JP3497948B2 - 拡底孔施工用の掘削装置及び拡底孔施工方法 - Google Patents

拡底孔施工用の掘削装置及び拡底孔施工方法

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JP3497948B2
JP3497948B2 JP15552196A JP15552196A JP3497948B2 JP 3497948 B2 JP3497948 B2 JP 3497948B2 JP 15552196 A JP15552196 A JP 15552196A JP 15552196 A JP15552196 A JP 15552196A JP 3497948 B2 JP3497948 B2 JP 3497948B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の技術分野は、軸径部
掘削用のローラカッタが取り付けられ回転駆動される掘
削装置本体と、掘削装置本体に揺動可能に軸支され拡底
径部掘削用のローラカッタを支持したローラカッタ支持
枠と、このローラカッタ支持枠を揺動させるための駆動
力を付与する駆動手段と、この駆動手段の駆動力をロー
ラカッタ支持枠に伝達してこれを揺動させる駆動力伝達
機構とを備えた拡底孔施工用の掘削装置に関する技術の
技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】場所打ち杭等の縦穴を施工する工法とし
て、ケーシングを軸心を中心に揺動又は回転して貫入さ
せるオールケーシング工法、リバースサーキュレーショ
ン工法、アースドリル工法、深礎工法等が知られてい
る。そして、例えば、場所打ち杭で拡底杭を施工する場
合は、こうした工法により縦穴掘削後、拡底孔を掘削す
る。そして、その拡底孔に鉄筋コンクリートを打設して
拡底杭を造成し、拡底杭の拡底部を地盤に根入れする。
拡底孔の掘削は、場所打ち拡底杭の施工のためだけでな
く、ケーシングやケーソン(立坑構造物)を沈下する際
にこれらの沈下を容易にし、さらにはこれらの構築物の
基礎部を硬質地盤に根入れして基礎を安定させるために
も行われる。こうした硬質地盤に対して拡底孔の掘削が
行える拡底孔施工用の掘削装置としては、従来、実公平
8ー6864号公報に記載されている掘削装置が知られ
ている。この掘削装置は、概ね、次に示すような構造を
採用したものである。
【0003】「回転駆動される中心管体と、この中心管
体の下端フランジ部の底部に取り付けられた全断面掘削
用パイロットローラカッタ、中心管体の下端フランジ部
の頂部に揺動可能に軸着された拡掘ローラカッタ用支持
枠と、この拡掘ローラカッタ用支持枠に自転可能に取り
付けられた一段の拡掘ローラカッタと、拡掘ローラカッ
タ用支持枠を揺動させるための駆動源となる液圧シリン
ダと、そのピストンロッドに軸着した摺動部材と、この
上端部を摺動部材に軸着し下端部を拡掘ローラカッタ用
支持枠の特に頂部に軸着したアームリンクとからなり、
液圧シリンダの上下方向の駆動力を、動力伝達機構とし
ての摺動部材及びアームリンクを介して拡掘ローラカッ
タ用支持枠の頂部に伝達してこれを揺動し、これによ
り、拡掘ローラカッタを外径側に拡開して拡底孔の掘削
を行うようにする。」
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この実公平8ー686
4号公報に記載の従来の掘削装置は、拡底部の掘削をロ
ーラカッタで行うため、硬質地盤の掘削が容易に行えて
基本的には望ましいものであるが、その掘削装置の構造
を具体的にみると、改良すべき問題点がある。拡底基礎
部を施工する場合には、拡底基礎部が設定した地耐力
(地盤支持力)を常に安定的に確保できるようにして、
その信頼性を向上させることが必要である。すなわち、
拡底基礎部の施工の都度、地耐力にバラツキが生じると
いうように地耐力の評価が不安定になるようなことは避
けなければならない。そのためには、第1に、拡底部の
底面が常に同じ地層上に位置できるようにし、底面の一
部が硬質地盤上に位置し他の一部が軟質地盤に位置する
というようなことが起こりにくくしなければならない。
また、その場合でも、当然のことながら、無駄な掘削を
しないで、経済的に施工できるようにしなければならな
い。第2に、拡底孔内に掘削土砂の一部であるスライム
等の異物が残留すると地耐力に悪影響をおよぼすため、
その異物を容易に排除できるようにしなければならな
い。これらの要求に応えるためには、拡底部の底面に段
差のような凹凸が形成されることなく、拡底部の底面形
状をできるだけ平面に近い形状にすることが望ましい。
【0005】しかるに、従来の掘削装置は、拡底孔の軸
径部を掘削する全断面掘削用パイロットローラカッタが
中心管体の下端フランジ部底面から下方に突出したパイ
ロットカッタ形状であり、しかも、拡底径部掘削用のロ
ーラカッタを支持した拡掘ローラカッタ用支持枠は、下
端フランジ部頂部に揺動可能に軸着されているため、こ
れにより掘削される拡底孔は、前記公報の図4に図示の
ように、軸径部が深い凹部をなし、拡底径部がその凹部
の上に形成されて段差のある形状となる。そのため、こ
の従来の掘削装置により、支持地盤としての硬質地盤上
に拡底孔を形成した場合、軸径部底面が硬質地盤上に位
置し拡底径部の一部又は全部が硬質地盤上層の軟質地盤
に位置するというようなことが起こり得る。こうした事
態の発生を避け拡底基礎部の信頼性を向上させるため、
拡底径部の最大径の個所を硬質地盤に確実に到達させる
ように、硬質地盤を余分に掘削すると、不経済になると
いう問題が生じる。また、拡底孔内のスライム等の異物
の除去をする場合には、通常、コンクリート打設用のパ
イプを利用して拡底孔の底部に沿って径方向に移動させ
ながら異物を吸引して行うが、拡底孔が前記公報の図4
に図示のように大きな段差のある不連続な形状のため、
こうした操作が行いにくく、特に拡底径部の底面に堆積
している異物を取り残す恐れが大きい。拡底孔の掘削
は、施工状況を直接確認することができず、しかも、不
確定要素の多い地中で行うため、以上のような問題が生
じる余地がきわめて大きい。
【0006】本発明は、こうした従来の技術にみられる
問題を解消しようとするものであって、その技術課題
は、信頼性の高い拡底基礎部の施工が経済的に行える拡
底孔施工用の掘削装置や拡底孔施工方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のこうした技術課
題は、 1)回転駆動される掘削装置本体と、この掘削装置本体
のローラカッタ取付部材に取り付けられ拡底孔の軸径部
を掘削する軸径部掘削用のローラカッタと、拡底孔の拡
底径部を掘削する拡底径部掘削用のローラカッタと、掘
削装置本体に揺動可能に軸支され拡底径部掘削用のロー
ラカッタを支持するローラカッタ支持枠と、このローラ
カッタ支持枠を揺動させるための駆動力を付与する駆動
手段と、この駆動手段の駆動力をローラカッタ支持枠に
伝達してこれを揺動させる駆動力伝達機構とを備えた拡
底孔施工用の掘削装置において、ローラカッタ支持枠
を、ローラカッタ取付部材におけるローラカッタ取付面
より下方位置でかつ拡底孔の軸径部の最外周より内側位
置に揺動可能に軸支するとともに、ローラカッタ支持枠
が揺動した際に俯仰できるようローラカッタ取付部材を
くぐれるようにするための間隙を設けたこと、 2)回転駆動される掘削装置本体と、この掘削装置本体
のローラカッタ取付部材に取り付けられ拡底孔の軸径部
を掘削する軸径部掘削用のローラカッタと、拡底孔の拡
底径部を掘削する拡底径部掘削用のローラカッタと、掘
削装置本体に揺動可能に軸支され拡底径部掘削用のロー
ラカッタを支持するローラカッタ支持枠と、掘削装置本
体に沿って設けられ上下方向に伸縮する油圧シリンダ
と、この油圧シリンダの下方で掘削装置本体に沿って摺
動し油圧シリンダの伸縮により下降上昇する摺動部材
と、上部を摺動部材に軸支し下部をローラカッタ支持枠
に軸支したアームリンクとを備え、油圧シリンダにより
