本発明の実施形態に係る地盤改良システム1は、地盤改良装置3(図1参照)とベッセル5(図3参照)と吊り装置7(図5、図6、図13参照)とロッドスタンド9(図4、図10参照)とを備えて構成されている。
図1に示すように、地盤改良装置(地盤改良用掘削装置)3は、従来のものと同様に、回転部材(掘削軸部材)15を回転させて下降することで、地盤GLを掘削し穴HLを形成するようになっている。
回転部材15は、掘削・撹拌ロッド11とこの掘削・撹拌ロッド11の上側で掘削・撹拌ロッド11に接続されている継ロッド33とを備えて構成されている。なお、回転部材15が、掘削・撹拌ロッド11のみで構成されている場合もある。
地盤改良装置3は、上記掘削した土砂に、セメントミルク等の地盤改良材を混ぜて撹拌することで、穴HL内で地盤GLを改良するようになっている。
また、地盤改良装置3は、地盤改良装置本体部13を備えている。地盤改良装置本体部13には、車輪16が設けられており、地盤改良装置本体部13に設けられたエンジン(図示せず)等で車輪16を駆動することにより、地盤改良装置本体部13が地盤GLの上を移動することができるようになっている。
地盤改良装置本体部13の上側には、補強部材17で補強された支柱19が立設されている。支柱19は、地盤改良装置本体部13に対して、上下方向に延びたた所定の軸まわりで、図示しないアクチュエータによって回動位置決め自在になっている。
支柱19には、回転駆動装置21が設けられている。回転駆動装置21は、図示しないアクチュエータによって、上下方向で移動位置決め自在になっている。回転駆動装置21の下部には、回転部材15を装着するための装着部(設置部)23が、複数(たとえば2つ)水平方向にならんで設けられている。各装着部23(23A,23B)のそれぞれは、これらが回転駆動装置21に設けられていることで、回転駆動装置21といっしょに上下方向で移動位置決め自在になっている。
回転部材15を構成する掘削・撹拌ロッド11は、掘削・撹拌ロッド本体部25を備えて構成されている。掘削・撹拌ロッド本体部25は、たとえば、円筒等の筒状に形成されている。掘削・撹拌ロッド本体部25の下端部には、掘削・撹拌ロッド本体部25に対して螺旋状に傾斜した小径の傾斜板27が取付けてある。この傾斜板27の下端縁には主掘削刃として複数の掘削刃(図示せず)が設けられている。掘削・撹拌ロッド本体部25の下端面には、下端面に開口したスラリー吐出口(地盤改良材吐出口)への土等の侵入を防止するための邪魔板(図示せず)が設けられている。
上記主掘削刃より僅か上方位置には、主掘削刃によって掘削された小径の掘削穴を拡大する大径の拡大掘削刃(図示せず)が設けられている。より詳細には、上記主掘削刃より僅か上方位置には、傾斜板27と同方向に傾斜したブレード板29が設けてあり、このブレード板29の先端付近には複数の上記拡大掘削刃が取付けられている。
また、上記主掘削刃及び拡大掘削刃によって掘削された掘削土を撹拌するために、掘削・撹拌ロッド本体部25には、ブレード板29と同方向に傾斜している複数の撹拌翼31が、ブレード板29の上で適宜の間隔でかつ水平に設けられている。
回転部材15を構成する継ロッド33は、図2で示すように、継ロッド本体部35とオス継手部37とメス継手部39とを備えて構成されている。
継ロッド本体部35は、掘削・撹拌ロッド本体部25と同様にして、たとえば、円筒等の筒状に形成されている。オス継手部37は、たとえば、正六角柱状に形成されているが、継ロッド本体部35が筒状に形成されていることで、中央に円柱状の貫通孔41が形成されている。
オス継手部37は、継ロッド本体部35の長手方向の一端(上端)から突出しており、継ロッド本体部35の中心軸とオス継手部37の中心軸とはお互いが一致している。オス継手部37の六角の外径は、継ロッド本体部35の外径よりも小さくなっている。これにより、継ロッド本体部35とオス継手部37との境界には、段差部43が形成されている。
オス継手部37の正六角柱の高さ寸法は、継ロッド本体部35の円筒の高さ寸法に比べて十分に小さくなっている。また、オス継手部37の外周部には、切り欠き49が一対で設けられている。切り欠き49には、継ロッド33を他の継ロッド(図2に二点鎖線で示す継ロッド)33に一体的に接続し、また、継ロッド33を地盤改良装置3の回転駆動装置21の装着部23に一体的に設置したときに、この接続状態・設置状態を維持するためのピン(図示せず)が係合するようになっている。
メス継手部39は、継ロッド本体部35の長手方向の他端部(下端部)に設けられている。メス継手部39は、たとえば、正六角柱状に形成されている凹部で形成されている。継ロッド本体部35の中心軸とメス継手部39の中心軸とはお互いが一致している。メス継手部39の正六角柱の内径は、オス継手部37の六角の外径よりもごく僅かに大きくなっており、メス継手部39の正六角柱の高さ寸法の値は、オス継手部37の正六角柱の高さ寸法の値よりも僅かに大きくなっている。
メス継手部39が形成されている継ロッド本体部35の部位には、継ロッド33を他の継ロッド(図2では図示せず)や掘削・撹拌ロッド11に一体的に接続しこの接続状態を維持するためのピン(図示せず)が係合する貫通孔47が一対で設けられている。これらの貫通孔47の一部は、メス継手部39の六角柱状の凹部(メス継手部39を構成している凹部)にかかっている(通過している)。
ここで、2つの継ロッド33をこの長手方向でお互いに接続する態様について説明する。まず、継ロッド33のオス継手部37を他の継ロッド(図2に二点鎖線で示す継ロッド)33のメス継手部39に挿入する。この挿入がされている状態では、継ロッド33の段差部43が、他の継ロッド(図2に二点鎖線で示す継ロッド)33の他端(下端)に当接しており、各継ロッド33の中心軸がお互いに一致しており、ピン(図示せず)を通すためのたとえば円柱状の2つの貫通孔が、メス継手部39の貫通孔47とオス継手部37の切り欠き49とによって形成されている。
この状態で、2つの貫通孔のそれぞれにピン(図示せず)を挿入することとで、各継ロッド33が一体化されるようになっている。
