JP2017166134A - 掘削軸部材固定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】地盤内に埋設されている回転部材の位置や姿勢の変化を防止する。【解決手段】地盤を掘削したことで下側の部位が孔内に入り込んでいる掘削軸部材13,15の、前記地盤の上面から突出している上端部を保持する掘削軸部材保持部55と、前記掘削軸部材の位置と姿勢とを維持するために、前記掘削軸部材保持部が前記掘削軸部材を保持しているときに前記地盤に当接する地盤上面当接部57とを有する掘削軸部材固定装置51である。【選択図】図9
Description
本発明は、掘削軸部材固定装置に係り、特に、回転部材を継ぎ足すとき等に地盤内に埋設されている掘削軸部材を保持し固定するものに関する。
従来、掘削軸部材を用いて地盤に穴を掘り、この穴に地盤を硬くするための地盤改良材(スラリー)を入れて地盤を硬く(改良)する工法が知られている。この工法に関する文献としてたとえば非特許文献1を掲げることができる。
また、上記工法において、回転部材を継ぎ足すときに、地盤内に埋設されている回転部材(撹拌軸部材;掘削軸部材)の位置や姿勢の変化を防止することが必要である。このために、従来、図17で示すように、ワイヤ201と棒状の部材203とを用いて、掘削軸部材205(回転部材207)が沈まないようにしている(たとえば特許文献1参照)。
すなわち、回転部材207(掘削軸部材205)が地盤内へ埋没することを防止するためのワイヤ201で、2本の回転部材207同士を互いにつなぎ、さらに、ワイヤ201の下方に位置する地面GLには、棒状の部材203を置いている。
深層混合処理工法マニュアル編集委員会編集、「陸上工事における深層混合処理工法設計・施工マニュアル」、財団法人土木研究センター、平成16年3月改訂
ところで、埋設されている撹拌軸部材(回転部材)が、掘削し撹拌されたことによって強度が低下した(柔らかくなった)地盤内に埋没することを防止するだけでなく、埋設されている撹拌軸部材の姿勢(鉛直方向に延伸している撹拌軸部材)が、傾くことを防止することも、回転部材を継ぎ足す等のために重要である。
本発明は、上述した観点に着目してなされたものであり、地盤内に埋設されている回転部材(撹拌軸部材)の位置や姿勢の変化を防止する掘削軸部材固定装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、地盤を掘削したことで下側の部位が孔内に入り込んでいる掘削軸部材の、前記地盤の上面から突出している上端部を保持する掘削軸部材保持部と、
前記掘削軸部材の位置と姿勢とを維持するために、前記掘削軸部材保持部が前記掘削軸部材を保持しているときに前記地盤に当接する地盤上面当接部とを有する掘削軸部材固定装置である。
前記掘削軸部材の位置と姿勢とを維持するために、前記掘削軸部材保持部が前記掘削軸部材を保持しているときに前記地盤に当接する地盤上面当接部とを有する掘削軸部材固定装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の掘削軸部材固定装置において、掘削軸部材保持部で前記掘削軸部材の上端部を保持するときに、掘削軸部材保持部に対する前記掘削軸部材の位置決めをする位置決め部を有する掘削軸部材固定装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の掘削軸部材固定装置において、前記掘削軸部材の上端部は円筒状に形成されており、前記位置決め部は、筒状部とクサビとボルトとを備えて構成されており、前記筒状部は、この内径が前記掘削軸部材の上端部の外径よりも大きくなっていて中心軸が上下方向に延びており、前記クサビは、前記筒状部に対する前記掘削軸部材の上端部の位置決めをするために、前記筒状部と前記掘削軸部材の上端部との間の空隙に入り込むように構成されており、前記ボルトは、前記筒状部の肉部の周方向でお互いが離れ、1つの前記筒状部に対して複数設けられて前記筒状部に螺号しているとともに、各ボルトの中心軸のそれぞれが、前記筒状部の中心軸から放射状になっている掘削軸部材固定装