摺動部材及びアームリンクを介してローラカッタ支持枠
を揺動させて拡底径部の掘削を行う拡底孔施工用の掘削
装置において、拡底径部掘削用のローラカッタを、拡底
径部の径方向の各部位を分担して掘削できるように複数
段設けてローラカッタ支持枠で支持するようにし、ロー
ラカッタ支持枠を、ローラカッタ取付部材におけるロー
ラカッタ取付面より下方位置でかつ拡底孔の軸径部の最
外周より内側位置に揺動可能に軸支するとともに、ロー
ラカッタ支持枠が揺動した際に俯仰できるようローラカ
ッタ取付部材をくぐれるようにするための間隙を設け、
少なくとも、拡底径部の径方向の最外周部位を掘削する
拡底径部掘削用のローラカッタを支持しているローラカ
ッタ支持枠にアームリンクを軸支する場合には、そのロ
ーラカッタ支持枠の背部で軸支するようにしたことこ
と、 3)オールケーシング工法、リバースサーキュレーショ
ン工法等の縦穴を施工する工法により、縦穴の掘削を、
拡底孔の掘削開始予定位置まで行った後、請求項1、請
求項2又は請求項3の拡底孔施工用の掘削装置を用いて
拡底孔を掘削するようにしたこと、 4)オールケーシング工法、リバースサーキュレーショ
ン工法等の縦穴を施工する工法により、縦穴の掘削を、
拡底孔の掘削開始予定位置を越えて拡底孔の掘削終了予
定位置まで行うことにより拡底孔の軸径部を掘削した
後、請求項1、請求項2又は請求項3の拡底孔施工用の
掘削装置を用いて、最外周の軸径部掘削用のローラカッ
タを縦穴でガイドしながら拡底孔の拡底径部を掘削し、
拡底孔を二段階に分けて掘削するようにしたこと、の何
れによっても達成される。
【0008】 本発明の第1番目の発明は、前記1)の
ような技術手段を採用したことより、ローラカッタ支持
枠を軸支する場合に、ローラカッタ支持枠を、特に、ロ
ーラカッタ取付部材におけるローラカッタ取付面より下
方位置でかつ拡底孔の軸径部の最外周より内側位置に揺
動可能に軸支するとともに、ローラカッタ支持枠が揺動
した際に俯仰できるようローラカッタ取付部材をくぐれ
るようにするための間隙を設けているので、拡底孔の拡
底径部を掘削する際に、ローラカッタ支持枠をローラカ
ッタ取付面の下方位置まで倒すことにより、拡底径部底
面を軸径部底面近くの下方位置に達するまで掘削する
ことができて、軸径部底面との間に段差がほとんど生じ
ないように連続的に形成することができる。その結果、
拡底孔の底面を水平に近い緩傾斜状態に形成することが
できて、信頼性の高い拡底基礎部の施工が行え、その場
合に、拡底基礎部を余分に掘削する必要がないため、そ
の施工が経済的に行える。本発明の第1番目の発明を具
体化する場合、特許請求の範囲の請求項2に記載のよう
に、拡底径部掘削用のローラカッタを、拡底径部の径方
向の各部位を分担して掘削できるように複数段設けてロ
ーラカッタ支持枠で支持するようにすれば、拡底径部の
最大拡径を無理なく拡大できて、大口径の拡底孔を掘削
することができる。本発明の第2番目の発明は、前記
2)のような技術手段を採用して、少なくとも、拡底径
部の径方向の最外周部位を掘削する拡底径部掘削用のロ
ーラカッタを支持しているローラカッタ支持枠にアーム
リンクを軸支する場合に、そのローラカッタ支持枠の背
部で軸支するようにしたので、ローラカッタ支持枠を大
きく揺動させても、アームリンクの軸支部やローラカッ
タ支持枠上部が孔壁に接触して干渉することはないた
め、拡底径部の最大拡径を更に拡大できるとともに、拡
底径部底面を一層水平に近い緩傾斜状態に形成すること
ができ、大口径の拡底孔を掘削することができる。こう
した拡底孔施工用の掘削装置に関する本発明の作用は、
同装置を使用するプロセスに相当し、一方、前記3)及
び4)の技術手段をそれぞれ採用した拡底孔施工方法に
関する本発明の第3番目及び第4番目の発明は、拡底孔
施工用の掘削装置を使用するプロセスに関する発明であ
るから、本発明の第3番目の発明及び第4番目の発明も
また、以上述べたと同様の作用を奏する。そして、特に
本発明の第4番目の発明では、オールケーシング工法、
リバースサーキュレーション工法等の縦穴を施工する工
法による縦穴の掘削を、拡底孔の掘削開始予定位置を越
えて拡底孔の掘削終了予定位置まで行うことにより拡底
孔の軸径部を掘削するようにしたので、拡底孔施工用の
掘削装置を使用して拡底孔を掘削する際、軸径部の掘削
をしなくても済み、その掘削装置を駆動する際の回転ト
ルクや押し付け力を軽減することができる。また、拡底
径部の掘削の際、その掘削に先立ち、軸径部掘削用の最
外周のローラカッタを、拡底径部の掘削進行個所に先行
する縦穴でガイドして位置決めしながら、掘削を進める
ことができるため、拡底孔の拡底径部を所期の位置に正
しく施工することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明が実際上どのように
具体化されるのかを示す拡底孔施工用の掘削装置の具体
化例を図1乃至図7に基づいて説明することにより、本
発明の拡底孔施工用の掘削装置及び拡底孔施工方法につ
いての発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発
明の第1具体化例の拡底孔施工用の掘削装置を示す側縦
断面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、図1
の拡底孔施工用の掘削装置で作業をしているときの全体
像を示す側縦断面図、図4は、本発明の第2具体化例の
拡底孔施工用の掘削装置を示す側縦断面図、図5は、図
4の拡底孔施工用の掘削装置で作業をしているときの全
体像を示す側縦断面図、図6は、本発明の第3具体化例
の拡底孔施工用の掘削装置を示す側縦断面図、図7は、
図6の拡底孔施工用の掘削装置で作業をしているときの
全体像を示す側縦断面図である。
【0010】図1乃至図7に示す本発明の第1具体化例
乃至第3具体化例の拡底孔施工用の掘削装置は、回転駆
動される掘削装置本体と、この掘削装置本体のローラカ
ッタ取付部材に取り付けられ拡底孔の軸径部を掘削する
軸径部掘削用のローラカッタと、拡底孔の拡底径部を掘
削する拡底径部掘削用のローラカッタと、掘削装置本体
に揺動可能に軸支され拡底径部掘削用のローラカッタを
支持するローラカッタ支持枠と、掘削装置本体に沿って
設けられ上下方向に伸縮する油圧シリンダと、この油圧
シリンダの下方で掘削装置本体に沿って摺動し油圧シリ
ンダの伸縮により下降上昇する摺動部材と、上部を摺動
部材に軸支し下部をローラカッタ支持枠に軸支したアー
ムリンクとを備え、油圧シリンダにより摺動部材及びア
ームリンクを介してローラカッタ支持枠を揺動させて拡
底径部の掘削を行うようにしている点において、ベース
となる構造は前述の従来の技術と変わらない。
【0011】 まず、図1乃至図3に基づき本発明の第
1の具体化例の拡底孔施工用の掘削装置について説明す
る。これらの図において、1は下端部にカッタビットが
付けられオールケーシング掘削機の先端部のケーシング
を構成する先端ケーシング、2は円筒状をなし先端ケー
シング1に挿入される拡底孔施工用の掘削装置の掘削装
置本体、2aは掘削装置本体2の下端部に設けられ後記
センタカッタ3やローラカッタ4を取り付けるローラカ
ッタ取付部材、3は掘削装置本体2の軸心位置に配置さ
れローラカッタ取付部材2aに取り付けられたローラカ
ッタであるセンタカッタ、4はセンタカッタ3の周囲に
配置されローラカッタ取付部材2aに取り付けられたロ
ーラカッタである。掘削装置本体2は、地上に設置され
ている図3に図示の回転駆動装置21により、後記中空
軸16を介して回転駆動される。ローラカッタ取付部材
2aは、掘削装置本体2より大径の円板状に形成されて
いる。ローラカッタとしてのセンタカッタ3及びローラ
カッタ4は、ローラカッタ取付部材2aにブラケットを
介して転動自在に取り付けられている。ローラカッタと
してのセンタカッタ3及びローラカッタ4は、硬質地盤
掘削用のローラカッタであり、掘削装置本体2を回転駆
動することにより公転しながら自転して硬質地盤を圧砕
し、拡底孔14の掘削の際、縦穴13に対応する拡底孔