掘削・撹拌ロッド本体部25の上端にも、継ロッド33のオス継手部37と同様なオス継手部が形成されており、継ロッド33同士の接続と同様にピン(図示せず)を用いて掘削・撹拌ロッド11の上側に継ロッド33が一体的に設けられるようになっている。
そして、掘削・撹拌ロッド11の上側に継ロッド33を1本もしくは複数本継ぎ足すことで、回転部材15の長さ(高さ)を延長することができる。
地盤改良装置3の回転駆動装置21の装着部23の下端にも、継ロッド33のメス継手部39と同様なメス継手部が形成されており、継ロッド33同士の接続と同様にピン(図示せず)を用いて継ロッド33や掘削・撹拌ロッド11(回転部材15)を装着部23に設置(装着)することができるようになっている。
回転部材15(掘削・撹拌ロッド11や継ロッド33)は、地盤改良装置3の回転駆動装置21の装着部23から垂下するようにして、回転駆動装置21(装着部23)に装着されるようになっている。
装着部23に装着された回転部材15は、中心軸を回転中心にして、回転駆動装置21に設けられたアクチュエータ(図示せず)で回転すると共に、回転部材15(掘削・撹拌ロッド11)の先端部(下端部)からは、地盤を硬くするためのスラリーが吐出するようになっている。なお、スラリーは、回転駆動装置21を介して図示しないスラリー供給装置から供給され、回転部材15の内部(貫通孔41等)を通るようになっている。
また、回転駆動装置21に装着部23が2つ設けられているので、各装着部23(23A,23B)のそれぞれに、掘削・撹拌ロッド11(11A,11B)や継ロッド33(33A,33B)で構成されている回転部材15(15A,15B)が装着されるようになっている。
装着部23(23A,23B)のそれぞれに装着された各回転部材15(15A,15B)は、お互いが近接しており、各回転部材15(15A,15B)の中心軸のそれぞれはお互いが平行になって上下方向に延伸している。
また、各装着部23(23A,23B)のそれぞれに装着された2つの回転部材15(15A,15B)で地盤GLを掘削することで得られる穴HLを平面視すると、たとえばだるま穴状になっている。
次に、継ロッド33を複数本格納するベッセル5について、図3を参照しつつ説明する。
ベッセル5は、たとえば矩形な枡状に形成されている。ただし、1つの側壁55が斜めになっている。
継ロッド33は、オス継手部37側の端部が1つの側壁55の上に載り、メス継手部39側の端部が1つの側壁55とは反対側の側壁部57と底壁部59とに当接するようにして、斜めに延びてベッセル5に収容されるようになっている。収容がされている状態を平面視すると、継ロッド33のオス継手部37が、ベッセル5の外側に位置している。また、ベッセル5に収容されている複数本の継ロッド33の中心軸は、お互いが平行になっている。
なお、ベッセル5内に、水WTをはっておくことで、継ロッド33の洗浄をすることができる。
次に、ロッドスタンド9について、図4、図10を参照しつつ詳しく説明する。ロッドスタンド9は、第1の支持部(第1の筒状部)61と第2の支持部(第2の筒状部)63とを備えて構成されている。
第1の支持部61は、たとえば、円筒状等の筒状に形成されており、第2の支持部63も円筒状等の筒状に形成されている。
第1の筒状部61は、地盤改良に用いる第1の継ロッド33Aの下端部に係合することで(たとえば、第1の継ロッド33Aの下端部を内部に収容することで)、第1の継ロッド33Aを起立させた状態で支持するようになっている。第1の筒状部61に支持されている第1の継ロッド33Aの長手方向(中心軸の延伸方向)は上下方向になっている。
第2の筒状部63は、第1の筒状部61と一体化しており、地盤改良に用いる第2の継ロッド33Bの下端部に係合することで(たとえば、第2の継ロッド33Bの下端部を内部に収容することで)、第2の継ロッド33Bを起立させた状態で支持するようになっている。この支持状態では、第2の継ロッド33Bに係合する部位の上端が、第1の継ロッド33Aと第1の筒状部61とがお互いに係合する部位の上端よりも下方に位置している。
さらに説明すると、第1の筒状部61と第2の筒状部63とは、これらの内径が、お互いに等しくなっていて、各継ロッド33の外径よりも僅かに大きくなっている。また、第1の筒状部61と第2の筒状部63とは、これらの外径も、お互いに等しくなっている。ただし、第2の筒状部63の高さ寸法(上下方向の寸法)の値は、第1の筒状部61の高さ寸法の値よりも小さくなっている。
たとえば、第2の筒状部63の高さ寸法の値は、継ロッド33(継ロッド本体部35)の外径の1倍から3倍程度(たとえば、2倍程度)になっており、第1の筒状部61の高さ寸法の値は、第2の筒状部63の高さ寸法の値の1.5倍~3倍程度(たとえば、2倍程度)になっている。
また、第1の筒状部61と第2の筒状部63とは、たとえば平板状に形成されているベース体65を介して、お互いが一体化している。
すなわち、ベース体65の上面(ほぼ水平な平面)の所定の位置に、第1の筒状部61が一体的に設けられており、ベース体65の上面の、第1の筒状部61から離れた所定の位置に、第2の筒状部63が一体的に設けられている。
各筒状部61,63は、これらの中心軸が上下方向に延伸しており、上下方向で、各筒状部61,63の下端の位置はお互いが一致しているが、第2の筒状部63の上端は、第2の筒状部63の上端よりも下方に位置している。
これにより、上述したように、各継ロッドの33(33A,33B)それぞれが各筒状部61,63のそれぞれに設置されて支持されている状態では、第2の継ロッド33Bと第2の支持部63とがお互いに係合している部位の上端が、第1の継ロッド33Aと第1の支持部61とがお互いに係合している部位の上端よりも下方に位置している。
また、ベース体65の、各筒状部61,63の内部に臨んでいる部位には、水抜用の貫通孔67が形成されていることで、ベース体65の一部によって、たとえば「X」字状の当接部69が形成されている。
