JP3496558B2 - 電磁誘導加熱用複合材 - Google Patents
電磁誘導加熱用複合材Info
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Description
合材に関し、さらに詳しくは、アルミニウム基材などの
非磁性基材の片面に、高周波磁界により発生する誘導電
流(渦電流)により発熱体となる磁性材料層が形成され
た、高出力が可能な電磁誘導加熱用複合材に関する。ま
た、本発明は、高出力が可能な電磁誘導加熱用複合材か
らなるIH(電磁誘導加熱)ジャー炊飯器内釜などの電
磁誘導加熱用調理器具に関する。
釜に伝えて、中の米に熱を加える方式のものであった
が、最近では、ヒーターを使用せずに、内釜自体を発熱
させる電磁誘導加熱方式のIHジャー炊飯器が普及して
きている。発熱体となる内釜は、一般に、アルミニウム
層(内側)とステンレス層(外側)の二重構造となって
いる。このIHジャー炊飯器では、内釜の下にコイルが
設けられている。このコイルに、周波数が約20〜40
KHz程度となるように、インバーター回路中でスイッ
チのON/OFFを繰り返して、電流を断続的に流す
と、スイッチのON時にはコイルの周囲に磁界が発生
し、OFF時には消失するため、コイルの回りに磁力線
が断続的に発生する。この磁力線の数(磁束)の変化に
誘起されて、渦電流がステンレス層に発生する。ステン
レスは、電気抵抗値が大きいため、ステンレス層には電
流はわずかしか流れず、電気エネルギーのほとんどは熱
に変換される。この熱は、熱伝導性の良いアルミニウム
層を伝わって、内釜の全体に伝えられる。
理器用鍋などの電磁誘導加熱用調理器具は、発熱を受け
持つ鉄、ステンレスなどの磁性金属板と導熱を受け持つ
アルミニウム板とからなる複合材を、所定形状に打ち抜
き加工した後、アルミニウム板を内側として深絞り等の
プレス成形加工をすることにより製造されている。アル
ミニウム層側の表面(容器内面側に相当)には、炊飯等
のこびりつきを防止するために、通常、フッ素樹脂被覆
層が設けられている。このような複合材は、一般に、ロ
ール圧延によって、磁性金属板とアルミニウム板とを複
合化(クラッド化)することにより製造されている。
る複合材は、(1)アルミニウム板を圧縮して接合する
ため、板厚のバラツキが大きく、このため、プレス成形
加工時に割れやしわが発生しやすい、(2)複合材を所
定形状に打ち抜き加工する際に多量に発生する打ち抜き
しろも複合材であって、金属または合金の単独材ではな
いため、リサイクルが不可能である、(3)磁性金属板
を発熱に必要な部分にのみ配置した複合材の製造が困難
である、といった問題を抱えていた。
ム基材などの非磁性基材の片面に、メッキにより磁性材
料層を形成した電磁誘導加熱用複合材を提案している。
例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からな
るアルミニウム基材と、前記基材の片面の少なくとも
一部に形成された亜鉛または亜鉛合金からなる中間層
と、前記中間層の上に形成された高周波の磁束により
発生する渦電流が流れることにより発熱体となる導電層
とを備えた電磁加熱用金属板を発明し、提案している
(特開平8−191758号公報)。この導電層は、ニ
ッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、コバルト、コバル
ト合金などの磁性材料から形成し、より具体的には、こ
れらの金属イオンを含有する溶液から電気化学的転化法
(即ち、電気メッキ、無電解メッキなどのメッキ法)に
より形成しいる。中間層は、メッキ膜の密着性を高める
ために、アルミニウム基材上に形成している。
層が形成された電磁誘導加熱用複合材は、(1)圧縮に
よるクラッド化工程を必要としないため、アルミニウム
基材のプレス成形加工時に割れやしわが発生しない、
(2)アルミニウム基材を単独で打ち抜き加工するた
め、打ち抜きしろの再利用が可能である、(3)アルミ
ニウム基材を所望の形状にプレス成形加工した後、必要
な部分に磁性メッキ層を形成することができる、といっ
た利点がある。
ため、大きな発熱量を必要としている。一方、電磁誘導
加熱用複合材や調理器具において、磁性メッキ層などの
