JP2006320559A - 電磁調理容器とその製造方法 - Google Patents

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Shinji Inasawa
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Nobumasa Matsushita
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Abstract

【課題】 実用レベルの密着強度を有する上、電気めっき等によって直接に形成したのと同等の薄い発熱層が、容器本体の材質や立体形状等に関係なく、当該容器本体の任意の領域に形成された電磁調理容器と、この電磁調理容器を、できるだけ少ない工程で、生産性よく製造するための製造方法とを提供する。
【解決手段】 電磁調理容器1は、容器本体2の外側表面20に、厚み10〜200μmの、磁性材料の薄膜30を、接着層4を介して接着させて発熱層3を形成した。製造方法は、容器本体2の表面20の、発熱層3を形成する領域の立体形状に対応した立体形状を有する金型の表面を陰極とする電気めっきによって磁性材料の薄膜30を形成し、金型の表面から離型した後、容器本体2の上記領域に、接着層4を介して接着して発熱層3を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁誘導加熱調理器(以下、「IH調理器」と記載する場合がある)の、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される電磁調理容器と、その製造方法とに関するものである。
近年、これまでの、電熱ヒータによる加熱に代えて、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって調理物を加熱して調理を行う、電磁誘導加熱調理が、特に、炊飯器の分野において、広く普及しつつある。電磁誘導加熱調理を利用した、いわゆるIH炊飯器等のIH調理器においては、調理物を収容する調理容器として、Alやその合金等の、高い熱伝導性を有する金属からなる層と、Ni、Fe等の金属やその合金等の、磁性材料からなる発熱層とを交互に、複数層ずつ積層した積層構造を有する、いわゆるクラッド材を絞り加工する等して形成した電磁調理容器が一般に用いられる。
しかし、クラッド材からなる電磁調理容器は、発熱を必要としない領域にも磁性材料の層が存在することから、重量が大きくなると共に、クラッド材を生産するためには大規模な設備が必要であることから、電磁調理容器のコストアップにつながるという問題がある。そこで、Alやその合金等からなる容器本体の表面、特に、外側表面に、発熱層として、磁性材料の薄膜を形成した積層構造を有する電磁調理容器が提案されている(特許文献1参照)。
この電磁調理容器の容器本体は、Alやその合金等からなる単層の板材を絞り加工する等して形成され、また、磁性材料の薄膜からなる発熱層は、上記容器本体の表面に、磁性材料を、電気めっきや溶射等の成膜方法によって、直接に成膜することで形成される。そのため、クラッド材を必要としないことから、電磁調理容器を、よりコスト安価に製造することができる。また、磁性材料からなる発熱層を形成する際に、容器本体の表面の、所定の領域以外の領域をマスキングすることで、発熱を必要とする領域にのみ発熱層を形成でき、電磁調理容器の重量を小さくすることもできる。
しかし、発熱層に実用レベルの密着強度を付与するためには、容器本体の表面を粗面化したり、また、特に、Alやその合金からなる容器本体の表面は酸化膜で覆われていることから、これを除去した後、ジンケート処理したりする前処理の工程が必要である上、発熱を必要とする領域にのみ発熱層を形成するためには、容器本体の表面を、上記のようにマスキングする工程を必要とするため、製造工程数が増加して生産性が低下するという問題がある。