第1の筒状部61に第1の継ロッド33Aが設置されて支持されている状態では、第1の継ロッド33Aの下端部が、第1の筒状部61の内部に入り込み、第1の継ロッド33Aの下端が、第1の筒状部61の「X」字状の当接部69に当接し、第1の継ロッド33Aの中心軸が上下方向に延伸している。
第2の筒状部63に第2の継ロッド33Bが設置されて支持されている状態では、第2の継ロッド33Bの下端部が、第2の筒状部63の内部に入り込み、第2の継ロッド33Bの下端が、第2の筒状部63の「X」字状の当接部69に当接し、第2の継ロッド33Bの中心軸が上下方向に延伸している。
また、各継ロッド33(33A,33B)のそれぞれが各筒状部61,63のそれぞれに設置されて支持されている状態では、上下方向で、各継ロッド33(33A,33B)の下端の位置がお互いに一致しており、各継ロッド33(33A,33B)の上端の位置がお互いに一致している。なお、この場合には、後述するスペーサ71,75(図7(c)も併せて参照)が設置されていないものとする。
各筒状部61,63のピッチ(横方向における各筒状部61,63の中心軸間の距離の値)は、たとえば、地盤改良装置3の回転駆動装置21の各装着部23(23A,23B)のピッチ(横方向における各装着部23の中心軸間の距離の値)と等しくなっている。
第1の筒状部61には、第1の継ロッド33Aを起立させ支持した状態で、第1の継ロッド33Aを嵩上げするための第1のスペーサ71(図4、図7(c)、図10参照)を設置する第1のスペーサ設置部73が設けられている。
第2の筒状部63には、第2の継ロッド33Bを起立させ支持した状態で、第2の継ロッド33Bを、第1の継ロッド33Aよりも少ない量だけ嵩上げするための第2のスペーサ75(図4、図7(c)、図10参照)を設置する第2のスペーサ設置部77が設けられている。
第1のスペーサ設置部73は、たとえば、第1の筒状部61をこの径方向で貫通する第1の貫通孔で形成されている。第1の貫通孔73は第1の筒状部61の下端部に形成されている。
さらに説明すると、側面視において、第1の貫通孔73は、たとえば、正方形状等の矩形状に形成されており、矩形の中心を、第1の筒状部61の中心軸が通っている。また、側面視において、第1の貫通孔73は、矩形の4つの辺(下辺、上辺、一対の側辺)のうちの下辺が第1の筒状部61の下端(ベース体65の上面)に重なっており、上辺と下辺との間の寸法が、第1の貫通孔73の高さ寸法になっており、一対の側辺の間の寸法(たとえば、高さ寸法と等しい寸法)が、第1の貫通孔73の幅寸法になっている。
第1の貫通孔73は、すでに理解されるように、第1の筒状部の2箇所に形成されており、平面視において、2つの第1の貫通孔(一対の第1の貫通孔)73は、第1の筒状部61の中心軸に対して点対称の位置に配置されている。
第1のスペーサ71は、木材等の軽量の材料で、たとえば、細長い四角柱状に形成されている。第1のスペーサ71の底面や上面(長手方向の両端面)は、たとえば、正方形状等の矩形状に形成されている。第1のスペーサ71の四角柱の底面や上面の縦寸法や横寸法の値は、第1の貫通孔73の高さ寸法や幅寸法の値よりも僅かに小さくなっており、第1のスペーサ71の長さ寸法(四角柱の高さ寸法)は、第1の筒状部61の外径よりも大きくなっている(たとえば3倍~10倍程度になっている)。
そして、第1のスペーサ71が第1のスペーサ設置部73に設置されている状態では、第1のスペーサ71が、一対の第1の貫通孔73を貫通している。第1のスペーサ71が第1のスペーサ設置部73に設置されている状態で、第1の筒状部61に第1の継ロッド33Aが設置されると、第1の継ロッド33Aの下端が第1のスペーサ71に当接し、第1のスペーサ71の四角柱の底面や上面の縦寸法(第1の貫通孔73の高さ寸法よりも僅かに小さい寸法)だけ、第1のスペーサ71を用いない場合に比べ、第1の継ロッド33Aが嵩上げされた状態になる。
第2のスペーサ設置部77も、たとえば、第2の筒状部63をこの径方向で貫通している第2の貫通孔77で形成されている。第2の貫通孔77も第2の筒状部63の下端部に形成されている。
さらに説明すると、側面視において、第2の貫通孔77も、たとえば、正方形状等の矩形状に形成されており、矩形の中心を、第2の筒状部63の中心軸が通っている。また、側面視において、第2の貫通孔77も、矩形の4つの辺(下辺、上辺、一対の側辺)のうちの下辺が第2の筒状部63の下端に重なっており、上辺と下辺との間の寸法が、第2の貫通孔77の高さ寸法になっている。
ただし、第2の貫通孔77の高さ寸法や幅寸法は、第1の貫通孔73の高さ寸法や幅寸法よりも小さくなっている。
第2の貫通孔77も、既に理解されるように、第2の筒状部63の2箇所に形成されており、平面視において、2つの第2の貫通孔(一対の第2の貫通孔)77も、第2の筒状部63の中心軸に対して点対称の位置に配置されている。
第2のスペーサ75も、木材等の軽量の材料で、たとえば、細長い柱状に形成されている。第2のスペーサ75の底面や上面も、たとえば、正方形状等の矩形状に形成されている。第2のスペーサ75の四角柱の底面や上面の縦寸法や横寸法の値も、第2の貫通孔77の高さ寸法や幅寸法の値よりも僅かに小さくなっており、第2のスペーサ75の長さ寸法(四角柱の高さ寸法)も、第2の筒状部63の外径よりも大きくなっている。
そして、第2のスペーサ75が第2のスペーサ設置部77に設置されている状態でも、第2のスペーサ75が、一対の第2の貫通孔77を貫通している。第2のスペーサ75が第2のスペーサ設置部77に設置されている状態で、第2の筒状部63に第2の継ロッド33Bが設置されると、第1のスペーサ71の場合と同様にして、第2の継ロッド33Bの下端が第2のスペーサ75に当接し、第2のスペーサ75の四角柱の底面や上面の縦寸法だけ、第2のスペーサ75を用いない場合に比べ、第2の継ロッド33Bが嵩上げされた状態になる。
ただし、第2のスペーサ75の四角柱の底面や上面の縦寸法の値が、第1のスペーサ71の四角柱の底面や上面の縦寸法の値よりも小さい分だけ、第2の継ロッド33Bの嵩上げ量が、第1の継ロッド33Aの嵩上げ量よりも少なくなっている。