磁性材料層をできるだけ薄くすることが求められてい
る。その理由のひとつは、Ni−Fe合金などの磁性材
料が高価なため、磁性材料層の厚みを小さくすることが
コスト削減に有効だからである。また、磁性材料層を電
気メッキ法により形成する場合、その厚みは、電流密度
とメッキ時間との積に比例するが、磁性メッキ層の厚み
を薄くすることができれば、同一の電流密度でもメッキ
時間を短縮することができるため、この点でも、生産性
向上とコスト削減を図ることができる。他の理由として
は、磁性材料層を薄くすることにより、省エネルギー化
を達成できることを挙げることができる。より詳細に
は、電磁誘導加熱方式では、磁性材料層が発熱し、この
熱が熱伝導性の良いアルミニウム層に伝わり、それによ
って、容器内容物が加熱される。したがって、磁性材料
層が薄いほど、発生した熱がアルミニウム層に効率よく
伝達され、小さなエネルギーでの加熱が可能となる。
くともニッケルと鉄とを有し、膜厚を10〜100μm
とした電磁誘導加熱用合金メッキ膜を、非磁性基材など
のメッキ可能な基材上に形成した電磁誘導加熱用合金メ
ッキ材が開示されている。しかしながら、この公報に開
示された方法のみでは、十分な出力を得ることができな
い。すなわち、磁性メッキ層などの磁性材料層を薄くす
ると、電磁誘導加熱による出力が低下する。出力が小さ
な内釜を使用すると、発熱量が小さくなり、炊飯時、米
が生煮えとなったり、飯に芯が残ったりする。
ネルギーの入力を大きくすれば不可能ではないが、電気
回路に過負荷がかかり、回路の損傷を起こす可能性が高
い。また、回路の工夫でそれがカバーできたとしても、
エネルギーのロスが大きく、エネルギー変換効率を改善
することができない。
問題を解決し、真のメッキ薄膜化を図ることである。す
なわち、本発明の目的は、非磁性基材の片面の少なくと
も一部に磁性材料層が形成された電磁誘導加熱用複合材
において、磁性材料層などの発熱体層を薄くしても高出
力が可能な電磁誘導加熱用複合材を提供することにあ
る。
可能な電磁誘導加熱用複合材により形成された電磁誘導
加熱用調理器具を提供することにある。
するために鋭意研究した結果、非磁性基材の片面の少な
くとも一部に磁性材料層が形成された電磁誘導加熱用複
合材において、磁性材料層と、該磁性材料よりも電気抵
抗率が低い銅(Cu)からなる金属材料層とを、この順
に交互に少なくとも1組形成することにより、磁性材料
層と金属材料層とからなる発熱体層の合計膜厚を薄くし
ても、高出力が可能な電磁誘導加熱用複合材の得られる
ことを見いだした。本発明は、その知見に基づいて完成
するに至ったものである。
基材の片面の少なくとも一部に、磁性材料層と、該磁性
材料よりも電気抵抗率が低い銅(Cu)からなる金属材
料層とが、この順に交互に少なくとも1組形成されてお
り、磁性材料層がニッケル合金、鉄、鉄合金、コバル
ト、またはコバルト合金から形成された層であり、かつ
最外面に銅からなる金属材料層が配置されていることを
特徴とする電磁誘導加熱用複合材が提供される。
なる容器の外面の少なくとも一部に、磁性材料層と、該
磁性材料よりも電気抵抗率が低い銅(Cu)からなる金
属材料層とが、この順に交互に少なくとも一組形成され
ており、磁性材料層がニッケル合金、鉄、鉄合金、コバ
ルト、またはコバルト合金から形成された層であり、か
つ最外面に銅からなる金属材料層が配置されていること
を特徴とする電磁誘導加熱用調理器具が提供される。
該磁性材料よりも電気抵抗率が低いCuから なる金属材
料層を1組以上形成することにより、高出力が可能な電
磁誘導加熱用複合材が得られる機構は、現段階では、必
ずしも全面的には明らかではないが、本発明者は、次の
ように考えている。
れたコイルに高周波電流を断続的に流して高周波磁界を
発生させ、それにより、調理器具自体に誘導電流を発生
させて、発熱させている。このような電磁誘導加熱用調
理具の発熱体層は、高周波磁界に鎖交して誘導電流を発
生する必要があるため、磁性材料から形成されることが
必須の条件である。外部の高周波磁界に対し、発熱体層
のうちで磁化されるのは、その表面から式(1)で表さ
れる深さ(t)の箇所であることが知られている。
/m〕、f=周波数〔Hz〕) すなわち、電磁誘導加熱において、発熱体層は、その表
面から深さ(t)の箇所で主に発熱することになる。し
