JP5018091B2 - 変速制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車両に備わるAT(Automatic Transmission:自動変速装置)等変速装置を制御する変速制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、変速終期における変速ショックを抑制するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された車両の変速制御装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、アップシフトの係合側の摩擦係合装置の係合力を制御するデューティ比を変速途中で中間補正制御値だけ補正すると共に、変速後半部のタービン回転速度の勾配に基づいて中間補正制御値を学習することにより、変速終了時に摩擦係合装置の急係合等で変速ショックが発生することが防止されるとされている。
尚、ダウンシフト時のクラッチ係合不良の場合に、次回の係合圧を増大させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−42283号公報 特開2002−310277号公報
従来の技術では、中間補正制御値の学習期間以降に係合不良によってタービン回転数が吹き上がった場合、係る係合不良が中間補正制御値の学習に反映されないため、次回の変速時にも同様にタービン回転数の吹き上がりが生じ得る。即ち、従来の技術には、変速ショックを緩和することは可能であっても、その背反として生じ得る係合不良が考慮されていないため、変速が良好に行われ難いという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、変速ショックを抑制しつつ係合不良の発生を回避し得る変速制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、複数の係合手段を有し、該複数の係合手段の各々における係合状態に応じて得られる複数の変速比に従って変速を行うことが可能な変速装置を制御する変速制御装置であって、前記変速装置の入力回転速度を特定する第1の特定手段と、前記変速が行われる変速期間の少なくとも一部において、前記各々のうち前記変速に伴って係合する係合手段における係合力が増加するように前記変速装置を制御する第1の制御手段と、前記係合力を増加させる増加期間の一部において、前記特定された入力回転速度の変化の度合いに基づいて前記係合力の増加の度合いが緩和されるように前記変速装置を制御する第2の制御手段と、前記変速期間において前記変速に伴って係合する係合手段に係合不良が発生したか否かの判別を行う判別手段と、前記係合不良が発生した旨の前記判別がなされた場合に、前記増加の度合いを緩和させる際の緩和量を表す第1の緩和量が減少するように前記変速装置を制御する第3の制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明における「変速装置」とは、例えばブレーキ要素、クラッチ要素及びワンウェイクラッチ要素等の各種係合手段を複数備え、当該複数の係合手段各々の係合状態、例えば、係合しているか否かに応じて複数の変速比を得ることが可能であって、当該複数の変速比に従って変速を行うことが可能な手段を包括する概念であり、例えば、車両の変速制御に供されるECT(Electronic Controlled Transmission:電子制御式変速装置)等のATを指す。
本発明に係る変速制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第1の特定手段により、例えば動力源として車両に搭載される内燃機関における、例えばクランクシャフト等の動力出力軸に接続されたトルクコンバータのタービン回転速度等の形態を採り得る、当該変速装置の入力回転速度が特定される。
ここで、本発明における「特定」とは、例えば、何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に物理的数値又は物理的数値に対応する電気信号等として検出すること、予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する数値を選択又は推定すること、それら検出された物理的数値若しくは電気信号又は選択若しくは推定された数値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式等に従った論理演算や数値演算の結果として導出すること、或いはこのように検出、選択、推定又は導出された値等を単に電気信号等として取得すること等を包括する広い概念である。係る概念の範囲内において、第1の特定手段は、例えばタービン回転速度を検出可能なタービン回転センサ等の各種検出手段から、検出値を電気信号等として取得することにより、当該入力回転速度を特定する。
一方で、本発明に係る変速制御装置によれば、その動作時には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第1の制御手段により、例えば、車速やスロットルバルブの開度(以下、適宜「スロットル開度」等と称する)等に応じて訪れる変速タイミングにおける、例えばより小さな変速比へ変速比を切り替える(即ち、シフトアップが行われる)際の変速期間の少なくとも一部において、前述した複数の係合手段の各々のうち、変速に伴って係合する係合手段(即ち、当該変速期間の開始前後において係合状態が変化する係合手段)における、例えば摩擦力や係合トルク等の形態を採り得る係合力が、例えば一定又は不定の、或いは車両、内燃機関若しくは変速装置の動作条件等に応じて可変な、又はそれら動作条件に応じて適宜学習され得る増加率や増加特性に従う等して、例えば漸増等の形態を伴って増加するように、例えば、当該係合力を制御可能な油圧アクチュエータの制御、例えば当該油圧アクチュエータにおいて油圧を制御するリニアソレノイドのデューティ制御等を介して変速装置が制御される。
この際、「変速期間の少なくとも一部」とあるように、該当する係合手段における係合力は、変速期間の一部において、積極的に保持されるか否かは別として一定に保持されてもよい。特に、上述したように係合手段が油圧アクチュエータにより駆動される場合等には、当該油圧アクチュエータ内へ作動油を充填する所謂ガタ詰め期間においては係合手段に係合力は変化しない、また、このようなガタ詰めが終了しても、例えば係合手段の係合力によって入力回転速度が変化し始めるイナーシャ相の開始時までは、係合力は一定に維持されてもよい。
ここで、該当する係合手段における係合力を増加させる過程で、入力回転速度が変速後の変速比に対応する入力回転速度(例えば、3速から4速へのシフトアップ期間ならば、例えばプロペラシャフトの回転速度、或いは車輪に連結される出力軸の回転速度にデファレンシャル(差動ギア)の変速比を乗じてなる回転速度等に4速の変速比を乗じてなる回転速度)に変化する(この場合、低下する)ことにより変速は完了するが、この際、車両の乗員には変速に起因する物理的な衝撃或いは加速度の変化が、変速ショックとして知覚され易い。
そこで、本発明に係る変速制御装置によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第2の制御手段により、係合力を増加させる増加期間(例えば、イナーシャ相に対応する期間)の一部において、例えば、入力回転速度が変化する際の勾配値等の形態を採り得る入力回転速度の変化の度合いに基づいて、係合力を増加させる度合い(例えば、増加率等)が緩和されるように変速装置が制御される。尚、これ以降、このような制御を適宜「係合力の緩和制御」等と称することとする。
ここで、「増加の度合いが緩和される」とは、当該緩和に係る何らの処理も施されない場合と比較して少なくとも係合力の増加速度が低下すること指し、絶対的にみた場合には、係合力は増加しても、一定に維持されても、或いは減少してもよい趣旨である。このような緩和がなされることにより変速ショックは幾らかなりとも軽減され、好適な変速が実現され得る。
ところで、変速ショックの抑制を目的としたこのような係合力の緩和制御は、係合手段の係合力によって入力回転速度が変化するイナーシャ相において顕著になされるから、係合力の増加の度合いを緩和することによる、好適には係合力を一時的に減少させることによる背反として、例えば係合力不足による入力回転速度の吹き上がり等といった係合不良が発生し易い。このような係合不良が発生した状態では、係合手段はイナーシャトルクに起因する過剰な仕事をすることになり、係合手段に物理的又は機械的な不具合(例えば、クラッチ板の磨耗等)を与え易く、またドライバビリティの悪化を招きかねない。即ち、変速期間においては、変速ショックの抑制と係合不良の回避といった、相互に背反する効果を両立する必要がある。
そこで、本発明に係る変速制御装置は、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される判別手段が備わり、例えば、前述したように入力回転速度やその変化等に基づいて、変速期間において変速に伴って係合する係合手段に係合不良が発生したか否かの判別が行われる。当該判別の結果、係合不良が発生した旨の判別がなされた場合には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第3の制御手段によって、係合力の増加の度合いを緩和させる際の緩和量として規定される第1の緩和量が減少するように変速装置が制御される。