なお、第1の継ロッド33Aの嵩上げ量と第2の継ロッド33Bの嵩上げ量との差の値は、たてえば、オス継手部37の高さ寸法の値よりも僅かに大きくなっている。
次に、吊り装置7について、図5、図6を参照して詳しく説明する。
吊り装置7は、継ロッド33や掘削・撹拌ロッド11をクレーン79(図7等参照)で吊るために、継ロッド33の上端部に形成されている継手部(たとえば、オス継手部)37に設置される装置であり、ピン45(図6参照)と吊り具81(図5参照)とを備えて構成されている。
ピン45は、円筒状もしくは円柱状に形成されたピン本体部83と、このピン本体部83の長手方向の一方の端に設けられた鍔部85と、この鍔部85に形成された切り欠き87とを備えて構成されている。
また、ピン45には、ハンドル部89が設けられている。このハンドル部89は、棒状に形成されており、切り欠き87が設けられていない箇所で鍔部85の外周からピン本体部83の長手方向に対して直交する方向に延びている。
鍔部85は、たとえば、円板状に形成されており、鍔部85の外径はピン本体部83の外径よりも大きくなっている。また、鍔部85の中心軸とピン本体部83の中心軸とはお互いが一致している。切り欠き87は、たとえば、矩形状に形成されており、鍔部85の厚さ方向で鍔部85を貫通している。
吊り具81は、たとえば直方体状に形成された吊り具本体部91を備えて構成されている。吊り具本体部91には、継手用貫通孔93とピン用貫通孔95と「L」字状の係止部(抜け止め用引っ掛け部)97とロープ係合部99とが設けられている。
六角柱状に形成されている継手用貫通孔93には、地盤改良に用いられる回転部材(継ロッド33や掘削・撹拌ロッド11)のオス継手部37が挿入されるようになっている(図13参照)。
ピン用貫通孔95には、ピン本体部83の中心軸を回動中心にして回動自在なようにピン45のピン本体部83が挿入されるようになっている。また、ピン用貫通孔95の一部が継手用貫通孔93を通過している。
ロープ係合部99には、吊り装置7が設置された継ロッド33等の吊り上げのためにワイヤロープ等のロープが掛けられるようになっている(図7等参照)。
また、吊り装置7では、ピン本体部83をピン用貫通孔95に挿入するときには、ピン45の切り欠き87を係止部97が通過することで、鍔部85と係止部97とがお互いに非干渉状態になる(図13参照)。また、ピン本体部83をピン用貫通孔95に挿入し終えた状態でピン45(ピン本体部83)を回動することで、切り欠き87も回動して位置を変え、係止部97の先端部と鍔部85とがお互いに干渉してピン45の抜け止めがされるように構成されている(図14参照)。
なお、上述したピン45の抜け止めがされている状態を、鍔部85の中心軸やピン本体部83の中心軸の延伸方向から見ると、図14で示すように、ハンドル部89の重心が鍔部85の中心軸やピン本体部83の中心軸のたとえば下(たとえば、ほぼ真下)に位置している。
吊り装置7において、継手用貫通孔93に回転部材15(継ロッド33や掘削・撹拌ロッド11)のオス継手部37が挿入されており、ピン本体部83をピン用貫通孔95に挿入し終えた状態では、図13で示すように、ピン本体部83が、オス継手部37の切り欠き49とピン用貫通孔95とを貫通している。なお、図13で示す状態でも、回転部材15が吊り具81(吊り装置7)と一体化されている。
継手用貫通孔93に回転部材15のオス継手部37を挿入し終えた状態では、オス継手部37の切り欠き49とピン用貫通孔95とで内面がほぼ連続している円柱状の貫通孔が形成されている(図13、図14参照)。
なお、図13(b)や図14では、高さ方向(上下方向)で、吊り装置7と段差43との間があいているが、吊り装置7と段差43とがお互いに接触していてもよい。
次に、地盤改良システム1の動作について説明する。地盤改良システム1の動作においては、たとえば、高所作業車101(図7等参照)と上述したクレーン79とがさらに必要になる。
初期状態として、穴HLを設けるところに地盤改良装置3が配置されており、地盤改良装置3の回転駆動装置21が上昇しており(図1(b)の参照符号21を参照)、この上昇している回転駆動装置21の装着部23(23A,23B)のそれぞれに、掘削・撹拌ロッド11が設置されているものとする。なお、図1(b)で示す状態は、装着部23(23A,23B)のそれぞれに掘削・撹拌ロッド11だけでなく継ロッド33も設けられているので、上述した初期状態とは若干異なる。
初期状態として、図7(a)や図3で示すように、複数本の継ロッド33がベッセル5に格納されており、クレーン79や高所作業車101やロッドスタンドが適宜の所定の位置に配置されているものとする。
また、初期状態として、図7(c)で示すように、ロッドスタンド9の第1の筒状部61の第1の貫通孔73には第1のスペーサ71が挿入されているものとする。
上記初期状態において、各掘削・撹拌ロッド11(11A,11B)を回転駆動しつつ回転駆動装置21(装着部23)を下降して各掘削・撹拌ロッド11(11A,11B)の長さに相当する穴HLを掘り、この後、各掘削・撹拌ロッド11(11A,11B)を回転駆動装置21(装着部23)から外して回転駆動装置21を初期状態の位置まで上昇する。この状態では、各掘削・撹拌ロッド11(11A,11B)の上端部が地盤GLから上方に突出している。
また、上記初期状態において、図7(a)~(c)で示すように、ベッセル5に格納されている複数本の継ロッド33を、吊り装置7を用いて、ロッドスタンド9に設置する。そして、地盤改良装置3の支柱19(回転駆動装置21;装着部23)を旋回し、ロッドスタンド9に設置されている各継ロッド33(33A,33B)を1本ずつ、図7で示すようにして、また、詳しくは後述するようにして、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれに設置する。
続いて、地盤改良装置3の支柱19(回転駆動装置21;装着部23)を、再び上記旋回とは逆に旋回し、各継ロッド33(33A,33B)の下端が、穴HLの入り込んでいる各掘削・撹拌ロッド11の上端からわずかに離れているとともに、平面視において、各継ロッド33(33A,33B)それぞれの位置と各掘削・撹拌ロッド11(11A,11B)それぞれの位置とがお互いに一致している状態にする。
