JP5412501B2 - 鉄筋籠の建て込み方法、該方法に用いる浮力付与装置、及び浮力体離脱装置 - Google Patents

鉄筋籠の建て込み方法、該方法に用いる浮力付与装置、及び浮力体離脱装置 Download PDF

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Description

本発明は鉄筋籠の建て込み方法、該方法に用いる浮力付与装置、及び浮力体離脱装置に関し、より詳細にはコンクリート製の場所打ち杭や地中連続壁などの構造体の構築に用いられる鉄筋籠を、掘削孔(杭孔)内に建て込む方法、該方法に用いる浮力付与装置、前記掘削孔に建て込まれた鉄筋籠から前記浮力付与装置を離脱回収するための浮力体離脱装置に関する。
コンクリートで構築される場所打ち杭や地中連続壁には、コンクリート構造体の補強を行うために、円周上の中心軸方向に配列された多数の主筋と、これら主筋の外側に略直交させた態様で巻き付けられた多数のフープ筋とを含んで構成された鉄筋籠が使用されている。
この種の鉄筋籠は、鉄筋籠の建て込み場所の近くに組立に必要な場所が確保できる時には、建て込み場所の近くで組み立てを行い、建て込み時にクレーン等で吊り上げて掘削孔に建て込むという作業方法が採られている。一方、組立に必要な場所が確保できない場合等には別の場所で組立を行い、トレーラ等に載せて建て込み場所まで搬送し、上記同様にクレーン等で吊り上げて掘削孔に建て込むという方法が採られている。
場所打ち杭は、地下の支持層に到達する深さまで構築する必要があるため、掘削孔の深さが数十メートルに及ぶ場合がある。かかる場合、1つの鉄筋籠で支持層まで到達させることは困難であるため、複数の鉄筋籠を連結しながら、すなわち、掘削孔の上部で、先行して掘削孔内に支持されている鉄筋籠の上端と、次位の鉄筋籠の下端とを連結して継ぎ足しながら、前記支持層に到達する長さの鉄筋籠を構築するようになっている。
複数の鉄筋籠を用いて数十メートルの長さに連結された状態では、鉄筋籠の総重量が非常に大きくなる(例えば、15トン〜20トン程度となる)ため、このような大重量の鉄筋籠を吊り下げる場合、吊り荷重能力が大きな大型クレーンを必要としていた。
一方、近年では土地の有効利用を図って効率的な構造物配置を実現したり、既存構造物に干渉しない構造物を構築したりというように、施工に対する効率性等が要求され、さらに、場所打ち杭の施工にあっては、構造強度の向上に対する要求も高く、そのため施工スペースが十分に確保できない施工現場もあり、大型クレーンを移動、接近させるスペースの確保が難しく、施工作業の困難性が増しているという課題があった。
上記のような課題を解決するために、下記の特許文献1には、掘削孔に鉄筋籠を建て込む際に、吊り荷重を軽減することにより、使用するクレーンの能力を小さくすることのできる鉄筋籠の建て込み工法が開示されている。
図15は、特許文献1記載の鉄筋籠の建て込み工法を説明するための図を示している。特許文献1記載の鉄筋籠の建て込み工法では、鉄筋籠の建て込み時に、鉄筋籠の内側に鉄筋籠とは独立した構造であるフロートを入れて、このフロートの浮力を鉄筋籠に作用させることで、吊り荷重が軽減されるようになっている。
図15(a)は、先の鉄筋籠(内側にフロート82Aが挿入されているもの)80Aが、掘削孔3の上端部に仮受け部材81Aを係合させて吊り下げられ状態(仮受け部材81Aにフロート82Aの浮力が作用している状態)から、まず、次の鉄筋籠80Bの内側に挿入する2つのフロート82Bを、先のフロート82Aの上にナットで連結して配設し、その後、仮受け部材81Bとワイヤー83を介してクレーンのフック84で吊り下げられた次の鉄筋籠80Bを、その内側にフロート82Bが位置するように降下させている状態を示している。
図15(b)は、次の鉄筋籠80Bをさらに降下させて、先の鉄筋籠80Aの主筋の上端部と、次の鉄筋籠80Bの主筋の下端部とをカプラー85で連結した状態を示している。連結後、先の鉄筋籠80Aに差し込んでいた仮受け部材81Aを抜き、連結された両鉄筋籠をさらに掘削孔3に挿入し、次の鉄筋籠80Bの上部に差し込まれている仮受け部材81Bを掘削孔3の上端部に係合させる。以下、同様にして、複数の鉄筋籠を連結しながら掘削孔に挿入し、鉄筋籠が掘削孔の全高にわたり配置されるまでこの作業を繰り返す。
図15(c)は、鉄筋籠の建て込み後の状態を示している。連結された最上位の鉄筋籠80Cが吊り下げ用鉄筋86、仮受け部材81Cを介して掘削孔3の上端部に掛け止められている。この状態では、最上位のフロート82Cが、吊り下げ用鉄筋86で吊り下げられた全ての鉄筋籠の荷重を受ける仮受け部材81Cに当接し、連結された全フロートの浮力を、最上位の鉄筋籠の仮受け部材81Cで受ける形態となっている。
上記した特許文献1記載の建て込み工法では、連結される下位の鉄筋籠から最上位の鉄筋籠に至るまで、その内側に建て込みの都度、フロート82A〜82Cを設置(連結)しなければならず、途中でこれらフロートの設置を止めることができない。
途中でこれらフロートの設置を止めると、例えば、図15(b)の状態において、仮に次の鉄筋籠80Bの内側にフロート82Bを設置しなかった場合、掘削孔3の上端部に係合された、先の鉄筋籠80Aの仮受け部材81Aを抜くと、フロート82Aが浮力により次の鉄筋籠80B内を一気に上昇し、次の鉄筋籠80Bの仮受け部材81Bに突き当り、鉄筋籠の崩れや落下などの事故につながる虞があるからである。
したがって、先の鉄筋籠80Aの仮受け部材81Aを抜いた場合でも、フロート82Aが急上昇しないように、先の鉄筋籠80Aの仮受け部材81Aと、次の鉄筋籠80Bの仮受け部材81Bとの間に、フロート82Bがキッチリと収まるように(すなわち、図15(b)の状態において、次の鉄筋籠80Bの仮受け部材81Bに、次のフロート82Bの上端面が当接するように)、これら仮受け部材の設置間隔に応じてフロートのサイズ(長さ、連結個数等)をきちんと設計しておかなければならず、異なる長さの鉄筋籠に使用することが難しく、汎用性に欠け、これらフロートの連結作業も煩雑で手間を要するという課題があった。
また、特許文献1記載の建て込み工法では、図15(a)に示したように、先の鉄筋籠80Aを、掘削孔3の上端部に吊り下げた後、次のフロート82Bを、先のフロート82Aの上に連結した後、次の鉄筋籠80Bを降下させるようになっており、また、特許文献1には、鉄筋籠としては比較的短い長さ(2.5m)の鉄筋籠を連結していく場合について記載されているが、多くの施工現場では、これよりも長い鉄筋籠(例えば、5m程度以上のもの)が使用される場合が多く、このような長尺の鉄筋籠を連結する場合を想定した場合、次のような課題も生じる。
すなわち、掘削孔3の上端部において、長尺の鉄筋籠の長さに対応させた長尺(例えば、5m程度以上)のフロートを、先のフロートの上に連結しようとした場合、掘削孔3の上端部上で長尺のフロートを吊り下げたり、倒れないように支持する装置等が別途必要となり、取付け作業が一層煩雑になるという課題が生じる。
また、先のフロートの上に連結できたとしても、この連結された長尺のフロートの上から、次の鉄筋籠をフロートに被せるように降下させる必要があるため、クレーンの引き上げ能力(高い位置まで吊り上げる能力)が要求され、クレーンの能力を小さくすることができないという課題が生じる。
また、近年では、大口径(2m〜3m程度)の鉄筋籠が使用される現場も多く、大口径の鉄筋籠が使用された場合には、作業者が掘削孔の内側で先のフロートと次のフロートとの連結(ボルトの締結)を行わなければならず、作業に危険性を伴うため、安全面に対して多大な配慮を払わなければならないという課題が生じる。
また、特許文献1記載の建て込み工法では、図15(c)の鉄筋籠の建て込み完了後、これらフロートの撤去作業に移るが、仮受け部材81Cを抜いた時に、これらフロートが一気に上昇することを防止するために、仮受け部材81Cを抜く前に、各フロートの中空部に液体を注入し、フロートの浮力をなくした状態、又は少なくした状態で、順次引き上げて撤去するようになっている。