ここで、第1の緩和量を減少させることにより、係合力の増加の度合いを緩和する際の係合力は相対的にみて増加するから、入力回転速度は、然るべき回転速度(例えば、変速後の変速比に対応する回転速度)へ、より収束し易くなり、係合不良の発生が抑制、理想的には回避される。
尚、時間軸上でこのような一連の処理の流れを見れば、係合不良が発生するのは顕著には変速完了間際であり、係合力の緩和制御の実行以後となり易い。従って、係合不良が発生した旨の判別結果を、第1の緩和量の減少に係る減少制御にフィードバックするには、実質的には次回以降の変速期間を待つ必要がある。
従って、本発明に係る変速制御装置における、第3の制御手段に係る動作は、顕著には次回以降の変速期間に行われるものであって、上述した効果は、必ずしも一の変速期間について得られるものとは限らない。即ち、本発明に係る変速制御装置によれば、係合不良の発生が少なくとも経時的に抑制されることになる。
このように、本発明に係る変速制御装置によれば、係合力の増加期間における係合力の緩和制御により変速ショックを抑制しつつ、係合不良が発生した場合には、当該係合力の緩和に係る第1の緩和量を減少させることによって係合不良の発生機会を明らかに低減することが可能となる。即ち、変速ショックを抑制しつつ係合不良の発生が回避することが可能となるのである。
本発明に係る変速制御装置の一の態様では、前記増加期間の後期における前記特定された入力回転速度の変化の度合いに基づいて、前記第1の緩和量に対応する第1の制御量を学習する第1の学習手段を更に具備し、前記第2の制御手段は、前記学習された第1の制御量に応じて前記変速装置を制御することにより前記増加の度合いを緩和させる。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第1の学習手段によって、例えば、第1の緩和量そのもの、第1の緩和量を規定する油圧又は当該油圧を実現するためのデューティ比、或いは第1の緩和量に係る緩和がなされた後の係合力、当該緩和がなされた後の係合力を規定する油圧又は当該油圧を実現するためのデューティ比等、第1の緩和量と一対一、一対多、多対一又は多対多に対応付させ得る第1の制御量が学習され、第2の制御手段は、この学習された第1の制御量に応じて変速装置を制御することによって、前述した増加期間中における係合力の増加の度合いを緩和させる。
特に、この態様では、第1の学習手段は、増加期間の後期における入力回転速度の変化の度合い、例えば係合手段が概ね70〜80%程度完了したとみなし得る時点から概ね90%程度完了したとみなし得る時点までの入力回転速度の変化量(即ち、時間勾配値)等に基づいて、例えば当該変化量が固定或いは可変な所定の範囲に収まるように第1の制御量を学習する。
ここで、本発明において「第1の制御量を学習する」とは、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、所定の条件を満たすように、例えば変速を所定の時間範囲内で終了させつつ実践上変速ショックが運転者に知覚されることを防止し得るように設定される各種の判断基準に従って、上述した各種態様を有し得る第1の制御量を適宜に更新及び記憶する処理等を包括する概念である。
このような第1の学習手段が備わることにより、増加期間における係合力の緩和制御が、その時点の車両、内燃機関或いは変速装置の状態に応じて可及的に最適化され得、変速ショックが効果的に抑制される。その一方で、係合不良の発生時には、第3の制御手段により、このような第1の学習手段に係る学習値である第1の制御量に優先して、或いは当該第1の制御量に対し適宜加算、減算、乗算又は除算等を含む補正処理が行われること等によって、第1の緩和量が減少せしめられる。即ち、この態様によれば、より効果的に変速ショックを抑制しつつ係合不良の発生が回避される。
本発明に係る変速制御装置の他の態様では、前記変速が完了した場合の前記入力回転速度を表す変速後入力回転速度を特定する第2の特定手段を更に具備し、前記第3の制御手段は、前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との相対関係に基づいて前記第1の緩和量を減少させる。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第2の特定手段によって、変速が完了した場合の入力回転速度たる変速後入力回転速度が、例えば、車輪に連結される出力軸の回転速度に変速後の変速比を乗じること等によって特定される。前述した第3の制御手段は、第1の特定手段により特定される入力回転速度と、この変速後入力回転速度との相対関係、例えば、これらの差分や差分の変化率等に基づいて第1の緩和量を減少させる。
変速が許容範囲内で(即ち、係合不良と判別されない範囲内で)実行される場合、例えばこの差分は必然的にゼロ或いはゼロとみなし得る程度に小さい値に収束するが、係合不良が発生すれば、例えばその差分の収束速度が緩慢となる。或いは当該差分が減少から増加に転じて吹き上がりが生じる。従って、当該相対関係に基づいて第1の緩和量を減少させることにより、その減少量を可及的に最適化することが可能となる。第1緩和量は、上述したように変速ショックを抑制するために必要であり、変速ショック抑制の観点からは、その減少量は小さい方がよいから、この場合、係合不良を効率的に回避しつつ変速ショックの抑制効果を可及的にみて最大限に引き出すといった、実践上極めて高い利益が提供される。
尚、この態様では、前記相対関係に基づいて前記係合不良が発生した旨の判別がなされた場合の前記緩和量を表す第2の緩和量に対応する第2の制御量を学習する第2の学習手段を更に具備し、前記第3の制御手段は、前記学習された第2の制御量に応じて前記変速装置を制御することにより前記第1の緩和量を減少させてもよい。
この場合、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第2の学習手段によって、係合不良が発生した旨の判別がなされた場合の緩和量、言い換えれば、減少させた後の第1の緩和量に相当する第2の緩和量と、一対一、一対多、多対一又は多対多に対応し得る、例えば、第2の緩和量そのもの、第2の緩和量を規定する油圧又は当該油圧を実現するためのデューティ比、或いは第2の緩和量に係る緩和がなされた後の係合力、当該緩和がなされた後の係合力を規定する油圧又は当該油圧を実現するためのデューティ比、更には例えば上述した第1の制御量に対する補正量等の形態を採り得る第2の制御量が学習され、第3の制御手段は、この学習された第2の制御量に応じて変速装置を制御することによって、前述した第1の緩和量を減少させ、上述した増加期間において係合力を緩和させる際の緩和量を、この第2の緩和量に制御する。
特に、この態様では、第2の学習手段は、前述した入力回転速度と変速後入力回転速度との相対関係に基づいて、例えば当該回転速度相互間の差分が大きい場合に少なくとも総体的にみて大きくなるように、第2の制御量を学習する。ここで、本発明において「第2の制御量を学習する」とは、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、所定の条件を満たすように、例えば係合不良(例えば、入力回転速度の吹き上がりや、変速期間の長大化等)を効率的且つ効果的に回避し得るように設定される各種の判断基準に従って、上述した各種態様を有し得る第2の制御量を適宜に更新及び記憶する処理等を包括する概念である。
尚、第3の制御手段による第1の緩和量の減少制御(即ち、第2の緩和量に対応する、係合力の緩和制御)は、係合不良が発生した旨が判別された場合に(即ち、好適には次回の変速期間に)行われるが、第2の学習手段による第2の制御量の学習自体は、同様に係合不良の発生時に行われても、或いは係合不良の発生の有無によらず変速期間が訪れる毎に行われてもよい。
第2の特定手段を備えた本発明に係る変速制御装置の一の態様では、前記第3の制御手段は、前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との差分に基づいて前記第1の緩和量を減少させる。
係合不良の発生時には、入力回転速度と変速後入力回転速度との差分は、少なくともゼロ或いはゼロとみなし得る程度に小さくはならず、相対的にみて大きくなり易い。従って、当該差分を第1の緩和量の減少量に対応付けることによって、係合不良を効率的に回避することが簡便にして可能となり得る。この際、当該差分を、第1の緩和量を減少させる際に如何に相関させるかについては、係合不良を効率的に回避し得る限りにおいて限定されず、単に当該差分の増加及び減少に応じて第1の緩和量の減少量が夫々増加及び減少するように定性的に対応関係が規定されていてもよいし、当該差分に対し、当該減少量が一対一、一対多、多対一又は多対多に定量的に対応付けられていてもよい。
尚、前述したように第2の学習手段により第2の制御量が学習される場合には、この差分に応じて当該第2の制御量が学習されてもよい。即ち、当該差分は間接的に第1の緩和量の減少と対応付けられていてもよい。