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の掘削軸部材固定装置において、前記掘削軸部材の上端部は円筒状に形成されており、前記掘削軸部材の上端部の外周に一対の溝が形成されており、前記掘削軸部材保持部は、板状で「U」字状の本体部を具備した位置決め体を備えており、前記「U」字状の本体部の両側の一対の直線状の部位のそれぞれが、前記掘削軸部材の一対の溝のそれぞれに入り込み、前記「U」字状の本体部の円弧状部が前記掘削軸部材の外周に当接し、前記位置決め体が掘削軸部材固定装置の本体部に係合するように構成されている掘削軸部材固定装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の掘削軸部材固定装置において、前記掘削軸部材を上下方向に移動するための掘削軸部材支持部を上下方向にガイドするためのガイドレールに係合するガイドレール係合部を有する掘削軸部材固定装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の掘削軸部材固定装置において、前記地盤上面当接部は、前記地盤を掘削したことで形成された孔周辺の硬い地盤の上面に当接するように構成されている掘削軸部材固定装置である。
本発明によれば、地盤内に埋設されている回転部材(撹拌軸部材)の位置や姿勢の変化を防止することができるという効果を奏する。
図9等で示す本発明の実施形態に係る掘削軸部材固定装置(撹拌軸部材落下防止治具)51は、たとえば、図1〜図8に示す地盤改良用掘削装置1を用いた地盤改良に使用されるものである。
まず、地盤改良用掘削装置1について説明する。地盤改良用掘削装置1は、図1や図2で示すように、本体部3を備えている。本体部3には、車輪5が設けられており、本体部3に設けられたエンジン(図示せず)等で車輪5を駆動することにより、本体部3は地面GLの上を移動することができるようになっている。
本体部3の上側には、補強部材7で補強された支柱9が一体的に立設されている。支柱9には、回転駆動装置11が上下動自在に設けられている。回転駆動装置11は、図示しないアクチュエータによって上下動するようになっている。回転駆動装置11の下部には、掘削軸部材(撹拌軸部材;掘削・撹拌軸部材)13、15を装着するための装着部17が設けられている。
掘削軸部材13は、図3で示すように、たとえば、円筒状に形成されており、掘削軸部材13の下端部には、掘削軸部材13に対して螺旋状に傾斜した小径の傾斜板19が取付けてあり、この傾斜板19の下端縁には主掘削刃として複数の掘削刃(図示せず)を備えている。掘削軸部材13の下端面には、下端面に開口したスラリー吐出口への土等の侵入を防止するための邪魔板(図示せず)が設けられている。
なお、掘削軸部材13が、必ずしも円筒状に形成されている必要は無く、四角柱(たとえば正四角柱)の筒状、六角柱(たとえば正六角柱)の筒状等、多角柱の筒状に形成されていてもよい。
上記主掘削刃より僅か上方位置には、主掘削刃によって掘削された小径の掘削穴を拡大する大径の拡大掘削刃(図示せず)が設けられている。より詳細には、前記主掘削刃より僅か上方位置には、前記傾斜板と同方向に傾斜したブレード板21が水平に長く設けてあり、このブレード板21の先端付近には複数の前記拡大掘削刃が取付けてある。
また、上記主掘削刃および拡大掘削刃によって掘削された掘削土を撹拌するために、掘削軸部材13には、ブレード板21と同方向に傾斜しかつブレード板21とほぼ等しい長さの複数の撹拌翼23が、ブレード板21の上で適宜の間隔でかつ水平に設けてある。
さらに、掘削軸部材13は、互いが連結・離反自在に構成されている複数のセグメント25を互いに連結して構成されている。すなわち、長さL1(たとえば、20m程度)の掘削軸部材13は、長さL3(たとえば、5m程度)のセグメント25を複数連結し構成されている。
なお、セグメント25の長手方向の一端部(たとえば図3(a)の上側の端部)からこの近傍にかけての部位は、図示してはいないが、六角柱状に形成されている。また、セグメント25の長手方向の他端部(たとえば図3(a)の下側の端部)からこの近傍にかけての部位は、図示してはいないが、六角柱状の孔が形成されている。なお、図1〜図3に参照符号CL1で示すものは、掘削軸部材13、15の中心軸である。