また、近時、IH炊飯器において、ご飯を、より一層、おいしく炊くために、セラミック材料、特に陶器からなる土鍋状の容器本体を使用することが検討されているが、セラミック材料からなる容器本体は絶縁性であるため、その表面に、直接に、電気めっきによって発熱層を形成することはできない。また、絶縁性の下地上に電気めっきによって層を形成するための常套手段である、当該表面を化学めっきによって導電化した上に電気めっきする方法を採用することもできない。これは、特に、陶器製の容器本体が多孔質であって、めっき液を内部に吸収しやすく、その表面に、連続した良好な導電化層や発熱層を形成できないことと、内部に吸収しためっき液を完全に除去するのが難しく、食品衛生上、問題を生じるおそれがあることが原因である。
磁性材料からなる板材を絞り加工したものを、容器本体に嵌め合わせて発熱層を形成することも検討されるが、絞り加工では、電気めっきや溶射等によって形成されるような薄い発熱層を形成できないため、電磁調理容器の重量が大きくなるという問題がある。また、絞り加工できる形状に限界があり、容器本体の複雑な立体形状に対応した発熱層を形成するのが難しいという問題もある。
特開平9−224819号公報(請求項1、第0016欄〜第0017欄、第0024欄、第0030欄〜第0034欄)
本発明の目的は、実用レベルの密着強度を有する上、電気めっき等によって直接に形成したのと同等の薄い発熱層が、容器本体の材質や立体形状等に関係なく、当該容器本体の任意の領域に形成された電磁調理容器と、この電磁調理容器を、できるだけ少ない工程で、生産性よく製造するための製造方法とを提供することにある。
請求項1記載の発明は、電磁誘導加熱調理器の、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される電磁調理容器であって、容器本体を有すると共に、この容器本体の表面の少なくとも一部の領域に、厚み10〜200μmの、磁性材料の薄膜を、接着層を介して接着させて形成される発熱層を備えることを特徴とする電磁調理容器である。
請求項2記載の発明は、発熱層が、電磁調理容器の容器本体の、当該発熱層を形成する領域の立体形状に対応した立体形状を有する金型の表面を陰極とする電気めっきによって形成した磁性材料の薄膜を、金型の表面から離型した後、容器本体の上記領域に、接着層を介して接着させて形成される請求項1記載の電磁調理容器である。
請求項3記載の発明は、容器本体が、金属材料によって形成されると共に、接着層が、容器本体を形成する金属材料、および薄膜を形成する磁性材料より融点の低い金属材料によって形成され、この接着層を、容器本体と薄膜との間に挟んだ状態で加熱して溶融させた後、冷却することで、薄膜が、接着層を介して容器本体に接着される請求項1記載の電磁調理容器である。
請求項4記載の発明は、容器本体が、セラミックによって形成されると共に、接着層が、無機系または有機系の接着剤によって形成され、この接着層を、容器本体と薄膜との間に挟んだ状態で加熱した後、冷却することで、薄膜が、接着層を介して容器本体に接着される請求項1記載の電磁調理容器である。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の電磁調理容器を製造する方法であって、容器本体の表面の、発熱層を形成する領域の立体形状に対応した立体形状を有する金型の表面を陰極とする電気めっきによって、当該表面に、磁性材料の薄膜を形成する工程と、形成した薄膜を、金型の表面から離型する工程と、離型した薄膜を、容器本体の上記領域に、接着層を介して接着して発熱層を形成する工程とを含むことを特徴とする電磁調理容器の製造方法である。
請求項1記載の発明においては、厚み10〜200μmという薄い、磁性材料の薄膜を用いて発熱層を形成することができる。また、あらかじめ形成した上記薄膜を、接着層を介して、容器本体の表面の任意の領域、好ましくは、発熱を必要とする領域にのみ接着することで、当該領域にのみ選択的に、発熱層を形成することができる。そのため、請求項1記載の発明によれば、従来の、全体をクラッド材で形成したものや、磁性材料からなる厚い板材を絞り加工して形成した発熱層を有するもの等に比べて、電磁調理容器の重量を小さくすることができる。