しかしながら、連結された全てのフロートに液体を注入するには、かなりの時間を要し、また、撤去後に、フロート内の液体を排出し回収する作業等にも時間を要することとなり、鉄筋籠の建て込み後、コンクリートを打設するまでに時間を要し、作業効率が大幅に低下してしまうという課題が生じる。
また、特許文献1記載の建て込み工法では、安定液5が張られた掘削孔3内に、フロート82A、82B、82Cを順次連結しながら降下させるため、安定液5の液面下に沈めたこれらフロートの体積分ほど掘削孔3内の安定液5の液位が上昇する一方、これらフロートを掘削孔3から取り出す際には、取り出したフロートの体積分ほど掘削孔3内の安定液5の液位が大きく低下することとなる。
鉄筋籠の建て込み時において、掘削孔3に張られた安定液5は、孔壁の崩壊等を防止する重要な役割を果たしており、液位の変動は、孔壁等の崩壊を招く要因となるため、液位を略一定に保つ必要があるが、大きな体積を有するこれらのフロートを降下及び撤去するにあたり、安定液5の液位を保つことについては特許文献1では何ら記載されておらず、安定液5の液位の大きな変動により、掘削孔3の崩壊を招く危険性が高くなる虞があるという課題があった。
特許第4680101号公報
課題を解決するための手段及びその効果
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、掘削孔に建て込む鉄筋籠に浮力を作用させて、鉄筋籠の吊り荷重を軽減しながら行う建て込み作業の効率化と作業の安全性を高めることができる鉄筋籠の建て込み方法、該建て込み方法に用いられ、鉄筋籠への脱着を容易に行うことができると共に、異なるサイズの鉄筋籠への使い回しも容易に行うことができ、作業性、汎用性、及び経済性に優れた浮力付与装置、該浮力付与装置を安全かつ容易に掘削孔内から回収することができ、コンクリート打設作業へ移行するまでの効率化を図ることができる浮力体離脱装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明に係る鉄筋籠の立て込み方法(1)は、安定液が張られた場所打ち杭や地中連続壁用の掘削孔内に、複数の鉄筋籠を連結しながら建て込んでいく鉄筋籠の建て込み方法において、連結される複数の鉄筋籠のうち、最上位の鉄筋籠を除く、いずれか1つ以上の鉄筋籠に、浮力を付与する浮力体が前記安定液中で取外し可能な態様で前記鉄筋籠内に取り付けられたものを使用し、前記浮力体が掛止される鉄筋籠として、中心軸の周囲に該中心軸方向と略平行に配列された複数の主筋と、これら主筋の外側に略直交させて配設された多数のフープ筋と、これら主筋の内側に略直交させて配設されたリング形状をした複数の補強材とを含み、これら補強材のうち、最上位の補強材を除く、いずれかの内側面に複数の掛止枠が設けられたものを使用し、これら掛止枠に、前記浮力体から吊り下げられた掛止手段を掛止させた状態で、前記鉄筋籠を前記掘削孔内に建て込むことを特徴としている。
前記掘削孔内に、複数の鉄筋籠を連結しながら建て込んでいく場合、最上位の鉄筋籠が連結された状態の鉄筋籠を建て込む(吊り込む)際に、自走式クレーン等の吊り上げ装置に最大の吊り荷重がかかることになる。
上記鉄筋籠の建て込み方法(1)によれば、連結される複数の鉄筋籠のうち、最上位の鉄筋籠を除く、いずれか1つ以上の鉄筋籠に、前記浮力体が前記安定液中で取外し可能な態様で前記鉄筋籠内に取り付けられたものを使用するので、前記浮力体により生じる浮力により、最大の吊り荷重がかかる最上位の鉄筋籠が連結された状態での吊り荷重を効果的に軽減することができ、鉄筋籠吊り上げ(玉掛け)作業の安全性を高めることができる。
また、鉄筋籠を吊り上げる装置にかかる吊り荷重を確実に軽減できるため、大型クレーンの導入が物理的に難しい現場等において、吊り上げ能力が大型クレーンよりも小さなアースドリル機等の掘削機のクレーン機能を使って、鉄筋籠の建て込み作業等を行うことが可能となり、施工領域が広くない現場でも広く対応することが可能となる。
また、前記浮力体が取り付けられた鉄筋籠を連結して建て込むことになるため、建て込み作業時に前記浮力体を鉄筋籠内へ設置する等の作業が必要なく、前記浮力体を使用する場合であっても、前記浮力体を使用しない場合と略同様の手順で効率よく鉄筋籠の連結作業を行うことができ、建て込み時の作業性を損なうことなく、効率の良い建て込み作業を行うことができる。
また、前記浮力体が前記安定液中で取外し可能な態様で前記鉄筋籠内に取り付けられているので、前記安定液中に前記浮力体が沈められた状態から、前記浮力体を前記鉄筋籠から取り外すことができるため、建て込み後のコンクリートの打設作業等の妨げにならず、また、取り外した前記浮力体を次杭や別の現場の鉄筋籠に再度取付けて繰返し利用することができる。
また上記鉄筋籠の建て込み方法()によれば、前記鉄筋籠を構成する補強材に設けられた掛止枠に、前記浮力体から吊り下げられた掛止手段を掛止させた状態で、前記鉄筋籠を前記掘削孔内に建て込むので、前記浮力体に作用する浮力によって、前記掛止手段を前記掛止枠に確実かつ容易に掛止させることができ、安定液面下において前記鉄筋籠に浮力を作用させた状態を維持することができる。また、浮力が作用している前記浮力体を下方に押し下げることにより、前記掛止手段を前記掛止枠から容易に離脱させることが可能となっており、後に行われる安定液面下での前記浮力体の取外し作業を容易に行うことが可能となる。
また本発明に係る鉄筋籠の建て込み方法()は、上記鉄筋籠の建て込み方法()において、前記最上位の鉄筋籠を前記掘削孔に建て込んだ後、前記掘削孔に建て込んだ鉄筋籠内に、前記浮力体を前記鉄筋籠から離脱させて回収するための離脱装置を降下させていき、該離脱装置で前記浮力体を押し下げながら、該浮力体から吊り下げられた前記掛止手段を前記鉄筋籠の掛止枠から離脱させ、前記離脱装置で前記浮力体の浮き上がりを抑えながら、該浮力体を安定液の液面まで上昇させた後、前記浮力体を引き上げて回収することを特徴としている。
上記鉄筋籠の建て込み方法()によれば、前記離脱装置を用いることにより、前記浮力体を前記鉄筋籠から容易に離脱させることができ、また、前記離脱装置によって前記鉄筋籠から離脱した前記浮力体の浮き上がりが抑えられているので、該浮力体が急浮上する危険性がなく、前記浮力体を安全かつ効率よく回収することができ、後のコンクリート打設作業等に速やかに移行することができる。
また本発明に係る鉄筋籠の建て込み方法()は、上記鉄筋籠の建て込み方法()において、前記浮力体が取り付けられた鉄筋籠を前記安定液面下に降下させる際に、所定液位よりも押し上げられた分の前記安定液を回収する一方、前記浮力体の引き上げ回収時に、前記安定液の液位が所定位置に保たれるように前記安定液を前記掘削孔に供給することを特徴としている。
前記浮力体が取り付けられた鉄筋籠を安定液面下に降下させた場合、前記浮力体の降下に伴い、前記安定液の液位が大きく上昇することとなるが、上記鉄筋籠の建て込み方法(4)によれば、所定液位よりも押し上げられた分の前記安定液を回収するので、前記浮力体が取り付けられた鉄筋籠を安定液面下に降下させる際における前記安定液の液位変化を抑えることができ、前記浮力体を降下させる際の孔壁にかかる水圧等の変化を抑制して、孔壁の崩壊等を防止することができる。
なお、前記安定液の回収方法の一例として、前記掘削孔の上端開口部に配設された筒状体(ケーシング)の地面から突出させた側壁部に開口部を設け、該開口部の傍にポンプを設置した溝を設けて、開口部から流出してきた安定液を前記溝に一時溜めながら前記ポンプで前記安定液を回収する(安定液槽へ送り込む)方法が採用され得る。かかる方法によれば、液位の上昇を確実に防止することができ、鉄筋籠の建て込み時にポンプ等をケーシング内(掘削孔内)に配設することなく、安定液を回収することができる。
