JP2002340169A - 車両用変速機の制御装置 - Google Patents

車両用変速機の制御装置

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JP2002340169A JP2001149776A JP2001149776A JP2002340169A JP 2002340169 A JP2002340169 A JP 2002340169A JP 2001149776 A JP2001149776 A JP 2001149776A JP 2001149776 A JP2001149776 A JP 2001149776A JP 2002340169 A JP2002340169 A JP 2002340169A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンの爆発振動に起因する回転速度セン
サのノイズで、ベルト式無段変速機の変速制御や挟圧力
制御が損なわれることを防止する。 【解決手段】 エンジンの爆発振動で入力回転速度セン
サの検出精度が損なわれるような予め定められた運転状
態か否かを外乱判定手段106によって判断し、その運
転状態でなければ入力回転速度センサの検出値である入
力回転速度Ninを入力回転速度NINとして変速制御な
どに用いるが、予め定められた運転状態の場合には、入
力回転速度センサのフェール時のためにNINFL算出
手段102で算出されたバックアップ入力回転速度NI
NFLを入力回転速度NINとして用いるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用変速機の制御
装置に係り、特に、内燃機関の爆発振動などの外乱に起
因する回転速度センサのノイズで変速制御が損なわれる
ことを防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】油圧により伝動ベルトを挟圧して動力を
伝達するとともに、プーリの溝幅を変更して変速比を変
化させるベルト式無段変速機や、油圧アクチュエータに
よってクラッチやブレーキの作動状態が切り換えられる
ことにより変速比(変速段)を切り換える有段の変速機
など、種々の車両用変速機が知られている。そして、こ
のような車両用変速機の制御装置は、入力回転速度や出
力回転速度(車速に対応)を検出して、変速制御や油圧
アクチュエータの油圧制御など種々の制御が行われるよ
うになっている。特開平10−9381号公報に記載の
装置はその一例で、トロイダル型の無段変速機を備えて
おり、エンジン回転速度センサおよびタービン回転速度
センサによって入力回転速度を検出することにより、何
れか一方がフェールしても変速制御などを適切に行うこ
とができるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の制御装置は、内燃機関の爆発振動などの外乱
に起因する回転速度センサのノイズについて何ら考慮さ
れていないため、そのノイズによって変速制御や油圧制
御などが損なわれる可能性があった。
【0004】図1は未だ公知ではないが、エンジン14
に連結されたサンギヤ18sと、モータジェネレータ1
6に連結されたキャリア18cと、クラッチC2を介し
て変速機12に連結されるリングギヤ18rと、を有す
る遊星歯車装置18を備えており、それ等のサンギヤ1
8s、キャリア18c、リングギヤ18rが相対回転可
能な状態で、エンジン14およびモータジェネレータ1
6を共に作動させてサンギヤ18sおよびキャリア18
cにトルクを加え、リングギヤ18rからクラッチC2
を介して変速機12へ出力して走行するハイブリッド駆
動制御装置10の構成図で、エンジン14がトルクコン
バータ等の流体継手を介することなくサンギヤ18sに
直接連結されているため、エンジン14の爆発振動の影
響が大きい。具体的には、坂路発進などでブレーキペダ
ルおよびアクセルペダルを両踏みした場合、モータジェ
ネレータ16の反力トルクによりエンジン14の爆発振
動でケース20が振動し、ケース20に配設された入力
回転速度センサ86が振動して、実際の入力回転速度が
略0であるにも拘らず100〜200rpm程度のノイ
ズが入ることがある。また、クラッチC1、C2を共に
開放するとともにブレーキB1を係合した停車状態で、
エンジン14によりモータジェネレータ16を回転駆動
するとともに、モータジェネレータ16を回生制御して
バッテリ42を充電する場合も、同様にモータジェネレ
ータ16の反力トルク(回生制動トルク)によりエンジ
ン14の爆発振動でケース20が振動してノイズが入る
ことがある。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、内燃機関の爆発振動
などの外乱に起因する回転速度センサのノイズで変速制
御や油圧制御等の制御が損なわれることを防止すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、第1発明は、変速機への入力回転速度を検出する
入力回転速度センサを有する車両用変速機の制御装置に
おいて、(a) 前記入力回転速度センサの検出に影響を与
える外乱の有無を判断する外乱判定手段と、(b) 前記入
力回転速度を推定する入力回転速度推定手段と、(c) 前
記外乱判定手段によって外乱有りの判断が為された場合
には、前記入力回転速度推定手段によって得られる入力
回転速度を採用する入力回転切換手段と、を有すること
を特徴とする。
【0007】第2発明は、第1発明の車両用変速機の制
御装置において、(a) 車両走行用の駆動源として内燃機
関を備えているとともに、前記入力回転速度センサは、
その内燃機関のハウジングと一体的に設けられたケース
に配設されており、(b) 前記外乱判定手段は、前記入力
回転速度が所定値以下で、前記変速機の出力回転速度が
所定値以下で、且つ前記内燃機関のトルクが所定値以上
の場合に、前記外乱有りと判断することを特徴とする。
なお、上記入力回転速度は、入力回転速度センサによっ
て検出したものでも、入力回転速度推定手段によって推
定したものでも良い。
【0008】第3発明は、第1発明または第2発明の車
両用変速機の制御装置において、(a) 内燃機関に連結さ
れた第1回転要素と、回転機に連結された第2回転要素
と、前記変速機に連結された第3回転要素と、を有する
歯車式の合成分配装置を備えており、(b) その第1回転
要素、第2回転要素、および第3回転要素が相対回転可
能な状態で、前記内燃機関および前記回転機を共に作動
させて第1回転要素および第2回転要素にトルクを加
え、第3回転要素から前記変速機へ出力して走行する車
両用変速機の制御装置であって、(c) 前記入力回転速度
推定手段は、前記入力回転速度センサのフェール時のバ
ックアップのために、前記内燃機関の回転速度および前
記回転機の回転速度から前記入力回転速度を算出するも
のであることを特徴とする。
【0009】第4発明は、第1発明〜第3発明の何れか
の車両用変速機の制御装置において、前記入力回転切換
手段は、前記入力回転速度センサによって検出される入
力回転速度と、前記入力回転速度推定手段によって得ら
れる入力回転速度とを切り換える際に、その入力回転速
度を滑らかに変化させるなまし手段を備えていることを
特徴とする。
【0010】
【発明の効果】このような車両用変速機の制御装置にお
いては、外乱判定手段によって入力回転速度センサの検
出に影響を与える外乱有りの判断が為された場合には、
入力回転速度推定手段によって得られる入力回転速度が
入力回転切換手段によって採用されるため、外乱の影響
が小さくなり、高い精度で変速制御や油圧制御などの制
御を行うことができる。一般に、回転速度を直接検出す
る場合に比較して、推定する場合の方が外乱の影響を受
け難いのである。
【0011】第2発明は、車両走行用の駆動源として内
燃機関を備えているとともに、その内燃機関のハウジン
グと一体的に設けられたケースに入力回転速度センサが
配設されている場合で、前記外乱判定手段は、前記入力
回転速度が所定値以下で、前記変速機の出力回転速度が