そして、1つのセグメント25の一端部の六角柱状の部位を、他の1つのセグメント25の他端部の六角柱状の孔に挿入し、抜け止めのピン(図示せず)を設置することで、各セグメント25同士が互いに接続され、掘削軸部材13が形成されるようになっている。
掘削軸部材15も、掘削軸部材13とほぼ同様に構成されているが、掘削軸部材15には、撹拌翼23が設けられていない。また、傾斜板19、ブレード板21は着脱自在になっている。
なお、掘削軸部材13と掘削軸部材15との接続も各セグメント25同士の接続と同様にして行われるようになっており、回転部材13や回転部材15と装着部17との接続も各セグメント25同士の接続と同様にして行われるようになっている。
各掘削軸部材13、15は、地盤改良用掘削装置1に設けられている回転駆動装置11の装着部17から垂下するようにして、回転駆動装置11に装着されるようになっている。回転駆動装置11に装着された各掘削軸部材13、15は、軸CL1を中心にして、回転駆動装置11に設けられたアクチュエータ(図示せず)で回転すると共に、掘削軸部材13の先端部(下端部)からは、地盤を硬くするためのスラリー(たとえば、コンクリート)が吐出するようになっている。なお、スラリーは、回転駆動装置11を介して図示しないスラリー供給装置から供給され、円筒状の掘削軸部材13、15の内部を通るようになっている。
次に、地盤改良用掘削装置1を用いた地盤改良の手順に、図4〜図7を参照しつつついて説明する。
まず、図4(a)、(b)に示すように、地盤改良を行う地盤の部位である地盤改良部位の近くに、地盤改良用掘削装置1を設置し、掘削軸部材15を回転駆動装置11に装着する。
より詳しくは、図4(a)に示すように、回転駆動装置11の装着部17の下端部と地面GLとの間の距離が、1つのセグメント25の長さL3とほぼ等しいか僅かに大きくなるような高さ位置に回転駆動装置11を位置させて、1つのセグメント25を回転駆動装置11に装着する。
続いて、回転駆動装置11にすでに装着されているセグメント25の下端部と地盤の表面である地面GLとの間の距離が、他の1つのセグメント(装着されようとしているセグメント)25の長さとほぼ等しいか僅かに大きくなるような高さ位置に回転駆動装置11を位置させて、他の1つのセグメント25を装着する。このような操作を適数回繰り返して、掘削軸部材15を組み立てしつつ、掘削軸部材15を回転駆動装置11に装着する。図4(b)は、回転駆動装置11への掘削軸部材15の装着が終了した状態を示している。
続いて、中心軸CL1を回転中心にして回転駆動装置11で掘削軸部材15を回転させて回転駆動装置11を下降させることにより、掘削軸部材15を地盤改良部位の近くの地盤に埋め込む。この埋め込みは、図4(c)に示すように、掘削軸部材15の上端部が地面GLよりも僅かに(たとえば、1m程度)突出するまで埋め込む(寸法L5だけ突出するように埋め込む)。
このように埋め込んだ状態では、中心軸CL1が鉛直方向に延伸しており、上記掘削刃で掘削された穴H1は円柱状になっているが、穴H1の中には土砂が入っている。つまり、円柱状の穴H1に掘削軸部材15の大部分が入っており、また、穴H1は掘削された土砂(掘り返されたことによって掘削される前の地盤よりも軟らかくなっている土砂)で埋まっている。したがって、見かけ上は、地面GLから掘削軸部材15の上端部とこの近傍が突出している。
次に、回転駆動装置11から掘削軸部材15を取り外すのであるが(図4(d)参照)。この取り外しをする直前に、掘削軸部材固定装置51(図9等参照)を用いて、掘削軸部材15の上端部を地面GLに固定する。掘削軸部材固定装置51での固定と、回転駆動装置11からの掘削軸部材15の取り外しが終了した後、地盤改良部位のところに、地盤改良用掘削装置1を移動する(図4(d)参照)。
続いて、掘削軸部材15の場合と同様にして、複数のセグメント25で構成される掘削軸部材13の組立てをしつつ、掘削軸部材13を回転駆動装置11に装着する(図5(a)参照)。