続いて、回転駆動装置21(各継ロッド33)を下降して、各掘削・撹拌ロッド11(11A,11B)のオス継手部と各継ロッド33のメス継手部39とをお互いに係合させて、掘削・撹拌ロッド11Aと継ロッド33Aとをお互いに接続(接合)し、掘削・撹拌ロッド11Bと継ロッド33Bとをお互いに接続する。
続いて、各回転部材15(掘削・撹拌ロッド11A,11Bと継ロッド33A,33B)を回転駆動しつつ回転駆動装置21を下降させて各回転部材15(15A,15B)の長さに相当するさらに深い穴HLを掘り、この後、各掘削・撹拌ロッド11(11A,11B;継ロッド33A,33B)を回転駆動装置21から外して回転駆動装置21を初期状態の位置まで上昇する。この状態では、各回転部材15(継ロッド33A,33B)の上端部が地盤GLから上方に突出している。
なお、各回転部材15の下降、上昇の少なくともいずれかのときに、スラリーを掘削・撹拌ロッド11の先端から吐出して地盤改良をしている。
また、掘る穴HLの深さに応じて、さらに複数回、継ロッド33を継ぎ足して、各回転部材15の長さを長くする場合もある。
上記地盤改良をした後、地盤改良装置3の回転駆動装置21(各装着部23)を上昇して継ロッド33を地盤改良がされた穴HLから抜き、図8で示すようにして、また、詳しくは後述するようにして、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれから継ロッド33(33A,33B)を取り外す。
この取り外しが終了した状態では、ロッドスタンド9の各筒状部61,63のそれぞれに各継ロッド33(33A,33B)が収容されている。
この状態で、図9(a)で示すように、クレーン79で吊られている吊り装置7を、高所作業車101の籠103に載っている1人の作業者が、継ロッド33Aのオス継手部37に設置し、クレーン79と吊り装置7を用いて、継ロッド33Aを上昇させ第1の筒状部61から抜く。
この後、クレーン79と吊り装置7を用いて、継ロッド33Aをベッセル5のところまで移動し、ベッセル5内に斜めにして収容し(図9(b)、(c)参照)、吊り装置7を継ロッド33Aから取り外す。
この後、継ロッド33Aの場合と同様にして、継ロッド33Bをロッドスタンド9からベッセル5に移動して収容する。
ここで、ロッドスタンド9に設置されている各継ロッド33(33A,33B)を1本ずつ、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれに設置する場合について詳しく説明する。
図7(c)で示す状態から、クレーン79を他の箇所に移動し、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれが、ロッドスタンド9に設置されている各継ロッド33(33A,33B)のそれぞれの真上に位置するように(図7(c)の二点鎖線で示す回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを参照)、地盤改良装置3(各装着部23)を地盤GLやロッドスタンド9に対して移動する。
この移動をし終えた状態では、各装着部23(23A,23B)は、ロッドスタンド9に設置されている各継ロッド33(33A,33B)から離れている。また、上記移動は、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれが穴HLの真上に位置している状態から、地盤改良装置本体部13を動かすことなく、支柱19のみを旋回することでなされることが望ましい。
続いて、装着部23Aの下端が継ロッド33Aの上端からごく僅かに離れている状態になるまで、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを下降する。
続いて、高所作業車101の籠103に載っている1人の作業者によって、継ロッド33Aの上端と装着部23Aの下端との位置合わせ(主として水平方向での位置合わせ)を行いつつ、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bをさらに僅かに下降し、継ロッド33Aのオス継手部37を装着部23Aのメス継手部39内に挿入し、継ロッド33Aを装着部23Aに設置する。
なお、ロッドスタンド9の第1の筒状部61に設置されている継ロッド33Aの上端部は、第1の筒状部61に収容されている継ロッド33Aの下端部を支点として、僅かに搖動するようになっている(たとえば、継ロッド33Aの上端は水平方向で僅かに移動するようになっている)。そこで、継ロッド33Aの上端と装着部23Aの下端との位置合わせは、ロッドスタンド9の第1の筒状部61に設置されている継ロッド33Aを搖動させて行う。
続いて、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを僅かに上昇させて、第1のスペーサ71を第1の貫通孔73から取り除く。このとき、継ロッド33Aの下端は、第1の筒状部61内に入っている。
続いて、装着部23Bの下端が継ロッド33Bの上端からごく僅かに離れている状態になるまで、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを下降する。
続いて、継ロッド33Aの場合と同様にして、高所作業車101の籠103に載っている1人の作業者によって、継ロッド33Bの上端と装着部23Bの下端との位置合わせを行いつつ、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bをさらに僅かに下降し、継ロッド33Bのオス継手部37を装着部23Bのメス継手部内に挿入し、継ロッド33Bを装着部23Bに設置する。
これにより、各装着部23A,23Bへの各継ロッド33A,33Bの設置が修了する。この後、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを上昇して、各継ロッド33A,33Bをロッドスタンド9の各筒状部62,63から抜き取る。
