に最大変化
勾配が予め定めた他の所定値より小さければ、前回のス
テップアップ幅DUPに補正値を加え、これを今回のステ
ップアップ幅とする。なお、その補正値は予めマップ値
として定めておくことができる。
【0056】したがってステップ11,13が請求項2
における動力検出手段に相当し、またステップ12が増
大幅を補正する手段に相当し、さらにステップ14が変
化勾配を補正する手段に相当する。
【0057】すなわち図2に示す制御おいては、アクセ
ルペダル15が大きく踏み込まれてスロットル開度θが
大きいことによりエンジン出力が高出力状態ある場合に
は、学習補正量を入力回転数NC0の最大変化勾配に基づ
いて求め、これをデューティ比のステップアップ幅DUP
やスイープアップ率DUSに反映させる。
【0058】したがって図2に示す制御によれば、エン
ジン出力が高出力であることにより、第3ブレーキ圧P
B3が相対的に低く、入力回転数NC0の変化が進行しない
場合、すなわち最大変化勾配が小さい場合には、第3ブ
レーキ圧PB3を低圧待機状態から昇圧する際のステップ
アップ幅DUPが増大させられる。その結果、トルク相で
のスイープアップ率DUSを特に大きくすることなく、第
3ブレーキ圧PB3を比較的高い圧力で推移させることが
できる。すなわち第3ブレーキ圧PB3が入力トルクに応
じた油圧となり、しかもスイープアップ率が特に大きく
はならないので、変速ショックが悪化しないうえに、変
速の遅れを防止することができる。また一方、エンジン
出力が中低出力状態であれば、トルク相でのスイープア
ップ率DUSが学習補正され、したがって変速ショックの
悪化や変速の遅れが有効に防止される。
【0059】つぎに終了制御について説明する。前述し
たように終了制御は、イナーシャ相の終期で係合終了が
判定され、その後、予め設定した時間ΔTが経過した後
に変速の終了の判断が行われ、その終了の判断の後の油
圧の制御である。上記の係合終了は、入力回転数NC0が
第2速の同期回転数に対して予め設定した回転数ΔN1
だけ高い回転数まで低下したことにより判断される。そ
のt7 時点から所定時間ΔTが経過することにより、第
3ブレーキB3 がほぼ完全に係合し、変速が終了するの
であるが、何らかの要因によって第3ブレーキB3 が完
全には係合していないことがある。そこでこの発明の制
御装置は、以下に述べるように制御を行う。
【0060】すなわち図3は請求項3の発明の制御例を
示しており、ステップ21で係合終了が判断され、その
ステップ21で否定判断されればリターンし、また肯定
判断された場合にはその係合終了からの経過時間がΔT
に達したか否かが判断される(ステップ22)。このス
テップ22で否定判断されればリターンし、また肯定判
断された場合には第3ブレーキ圧PB3のスイープアップ
制御を行う(ステップ23)。
【0061】このスイープアップ制御は、前記ΔTが経
過して変速終了判断が行われた時点のデューティ比に対
して予め定めた値DUS6を一定時間ごとに加える制御で
ある。したがってリニアソレノイドバルブSLUのデュー
ティ比が時間の経過と共に次第に増大し、それに伴って
第3ブレーキ圧PB3が次第に上昇する。なお、この値D
US6 は、入力回転数NCOやスロットル開度θあるいは油
温などをパラメータとしたマップ値として予め定めてお
くことができる。その一例を図4に示してある。またこ
のスイープアップ制御の継続時間TSEは、第2速へのア
ップシフトに続く第3速へのアップシフトが遅延しない
範囲で適宜設定される。したがってステップ22が請求
項3の変速終了判断手段に相当し、ステップ23が終了
制御手段に相当する。
【0062】そしてそのスイープアップ制御時間TSEが
経過することによりリニアソレノイドバルブSLUのデュ
ーティ比は100%まで増大される。これを従来の制御
と比較して示すと、従来では、図10のタイムチャート
に二点鎖線で示すように、変速終了判断が行われるt8
時点でデューティ比を100%に増大し、第3ブレーキ
圧PB3を直ちにライン圧PL まで高めているのに対し
て、この発明による制御装置では、変速終了判断の成立
後、所定時間TSEの間に第3ブレーキ圧PB3を次第に上