続いて、中心軸CL1を回転中心にして回転駆動装置11で掘削軸部材13を回転させ回転駆動装置11を下降させ、さらに、掘削軸部材13の先端部(下端部)から地盤を硬くするためのスラリーを吐出しつつ、掘削軸部材13の上端部が地面GLよりも僅かに(たとえば、1m程度)突出するまで、上記地盤改良部位に掘削軸部材13を埋め込む(寸法L7だけ突出するように埋め込む;図5(b)参照)。
このように埋め込んだ状態では、中心軸CL1が鉛直方向に延伸しており、上記掘削刃で掘削された穴H3は円柱状になっているが、穴H3の中には、撹拌翼23で撹拌された土砂とスラリーとの混合物が入っている。つまり、円柱状の穴H3に掘削軸部材13の大部分が入っており、また、穴H3は掘削された土砂とスラリーとが混ざったもので埋まっている。したがって、見かけ上は、地面GLから掘削軸部材13の上端部とこの近傍が突出している。
次に、回転駆動装置11から掘削軸部材13を取り外すのであるが(図5(b)参照)。この取り外しをする直前に、掘削軸部材固定装置51を用いて、掘削軸部材13の上端部を地面GLに固定する。掘削軸部材固定装置51での固定と回転駆動装置11からの掘削軸部材13の取り外しが終了した後、掘削軸部材15が埋まっているところに地盤改良用掘削装置1を移動し、掘削軸部材15を回転駆動装置11に装着する(図5(c)参照)。なお、図5〜図7では、掘削軸部材固定装置51の表示を省略している。
続いて、回転駆動装置11を上昇させて掘削軸部材15を抜き、地盤改良用掘削装置1を地盤改良部位のところ(掘削軸部材13が埋まっているところ)まで移動し、掘削軸部材15の下に掘削軸部材13を接続する(継ぎ足す;図5(d)参照)。なお、前記継ぎ足しの前に、掘削軸部材15の上記掘削刃や撹拌翼23等は取り外すものとする。
続いて、図5(c)の左側の掘削軸部材13に設置されている掘削軸部材固定装置51を撤去し、互いに連結された各掘削軸部材13、15を回転させ回転駆動装置11を下降させ掘削軸部材13の先端部から地盤を硬くするためのスラリーを吐出しつつ、掘削軸部材15の上端部が地面GLよりも僅かに(たとえば、1m程度)突出するまで(図6に示す寸法L8だけ突出するまで)各掘削軸部材13、15を更に埋め込む(図6参照)。なお、図6に示す穴H5も、掘削された土砂とスラリーとが混ざったもので埋まっている。
次に、各掘削軸部材13、15を回転しつつ、スラリーを吐出しないで、回転駆動装置11を上昇させて、互いに連結された各掘削軸部材13、15を、掘削軸部材15が地盤改良部位から抜け出ると共に掘削軸部材13の上端部が地面GLよりも僅かに(たとえば、1m程度)突出するまで(図7(a)に示す寸法L9だけ突出するまで)穴H5から抜き(図7(a)参照)、互いに連結された各掘削軸部材13、15(掘削軸部材15)から掘削軸部材13を取り外すのであるが(図7(b)参照)。この取り外しをする直前に、掘削軸部材固定装置51を用いて、図7(b)左側の掘削軸部材13の上端部を地面GLに固定する。
掘削軸部材固定装置51での固定と回転駆動装置11からの掘削軸部材13の取り外しが終了した後、地盤改良用掘削装置1を移動し、回転駆動装置11を下降させて、掘削軸部材15を、地盤改良部位の近くに、上端部が地面GLよりも僅かに(たとえば、1m程度)突出するまでたとえば穴H1に埋め込み(図7(b)参照)、回転駆動装置11から掘削軸部材15を取り外す(図7(c)参照)。なお、この取り外しの前にも掘削軸部材固定装置51を用いて、図7(c)右側の掘削軸部材13の上端部を地面GLに固定する。
続いて、地盤改良用掘削装置1を移動し、回転駆動装置11に回転部材13を装着し(図7(c)参照)、掘削軸部材13に設置されている掘削軸部材固定装置51を撤去し、掘削軸部材13を抜くべく回転駆動装置11を上昇させる前に、回転駆動装置11を回転させつつ僅かに(たとえば、50cm程度)下降させて(図7(c)の寸法L11が僅かに小さくなるようにして)掘削軸部材13を僅かに埋め込む。この際、前述したように、掘削軸部材13の先端部からスラリーの吐出はしない。
次に、掘削軸部材13を回転しつつ、スラリーを吐出しないで、回転駆動装置11を上昇させて、掘削軸部材13を穴H5から抜く。この後、穴H5内の土砂とスラリーとの混合物は、数時間で固まる。