第2の特定手段を備える変速制御装置の他の態様では、前記第3の制御手段は、前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との差分の変化率が増加状態から減少状態に移行した際の前記係合力に基づいて前記第1の緩和量を減少させる。
シフトアップ等の変速時において、変速後入力速度に収束しかけた入力回転速度が再び上昇する吹き上がりが発生する等の係合不良が発生した場合、係合力を増加させることによって、好適には漸増させることによって、あるピークを境に入力回転速度は再び減少し得る。この場合、当該ピークに対応する係合力は、変速を正常に終了させ得る係合力の指標となり得る。従って、このピークに対応する係合力に基づいて第1の緩和量を減少させることによって、変速ショックを可及的にみて最大限に抑制しつつ係合不良の発生を回避することが可能となり実践上極めて有益である。
本発明に係る変速制御装置の他の態様では、前記変速が完了した場合の前記入力回転速度を表す変速後入力回転速度を特定する第2の特定手段を更に具備し、前記判別手段は、前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との相対関係に基づいて前記判別を行う。
この態様によれば、上述した各種態様の一部に備わるものと同等な第2の特定手段によって、変速後入力回転速度が特定され、判別手段が、上述したものと同等な相対関係に基づいて係合不良発生に係る判別を行う。上述したように、当該相対関係は係合不良の発生有無を判断する指標として有効であり、判別手段の負荷の増加が実践上顕在化させることなく、係合不良の有無を的確に判別することを可能とするため好適である。
入力回転速度と変速後入力回転速度との相対関係に基づいて判別手段に係る判別がなされる本発明に係る変速制御装置の一の態様では、前記判別手段は、前記増加期間が所定時間以上継続し、且つ前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との差分が所定値以上である期間が所定時間以上継続した場合に、前記係合不良が発生した旨の判別を行う。
上述した増加期間中は、入力回転速度は変速後入力回転速度を言わば目標値として変化する(シフトアップ時には減少する)から、増加期間の初期或いは中期等では顕著に、入力回転速度と変速後入力回転速度との差分は大きくなり易い。一方で、増加期間が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、例えば係合不良が発生している旨を迅速且つ正確に判別し得るもの等として設定されてなる所定時間以上継続した場合には、係合不良が発生していなければ、基本的に当該差分は十分に小さい値に収束する。
従って、このような場合において、当該差分が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、例えば係合不良が発生している旨を迅速且つ正確に判別し得る値等として設定されてなる所定値以上である期間が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、例えば係合不良が発生している旨を迅速且つ正確に判別し得る値等として設定されてなる所定時間以上継続した場合には、係合不良の発生を、相応の裏づけの下に判別することが可能となり、判別精度を向上させることが可能となる。
入力回転速度と変速後入力回転速度との相対関係に基づいて判別手段に係る判別がなされる本発明に係る変速制御装置の他の態様では、前記判別手段は、前記増加期間が所定時間以上継続し、且つ前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との差分の変化率が所定値以上である期間が所定時間以上継続した場合に、前記係合不良が発生した旨の判別を行う。
このように、入力回転速度と変速後入力回転速度との差分の変化率からも、前述した差分と同様に、係合不良が発生したか否かを好適に判別することが可能となる。
本発明に係る変速制御装置の他の態様では、前記増加期間が所定時間以上継続する場合に前記係合力が増加するように前記変速装置を制御する第4の制御手段を更に具備する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される第4の制御手段によって、上述した増加期間が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、例えば運転者に違和感を与え得る、或いは係合不良が発生していると判断され得るもの等として設定される所定時間以上継続する場合に、係合力が増加するように変速装置が制御される。即ち、この場合、係合不良が発生しているか否かは別として、変速期間が少なくとも長大化している場合に、変速の早期完了が促される。従って、この態様によれば、係合不良の有無にかかわらず変速期間の長さを許容範囲内に収束させることが可能となり、実践上極めて有益である。
尚、第4の制御手段に係るこのような制御は、第3の制御手段によってなされる第1の緩和量の減少制御と相反するものではなく、例えば、係合不良が発生した旨の判別がなされた場合であっても、例えば次回以降の変速期間ではなく、係合不良が発生した旨の判別がなされた変速期間について、リアルタイムに変速期間を短縮化することが可能である点に鑑みれば、相互に補完し合って変速装置に係る変速をより効果的に行うことを可能とするものである。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、本発明に係る変速制御装置に対応する車両10の要部構成を概念的且つ模式的に表してなる概略構成図である。
図1において、車両10は、ECU100、エンジン200、トルクコンバータ300、ECT400、ECT駆動部500、油圧コントローラ600、記憶装置700を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、車両10の動作全体を制御する電子制御ユニットであり、本発明に係る「変速制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する変速制御処理を実行することが可能に構成されている。
エンジン200は、車両10の動力源として機能するように構成されたガソリンエンジンである。ここで、図2を参照して、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2はエンジン200の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、エンジン200は、シリンダ201内にその一部たる点火プラグの一部が露出してなる点火装置202の点火動作により混合気を爆発させると共に、その爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクションロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。クランクポジションセンサ206は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されたクランクシャフト205の回転位置に基づいて、点火装置202の点火時期等を制御するように構成されている。また、ECU100は、クランクシャフト205の回転位置に基づいてエンジン200の機関回転数NEを算出することが可能に構成されている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。
シリンダ201内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート213において、インジェクタ214から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。燃料は、燃料タンク215に貯留されており、低圧ポンプ217の作用によりデリバリパイプ216を介してインジェクタ214に圧送供給されている。インジェクタ214は、ECU100と電気的に接続されており、この供給される燃料を、ECU100の制御に従って吸気ポート213に噴射することが可能に構成されている。
シリンダ201内部と吸気管207とは、吸気バルブ218の開閉によって連通状態が制御されている。シリンダ201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ218の開閉に連動して開閉する排気バルブ219の開弁時に排気ポート220を介して排気管221に導かれる。
吸気管207上には、クリーナ208が配設されており、外部から吸入される空気が浄化される構成となっている。クリーナ208の下流側(シリンダ側)には、エアフローメータ209が配設されている。エアフローメータ209は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入された空気の質量流量を直接検出することが可能に構成されている。尚、エアフローメータ209は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気の質量流量は、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