また、請求項1記載の発明では、あらかじめ形成した磁性材料の薄膜を、上記のように、接着層を介して、容器本体の表面に接着して発熱層を形成していることから、容器本体の材質に関係なく、より少ない工程で、発熱層を形成することができる。
例えば、容器本体が金属材料からなる場合には、その表面を前処理する工程やマスキングする工程等を省略して、できるだけ少ない工程で、接着層の接着力によって、実用レベルの密着強度を有する薄い発熱層を形成することができる。また、容器本体が、電気めっきや、化学めっきと電気めっきとを組み合わせた方法等の、いわゆる湿式法によって膜形成することが困難な、絶縁性で、かつ多孔質体である、陶器等のセラミックによって形成されている場合でも、そのことに関係なく、できるだけ少ない工程で、接着層の接着力によって、実用レベルの密着強度を有する薄い発熱層を形成することができる。
したがって、請求項1記載の発明によれば、実用レベルの密着強度を有する上、電気めっき等によって直接に形成したのと同等の薄い発熱層が、容器本体の材質等に関係なく、当該容器本体の任意の領域に形成された電磁調理容器を提供することが可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、容器本体の、発熱層を形成する領域の立体形状に対応した立体形状を有する金型の表面を陰極とする電気めっきによって形成した磁性材料の薄膜を用いて発熱層を形成しているため、従来の、絞り加工では形成できないような複雑な立体形状を有する発熱層であっても、容易に形成することができる。
容器本体が金属材料によって形成される場合には、請求項3に記載したように、接着層を、容器本体を形成する金属材料、および薄膜を形成する磁性材料より融点の低い金属材料によって形成し、この接着層を、容器本体と薄膜との間に挟んだ状態で加熱して溶融させた後、冷却することで、薄膜を、接着層を介して容器本体に接着させて発熱層を形成するのが、当該発熱層の接着性や接着の耐熱性等の点で好ましい。
また、容器本体がセラミック材料によって形成される場合は、請求項4に記載したように、接着層を、無機系またや有機系の接着剤によって形成し、この接着層を、容器本体と薄膜との間に挟んだ状態で加熱した後、冷却することで、薄膜を、接着層を介して容器本体に接着させて発熱層を形成するのが、やはり、発熱層の接着性や接着の耐熱性等の点で好ましい。
請求項5記載の発明によれば、電気めっきによって形成した磁性材料の薄膜を、金型の表面から離型させて、容器本体の表面に、接着層を介して接着するだけで、発熱層を形成できるため、上記のように優れた特性を有する本発明の電磁調理容器を、できるだけ少ない工程で、効率よく製造することができる。
図1(a)は、本発明の電磁調理容器の、実施の形態の一例としての、IH炊飯器の内鍋1を示す正面図、図1(b)は、図1(a)の例の内鍋1の一部を拡大した断面図である。両図を参照して、この例の内鍋1は、容器本体2と、その外側表面20のうち、底面から、側面の下部にかけての領域を覆うように設けた発熱層3とを備えている。また、発熱層3は、磁性材料の薄膜30を、上記領域に、接着層4を介して接着させることで形成されている。
上記のうち、容器本体2としては、IH炊飯器用の内鍋等として公知の種々の構造を有するものが、いずれも使用可能であるが、特に、
(1) Alやその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料からなるもの、または、
(2) セラミック材料からなるもの
が好ましい。
このうち、(1)の金属材料からなる容器本体2は、当該金属材料の板材を、絞り加工する等して形成される。その厚みは、強度や熱伝導性等を考慮して適宜、設定することができるが、通常は、0.5〜5mm程度であるのが好ましい。上記(1)の容器本体2は、熱伝導性に優れることから、特に、ご飯を、より強い火力でおいしく炊くことができるという利点がある。また、炊き上がったご飯を保温する際には、外部から加えたエネルギーを、熱として、ご飯に効率よく伝えることができるため、消費電力を低減できるという利点もある。