続いて、地盤改良用掘削装置1を適宜移動し、掘削軸部材13を組み立てたときは逆の手順でセグメント25毎に回転駆動装置11から取り外し、掘削軸部材15を穴H1から抜き取り、同様にセグメント25に分解する。
なお、前記説明では、掘削軸部材13、15を2本直列に接続している(掘削軸部材13と掘削軸部材15とをつないでいる)が3本以上の複数本の掘削軸部材を直列に接続する場合も同様に考えることができる。
また、前記説明では、一列の掘削軸部材13、15で穴を掘っているが、本発明の実施形態に係る地盤改良用掘削装置1を使用する場合には、たとえば、図8(a)に示すように、各掘削軸部材13、15を、平行に(並列に)複数本並べて、地盤改良部位の近くや地盤改良部位に埋め込み、図8(b)に示すような双円状の穴で地盤改良をしている。なお、各回転部材15の間には、各回転部材15の間隔を一定に保つための間隔保持部材27が設けられている。
なお、上記説明では、掘削軸部材13、15について掘削軸部材固定装置51を使用しているが、同様にして、セグメント25の取り外し等において掘削軸部材固定装置51を使用してもよい。
ここで、掘削軸部材固定装置51について詳しく説明する。
掘削軸部材固定装置51は、図9等で示すように、たとえば、H形鋼や角パイプ等を、複数の所定の長さや形状に切断し、これらの切断したものを溶接によって適宜接続することで形成れた本体部53を備えている。
本体部53には、掘削軸部材保持部55と地盤上面当接部(地面当接部;地表当接部)57と位置決め部(芯出し部)59とガイドレール係合部61とが設けられている。
掘削軸部材保持部55は、掘削軸部材13,15の円筒状の上端部を保持するようになっている。掘削軸部材13,15の上端部は、地盤の上面GLから上方に突出している部位である。地盤を掘削したことで、掘削軸部材13,15の下側の部位が掘削で地盤に形成された孔内に入り込んでいる(上端部を除く下側の部位の大部分が、地盤の平面状の上面GLよりも下方に位置している)ことで、掘削軸部材13の上端部が地盤の上面GLから上方に突出している。
地盤上面当接部57は、掘削軸部材13,15の位置と姿勢とを維持するために、また、たとえば、掘削軸部材固定装置51が作業用の足場として使用されるようにするために、掘削軸部材保持部55が掘削軸部材13,15を保持しているときに地盤の上面GL(掘削で形成された孔周辺の硬い地盤の上面)に当接するようになっている(図9参照)。
掘削軸部材13,15の位置と姿勢とを維持するとは、掘削直後において掘削軸部材13,15の中心軸CLが上下方向に延びていて掘削軸部材13,15の上端部が地盤の上面GLから所定の高さだけ突出している状態を維持し、掘削軸部材13,15の中心軸CL1が傾いたり、掘削軸部材13,15が自重で落下したりすることを防止することである。
なお、すでに理解されるように、掘削軸部材固定装置51は、掘削で形成された孔およびこの孔の周辺部で地盤の上に設置されて使用されるのである。
位置決め部59は、掘削軸部材保持部55で掘削軸部材13,15の上端部を保持するときに、掘削軸部材保持部55(掘削軸部材固定装置51)に対する掘削軸部材13,15の上端部の位置決めをするものである。
また、位置決め部59は、図12や図15等で示すように、筒状部63とクサビ65とボルト67とを備えて構成されており、筒状部63は、掘削軸部材13(15)の本数と同じだけ設けられている。すなわち、図8では、掘削軸部材13(15)が2本使用(一対で使用)されているので、筒状部63は、2箇所に(一対で)設けられており、2箇所の筒状部63のそれぞれを、2本の掘削軸部材13(15)のそれぞれが貫通するようになっている。
また、筒状部63は、掘削軸部材固定装置51の本体部53に一体的に設けられており、筒状部63の内径が掘削軸部材13(15)の上端部の外径よりも大きくなっていて、筒状部63の中心軸が上下方向に延びている。
クサビ65は、筒状部63に対する掘削軸部材13(15)の上端部の位置決めをするために、筒状部63と掘削軸部材13(15)の上端部との間の空隙に入り込むように構成されている(図15参照)。