吸気管207におけるエアフローメータ209の下流側には、シリンダ201内部へ吸入される空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ210が配設されている。このスロットルバルブ210には、スロットルポジションセンサ212が電気的に接続されており、その開度たるスロットル開度を検出することが可能に構成されている。また、スロットルバルブ210の近傍には、スロットルバルブモータ211が設置されている。スロットルバルブモータ211は、スロットルバルブ210の物理的な開閉動作を制御可能に構成されたモータであり、ECU100と電気的に接続されている。
ECU100は、不図示のアクセルポジションセンサによって検出されるアクセル開度に基づいて、このスロットルバルブモータ211の駆動状態を制御する。その結果、スロットルバルブ210は、係るスロットルバルブモータ211の駆動力によって駆動される。尚、スロットルバルブ210は、ECU100により制御されたスロットルバルブモータ211の駆動力により駆動される電子制御式のスロットルバルブであり、スロットル開度は、ECU100によって、運転者の意思(即ち、アクセル開度)とは無関係に制御され得る。
排気管221には、三元触媒223が設置されている。三元触媒223は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能な触媒である。排気管221における三元触媒223の上流側には、空燃比センサ222が配設されている。空燃比センサ222は、排気ポート220を介して排出される排気ガスからエンジン200の空燃比を検出することが可能に構成されている。空燃比センサ222は、ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
また、シリンダ201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するための冷却水(即ち、LLC)の温度(以下、適宜「冷却水温」と称する)を検出するための温度センサ224が配設されている。温度センサ224は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温は、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
尚、図面の煩雑化を防ぐ目的から図示は省略するが、エンジン200には更に、ECU100と電気的に接続されると共に吸入空気の温度を検出可能に構成された吸気温センサが配設されており、検出された吸気温がECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
図1に戻り、トルクコンバータ300は、エンジン200における前述したクランクシャフト205の後段に接続された、流体伝達装置である。トルクコンバータ300は、クランクシャフト205を介して伝達されるエンジン200の回転動力を、ECT400に伝達することが可能に構成されている。尚、トルクコンバータ300の詳細な構成については後述する。
タービン回転センサ301は、トルクコンバータ300の後述するタービンランナ320の回転速度(以下、適宜「タービン回転速度」と称する)を検出可能に構成されたセンサである。タービン回転センサ301は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたタービン回転速度NTは、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
ECT400は、クラッチ要素、ブレーキ要素及びワンウェイクラッチ要素等、不図示の油圧アクチュエータによって駆動される油圧式摩擦係合装置(即ち、各々が本発明に係る「係合手段」の一例)を複数備えた、本発明に係る「変速装置」の一例たる電子制御式自動変速機である。ECT400では、これら各油圧式摩擦係合装置各々の係合状態が変化することによって、相互に異なる複数の変速比を得ることが可能に構成される。尚、ECT400の詳細な構成については、トルクコンバータ300と併せ、後に図3を参照する形で説明する。
車両10には更に、デファレンシャル11、左駆動軸SFL、右駆動軸SFR、左前輪FL、右前輪FR、車速センサ12、シフトレバー13及びシフト位置センサ14が備わる。
デファレンシャル11は、ECT400の出力回転軸に接続された差動ギアであり、駆動輪且つ操舵輪たる左前輪FLおよび右前輪FR相互間の回転差を吸収することが可能に構成されている。尚、デファレンシャル11は、ECT400の出力回転軸の回転速度を固有の変速比に従って減速することが可能に構成されている。
左駆動軸SFL及び左駆動軸SFRは、夫々左前輪FL及び右前輪FRに連結された回転軸であり、夫々がデファレンシャル11に連結される構成となっている。従って、車両10において、エンジン200から発せられる動力は、クランクシャフト205、トルクコンバータ300、ECT400、デファレンシャル11及び当該左右の駆動軸を介して駆動輪たる左右の前輪に伝達される構成となっている。
車速センサ12は、車両10の車速を検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ12は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速は、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
シフトレバー13は、車両10の運転者による操作が可能に構成された変速用の操作手段である。本実施形態において、シフトレバー13には、1レンジ、2レンジ、Dレンジ、Nレンジ、Rレンジ、及びPレンジの計6種類のシフト位置が用意されており、当該シフト位置の各々に応じて前述したECT400の変速比が変化する構成となっている。
シフト位置センサ14は、シフトレバー13のシフト位置を検出可能に構成されたセンサである。シフト位置センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたシフト位置は、ECU100によって絶えず或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。ECU100は、この検出されたシフト位置に応じてECT400を制御する構成となっている。
ECT駆動部500は、ECT400を物理的、機械的、電気的及び磁気的に駆動することが可能に構成された、より具体的には、上述した複数の摩擦係合装置の係合状態を変化させることが可能に構成された駆動ユニットである。ECT駆動部500は、リニアソレノイドSL1、SL2、SL3及びSLT並びにソレノイドDSL、S4及びSRを備え、各々が後述するECT400の油圧式摩擦係合装置の各々を駆動する油圧アクチュエータを駆動する構成となっている。
油圧コントローラ600は、上述したECT駆動部500におけるリニアソレノイドの励磁状態制御(例えばデューティ比制御)及びソレノイドの励磁状態制御(例えば、励磁及び非励磁の切り替え制御)等により、ECU400における各摩擦係合装置に対応する油圧アクチュエータの油圧を制御可能に構成された制御ユニットである。油圧コントローラ600は、ECU100と電気的に接続されており、その動作状態がECU100によって上位に制御される構成となっている。
記憶装置700は、ECU100と電気的に接続され、ECU100により後述する変速制御処理の過程で適宜参照される記憶装置である。記憶装置700は、変速制御処理において参照される初期係合力マップ710、初期係合力学習値マップ720、第1スイープ率マップ730、基準中間補正値マップ740、学習中間補正値マップ750、第2スイープ率マップ760及び減少中間補正値マップ770を記憶している。
次に、図3を参照し、トルクコンバータ300及びECT400の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、トルクコンバータ300及びECT400の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、トルクコンバータ300は、ポンプインペラ310、タービンランナ320、ステータ330、ワンウェイクラッチ340及びロックアップクラッチ350を備える。
ポンプインペラ310は、エンジン200のクランクシャフト205と連結され、クランクシャフト205の回転に同期して回転可能に構成されている。
タービンランナ320は、ATF(Automatic Transmission Fluid)を介してポンプインペラ310と対向配置されると共に、ECT400の入力軸401に連結されている。従って、このタービンランナ320の回転速度は、ECT400の入力軸401の回転速度と等価であり、本発明に係る「入力回転速度」の一例となる。尚、既に説明したように、係るタービンランナ320の回転速度たるタービン回転速度NTは、タービン回転センサ301によって検出される構成となっている。
ステータ330は、ワンウェイクラッチ340を介して非回転部材であるハウジング(符号省略)に連結され、タービンランナ320からポンプインペラ310へ還流するATFの方向を変換するトルク増幅手段である。