容器本体2の、外側表面20または内側表面には、熱伝導性に優れるCuの層を形成して、当該容器本体2の熱伝導性をさらに向上させることもできる。また容器本体2の外側表面20に、発熱層3より電気抵抗が低いため、当該発熱層3の抵抗率を引き下げることで、渦電流損失を大きくして発熱量を増加させる機能を有するCuやNiの層(以下、両層を「低抵抗層」と総称する場合がある)を形成すると共に、接着層4を、後述するように金属材料で形成して、低抵抗層と発熱層3とを、接着層4を介して電気的に接続した状態としても良い。これにより、発熱層3の厚みはそのままで発熱量を増加させたり、発熱量はそのままで、発熱層3の厚みを小さくして内鍋1を軽量化したりすることができる。
また、容器本体2の、調理物を収容する内側表面には、調理物のこびり付きや焦げ付き等を防止するため、従来同様に、テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)等のフッ素樹脂をコーティングしてもよい。
一方、(2)の容器本体2としては、従来公知の、種々のセラミックからなるものがいずれも使用できるが、特に、各種の陶土を磁器よりも低温で焼成して形成され、その内部に、比較的大きな多孔質構造を有する陶器製の、土鍋状の容器本体2が好ましい。陶器製の容器本体2は、(1)の金属材料からなるものに比べて熱伝導性は低いが、内部の多孔質構造に基づいて、高い保温性を有することから、一度、高温に加熱すると、その温度を安定に維持して、ご飯をさらにおいしく炊くことができるという利点がある。
発熱層3のもとになる薄膜30は、磁性材料として機能する金属や合金によって形成することができる。薄膜30を形成する金属や合金としては、例えば、Ni、Fe等の金属単体や、Ni、FeおよびCoのうちの2種以上を含むと共に、必要に応じて、P、C、B等が添加された、磁性材料として機能しうる種々の合金等が挙げられ、特に、Ni−Fe合金(パーマロイ)が好適に使用される。Ni−Fe合金の組成は、Niが40〜90重量%、特に70〜85重量%の範囲内、Feが10〜60重量%、特に15〜30重量%の範囲内であるのが好ましい。
図1(a)に示すように、容器本体2の外側表面20のうち、底面から、側面の下部にかけての領域を覆う立体形状を有する発熱層3は、当該容器本体2の、上記領域の立体形状に対応した立体形状を有する金型の表面を陰極とする電気めっきによって、当該金型の表面に沿って立体形状に形成した磁性材料の薄膜30を、金型の表面から離型させた後、容器本体2の上記領域に、接着層4を介して接着させることで形成される。
上記の方法によって磁性材料の薄膜30を形成する際に使用する金型としては、少なくとも、その陰極として機能して薄膜30が形成される表面が、ステンレス鋼で形成されたものを使用するのが好ましい。ステンレス鋼の表面は、強固な不導体皮膜を有することから、薄膜30の密着性が低く、当該薄膜30を、変形等を生じることなく、スムースに離型できるという利点を有している。なお、薄膜30をよりスムースに離型できるようにするためには、上記表面を、さらに鏡面仕上げしておくのが好ましい。
磁性材料の薄膜30の厚みは、10〜200μmである必要がある。厚みがこの範囲未満では、当該薄膜30の強度が不十分になって、例えば、金型から離型させる際や、容器本体2に、接着層4を介して接着させる際等に、折れ、シワ、破れ等の変形を生じやすくなる。また、薄膜30によって形成される発熱層3の発熱量が不十分になるという問題もある。一方、厚みが上記の範囲を超える場合には、内鍋1の重量が大きくなるという問題がある。なお、これらの点を合わせ考慮すると、薄膜30の厚みは、上記の範囲内でも、
20〜100μm、特に、30〜80μmであるのが好ましい。
また、発熱層3となる磁性材料の薄膜30の、少なくとも片面には、他の金属層を積層してもよい。薄膜30と積層される他の金属層としては、例えば、先に説明した、CuやNi等からなる低抵抗層等が挙げられる。低抵抗層は、薄膜30の、容器本体2と接着される側の面、その反対面、およびこの両面のいずれに形成しても良い。