所定値以下で、且つ前記内燃機関のトルクが所定値以上
の場合に、前記外乱有りと判断するため、内燃機関の爆
発振動によるノイズ発生時には入力回転速度推定手段に
よって得られる入力回転速度が採用されることになり、
その爆発振動に起因する制御精度の悪化が抑制される。
すなわち、入力回転速度が所定値以下で、出力回転速度
が所定値以下の略停車状態で、内燃機関のトルクが所定
値以上の場合は、反力トルクにより内燃機関の爆発振動
でケースが振動し易く、そのケースに配設された入力回
転速度センサも振動するため、実際の入力回転速度が略
0であるにも拘らず例えば100〜200rpm程度の
ノイズ(検出誤差)を生じることがあるのである。
【0012】なお、車両走行時、すなわち入力回転速度
が比較的大きい場合にも、内燃機関の爆発振動の影響で
同程度のノイズが入る可能性があるが、母数が大きいた
め殆ど影響ない一方、入力回転速度推定手段は入力回転
速度センサに比較して演算等による誤差が発生する可能
性があり、基本的には入力回転速度センサによって直接
検出した入力回転速度を用いることが望ましいのであ
る。
【0013】第3発明は、内燃機関および回転機を共に
作動させて合成分配装置の第1回転要素および第2回転
要素にトルクを加え、第3回転要素から変速機へ出力し
て走行する車両用変速機の制御装置に関するもので、前
記入力回転速度推定手段は、入力回転速度センサのフェ
ール時のバックアップのために、内燃機関の回転速度お
よび回転機の回転速度から前記入力回転速度を算出する
ようになっており、内燃機関の爆発振動で入力回転速度
センサの検出精度が損なわれる一定の条件下でフェール
時のバックアップ用に求めた入力回転速度を利用するた
め、新たに別個に入力回転速度を求める場合に比較して
装置が全体として簡単に構成される。
【0014】第4発明では、入力回転速度センサによっ
て検出される入力回転速度と、入力回転速度推定手段に
よって得られる入力回転速度とを切り換える際に、その
入力回転速度を滑らかに変化させるなまし手段を備えて
いるため、入力回転速度の急な変化で変速制御や油圧制
御等の制御が損なわれる恐れがない。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、油圧により伝動ベルト
を挟圧して動力を伝達するとともに、プーリの溝幅を変
更して変速比を変化させるベルト式無段変速機や、油圧
アクチュエータによってクラッチやブレーキの作動状態
が切り換えられることにより変速比(変速段)を切り換
える有段の変速機など、予め定められた変速条件や運転
者の切換操作などに応じて変速比を電気的に変更する有
段、無段の種々の車両用変速機の制御装置に適用され得
る。
【0016】入力回転速度センサは、入力回転速度を高
い精度で検出するために例えば入力軸や入力側可変プー
リ等の入力側部材の回転を直接検出するように設けら
れ、入力回転速度推定手段は、入力回転速度に対して一
定の関係を有する部材の回転速度を検出して間接的に入
力回転速度を求めたり、各部の作動状態から推定したり
するように構成される。
【0017】入力回転速度センサとしては、例えばベル
ト式無段変速機の入力側可変プーリなどの入力側部材に
取り付けられたマグネットロータの磁気変化を、ホール
素子等の磁気式センサで検出するものが好適に用いられ
るが、光センサなどを利用した他の回転速度センサを採
用することもできる。
【0018】入力回転速度センサの検出に影響する外乱
は、例えば第2発明、第3発明のように内燃機関の爆発
振動で、特にトルクコンバータ等の流体継手を介するこ
となく連結されている場合に影響が大きいが、電気的な
ノイズなど他の外乱にも適用することが可能で、外乱判
定手段や入力回転速度推定手段は外乱の種類に応じて適
宜構成される。
【0019】外乱判定手段は、例えば第2発明のように
車両の運転状態から外乱の有無を判断することが望まし
いが、入力回転速度センサの検出値である入力回転速度
そのものの変化傾向(変化速度や変動周期など)から外
乱の有無を判断するなど、種々の態様を採用できる。
【0020】入力回転速度推定手段は、外乱の有無に拘
らず入力回転速度を常に推定するようになっていても良
いが、外乱判定手段により外乱有りと判定された時だけ
入力回転速度を推定するものでも良い。
【0021】第3発明で入力回転速度を算出する際の元
データとなる内燃機関の回転速度および回転機の回転速
度は、例えば内燃機関の爆発振動によるノイズが相殺さ
れる場合などセンサの検出値をそのまま用いることもで
きるが、ノイズ等を除去するなまし処理などを行って計
算に用いることもできる。
【0022】第3発明の合成分配装置としては、ダブル
ピニオン型或いはシングルピニオン型の遊星歯車装置が
好適に用いられるが、傘歯車式の差動歯車装置を用いる
ことも可能である。その合成分配装置に対する内燃機関
および回転機の接続形態は種々の態様が可能であるが、
ダブルピニオン型の遊星歯車装置を用いた場合の《好適
な形態A》は、(a) サンギヤに内燃機関が連結されると
ともにキャリアに回転機が連結される一方、(b) その遊
星歯車装置のリングギヤをケースに連結する第1ブレー
キB1と、(c) 前記キャリアを変速機に連結する第1ク
ラッチC1と、(d) 前記リングギヤを前記変速機に連結
する第2クラッチC2と、を有して構成され、(e) 第1
クラッチC1および第1ブレーキB1が開放されるとと
もに第2クラッチC2が係合されたETC走行モードで
の走行時に適用される。この《好適な形態A》では、ク
ラッチC1、C2、ブレーキB1の係合、開放状態によ
り、ETC走行モード以外にも種々の走行モードが可能
である。
【0023】なお、第2発明では、上記第1クラッチC
1および第2クラッチC2を共に開放するとともに第1
ブレーキB1を係合した停車状態で、内燃機関により回
転機(発電機)を回転駆動するとともに、その回転機を
回生制御してバッテリを充電する場合にも適用され得
る。その場合は、入力回転速度推定手段は入力回転速度
=0とすれば良い。
【0024】回転機は、電気エネルギーで回転駆動され
る電動機としてだけ機能するものでも、回転駆動される
ことによって発電するとともに制動トルクを発生する発
電機としてだけ機能するものでも、或いは電動モータお
よび発電機の両方の機能を有するモータジェネレータで
あっても良い。
【0025】第3発明の入力回転速度推定手段は、入力
回転速度センサのフェール時のバックアップのために入
力回転速度を算出するものであるが、複数の走行モード
を有する場合には、例えば以下の(a) 〜(f) のように走
行モードなどの運転状態によって場合分けして定めるこ
とが望ましい。
【0026】(a) 第2回転要素が変速機に連結されてい
る場合は、その第2回転要素に連結されている回転機の
回転速度をバックアップ入力回転速度NINFLとす
る。前記《好適な形態A》の場合について具体的に説明
すると、以下の何れかの走行モード、或いは切換過渡制
御中の時には回転機の回転速度をバックアップ入力回転
速度NINFLとするのである。 (i) 第2クラッチC2および第1ブレーキB1を開放す
るとともに第1クラッチC1を係合し、回転機(電動
機)のみを動力源として前進または後進するモータ走行
モード、およびそのモータ走行モードへの切換過渡制御
中(但し、クラッチC1、C2、および第1ブレーキB
1が総て開放のニュートラル状態から第1クラッチC1
を係合してモータ走行モードへ移行する際の切換過渡制
御中を除く)。 (ii)第1ブレーキB1を開放するとともに、第1クラッ
チC1および第2クラッチC2を係合し、少なくとも内
燃機関を動力源として前進する直結走行モード、および
その直結走行モードへ移行する切換過渡制御中(但し、
第1クラッチC1および第1ブレーキB1が開放で第2
クラッチC2が係合のETC走行モードから第1クラッ
チC1を係合して直結走行モードへ移行する際の切換過
渡制御中を除く)。 (iii) 第2クラッチC2を開放するとともに第1クラッ
チC1を係合して内燃機関を作動させた状態で、第1ブ
レーキB1をスリップ係合させて後進させるフリクショ
ン走行モード(リバースフリクション)、およびそのフ