ロックアップクラッチ350は、その係合状態に応じて、クランクシャフト205から伝達される回転動力を、トルクコンバータ300を介することなく入力軸401に直接伝達することが可能に構成されたクラッチである。
一方、図3において、ECT400は、入力軸401上に同軸に配設されると共にキャリアとリングギアとが夫々相互に連結されることにより所謂CR−CR結合の遊星歯車機構を構成するシングルピニオン型の一対の第1遊星歯車機構430及び第2遊星歯車機構440と、入力軸401と平行なカウンタ軸402に同軸に配置された一組の第3遊星歯車機構450と、カウンタ軸402の軸端に固定されて、前述したデファレンシャル11と噛み合う出力ギア403とを備える。
これら第1遊星歯車機構430、第2遊星歯車機構440及び第3遊星歯車機構450の各構成要素、即ちサンギア、リングギア及びそれらに噛み合う遊星ギアを回転可能に支持するキャリアは、4つのクラッチC0、C1、C2及びC3により相互に選択的に連結され、また3つのブレーキB1、B2及びB3によって非回転部材であるハウジングに選択的に連結され、或いは二つのワンウェイクラッチF1及びF2により相互に又はハウジングと係合させられる構成となっている。
これら各クラッチ及び各ブレーキは、多板式のクラッチやバンドブレーキ等、油圧アクチュエータによりその係合状態が制御される油圧式摩擦係合装置であり、既に述べたように、油圧コントローラ600によって制御されるECT駆動部500により駆動制御され、その係合力を規定する油圧が変化する構成となっている。
このような構成の下、入力軸401と同軸上に配置された一対の第1遊星歯車機構430、第2遊星歯車機構440、クラッチC0、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2及びワンウェイクラッチF1によって、前進四段後進一段の変速段を備えた主変速部410が構成される。また、カウンタ軸402上に配置された一組の遊星歯車機構450、クラッチC3、ブレーキB3及びワンウェイクラッチF2によって、補助変速部420が構成される。尚、この補助変速部420によって前進二段の変速段が実現されることにより、ECT400全体としては前進五段の変速段が実現されている。
<実施形態の動作>
<ECT400の動作>
ここで、図4を参照し、これら油圧式摩擦係合装置の係合状態とECT400の変速段との関係について説明する。ここに、図4は、ECT400における油圧式摩擦係合装置各々の係合状態とECT400の変速段との対応関係を説明する表である。
図4において、縦の系列には、シフトレバー13によって選択されるシフト位置及びそれに対応する変速段が順次配されており、横の系列には、前述した各油圧式摩擦係合装置が配されている。図4において「○」は係合していることを表し、「×」は解放されていることを表している。また、「△」は、駆動時のみ係合することを表している。
尚、図4では、Rレンジ(後進用の変速段に相当)、Pレンジ及びNレンジ(動力遮断時の変速段に相当)並びにDレンジ(前進用の変速段(5段)に相当)に対応する係合状態のみが示される。即ち、1stレンジ及び2ndレンジに相当する係合状態は、Dレンジにおいて実現される1st及び2ndの変速段に相当する係合状態と等価であるため、その図示が省略されている。
図示するように、ECT400では、シフト位置がDレンジである場合に、図示「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」及び「5th」に相当する前進5段の変速段が実現される。尚、これら前進用変速段の変速比は、「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」及び「5th」の順で小さくなる。即ち、「1st」が最大であり、「5th」が最小となる。尚、これ以降の説明では、「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」及び「5th」を、夫々適宜「1速」、「2速」、「3速」、「4速」及び「5速」等と称することとする。
図4に示すように、例えば4速の変速段と5速の変速段との間の変速、即ち、4→5変速又は5→4変速は、ワンウェイクラッチF2の作用の下、クラッチC3の係合及びそれに伴うブレーキB3の解放、又はクラッチC3の解放及びそれに伴うブレーキB3の係合により実現される。尚、ECT400の変速制御は、ECU100により、例えば車速及びスロットル開度によって規定される座標上に変速条件を表してなる変速マップ等に基づいて実行される。
ここで、ECU100は、ECT400において実現すべき変速段が成立するように、油圧コントローラ600の制御を介してECT駆動部500の前述した各ソレノイドの励磁状態を励磁と非励磁との間で切り替える。或いはECU100は、前述した各リニアソレノイドの励磁状態を、デューティ制御により連続的に可変に制御する。この際、リニアソレノイドSL1、SL2及びSL3は、夫々ブレーキB1、クラッチC0及びクラッチC1の係合油圧を直接制御可能に構成されている。
<変速制御処理の詳細>
ECT400により変速が行われる場合、顕著には変速比がより小さい変速段への変速であるシフトアップが行われる場合、車両10の乗員に変速ショックが知覚されることがある。本実施形態において、ECU100は、このような変速ショックを抑制し得る変速制御処理を実行することが可能である。ここで、図5及び図6を参照し、変速制御処理の詳細について説明する。ここに、図5は、一のシフトアップ時において変速制御処理が実行された場合における、車両10の各要素の挙動を説明するタイミングチャートであり、図6は、変速制御処理のフローチャートである。
始めに、図5を参照し、変速制御処理の概要について説明する。尚、図5は、3速から4速へのシフトアップを表す3→4シフトアップ時に対応するタイミングチャートである。
図5において、横軸は共通に時刻が採られており、縦軸の系列には、上段、中段及び下段の順に、タービン回転速度NT、左右の駆動軸に出力される駆動軸トルクTr、及びリニアソレノイドSL1を駆動するためのデューティ比DSL1の各要素が表される。尚、リニアソレノイドSL1は、既に述べたように、ECT400において3→4シフトアップ時に係合するブレーキB1の係合状態(例えば、係合油圧)を制御するソレノイドである。尚、本実施形態では、デューティ比が大きい程油圧は小さくなるように、ECT駆動部500及び油圧コントローラ600の物理的な、機械的な、及び電気的な構成が決定されている。
図5において、図示鎖線で例示される特性(大部分は図示実線の特性(後述)と一致する)について先ず説明する。
時刻T1において3→4シフトアップ指令が出力されると、ECU100は、デューティ比DSL1をガタ詰め設定値DSL1Aまで低下させ、予め設定された待機時間だけ保持する。この結果、ブレーキB1が係合トルクを発生しない範囲でECT400の油圧アクチュエータ内へ急速に作動油が充填される。
次に、ECU100は、初期係合力マップ710から定圧待機圧基準値を読み出し、また初期係合力学習値マップ720から初期係合力学習値を読み出して定圧待機圧基準値に加算することによって定圧待機圧制御値DSL1Bを算出する。
定圧待機圧制御値DSL1Bが算出されると、ECU100は、デューティ比DSL1をガタ詰め設定値DSL1Aから係る定圧待機圧制御値DSL1Bまで戻す。その結果、ブレーキB1の油圧PB1は、定圧待機圧制御値DSL1Bに対応する油圧に制御される。この定圧待機圧制御値DSL1Bに対応する油圧は、ブレーキB1の初期係合力に相当する。また、この結果、駆動軸トルクTrは、3速の変速段に相当する図示Tr3rdから徐々に減少し始める。
初期係合力学習値は、例えば変速指令出力時等のタービン回転速度NTをパラメータとして初期係合力学習値マップ720に記憶されると共に、ECU100により、実際の変速状態に基づいて変速ショックが生じないように逐次学習されるようになっている。また、定圧待機圧基準値は、例えば変速の種類やECT400の潤滑油温、車速、タービン回転速度NT、推定入力トルク等の運転状態をパラメータとして、初期係合力マップ710に記憶されている。
デューティ比DSL1は、ブレーキB1の摩擦係合によりタービン回転速度NTが変化し始めるイナーシャ相の開始時まで、前述した定圧待機圧制御値DSL1Bに維持され、時刻T2においてイナーシャ相が開始されると、ECU100によるスイープ処理により漸減させられる。このデューティ比DSL1の漸減に伴い、ブレーキB1の油圧PB1は漸増させられる。このイナーシャ相の開始時刻である時刻T2に相前後して、一旦4thの変速段に対応するTr4thまで低下した駆動軸トルクTrはイナーシャトルクに相当する分だけ上昇する。同様に、タービン回転速度NTも3速の変速段に対応する回転速度(図示PRF_3rd参照)から減少を開始し、時刻T2以降のデューティ比のスイープ(漸減)に伴い、4速の変速段に対応する回転速度(図示PRF_4th)に徐々に接近する。