たがって、高出力を維持しながら発熱体層を薄くするに
は、この深さ(t)をできるだけ小さくする必要があ
る。周波数(f)は、電磁誘導加熱に使用する機器の種
類によって決まるものであるから、この深さ(t)をで
きるだけ小さくするには、透磁率(μ)と導電率(c)
とをできるだけ大きくすればよい。
することにより大きく向上することが知られている。磁
性合金の中でも有名なのが、NiにFeを固溶させたパ
ーマロイと呼ばれる高透磁率の合金である。ところが、
固溶体のような合金では、いずれかの成分が単独の場合
よりも大きい電気抵抗率を示し、導電率が低下する。そ
のため、透磁率と導電率が共に高い磁性材料を得るのは
困難である。
なる磁性材料層の上に、該磁性材料よりも電気抵抗率が
低い(即ち、導電率が高い)Cuからなる金属材料層を
形成すると、磁性材料層の高透磁率とCuからなる金属
材料層の高導電率とが組み合わされるため、これら各層
からなる発熱体層の厚みを薄くしても、高出力が可能な
電磁誘導加熱用複合材を得ることができる。
れていても、導電率が低いため発熱難となる磁性材料の
難点を克服する技術である。このような透磁率の特に高
い材料としては、パーマロイと呼ばれるNi−Fe合
金、さらにスーパーマロイと呼ばれるNi−Fe合金に
Mo、Cr、Cuなどを添加した合金、センダストと呼
ばれるFe−Si−Al合金、ケイ素鋼板が好ましい。
他にも、透磁率の高い材料があれば、これらに限定され
るものではない。
は、ニッケル合金、鉄(Fe)、鉄合金、コバルト(C
o)、コバルト合金が挙げられる。これらの中でも、高
透磁率である点で、各種合金が好ましく、具体的には、
Ni−Fe合金、Ni−Co合金などが挙げられる。こ
れらの中でも、生産性の点から、Ni−Fe合金(パー
マロイ)が特に好ましい。純鉄(Fe)も発熱特性の点
で好ましい。これらの金属または合金に各種元素を添加
することができる。このような元素としては、例えば、
燐(P)、炭素(C)、及びホウ素(B)などを挙げる
ことができる。これらの元素を磁性材料層中に分散させ
ることにより、電磁誘導加熱したときの「固有抵抗/浸
透深さ」の比で表される表皮抵抗を高めて、発熱量を高
めることができる(特開平8−191758号公報)。
これらの元素は、磁性材料層中に分散させるが、実質的
には、例えば、Ni−P合金、Ni−B合金、Ni−C
合金、Fe−C合金、Fe−B合金などの合金を形成し
ていると推定される。
磁性材料層に使用する磁性材料よりも電気抵抗率が低
く、かつ、発熱特性、コスト、生産性などの観点から、
Cuが用いられる。
は、メッキ、溶射、スパッタ、圧延のいずれの方法で形
成してもよい。これらのなかでも、メッキ法(電気メッ
キ、無電解メッキなど)を採用すると、非磁性基材上に
所望の厚みの各層を順次に形成することができるので好
ましい。メッキ法では、金属イオンを含有する溶液から
の電気化学的転化により、磁性材料層及びCuからなる
金属材料層を形成する。メッキ法で使用するメッキ浴の
組成やメッキ処理条件などは、適宜、所望に応じて選択
することができる。例えば、Ni−Fe合金層をメッキ
法により形成するには、NiイオンとFeイオンを含有
するメッキ浴を用い、電流の印加を高電流と低電流とに
調整して行うことにより、所望の原子比を有する極めて
薄いNi−Fe合金メッキ層を容易に形成することがで
きる。
が、熱伝導性と経済性とのバランス等の観点からみて、
通常、10〜200μm、好ましくは30〜150μm
程度である。発熱体の大幅な薄膜化を図るには、多くの
場合、磁性材料層の膜厚を30〜100μm程度、さら
には30〜70μm程度とすることにより、良好な結果
を得ることができる。なお、磁性材料層は、1層として
だけではなく、所望により2層以上の多層に形成しても
よい。多層に形成する場合は、各層の合金組成が異なっ
ていてもよい。磁性材料層とCuからなる金属材料層と
は、非磁性基材上に、この順に交互に形成する。
を1組とすると、磁性材料層とCuからなる金属材料層
とは、交互に1組形成してもよいが、所望により、2組
以上の多層に形成することができる。この場合は、磁界
の発生源であるコイルに近い方、すなわち、最外面に磁
性材料層より低電気抵抗のCuからなる金属材料層が配
置される。すなわち、磁界に近接する磁性材料層の表面