リクション走行モードへ移行する切換過渡制御中。
【0027】(b) 前記第3回転要素が変速機に連結され
ている場合は、内燃機関の回転速度および回転機の回転
速度から求められる第3回転要素の回転速度をバックア
ップ入力回転速度NINFLとする。前記《好適な形態
A》の場合について具体的に説明すると、以下の何れか
の走行モード、或いは切換過渡制御中の時には第3回転
要素の回転速度をバックアップ入力回転速度NINFL
とするのである。 (i) 第1クラッチC1および第1ブレーキB1を開放す
るとともに、第2クラッチC2を係合し、内燃機関およ
び回転機を共に作動させて前進走行するETC走行モー
ド、およびそのETC走行モードへ移行する切換過渡制
御中(但し、第1クラッチC1が係合で第2クラッチC
2および第1ブレーキB1が開放のモータ走行モードか
ら第1クラッチC1を開放するとともに第2クラッチC
2を係合してETC走行モードへ移行する際の切換過渡
制御中、およびクラッチC1、C2、第1ブレーキB1
が総て開放のニュートラル状態から第2クラッチC2を
係合してETC走行モードへ移行する際の切換過渡制御
中を除く)。 (ii)第1クラッチC1および第1ブレーキB1が開放で
第2クラッチC2が係合のETC走行モードから第1ク
ラッチC1を係合させて直結走行モードへ移行する切換
過渡制御中。
【0028】(c) 前記合成分配装置から変速機が切り離
されている場合は、目標入力回転速度NINTをバック
アップ入力回転速度NINFLとする。目標入力回転速
度NINTは、例えば無段変速機の制御で、実際の入力
回転速度が目標入力回転速度NINTと略一致するよう
に変速機の変速比を制御する場合などに用いられるもの
である。前記《好適な形態A》の場合について具体的に
説明すると、以下の何れかの走行モード、或いは切換過
渡制御中の時には目標入力回転速度NINTをバックア
ップ入力回転速度NINFLとするのである。 (i) クラッチC1、C2、第1ブレーキB1が総て開放
のニュートラル状態、およびそのニュートラル状態へ移
行する切換過渡制御中(但し、クラッチC1およびC2
が開放で第1ブレーキB1が係合の充電状態から第1ブ
レーキB1を開放してニュートラル状態へ移行する際の
切換過渡制御中を除く)。 (ii)クラッチC1、C2、第1ブレーキB1が総て開放
のニュートラル状態から第1クラッチC1を係合してモ
ータ走行モードへ移行する切換過渡制御中。 (iii) クラッチC1、C2、第1ブレーキB1が総て開
放のニュートラル状態から第2クラッチC2を係合して
ETC走行モードへ移行する切換過渡制御中。
【0029】(d) 車両停止時にはバックアップ入力回転
速度NINFL=0とする。前記《好適な形態A》の場
合について具体的に説明すると、以下の何れかの走行モ
ード、或いは切換過渡制御中の時にはバックアップ入力
回転速度NINFL=0とするのである。 (i) 第1クラッチC1および第2クラッチC2を開放す
るとともに、第1ブレーキB1を係合させ、内燃機関に
より回転機(発電機)を回転駆動するとともに、回転機
を回生制御してバッテリを充電する充電モード、および
その充電モードへ移行する切換過渡制御中。 (ii)クラッチC1およびC2が開放で第1ブレーキB1
が係合の充電状態から第1ブレーキB1を開放してニュ
ートラル状態へ移行する切換過渡制御中。
【0030】(e) 前記第2回転要素が変速機に連結され
ている状態から、その第2回転要素が変速機から切り離
されるとともに第3回転要素が変速機に連結される切換
過渡制御中は、変速機の出力回転速度(車速に対応)お
よび変速比から算出される入力回転速度をバックアップ
入力回転速度NINFLとする。前記《好適な形態A》
の場合について具体的に説明すると、第2クラッチC2
および第1ブレーキB1が開放で第1クラッチC1が係
合のモータ走行モードから、第1クラッチC1を開放す
るとともに第2クラッチC2を係合してETC走行モー
ドへ移行する切換過渡制御中は、変速機の出力回転速度
および変速比からバックアップ入力回転速度NINFL
を算出するのである。
【0031】(f) 上記(a) 〜(e) の何れにも該当しない
場合は、前回定められたバックアップ入力回転速度NI
NFLを維持する。
【0032】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ
詳細に説明する。図1は、本発明が適用されたハイブリ
ッド駆動制御装置10を説明する概略構成図で、図2は
変速機12を含む骨子図であり、このハイブリッド駆動
制御装置10は、燃料の燃焼で動力を発生するエンジン
14、電動モータおよび発電機として用いられるモータ
ジェネレータ16、およびダブルピニオン型の遊星歯車
装置18を備えて構成されており、車両に横置きに搭載
されて使用される。遊星歯車装置18のサンギヤ18s
には、トルクコンバータ等の流体継手を介することなく
エンジン14が連結され、キャリア18cにはモータジ
ェネレータ16が連結され、リングギヤ18rは第1ブ
レーキB1を介してケース20に連結されるようになっ
ている。また、キャリア18cは第1クラッチC1を介
して変速機12の入力軸22に連結され、リングギヤ1
8rは第2クラッチC2を介して入力軸22に連結され
るようになっている。上記エンジン14は内燃機関で、
モータジェネレータ16は回転機で、遊星歯車装置18
は歯車式の合成分配装置であり、サンギヤ18sは第1
回転要素、キャリア18cは第2回転要素、リングギヤ
18rは第3回転要素である。
【0033】上記クラッチC1、C2および第1ブレー
キB1は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合
させられる湿式多板式の油圧式摩擦係合装置で、油圧制
御回路24から供給される作動油によって摩擦係合させ
られるようになっている。図3は、油圧制御回路24の
要部を示す図で、電動ポンプを含む電動式油圧発生装置
26で発生させられた元圧PCが、マニュアルバルブ2
8を介してシフトレバー30(図1参照)のシフトポジ
ションに応じて各クラッチC1、C2、ブレーキB1へ
供給されるようになっている。シフトレバー30は、運
転者によって操作されるシフト操作部材で、本実施例で
は「B」、「D」、「N」、「R」、「P」の5つのシ
フトポジションに選択操作されるようになっており、マ
ニュアルバルブ28はケーブルやリンク等を介してシフ
トレバー30に連結され、そのシフトレバー30の操作
に従って機械的に切り換えられるようになっている。
【0034】「B」ポジションは、前進走行時に変速機
12のダウンシフトなどにより比較的大きな動力源ブレ
ーキが発生させられるシフトポジションで、「D」ポジ
ションは前進走行するシフトポジションであり、これ等
のシフトポジションでは出力ポート28aからクラッチ
C1およびC2へ元圧PCが供給される。第1クラッチ
C1へは、シャトル弁31を介して元圧PCが供給され
るようになっている。「N」ポジションは動力源からの
動力伝達を遮断するシフトポジションで、「R」ポジシ
ョンは後進走行するシフトポジションで、「P」ポジシ
ョンは動力源からの動力伝達を遮断するとともに図示し
ないパーキングロック装置により機械的に駆動輪の回転
を阻止するシフトポジションであり、これ等のシフトポ
ジションでは出力ポート28bから第1ブレーキB1へ
元圧PCが供給される。出力ポート28bから出力され
た元圧PCは戻しポート28cへも入力され、上記
「R」ポジションでは、その戻しポート28cから出力
ポート28dを経てシャトル弁31から第1クラッチC
1へ元圧PCが供給されるようになっている。
【0035】クラッチC1、C2、およびブレーキB1
には、それぞれコントロール弁32、34、36が設け
られ、それ等の油圧PC1、PC2、PB1が制御されるよう
になっている。クラッチC1の油圧PC1についてはON
−OFF弁38によって調圧され、クラッチC2および
ブレーキB1についてはリニアソレノイド弁40によっ
て調圧されるようになっている。
【0036】そして、上記クラッチC1、C2、および