尚、デューティ比を漸減させる際のスイープ率たる第1スイープ率は、例えば変速指令出力時等のタービン回転速度NTや推定入力トルク等をパラメータとして、記憶装置700に記憶された第1スイープ率マップ730に設定されている。ここで、デューティ比DSL1が定圧待機圧制御値(ここでは、DSL1B)である状態が所定のバックアップ時間を経過してもイナーシャ相が開始されない場合、ECU100は、強制的にデューティ比DSL1のスイープを開始し、初期係合力学習値マップ720における初期係合力学習値を、定圧待機圧制御値が増大する方向へ更新する。
一方、ECU100は、係るデューティ比の漸減期間中における所定のタイミングとして規定される時刻T3において、デューティ比DSL1を増加させ、ブレーキB1の油圧PB1を一時的に減少させる。その結果、デューティ比DSL1は、図示DSL1Cから図示DSL1D(DSL1D>DSL1C)まで増加する。尚、ECU100によるこのような制御を、これ以降適宜「デューティ比の中間補正」等と称することとする。
この際、ECU100は、基準中間補正値マップ740から基準中間補正値を読み出し、また学習中間補正値マップ750から学習中間補正値(即ち、本発明に係る「第1の学習値」の一例)を読み出して基準中間補正値に加算することによって中間補正制御値GDを算出し、デューティ比DSL1を当該中間補正制御値GDだけ増加させる。即ち、デューティ比DSL1Dは、デューティ比DSL1Cに中間補正制御値GDを加算した値である。尚、この段階で、本発明で述べる所の「係合力を増加させる度合いが緩和される」状態が実現される。
ここで、時刻T3に相当する「所定のタイミング」とは、実際のタービン回転速度NTの値と、変速完了後のタービン回転速度NTの推定値(即ち、本発明に係る「変速後入力回転速度」の一例)との差分たる速度偏差(即ち、本発明に係る「差分」の一例)が、所定の判定値α以下となった時点を指す。この判定値αは、変速が概ね70〜80%程度完了したことを表す値として、変速指令出力時等のタービン回転速度NT、或いは変速の種類や車速等をパラメータとするデータマップ、アルゴリズム、論理演算式又は数値演算式等に基づいて設定される。
ここで、学習中間補正値は、例えば変速指令出力時等のタービン回転速度NTをパラメータとして学習中間補正値マップ750に記憶されると共に、ECU100により、実際の変速状態に基づいて変速完了間際に出力軸トルク変動等の変速ショックが生じないように逐次学習補正されるようになっている。より具体的には、学習中間補正値は、前述した、変速が概ね70〜80%完了したとみなし得る時点(ここでは、時刻T3)から、前述した速度偏差が、変速が概ね90%進行したことを表す判定値β以下となった時点(図示略)までの、タービン回転速度NTの変化率(即ち、速度勾配値)が所定の範囲に収まるように学習される。また、基準中間補正値は、例えば変速の種類やECT400の潤滑油温、車速、タービン回転速度NT、推定入力トルク等の運転状態をパラメータとして基準中間補正値マップ740に記憶されている。
時刻T3において、中間補正によりデューティ比DSL1を増加させると、ECU100は、第2スイープ率マップ760に設定された第2スイープ率に従ってデューティ比DSL1を再び漸減させ、ブレーキB1の油圧PB1を漸増させる。
ここで、このように油圧PB1が上昇する過程でブレーキB1が完全に係合して変速が終了すれば、即ち、タービン回転速度NTがPRF_4thに相当する回転速度まで低下すれば、デューティ比DSL1をゼロに制御して、ブレーキB1の油圧PB1を所定のライン圧PLまで上昇させることによって、ブレーキB1を安定な係合状態に維持することが可能である。ところが、場合によっては、このような変速終了間際において、ブレーキB1の係合力不足に起因してタービン回転速度NTが再び上昇することがある。即ち、タービン回転速度NTの吹き上がりによる油圧式摩擦係合装置(ここでは、ブレーキB1)の係合不良が発生することがある。
図5における鎖線の特性は、その様子を表したものであり、変速終了間際の時刻T4において、タービン回転速度NTが上昇を開始し、上述した第2スイープ率に従ってデューティ比DSL1が漸減制御される過程で再び減少傾向に転じて、結局図示時刻T5においてブレーキB1の係合が完了する。その結果、デューティ比DSL1は、時刻T5においてゼロに制御される。例えば、駆動軸トルクTrを見れば明らかなように、係合不良の発生期間においては、ブレーキB1の係合力が不足することに起因して、駆動軸トルクTrが緩慢に変化し、例えばブレーキB1にかかる負荷が増大する。また、当然ながら、変速が終了するまでの時間が冗長に長大化する。
このような吹き上がりは、顕著には変速終了直前に生じ易く、前述したように、学習中間補正値を変速期間中で設定される所定の時間範囲におけるタービン回転速度NTの勾配値に従って学習したとしても回避し得ない場合がある。即ち、前述した速度偏差が前述した判定値β以下となった以降に生じたタービン回転速度NTの吹き上がりは、学習中間補正値の学習には反映されない。従って、次回以降の変速期間においても、同様に変速終了間際に係合不良が発生しかねない。
そこで、このような係合不良が発生した場合、ECU100は、以下の如くにして次回以降の変速期間(ここでは、3→4変速に相当する期間)における係合不良を回避している。即ち、ECU100は、このような係合不良が発生した場合、次回の変速タイミングにおいて、前述した中間補正制御値GDを減少させる。図5における実線の特性は、この次回の変速期間に相当する各要素の特性を表している。
即ち、次回の変速期間における時刻T3において、ECU100は、デューティ比DSL1を上述したDSL1Dではなく、DSL1E(DSL1C<DSL1E<DSL1D)に制御する。その結果、第2スイープ率に従ってデューティ比が漸減させられる過程で、タービン回転速度NTは4速の変速段に相当する回転速度に収束し(即ち、上述した速度偏差がゼロとなって)、変速が完了する。図5では、時刻T4において変速が完了し、デューティ比DSL1がゼロに制御される様子が表されている。
このような係合不良発生時の中間補正に係る中間補正制御値GDの算出は、上述した学習中間補正値とは異なる減少中間補正値に基づいて行われる。即ち、係合不良の発生を検出した場合、ECU100は、記憶装置700の減少中間補正値マップ770から減少中間補正値(即ち、本発明に係る「第2の学習量」の一例)を読み出し、基準中間補正値に加算することによって係合不良発生時の中間補正制御値GD’(即ち、本発明に係る「第2の緩和量」の一例)を算出する。この中間補正制御値GD’により、図示するデューティ比DSL1Eが実現される。
次に、図6を参照して、変速制御処理の処理の流れについて説明する。
図6において、ECU100は、所定のシフトアップの実行タイミングであるか否かを判別する(ステップA10)。変速ショックは、顕著にはシフトアップ時に発生するため、本実施形態ではシフトアップ時に限って変速ショックの抑制が図られる。また、変速ショックの抑制は、リニアソレノイドSL1、SL2及びSL3のデューティ比制御を介してブレーキB1、クラッチC0及びクラッチC1の係合油圧(油圧アクチュエータの油圧)を制御することにより行われるため、本実施形態では、ブレーキB1、クラッチC0及びクラッチC1のいずれかが解放状態から係合状態へ制御されるシフトアップ(即ち、所定のシフトアップ)に対応する期間において、変速ショックの抑制が図られる。このようなシフトアップとは、具体的に言えば、1速から2速への1→2シフトアップ、2速から3速への2→3シフトアップ、及び3速から4速への3→4シフトアップであり、即ち4速の変速段までの範囲におけるシフトアップである。尚、本実施形態ではシフトアップ時のみであるが、例えば4速から3速への4→3シフトダウンや3速から2速への3→2シフトダウンに対応するシフトダウン時において同様に変速ショックの抑制が図られてもよい。
上述したシフトアップの実行タイミングではない場合(ステップA10:NO)、ECU100はステップA10に係る処理を繰り返し実行し、処理を実質的に待機状態に制御する。一方、上述したシフトアップの実行タイミングである場合(ステップA10:YES)、ECU100は、上述した中間補正の実行条件が成立するか否かを判別する(ステップA11)。
ここで、本実施形態に係る中間補正の実行条件は、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、中間補正に係る精度を担保すべく以下(1)〜(6)のように定められている。
(1)単一のシフトアップである
(2)車両が走行状態にある
(3)ECT400の潤滑油温が所定範囲にある
(4)エンジン冷却水温が所定値以上である
(5)タービン回転速度NTが所定値以上である
(6)第1スイープ率に従ったデューティ比の漸増が、前述したバックアップ時間の経過によるものでない
このような実行条件が満たされない場合(ステップA11:NO)、ECU100は処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。一方、中間補正の実行条件が満たされる場合(ステップA11:YES)、ECU100は、中間補正の開始条件が成立するか否かを判別する(ステップA12)。中間補正の開始条件は、タービン回転速度NTに係る前述した速度偏差が、前述した判定値α以下となることであり、即ち、変速が概ね70〜80%完了したこととして規定される。
