JP3495516B2 - 救急絆創膏 - Google Patents

救急絆創膏

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JP3495516B2
JP3495516B2 JP21510996A JP21510996A JP3495516B2 JP 3495516 B2 JP3495516 B2 JP 3495516B2 JP 21510996 A JP21510996 A JP 21510996A JP 21510996 A JP21510996 A JP 21510996A JP 3495516 B2 JP3495516 B2 JP 3495516B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不織布を基材とす
る粘着テープを用いた救急絆創膏に関し、さらに詳しく
は、フィット性が良好で違和感が少なく、外観、貼り易
さ、巻き締まり、貼りごこち、使用中の接着性、通気性
などに優れた救急絆創膏に関する。
【0002】
【従来の技術】救急絆創膏は、一般に、基材の片面に粘
着剤を塗布した粘着テープを略長方形(通常、小判形)
に打ち抜き、粘着剤層の中央部にガーゼなどからなるパ
ッドを載せ、さらに被覆物(剥離ライナー)を貼り合わ
せたものであり、一枚ごとに包装し市販されている。救
急絆創膏には、強靭性、柔軟性、応力緩和性、表面滑
性、耐水性、通気性などの諸特性を有することが求めら
れている。より具体的には、(1)使用時に擦られた
り、引っ張られても容易には切断しないこと、(2)関
節の屈曲や肌の伸縮に対応しやすいこと、(3)指に巻
き付けたり、多少引っ張って貼付しても、短時間で緩和
して締めつけ感がなくなり、違和感が消失すること、
(4)表面の滑性が適度で、擦られても剥れにくいこ
と、(5)水仕事時や入浴時でも強度が低下しないこ
と、(6)通気性や透湿性に優れ、肌荒れや水分による
剥離がないこと、などが要求される。さらに、救急絆創
膏には、印刷適性があること、温度変化による物性変化
が少ないことなども求められている。
【0003】救急絆創膏に対するこれらの要求品質の多
くは、主として、その基材の種類、物性、構造などに関
連している。従来より、救急絆創膏用粘着テープの基材
として、例えば、軟質ポリ塩化ビニルフィルム、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィル
ムなどの高分子フィルム、あるいはナイロン不織布、ポ
リエステル不織布、ポリウレタン不織布などの不織布が
使用されてきた。これらの中でも、軟質ポリ塩化ビニル
フィルムは、強靭性、応力緩和性、印刷適性などに優れ
ており、低価格であるため、救急絆創膏用の基材として
汎用されているが、フィット性が十分ではなく、柔軟性
がやや不足しており、表面滑性がやや大きすぎ、通気性
が不十分で、入浴時などの温度変化による物性変化が大
きいなどの問題点を有している。
【0004】最近では、伸縮性と通気性を有し、しかも
柔軟性に優れている点で、ポリウレタン不織布などの伸
縮性不織布が救急絆創膏用の基材として注目されてい
る。例えば、(1)特公平1−48019号公報には、
溶融紡糸されたポリウレタン弾性フィラメントが実質的
に集束されずに積層され、積層されたフィラメントの接
触点が熱融着により接合されてなるポリウレタン弾性繊
維不織布の片面に、多数の細孔を有し皮膚に対する非刺
激性の感圧接着剤を付与してなる医用感圧接着性シート
が提案されている。(2)実開昭61−69242号公
報には、弾性ポリウレタン繊維を50重量%以上含有す
る伸縮性不織布の少なくとも一面に、感圧性粘着剤層を
積層した粘着テープが提案されている。(3)実公平2
−44739号公報には、ポリウレタン不織布からなる
基材の片面に感圧性接着剤層を塗工し、該接着剤層の一
部にセルロース系繊維からなる吸湿性シートを貼着し、
さらに剥離性シートを全面に貼着した創傷面保護材が提
案されている。(4)特開平2−78614号公報に
は、支持体の片面に粘着剤層が設けられ、該粘着剤層に
は、伸縮性のポリウレタン繊維から形成された伸縮性部
材の少なくとも一部が埋設されている医療用貼付剤が提
案されている。(5)特開平3−200885号公報に
は、ポリウレタン弾性繊維からなる不織布の片面に、オ
ルガノポリシロキサン系感圧粘着剤層を設けた感圧粘着
テープが提案されている。(6)特開平7−52326
号公報には、ポリウレタン弾性繊維からなる不織布の片
面に、無機充填剤を1〜10重量%含有するオルガノポ
リシロキサン系感圧粘着剤層を設けた感圧粘着テープ及
び創傷面保護材が提案されている。(7)特開平8−3
3673号公報には、通気性と伸縮性を有する不織布の
片面に粘着剤を塗布し、該不織布側の表面を、透湿性と
防水性を有するフィルムでラミネートし、かつ、そのエ
ッジ部が密封化処理されている救急絆創膏用粘着フィル
ムが提案されている。該公報には、不織布として、ポリ
ウレタン弾性繊維不織布、ポリエステル弾性繊維不織
布、スチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合
体からなる不織布などが示されている。
【0005】しかしながら、従来のポリウレタン不織布
を基材とする救急絆創膏は、貼り易さ(使用性)、巻き
締まり性、貼りごこち、使用中の接着性、外観などが未
だ充分ではない。また、救急絆創膏には、柔軟で、肌に
対するフィット性に富むことが求められるが、それに加
えて、指に巻き付けた場合に、程よく締まり、しかも使
用中にスッポ抜けたり、剥れたりしないことが要求され
る。ところが、従来の救急絆創膏は、基材が高分子フィ
ルムまたは不織布であっても、例えば、貼付した指を曲