また、前記浮力体を安定液面から引き上げる際には、前記安定液の液位が大きく低下することとなるが、前記安定液の液位が所定位置に保たれるように前記安定液を前記掘削孔に供給するので、液位の変動を抑制することができ、前記浮力体を引き上げる際の孔壁にかかる水圧等を一定に保つことができ、孔壁の崩壊等を防止することができる。
また本発明に係る浮力付与装置(1)は、上記鉄筋籠の建て込み方法()〜()のいずれかで用いられる浮力付与装置であって、鉄筋籠内に収容可能な形状をした浮力体と、該浮力体を前記鉄筋籠内に吊着するための脱着可能な吊着手段と、前記掘削孔内の安定液中で浮上しようとする前記浮力体を前記鉄筋籠に繋ぎ止めるための掛止手段とを備えていることを特徴としている。
上記浮力付与装置(1)によれば、前記吊着手段により前記浮力体を鉄筋籠の内側に吊した状態につけることができ、前記鉄筋籠を立て起こした際に、前記浮力体が落下することなく、前記浮力体が鉄筋籠の内側に吊着された状態で、スムーズに前記掘削孔への建て込み作業を行うことができる。
また、前記浮力体が安定液面下に降下され始めると、浮力により浮き上ろうとする前記浮力体を前記掛止手段により前記鉄筋籠に繋ぎ止めた状態にすることができ、前記鉄筋籠に浮力を作用させた状態(吊り荷重を軽減させた状態)で前記鉄筋籠を降下させることができる。また、前記吊着手段は脱着可能であるため、前記浮力体が安定液面下に降下され浮力が作用し始めた後、前記吊着手段を鉄筋籠から安全に取り外すことができる。
また本発明に係る浮力付与装置(2)は、上記浮力付与装置(1)において、前記浮力体の上部が先細りのテーパー形状を呈していることを特徴としている。
上記浮力付与装置(2)によれば、前記浮力体の上部が先細りのテーパー形状を呈しているので、前記浮力体を前記鉄筋籠から離脱させて回収するための離脱装置を容易かつ確実に被せることができ、前記浮力体の離脱・回収作業をスムーズに行うことができる。
また本発明に係る浮力付与装置(3)は、上記鉄筋籠の建て込み方法()〜()のいずれかで用いられる浮力付与装置であって、鉄筋籠内に収容可能な浮力体収納手段と、該浮力体収納手段に収納可能な形状をした複数の浮力体と、前記浮力体収納手段を前記鉄筋籠内に吊着するための脱着可能な吊着手段と、前記掘削孔内の安定液中で浮上しようとする、前記複数の浮力体が収納された浮力体収納手段を前記鉄筋籠に繋ぎ止めるための掛止手段とを備えていることを特徴としている。
上記浮力付与装置(3)によれば、上記浮力付与装置(1)と同様の効果が得られる。さらに、前記浮力体収納手段が、複数の浮力体を収納する構成となっているので、前記浮力体収納手段に収納する前記浮力体の個数により、前記鉄筋籠に作用させる浮力を調整することができ、鉄筋籠の重量や鉄筋籠を吊り上げる装置の能力等を考慮して、必要な浮力の調整を行うことができる。
また本発明に係る浮力付与装置(4)は、上記浮力付与装置(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記掛止手段が、前記鉄筋籠の掛止枠に掛止されるフック部を有する掛止フックと、該掛止フックと前記浮力体とを繋ぐ連結材と、前記掛止フックのフック部の内側面に固着された案内板とを備えていることを特徴としている。
上記浮力付与装置(4)によれば、前記浮力体に繋がれた前記連結材に前記掛止フックを取り付けた構成とすることができ、前記掛止フックを前記掛止枠に容易に引っ掛けることができる。さらに、前記掛止フックのフック部の内側面に固着された案内板により、前記掛止枠に掛止された前記掛止フックの捩れを防止することができ、前記掛止フックを前記掛止枠から外し易いものにすることができる。
また本発明に係る浮力付与装置(5)は、上記浮力付与装置(4)において、前記鉄筋籠の掛止枠と、前記掛止フックのフック部の先端部とに、前記掛止枠に前記掛止フックを掛止させた状態で仮止めピンを挿着させるための挿通孔がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
上記浮力付与装置(5)によれば、前記掛止枠に前記掛止フックを掛止させた状態で、それぞれの挿通孔を通すように仮止めピンを挿通させておくことで、前記掛止枠へ前記掛止フックを仮固定することができ、前記浮力体が取り付けられた鉄筋籠を立て起こして、鉄筋籠を安定液下に沈めるまでに前記掛止枠に掛止させた前記掛止フックの脱落を確実に防止することができる。また、前記仮止めフックは、前記浮力体が安定液面下に沈められる直前に引き抜くことができ、後に行われる前記浮力体の離脱・回収の妨げとならないようにすることができる。
また本発明に係る浮力付与装置(6)は、上記浮力付与装置(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記吊着手段が、前記浮力体に繋がれる線材と、該線材の端部どうしを脱着可能に連結する連結具とを含んで構成されていることを特徴としている。
上記浮力付与装置(6)によれば、前記線材と前記連結具とを用いて、前記浮力体を前記鉄筋籠(の補強材)に簡単に繋ぎ止めることができ、また、前記連結具の取外しも可能であるため、前記浮力体を安定液面下に降下させ始めた後に取外すことができる。
また本発明に係る浮力体離脱装置(1)は、上記浮力付与装置(1)〜(6)のいずれかを、掘削孔に建て込まれた鉄筋籠から離脱させて回収するための浮力体離脱装置であって、掘削機の伸縮駆動竪軸に連結する連結部を有し、前記浮力体を収容可能な逆有底筒形状をした浮力体収容体を含んで構成されている
上記浮力体離脱装置(1)によれば、前記浮力体収容体の連結部を前記掘削機の伸縮駆動竪軸(ケリーバー)に連結し、該伸縮駆動竪軸に連結した浮力体収容体を、前記伸縮駆動竪軸の伸長とともに掘削孔内に降下させて、前記浮力体に被せた状態で、さらに前記伸縮駆動竪軸を下方に伸ばすことにより、前記浮力体を押し下げて、該浮力体を鉄筋籠から離脱させることができる。また、離脱させた浮力体は、前記浮力体収容体に連結されている伸縮駆動竪軸により抑えられているので、急激に浮上することがなく、安全かつ効率よく作業を行うことができる。
また本発明に係る浮力体離脱装置(2)は、上記浮力付与装置(1)〜(6)のいずれかを、掘削孔に建て込まれた鉄筋籠から離脱させて回収するための浮力体離脱装置であって、吊り上げ機能を有した装置から吊り下げられた掛止具を掛止させるための吊り上げ部と、複数の錘部材を配設可能な錘配設部とを有する、前記浮力体を収容可能な逆有底筒形状をした浮力体収容体を含んで構成されていることを特徴としている。
上記浮力体離脱装置(2)によれば、前記浮力体収容体の吊り上げ部に前記吊り上げ機能を有した装置から吊り下げられた掛止具を掛止した状態で、前記浮力体収容体を掘削孔内に降下させて、前記浮力体に被せた後さらに降下させて、前記浮力体を押し下げて、該浮力体を鉄筋籠から離脱させることができる。また、離脱させた浮力体は、浮力体収容体(の錘配設部に配設された錘)により抑えられているので、急激に浮上することがなく、安全かつ効率よく離脱・回収作業を行うことができる。