14の部位である軸径部を掘削する。ローラカッタ4
は、軸径部の内側を掘削するインナーカッタ4aと、軸
径部の最外周部を掘削するゲージカッタ4bと、これら
のカッタ4a,4b間の周部を掘削する複数段のカッタ
とからなり、軸径部の径方向の各部位をセンタカッタ3
とともに分担して掘削できるようにしている。ゲージカ
ッタ4bは、掘削装置本体2の中心軸線に対称的に複数
個配置されている。
【0012】5は拡底径部の内側を掘削する拡径インナ
ーカッタ、6は拡底径部の最外周部を掘削する拡径ゲー
ジカッタ、7は掘削装置本体2に揺動可能に軸支され拡
径インナーカッタ5を転動自在に支持する拡径インナー
カッタ支持枠、8は掘削装置本体2に揺動可能に軸支さ
れ拡径ゲージカッタ6を転動自在に支持する拡径ゲージ
カッタ支持枠である。拡径インナーカッタ5及び拡径ゲ
ージカッタ6は、何れも切頭円錐形状をなし、それぞれ
拡径インナーカッタ支持枠7及び拡径ゲージカッタ支持
枠8に転動自在に取り付けられている。これら拡径イン
ナーカッタ5及び拡径ゲージカッタ6は、掘削装置本体
2を回転駆動することにより公転しながら自転して硬質
地盤を圧砕し、拡底孔14の掘削の際、拡底孔14のう
ちの軸径部より外周側の拡径した部位である拡底径部を
分担して掘削する。拡径ゲージカッタ支持枠8は、取付
片2bを介してローラカッタ取付部材2aにおけるロー
ラカッタ取付面2cより下方位置でかつ拡底孔14の軸
径部の最外周より内側位置に揺動可能に軸支するように
している。換言すると、拡径ゲージカッタ支持枠8の揺
動支点がローラカッタ取付面2cより下方でかつゲージ
カッタ4bの最外周部より内周側に位置するようにして
いる。同様にして、拡径インナーカッタ支持枠7もロー
ラカッタ取付面2cより下方位置でかつ拡底孔14の軸
径部の最外周より内側位置に揺動可能に軸支するように
している。また、拡径インナーカッタ支持枠7及び拡径
ゲージカッタ支持枠8は、それぞれ、掘削装置本体2の
周方向に略等間隔で複数個配置され、かつ、交互に配置
されている。これら拡径インナーカッタ支持枠7及び拡
径ゲージカッタ支持枠8が揺動した際に、掘削装置本体
2をくぐって俯仰できるようできるようにするため、こ
れら支持枠7,8が配置されている個所には、ローラカ
ッタ取付部材2aに切欠きを形成して、両支持枠7,8
がくぐれるようにするための間隙を設けている。以上の
ように、拡径インナーカッタ支持枠7及び拡径ゲージカ
ッタ支持枠8をローラカッタ取付面2cより下方位置で
揺動可能に軸支したことにより、拡径インナーカッタ支
持枠7及び拡径ゲージカッタ支持枠8を大きく揺動させ
た場合、拡径インナーカッタ5及び拡径ゲージカッタ6
の掘削面を軸径部の底面高さに近い下方位置に持ってく
ることができる。また、少なくとも、拡底径部の内周側
掘削用の拡径インナーカッタ5を設けた拡径インナーカ
ッタ支持枠7を、拡底孔14の軸径部の最外周より内側
位置に揺動可能に軸支するとともに、これが揺動した際
に俯仰できるようローラカッタ取付部材2aをくぐれる
ようにするための間隙を設けたことにより、拡径インナ
ーカッタ支持枠7を大きく揺動させた場合、拡径インナ
ーカッタ5を軸径部の外周近くに持ってくることがで
き、その結果、拡底径部の底面が軸径部の底面と連続す
るように掘削できる。
【0013】拡径インナーカッタ支持枠7と拡径ゲージ
カッタ支持枠8とは同じ長さを有する同等の部材であ
り、同じ回転円周上の同じ下方位置で軸支されていて、
後記油圧シリンダ12の駆動により同じ揺動角度だけ揺
動する。拡径インナーカッタ支持枠7及び拡径ゲージカ
ッタ支持枠8は、同じ角度揺動したとき、拡径インナー
カッタ5を回転円周の内周側に、拡径ゲージカッタ6を
回転円周の外周側に隣接して位置させることができるよ
うに取り付けている。すなわち、拡径インナーカッタ5
を拡径インナーカッタ支持枠7の揺動支点に近い側に取
り付け、拡径ゲージカッタ6を拡径ゲージカッタ支持枠
8の揺動支点から遠い側に取り付けて、両支持枠7,8
を同じ角度揺動して回転したときに、拡径インナーカッ
タ5及び拡径ゲージカッタ6がそれぞれ拡底径部の内周
側及び外周側を分担して掘削できるようになっている。
こうした構造を採用したことにより、拡径インナーカッ
タ5と拡径ゲージカッタ6とを同じ支持枠の長さ方向に
隣接して取り付け掘削装置本体2を回転して掘削する場
合と同等の機能を果たすことができる。
【0014】次に、拡径インナーカッタ支持枠7及び拡
径ゲージカッタ支持枠8を図1に示すように垂直に起立
させた際、拡径インナーカッタ5の転動中心線と掘削装
置本体2の回転中心線との間の距離L1 と、拡径ゲージ
カッタ6の転動中心線と掘削装置本体2の回転中心線間
との間の距離L2 がどのような関係にあるかについて述
べる。拡径インナーカッタ5及び拡径ゲージカッタ6
は、何れも、掘削装置本体2の回転により公転させなが
ら自転させたとき、両端部の自転速度ができるだけ同じ
になるように切頭円錐形に形成されている。こうしたロ
ーラカッタは、仮に円筒形に形成した場合、両端部の自
転速度に大きな差が生じて滑りを伴いながら自転するこ
ととなり、摩耗しやすくなる。いま、拡径インナーカッ
タ5及び拡径ゲージカッタ6が円筒形であると仮定する
と、距離L1 と距離L2 とを等しくすれば、両カッタ
5,6で拡底孔14の拡底径部の底面を掘削したとき、
両カッタ5,6での掘削面が直線状に揃うため、連続的
な面を形成することができる。しかるに、拡径インナー
カッタ5及び拡径ゲージカッタ6は、切頭円錐形であっ
て、一方の端部が大径で他方の端部が小径であるため、
距離L1 と距離L2 とを等しくしたとすると、拡底径部
の底面の掘削時、拡径ゲージカッタ6の小径部での掘削
面に続いて拡径インナーカッタ5の大径部での掘削面が
配列されることとなり、両カッタ5,6での掘削面の隣
接個所に若干の段差ができる。本具体化例では、拡底径
部の底面の掘削時にこうした若干の段差もなくして連続
的な面が形成できるようにするため、両カッタ5,6の
拡底径部底面側の母線が同じ半径位置上で直線状に揃う
ように、距離L1 を距離L2 よりも若干小さくしてい
る。
【0015】9は油圧シリンダ12の駆動力を拡径イン
ナーカッタ支持枠7に伝達してこれを揺動させる駆動力
伝達機構を構成する拡径インナーカッタ用アームリン
ク、10は油圧シリンダ12の駆動力を拡径ゲージカッ
タ支持枠8に伝達してこれを揺動させる駆動力伝達機構
を構成する拡径ゲージカッタ用アームリンク、11は油
圧シリンダ12の駆動力を拡径インナーカッタ支持枠7
及び拡径ゲージカッタ支持枠8に伝達してそれぞれを揺
動させる各駆動力伝達機構を構成する両機構に共通の機
構要素である筒状の摺動部材、12は拡径インナーカッ
タ支持枠7及び拡径ゲージカッタ支持枠8を同時に揺動
させるための共通の駆動手段となる油圧シリンダであ
る。油圧シリンダ12は、掘削装置本体2に周方向に等
間隔に複数個軸支され、上下方向に伸縮するように掘削
装置本体2に沿って設けられている。摺動部材11は、
支持枠7,8の総数に合うように断面正10角形の筒状
に形成されて、掘削装置本体2における断面正10角形
の案内部に摺動自在に嵌入されおり、油圧シリンダ12
の下方で掘削装置本体2に沿って摺動できるようになっ
ている。そして、油圧シリンダ12のロッド部の下端部
に軸支され、油圧シリンダ12の伸縮により下降上昇す
る。なお、油圧シリンダ12は、他の液圧シリンダを用
いてもよい。前記したように、摺動部材11は、本具体
化例では断面正10角形の筒状に形成されているが、他
の断面多角形状の筒状に形成し、同様の形状に形成した
掘削装置本体2の案内部に摺動自在に嵌入するようにし
てもよく、要は、摺動部材11が掘削装置本体2の案内
部に対して回り止めされるような形状、構造になってい
ればよい。また、掘削装置本体2は、案内部だけでな
く、全体を断面正10角形の筒状に形成してもよい。
【0016】拡径インナーカッタ用アームリンク9は、
上端部を摺動部材11に軸支し、下端部を拡径インナー
カッタ支持枠7に軸支している。同様にして、拡径ゲー