ここで、ロッドスタンド9に設置されている各継ロッド33(33A,33B)を1本ずつ、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれに設置する場合の変形例について詳しく説明する。
この変形例では、ロッドスタンド9の第2の貫通孔77にも第2のスペーサ75が設置されている点が、上述したものと異なる。
すなわち、この変形例では、ロッドスタンド9の第1の貫通孔73に第1のスペーサ71が設置されており、ロッドスタンド9の第2の貫通孔77に第2のスペーサ75が設置されており、各スペーサ71,75が設置されている各筒状部61,63のそれぞれに各継ロッド33A,33Bが設置されている。
上記状態で、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれが、ロッドスタンド9に設置されている各継ロッド33(33A,33B)それぞれの真上に位置するように、地盤改良装置3(各装着部23)を地盤GLやロッドスタンド9に対して移動する。
続いて、装着部23Aの下端が継ロッド33Aの上端からごく僅かに離れている状態になるまで、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを下降する。
続いて、高所作業車101の籠103に載っている1人の作業者によって、継ロッド33Aの上端と装着部23Aの下端との位置合わせを行いつつ、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bをさらに僅かに下降し、継ロッド33Aのオス継手部37を装着部23Aのメス継手部39内に挿入し、継ロッド33Aを装着部23Aに設置する。
続いて、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを僅かに上昇させて、第1のスペーサ71を第1の貫通孔73から取り除く。
続いて、装着部23Bの下端が継ロッド33Bの上端からごく僅かに離れている状態になるまで、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを下降する。
続いて、高所作業車101の籠103に載っている1人の作業者によって、継ロッド33Bの上端と装着部23Bの下端との位置合わせを行いつつ、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bをさらに僅かに下降し、継ロッド33Bのオス継手部37を装着部23Bのメス継手部内に挿入し、継ロッド33Bを装着部23Bに設置する。
この設置が終了した状態では、第1のスペーサ71が存在しないので、継ロッド33Aの下端は、第1の筒状部61の上側で第1の筒状部61の下端(「X」字状の当接部69)から離れている(第2のスペーサ75の分だけ、当接部69よりも上方に位置している)。
続いて、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを僅かに上昇させて、第2のスペーサ75を第2の貫通孔77から取り除く。
次に、地盤改良をした後、地盤改良装置3の回転駆動装置21(各装着部23)を上昇して継ロッド33を地盤改良がされた穴HLから抜き、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれから継ロッド33(33A,33B)を取り外す場合について詳しく説明する。
この場合、ロッドスタンド9に継ロッド33(33A,33B)が設置されておらず、
ロッドスタンド9の各スペーサ設置部73,77には、スペーサ71,75が設置されていない。
まず図8(a)で示すように、各装着部23(23A,23B)のそれぞれに各継ロッド33(33A,33B)のそれぞれが設置されている状態で、各継ロッド33(33A,33B)のそれぞれが、ロッドスタンド9の各筒状部61,63それぞれの上側(ほぼ真上)に位置するように、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを移動する。
この移動をし終えた状態では、各継ロッド33(33A,33B)は、各筒状部61,63の上側で各筒状部61,63から離れている。また、上記移動は、上述したように、地盤改良装置本体部13を動かすことなく、支柱19のみを旋回することでなされることが望ましい。
続いて、継ロッド33Aの下端が第1の筒状部61の上端からごく僅かに離れている状態になるまで、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを下降する。
続いて、ロッドスタンド9に近くにいる1人の作業者によって、継ロッド33Aの下端と第1の筒状部61の上端との位置合わせ(主として水平方向での位置合わせ)を行いつつ、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bをさらに僅かに下降し、継ロッド33Aの下端部を第1の筒状部61内に挿入する(図8(b)参照)。
なお、装着部23Aに設置されている継ロッド33Aの下端部は、装着部23Aに装着されている部位を支点として、僅かに搖動するようになっている(たとえば、継ロッド33Aの下端は水平方向で僅かに移動するようになっている)。そこで、継ロッド33Aの下端と第1の筒状部61の上端との位置合わせは、装着部23Aに装着されている継ロッド33Aを搖動させて行う。
続いて、継ロッド33Bの下端が第2の筒状部63の上端からごく僅かに離れている状態になるまで、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを下降する。この下降でも、継ロッド33Aの下端部が第1の筒状部61内に挿入されたままになっている。