本発明の実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法における掘削孔形成後の状態を示した図である。 実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法における下段の鉄筋籠を建て込んでいる状態を示した図である。 実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法における中段の鉄筋籠を吊り上げた状態を示した図である。 実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法における吊り上げた中段の鉄筋籠の縦断面図である。 図4におけるV−V線断面図である。 掛止フックの掛止枠への取り付け方法を説明するための分解斜視図である。 実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法における上段の鉄筋籠を吊り上げた状態を示した図である。 実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法における上段の鉄筋籠を建て込んだ(建て込み完了)状態を示している。 実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法において、掘削孔に建て込んだ鉄筋籠から浮力付与装置を回収するために浮力体離脱装置を降下させている状態を示した図(中段の鉄筋籠部分の縦断面図)である。 浮力体離脱装置を降下させて、鉄筋籠から浮力付与装置を離脱させた状態を示した図(中段の鉄筋籠部分の縦断面図)である。 別の実施の形態に係る浮力付与装置の鉄筋籠への取り付け(吊り下げ)方法を説明するための要部概略図であり、(a)は鉄筋籠の平面図、(b)は側面図である。 さらに別の実施の形態に係る浮力付与装置を鉄筋籠から離脱させた状態を示した図である。 実施の形態(2)に係る鉄筋籠の建て込み方法における吊り上げた中段の鉄筋籠の縦断面図である。 実施の形態(2)に係る鉄筋籠の建て込み方法において、掘削孔に建て込んだ鉄筋籠から浮力付与装置を回収するために浮力体離脱装置を降下させている状態を示した図(中段の鉄筋籠部分の縦断面図)である。 (a)〜(c)は、フロートを用いた従来の鉄筋籠の建て込み工法を説明するための図を示している。
本発明に係る鉄筋籠の建て込み方法、該方法に用いる浮力付与装置、及び浮力体離脱装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図10は、実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法、該方法に用いる浮力付与装置、及び浮力体離脱装置を説明するための図である。本実施の形態では、場所打ち杭の構築に際し、掘削孔に鉄筋籠を建て込む方法について説明する。
図1は、掘削孔形成後の状態を示している。掘削孔3の形成は、まず、地盤1上の所定位置にアースドリル掘削機(以下、掘削機と記す)10を配置し、掘削機10の伸縮駆動竪軸(以下、ケリーバーと記す)11を掘削予定地点(杭芯)に位置合わせし、ケリーバー11の先端に掘削用のバケット12を取り付け、ケリーバー11を伸長させながらバケット12により所定直径の穴(掘削孔)を掘削していく。なお、掘削機10は、バケット12に回転力と押込み力を与える伸縮可能な上記ケリーバー11やこのケリーバー11を駆動させる装置(図示せず)などを備え、また巻き上げロープ(補巻き上げロープでも可)によるクレーン機能を有している。
また、掘削孔3の上端部は、ケーシング(スタンドパイプとも言う)4が建て込まれるため、孔の直径を大きくするために、バケット12にその外径よりも外側にはみ出す工具(リーマナイフ)(図示せず)を装着して掘削する。ケーシング4の建て込み後、リーマナイフを取り外して、さらに支持層2に向けて掘削が継続される。
ケーシング4は、バケット12及び鉄筋籠等を挿入可能な内径を有する鋼管からなり、孔壁面を補強するためのものであると同時に、後述する鉄筋籠の継ぎ足し(連結)作業を容易に行うために使用されるものであり、作業しやすい高さ(本実施の形態では1〜2m程度)まで上端部が地盤1から突き出した状態に設置される。なお、本実施の形態で使用するケーシング4の上端部(地盤から突き出した状態となる部分)には、安定液5を回収(排出)等するための開口部4aが設けられている。開口部4aの傍には、排出された安定液を一時溜めるための溝6が設けられ、溝6に設置された水中ポンプ7で、溝6に溜まった安定液を安定液プラント(図示せず)へ送り込むことができるようになっている。この構造により、鉄筋籠の建て込み時に、水中ポンプ7をケーシング4内に配設することなく、安定液5を回収することができ、水中ポンプ7を鉄筋籠の建て込みの邪魔にならないように使用することができる。
また、掘削孔3を掘り下げて行く間、孔には安定液5が注入され、所定の液位に保たれる。安定液5は、一例としてベントナイトと水との混合物からなるものであり、バケットの回転をスムーズにする他、掘削孔3が土圧等で崩壊するのを防ぐ役割も果たす。安定液5は図示しない安定液プラントからホース等で供給される。その後、所定の深度(支持層2)まで掘削したら、掘削作業を終了し、ケリーバー11を縮退させてバケット12を掘削孔3から引き上げ、その後、スライム処理等を行った後、鉄筋籠の建て込み作業に移る。
本実施の形態では、複数の鉄筋籠を連結しながら掘削孔3に建て込む作業を行う。図2〜図10に示したように、ここでは説明を容易にするため、下段の鉄筋籠20A、中段の鉄筋籠20B、上段の鉄筋籠20Cの3つを順次連結しながら建て込む場合について説明する。
これら鉄筋籠は、円周上の中心軸方向に配列された多数の主筋(棒状筋)21と、これら主筋の外側に略直交する態様で巻かれた多数のフープ筋22とを含んで構成され、これら主筋21とフープ筋22との各交差部は、鉄線結束、クリップ金具(いずれも図示せず)又は溶接等によって固定され、所定の長さ(3m〜12m程度)で所定の直径(例えば2m〜3m程度の大口径)の円筒状に形成されている。
また、鉄筋籠の剛性を高めるために、各鉄筋籠には、鉄筋籠の内側から主筋21に接するようにリング状に形成された補強材23が、鉄筋籠の長さ方向に所定間隔(例えば2、3m)毎に配設されている。主筋21と補強材23との交差部は、固定用金具(図示せず)や溶接等によって固定されている。本実施の形態では、リング形状をした補強材23として、断面L型の鋼材(L型アングル鋼材)を用いているが、鉄筋籠の直径や重量等を考慮して、平鋼板(帯状板)を用いることもできる。これら鉄筋籠は、施工現場で予め組み立てられる、またはトレーラ等で搬送される。なお、中段の鉄筋籠20Bには、図4等に示した浮力付与装置30が籠組立時に取り付けられたものを使用している。
本実施の形態に係る鉄筋籠の建て込み方法では、鉄筋籠の建て込み作業に、掘削孔3の形成に使用した掘削機10のクレーン機能を利用して行うようになっている。
まず、図2に示したように、掘削機10(のブーム)から吊り下げられたワイヤーロープ13に装着された荷吊用トラバーサー(以下トラバーサーと記す)14に下段の鉄筋籠20Aを玉掛けし、下段の鉄筋籠20Aを吊り上げて掘削孔3に挿入していき、鉄筋籠20Aの補強材23の中で最も上に位置する補強材23がケーシング4の上端から少し上に来るまで鉄筋籠20Aを降下させる。
そして、ケーシング4の上端部に鉄筋籠支持用の支持具15を掘削孔3の中心方向に突出させた形態で複数個取付けた後、鉄筋籠20Aを降下させると、これら支持具15によって、鉄筋籠20Aが最上位の補強材23のところで支持され、鉄筋籠20Aがケーシング4に吊り下げた状態となる(図3の下段の鉄筋籠20Aの状態)。その後、トラバーサー14を鉄筋籠20Aから取外して、次の中段の鉄筋籠20Bの建て込み作業に移る。
下段の鉄筋籠20Aと同様の方法で、図3に示したように、中段の鉄筋籠20Bを吊り上げて、ケーシング4に吊り下げられた下段の鉄筋籠20Aの上に運ぶ。この中段の鉄筋籠20Bの内側には、浮力付与装置30が吊着されている。図4は、中段の鉄筋籠20Bへの浮力付与装置30の取付け状態を説明するための鉄筋籠の縦断面図であり、図5は、図4におけるV−V線断面図を示している。また、図6は、浮力付与装置30の掛止フック33bの掛止枠24への取付け状態を説明するための分解斜視図である。
浮力付与装置30は、上部が先細りテーパー形状の円錐形、下部が円柱形状に形成された、鉄筋籠内に収容可能な外径及び長さを有する浮力体31と、浮力体31を鉄筋籠内に吊着するための脱着可能な吊着手段32と、掘削孔3内の安定液中で浮上しようとする浮力体31を鉄筋籠20Bに繋ぎ止めるための掛止手段33とを含んで構成されている。