ジカッタ用アームリンク10は、上端部を摺動部材11
に軸支し、下端部を拡径ゲージカッタ支持枠8に軸支し
ている。この拡径ゲージカッタ用アームリンク10は、
拡径ゲージカッタ支持枠8に軸支する場合、特に、この
支持枠8の背部すなわち裏側で軸支するようにしてい
る。こうした態様で拡径ゲージカッタ用アームリンク1
0を軸支することにより、拡径ゲージカッタ支持枠8を
大きく揺動させて大口径の拡底孔14を掘削しても、拡
径ゲージカッタ用アームリンク10の軸支部は、孔壁に
接触する危惧がないため、摩耗、損傷することはない。
拡径インナーカッタ支持枠7は、その揺動により拡径ゲ
ージカッタ6の拡底径部の内側を掘削するものであっ
て、その支持枠7に軸支している拡径インナーカッタ用
アームリンク9の軸支部は、本来、地盤に接触する危惧
がないため、必ずしも、拡径ゲージカッタ用アームリン
ク10のような態様で拡径インナーカッタ支持枠7に軸
支する必要はない。本具体化例の拡底孔施工用の掘削装
置は、以上述べたような、アームリンク9,10と摺動
部材11と油圧シリンダ12とからなる駆動機構を備え
ているので、油圧シリンダ12を伸ばすと、摺動部材1
1が下降して、油圧シリンダ12の駆動力がアームリン
ク9,10に伝達され、拡径インナーカッタ用アームリ
ンク9及び拡径ゲージカッタ用アームリンク10が縦穴
13の外周側に向かって傾いて、それぞれ、拡径インナ
ーカッタ支持枠7及び拡径ゲージカッタ支持枠8を縦穴
13の外周側に揺動させる。以上、第1具体化例の拡底
孔施工用の掘削装置の掘削機構について述べたが、その
掘削機構の構造は、後に詳述する各具体化例の拡底孔施
工用の掘削装置が共通して備えている構造である。
【0017】次に、図1乃至図3に基づき、第1具体化
例の拡底孔施工用の掘削装置の排土機構や回転駆動機構
等について説明する。第1具体化例では、掘削装置本体
2をオールケーシング掘削機の回転駆動装置で回転駆動
する例を示しているので、それらの機構等は、こうした
回転駆動装置に適応するように構成されている。図1乃
至図3において、15は拡底孔14の掘削時に生じる掘
削土砂を吸引して搬出するための排土パイプ、16は掘
削装置本体2の回転軸をなす中空軸、17は排土パイプ
15に接続される排土用接続パイプ、18は掘削装置本
体2の頂部に取り付けられ掘削装置本体2の回転駆動時
の横触れを防ぐスタビライザである。排土パイプ15
は、掘削装置本体2内で複数本の排土パイプ枝管15
a,15b,15cに分岐し、上端部は、中空軸16に
挿通された排土用接続パイプ17に接続されて地上に導
き出されている。本具体化例では、これら排土パイプ1
5と排土パイプ枝管15a,15b,15cと排土用接
続パイプ17とで拡底孔施工用の掘削装置の排土機構を
構成している。掘削装置本体2内で分岐した排土パイプ
枝管15a,15b,15cは、図2に示されているよ
うに、その各下端部がセンタカッタ3やローラカッタ4
の掘削装置本体2への底部取付け部付近で縦長のラッパ
状に開いて開口し、これにより、掘削土砂の吸引が切羽
部で満遍なく行えるようにしている。本具体化例では、
こうした構造を採用しため、拡底孔14の掘削時に生じ
る掘削土砂を掘削面に溜めることなく直ちに排出するこ
とができて、硬質地盤の掘削能率を低下させることがな
い。掘削装置本体2に設けたこうした排土機構の構造
は、各具体化例の拡底孔施工用の掘削装置も共通して備
えている。
【0018】中空軸16は、スタビライザ18の頂部に
取り付けられ、オールケーシング掘削機の後記回転駆動
装置21の回転駆動トルクや押し付け力を掘削装置本体
2に伝達する。この中空軸16は、図3によく表されて
いるように、分割された複数の継ぎ中空軸16a〜16
dを連結して構成されており、その連結数を調節するこ
とにより長さ調節ができるようになっている。これらの
継ぎ中空軸16a〜16dのうちの最下部の継ぎ中空軸
16aは、オールケーシング掘削機と併用する際、予め
掘削装置本体2の頂部にスタビライザ18を介して取り
付けられ、その他の継ぎ中空軸16b〜16dは、最下
部の継ぎ中空軸16aに任意に継ぎ足せるように掘削装
置本体2とは分離して設けている。排土用接続パイプ1
7は、図3によく表されているように、継ぎ中空軸16
a〜16dと同じ長さに分割された複数の継ぎ排土パイ
プ17a〜17dを連結することにより構成されてい
る。これら各継ぎ排土パイプ17a〜17dは、それぞ
れ、各継ぎ中空軸16a〜16dに挿通され固定され
て、継ぎ中空軸16a〜16dと一体のものとして取り
扱えるようになっている。図示はしていないが、これら
各継ぎ中空軸16a〜16dには、油圧シリンダ12に
対する圧油の供排用の油圧ホースも、継ぎ排土パイプ1
7a〜17dと同様にして挿通され固定されている。ス
タビライザ18は、縦穴13へ挿通された際に、掘削装
置本体2の横振れを先端ケーシング1の内面又は縦穴1
3の壁面で押さえる。
【0019】19は継ぎ排土パイプ17dの頂部に接続
されたスイベルジョイント、20はこのスイベルジョイ
ント19に接続され図示していない吸引ポンプに接続さ
れる掘削土砂排出用のフレキシブルホース、21は油圧
モータやこれにより回転駆動される後記バンド装置2
2、押し付け力付与手段等を含むオールケーシング掘削
機の回転駆動装置、22はオールケーシング掘削機での
掘削時にケーシング24の上部を把持するためのメイン
バンド22a及びサブバンド22bを有するバンド装
置、23は本具体化例の掘削装置で拡底掘削する際に中
空軸16の把持のためにバンド装置22内に装着される
カラー、24はオールケーシング掘削機の先端ケーシン
グ1で掘削された縦穴13内に建て込まれたケーシン
グ、25はクレーンのフック、26はオールケーシング
工法の作業に用いる相伴クレーンである。スイベルジョ
イント19は、中空軸16と一体となって回転する排土
用接続パイプ17や油圧ホース(図示せず。)を地上に
設置した非回転のフレキシブルホース20や油圧ホース
(図示せず。)に接続する役割をする。メインバンド2
2a及びサブバンド22bは、リング状をなし、その緊
縛によりケーシング24を把持することができる。ま
た、メインバンド22装置内にカラー23を装着するこ
とにより、オールケーシング掘削機の回転駆動装置21
で最上部の継ぎ中空軸16dを把持することができ、回
転駆動トルクや押し付け力を中空軸16を通じて掘削装
置本体2に伝達して拡底孔14の掘削をすることができ
る。
【0020】以上のような構造を備えた第1具体化例の
拡底孔施工用の掘削装置を用いて拡底孔14を施工する
方法につき、拡底杭を施工する場合を例にして説明す
る。まず、拡底杭の支持地盤となる硬質地盤までの縦穴
13の掘削は、この例ではオールケーシング掘削機の先
端ケーシング1で掘削した後、ハンマーグラブで中掘を
行う通常の掘削方法で行う。こうした方法で、縦穴13
の掘削を、拡底孔14の掘削開始予定位置を越えて進め
て、先端ケーシング1が拡底孔14の掘削終了予定位置
となる硬質地盤付近又は硬質地盤内の所定位置に到達し
たら、先端ケーシング1の先端部を、図1や図3に示す
ように、拡底孔14の掘削開始予定位置の少し上方まで
引上げ、しかる後、ケーシング24の上端部をサブバン
ド22bで把持して固定する。次いで、掘削機本体2に
スタビライザ18を取り付けてから、カラー23を装着
したメインバンド22aと相伴クレーン26とを用い、
スタビライザ18の頂部の継ぎ中空軸16aや継ぎ排土
パイプ17aに継ぎ中空軸16b〜16dや継ぎ排土パ
イプ17b〜17dを順次継ぎ足しながら拡底孔施工用
の掘削装置を逐次降下させる。掘削装置の拡径ゲージカ
ッタ6の先端部が拡底掘削を開始しようとする地点に到
達したら、メインバンド22aで継ぎ中空軸16dを把
持する。
【0021】次いで、オールケーシング掘削機の回転駆
動装置21により掘削装置本体2を中空軸16を介して
回転駆動し押し付け力を付与しながら、油圧シリンダ1
2を少しずつ伸ばして、拡径インナーカッタ支持枠7及
び拡径ゲージカッタ支持枠8を縦穴13の外周側に揺動