磁性材料の薄膜30と、低抵抗層等の他の金属層との積層体は、例えば、前記金型の表面に、当該表面を陰極とする電気めっきによって、順に、それぞれの層を形成する金属を析出させることで形成される。また、例えば、金型から離型させた磁性材料の薄膜30の、容器本体2と接着される側の面、その反対面、およびこの両面のいずれかを陰極とする電気めっきによって低抵抗層等を形成して、積層体を形成することもできる。
また、特に、金属材料からなる容器本体2と磁性材料の薄膜30とを接着するのに適した、金属材料からなる接着層4を、上記と同様の方法で、薄膜30の、容器本体2と接着される側の面に積層することもできる。ただし、金属材料からなる接着層4は、容器本体2の外側表面20のうち、発熱層3を設ける領域に、電気めっきや溶射によって、直接に形成しても良い。
前記のように、ステンレス鋼からなり、鏡面仕上げされた金型の表面は、磁性材料の薄膜30、または、当該薄膜30を含む積層体の離型性に優れるが、かかる薄膜30や積層体を、変形を防止しながら、より一層、スムースに、金型の表面から離型させるためには、例えば、電解質溶液中で、当該金型の表面を陰極とする陰極電解処理をして離型させたり、あらかじめ、金型の表面に、界面活性剤を塗布した上に、電気めっきによって、薄膜30等を形成したり、冷水中に投入する等して急速に冷却することで、熱衝撃を与えて離型させたりする方法が挙げられる。
接着層4としては、容器本体2の外側表面20に、磁性材料の薄膜30を接着することができる、有機または無機の種々の材料からなる層が挙げられる。しかし、炊飯時に、発熱層3が高温に発熱すること、接着層4が高温の水蒸気に曝されること等を考慮すると、当該接着層4としては、無機系の材料からなる層が好ましい。また、接着層4としては、接着する容器本体2の材質に適した接着層4が採用される。
例えば、容器本体2が金属材料からなる場合には、接着層4として、当該容器本体2を形成する金属材料、および薄膜30を形成する磁性材料より融点の低い金属材料の層が好適に採用される。かかる接着層4は、前記のように、容器本体2の外側表面20のうち、発熱層3を設ける領域に、電気めっきや溶射によって、直接に形成したり、薄膜30の、容器本体2と接着される側の面に積層したりすることができる。
そして、この接着層4を、容器本体2と薄膜30との間に挟んだ状態で、容器本体2を形成する金属材料、および薄膜30を形成する磁性材料の融点以下で、かつ自身の融点以上の温度に加熱して溶融させた後、融点以下に冷却して固化させることで、薄膜30を、容器本体2に接着して発熱層3を形成することができる。
上記接着層4を形成する金属材料としては、例えば、容器本体がAlまたはその合金で、かつ薄膜30を形成する磁性材料がNi−Fe合金である場合、Sn、In、Zn等のいずれか1種の金属単体、または2種以上の合金等が挙げられる。
金属材料からなる接着層4の厚みは、特に限定されないが、0.1〜20μm、特に、1〜5μmであるのが好ましい。接着層4の厚みがこの範囲未満では、薄膜30を、容器本体2に強固に接着して、実用レベルの密着強度を有する発熱層3を形成できないおそれがあり、逆に、この範囲を超える場合には、内鍋1の重量が大きくなるおそれがある。
また、容器本体2がセラミック材料からなる場合には、接着層4として、無機系または有機系の接着剤の層が挙げられる。また、無機系の接着剤としては、例えば、無機ポリマー中にセラミックを分散させる等したセラミック系接着剤や、ガラスフリットを分散させたペースト等が挙げられ、有機系の接着剤としては、ポリイミド系等の、IH調理器による調理温度よりも融点の高い樹脂系の接着剤が挙げられる。接着層4は、容器本体2の外側表面20のうち、発熱層3を設ける領域、または、薄膜30の、容器本体2と接着される側の面に、上記の接着剤を塗布することで形成される。
そして、上記の接着層4を、容器本体2と薄膜30との間に挟んだ状態で加熱した後、冷却すると、例えば、セラミック系接着剤の場合は無機ポリマーが硬化し、ガラスフリットを含むペーストの場合はガラスフリットが溶融したのち固化し、樹脂系の接着剤の場合は樹脂が溶融したのち固化することで、薄膜30を、容器本体2に接着して発熱層3を形成することができる。