浮力体31は、金属板やプラスチック等の樹脂材料等を用いて、中空状に形成されたものであり、その大きさは、鉄筋籠20Bの直径、長さ及び重量等を考慮して選定することができ、かつ、後述する浮力体離脱装置50による回収作業の妨げにならない大きさ、及び連結される鉄筋籠重量を軽減するのに必要とされる大きさに設定され、通常であれば、使用する鉄筋籠内径の50〜70%程度の直径、使用する鉄筋籠の50〜80%程度の長さのものが好適に採用され得る。
例えば、直径が2300mm前後、長さが8m前後の鉄筋籠に対しては、浮力体31の外径が1600mm程度、長さが5m程度の浮力付与装置を適用することができる。この場合、浮力体31の形状が円柱であると仮定すると、その体積(半径×π×高さ)は、0.8×3.14×5=10.05mとなり、安定液の密度をρ(t/m)とすると、浮力は、10.05ρ(t)となる。鉄筋籠全体の重量が約20t、安定液の密度をρ≒1(t/m)とすれば、最上位の鉄筋籠(連結鉄筋籠)を吊り上げる場合、その吊り上げ荷重を20−10.05≒9.95tにまで大きく軽減することができる。
吊着手段32は、浮力体31の外周に数か所、本実施の形態では、外周部に略90度間隔で4箇所設けられた金具取付部31aに取り付けられる連結金具32aと、連結金具32aに通された線材32bと、線材32bの両端部を連結する連結金具32cとで構成されており、線材32bの両端部を連結金具32cで繋いで、鉄筋籠20Bの補強材23に繋ぎ止めるようになっている。連結金具32a、32cにはシャックル等が採用され、線材32bにはワイヤーや金属チェーン等が採用され得る。
掛止手段33は、浮力体31の底面に数か所、本実施の形態では、底面周縁部に略90度間隔で4箇所設けられた線材取付部31bに取り付けられた線材33aと、線材33aの先端に取り付けられた掛止フック33bとを含んで構成され、掛止フック33bのフック部の内側面には、所定幅を有するガイド板(案内板)33cが固着されており、後述する掛止枠24の外側面にガイド板33cが当接する態様で取り付けられるようになっている。なお、ガイド板33cの幅は、掛止フック33bを掛止枠24に掛止させたときにフック部の掛止状態に捩れが生じない幅に設定されている。線材33aには、ワイヤーや金属チェーン等が採用され得る。
浮力付与装置30が取付けられる鉄筋籠20Bの補強材23の中で下方に位置するものの内側数箇所、本実施の形態では4箇所に、掛止フック33bを掛止させるためのコ字状部を有する掛止枠24が固着されている。掛止枠24は、略コ字状をした金具の両端を外側に略直角に屈曲されて形成されたものであり、屈曲された両端部が補強材23に固着されている。
また、図5、6に示したように、補強材23に固着された掛止枠24と、掛止フック33bのフック部の先端部とに、掛止枠24に掛止フック33bを掛止させた状態で仮止めピン25を挿着させるための挿通孔33d、24aがそれぞれ形成されている。
上記した構成の浮力付与装置30が取り付けられた中段の鉄筋籠20Bを掘削機10で吊り上げて、ケーシング4に吊り下げられた下段の鉄筋籠20Aの上に運んだ後、下段の鉄筋籠20Aの上端部との間に所定の重なりが生じるように降下させる。この状態で継手、連結金具等による結合、番線による結束、溶接などの所定の連結方法を用いて下段の鉄筋籠20Aと中段の鉄筋籠20Bとを連結して、2つの鉄筋籠が連結された状態とする。
その後、連結された鉄筋籠を吊り上げて、ケーシング4の上端部に取付けられた支持具15を取外した後、掘削孔3に挿入していく。ここで、中段の鉄筋籠20Bに取付けられた浮力付与装置30の掛止フック33b部分をケーシング4付近まで降下させた段階で、鉄筋籠20Bの外側から線材33aを引っ張るための引張棒(図6参照)40を籠内に挿し込み、引張棒40の先端掛止部40aを線材33aに引っ掛けて、線材33aを引っ張った状態で仮止めピン25を抜く。引張棒40で線材33aを引っ張った状態とすることで、安定液面より上での掛止枠24から掛止フック33bの脱落が防止される。
その後、浮力体31の底面が安定液面下に降下されるまで、引張棒40で線材33aを引っ張った状態を維持する。浮力体31の底面が安定液面下に降下し始めると、浮力体31の浮力によって線材33aが引っ張られ、掛止フック33bが掛止枠24に自然に掛止された状態となった後、引張棒40を線材33aから取り外して中段の鉄筋籠20Bから引き抜く。
その後、鉄筋籠を降下させていく段階で、中段の鉄筋籠20Bの補強材23に繋がれている吊着手段32の線材32bを全て取り外し、これら鉄筋籠をさらに挿入していき、鉄筋籠20Bの補強材23の中で最も上に位置するものがケーシング4の上端から少し上に位置するまで鉄筋籠を下げる。なお、この過程においても、安定液面下に降下させた浮力体31による浮力により、連結された鉄筋籠の吊り上げ荷重の軽減効果が得られる状態となっている。
その後、ケーシング4の上端部に支持具15を複数個取付けた後、鉄筋籠を下げて、支持具15によって鉄筋籠が最上位の補強材23のところで支持され、下段と中段の連結鉄筋籠がケーシング4に吊り下げられた状態とする(図7の鉄筋籠20A、20Bの状態)。その後、トラバーサー14を中段の鉄筋籠20Bから外し、次の上段の鉄筋籠20Cの建て込み作業に移る。
なお、浮力体31を安定液面下に降下させるに伴い、安定液5の液位が上昇するが、その上昇分は、ケーシング4の上部に設けられた開口部4aから排出され、開口部4aの傍に設置した溝6に一時溜めながらポンプ7で安定液槽(図示せず)へ送り込むようになっている。かかる方法により、液位の上昇を確実に防止することができ、液位が所定レベルに保たれ、ケーシング4の上部からも安定液があふれ出ることもなく、また、建て込み時にポンプ7等をケーシング4内に配設することなく、安定液5を回収することができる。
その後、上記と同様の方法で、図7に示したように最上位となる上段の鉄筋籠20Cを掘削機10で吊り上げて、ケーシング4に吊り下げられた鉄筋籠20Bの上まで運び、上段の鉄筋籠20Cを、中段の鉄筋籠20Bの上端部との間に所定の重なりが生じるように降下させる。この状態で継手、連結金具等による結合、番線による結束、溶接などの所定の連結手段を用いて中段の鉄筋籠20Bの上端部と上段の鉄筋籠20Cの下端部とを継ぎ合わせ、3つの鉄筋籠が連結された状態とし、これら連結された鉄筋籠を吊り上げ、ケーシング4の上端部から支持具15を取り外した後、掘削孔3に挿入していく。
このとき、安定液面下にある中段の鉄筋籠20Bに浮力体31が取り付けられているので、浮力体31による浮力が鉄筋籠全体に作用することとなり、吊り上げ荷重の軽減効果が得られる状態となっている。図8に示したように、これら連結された鉄筋籠を掘削孔3の底へ下ろした後、トラバーサー14を鉄筋籠20Cから外す等の処理を行った後、浮力付与装置30の回収作業に移る。
図9、10は、掘削孔3に建て込まれた鉄筋籠から浮力付与装置30を回収する方法を説明するための鉄筋籠20Bの部分拡大段面図であり、図9は、浮力体離脱装置50を浮力付与装置30に被せるように降下させている状態を示し、図10は、浮力体離脱装置50で浮力付与装置30を鉄筋籠20Bから離脱させた後の状態を示している。
浮力体離脱装置50は、掘削孔3に建て込まれた鉄筋籠から浮力付与装置30を離脱させて回収するためのものであり、掘削機10のケリーバー11に連結する連結部51を有し、浮力体31を収容可能な逆有底円筒形状をした浮力体収容体52を含んで構成されている。浮力体収容体52は、金属板(鋼板)等を加工して形成されており、浮力体収容体51の天板部52aには、安定液面下を降下させる際に、収容体52内の空気を抜くための通孔(図示せず)が形成されている。連結部51の構造は、ケリーバー11と確実に連結できる構造であればよく、例えば、ケリーバー11の下端部を挿入し、側面から抜け止めピン等を通して連結するソケット構造などにすることができる。