近傍に渦電流が集中するため、低電気抵抗のCuからな
る金属材料層は渦電流の発生する表面層に接触させるこ
とにより、効率よく機能する。
0組、好ましくは1〜10組程度の範囲内で形成する
が、所望により、それ以上の多層で形成してもよい。多
層中の各磁性材料層及びCuからなる金属材料層の厚み
は、0.1〜20μmの範囲で適宜の組み合わせが可能
であり、全体としての厚みを、通常10〜200μm、
好ましくは30〜150μm、より好ましくは30〜7
0μmの範囲にすればよい。非磁性基材上に、「磁性材
料層/Cuからなる金属材料層」をこの順で交互に1組
または2組以上形成することが発熱特性の点で好まし
い。
定されないが、磁性材料層と組み合わせて薄膜化を達成
するには、通常、1〜30μm、好ましくは3〜25μ
m、より好ましくは5〜20μm程度とする。Cuから
なる金属材料層は、1層としてだけではなく、所望によ
り2層以上の多層に形成してもよい。磁性材料層とCu
からなる金属材料層とを2組以上の多層に形成する場
合、各金属材料層の厚みは任意であり、好ましくは0.
1〜20μmの範囲から選択され、その全体の厚みを1
〜30μmの範囲内にすることがより好ましい。また、
「磁性材料層/Cuからなる金属材料層」の各組及び全
体の磁性材料層とCuからなる金属材料層との厚みの比
は、通常、2:1〜15:1の範囲とすることが好まし
い。
ルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウ
ム基材、非磁性ステンレス基材等の各種の非磁性金属材
料が任意に用いられ、また、セラミック基材、ガラス基
材などを使用することができる。これらのなかでも、熱
伝導性や加工性などの点で、アルミニウムまたはアルミ
ニウム合金からなるアルミニウム基材が好ましい。IH
ジャー炊飯器の内釜の用途には、アルミニウム基材が特
に好ましい。非磁性基材の厚みは、強度、熱伝導性、用
途などに応じて、適宜定めることができるが、通常、
0.5〜5mm程度である。
ッ素樹脂被覆層を形成して、非粘着性とすることができ
る。非磁性基材を容器の形状に成形する場合には、その
内側の面にフッ素樹脂被覆層を形成する。フッ素樹脂被
覆層は、非磁性基材を容器の形状に成形してから、その
内側の表面に形成してもよいし、あるいは、アルミニウ
ム基材などの場合には、フラットな板材(例えば、サー
クル板)の形状でフッ素樹脂被覆層を形成してから容器
の形状にプレス成形加工してもよい。フッ素樹脂被覆層
の厚みは、特に限定されないが、熱伝導性の観点から、
通常5〜100μm、好ましくは10〜60μm程度と
することが望ましい。フッ素樹脂としては、四フッ化エ
チレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
A)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)などを単独またはブレンド若し
くは積層して用いることができる。
成する磁性材料層とCuからなる金属材料層とからなる
発熱体層は、必ずしも全面に形成する必要はなく、例え
ば、IHジャー炊飯器の内釜として使用する場合は、コ
イルが配置されている底部領域(底面や底面から立ち上
がる外側壁面の下部)にのみこれら各層を形成すること
ができる。磁性材料層及びCuからなる金属材料層は、
非磁性基材を容器の形状に成形してから、その外側の表
面にメッキ法により形成してもよいし、あるいは、アル
ミニウム基材などの場合は、フラットな板材(例えば、
サークル板)の形状で、その片面にこれら各層を形成し
てから容器の形状にプレス成形加工してもよい。また、
磁性材料層を底部領域のみに形成して、Cuからなる金
属材料層を全面に形成してもよい。あるいは、その逆の
パターンの組み合わせも可能である。
る場合は、その表面が酸化アルミニウムを主成分とする
層で覆われているため、そのままでは磁性材料層との密
着性に劣る場合がある。そのため、ジンケート処理によ
り、アルミニウム基材の表面に亜鉛または亜鉛合金
(鉄、ニッケル、コバルトなどとの合金)からなる中間
層(亜鉛置換メッキ処理層など)を形成して、密着性を
高めることができる。
炊飯器内釜などの用途に使用する場合には、耐食性を向