昇させる。そしてライン圧PL までの昇圧を変速終了判
断の成立時点よりも遅らせることになる。その結果、上
述したように変速終了判断がタイマに基づいて行われる
場合のように、回転数に直接基づいていない場合に、変
速終了判断時点に実際の変速が終了していないとして
も、第3ブレーキ圧PB3すなわち係合側の摩擦係合装置
の油圧が徐々に昇圧され、そのトルク容量が次第に増大
することになるから、変速終期に摩擦係合装置が急激に
完全係合し、それに伴う変速ショックが生じるなどの事
態が未然に防止される。なお、変速終了後の第3ブレー
キ圧PB3の制御は、上述のようにスイープアップする替
わりに、複数段階に分けて昇圧することとしてもよい。
【0063】ところで上述したように摩擦係合装置の油
圧あるいはそれを制御するためのデューティ比は、急激
に変化させずに徐々に変化させることが好ましく、この
ようにすれば、ショックを緩和することができる。これ
は、上述したいわゆる係合圧の直接的に制御に限られな
いのであって、他の摩擦係合装置の係合あるいは解放の
制御の際にも同様にデューティ比あるいは油圧の緩やか
な変更を行わせることが好ましい。これを前述した第2
ブレーキB2 の係合制御について説明する。
【0064】第2ブレーキB2 の係合圧は、これに付設
したアキュームレータ121の背圧を制御することによ
り制御できる。上記の例では、リニアソレノイドバルブ
SLNのデューティ比を下げることにより、その信号圧
(制御圧)すなわちアキュームレータコントロール圧P
ACC を増大させることにより制御される。そのリニアソ
レノイドバルブSLNのデューティ比をいわゆるなまし処
理して滑らかに変化させた例を図4に示してある。デュ
ーティ比が滑らかに変化することによりアキュームレー
タコントロール圧PACC が極端なピーク圧を示すことな
く増大し、それに伴って第2ブレーキ圧PB2が滑らかに
変化する。なお、そのリニアソレノイドバルブSLNのデ
ューティ比のなまし処理は、例えば下記の式に基づいて
行うことができる。
【0065】Di={tD+Di-1×(γ−1)}/γ 但し、Dは最終出力デューティ比、tDは入力トルクな
どの条件に基づいて算出したデューティ比、γはオイル
の粘性に影響する油温をパラメータとしたマップ値であ
る。
【0066】上記のなまし処理を行わない場合のデュー
ティ比およびアキュームレータコントロール圧PACC な
らびに第2ブレーキ圧PB2の変化を図5に破線で示して
ある。この図5から知られるように、デューティ比のな
まし処理を行っていない場合には、データのフィルタ処
理などによってデューティ比の急激な変化が極端には生
じないものの、なまし処理を施されていないことによ
り、アキュームレータコントロール圧PACC に極端なピ
ーク値が発生し、これが第2ブレーキ圧PB2に反映され
て第2ブレーキ圧PB2に過渡的なピーク圧が発生する。
すなわち第2ブレーキB2 の係合圧PB2の変動が生じる
ため、これが回転変化やトルク変化となって現れ、乗り
心地が損なわれることがある。この発明の上述したなま
し処理によれば、このような油圧の一時的なピーク値を
回避できるので、滑らかな変化が可能になる。このよう
な係合圧のいわゆるなまし処理は、第2ブレーキに限ら
ず他の一般の摩擦係合装置の係合・解放の制御に適用す
ることができる。
【0067】なお、上述した例では、第1速から第2速
へのアップシフトを例に採って説明したが、この発明
は、他の変速の制御に適用することができるのであり、
したがって第3ブレーキB3 以外の摩擦係合装置の係合
圧の制御を行う場合に適用できる。また係合圧に限ら
ず、解放圧の制御に適用してもよい。さらにこの発明
は、上述したギヤトレーンや油圧回路以外のギヤトレー
ンあるいは油圧回路を備えた自動変速機の制御装置に適
用することができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、変速時のイナーシャ相の開始に伴う回転変化と同
様な回転変化がフューエルカットによって生じた場合、
イナーシャ相での係合圧とは異なる圧力に前記係合圧が
制御されるから、イナーシャ相以外で係合圧の昇圧が緩
慢になったりそれに伴って変速が遅れるなどの不都合を