ブレーキB1の作動状態に応じて、図4に示す各走行モ
ードが成立させられる。すなわち、「B」ポジションま
たは「D」ポジションでは、「ETC走行モード」、
「直結走行モード」、「モータ走行モード(前進)」の
何れかが成立させられ、「ETC走行モード」では、第
2クラッチC2を係合するとともに第1クラッチC1お
よび第1ブレーキB1を開放した状態、言い換えればサ
ンギヤ18s、キャリア18c、およびリングギヤ18
rが相対回転可能な状態で、エンジン14およびモータ
ジェネレータ16を共に作動させてサンギヤ18sおよ
びキャリア18cにトルクを加え、リングギヤ18rを
回転させて車両を前進走行させる。「直結走行モード」
では、クラッチC1、C2を係合するとともに第1ブレ
ーキB1を開放した状態で、エンジン14を作動させて
車両を前進走行させる。また、「モータ走行モード(前
進)」では、第1クラッチC1を係合するとともに第2
クラッチC2および第1ブレーキB1を開放した状態
で、モータジェネレータ16を作動させて車両を前進走
行させる。「モータ走行モード(前進)」ではまた、ア
クセルOFF時などにモータジェネレータ16を回生制
御することにより、車両の運動エネルギーで発電してバ
ッテリ42(図1参照)を充電するとともに車両に制動
力を発生させることができる。
【0037】図5は、上記前進モードにおける遊星歯車
装置18の作動状態を示す共線図で、「S」はサンギヤ
18s、「R」はリングギヤ18r、「C」はキャリア
18cを表しているとともに、それ等の間隔はギヤ比ρ
(=サンギヤ18sの歯数/リングギヤ18rの歯数)
によって定まる。具体的には、「S」と「C」の間隔を
1とすると、「R」と「C」の間隔がρになり、本実施
例ではρが0.6程度である。また、(a) のETC走行
モードにおけるトルク比は、エンジントルクTe:CV
T入力軸トルクTin:モータトルクTm=ρ:1:1−
ρであり、モータトルクTmはエンジントルクTeより
小さくて済むとともに、定常状態ではそれ等のモータト
ルクTmおよびエンジントルクTeを加算したトルクが
CVT入力軸トルクTinになる。CVTは無段変速機の
意味であり、本実施例では変速機12としてベルト式無
段変速機が設けられている。
【0038】図4に戻って、「N」ポジションまたは
「P」ポジションでは、「ニュートラル」または「充電
・Eng始動モード」の何れかが成立させられ、「ニュ
ートラル」ではクラッチC1、C2および第1ブレーキ
B1の何れも開放する。「充電・Eng始動モード」で
は、クラッチC1、C2を開放するとともに第1ブレー
キB1を係合し、モータジェネレータ16を逆回転させ
てエンジン14を始動したり、エンジン14により遊星
歯車装置18を介してモータジェネレータ16を回転駆
動するとともにモータジェネレータ16を回生制御して
発電し、バッテリ42(図1参照)を充電したりする。
【0039】「R」ポジションでは、「モータ走行モー
ド(後進)」または「フリクション走行モード」が成立
させられ、「モータ走行モード(後進)」では、第1ク
ラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2および
第1ブレーキB1を開放した状態で、モータジェネレー
タ16を逆方向へ回転駆動してキャリア18c更には入
力軸22を逆回転させることにより車両を後進走行させ
る。「フリクション走行モード」は、第1クラッチC1
を係合するとともに第2クラッチC2を開放した状態で
エンジン14を作動させ、サンギヤ18sを正方向へ回
転させるとともに、そのサンギヤ18sの回転に伴って
リングギヤ18rが正方向へ回転させられている状態
で、第1ブレーキB1をスリップ係合させてそのリング
ギヤ18rの回転を制限することにより、キャリア18
cに逆方向の回転力を作用させて後進走行を行うもので
あり、同時にモータジェネレータ16を逆方向へ回転駆
動(力行制御)するようにしても良い。
【0040】前記変速機12はベルト式無段変速機(C
VT)で、その出力軸44からカウンタ歯車46を経て
差動装置48のリングギヤ50に動力が伝達され、その
差動装置48により左右の駆動輪(前輪)52に動力が
分配される。変速機12は、一対の可変プーリ12a、
12bおよびそれ等に巻き掛けられた伝動ベルトを備え
ており、プライマリ側(入力側)の可変プーリ12aの
油圧シリンダによってV溝幅が変更されることにより変
速比γ(=入力回転速度Nin/出力回転速度Nout )が
連続的に変化させられるとともに、セカンダリ側(出力
側)の可変プーリ12bの油圧シリンダによってベルト
挟圧力(張力)が調整されるようになっている。前記油
圧制御回路24は、変速機12の変速比γやベルト張力
を制御するための回路を備えており、共通の電動式油圧
発生装置26から作動油が供給される。
【0041】本実施例のハイブリッド駆動制御装置10
は、図1に示すHVECU60によって走行モードが切
り換えられるようになっている。HVECU60は、C
PU、RAM、ROM等を備えていて、RAMの一時記
憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラム
に従って信号処理を実行することにより、電子スロット
ルECU62、エンジンECU64、M/GECU6
6、T/MECU68、前記油圧制御回路24のON−
OFF弁38、リニアソレノイド弁40、エンジン14
のスタータ70などを制御する。電子スロットルECU
62はエンジン14の電子スロットル弁72を開閉制御
するもので、エンジンECU64はエンジン14の燃料
噴射量や可変バルブタイミング機構、点火時期などによ
りエンジン出力を制御するもので、M/GECU66は
インバータ74を介してモータジェネレータ16の力行
トルクや回生制動トルク等を制御するもので、T/ME
CU68は変速機12の変速比γやベルト張力などを制
御するものである。前記油圧制御回路24は、変速機1
2の変速比γやベルト張力を制御するための回路を備え
ている。スタータ70は電動モータで、モータ軸に設け
られたピニオンをエンジン14のフライホイール等に設
けられたリングギヤに噛み合わせてエンジン14をクラ
ンキングするものである。
【0042】上記HVECU60には、アクセル操作量
センサ76からアクセル操作部材としてのアクセルペダ
ル78の操作量θacを表す信号が供給されるとともに、
シフトポジションセンサ80からシフトレバー30の操
作ポジション(シフトポジション)を表す信号が供給さ
れる。また、エンジン回転速度センサ82、モータ回転
速度センサ84から、それぞれエンジン回転速度(回転
数)Ne、モータ回転速度(回転数)Nmを表す信号が
それぞれ供給される。この他、バッテリ42の蓄電量S
OCなど、運転状態を表す種々の信号が供給されるよう
になっている。上記アクセル操作量θacは運転者の出力
要求量を表している。
【0043】前記T/MECU68には入力回転速度セ
ンサ86、出力回転速度センサ88から入力回転速度
(入力軸22の回転速度)Nin、出力回転速度(出力軸
44の回転速度)Nout を表す信号がそれぞれ供給され
るようになっている。入力回転速度センサ86、出力回
転速度センサ88は、何れもホール素子等を備えた磁気
式センサで、入力側可変プーリ12aや出力軸44など
に取り付けられたマグネットロータの磁気変化を検出す
るようになっており、その磁気変化の時間間隔から回転
速度Nin、Nout が求められる。また、これ等の回転速
度センサ86、88はケース20に配設されているとと
もに、そのケース20はエンジン14のハウジングに一
体的に連結されており、エンジン14の爆発振動に起因
してノイズが入る場合がある。
【0044】また、本実施例では図6に示すように、上
記ハイブリッド駆動制御装置10の他に第2の駆動源と
してリヤ側モータジェネレータ90を備えており、イン
バータ92を介して前記バッテリ42に電気的に接続さ
れ、力行制御および回生制御されるようになっている。
モータジェネレータ90は差動装置94を介して左右の
後輪96に機械的に連結され、力行制御されることによ