させ、拡径インナーカッタ5及び拡径ゲージカッタ6を
地盤に押し込んで行く。こうして、掘削装置で逐次下方
へ掘進しつつ拡径し、拡径部の直径が最大拡径D2 にな
るまで拡径掘削する。その場合、回転駆動装置21の押
し付け力や回転駆動トルクにより掘削装置本体2を地盤
に押し込む押し込みストロークと、油圧シリンダ12の
駆動により拡径インナーカッタ5や拡径ゲージカッタ6
で拡径する拡径量との関係を適切に調整して、軸径部の
径D1 に見合った所望の傾斜角θ(例えば12°〜15
°)の拡底孔が得られるようにする。拡径部の直径が最
大拡径D2 になるまで掘削したら、拡径インナーカッタ
支持枠7及び拡径ゲージカッタ支持枠8をこの状態に開
いたまま、回転駆動装置21により掘削装置本体2に押
し付け力や回転駆動トルクを付与して更に掘進し続け、
必要な根入れ長さLが得られるまで掘進する。なお、本
具体化例では、縦穴13の掘削を、拡底孔14の掘削開
始予定位置を越えて拡底孔14の掘削終了予定位置まで
進めるようにしているが、縦穴13の掘削を、通常どお
り拡底孔14の掘削開始予定位置まで進めた後、拡底孔
施工用の掘削装置を用いて拡底孔14の拡底径部を掘削
するようにすることもできる。
【0022】本具体化例では、ローラカッタの支持枠で
ある拡径インナーカッタ支持枠7及び拡径ゲージカッタ
支持枠8を軸支する場合、ビット取付部材2aにおける
ローラカッタ取付面2cより下方位置で揺動可能に軸支
するようにしているので、拡底径部底面を、軸径部底面
近くの下方位置に達するまで掘削することができ、軸径
部底面との間に段差がほとんど生じないように形成する
ことができる。その結果、拡底孔14の拡底径部底面を
水平に近い緩傾斜状態に形成できるので、拡底杭を施工
した場合、拡底杭の全底面を常に同じ硬質地盤上に載せ
ることができ、杭の信頼性が向上する。
【0023】ところで、最近は、土木建築物の大型化に
伴って、大口径の拡底孔の掘削を硬質地盤に対して行う
必要性が高まっているが、前記実公平8ー6864号公
報に記載されている従来の掘削装置では、硬質地盤に拡
底孔を掘削することはできても、大口径のものを硬質地
盤に掘削するのは困難である。すなわち、従来の掘削装
置では、拡底孔の拡底径部を1段(1列)の拡掘ローラ
カッタだけで掘削するようにしているため、拡掘ローラ
カッタを大型にし、大きな推力を加えて径の大きい拡底
孔を掘削するにしても、拡掘ローラカッタを支持するカ
ッタ支持軸のベアリングの強度上、限度がある。これま
での経験によれば、拡掘ローラカッタが1段の場合、こ
うしたベアリングの強度上、(拡径部径−軸径部径)/
2の寸法が300mm程度の拡底孔の掘削を行うのが限
度であるため、大径の軸径部に見合った大径の拡底部を
掘削して大口径の拡底孔を掘削することは困難である。
しかるに、本具体化例では、拡底径部掘削用のローラカ
ッタとして、特に、拡径インナーカッタ5及び拡径ゲー
ジカッタ6の2段のローラカッタを設けて、拡径インナ
ーカッタ支持枠7及び拡径ゲージカッタ支持枠8でそれ
ぞれ支持するようにし、拡底径部の径方向の各部位を分
担して掘削できるようにしたため、大口径の拡底孔14
を掘削することができる。
【0024】また、前記従来の掘削装置では、拡掘ロー
ラカッタ用支持枠の揺動角度を大きくすることにより、
大口径の拡底孔を掘削することも不可能である。すなわ
ち、従来の掘削装置では、液圧シリンダの上下方向の駆
動力を拡掘ローラカッタ用支持枠に伝達するためのアー
ムリンクは、その下端部を拡掘ローラカッタ用支持枠の
特に頂部に軸着しているため、拡掘ローラカッタ用支持
枠を拡底孔の周方向に大きく揺動させようとすると、ア
ームリンクの軸支部やその支持枠上部が掘削中の拡底孔
の孔壁と接触して干渉するため、拡掘ローラカッタ用支
持枠の揺動角度を大きくすることにより、大口径の拡底
孔を掘削することも不可能である。しかるに、本具体化
例では、ローラカッタ支持枠にアームリンクを軸支する
場合、拡径ゲージカッタ用アームリンク10を、特に、
拡径ゲージカッタ支持枠8の背部で軸支するようにして
いて、拡径ゲージカッタ支持枠8を大きく揺動させて
も、その支持枠8の上部やアームリンク10の軸支部が
孔壁に接触して干渉することはないため、拡底径部の最
大拡径D2 を更に拡大できるとともに、拡底径部底面を
一層水平に近い緩傾斜状態に形成できることができる。
以上により、軸径部の径を大きくしても、その径に見合
った大径の拡底径部が掘削できるため、拡底比(拡径部
径D2 /軸径部径D1 )が適正範囲にある大口径の拡底
孔14を掘削することができる。
【0025】拡径インナーカッタ5及び拡径ゲージカッ
タ6の2段のローラカッタを支持する場合、これら2段
のローラカッタを同じローラカッタ支持枠で支持するこ
ともできるが、本具体化例では、これらをそれぞれ拡径
インナーカッタ支持枠7及び拡径ゲージカッタ支持枠8
で分担して支持するようにしているので、大口径の拡底
孔14の掘削時にローラカッタ支持枠に大きな負荷がか
かっても、一つのローラカッタ支持枠にかかる負荷は軽
減できる。前述したように、本具体化例では、縦穴13
の掘削を、特に、拡底孔14の掘削開始予定位置を越え
て拡底孔14の掘削終了予定位置まで行うことにより拡
底孔14の軸径部を掘削するようにもしたので、拡底孔
施工用の掘削装置を使用して拡底孔14を掘削する際、
軸径部の掘削をしなくても済み、その掘削装置を駆動す
る際の回転トルクや押し付け力を軽減することができ
る。このように、本具体化例では、ローラカッタ支持枠
にかかる負荷を軽減することができ、かつ、拡底孔施工
用の掘削装置を駆動する際の回転トルクや押し付け力を
軽減することができるため、大口径の拡底孔14を掘削
するのに一層好適である。また、拡底径部の掘削の際、
その掘削に先立ち、軸径部掘削用の複数のゲージカッタ
4bを、拡底径部の掘削進行個所に先行する縦穴13で
ガイドして位置決めしながら、掘削を進めることができ
るため、拡底孔14の拡底径部を所期の位置に正しく施
工することができる。
【0026】このようして拡底孔14を掘削する過程
で、スタビライザ18は、先端ケーシング1の内壁面に
案内されながら下降して、横振れをその内壁面で押さえ
て防ぐことができるため、前記した縦穴13によるゲー
ジカッタ4bの位置決め効果と相俟って、所期の形状の
拡底孔14を正確に施工することができる。また、こう
した掘削過程で生じた掘削土砂は、センタカッタ3やロ
ーラカッタ4の近傍でラッパ状に開いた縦長の開口から
満遍なく吸引され、排土パイプ枝管15a,15b,1
5cから排土パイプ15や排土用接続パイプ17を通じ
て地上に移送される。その結果、本具体化例によれば、
拡底孔14の掘削時に生じる掘削土砂は、掘削面に溜め
ることなく直ちに排出することができて、センタカッタ
3やローラカッタ4の掘削能率を低下させることなく、
硬質地盤を確実に掘削することができる。排土用接続パ
イプ17で地上に移送された掘削土砂は、さらに、スイ
ベルジョイント19、フレキシブルホース20を経由し
て図示していないバキュームポンプやサクションポンプ
等の吸引ポンプにより地上に排出される。
【0027】図4及び図5に基づき、本発明の第2の具
体化例の拡底孔施工用の掘削装置について説明する。第
2具体化例の拡底孔施工用の掘削装置は、第1具体化例
と同様の掘削機構を備え、排土パイプ枝管15a,15
b,15cを分岐した第1具体化例と同様の排土パイプ
15を備えていて、これらの点に関する構造は、第1具
体化例の掘削装置と変わらない。また、第1具体化例で
は、掘削装置本体2をオールケーシング掘削機の回転駆
動装置21で回転駆動するようにしているが、第2具体
化例でも、掘削装置本体2をこうした回転駆動装置21
で回転駆動するようにしている。本具体化例が第1具体
化例と異なる点は、オールケーシング掘削機の回転駆動
装置21で掘削装置本体2を回転駆動する場合に、その
回転駆動力を、第1具体化例では中空軸16を介して伝
達するようにしているのに対し、本具体化例ではケーシ
ング24や先端ケーシング1を介して伝達するようにし