さらに説明すると、クサビ65は、掘削軸部材固定装置51の本体部53や掘削軸部材保持部55や地盤上面当接部57や筒状部63やボルト67とは別体になっており、図14等で示すように、取っ手71と、一定の幅で長手方向の基端から先端に向かうにしたがってとの厚さが次第に薄くなっている形状に形成されているクサビ本体部69とで構成されている。
そして、図15で示すように、筒状部63と掘削軸部材13(15)の上端部との間の空隙に、たとえば、筒状部63の周方向でお互いが離れ、1つの筒状部63に対して複数個のクサビ65(クサビ本体部69)が入り込むことで、筒状部に対する掘削軸部材13(15)の上端部の位置決めがされるようになっている。この位置決めによって、筒状部63の中心軸と掘削軸部材13(15)の上端部の中心軸とがお互いに一致するようになっている。
ボルト67は、図12で示すように、筒状部63の肉部の周方向でお互いが離れて各クサビ65の間に配置されており、1つの筒状部63に対して複数設けられて筒状部63に螺号している。さらに、各ボルト67の中心軸のそれぞれが、筒状部63の中心軸から放射状になって延伸している。
また、図13で示すように、ボルト67の先端(筒状部の中心軸側の端)73は、外周部にリング状の平面75が形成されており、中央部にリング状の平面75よりも先端側に僅かに突出している円錐状の凸部77が形成されており、リング状の平面75と凸部77との間には、リング状の凹部(先端から離れる側に凹んでいる凹部)79が形成されている。
地盤改良用掘削装置1の支柱9には、回転駆動装置(掘削軸部材支持部)11に係合することで回転駆動装置11が上下方向に移動するように回転駆動装置11をガイドするガイドレール(図示せず)が上下方向に延びて一体的に設けられている。
ガイドレール係合部61が上記ガイドレールに係合することで、掘削軸部材固定装置51がガイドされ上下方向で移動するようになっている。
次に、掘削軸部材13(15)の上端部への掘削軸部材固定装置51の設置について、図4(b)、(c)、(d)を用いて例示する。
まず、図4(b)で示すように、掘削軸部材固定装置51の筒状部63に掘削軸部材13(15)を通しておく(図9も併せて参照)。この状態では、掘削軸部材固定装置51は、上下方向で回転駆動装置11と撹拌翼23との間に位置している。また、掘削軸部材固定装置51は、ワイヤ81で吊られている。
続いて、掘削軸部材15を回転するとともに下降して穴H1を掘削するとともに、掘削軸部材固定装置51を下降して、図4(c)の状態にする。
図4(c)に示す状態では、回転駆動装置11や掘削軸部材15が下端位置に移動しているとともに、掘削軸部材固定装置51は地面GLから僅かに離れている。
続いて、クサビ65を用いて、掘削軸部材15に対する筒状部63(掘削軸部材固定装置51)の芯出しをし、ボルト67によって、掘削軸部材15の上端部を筒状部63に固定する。
続いて、回転駆動装置11から掘削軸部材15を切り離し、掘削軸部材固定装置51や掘削軸部材15を僅かに下降させて、掘削軸部材固定装置51を地面GLに設置させる。これによって、掘削軸部材固定装置51の設置が終了する。
掘削軸部材固定装置51の設置が終了している状態から掘削軸部材固定装置51を撤去する場合には、掘削軸部材15を回転駆動装置11に設置し、ボルト67を緩め、クサビ65を撤去する。この後、回転駆動装置11と掘削軸部材15とを上昇させるとともに、掘削軸部材固定装置51を上昇させる。
掘削軸部材固定装置51によれば、掘削軸部材13,15の上端部を保持する掘削軸部材保持部55と掘削軸部材保持部55が掘削軸部材13,15を保持しているときに地盤(地面)GLに当接する地盤上面当接部57とを有するので、掘削軸部材13,15を地盤に対して確実に固定することができ、地盤内に埋設されている回転部材(掘削軸部材)13,15の位置や姿勢の変化を防止することができる。すなわち、回転部材13,15の下方向への沈み込みや傾くことが防止さされる
そして、地盤内に埋設されている回転部材13,15の上端部の位置や姿勢が変化しないことで、深い孔を掘るために回転部材13,15をつなげるときや、地盤内に埋設されている回転部材13,15を取り出すときの作業がしやすくなる。