浮力付与装置30の回収作業においても掘削機10を利用する。まず、地上において掘削機10のケリーバー11の下端部に、浮力体離脱装置50の連結部51を連結し、浮力体離脱装置50を掘削孔3上に配置した後、ケリーバー11を伸長(回転させずに伸長)させながら、浮力体離脱装置50を掘削孔3に建て込まれた鉄筋籠内に除々に降下させて、図9に示したように、浮力体収容体52を浮力体31に被せていく。このとき、浮力体31の上部が先細りのテーパー形状を呈しているので、浮力体収容体52を浮力体31に容易かつ確実に被せられるようになっている。
この状態からさらにケリーバー11を下方に伸長させて浮力体離脱装置50を降下させると、浮力体収容体52に収容された浮力体31が浮力体離脱装置50とともに押し下げられていき、掛止手段33の線材33aが緩み、掛止フック33bが掛止枠24から外れて、図10に示したように掛止フック33bはその自重により、略鉛直方向に吊り下げられた形となり、鉄筋籠20Bから浮力付与装置30が離脱された状態となる。なお、掘削機10には、荷重計(図示せず)が装備されており、鉄筋籠20Bから浮力付与装置30が離脱すると、浮力体31の浮力が浮力体離脱装置50にかかるため、荷重計の値が小さく(軽く)なる。この荷重計の値の変化から鉄筋籠20Bから浮力付与装置30が離脱したか否かを判断することができるようになっている。
鉄筋籠20Bから浮力付与装置30が離脱されると、浮力体31が自ら浮上しようとするが、浮力体31はケリーバー11に連結された浮力体離脱装置50により抑えられているので、急浮上することはない。その後、ケリーバー11を除々に縮退させることにより浮力体離脱装置50の収容体52内に浮力付与装置30を収めた状態のまま、浮力体離脱装置50を安定液面まで引き上げる。安定液面まで浮上させた浮力付与装置30を掘削機10のクレーン機能を使って吊り上げて掘削孔3から回収する。
また、浮力体31を安定液面から引き上げる際には、安定液5の液位が低下することとなるが、安定液5の液位が所定位置に保たれるように、安定液5が掘削孔3に供給される。例えば、ケーシング4の上端部に逆U字形状の配管を引っ掛けて、ケーシング4の外側に位置する前記配管の開口に、安定液プラントから安定液を供給するポンプ等のホースを繋いで安定液を供給するように構成されているので、液位の変動を抑制することができ、浮力体31を引き上げる際の孔壁にかかる水圧等を一定に保つことができ、孔壁の崩壊等を防止することが可能となっている。浮力付与装置30の回収後、通常のトレミー管の建て込み作業やコンクリートの打設作業等に移行する。
上記実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法によれば、連結される複数の鉄筋籠20A、20B、20Cのうち、最上位の鉄筋籠20Cを除く、鉄筋籠20Bに、浮力体31が安定液5中で取外し可能な態様で鉄筋籠内に取り付けられたものを使用するので、浮力体31により生じる浮力により、最大の吊り荷重がかかる最上位の鉄筋籠20Cが連結された状態での吊り荷重を効果的に軽減することができ、鉄筋籠吊り上げ(玉掛け)作業の安全性を高めることができる。
また、鉄筋籠を吊り上げる装置(掘削機10)にかかる吊り荷重を確実に軽減できるため、必要なクレーン能力を抑えることができ、大型クレーンの導入が物理的に難しい現場等において、吊り上げ能力が大型クレーンよりも小さなアースドリル機等の掘削機10のクレーン機能を使って、鉄筋籠の建て込み作業等を行うことが可能となり、施工領域が広くない現場でも広く対応することが可能となる。
また、事前に浮力体31が取り付けられた鉄筋籠20Bを連結して建て込むことになるため、建て込み作業時に浮力体31を鉄筋籠20B内へ設置する等の作業が必要なく、浮力体31を使用する場合であっても、浮力体31を使用しない場合と略同様の手順で効率よく鉄筋籠の連結作業を行うことができ、建て込み時の作業性を損なうことなく、効率の良い建て込み作業を行うことができる。
また、浮力体31が安定液中で取外し可能な態様(掛止手段33)で鉄筋籠20B内に取り付けられているので、安定液中に浮力体31が沈められた状態から、浮力体31を鉄筋籠20Bから取り外すことができるため、建て込み後のコンクリートの打設作業等の妨げにならず、また、取り外した浮力体31を次杭や別の現場の鉄筋籠に再度取付けて繰返し利用することができる。
また、鉄筋籠20Bを構成する補強材23に設けられた掛止枠24に、浮力体31から線材32bで吊り下げられた掛止フック33bを掛止させた状態で、鉄筋籠を掘削孔3内に建て込むので、浮力体31に作用する浮力によって、掛止フック33bを掛止枠24に確実かつ容易に掛止させることができ、安定液面下において鉄筋籠に浮力を作用させた状態を維持することができる。
また、浮力が作用している浮力体31を浮力体離脱装置50で下方に押し下げることにより、掛止フック33bを掛止枠24から容易に離脱させることができ、また、浮力体離脱装置50によって鉄筋籠から離脱した浮力体31の浮き上がりが抑えられているので、浮力体31が急浮上する危険性がなく、浮力体31を安全かつ効率よく回収することができ、後のコンクリート打設作業等に速やかに移行することができる。安定液面下での浮力体31の取外し作業を容易に行うことができる。
なお、上記実施の形態(1)では、図4に示したように中段の鉄筋籠20Bに浮力付与装置30を吊り下げるために連結金具32a、32bを用いた吊着手段32を使用したが、別の実施の形態では、図11に示すような仮固定バー34を使用する吊り下げ構造を採用することができる。図11は、別の実施の形態に係る浮力付与装置の鉄筋籠への取り付け(吊り下げ)構造を示しており、(a)は中段の鉄筋籠20Bの平面図、(b)は、中段の鉄筋籠20Bの部分断面側面図である。
図11に示したように、別の実施の形態にかかる浮力付与装置30Aでは、浮力体31Aの側面部分に、仮固定バー34を差し込むための差込溝31cが左右2箇所に形成されており、これら差込溝31cに、鉄筋籠20Bの直径よりも長い仮固定バー34を鉄筋籠20Bの外側(主筋間)から差し込み、仮固定バー34を鉄筋籠20Bの補強材23の上に配設して、仮固定バー34と主筋21又は補強材23とを、鉄線結束や脱着可能な固定用金具などで仮固定し、浮力体31を安定液下に降下させ始めた後、浮力体31から仮固定バー34を引き抜いて、浮力体31を鉄筋籠20Bとともに降下させるようにする構成を採用することができる。仮固定バー34には、図示した角材の他に、L型鋼材などを使用することもできる。
また、上記実施の形態(1)では、図10に示したように、浮力付与装置30の回収時、掛止フック33bは略鉛直方向に吊り下げられた形となり、この状態でゆっくりと引き上げられることとなるが、鉄筋籠20Bの内径に対する浮力体31の直径の比率が大きくなると(すなわち、掛止フック33bと鉄筋籠20Bとの間隔が狭くなると)、引き上げ時に安定液中で掛止フック33bが振れて、鉄筋籠に干渉する(引っ掛かる)おそれがある。
そこで、引き上げ時における掛止フック33bの振れを防止するために、図12に示した構造を採用することができる。図12に示した浮力付与装置30Bでは、浮力体31の底面の線材取付部31bの内側近傍に、掛止手段33と略同じ長さの帯状板(平鋼板)35の一端が固着(溶接やボルト等で固定)され、略鉛直下方に吊り下げられた帯状板35の下端側の外側面に磁石36が固着された構造となっている。この構造により鉄筋籠20Bから外れた掛止フック(磁石にくっつく金属等で構成)33bを磁力によって磁石36に固定させることが可能となり、浮力付与装置30Bが引き上げられる際の掛止フック33bの振れを確実に防止することができる。