た点にある。また、この点に関連して、掘削装置本体2
の上方の排土機構の構造も両具体化例では若干異なる。
【0028】図4及び図5において、27は筒状の構造
物をなし後記グリッパ部材28を取り付けるためのグリ
ッパ装置本体、28はこのグリッパ装置本体27に出没
可能に取り付けられ先端ケーシング1の内壁面をグリッ
プするグリッパ部材である。グリッパ装置本体27は、
スタビライザ18と同様、掘削装置本体2の頂部に同心
的に取り付けられており、周壁には、グリッパ部材28
を突出させることのできる開口が形成されている。グリ
ッパ部材28は、この開口に対応してグリッパ装置本体
27の周方向に略等間隔で複数配置されており、グリッ
パ装置本体27に内蔵する油圧シリンダ等の駆動手段を
操作することにより、突出又は没入させることができる
ようになっている。したがって、グリッパ部材28を油
圧操作でグリッパ装置本体27の開口から突出させて先
端ケーシング1の内周壁に押し当てることにより、その
内周壁をグリッパ部材28でグリップし、掘削装置本体
2を先端ケーシング1に結合することができる。こうし
て掘削装置本体2を先端ケーシング1に結合すれば、オ
ールケーシング掘削機の回転駆動トルクや押し付け力を
ケーシング24や先端ケーシング1を介して掘削装置本
体2に伝達して、これを回転駆動することができる。グ
リッパ装置は、このように、グリッパ装置本体27とグ
リッパ部材28とこのグリッパ部材28を出没させて先
端ケーシング1の内周壁に押し当てることのできる油圧
シリンダ等の駆動手段とからなっている。
【0029】本具体化例によれば、オールケーシング掘
削機の駆動力を掘削装置本体2に伝達する際、第1具体
化例のように複数の継ぎ中空軸16a〜16dを連結し
て中空軸16の長さを調節するような手間は要しないの
で、掘削装置本体2の駆動操作が簡便に行える。前述し
たように、本具体化例では、排土パイプ15は、第1具
体化例と同様、排土パイプ枝管15a,15b,15c
を掘削装置本体2内で分岐していて、その各下端を掘削
土砂の吸引が行えるように配設しているが、切削屑を地
上に移送するのに、前記具体化例にみられるような継ぎ
排土パイプ17a〜17dは設けていない。代わりに、
掘削土砂を地上に移送するためのフレキシブルホース2
0と図示していない油圧ホースを接続したスイベルジョ
イント19を、グリッパ装置本体27に直接取付けてク
レーン26のフック25で吊り下げ得るようにしてい
る。
【0030】以上のような構造を備えた第2具体化例の
拡底孔施工用の掘削装置を用いて拡底孔14を施工する
方法につき、拡底杭を施工する場合を例にして説明す
る。まず、拡底杭の支持地盤までの縦穴13の掘削は、
第1具体化例で述べたのと同様の掘削方法で行う。こう
した方法で縦穴13の掘削を進めて先端ケーシング1が
拡底杭の支持地盤となる硬質地盤付近又は硬質地盤内の
所定位置に到達したら、先端ケーシング1の先端部を、
図4や図5に示すように、第1具体化例と同様、拡底孔
14の掘削開始予定位置の少し上方まで引上げ、今度
は、ケーシング24の上端部をメインバンド22aで把
持して固定する。次いで、掘削機本体2にスイベルジョ
イント19付きのグリッパ装置本体27を取り付けた
後、スイベルジョイント19にフレキシブルホース20
と図示していない油圧ホースを予め接続し、スイベルジ
ョイント19を相伴クレーン26のフック25に吊り下
げて掘削装置本体2をクレーン操作により降下させる。
掘削装置の拡径ゲージカッタ6の先端部が拡底掘削を開
始しようとする地点に到達したら、グリッパ部材28を
グリッパ装置本体27から突出させて先端ケーシング1
の内周壁をグリップし、掘削装置本体2をクレーン26
に吊るした状態のままで先端ケーシング1に固定する。
【0031】こうして拡径掘削を行う準備が終了した
後、オールケーシング掘削機の回転駆動装置21を駆動
すると、ケーシング24がメインバンド22aで把持さ
れているため、回転駆動装置21の回転駆動トルクや押
し付け力がケーシング24、先端ケーシング1及びグリ
ッパ装置を通じて掘削装置本体2に伝達される。したが
って、以後、第1具体化例と同様の方法により、油圧シ
リンダ12の操作により拡径インナーカッタ5や拡径ゲ
ージカッタ6を地盤に押し込む等して、拡径部の直径が
最大拡径D2 になるまで拡径掘削するとともに、必要な
根入れ長さLが得られるまで掘進すれば、第1具体化例
の掘削装置で掘削したのと同様の拡底孔14を掘削する
ことができる。このように、本具体化例では、回転駆動
装置21の駆動力を掘削装置本体2に伝達する際、特
に、ケーシング24や先端ケーシング1を介して伝達す
るようにしているため、第1具体化例のように複数の継
ぎ中空軸16a〜16dを連結して中空軸16の長さを
調節するような手間は要しないので、掘削装置本体2の
駆動操作が簡便に行える。
【0032】本具体化例では、掘削装置本体2を、先端
ケーシング1やケーシング24と一体で回転駆動し下降
させるようにしているので、拡底孔14を掘削する過程
で、第1具体化例と同様、掘削装置本体2の横振れを防
ぐことができ、所期の形状の拡底杭を正確に施工するこ
とができる。また、掘削過程で生じた掘削土砂は、セン
タカッタ3やローラカッタ4の近傍でラッパ状に開いた
縦長の開口から満遍なく吸引され、排土パイプ枝管15
a,15b,15cから排土パイプ15、スイベルジョ
イント19及びフレキシブルホース20を経由して地上
に吸い上げられる。したがって、本具体化例によれば、
第1具体化例と同様の優れた効果を発揮する拡底孔施工
用の掘削装置が得られることに加え、掘削装置本体2の
駆動操作が簡便に行えるものが得られる。
【0033】図6及び図7に基づき、本発明の第3の具
体化例の拡底孔施工用の掘削装置について説明する。第
3具体化例の拡底孔施工用の掘削装置は、第1具体化例
と同様の掘削機構を備え、排土パイプ枝管15a,15
b,15cを分岐した第1具体化例と同様の排土パイプ
15を備えていて、これらの点に関する構造は、第1具
体化例の掘削装置と変わらない。本具体化例が第1具体
化例と異なる点は、掘削装置本体2を、第1具体化例の
ようにオールケーシング掘削機の回転駆動装置によって
ではなく、リバースサーキュレーションドリルの回転駆
動装置により回転駆動するようにした点にある。
【0034】図6及び図7において、29はスタビライ
ザ18に取り付けられ錘の働きをするドリルカラー、3
0は後記ドリルパイプ31に取り付けられドリルカラー
29とドリルパイプ31とを接続する接続部材としての
クロスオーバサブ、31は分割された複数の継ぎドリル
パイプ31a〜31cを連結して構成されたドリルパイ
プ、32はこのドリルパイプ31が連結され後記ロータ
リテーブル33の回転駆動トルクをドリルパイプ31に
伝達するケリーバ、33はリバースサーキュレーション
ドリルの回転駆動装置としてのロータリテーブルであ
る。ドリルカラー29は掘削装置本体2に重力を加えて
推力を付与する働きをする。ドリルパイプ31は、分割
された複数の継ぎドリルパイプ31a〜31cの連結数
を調節することにより長さ調節ができるようになってい
る。図示はしていないが、これら継ぎドリルパイプ31
a〜31cには、第1具体化例における継ぎ中空軸16
a〜16dと同様、油圧シリンダ12に対する圧油の給
排用の油圧ホースや継ぎ排土パイプが挿通され固定され
て、継ぎドリルパイプ31a〜31cと一体のものとし
て取り扱えるようになっている。こうした油圧ホースや
排土パイプは、ケリーバ32にも挿通され固定されてい
る。ドリルカラー29、クロスオーバサブ30、ドリル
パイプ31及びケリーバ32によりロータリテーブル3
3の回転駆動トルクの伝達手段を構成する。
【0035】34は油圧ポンプに接続された油圧ホース
が取り付けられた中間スイベルジョイント、35は掘削
土砂を吸引排出するためのサクションポンプに接続され
たサクションホース、36はロータリテーブル33や後
記ケリースラスタ37を設置するための基台としてのベ
ースユニット、37はケリーバ32を支持するための専