り後輪96を回転駆動するとともに、回生制御により後
輪96に回生制動力を作用させる。このリヤ側モータジ
ェネレータ90も前記HVECU60によって制御され
るようになっており、例えば車両発進時や低μ路走行時
など所定の条件下で前輪52に加えて後輪96を回転駆
動するようになっている。
【0045】ここで、前記T/MECU68は、HVE
CU60と同様にCPU、RAM、ROM等を備えてい
て、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記
憶されたプログラムに従って信号処理を実行するもの
で、HVECU60からアクセル操作量θacなどの各種
の情報を読み出すとともに、前記入力回転速度センサ8
6、出力回転速度センサ88によって検出される入力回
転速度Nin、出力回転速度Nout などを用いて、変速機
12の変速制御や挟圧力制御に関する信号処理を行い、
指令信号をHVECU60に出力することにより、その
指令信号に従って油圧制御回路24が制御され、或いは
T/MECU68により直接油圧制御回路24が制御さ
れることにより、変速機12の変速制御や挟圧力制御が
行われる。すなわち、このT/MECU68を主体とし
て変速機12の制御装置が構成されているのである。
【0046】上記変速制御は、例えば図7に示すように
運転者の出力要求量を表すアクセル操作量θacおよび車
速V(出力回転速度Nout に対応)をパラメータとして
予め定められたマップから目標入力回転速度NINTを
算出し、実際の入力回転速度NINが目標入力回転速度
NINTと一致するように、入力側可変プーリ12aの
油圧シリンダの油圧をフィードバック制御する。入力回
転速度NINは、図9の入力回転切換手段100によっ
て設定されるもので、通常は前記入力回転速度センサ8
6によって検出された入力回転速度Ninであるが、その
入力回転速度センサ86のフェール時など予め定められ
た一定の条件下でバックアップ入力回転速度NINFL
が用いられる。図7のγmax は最大変速比で、γmin は
最小変速比である。
【0047】また、変速機12の挟圧力制御は、一対の
可変プーリ12a、12bに巻き掛けられた伝動ベルト
が滑りを生じないように出力側可変プーリ12bの油圧
シリンダの油圧を制御するもので、例えば図8に示すよ
うに伝達トルクに対応するアクセル操作量θacおよび変
速比γをパラメータとして予め定められたマップから必
要油圧(ベルト挟圧力に相当)を算出し、その必要油圧
に応じて出力側可変プーリ12bの油圧シリンダの油圧
制御を行う。
【0048】T/MECU68はまた、図9に示すよう
に前記入力回転切換手段100、NINFL算出手段1
02、フェール判定手段104、外乱判定手段106の
各機能を備えており、図10〜図12に示すフローチャ
ートに従って信号処理を行うことにより、前記入力回転
速度NINとして入力回転速度センサ86によって検出
された入力回転速度Ninを用いるか、NINFL算出手
段102によって算出或いは設定されたバックアップ入
力回転速度NINFLを用いるかを切り換えるようにな
っている。入力回転切換手段は100はなまし手段10
8を備えており、入力回転速度Ninとバックアップ入力
回転速度NINFLとを滑らかに切り換えるようになっ
ている。
【0049】図10および図11のフローチャートは所
定のサイクルタイムで繰り返し実行されるようになって
おり、ステップS1はNINFL算出手段102によっ
て実行され、ステップS2はフェール判定手段104に
よって実行され、ステップS4〜S14は外乱判定手段
106によって実行され、ステップS15〜S24は入
力回転切換手段100によって実行される。また、ステ
ップS16、S17、S21〜S23は、入力回転切換
手段100のなまし手段108によって実行される。
【0050】図10のステップS1は、入力回転速度セ
ンサ86のフェール時のバックアップのために、その時
の走行モード等の運転状態に応じてバックアップ入力回
転速度NINFLを算出する。具体的には、図12のフ
ローチャートに従って実行され、《条件1》〜《条件
5》を満足するか否かによってそれぞれ異なるバックア
ップ入力回転速度NINFLが設定される。ステップR
1では、《条件1》を満足するか否か、すなわち第1ク
ラッチC1が係合状態で遊星歯車装置18のキャリア1
8cが入力軸22に連結されている場合で、具体的には
以下の(i) 〜(iv)の何れかを満足するか否かを判断し、
何れかを満足する場合にはステップR2でモータ回転速
度センサ84によって検出されたモータ回転速度Nmを
バックアップ入力回転速度NINFLとする。モータ回
転速度Nmは、ノイズを除去するためのなまし処理を行
ったものが用いられる。なお、以下の説明の走行モード
A、AR、B、E、F、H、P0、P1、および切換過
渡制御POCST=3、5、9、11の内容は、図13
に示す通りである。
【0051】《条件1》 (i) 走行モードA且つPOCST≠9 すなわち、第2クラッチC2および第1ブレーキB1を
開放するとともに第1クラッチC1を係合し、モータジ
ェネレータ16のみを動力源として前進または後進する
モータ走行モードであってエンジン停止中、およびその
モータ走行モードへの切換過渡制御中(但し、クラッチ
C1、C2、第1ブレーキB1が総て開放のニュートラ
ル状態から第1クラッチC1を係合してモータ走行モー
ドへ移行する際の切換過渡制御中を除く)の時。 (ii)走行モードAR且つPOCST≠9 すなわち、第2クラッチC2および第1ブレーキB1を
開放するとともに第1クラッチC1を係合し、モータジ
ェネレータ16のみを動力源として前進または後進する
モータ走行モードであってエンジン作動中、およびその
モータ走行モードへの切換過渡制御中(但し、クラッチ
C1、C2、第1ブレーキB1が総て開放のニュートラ
ル状態から第1クラッチC1を係合してモータ走行モー
ドへ移行する際の切換過渡制御中を除く)の時。 (iii) 走行モードE且つPOCST≠3 すなわち、第1ブレーキB1を開放するとともに、第1
クラッチC1および第2クラッチC2を係合し、少なく
ともエンジン14を動力源として前進する直結走行モー
ド、およびその直結走行モードへ移行する切換過渡制御
中(但し、第1クラッチC1および第1ブレーキB1が
開放で第2クラッチC2が係合のETC走行モードから
第1クラッチC1を係合して直結走行モードへ移行する
際の切換過渡制御中を除く)の時。 (iv)走行モードB すなわち、第2クラッチC2を開放するとともに第1ク
ラッチC1を係合してエンジン14を作動させた状態
で、第1ブレーキB1をスリップ係合させて後進させる
フリクション走行モード(リバースフリクション)、お
よびそのフリクション走行モードへ移行する切換過渡制
御中の時。
【0052】ステップR1の判断がNO(否定)の場合
に実行するステップR3では、《条件2》を満足するか
否か、すなわち第2クラッチC2が係合状態で遊星歯車
装置18のリングギヤ18rが入力軸22に連結されて
いる場合で、具体的には以下の(i) 、(ii)の何れかを満
足するか否かを判断し、何れかを満足する場合にはステ
ップR4でリングギヤ18rの回転速度NRINGをバ
ックアップ入力回転速度NINFLとする。リングギヤ
回転速度NRINGは、エンジン回転速度センサ82に
よって検出されるエンジン回転速度Ne、モータ回転速
度センサ84によって検出されるモータ回転速度Nm、
および遊星歯車装置18のギヤ比ρから算出され、エン
ジン回転速度Neおよびモータ回転速度Nmはエンジン
14の爆発振動によるノイズなどが除去されるようにな
まし処理を行ったものが用いられる。
【0053】《条件2》 (i) 走行モードH且つPOCST≠5且つPOCST≠
11 すなわち、第1クラッチC1および第1ブレーキB1を
開放するとともに、第2クラッチC2を係合し、エンジ
ン14およびモータジェネレータ16を共に作動させて
前進走行するETC走行モード、およびそのETC走行
モードへ移行する切換過渡制御中(但し、第1クラッチ
C1が係合で第2クラッチC2および第1ブレーキB1
が開放のモータ走行モードから第1クラッチC1を開放