上させるために、発熱体層の上に、クロムメッキ、ニッ
ケルメッキ、クロメート処理被膜、亜鉛メッキ被膜など
の耐食性金属被膜を形成することができる。発熱体層の
上に、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂な
どの耐熱性樹脂の被覆層を形成することもできる。これ
らの耐食性金属被膜や耐熱性樹脂被覆層は、耐食層とな
る。特に、銅(Cu)からなる腐食性の金属層が発熱体
層の最外面に配置されているので、最外面の銅(Cu)
層を耐食層により被覆することが耐久性の観点から好ま
しい。
示すように、非磁性基材1の片面に磁性材料層2を形成
し、さらにその上にCuからなる金属材料層3を形成し
た基本的な層構成を有しており、非磁性基材の他方の面
には、フッ素樹脂層4などの非粘着層を形成することが
できる。また、Cuからなる金属材料層3の上には、耐
食層を形成してもよい。基本的な層構成として、「アル
ミニウム基材/高透磁率の磁性材料層/低電気抵抗率の
Cuからなる金属材料層」を有する電磁誘導加熱用複合
材が好ましく、「アルミニウム基材/Ni−Fe合金層
/Cu層」を有する電磁誘導加熱用複合材が特に好まし
い。本発明の電磁誘導加熱用複合材は、図2に示すよう
に、非磁性基材1の片面に磁性材料層2とCuからなる
金属材料層3を、交互に2組以上形成してもよい。すな
わち、「高透磁率の磁性材料層/低電気抵抗率のCuか
らなる金属材料層」を交互に2組以上形成することがで
きる。本発明の電磁誘導加熱用複合材は、IHジャー炊
飯器の内釜や電磁調理器用鍋などの電磁誘導加熱用調理
器具の用途に好適である。
ついてより具体的に説明する。
合金、厚み=2.4mm、100mm角〕に、NaCl
水溶液中で電解エッチングを施し、その表面に微細な凹
凸を設けた。その片面に、四フッ化エチレン樹脂分散液
を塗布し、焼き付けて、四フッ化エチレン樹脂被覆層
(厚み20μm)を形成した。
20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に80℃で浸漬処
理した後、AZ102(上村工業社製)の50g/Lの
60℃水溶液に浸漬し、水洗後、ジスマッターAZ−2
01(上村工業社製)100g/L+硝酸800ml/
Lを用いて、室温で処理を実施した。次いで、ジンケー
ト処理を、AZ401(上村工業社製)を用いて行い、
厚み0.1μmのジンケート層を形成した。
成の電気メッキ浴に浸漬し、窒素ガスバブリング中、
浴温60℃、陰極電流密度20A/dm2の条件下で電
気メッキ処理を行い、その片面に厚み40μmのNi−
Fe(Fe=20%)合金メッキ層を形成した。
キ層を形成したアルミニウム基材を下記組成のメッキ
浴に浸漬し、窒素ガスバブリング中、浴温60℃、陰極
電流密度20A/dm2の条件下で電気メッキ処理を行
い、その片面に厚み10μmのNiメッキ層を形成し
た。
40μmのNi−Fe(Fe=20%)合金メッキ層を
形成した。次に、これを下記組成 の電気メッキ浴に浸
漬し、空気バブリング中、浴温25℃、陰極電流密度2
0A/dm2の条件下で電気メッキ処理を行い、厚み2
μmの銅メッキ層を形成した。耐食性のために、厚み2
μmのクロムメッキを行った。さらに、製造例1の組成
の電気メッキ浴を用いて、厚み1μm程度のNiメッ
キを実施し、耐食層とした。
0μmとし、Niメッキ層を形成しなかったこと以外
は、製造例1と同様にして、図3に示す層構成の電磁誘
導加熱用複合材を作製した。
し、Ni−Fe合金メッキ層を形成しなかったこと以外
は、製造例1と同様にして、図4に示す層構成の電磁誘
導加熱用複合材を作製した。
%からFe=15%に変えたこと以外は、比較例1と同
様にして、図3に示す層構成の電磁誘導加熱用複合材を
作製した。
を、そのメッキ層の面を下にして、電磁誘導加熱調理器
KZ−P2〔松下電器産業(株)製〕上に載して出力最
大で加熱した。その際の表面温度を測定した。ところ
が、加熱の途中でセンサーが作動し、操作パネル上の通
電停止を表すランプが点滅し、表面温度は一定に保持さ
れた。そこで、センサー作動までの時間及びセンサー作
動時の表面温度を測定した。結果を表1に示す。
1)は、センサー作動時までに115℃以上の温度に加
熱することができた。これに対して、磁性材料層が単層