用支持架台としてのケリースラスタ、38は後記スイベ
ルジョイントを取り付けるためのフレームであるスイベ
ルフレーム、39は中間スイベルジョイント34と非回
転側のサクションホース35とを接続するスイベルジョ
イント、40は縦穴13の孔壁入り口を保護するための
スタンドパイプである。中間スイベルジョイント34
は、油圧ポンプに接続された非回転の油圧ホースを、ケ
リーバ32と一体となって回転するケリーバ32中の油
圧ホースに接続して、油圧ポンプの圧油を継ぎドリルパ
イプ31a〜31cを通じて油圧シリンダ12に供給す
るための継手の役割をする。ケリースラスタ37は、油
圧ジャッキのように構成されて伸縮でき、その伸縮によ
り、これに支持されたケリーバ32を上昇下降させるこ
とができる。
【0036】以上のような構造を備えた第3具体化例の
拡底孔施工用の掘削装置を用いて拡底孔14を施工する
方法につき、拡底杭を施工する場合を例にして説明す
る。まず、拡底杭の支持地盤までの縦穴13の掘削は、
リバースサーキュレーションドリルを用い、通常のリバ
ース工法で行う。こうした方法で縦穴13の掘削を進め
て先端ケーシング1が拡底杭の支持地盤となる硬質地盤
付近又は硬質地盤内の所定位置に到達したら、通常のリ
バース工法用カッタビットを地上までを引上げ、代わり
に、掘削装置本体2を縦穴13から降ろす。すなわち、
掘削装置本体2にスタビライザ18を取り付けた後、こ
れにドリルカラー29、クロスオーバサブ30、ドリル
パイプ31、ケリーバ32、中間スイベルジョイント3
4及びスイベルジョイント39を継ぎ足しながらケリー
スラスタ37を縮めることにより降ろして行き、掘削装
置2の拡径ゲージカッタ先端部が拡底掘削を開始しよう
とする地点に降下させる。
【0037】こうして拡径掘削を行う準備が終了した
後、リバースサーキュレーションドリルのロータリテー
ブル33を駆動しながらケリースラスタ37を漸次縮め
ると、ロータリテーブル33の回転駆動トルクと油圧駆
動力がケリーバ32、ドリルパイプ31、クロスオーバ
サブ30及びドリルカラー29を通じて掘削装置本体2
に伝達される。その場合、掘削装置本体2には、ドリル
カラー29の重さを調整することにより押し付け力が与
えられ、ローラカッタ4で硬質地盤を掘削するのに好適
な押し付け力がケリースラスタ37で調整されて付与さ
れることとなる。したがって、以後、第1具体化例と同
様の方法により、油圧シリンダ12の操作により拡径イ
ンナーカッタ5や拡径ゲージカッタ6を地盤に押し込む
等して、拡径部の直径が最大拡径D2 になるまで拡径掘
削するとともに、必要な根入れ長さLが得られまで掘進
すれば、第1具体化例の掘削装置で掘削したのと同様の
拡底孔14を掘削することができる。勿論、ケリースラ
スタ37の代わりに第1具体化と例同様、相伴クレーン
26を用いることができる。
【0038】本具体化例では、掘削装置本体2にスタビ
ライザ18を設けているので、拡底孔14を掘削する過
程で、第1具体化例と同様、掘削装置本体2の横振れを
防ぐことができ、所期の形状の拡底杭を正確に施工する
ことができる。また、掘削過程で生じた掘削土砂は、セ
ンタカッタ3やローラカッタ4の近傍でラッパ状に開い
た縦長の開口から満遍なく吸引され、排土パイプ枝管1
5a,15b,15cから排土パイプ15、ドリルパイ
プ31やケリーバ32内の排土パイプを経由して地上に
吸い上げられる。したがって、本具体化例によれば、第
1具体化例と同様の優れた効果を発揮する拡底孔施工用
の掘削装置が得られる。
【0039】 以上、オールケーシング掘削機及びリバ
ースサーキュレーションドリルで縦穴13を掘削した
後、これらの掘削装置の駆動装置を利用して掘削装置本
体2を駆動して拡底孔施工用の掘削装置で拡底孔を掘削
する例を示したが、アースドリル工法、深礎工法等その
他の縦穴を施工する工法で縦穴13を掘削した後、拡底
孔施工用の掘削装置で拡底孔を掘削することもできる。
拡底径部掘削用のローラカッタは、各具体化例では拡径
インナーカッタ5及び拡径ゲージカッタ6を設けて2段
で構成しているが、1段でもよく、逆に、2段より多い
多段で構成して、多段のローラカッタで拡底径部の径方
向の各部位を分担して掘削できるようにしてもよい。各
具体化例では、オールケーシング掘削機乃至はリバース
サーキュレーションドリルによる縦穴13の掘削を、拡
底孔14の掘削開始予定位置を越えて拡底孔14の掘削
終了予定位置まで進めるようにしているが、こうした掘
削機やドリルによる縦穴13の掘削を拡底孔14の掘削
開始予定位置まで進めた後、拡底孔施工用の掘削装置を
用いて拡底孔14の拡底径部を掘削したり、縦穴13の
掘削を拡底孔14の掘削開始予定位置と掘削終了予定位
置との中間位置まで進めた後、拡底孔施工用の掘削装置
を用いて、ゲージカッタ4bを縦穴13で途中までガイ
ドして位置決めしながら拡底孔14の拡底径部を掘削し
たりするようにすることもできる。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、特許請
求範囲の請求項1若しくは請求項3に記載の拡底孔施工
用の掘削装置又は特許請求範囲の請求項7若しくは請求
項8に記載の拡底孔施工方法に関する発明によれば、信
頼性の高い拡底基礎部の施工が経済的に行える拡底孔施
工用の掘削装置又は拡底孔施工方法が得られる。特許請
求範囲の請求項1に記載の拡底孔施工用の掘削装置に関
する発明を具体化する場合、特に、特許請求範囲の請求
項2に記載の技術手段を採用すれば、こうした効果を奏
することに加え、大口径の拡底孔を掘削することができ
る。特に特許請求範囲の請求項3に記載の拡底孔施工
の掘削装置に関する発明によれば、拡底孔の最大拡径を
更に拡大できるとともに、拡底径部底面を一層水平に近
い緩傾斜状態に形成することができて、拡底比が適正範
囲にある大口径の拡底孔を掘削することができるととも
に、一層信頼性の高い拡底基礎部の施工が経済的に行え
る。特に、特許請求範囲の請求項4に記載の技術手段を
採用すれば、ローラカッタの掘削能率を低下させること
なく、硬質地盤を確実に掘削することができる。特に、
特許請求範囲の請求項5の技術手段を採用すれば、掘削
装置本体の横振れを防ぐことができる。特に、特許請求
範囲の請求項6に記載の技術手段を採用すれば、掘削装
置本体の横振れを防ぐことができることに加え、掘削装
置本体の駆動操作が簡便に行える。特に特許請求範囲の
請求項8に記載の拡底孔施工方法に関する発明によれ
ば、オールケーシング工法、リバースサーキュレーショ
ン工法等の縦穴を施工する工法による縦穴の掘削を、拡
底孔の掘削開始予定位置を越えて拡底孔の掘削終了予定
位置まで行うことにより拡底孔の軸径部を掘削するよう
にしたので、拡底孔施工用の掘削装置を使用して拡底孔
を掘削する際、軸径部の掘削をしなくても済み、その掘
削装置を駆動する際の回転トルクや押し付け力を軽減す
ることができる。また、拡底孔の拡底径部の掘削の際、
その掘削に先立ち、軸径部掘削用の最外周のローラーカ
ッタを縦穴でガイドして位置決めしながら掘削を進める
ことができて、拡底孔14の拡底径部を所期の位置に正
しく施工することができる。特に、特許請求範囲の請求
項9に記載の技術手段を採用すれば、拡底孔の拡底径部
を掘削する過程で、スタビライザが掘削装置本体の横振
れを防ぐことができ、前記した縦穴による軸径部掘削用
の最外周のローラーカッタの位置決め効果と相俟って、
所期の形状の拡底孔を正確に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1具体化例の拡底孔施工用の掘削装
置を示す側縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1の拡底孔施工用の掘削装置で作業をしてい
るときの全体像を示す側縦断面図である。
【図4】本発明の第2具体化例の拡底孔施工用の掘削装
置を示す側縦断面図である。
【図5】図4の拡底孔施工用の掘削装置で作業をしてい
るときの全体像を示す側縦断面図である。