装着部23Aに設置されている継ロッド33Aの場合と同様にして、ロッドスタンド9に近くにいる1人の作業者によって、継ロッド33Bの下端と第2の筒状部63の上端との位置合わせを行いつつ、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bをさらにわずかに下降し、継ロッド33Bの下端部を第2の筒状部63内に挿入する。この挿入後、各継ロッド33(33A,33B)の下端がロッドスタンド9のベース体65に接する程度まで、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bをさらに下降し、各装着部23A,23Bから各継ロッド33(33A,33B)から各継ロッド33(33A,33B)を取り外し、回転駆動装置21や各装着部23A,23Bを移動する(図8(c)参照)。
地盤改良システム1によれば、地盤改良装置3と継ロッド33を複数本格納するベッセル5と継ロッド33をクレーン79で吊るために継ロッド33の上端部に形成されている継手部37に設置される吊り装置7とを備えて構成されているので、特許文献1に記載の従来の方法のように、別途、穴を掘って継ロッド等を穴に埋没させておく必要が無く、また、この埋没させておいた継ロッドを引き抜く必要が無く、さらに、継ロッド33の着脱時に、地盤改良装置3を軟弱な地盤GLの上で移動させる必要も無いので、継ロッド33の着脱に要する時間を短くし、継ロッド33の着脱を容易に行うことができる。
また、地盤改良システム1では、第1のスペーサ71が設置されているロッドスタンド9の第1の支持部61と第2の支持部63のそれぞれに各継ロッド33(33A,33B)のそれぞれが設置されている状態で、地盤改良装置3の各装着部23(23A,23B)のそれぞれを各継ロッド33それぞれの上側に配置し、この配置後に、第1の装着部23Aの下端が第1の継ロッド33Aの上端のところに位置するまで、各装着部23を下降し、この下降後に、第1の装着部23Aに対する第1の継ロッド33Aの継手部37の位置合わせを行うとともに、各装着部23をさらに下降して、第1の装着部23Aに第1の継ロッド33Aの継手部37を挿入し、第1の継ロッド33Aを第1の装着部23Aに設置するようになっている。
また、地盤改良システム1では、第1の装着部23Aに第1の継ロッド33Aを設置した後、第1のスペーサ設置部73から第1のスペーサ71を取り除き、第2の装着部23Bの下端が第2の継ロッド33Bの上端のところに位置するまで、各装着部23を下降し、この下降後に、第2の装着部23Bに対する第2の継ロッド33Bの継手部37の位置合わせを行うとともに、各装着部23をさらに下降して、第2の装着部23Bに第2の継ロッド33Bの継手部37を挿入し、第2の継ロッド33Bを第2の装着部23Bに設置するようになっている。
これにより、地盤改良システム1によれば、各装着部23に各継ロッド33を設置するとき、第1の装着部23Aに対する第1の継ロッド33Aの継手部37の位置合わせと第2の装着部23Bに対する第2の継ロッド33Bの継手部37の位置合わせとを時間をずらしてたとえば1人の作業者で行うことができ、各継ロッド33の各装着部23への設置を効率良く行うことができる。
また、地盤改良システム1では、地盤改良装置3の各装着部23のそれぞれに継ロッド33が設置されている状態で、各装着部23に設置されている各継ロッド33のそれぞれを、ロッドスタンド9の各筒状部61,63それぞれの上側に配置し、この配置後に、第1の継ロッド33Aの下端がロッドスタンド9の第1の支持部61の上端のところに位置するまで、各装着部23を下降し、この下降後に、第1の筒状部61に対する第1の継ロッド33Aの下端部の位置合わせを行うようになっている。
また、地盤改良システム1では、第1の継ロッド33Aの下端部の位置合わせを行った後、第2の継ロッド33Bの下端が第2の筒状部63の上端のところに位置するまで、各装着部23を下降し、この下降後に、第2の筒状部63に対する第2の継ロッド33Bの下端部の位置合わせを行うようになっている。
また、地盤改良システム1では、第2の継ロッド33Bの下端部の位置合わせを行った後、各継ロッド33の下端がロッドスタンド9の各支持部61,63の下端のところ(ベース体65のところ)に位置するまで、各装着部23をさらに下降し、この下降後に、各装着部23から各継ロッド33を取り外すようになっている。
これにより、地盤改良システム1によれば、各装着部23から各継ロッド33を取り外すとき、ロッドスタンド9の第1の筒状部61の上端に対する第1の継ロッド33Aの下端部の位置合わせと第2の筒状部63の上端に対する第2の継ロッド33Bの下端部の位置合わせとを時間をずらしてたとえば1人の作業者で行うことができ、継ロッド33の各筒状部61,63への設置を効率良く行うことができる。
吊り装置7によれば、ピン45の抜け止めがされている状態が、ピン45の鍔部85やピン本体部83の中心軸の延伸方向から見てハンドル部89の重心が上記の中心軸のたとえば真下に位置している状態になる構成であるので、安定した状態でピン45の抜け止めをすることができる。
吊り装置7によれば、オス継手部37の切り欠き49とピン用貫通孔95とで内面がほぼ連続している円柱状の貫通孔が形成されているので、高剛性でピン45を保持することができる。
また、吊り装置7によれば、継ロッド33の上端がオス継手部37になっているので、継ロッド33の上端にゴミ等の異物が存在していても発見が容易であり除去が容易になっている。
また、地盤改良システム1において、第1のスペーサ71と第2のスペーサ75とを用いた場合であっても、第1のスペーサ71のみを用いた場合と同様にして、第1の装着部23Aに対する第1の継ロッド33Aの継手部37の位置合わせと第2の装着部23Bに対する第2の継ロッド33Bの継手部37の位置合わせとを時間をずらしてたとえば1人の作業者で行うことができ、継ロッドの各装着部23への設置を効率良く行うことができる。
さらに、第2のスペーサ75を用いているので、第2の装着部23Bに第2の継ロッド33Bの継手部37を挿入し、第2の継ロッド33Bを第2の装着部23Bに設置するときに、第1の装着部23Aに設置されている第1の継ロッド33Aの下端が、ロッドスタンド9の第1の筒状部61の底(ベース体65)に接触してしまう事態を容易に回避することができる。