するとともに第2クラッチC2を係合してETC走行モ
ードへ移行する際の切換過渡制御中、およびクラッチC
1、C2、第1ブレーキB1が総て開放のニュートラル
状態から第2クラッチC2を係合してETC走行モード
へ移行する際の切換過渡制御中を除く)の時。 (ii)走行モードE且つPOCST=3 すなわち、第1クラッチC1および第1ブレーキB1が
開放で第2クラッチC2が係合のETC走行モードから
第1クラッチC1を係合させて直結走行モードへ移行す
る切換過渡制御中の時。
【0054】ステップR3の判断がNOの場合に実行す
るステップR5では、《条件3》を満足するか否か、す
なわちクラッチC1およびC2が共に開放状態で遊星歯
車装置18が変速機12から切り離されている場合で、
具体的には以下の(i) 〜(iii) の何れかを満足するか否
かを判断し、何れかを満足する場合にはステップR6で
前記目標入力回転速度NINTをバックアップ入力回転
速度NINFLとする。
【0055】《条件3》 (i) 走行モード(P0またはP1)且つPOCST≠1
1 すなわち、クラッチC1、C2、第1ブレーキB1が総
て開放のニュートラル状態、およびそのニュートラル状
態へ移行する切換過渡制御中(但し、クラッチC1およ
びC2が開放で第1ブレーキB1が係合の充電状態から
第1ブレーキB1を開放してニュートラル状態へ移行す
る際の切換過渡制御中を除く)の時。 (ii)走行モード(AまたはAR)且つPOCST=9 すなわち、クラッチC1、C2、第1ブレーキB1が総
て開放のニュートラル状態から第1クラッチC1を係合
してモータ走行モードへ移行する切換過渡制御中の時。 (iii) 走行モードH且つPOCST=11 すなわち、クラッチC1、C2、第1ブレーキB1が総
て開放のニュートラル状態から第2クラッチC2を係合
してETC走行モードへ移行する切換過渡制御中の時。
【0056】ステップR5の判断がNOの場合に実行す
るステップR7では、《条件4》を満足するか否か、す
なわち車両停止時で、具体的には以下の(i) 、(ii)の何
れかを満足するか否かを判断し、何れかを満足する場合
にはステップR8でバックアップ入力回転速度NINF
L=0とする。
【0057】《条件4》 (i) モードF すなわち、第1クラッチC1および第2クラッチC2を
開放するとともに、第1ブレーキB1を係合させ、エン
ジン14によりモータジェネレータ16を回転駆動する
とともに、モータジェネレータ16を回生制御してバッ
テリ42を充電する充電モード、およびその充電モード
へ移行する切換過渡制御中の時。 (ii)走行モード(P0またはP1)且つPOCST=1
1 すなわち、クラッチC1およびC2が開放で第1ブレー
キB1が係合の充電状態から第1ブレーキB1を開放し
てニュートラル状態へ移行する切換過渡制御中の時。
【0058】ステップR7の判断がNOの場合に実行す
るステップR9では、《条件5》を満足するか否か、す
なわち第1クラッチC1が係合状態で遊星歯車装置18
のキャリア18cが入力軸22に連結されている状態か
ら、第1クラッチC1が開放されてキャリア18cが変
速機12から切り離されるとともに第2クラッチC2が
係合してリングギヤ18rが入力軸22に連結される切
換過渡制御中の場合で、具体的には以下の(i) を満足す
るか否かを判断し、満足する場合にはステップR10で
変速機12の出力回転速度Nout と変速比γとを掛け算
して求めた入力回転速度をバックアップ入力回転速度N
INFLとする。変速比γは、例えば《条件5》の制御
開始時点の入力回転速度NIN/出力回転速度Nout か
ら求めることができる。
【0059】《条件5》 (i) 走行モードH且つPOCST=5 すなわち、第2クラッチC2および第1ブレーキB1が
開放で第1クラッチC1が係合のモータ走行モードか
ら、第1クラッチC1を開放するとともに第2クラッチ
C2を係合してETC走行モードへ移行する切換過渡制
御中の時。
【0060】ステップR9の判断がNOの場合、すなわ
ち上記《条件1》〜《条件5》を何れも満足しない場合
は、ステップR11を実行し、前回のサイクル時に求め
られたバックアップ入力回転速度NINFLを維持す
る。
【0061】図10に戻って、ステップS2では、入力
回転速度センサ86がフェールか否かを判断する。これ
は、例えば入力回転速度センサ86によって検出された
入力回転速度Ninが上記バックアップ入力回転速度NI
NFLから所定値α(例えば数十rpm〜100rpm
程度)を引き算した値以下の状態が所定時間以上継続し
たか否か、或いは出力回転速度Nout と変速比γとを掛
け算して求めた入力回転速度に対して所定値α以上相違
する状態が所定時間以上継続したか否か、などによって
判断できる。そして、入力回転速度センサ86がフェー
ルと判断された場合は、ステップS3で入力回転速度N
INとしてバックアップ入力回転速度NINFLを設定
し、その入力回転速度NIN=NINFLを用いて前記
変速制御などが行われる一方、入力回転速度センサ86
がフェールでない場合は、ステップS4以下を実行し、
エンジン14の爆発振動に起因して入力回転速度センサ
86に入るノイズにより前記変速制御などが損なわれる
一定の条件下でバックアップ入力回転速度NINFLを
入力回転速度NINとし、そうでない場合は入力回転速
度センサ86の検出値である入力回転速度Ninをそのま
ま入力回転速度NINとする。
【0062】ステップS4では、入力回転速度Ninが予
め定められた所定値Nin1以下か否かを判断し、Nin>
Nin1の場合はステップS5を実行するが、Nin≦Nin
1の場合はステップS6で出力回転速度Nout が予め定
められた所定値Nout 1以下か否かを判断する。そし
て、Nout >Nout 1の場合はステップS7を実行する
が、Nout ≦Nout 1の場合はステップS8以下を実行
する。上記ステップS4、S6は、エンジン14の爆発
振動に伴うケース20の振動で、そのケース20に配設
された入力回転速度センサ86が振動してノイズが入っ
た場合に、そのノイズにより前記変速制御などの制御が
損なわれる略停車状態か否かを判断するためのもので、
本実施例では爆発振動に伴うノイズが100〜200r
pm程度であることから、上記所定値Nin1、Nout 1
は例えば300rpm程度の値が設定される。
【0063】ステップS5、S7は、所定のヒステリシ
スを付与して外乱判定フラグF1のハンチングを防止す
るためのもので、ステップS5では入力回転速度Ninが
前記所定値Nin1より少し大きい所定値Nin2よりも大
きいか否かを判断し、Nin>Nin2であればエンジン1
4の爆発振動に起因するノイズで変速制御等が損なわれ
る可能性が低いため、ステップS14で外乱判定フラグ
F1をOFFにする。ステップS7では出力回転速度N
out が前記所定値Nout 1より少し大きい所定値Nout
2よりも大きいか否かを判断し、Nout >Nout 2であ
ればエンジン14の爆発振動に起因するノイズで変速制
御等が損なわれる可能性が低いため、同じくステップS
14を実行して外乱判定フラグF1をOFFにする。外
乱判定フラグF1=OFFは外乱無しを意味し、ステッ
プS5、S7の判断がNOの場合は、前回のサイクル時
の外乱判定フラグF1の内容を維持する。
【0064】Nin≦Nin1で且つNout ≦Nout 1の場
合に実行するステップS8では、走行モードHか否か、
すなわちETC走行モードか否かを判断し、NO(否
定)の場合はステップS9で走行モードFか否か、すな
わち「P」ポジションでの充電状態か否かを判断する。
何れも、停車状態或いは略停車状態でエンジン14が作
動状態を維持できる走行モードで、走行モードHの場合
はステップS10以下を実行するが、走行モードFの場
合は、エンジン14が負荷状態でモータジェネレータ1
6の回生制動制御による反力トルクでハウジング、更に
はケース20が振動して前記入力回転速度センサ86に
ノイズが入る可能性が高いため、直ちにステップS13
を実行して外乱判定フラグF1をONにする。外乱判定
フラグF1=ONは外乱有りを意味する。なお、走行モ