そして、地盤内に埋設されている回転部材13,15の上端部の位置や姿勢が変化しないことで、深い孔を掘るために回転部材13,15をつなげるときや、地盤内に埋設されている回転部材13,15を取り出すときの作業がしやすくなる。
また、掘削軸部材固定装置51が設置された状態では、掘削軸部材固定装置51が掘削で形成された孔の周辺部の硬い地盤(地面)の上に載っているので、回転部材13,15に対して何らかの作業(たとえば継ぎ足し作業)をするときに、掘削軸部材固定装置51が作業をする者の足場になる。
また、掘削軸部材固定装置51によれば、掘削軸部材保持部55(掘削軸部材固定装置51)に対する掘削軸部材13,15の上端部の位置決めをする位置決め部59を有するので、掘削軸部材固定装置51を設置するときに掘削軸部材13,15に対する掘削軸部材固定装置51の位置を正確なものとすることができる。
また、掘削軸部材固定装置51によれば、位置決め部59が筒状部63とクサビ65とボルト67とを備えて構成されており、筒状部63に対する掘削軸部材13,15の上端部の位置決めをするために、クサビ65が筒状部63と掘削軸部材13,15の上端部との間の空隙に入り込むように構成されており、ボルト67が筒状部63に螺号しているとともに各ボルト37の中心軸のそれぞれが、筒状部63の中心軸CL1から放射状になっているので、掘削軸部材保持部55(掘削軸部材固定装置51)に対する掘削軸部材13,15の位置決めをしやすくなっているとともに、位置決めされた状態を容易に維持することができる。
また、掘削軸部材固定装置51によれば、ボルト67の先端面の外周部にリング状の平面75が形成されており、ボルト67の先端面の中央部にリング状の平面75よりも先端側に僅かに突出している円錐状の凸部77が形成されているので、ボルト67の先端が掘削軸部材13,15に当接したときに、リング状の平面75が掘削軸部材13,15に当接するまで、円錐状の凸部77が掘削軸部材13,15にごく僅かに食い込み、掘削軸部材13,15のほとんど傷をつけることなく、掘削軸部材13,15を確実に保持することができる。
また、掘削軸部材固定装置51によれば、ガイドレールに係合するガイドレール係合部61が設けられているので、掘削軸部材固定装置51の設置が容易になっている。
ところで、上記説明では、位置決め部59がクサビ65等によって構成されている場合について説明したが、図16に示すような位置決め体83を備えて構成されていてもよい。
位置決め体83は、板状で「U」字状の本体部85と取っ手87とを備えて構成されている。掘削軸部材13(15)の上端部は円筒状に形成されている。また、掘削軸部材13(15)の上端部の外周には、一対の溝89が形成されている。
溝89は、この幅方向が掘削軸部材13(15)の中心軸CLの方向と一致しており、一対の溝89は、おい互いが平行に延びており、しかも、掘削軸部材13(15)の中心軸CLに対して対称に配置されている。一対の溝89の底部91間の距離の値は、掘削軸部材13(15)の上端部の外径の値よりも小さくなっている。また、掘削軸部材保持部55は、位置決め体83を備えて構成されている。
そして、図16に矢印A16で示す方向に位置決め体83を移動することで、位置決め体83の本体部(板状で「U」字状の本体部)85が掘削軸部材固定装置51の本体部53に係合し、本体部85の両側の一対の直線状の部位93のそれぞれが、掘削軸部材13(15)の一対の溝89のそれぞれに入り込み(たとえば、僅かな隙間嵌めで嵌り込み)、板状で「U」字状の本体部85の円弧状部95が掘削軸部材13(15)の外周に当接するように構成されている。
また、掘削軸部材13(15)に位置決め体83を設置するときには、位置決め体83は掘削軸部材固定装置51の本体部53の上方で本体部53から僅かに離れている。このとき、掘削軸部材固定装置51の本体部53は、地面上で地面に当接している。
掘削軸部材13(15)への位置決め体83の設置を終えた後、掘削軸部材13(15)を回転駆動装置11から取り外すことで、位置決め体83が設置されている掘削軸部材13(15)が重力によって僅かに降下し、位置決め体83が掘削軸部材固定装置51の本体部53に係合(当接)する。これにより、掘削軸部材13(15)が重力による摩擦力で掘削軸部材固定装置51の本体部53に保持され、掘削軸部材13(15)の沈み込みや傾きが抑えられる。