加熱温度は、薄膜30を形成する磁性材料の融点以下であるのが好ましく、そのために、セラミック系接着剤としては、薄膜を形成する磁性材料の融点以下の温度で硬化するものを選択して使用するのが好ましい。また、ガラスフリットを含むペーストの場合は、薄膜を形成する磁性材料の融点以下の温度で溶融する低融点のガラスフリットを含むものを、選択して使用するのが好ましい。接着層4の厚みは、使用する接着剤の種類に応じて、適宜、設定すればよい。
実施例1:
〔薄膜の作製〕
(金型の準備)
図1(a)に示すように、容器本体2の外側表面20のうち、底面から、側面の下部にかけての領域を覆う立体形状を有する発熱層3のもとになる薄膜30を作製するために、当該容器本体2の、上記領域の立体形状に対応した立体形状を有する表面が、ステンレス鋼SUS304によって形成され、かつ鏡面仕上げされた金型を用意した。そして、金型の表面を、濃度50g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液(液温30℃)中に浸漬して、電流密度5A/dm2の条件で3分間、陰極電解脱脂処理し、水洗後、温水で洗浄した。
(電気めっき処理)
次に、上記の金型を陰極として、下記の各成分からなるNi−Fe合金めっき浴(浴温55℃)中に浸漬して、電流密度5A/dm2の条件で60分間、電気めっき処理した。
(成 分) (濃 度)
硫酸ニッケル六水和物 105g/リットル
塩化ニッケル六水和物 60g/リットル
硫酸鉄七水和物 7g/リットル
ホウ酸 40g/リットル
グルコン酸ナトリウム 20g/リットル
FA3 25cc/リットル
FARA 2.5cc/リットル
FA4 20cc/リットル
#84 2cc/リットル
〔FA3、FARA、FA4、#84は、いずれも、荏原ユージライト(株)の商品名〕
(離型)
電気めっき処理した金型を水洗し、濃度50g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)中に浸漬して、電流密度5A/dm2の条件で10分間、陰極電解処理し、水洗した後、金型の表面に形成された薄膜を手で引っ張って離型させて、前記発熱層3となる薄膜30を作製した。作製した薄膜30を王水に溶解させて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法によって分析したところ、Niを80重量%、Feを20重量%含むNi−Fe合金であることが確認された。また、薄膜30の厚みをマイクロメータによって測定したところ、50μmであった。
〔内鍋の製造〕
図1(a)に示す形状を有する、Al製の容器本体2を用意し、その外側表面20のうち、発熱層3が設けられる領域にSnめっきを施して、厚み2μmの、Snからなる接着層4を形成した。
次に、水洗後、上記容器本体2の、Snめっきを施した領域に、先に作製した薄膜30を嵌め合わせた状態で、トンネル炉を通過させることによって、250℃で1分間、加熱して、Snからなる接着層4を溶融させた後、冷却して固化させることで、薄膜30が、接着層4を介して容器本体2に接着されて発熱層3が形成された、IH炊飯器用の内鍋1を製造した。重量は630gであった。
製造した内鍋1内に、1.5リットルの水を入れた状態で、IH炊飯器にセットして加熱を開始したところ、加熱開始から3分後に、水温が21℃上昇し、加熱開始から12分後には、沸騰を開始することが確認された。また、この内鍋1を使用して、実際に、2合のお米を炊飯したところ、炊飯可能であった。
実施例2:
図1(a)に示す形状を有する、陶器製の内鍋2を用意し、その外側表面20のうち、発熱層3が設けられる領域に、セラミック系接着剤〔東亞合成(株)製のアロン(登録商標)セラミックD〕を塗布した。