未然に防止することができる。
【0069】また請求項2の発明によれば、エンジン出
力が大きいなど自動変速機に対する入力トルクが大きい
場合には、前記変速時の係合圧をステップ的に増大さ
せ、かつその増大幅を補正するので、前記係合圧を入力
トルクが大きいことに伴って大きく昇圧させる場合であ
っても、遅れを生じることなく昇圧することができ、変
速の遅れを防止できる。
【0070】さらに請求項3の発明によれば、変速の終
了が判断された後においても係合圧の変化傾向を制御す
るので、その係合圧あるいはトルク容量が所定の変化傾
向をもって変化するため、変速終了の判断にずれがあっ
ても、前記摩擦係合装置のトルク容量が急激に増大した
り、それに伴って変速ショックが生じたりすることを未
然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フューエルカットによりスイープアップ率を変
更する制御例を説明するためのフローチャートである。
【図2】エンジン出力が高出力の場合にトルク相でのブ
レーキ圧のステップアップ幅を学習補正する制御例を説
明するためのフローチャートである。
【図3】終了制御時の第3ブレーキ圧の制御例を説明す
るためのフローチャートである。
【図4】第3ブレーキ圧の終了制御時に採用されるスイ
ープアップ率のマップの例を概念的に示す図である。
【図5】デューティ比のなまし処理を行うことに世縷々
油圧の変化を示す図である。
【図6】その自動変速機の全体的な制御系統を説明する
ためのブロック図である。
【図7】この発明で対象とする自動変速機におけるギヤ
トレインの一例を示すスケルトン図である。
【図8】その自動変速機の各変速段を設定するための係
合作動表を示す図である。
【図9】油圧回路の一部を示す図である。
【図10】第1速から第2速へのアップシフトの際の入
力回転数およびリニアソレノイドバルブSLNのデューテ
ィ比の変化の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
17 エンジン用電子制御装置 18 油圧制御装置 19 自動変速機用電子制御装置 A 自動変速機 E エンジン SLU,SLN リニアソレノイドバルブ B2 ,B3 ブレーキ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンに連結された自動変速機の変速
    時に係合させる摩擦係合装置の係合圧を、変速時の所定
    の回転数の変化に対応して、直接的に制御する自動変速
    機の制御装置において、 前記エンジンに対する燃料の供給停止状態を検出するフ
    ューエルカット検出手段と、このフューエルカット検出
    手段が前記燃料の供給の停止状態を検出した場合に前記
    係合圧を変更する手段を備えていることを特徴とする自
    動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 変速時に係合させる摩擦係合装置の係合
    圧を直接的に制御する自動変速機の制御装置において、 自動変速機の入力トルクもしくは該入力トルクに相当す
    る値を検出する動力検出手段と、この動力検出手段で検
    出された前記入力トルクもしくは前記値が予め定めた設
    定値以上の場合に前記係合圧をステップ的に増大させる
    増大幅を補正する手段と、前記動力検出手段で検出され
    た入力トルクもしくは前記値が予め定めた設定値より小
    さい場合に前記係合圧を変化させる変化勾配を補正する
    手段とを備えていることを特徴とする自動変速機の制御
    装置。
  3. 【請求項3】 変速時に係合させる摩擦係合装置の係合
    圧を直接的に制御する自動変速機の制御装置において、 前記変速の終了を判断する変速終了判断手段と、この変
    速終了判断手段によって前記変速の終了が判断された後
    に前記係合圧の変化傾向を制御する終了制御手段とを備
    えていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
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