13、15 掘削軸部材
51 掘削軸部材固定装置
53 掘削軸部材固定装置の本体部
55 掘削軸部材保持部
57 地盤上面当接部
59 位置決め部
61 ガイドレール係合部
63 筒状部
65 クサビ
67 ボルト
83 位置決め体
85 位置決め体の本体部
89 溝
93 直線状の部位
95 円弧状部
51 掘削軸部材固定装置
53 掘削軸部材固定装置の本体部
55 掘削軸部材保持部
57 地盤上面当接部
59 位置決め部
61 ガイドレール係合部
63 筒状部
65 クサビ
67 ボルト
83 位置決め体
85 位置決め体の本体部
89 溝
93 直線状の部位
95 円弧状部
Claims (6)
- 地盤を掘削したことで下側の部位が孔内に入り込んでいる掘削軸部材の、前記地盤の上面から突出している上端部を保持する掘削軸部材保持部と、
前記掘削軸部材の位置と姿勢とを維持するために、前記掘削軸部材保持部が前記掘削軸部材を保持しているときに前記地盤に当接する地盤上面当接部と、
を有することを特徴とする掘削軸部材固定装置。 - 請求項1に記載の掘削軸部材固定装置において、
掘削軸部材保持部で前記掘削軸部材の上端部を保持するときに、前記掘削軸部材保持部に対する前記掘削軸部材の位置決めをする位置決め部を有することを特徴とする掘削軸部材固定装置。 - 請求項2に記載の掘削軸部材固定装置において、
前記掘削軸部材の上端部は円筒状に形成されており、
前記位置決め部は、筒状部とクサビとボルトとを備えて構成されており、
前記筒状部は、この内径が前記掘削軸部材の上端部の外径よりも大きくなっていて中心軸が上下方向に延びており、
前記クサビは、前記筒状部に対する前記掘削軸部材の上端部の位置決めをするために、前記筒状部と前記掘削軸部材の上端部との間の空隙に入り込むように構成されており、
前記ボルトは、前記筒状部の肉部の周方向でお互いが離れ、1つの前記筒状部に対して複数設けられて前記筒状部に螺号しているとともに、各ボルトの中心軸のそれぞれが、前記筒状部の中心軸から放射状になっていることを特徴とする掘削軸部材固定装置。 - 請求項1または請求項2に記載の掘削軸部材固定装置において、
前記掘削軸部材の上端部は円筒状に形成されており、前記掘削軸部材の上端部の外周に一対の溝が形成されており、
前記掘削軸部材保持部は、板状で「U」字状の本体部を具備した位置決め体を備えており、前記「U」字状の本体部の両側の一対の直線状の部位のそれぞれが、前記掘削軸部材の一対の溝のそれぞれに入り込み、前記「U」字状の本体部の円弧状部が前記掘削軸部材の外周に当接し、前記位置決め体が掘削軸部材固定装置の本体部に係合するように構成されていることを特徴とする掘削軸部材固定装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の掘削軸部材固定装置において、
前記掘削軸部材を上下方向に移動するための掘削軸部材支持部を上下方向にガイドするためのガイドレールに係合するガイドレール係合部を有することを特徴とする掘削軸部材固定装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の掘削軸部材固定装置において、
前記地盤上面当接部は、前記地盤を掘削したことで形成された孔周辺の硬い地盤の上面に当接するように構成されていることを特徴とする掘削軸部材固定装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020169450A (ja) * | 2019-04-02 | 2020-10-15 | 株式会社オーケーソイル | 地盤改良システム、地盤改良方法、ロッドスタンド、吊り装置、継ロッド設置方法および継ロッド取り外し方法 |
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-
2016
- 2016-03-14 JP JP2016049449A patent/JP2017166134A/ja active Pending
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