次に、上記容器本体2の、セラミック系接着剤を塗布した領域に、実施例1と同様にして作製した薄膜30を嵌め合わせた状態で、大気開放の電気炉中に入れて、90℃で1時間、その後、150℃に昇温して1時間、加熱して、セラミック系接着剤を硬化させることで、薄膜30が、接着層4を介して容器本体2に接着されて発熱層3が形成された、IH炊飯器用の内鍋1を製造した。
製造した内鍋1内に、1.5リットルの水を入れた状態で、IH炊飯器にセットして加熱を開始したところ、加熱開始から3分後に、水温が15℃上昇し、加熱開始から16分後には、沸騰を開始することが確認された。また、この内鍋1を使用して、実際に、2合のお米を炊飯したところ、炊飯可能であった。
比較例1:
電気めっき処理の時間を6分間としたこと以外は、実施例1と同様にして薄膜30を作製した。作製した薄膜30は、Niを80重量%、Feを20重量%含むNi−Fe合金からなり、その厚みが5μmであった。金型から離型させた薄膜30を観察したところ、皺が入り、表面が波打ったような外観を呈しており、この波打ちは、当該薄膜30を、接着層4を介して容器本体2に接着しても解消されなかった。
比較例2:
実施例1で作製した薄膜30と同じ、Niを80重量%、Feを20重量%含むNi−Fe合金からなる板材を、同様の形状に絞り加工するためには、元の板材の厚みがどの程度、必要であるかを確認したところ、250μm以上の厚みが必要であることがわかった。そこで、この厚み250μmの板材を、実施例1で作製した薄膜30と同様の形状に絞り加工したものを、実施例1で使用したのと同じ、Al製の容器本体2に嵌め合わせて重量を測定したところ、750gであり、実施例1に比べて、約20%の重量増になることが確認された。
図(a)は、本発明の電磁調理容器の、実施の形態の一例としての、IH炊飯器の内鍋を示す正面図、図(b)は、図1(a)の例の内鍋の一部を拡大した断面図である。
符号の説明
1 内鍋(電磁調理容器)
2 容器本体
3 発熱層
30 薄膜
4 接着層

Claims (5)

  1. 電磁誘導加熱調理器の、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される電磁調理容器であって、容器本体を有すると共に、この容器本体の表面の少なくとも一部の領域に、厚み10〜200μmの、磁性材料の薄膜を、接着層を介して接着させて形成される発熱層を備えることを特徴とする電磁調理容器。
  2. 発熱層が、電磁調理容器の容器本体の、当該発熱層を形成する領域の立体形状に対応した立体形状を有する金型の表面を陰極とする電気めっきによって形成した磁性材料の薄膜を、金型の表面から離型した後、容器本体の上記領域に、接着層を介して接着させて形成される請求項1記載の電磁調理容器。
  3. 容器本体が、金属材料によって形成されると共に、接着層が、容器本体を形成する金属材料、および薄膜を形成する磁性材料より融点の低い金属材料によって形成され、この接着層を、容器本体と薄膜との間に挟んだ状態で加熱して溶融させた後、冷却することで、薄膜が、接着層を介して容器本体に接着される請求項1記載の電磁調理容器。
  4. 容器本体が、セラミックによって形成されると共に、接着層が、無機系または有機系の接着剤によって形成され、この接着層を、容器本体と薄膜との間に挟んだ状態で加熱した後、冷却することで、薄膜が、接着層を介して容器本体に接着される請求項1記載の電磁調理容器。
  5. 請求項1記載の電磁調理容器を製造する方法であって、容器本体の表面の、発熱層を形成する領域の立体形状に対応した立体形状を有する金型の表面を陰極とする電気めっきによって、当該表面に、磁性材料の薄膜を形成する工程と、形成した薄膜を、金型の表面から離型する工程と、離型した薄膜を、容器本体の上記領域に、接着層を介して接着して発熱層を形成する工程とを含むことを特徴とする電磁調理容器の製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113208409A (zh) * 2021-06-07 2021-08-06 淄博汇宝电器有限公司 电磁炉专用陶瓷加热锅具及其制备方法

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