【図6】本発明の第3具体化例の拡底孔施工用の掘削装
置を示す側縦断面図である。
【図7】図6の拡底孔施工用の掘削装置で作業をしてい
るときの全体像を示す側縦断面図である。
【符号の説明】
1 先端ケーシング 2 掘削装置本体 2a ローラカッタ取付部材 2b 取付片 2c ローラカッタ取付面 3 センタカッタ 4 ローラカッタ 4a インナーカッタ 4b ゲージカッタ 5 拡径インナーカッタ 6 拡径ゲージカッタ 7 拡径インナーカッタ支持枠 8 拡径ゲージカッタ支持枠 9 拡径インナーカッタ用アームリンク 10 拡径ゲージカッタ用アームリンク 11 摺動部材 12 油圧シリンダ 13 縦穴 14 拡底孔 15 排土パイプ 16 中空軸 17 排土用接続パイプ 18 スタビライザ 19 スイベルジョイント 20 フレキシブルホース 21 オールケーシング掘削機の回転駆動装置 22 バンド装置 22a メインバンド 22b サブバンド 23 カラー 24 ケーシング 25 クレーンのフック 26 相伴クレーン 27 グリッパ装置本体 28 グリッパ部材 29 ドリルカラー 30 クロスオーバサブ 31 ドリルパイプ 32 ケリーバ 33 ロータリテーブル 34 中間スイベルジョイント 35 サクションホース 36 ベースユニット 37 ケリースラスタ 38 スイベルフレーム 39 スイベルジョイント 40 スタンドパイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山上 義人 茨城県古河市下山町2丁目544番地 石 油鑿井機製作株式会社 古河工場内 (56)参考文献 特開 昭55−142895(JP,A) 実公 平8−6864(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21B 10/34 E02D 5/44

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転駆動される掘削装置本体と、この掘
    削装置本体のローラカッタ取付部材に取り付けられ拡底
    孔の軸径部を掘削する軸径部掘削用のローラカッタと、
    拡底孔の拡底径部を掘削する拡底径部掘削用のローラカ
    ッタと、掘削装置本体に揺動可能に軸支され拡底径部掘
    削用のローラカッタを支持するローラカッタ支持枠と、
    このローラカッタ支持枠を揺動させるための駆動力を付
    与する駆動手段と、この駆動手段の駆動力をローラカッ
    タ支持枠に伝達してこれを揺動させる駆動力伝達機構と
    を備えた拡底孔施工用の掘削装置において、ローラカッ
    タ支持枠を、ローラカッタ取付部材におけるローラカッ
    タ取付面より下方位置でかつ拡底孔の軸径部の最外周よ
    り内側位置に揺動可能に軸支するとともに、ローラカッ
    タ支持枠が揺動した際に俯仰できるようローラカッタ取
    付部材をくぐれるようにするための間隙を設けたことを
    特徴とする拡底孔施工用の掘削装置。
  2. 【請求項2】 拡底径部掘削用のローラカッタを、拡底
    径部の径方向の各部位を分担して掘削できるように複数
    段設けてローラカッタ支持枠で支持するようにしたこと
    を特徴とする請求項1の拡底孔施工用の掘削装置。
  3. 【請求項3】 回転駆動される掘削装置本体と、この掘
    削装置本体のローラカッタ取付部材に取り付けられ拡底
    孔の軸径部を掘削する軸径部掘削用のローラカッタと、
    拡底孔の拡底径部を掘削する拡底径部掘削用のローラカ
    ッタと、掘削装置本体に揺動可能に軸支され拡底径部掘
    削用のローラカッタを支持するローラカッタ支持枠と、
    掘削装置本体に沿って設けられ上下方向に伸縮する油圧
    シリンダと、この油圧シリンダの下方で掘削装置本体に
    沿って摺動し油圧シリンダの伸縮により下降上昇する摺
    動部材と、上部を摺動部材に軸支し下部をローラカッタ
    支持枠に軸支したアームリンクとを備え、油圧シリンダ
    により摺動部材及びアームリンクを介してローラカッタ
    支持枠を揺動させて拡底径部の掘削を行う拡底孔施工用
    の掘削装置において、拡底径部掘削用のローラカッタ
    を、拡底径部の径方向の各部位を分担して掘削できるよ
    うに複数段設けてローラカッタ支持枠で支持するように
    し、ローラカッタ支持枠を、ローラカッタ取付部材にお
    けるローラカッタ取付面より下方位置でかつ拡底孔の軸
    径部の最外周より内側位置に揺動可能に軸支するととも
    に、ローラカッタ支持枠が揺動した際に俯仰できるよう
    ローラカッタ取付部材をくぐれるようにするための間隙
    を設け、少なくとも、拡底径部の径方向の最外周部位を
    掘削する拡底径部掘削用のローラカッタを支持している
    ローラカッタ支持枠にアームリンクを軸支する場合に
    は、そのローラカッタ支持枠の背部で軸支するようにし
    たことを特徴とする拡底孔施工用の掘削装置。
  4. 【請求項4】 掘削装置本体に、拡底孔の掘削時に生じ
    る掘削土砂を吸引して搬出するための排土パイプを付設
    したことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3
    の拡底孔施工用の掘削装置。
  5. 【請求項5】 掘削装置本体に、掘削装置本体の回転駆
    動時の横触れを防ぐためのスタビライザを取り付けたこ
    とを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求
    項4の拡底孔施工用の掘削装置。
  6. 【請求項6】 掘削装置本体に、先端ケーシングに結合
    してその駆動時の駆動力を伝達できるようにするための
    駆動力伝達手段を設けたことを特徴とする請求項1、請
    求項2、請求項3又は請求項4の拡底孔施工用の掘削装
    置。
  7. 【請求項7】 オールケーシング工法、リバースサーキ
    ュレーション工法等の縦穴を施工する工法により、縦穴
    の掘削を、拡底孔の掘削開始予定位置まで行った後、請
    求項1、請求項2又は請求項3の拡底孔施工用の掘削装
    置を用いて拡底孔を掘削するようにしたことを特徴とす
    る拡底孔施工方法。
  8. 【請求項8】 オールケーシング工法、リバースサーキ
    ュレーション工法等の縦穴を施工する工法により、縦穴
    の掘削を、拡底孔の掘削開始予定位置を越えて拡底孔の
    掘削終了予定位置まで行うことにより拡底孔の軸径部を
    掘削した後、請求項1、請求項2又は請求項3の拡底孔
    施工用の掘削装置を用いて、最外周の軸径部掘削用のロ
    ーラカッタを縦穴でガイドして位置決めしながら拡底孔
    の拡底径部を掘削するようにし、拡底孔を二段階に分け
    て掘削するようにしたことを特徴とする拡底孔施工方
    法。
  9. 【請求項9】 掘削装置本体に、掘削装置本体の回転駆
    動時の横触れを防ぐためのスタビライザを取り付け、最
    外周の軸径部掘削用のローラカッタとともにスタビライ
    ザをも縦穴でガイドして、両者で協働して掘削装置本体
    の横振れを防ぐようにしたことを特徴とする請求項8の
    拡底孔施工方法。
  10. 【請求項10】 縦穴の掘削を、オールケーシング工法
    で行い、拡底孔施工用の掘削装置をオールケーシング掘
    削機の回転駆動装置により駆動するようにしたことを特
    徴とする請求項7又は請求項8の拡底孔施工方法。
  11. 【請求項11】 縦穴の掘削を、リバースサーキュレー
    ション工法で行い、拡底孔施工用の掘削装置をリバース
    サーキュレーションドリルの回転駆動装置により駆動す
    るようにしたことを特徴とする請求項7又は請求項8の
    拡底孔施工方法。
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