ードがHでもFでもない場合は、エンジン14の爆発振
動に起因して入力回転速度センサ86の検出精度が損な
われる可能性が無いか低いため、前記ステップS14を
実行して外乱判定フラグF1をOFFにする。
【0065】ステップS10ではPOCST=5か否
か、すなわちモータ走行モードからETC走行モードへ
移行する切換過渡制御中か否かを判断し、POCST=
5の場合は前回のサイクル時の外乱判定フラグF1の内
容、通常はF1=OFFを維持する。POCST≠5で
あれば、ステップS11を実行し、アクセル操作量θac
が予め定められた所定値θac1以上か否か、すなわちエ
ンジン14が高負荷状態で、比較的大きな爆発振動が生
じ、変速制御などに影響するようなノイズが生じるか否
かを判断する。言い換えれば、坂路発進などでブレーキ
ペダルおよびアクセルペダル78が両踏みされ、車速V
が略0の状態でモータジェネレータ16の反力トルクに
よりエンジン14の爆発振動でケース20が振動し、入
力回転速度センサ86が振動して実際の入力回転速度が
略0であるにも拘らず100〜200rpm程度のノイ
ズが入るような運転状態か否かを判断するのである。そ
して、θac≧θac1であればステップS13で外乱判定
フラグF1をONにするが、θac<θac1の場合にはス
テップS12でエンジントルクTeが予め定められた所
定値Te1以上か否かを判断し、Te≧Te1の場合も
外乱判定フラグF1をONにする。これは、アクセル操
作量θacが小さい場合でも電子スロットル弁72が開制
御されると、爆発振動によるノイズが同様に問題になる
ためで、所定値Te1は上記アクセル操作量θacの所定
値θac1に対応して定められている。エンジントルクT
eは、例えば吸入空気量およびエンジン回転速度NEを
パラメータとするマップや演算式などから求められる。
【0066】続いて、図11のステップS15を実行
し、前回のサイクル時の外乱判定フラグF1の内容を保
持している前回フラグF2の内容が今回の外乱判定フラ
グF1と一致するか否かを判断する。そして、F2=F
1であれば直ちにステップS17を実行するが、F2≠
F1の場合、すなわち今回のサイクルで外乱判定フラグ
F1の内容が変化した場合は、ステップS16でカウン
タCoをリセットして新たに計数を開始させた後、ステ
ップS17を実行する。すなわち、このカウンタCo
は、外乱判定フラグF1の内容が変化した後の経過時間
をカウントするもので、ステップS17ではカウンタC
oの内容が予め定められた所定値Co1よりも大きいか
否かを判断し、Co<Co1の間はステップS21以下
を実行することにより、入力回転速度NINをNINF
LとNinとの間で滑らか(連続的に)に変化させる。
【0067】ステップS21では外乱判定フラグF1が
ONか否かを判断し、ONの場合、すなわち外乱有りの
場合は、ステップS22を実行し、カウンタCoの所定
値Co1に相当する時間で、入力回転速度NINが入力
回転速度センサ86の検出値である入力回転速度Ninか
らバックアップ入力回転速度NINFLへ滑らかに変化
するようになまし処理を行う。また、外乱判定フラグF
1がOFFの場合、すなわち外乱無しの場合は、ステッ
プS23を実行し、カウンタCoの所定値Co1に相当
する時間で、入力回転速度NINがバックアップ入力回
転速度NINFLから入力回転速度センサ86の検出値
である入力回転速度Ninへ滑らかに変化するようになま
し処理を行う。
【0068】一方、カウンタCoの内容が所定値Co1
よりも大きい場合は、ステップS18で外乱判定フラグ
F1がONか否かを判断し、ONの場合、すなわち外乱
有りの場合は、ステップS19でバックアップ入力回転
速度NINFLを入力回転速度NINとする。また、外
乱判定フラグF1がOFFの場合、すなわち外乱無しの
場合は、ステップS20で入力回転速度センサ86の検
出値である入力回転速度Ninを入力回転速度NINとす
る。なお、ステップS20では、入力回転速度センサ8
6がフェールした後ステップS2でフェール判定が為さ
れるまでの間に、間違った入力回転速度Ninにより誤っ
た制御が行われることを防止するため、入力回転速度セ
ンサ86による検出値である入力回転速度Ninと、バッ
クアップ入力回転速度NINFLから前記所定値α(例
えば数十rpm〜100rpm程度)を引き算した値と
を比較し、大きい方の値を選択して入力回転速度NIN
とするようにしても良い。
【0069】このように本実施例では、外乱判定手段1
06によりステップS4〜S14で入力回転速度センサ
86の検出に影響を与える外乱の有無を判断し、外乱判
定フラグF1がON(外乱有り)とされた場合には、ス
テップS19でバックアップ入力回転速度NINFLが
入力回転速度NINとされ、その入力回転速度NIN=
NINFLを用いて変速制御などが行われるため、外乱
の影響が小さくなり、高い精度で変速制御や挟圧力制御
などが行われるようになる。
【0070】また、本実施例では、車両走行用の駆動源
としてエンジン14を備えているとともに、そのエンジ
ン14のハウジングと一体的に設けられたケース20に
入力回転速度センサ86が配設されており、外乱判定手
段106は、入力回転速度Ninが所定値Nin1以下で、
出力回転速度Nout が所定値Nout 1以下で、且つエン
ジントルクTeが所定値Te1以上の場合に、外乱有り
(F1=ON)と判断するため、エンジン14の爆発振
動によるノイズ発生時にはNINFL算出手段102に
よって設定されたたバックアップ入力回転速度NINF
Lが用いられることになり、その爆発振動に起因する制
御精度の悪化が抑制される。すなわち、入力回転速度N
inが所定値Nin1以下で、出力回転速度Nout が所定値
Nout 1以下の略停車状態で、エンジントルクTeが所
定値Te1以上の場合は、モータジェネレータ16の反
力トルクによりエンジン14の爆発振動でケース20が
振動し易く、そのケース20に配設された入力回転速度
センサ86も振動するため、実際の入力回転速度が略0
であるにも拘らず100〜200rpm程度のノイズが
入ることがあるのである。
【0071】なお、車両走行時、すなわち入力回転速度
Ninが比較的大きい場合にも、エンジン14の爆発振動
の影響で同程度のノイズが入る可能性があるが、母数が
大きいため殆ど影響ない一方、NINFL算出手段10
2は入力回転速度センサ86に比較して演算等による誤
差が発生する可能性があり、基本的には入力回転速度セ
ンサ86によって直接検出した入力回転速度Ninを用い
ることが望ましいのである。
【0072】また、本実施例ではエンジン14およびモ
ータジェネレータ16を共に作動させて遊星歯車装置1
8のサンギヤ18sおよびキャリア18cにトルクを加
え、リングギヤ18rから変速機12へ出力して走行す
るETC走行モード(走行モードH)時に、入力回転速
度センサ86のフェール時のバックアップのために、条
件によりエンジン回転速度Neおよびモータ回転速度N
mからバックアップ入力回転速度NINFLを算出する
か、出力回転速度Nout と変速比γとを掛け算してバッ
クアップ入力回転速度NINFLを算出するようになっ
ており、エンジン14の爆発振動で入力回転速度センサ
86の検出精度が損なわれる一定の条件下で、入力回転
速度センサ86の検出値である入力回転速度Ninの代わ
りにフェール時のバックアップ用の入力回転速度NIN
FLを利用するようになっているため、入力回転速度セ
ンサ86のノイズに起因して変速制御などが損なわれる
ことがないとともに、新たに別個に入力回転速度を求め
る場合に比較して装置が全体として簡単に構成される。
【0073】また、「P」ポジションでの充電状態(走
行モードF)では、エンジン14の爆発振動で入力回転
速度センサ86の検出精度が損なわれるが、入力回転速
度センサ86のフェール時のバックアップのためにNI
NFL算出手段102によって設定されたバックアップ
入力回転速度NINFL(=0)が、フェール時以外で
も入力回転速度センサ86による検出値である入力回転
速度Ninの代わりに用いられるようになっているため、
入力回転速度センサ86のノイズに起因して変速制御な