また、実施の形態(1)における浮力付与装置30では、掛止手段33を取り付ける線材取付部31bが浮力体31の底面周縁部分に設けられているが、引き上げ時に掛止フック33bが鉄筋籠に干渉する(引っ掛かる)ことを防止する効果を高めるため、さらに別の実施の形態では、鉄筋籠20Bと掛止フック33bとの間隔が十分保たれるように(引き上げ時に安定液中で掛止フック33bが振れた程度では、掛止フック33bが鉄筋籠20Bに干渉することがないように)、線材取付部31bを浮力体31底面の中心寄りに位置させる構成とすることもできる。
次に実施の形態(2)に係る鉄筋籠の建て込み方法について説明する。実施の形態(2)に係る鉄筋籠の建て込み方法が、実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法と相違する主な点は、中段の鉄筋籠20Bに取付けられる浮力付与装置60の構造と、浮力体離脱装置70の構造とにあり、鉄筋籠の建て込み方法は略同様の方法で行われるため、以下相違する点を中心に説明する。
図13は、実施の形態(2)に係る鉄筋籠の建て込み方法で使用される浮力付与装置60が取り付けられた鉄筋籠20Bの断面図を示している。なお、実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法で用いられた浮力付与装置30と同一機能を有する構成部品には同一符号を付しその説明を省略する。
浮力付与装置60は、鉄筋籠内に収容可能な略円柱形状をした浮力体収納籠体61と、浮力体収納籠体61に収納可能な円板状や円柱形状をした複数の浮力体62と、浮力体収納籠体61を鉄筋籠内に吊着するための脱着可能な吊着手段32と、掘削孔3内の安定液中で浮上しようとする、複数の浮力体62が収納された浮力体収納籠体61を鉄筋籠20Bに繋ぎ止めるための掛止手段33とを含んで構成されている。
浮力体収納籠体61は、太めの線材や棒材(鋼材)等を用いて溶接等により籠状に形成されており、内部に浮力体62を出し入れすることができるように、上面又は底面に開閉可能な蓋部を有する構造、又は円筒状の胴体部分が左右に開く観音開き式の開閉構造を備えており、安定液中において、浮力体62からの浮力を受けて変形したり壊れたりしない十分な強度を有した構造となっている。なお、籠体の構造を補強するために、胴体部分にリング形状をした補強材(帯状板など)を複数個配設したり、上面及び/又は底面部分を鋼板等で構成することが好ましい。
その大きさは、後述する浮力体離脱装置70による回収作業の妨げにならない大きさ、かつ連結される鉄筋籠重量を軽減するのに必要とされる浮力体62を収納できる大きさに設定され、通常であれば、使用する鉄筋籠内径の50〜70%程度の直径、使用する鉄筋籠の50〜80%程度の長さのものが好適に採用され得る。
浮力体62は、浮力体収納籠体61内に収まる直径と所定の厚さ(50cm〜2m程度)を有する円板状又は円柱形状をした発泡スチロール等の発泡体、発泡体を樹脂で覆ったもの、又は金属板やプラスチック等の各種の樹脂で形成された中空体などで構成されている。連結する鉄筋籠の総重量等を考慮して、必要とする浮力を得るための浮力体62を浮力体収納籠体61に収容することができるようになっている。
吊着手段32は、浮力体収納籠体61の外周に数か所、本実施の形態では、籠体胴部の外周部(リング形状の補強材など)に略90度間隔で4箇所設けられた連結金具32aと、連結金具32aに通された線材32bと、線材32bの両端部を連結する連結金具32cとで構成されており、線材32bの両端部を連結金具32cで繋いで、鉄筋籠20Bの補強材23に繋ぎ止めるようになっている。連結金具32a、32cにはシャックル等が採用され、線材32bにはワイヤーや金属チェーン等が採用され得る。
掛止手段33は、浮力体収納籠体61の底面に数か所、本実施の形態では、底面周縁部に略90度間隔で4箇所設けられた線材取付部61bに取り付けられた線材33aと、線材33aの先端に取り付けられた掛止フック33bとを含んで構成され、掛止フック33bのフック部の内側面には、所定幅を有するガイド板(案内板)33cが固着されており、掛止枠24の外面にガイド板33cが当接する態様で取り付けられるようになっている。なお、ガイド板33cの幅は、掛止フック33bを掛止枠24に掛止させたときにフック部の掛止状態に捩れが生じない幅に設定されている。線材33aには、ワイヤーや金属チェーン等が採用され得る。
浮力付与装置60が取付けられる鉄筋籠20Bの補強材23の中で下方に位置するものの内側数箇所、本実施の形態では4箇所に掛止枠24が固着されている。鉄筋籠20Bの掛止枠24と、掛止フック33bのフック部の先端部とに、掛止枠24に掛止フック33bを掛止させた状態で仮止めピン25を挿着させるための挿通孔24a、33dがそれぞれ形成されている(図6に示したものと同様の構成を有する)。
上記した浮力体付与装置60が取付けられた鉄筋籠の建て込み方法は、実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法と略同様の手順で行われるので、ここではその説明を省略する。
次に実施の形態(2)に係る鉄筋籠の建て込み方法で用いられる浮力体離脱装置70について説明する。実施の形態(1)で使用した浮力体離脱装置50は、掘削機10のケリーバー11に連結して使用するように構成されていたが、実施の形態(2)で使用する浮力体離脱装置70は、掘削機10のクレーン機能(又はクレーン装置でもよい)を使ってフック16で吊り下げ状態で使用するように構成されている。
図14は、掘削孔3に建て込まれた鉄筋籠から浮力付与装置60を回収する方法を説明するための中段の鉄筋籠20B部分の部分段面図であり、浮力体離脱装置70を浮力付与装置60に被せるように降下させている状態を示している。
浮力体離脱装置70は、掘削孔3に建て込まれた鉄筋籠から浮力付与装置60を離脱させて回収するためのものであり、クレーン(吊り上げ)機能を有した掘削機10から吊り下げられたフック16を掛止させるための吊り上げ用ワイヤー71と、複数の錘部材72を配設(出し入れ)可能(すなわち、重量調整可能)な錘配設部73とを有する、浮力体収納籠体61を収容可能な浮力体収容体74を含んで構成されている。錘配設部73に配設される錘部材72の重量は、浮力体収納籠体61に収納される浮力体62による浮力よりも大きくなるように設定されている。また、各錘部材72は、略円板形状を有し、同一箇所にボルト76の挿通孔72aが複数個形成されており、浮力体収容体74の内側から各錘部材72の挿通孔72aにボルト76(天板部74aから突出する長さのものを適宜使用する)を通し、天板部74aから突出させたボルト76の先端部にナット77を取付けて締結することで、各錘部材72が錘配設部73に固定されるようになっている。
浮力体収容体74は、金属板(鋼板)を加工して逆有底筒形状に形成されており、その天板部74a、錘部材72、錘配設部73には、安定液面下を降下させる際に、収容体74内の空気を抜くための通孔75が形成されている。
浮力付与装置60の回収作業においては掘削機10のクレーン機能(又はクレーン装置でもよい)を利用する。まず、地上において掘削機10から吊り下げられたフック16に、浮力体離脱装置70の吊り上げ用ワイヤー71を掛止して、浮力体離脱装置70を吊り上げて掘削孔3上に配置した後、掘削孔3に建て込まれた鉄筋籠内に除々に降下させて、図14に示したように、浮力体収容体74を浮力体収納籠体61に被せていく。
この状態からさらに浮力体離脱装置70を降下させると、浮力体収容体74に収容された浮力体収納籠体61が浮力体離脱装置70とともに押し下げられていき、浮力体収納籠体61から吊り下げられた線材33aが緩み、掛止フック33bが掛止枠24から外れて、掛止フック33bはその自重により、略鉛直方向に吊り下げられた形となり、鉄筋籠20Bから浮力付与装置60が離脱された状態となる。