中間補正の開始条件が成立しない場合(ステップA12:NO)、ECU100は処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返すと共に、中間補正の開始条件が成立する場合(ステップA12:YES)、ECU100は、中間補正を実行する(ステップA13)。
この際、図5において説明したように、基準中間補正値マップ740に記憶された基準中間補正値と、学習中間補正値マップ750に記憶された学習中間補正値とが加算されてなる中間補正制御値GDが算出され、その時点のデューティ比DSL1の制御量(例えば、図5におけるDSL1C)に加算される。その結果、ブレーキB1の油圧PB1が低下する。
中間補正を実行すると、ECU100は、初期係合力学習補正実行条件が成立するか否かを判別する(ステップA14)。初期係合力学習補正実行条件とは、例えば、単一のシフトアップであること、イグニッションオン後の最初のシフトアップでないこと、車速が所定範囲であること等を含み得る条件であり、予め初期係合力を精度良く補正し得るものとして設定されてなる条件を指す。中間補正制御値GDの学習(即ち、学習中間補正値の学習)を適切に実行するためには、ブレーキB1の初期係合力に対応する定圧待機圧制御値DSL1Bの学習補正が適切に行われている必要があるため、このような初期係合力学習補正実行条件の成立の有無が判別される。
初期係合力学習補正実行条件が成立しない場合(ステップA14:NO)、ECU100は、処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返すと共に、初期係合力学習補正実行条件が成立する場合(ステップA14:YES)、変速終期(即ち、上述した速度偏差がα以下となる時点からβ以下となる時点までの期間)における、タービン回転速度NTの変化率ΔNTを算出する(ステップA15)。
当該変化率ΔNTを算出すると、ECU100は、学習中間補正値算出条件が成立するか否かを判別する(ステップA16)。ここで、本実施形態に係る学習中間補正値の算出条件とは、初期係合力学習値に基づいた初期係合力の学習が収束し、且つ初期係合力学習値が前述したようにバックアップ制限時間を超えたことによる補正を受けていないこととして定められる。これらは、初期係合力の学習に関するものであるが、初期係合力が不安定である場合には、中間補正の学習精度に影響が及ぶため、当該条件を満たすことが必要となる。例えば前者の条件は、変速前半部のタービン回転速度の勾配値と目標値との乖離が所定の範囲内であること等として規定され、例えば、変速指令出力時のタービン回転速度NT及び推定入力トルク等をパラメータとして吹き上がり等の変速ショックが生じないように設定される。
学習中間補正値算出条件が成立しない場合(ステップA16:NO)、ECU100は、処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返すと共に、学習中間補正値算出条件が成立する場合(ステップA16:YES)、ECU100は、変速に伴う係合不良が発生しているか否かを判別する(ステップA17)。
ここで、係合不良が発生しているか否かの判別態様は各種考えられ、例えば、実際のタービン回転速度NTと変速後のタービン回転速度NT推定値との差分、即ち、上述した速度偏差が上述したβ以下となってからの時間範囲において、当該速度偏差が所定値以上の状態が所定時間以上継続している場合、或いは、当該時間範囲において、当該速度偏差の変化率が所定値以上の状態(例えば、タービン回転速度NTが吹き上がっている状態に相当する)が所定時間以上継続している場合等に、係合不良が発生している旨の判別を行うことができる。
尚、当該速度偏差が上述したβ以下となる以前にタービン回転速度NTが吹き上がり始めた場合には、必然的に前述したΔNTの絶対値は小さくなり、学習中間補正値は、デューティ比をより小さくする側(即ち、油圧を上昇させる側)へ学習されるから、通常の学習範囲内で幾らかなりとも係合不良に対応することが可能である。
係合不良が発生していない場合(ステップA17:NO)、ECU100は、通常の学習中間補正値を算出する(ステップA19)。ここで、通常の学習中間補正値とは、即ち、上述したように、前述したΔNTの値が所定の範囲に収束するように、例えば現時点の学習中間補正値を適宜一定量、不定量、一定割合又は不定割合で増加又は減少させること等によって得られる値である。
一方、係合不良が発生した旨の判別がなされた場合(ステップA17:YES)、ECU100は、係合不良発生時の補正値である、前述した減少中間補正値を算出する(ステップA18)。減少中間補正値は、例えば、少なくとも現時点における学習中間補正値よりも小さい値となるように、例えば、現時点における学習中間補正値を一定量、不定量、一定割合又は不定割合で減少させること等によって算出される。この際、タービン回転速度NTの速度偏差が大きい程デューティ比の減少量が大きくなるように減少中間補正値が算出されてもよい。
ステップA18又はステップA19に係る処理において中間補正に係る補正値が算出された場合、ECU100は、算出された補正値に対し所定の上下限値によるガード処理を施す(ステップA20)。ここで、当該ガード処理は、誤学習の発生を回避するために補正値の大きさを制限する処理である。上下限値ガード処理が終了すると、ECU100は、補正値の更新処理を行い、更新の必要がある場合に限って、算出された減少中間補正値又は学習中間補正値を更新する(ステップA21)。
学習中間補正値又は減少中間補正値が更新された場合には、夫々記憶装置700における学習中間補正値マップ750又は減少中間補正値マップ770に、最新の補正値として記憶される。ステップA21に係る処理が終了すると、ECU100は処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態に係る車両10によれば、ECU100によって実行される変速制御処理において、油圧式摩擦係合装置の油圧に対応するデューティ比を変速途上で一時的に増加させ、係合力を低下させることによって変速ショックを緩和することが可能であると共に、例えば変速完了間際等においてECT400のタービン回転速度NTが吹き上がる等の係合不良が発生した場合には、係るデューティ比の増加量を減少させることによって、次回以降の変速タイミングにおける係合不良の発生を回避することが可能となる。即ち、変速ショックを抑制しつつ係合不良の発生を回避することが可能となるのである。
<第2実施形態>
第1実施形態では、係合不良の発生時に、基準中間補正値に対する補正量を表す減少中間補正値が、正常に変速が終了した場合に対応する補正量である学習中間補正値よりも、デューティ比が小さくなるように(即ち、係合力が大きくなるように)決定され、中間補正制御値GDよりも小さな中間補正制御値GD’が設定されるため、次回以降の変速期間において、係合不良の発生を回避することが可能となる。
然るに、このような減少中間補正値の算出は、中間補正が実行された後になされるから、現在の変速期間における中間補正に際し、当該減少中間補正値を適用することは困難である。従って、現時点の変速期間については、係合不良が何らの対策を施されぬままに継続してしまう。そこで、図7を参照し、本発明の第2実施形態として、現時点の変速期間において生じる係合不良に対処し得る変速制御処理について説明する。ここに、図7は、第2実施形態に係る変速制御処理のフローチャートである。尚、同図において図6と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、ECU100は、ステップA15に係る処理においてΔNTを算出した後、バックアップタイマによってカウントされるバックアップ時間Tbkupが、制限値Tbkupthを超えたか否かを判別する(ステップB10)。
ここで、バックアップ時間Tbkupとは、第1実施形態で述べた初期係合力のバックアップとは異なり、イナーシャ相の開始時刻を基点にカウントが開始され、当該開始時刻から変速が完了した時刻までの時間である。バックアップ時間Tbkupが制限値Tbkupth以下であれば(ステップB10:NO)、ECU100は、第1実施形態と同様に、中間学習補正値の算出条件が成立したか否かの判別に係る処理を実行する(ステップA16)。
一方、バックアップ時間Tbkupが制限値Tbkupthを超えた場合(ステップB10:YES)、ECU100は、バックアップスイープ率を設定する(ステップB11)。バックアップスイープ率は、現時点で第2スイープ率マップ760に設定されている第2スイープ率よりも減少勾配の大きなスイープ率である。バックアップスイープ率を設定すると、ECU100は、バックアップスイープ率に従ってデューティ比を漸減させ、処理をステップA16に移行する。
ステップA16に係る処理以降は第1実施形態と同様であり、必要があれば減少中間補正値が算出され、次回以降の係合不良の回避に供される。ここで、このような次回以降の変速期間における補償とは別に、ステップB11に係る処理によってバックアップスイープ率が設定されると、現時点の変速期間において変速が完了するまでの時間が短縮される。その効果について、図8を参照して説明する。ここに、図8は、図5と同様のシフトアップ時において変速制御処理が実行された場合の、車両10の各要素の挙動を説明するタイミングチャートである。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、図5と同様、現時点の変速期間に相当する各要素の挙動が鎖線で表される。第2実施形態によれば、図中実線で示される次回以降の変速期間における挙動は、第1実施形態と同様である。一方、現時点の変速期間において、イナーシャ相が開始される時刻T2からバックアップ時間の制限値Tbkupthが経過した時点が、図示時刻T6であるとすると、時刻T6以降の期間について、第2スイープ率はバックアップスイープ率に設定され、従前の第2スイープ率に従うよりもデューティ比DSL1は相対的にみて急激に減少する。