の場合(比較例1及び3)は、15〜24秒でセンサー
が作動し、60℃以上の温度に昇温することができなか
った。Ni単層の場合(比較例2)は、センサーが直ち
に作動し、昇温することができなかった。
なくとも一部に磁性材料層が形成された電磁誘導加熱用
複合材において、磁性材料層と該磁性材料よりも電気抵
抗率が低いCuからなる金属材料層とを交互に少なくと
も1組形成することにより、磁性材料層などの発熱体層
を薄くしても、高出力が可能な電磁誘導加熱用複合材が
提供される。また、本発明によれば、このような高出力
が可能な電磁誘導加熱用複合材により形成された電磁誘
導加熱用調理器具が提供される。
を示す断面略図である。
一例を示す断面略図である。
断面略図である。
示す断面略図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 非磁性基材の片面の少なくとも一部に、
磁性材料層と、該磁性材料よりも電気抵抗率が低い銅
(Cu)からなる金属材料層とが、この順に交互に少な
くとも1組形成されており、磁性材料層がニッケル合
金、鉄、鉄合金、コバルト、またはコバルト合金から形
成された層であり、かつ最外面に銅からなる金属材料層
が配置されていることを特徴とする電磁誘導加熱用複合
材。 - 【請求項2】 非磁性基材の片面の少なくとも一部に、
磁性材料層が形成され、該磁性材料層の上に、該磁性材
料よりも電気抵抗率が低い銅(Cu)からなる金属材料
層が形成されている請求項1記載の電磁誘導加熱用複合
材。 - 【請求項3】 非磁性基材の片面の少なくとも一部に、
磁性材料層と銅(Cu)からなる金属材料層とが、この
順に交互に少なくとも2組形成されている請求項1記載
の電磁誘導加熱用複合材。 - 【請求項4】 非磁性基材がアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金からなるアルミニウム基材であり、磁性材料
層がNi−Fe合金層またはFe層である請求項1ない
し3のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱用複合材。 - 【請求項5】 磁性材料層及び銅(Cu)からなる金属
材料層が、それぞれメッキ層である請求項1ないし4の
いずれか1項に記載の電磁誘導加熱用複合材。 - 【請求項6】 非磁性基材と磁性材料層との間に、亜鉛
または亜鉛合金からなる中間層が付加的に形成されてい
る請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電磁誘導加
熱用複合材。 - 【請求項7】 非磁性基材の片面の少なくとも一部に、
磁性材料層と銅(Cu)からなる金属材料層とが、この
順に交互に少なくとも1組形成され、かつ、最外面の銅
(Cu)層が耐食層により被覆されている請求項1ない
し6のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱用複合材。 - 【請求項8】 非磁性基材からなる容器の外面の少なく
とも一部に、磁性材料層と、該磁性材料よりも電気抵抗
率が低い銅(Cu)からなる金属材料層とが、この順に
交互に少なくとも一組形成されており、磁性材料層がニ
ッケル合金、鉄、鉄合金、コバルト、またはコバルト合
金から形成された層であり、かつ最外面に銅からなる金
属材料層が配置されていることを特徴とする電磁誘導加
熱用調理器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4508299A JP3496558B2 (ja) | 1998-12-01 | 1999-02-23 | 電磁誘導加熱用複合材 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34206898 | 1998-12-01 | ||
JP10-342068 | 1998-12-01 | ||
JP4508299A JP3496558B2 (ja) | 1998-12-01 | 1999-02-23 | 電磁誘導加熱用複合材 |
Related Child Applications (1)
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