このとき浮力体収納籠体61が自ら浮上しようとするが、錘配設部73に配設される錘部材72の重量が、浮力体収納籠体61に収納される浮力体62による浮力よりも大きくなるように設定されているので、浮力体収納籠体61の浮き上がりを浮力体離脱装置70で抑えることができ、浮力体収納籠体61が急浮上することはない。その後、浮力体離脱装置70の収容体74内に浮力体収納籠体61を収めた状態のまま、浮力体離脱装置70を安定液面まで引き上げる。安定液面まで浮上させた浮力付与装置60を掘削機10のクレーン機能を使って吊り上げて掘削孔3から回収する。浮力付与装置60の回収後、通常のトレミー管の建て込み作業やコンクリートの打設作業等に移行する。
上記実施の形態(2)に係る鉄筋籠の建て込み方法によれば、上記実施の形態(1)に係る鉄筋籠の建て込み方法と略同様の効果を得ることができる。また、鉄筋籠の建て込み方法に使用する浮力付与装置60が、浮力体収納籠体61内に、複数の浮力体62を収納する構成となっているので、浮力体収納籠体61に収納する浮力体62の個数により、鉄筋籠に作用させる浮力を調整することができ、鉄筋籠の総重量や鉄筋籠を吊り上げる装置の能力等を考慮して、必要な浮力の調整を行うことが容易にできる。
また、実施の形態(2)に係る鉄筋籠の建て込み方法に使用する浮力体離脱装置70によれば、錘配設部73を有する浮力体収容体74の吊り上げ用ワイヤー71に掘削機10から吊り下げられたフック16を掛止した状態で、浮力体収容体74を掘削孔3内に降下させて、浮力体収納籠体61に被せた後さらに降下させて、浮力体収納籠体61を押し下げて、浮力体収納籠体61から吊り下げられた掛止フック33bを鉄筋籠20Bの掛止枠24から離脱させることができる。また、離脱させた浮力体収納籠体61は、浮力体離脱装置70の有する重量により抑えられているので、急激に浮上することがなく、安全かつ効率よく離脱及び回収作業を行うことができる。
なお、実施の形態(1)、(2)では、浮力付与装置30、60が中段の鉄筋籠20Bに取付けられた場合について説明したが、これら浮力付与装置30、60を中段の代わりに下段の鉄筋籠20Aに取り付けたり、下段と中段の鉄筋籠20A、20Bに取り付けて建て込みを行うこともでき、浮力付与装置30、60を取付ける鉄筋籠の位置(最上位の鉄筋籠を除く)及び個数(1つ以上)は、鉄筋籠の連結個数や、個々の鉄筋籠の重量、連結後の総重量などを勘案して設定することができる。
また、実施の形態(1)、(2)では、掘削機10のクレーン機能を利用して鉄筋籠の建て込みや浮力付与装置30、60の回収作業を行ったが、必ずしも掘削機10を利用する必要はなく、掘削機10の代わりに自走式のクレーン装置を使用してもよく、施工現場の状況(広さ、地盤強度、設備等)を考慮して、これら作業に使用する装置を適宜選択できる。いずれの吊り上げ装置を利用した場合でも、鉄筋籠建て込み時の吊り上げ荷重を確実かつ容易に軽減する優れた効果を得ることができ、作業の安全性等を向上させることができる。
3 掘削孔
5 安定液
10 掘削機
11 ケリーバー
20A、20B、20C 鉄筋籠
21 主筋
22 フープ筋
23 補強材
24 掛止枠
30、30A、30B 浮力付与装置
31 浮力体
32 吊着手段
33 掛止手段
50、70 浮力体離脱装置

Claims (11)

  1. 安定液が張られた場所打ち杭や地中連続壁用の掘削孔内に、複数の鉄筋籠を連結しながら建て込んでいく鉄筋籠の建て込み方法において、
    連結される複数の鉄筋籠のうち、最上位の鉄筋籠を除く、いずれか1つ以上の鉄筋籠に、浮力を付与する浮力体が前記安定液中で取外し可能な態様で前記鉄筋籠内に取り付けられたものを使用し、
    前記浮力体が掛止される鉄筋籠として、中心軸の周囲に該中心軸方向と略平行に配列された複数の主筋と、これら主筋の外側に略直交させて配設された多数のフープ筋と、これら主筋の内側に略直交させて配設されたリング形状をした複数の補強材とを含み、これら補強材のうち、最上位の補強材を除く、いずれかの内側面に複数の掛止枠が設けられたものを使用し、
    これら掛止枠に、前記浮力体から吊り下げられた掛止手段を掛止させた状態で、前記鉄筋籠を前記掘削孔内に建て込むことを特徴とする鉄筋籠の建て込み方法。
  2. 前記最上位の鉄筋籠を前記掘削孔に建て込んだ後、
    前記掘削孔に建て込んだ鉄筋籠内に、前記浮力体を前記鉄筋籠から離脱させて回収するための離脱装置を降下させていき、
    該離脱装置で前記浮力体を押し下げながら、該浮力体から吊り下げられた前記掛止手段を前記鉄筋籠の掛止枠から離脱させ、
    前記離脱装置で前記浮力体の浮き上がりを抑えながら、該浮力体を安定液の液面まで上昇させた後、前記浮力体を引き上げて回収することを特徴とすることを特徴とする請求項記載の鉄筋籠の建て込み方法。
  3. 前記浮力体が取り付けられた鉄筋籠を前記安定液面下に降下させる際に、所定液位よりも押し上げられた分の前記安定液を回収する一方、
    前記浮力体の引き上げ回収時に、前記安定液の液位が所定位置に保たれるように前記安定液を前記掘削孔に供給することを特徴とする請求項記載の鉄筋籠の建て込み方法。
  4. 請求項のいずれかの項に記載の鉄筋籠の建て込み方法で用いられる浮力付与装置であって、
    鉄筋籠内に収容可能な形状をした浮力体と、
    該浮力体を前記鉄筋籠内に吊着するための脱着可能な吊着手段と、
    前記掘削孔内の安定液中で浮上しようとする前記浮力体を前記鉄筋籠に繋ぎ止めるための掛止手段とを備えていることを特徴とする浮力付与装置。
  5. 前記浮力体の上部が先細りのテーパー形状を呈していることを特徴とする請求項記載の浮力付与装置。
  6. 請求項のいずれかの項に記載の鉄筋籠の建て込み方法で用いられる浮力付与装置であって、
    鉄筋籠内に収容可能な浮力体収納手段と、
    該浮力体収納手段に収納可能な形状をした複数の浮力体と、
    前記浮力体収納手段を前記鉄筋籠内に吊着するための脱着可能な吊着手段と、
    前記掘削孔内の安定液中で浮上しようとする、前記複数の浮力体が収納された浮力体収納手段を前記鉄筋籠に繋ぎ止めるための掛止手段とを備えていることを特徴とする浮力付与装置。
  7. 前記掛止手段が、前記鉄筋籠の掛止枠に掛止されるフック部を有する掛止フックと、該掛止フックと前記浮力体とを繋ぐ連結材と、前記掛止フックのフック部の内側面に固着された案内板とを備えていることを特徴とする請求項のいずれかの項に記載の浮力付与装置。
  8. 前記鉄筋籠の掛止枠と、前記掛止フックのフック部の先端部とに、前記掛止枠に前記掛止フックを掛止させた状態で仮止めピンを挿着させるための挿通孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項記載の浮力付与装置。
  9. 前記吊着手段が、前記浮力体に繋がれる線材と、該線材の端部どうしを脱着可能に連結する連結具とを含んで構成されていることを特徴とする請求項のいずれかの項に記載の浮力付与装置。
  10. 請求項のいずれかの項に記載の浮力付与装置を、掘削孔に建て込まれた鉄筋籠から離脱させて回収するための浮力体離脱装置であって、
    掘削機の伸縮駆動竪軸に連結する連結部を有し、前記浮力体を収容可能な逆有底筒形状をした浮力体収容体を含んで構成されていることを特徴とする浮力体離脱装置。
  11. 請求項のいずれかの項に記載の浮力付与装置を、掘削孔に建て込まれた鉄筋籠から離脱させて回収するための浮力体離脱装置であって、
    吊り上げ機能を有した装置から吊り下げられた掛止具を掛止させるための吊り上げ部と、複数の錘部材を配設可能な錘配設部とを有する、前記浮力体を収容可能な逆有底筒形状をした浮力体収容体を含んで構成されていることを特徴とする浮力体離脱装置。
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