このため、タービン回転速度NTが吹き上がったとしても、その収束は第1実施形態と比べて早くなり、第1実施形態において変速が完了する図示時刻T5よりも以前の時刻T8において変速が完了する。従って、第2実施形態によれば、次回以降の変速期間に限らず、現時点の変速期間について、少なくとも係合不良の規模が緩和され、相対的にみて好適な変速が実現される。尚、このようなバックアップスイープ率に従ったデューティ比の漸減制御は、必ずしも係合不良の発生時に限ってなされる訳ではなく、変速が完了するまでに相対的に見て長い時間を要している場合に実行されるから、係合不良の発生の有無を如何に判別するかに係る判別精度には何ら影響されることがない。即ち、変速を実質的にみて速やかに実行することが可能となる。
尚、第1実施形態の変速制御処理におけるステップA18に係る処理において、タービン回転速度NTと変速後のタービン回転速度NTの推定値との偏差たる速度偏差の大きさに応じて減少中間補正値を算出する旨が示されたが、減少中間補正値の算出態様はこれに限定されない。このような態様について、同様に図8を参照して説明する。
バックアップスイープ率或いは単に第2スイープ率に従って、デューティ比が漸減させられる期間において、タービン回転速度NTの変化率が増加側から減少側に転じた場合(図示時刻T7)、ECU100は、その時点におけるデューティ比であるDSL1Fを取得する。このデューティ比DSL1Fの値は、即ち、タービン回転速度NTの吹き上がりを抑え得るブレーキB1の係合力の指標として利用できる。従って、ECU100は、例えば、このデューティ比DSL1Fと、変速ショック抑制のために実行される中間補正の実行時におけるデューティ比たるDSL1Cとの偏差に基づいて、減少中間補正値を算出する。
このように、減少中間補正値を、実際にタービン回転速度NTの吹き上がりを抑え得るデューティ比に基づいて算出することによって、変速ショックを可及的にみて最大限に抑制しつつ、係合不良の発生を確実に抑制するといった、実践上極めて高い利益が提供される。尚、このようなタービン回転速度NTの勾配が増加から減少に転じた際のデューティ比を減少中間補正値に反映させる態様は、このような利益が幾らかなりとも提供され得る限りにおいて何ら限定されない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う変速制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係る車両において、本発明に係る変速制御装置に対応する要部構成を概念的且つ模式的に表してなる概略構成図である。 図1の車両におけるエンジンの模式図である。 図1の車両におけるトルクコンバータ及びECTの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のECTにおける油圧式摩擦係合装置各々の係合状態と変速段との対応関係を説明する表である。 一のシフトアップ時において変速制御処理が実行された場合の各要素の挙動を説明するタイミングチャートである。 変速制御処理のフローチャートである。 第2実施形態に係る変速制御処理のフローチャートである。 第2実施形態に係る、図5と同様のタイミングチャートである。
符号の説明
10…車両、100…ECU、200…エンジン、300…トルクコンバータ、301…タービン回転センサ、400…ECT、500…ECT駆動部、SL1、SL2、SL3、SLT…リニアソレノイド、DSL、S4、SR…ソレノイド、600…油圧コントローラ、700…記憶装置、710…初期係合力マップ、720…初期係合力学習値マップ、730…第1スイープ率マップ、740…基準中間補正値マップ、750…学習中間補正値マップ、760…第2スイープ率マップ、770…減少中間補正値マップ。

Claims (10)

  1. 複数の係合手段を有し、該複数の係合手段の各々における係合状態に応じて得られる複数の変速比に従って変速を行うことが可能な変速装置を制御する変速制御装置であって、
    前記変速装置の入力回転速度を特定する第1の特定手段と、
    前記変速が行われる変速期間の少なくとも一部において、前記各々のうち前記変速に伴って係合する係合手段における係合力が増加するように前記変速装置を制御する第1の制御手段と、
    前記係合力を増加させる増加期間の一部において、前記特定された入力回転速度の変化の度合いに基づいて前記係合力の増加の度合いが緩和されるように前記変速装置を制御する第2の制御手段と、
    前記変速期間において前記変速に伴って係合する係合手段に係合不良が発生したか否かの判別を行う判別手段と、
    前記係合不良が発生した旨の前記判別がなされた場合に、前記増加の度合いを緩和させる際の緩和量を表す第1の緩和量が減少するように前記変速装置を制御する第3の制御手段と
    を具備することを特徴とする変速制御装置。
  2. 前記増加期間の後期における前記特定された入力回転速度の変化の度合いに基づいて、前記第1の緩和量に対応する第1の制御量を学習する第1の学習手段を更に具備し、
    前記第2の制御手段は、前記学習された第1の制御量に応じて前記変速装置を制御することにより前記増加の度合いを緩和させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
  3. 前記変速が完了した場合の前記入力回転速度を表す変速後入力回転速度を特定する第2の特定手段を更に具備し、
    前記第3の制御手段は、前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との相対関係に基づいて前記第1の緩和量を減少させる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の変速制御装置。
  4. 前記相対関係に基づいて前記係合不良が発生した旨の判別がなされた場合の前記緩和量を表す第2の緩和量に対応する第2の制御量を学習する第2の学習手段を更に具備し、
    前記第3の制御手段は、前記学習された第2の制御量に応じて前記変速装置を制御することにより前記第1の緩和量を減少させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の変速制御装置。
  5. 前記第3の制御手段は、前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との差分に基づいて前記第1の緩和量を減少させる
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の変速制御装置。
  6. 前記第3の制御手段は、前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との差分の変化率が増加状態から減少状態に移行した際の前記係合力に基づいて前記第1の緩和量を減少させる
    ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の変速制御装置。
  7. 前記変速が完了した場合の前記入力回転速度を表す変速後入力回転速度を特定する第2の特定手段を更に具備し、
    前記判別手段は、前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との相対関係に基づいて前記判別を行う
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の変速制御装置。
  8. 前記判別手段は、前記増加期間が所定時間以上継続し、且つ前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との差分が所定値以上である期間が所定時間以上継続した場合に、前記係合不良が発生した旨の判別を行う
    ことを特徴とする請求項7に記載の変速制御装置。
  9. 前記判別手段は、前記増加期間が所定時間以上継続し、且つ前記特定された入力回転速度と前記特定された変速後入力回転速度との差分の変化率が所定値以上である期間が所定時間以上継続した場合に、前記係合不良が発生した旨の判別を行う
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の変速制御装置。
  10. 前記増加期間が所定時間以上継続する場合に前記係合力が増加するように前記変速装置を制御する第4の制御手段を更に具備する
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の変速制御装置。
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