どが損なわれることがないとともに、新たに別個に入力
回転速度を求める場合に比較して装置が全体として簡単
に構成される。
【0074】また、本実施例では入力回転速度NINを
入力回転速度センサ86の検出値である入力回転速度N
inとバックアップ入力回転速度NINFLとの間で切り
換える際に、入力回転速度NINを滑らかに変化させる
なまし手段108を備えているため、入力回転速度NI
Nの急な変化で変速制御や油圧制御等の制御が損なわれ
る恐れがない。
【0075】また、本実施例のNINFL算出手段10
2は、走行モードなどの運転状態によって《条件1》〜
《条件5》に場合分けしてバックアップ回転速度NIN
FLを算出、或いは設定するようになっているため、入
力回転速度センサ86のフェール時にも、バックアップ
回転速度NINFLを用いて高い精度で変速制御や挟圧
力制御などを行うことができるとともに、種々の走行モ
ードで走行することが可能である。
【0076】本実施例では、NINFL算出手段102
のうち外乱判定フラグF1がONとなる運転状態の時に
バックアップ入力回転速度NINFLを算出する部分、
具体的には走行モードH且つPOCST≠5の時にバッ
クアップ入力回転速度NINFLを算出するステップR
4、R6、および走行モードFの時にバックアップ入力
回転速度NINFLを算出するステップR8を実行する
部分は、入力回転速度推定手段として機能している。
【0077】なお、入力回転速度センサ86によって検
出される入力回転速度Ninにノイズが入るということ
は、出力回転速度センサ88によって検出される出力回
転速度Nout にもノイズが入る可能性が高いため、外乱
判定成立時(F1=ON時)には、車輪速センサから演
算した出力回転速度をバックアップとして用いることも
できる。
【0078】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、
本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加
えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用変速機の制御装
置を備えているハイブリッド駆動制御装置を説明する概
略構成図である。
【図2】図1のハイブリッド駆動制御装置の動力伝達系
を示す骨子図である。
【図3】図1の油圧制御回路の一部を示す回路図であ
る。
【図4】図1のハイブリッド駆動制御装置において成立
させられる幾つかの走行モードと、クラッチおよびブレ
ーキの作動状態との関係を説明する図である。
【図5】図4のETC走行モード、直結走行モード、お
よびモータ走行モード(前進)における遊星歯車装置の
各回転要素の回転速度の関係を示す共線図である。
【図6】後輪駆動用のリヤ側モータジェネレータを含む
駆動装置全体を示す概略図である。
【図7】図1のT/MECUによって行われる変速機の
変速制御で、目標入力回転速度NINTを算出するマッ
プの一例を説明する図である。
【図8】図1のT/MECUによって行われる変速機の
挟圧力制御で、必要油圧を算出するマップの一例を説明
する図である。
【図9】変速制御や挟圧力制御などに用いられる入力回
転速度NINを切り換えるために、図1のT/MECU
に備えられている各種の機能を説明するブロック線図で
ある。
【図10】図10の各手段によって実行される信号処理
の内容を具体的に説明するフローチャートである。
【図11】図10の続きを説明するフローチャートであ
る。
【図12】図10のステップS1でバックアップ入力回
転速度NINFLを求める具体的内容を説明するフロー
チャートである。
【図13】図10〜図12のフローチャートの説明で用
いられている走行モードA、AR、B、E、F、H、P
0、P1、および切換過渡制御POCST=3、5、
9、11の内容を説明する図である。
【符号の説明】
12:変速機 14:エンジン(内燃機関) 1
6:モータジェネレータ(回転機) 18:遊星歯車
装置(合成分配装置) 18s:サンギヤ(第1回転
要素) 18c:キャリア(第2回転要素) 18
r:リングギヤ(第3回転要素) 20:ケース
68:T/MECU 86:入力回転速度センサ
100:入力回転切換手段 102:NINFL算出
手段(入力回転速度推定手段) 106:外乱判定手
段 108:なまし手段 Nin:入力回転速度(入力回転速度センサの検出値) NINFL:バックアップ入力回転速度 Nout :出力回転速度 Te:エンジントルク(内燃機関のトルク) Ne:エンジン回転速度(内燃機関の回転速度) Nm:モータ回転速度(回転機の回転速度)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 弘淳 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 松尾 賢治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J552 MA07 NA01 NB01 NB06 NB10 PA51 PB03 SA34 TA10 TB20 VA32W VC01W VC02W

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速機への入力回転速度を検出する入力
    回転速度センサを有する車両用変速機の制御装置におい
    て、 前記入力回転速度センサの検出に影響を与える外乱の有
    無を判断する外乱判定手段と、 前記入力回転速度を推定する入力回転速度推定手段と、 前記外乱判定手段によって外乱有りの判断が為された場
    合には、前記入力回転速度推定手段によって得られる入
    力回転速度を採用する入力回転切換手段と、 を有することを特徴とする車両用変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 車両走行用の駆動源として内燃機関を備
    えているとともに、前記入力回転速度センサは、該内燃
    機関のハウジングと一体的に設けられたケースに配設さ
    れており、 前記外乱判定手段は、前記入力回転速度が所定値以下
    で、前記変速機の出力回転速度が所定値以下で、且つ前
    記内燃機関のトルクが所定値以上の場合に、前記外乱有
    りと判断することを特徴とする請求項1に記載の車両用
    変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関に連結された第1回転要素と、
    回転機に連結された第2回転要素と、前記変速機に連結
    された第3回転要素と、を有する歯車式の合成分配装置
    を備えており、該第1回転要素、第2回転要素、および
    第3回転要素が相対回転可能な状態で、前記内燃機関お
    よび前記回転機を共に作動させて該第1回転要素および
    該第2回転要素にトルクを加え、該第3回転要素から前
    記変速機へ出力して走行する車両用変速機の制御装置で
    あって、 前記入力回転速度推定手段は、前記入力回転速度センサ
    のフェール時のバックアップのために、前記内燃機関の
    回転速度および前記回転機の回転速度から前記入力回転
    速度を算出するものであることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の車両用変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記入力回転切換手段は、前記入力回転
    速度センサによって検出される入力回転速度と、前記入
    力回転速度推定手段によって得られる入力回転速度とを
    切り換える際に、該入力回転速度を滑らかに変化させる
    なまし手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3
    の何れか1項に記載の車両用変速機の制御装置。
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