なお、上述したものを方法の発明として把握してもよい。
すなわち、掘削・撹拌ロッドを備えて構成されている第1の回転部材が設置され、上下方向に移動自在である第1の設置部と、前記第1の回転部材と同様に構成されている第2の回転部材が設置され、前記第1の設置部とともに上下方向に移動位置決め自在である第2の設置部とを備え、前記各設置部のそれぞれに装着された各回転部材のそれぞれを回転させて下降することで地盤を掘削し地盤改良材を混ぜて撹拌することで地盤を改良する地盤改良装置3に、ロッドスタンド9を用いて継ロッド33を設置する継ロッド設置方法において、第1のスペーサ71が設置されている第1の支持部61に第1の継ロッド33Aを設置し、前記第2の支持部63に第2の継ロッド33Bを設置する継ロッド設置工程と、前記継ロッド設置工程で前記各支持部のそれぞれに前記各継ロッドのそれぞれが設置されている状態で、前記地盤改良装置の第1の設置部を前記第1の継ロッドの上側に配置し、この配置後に、前記第1の設置部の下端が前記第1の継ロッドの上端のところに位置するまで、前記各設置部を下降し、この下降後に、前記第1の設置部に対する前記第1の継ロッドの上端部の継手部の位置合わせを行うとともに、前記各設置部をさらに下降して、前記第1の設置部に前記第1の継ロッドの継手部を挿入し、前記第1の継ロッドを前記第1の設置部に設置する第1の継ロッド設置工程と、前記第1の継ロッド設置工程で前記第1の設置部に前記第1の継ロッドを設置した後、前記第1の支持部から第1のスペーサを取り除き、前記第2の設置部の下端が前記第2の継ロッドの上端のところに位置するまで、前記各設置部を下降し、この下降後に、前記第2の設置部に対する前記第2の継ロッドの上端部の継手部の位置合わせを行うとともに、前記各設置部をさらに下降して、前記第2の設置部に前記第2の継ロッドの継手部を挿入し、前記第2の継ロッドを前記第2の設置部に設置する第2の継ロッド設置工程とを有する継ロッド設置方法として把握してもよい。
また、地盤改良装置3に、ロッドスタンド9を用いて継ロッドを設置する継ロッド設置方法において、前記第1のスペーサが設置されている第1の支持部に第1の継ロッドを設置し、前記第2のスペーサが設置されている第2の支持部に第2の継ロッドを設置する継ロッド設置工程と、前記継ロッド設置工程で前記各支持部のそれぞれに前記各継ロッドのそれぞれが設置されている状態で、前記地盤改良装置の第1の設置部を前記第1の継ロッドの上側に配置し、この配置後に、前記第1の設置部の下端が前記第1の継ロッドの上端のところに位置するまで、前記各設置部を下降し、この下降後に、前記第1の設置部に対する前記第1の継ロッドの上端部の継手部の位置合わせを行うとともに、前記各設置部をさらに下降して、前記第1の設置部に前記第1の継ロッドの継手部を挿入し、前記第1の継ロッドを前記第1の設置部に設置する第1の継ロッド設置工程と、前記第1の継ロッド設置工程で前記第1の設置部に前記第1の継ロッドを設置した後、前記第1の支持部から第1のスペーサを取り除き、前記第2の設置部の下端が前記第2の継ロッドの上端のところに位置するまで、前記各設置部を下降し、この下降後に、前記第2の設置部に対する前記第2の継ロッドの上端部の継手部の位置合わせを行うとともに、前記各設置部をさらに下降して、前記第2の設置部に前記第2の継ロッドの継手部を挿入し、前記第2の継ロッドを前記第2の設置部に設置する第2の継ロッド設置工程とを有する継ロッド設置方法として把握してもよい。
また、地盤改良装置3から、ロッドスタンド9を用いて前記継ロッドを取り外す継ロッド取り外し方法において、前記各設置部のそれぞれに継ロッドが設置されている状態で、前記地盤改良装置の第1の設置部を前記第1の支持部の上側に配置し、前記地盤改良装置の第2の設置部を第2の支持部の上側に配置し、この配置後に、前記第1の継ロッドの下端が前記第1の支持部の上端のところに位置するまで、前記各設置部を下降し、この下降後に、前記第1の支持部に対する前記第1の継ロッドの下端部の位置合わせを行う第1の位置合わせ工程と、前記第1の位置合わせ工程で前記第1の継ロッドの下端部の位置合わせを行った後、前記各設置部をさらに下降し、前記第1の継ロッドの下端部を前記第1の支持部に係合させる第1の係合工程と、前記第1の係合工程で前記第1の継ロッドの下端部を前記第1の支持部に係合させた後、前記第2の継ロッドの下端が前記第2の支持部の上端のところに位置するまで、前記各設置部をさらに下降し、この下降後に、前記第2の支持部に対する前記第2の継ロッドの下端部の位置合わせを行う第2の位置合わせ工程と、前記第2の位置合わせ工程で前記第2の継ロッドの下端部の位置合わせを行った後、前記各設置部をさらに下降し、前記第2の継ロッドの下端部を前記第2の支持部に係合させる第2の係合工程と、前記第2の係合工程で前記第2の継ロッドの下端部を前記第2の支持部に係合させた後、前記各継ロッドの下端が前記各支持部の下端のところに位置するまで、前記各設置部をさらに下降し、この下降後に、前記各設置部から前記各継ロッドを取り外す取り外し工程とを有する継ロッド取り外し方法としては把握してもよい。
また、地盤改良装置3を用いた地盤改良方法において、ベッセルに格納されている複数本の継ロッドを、吊り装置7を用いて、ロッドスタンド9に設置し、この設置されている各継ロッドを1本ずつ、上述した継ロッド設置方法で前記地盤改良装置の各設置部のそれぞれに設置する継ロッド設置工程と、前記継ロッド設置工程で継ロッドを各設置部のそれぞれに設置した後、前記各設置部のそれぞれに装着された各回転部材のそれぞれを回転させて下降することで地盤を掘削し地盤改良材を混ぜて撹拌することで地盤を改良する地盤改良工程と、前記地盤改良工程で地盤改良をした後、前記地盤改良装置の各設置部を上昇させて前記継ロッドを前記地盤改良がされた穴から抜き、上述した継ロッド取り外し工程で前記地盤改良装置の各設置部のそれぞれから継ロッドを取り外す取り外し工程とを有する地盤改良方法として把握してもよい。