げたときなど、ごわごわでフィット性に劣るものであっ
たり、指に巻いたまま入浴すると、スッポ抜けし易いな
どの問題点があった。このような問題点の根幹には、基
材の構造や物性が大きく関与していることが分かった。
【0006】従来のポリウレタン不織布は、平均繊維径
が20〜30μm程度であり、外観の均一性、貼り易
さ、フィット性などが不足気味である。しかも、従来の
ポリウレタン不織布は、MD(Machine Dir
ection;機械方向)に配向しており、TD(Tr
ansverse Direction;幅方向)の強
度や引張応力は弱いものであった。すなわち、ポリウレ
タン不織布は、例えば、溶融樹脂を細孔からフィラメン
トとして紡出し、それを高速気流に随伴させて、ネット
コンベヤ上にシート状に堆積し、捕集する方法により製
造されているが、ネットコンベヤは、製造される不織布
の流れ方向に移動させるため、得られる不織布は、製造
時の製品の流れ方向(MD)に配向している。MDに配
向している点では、従来の高分子フィルム基材も同じで
あった。すなわち、軟質ポリ塩化ビニルフィルムなどの
基材用の高分子フィルムは、その製造時に、特に延伸製
膜されているわけではないが、カレンダー時や引き取り
時にMDに引っ張られて、MDに配向する傾向を持って
いる。
【0007】一方、救急絆創膏は、通常、粘着テープを
小判形の略長方形に打ち抜いて作製されるが、通常、該
長方形の長辺は、引張応力が小さく、へたりやすい基材
のTDと一致させている。また、長方形の短辺を基材の
MDと一致させることにより、打ち抜き工程の単位操作
当りの粘着テープの移動距離が短いため、連続的な打ち
抜き作業を高速で精密に行うことができるという利点が
ある。ところが、このような救急絆創膏は、短辺方向
(基材のMD)に配向しているので、温度が上がった
り、繰り返しの伸縮を受けると配向が緩和して、短辺方
向には縮み、長辺方向には伸び易い。したがって、この
ような救急絆創膏を指に巻いたとき、ゆるんでスッポ抜
けが生じ易かった。また、このような救急絆創膏は、貼
付時にエッジの剥れが生じ易いなどの問題点があった。
【0008】このような問題点を解決する方法として、
例えば、高分子フィルムを基材とする救急絆創膏では、
粘着テープからの救急絆創膏の打ち抜きの際に、長方形
の長辺を基材のMDに、短辺を基材のTDに一致させる
方法が考えられる。しかしながら、この方法によれば、
指に対する巻き締まりが比較的良好な救急絆創膏が得ら
れるものの、貼り易さや貼りごこちなどが充分ではな
い。また、救急絆創膏の長辺を基材のMDに一致させて
打ち抜くため、連続的な打ち抜き工程において、単位操
作ごとの粘着テープの移動距離が大きくなり、高速で精
密な打ち抜きが困難になる。また、MDに配向している
不織布を基材とする救急絆創膏は、長辺方向(不織布の
TD)の強度や引張応力が弱いため、必要な強度や引張
応力を得るために、不織布の坪量(目付け)を大きくせ
ざるを得なかった。ところが、不織布の坪量を大きくす
ると、経済的に不利であることに加えて、短辺方向(不
織布のMD)には丈夫になりすぎるため、救急絆創膏を
貼付した指を曲げたときなど、ごわごわでフィット性に
劣ることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、外観
及びフィット性が良好で違和感が少なく、巻き締まり、
使用中の接着性などが良好な救急絆創膏を提供すること
にある。本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服す
るために鋭意研究した結果、従来品に比べて、極めて繊
維径の細いポリウレタンフィラメントよりなるポリウレ
タン不織布を基材として用いることにより、外観及びフ
ィット性が良好で違和感が少なく、その他の要求品質に
ついても高度に満足することができる救急絆創膏の得ら
れることを見いだした。さらには、柔軟性を保持しつ
つ、極細フィラメントからなるポリウレタン不織布を幅
方向に配向させて、機械方向(MD)の50%引張応力
(x)と幅方向(TD)の50%引張応力(y)との比
を、従来品にはない、1.10〜2.00の範囲に調整
したところ、フィット性などの諸特性がさらに改良され
た救急絆創膏の得られることを見いだした。本発明は、
これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、通気性
と伸縮性を有する不織布基材の片面に粘着剤を塗布した
粘着テープからなる略長方形の救急絆創膏において、(1) 該不織布が、平均繊維径7〜15μmの超極細ポ
リウレタンフィラメントより形成された、機械方向(M
D)の50%引張応力(x)と幅方向(TD)の50%
引張応力(y)との比(y/x)が1.10〜2.00
の範囲内にあるポリウレタン不織布であり、かつ、 (2)前記略長方形の長辺を基材のTDに、短辺を基材
のMDに一致させて打ち抜かれたものであ ることを特徴
とする救急絆創膏が提供される。本発明において、機械
方向(MD)とは、基材となる高分子フィルムや不織布
の製造時の製品の流れ方向(Machine Dire
ction)を意味しており、そして、幅方向(TD)
とは、基材の面上、機械方向と垂直な方向(Trans
verse Direction)を意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】ポリウレタン不織布などの不織布
は、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸
法などの種々の方法により製造されている。救急絆創膏
用粘着テープの基材となるポリウレタン不織布などの不
織布は、多くの場合、メルトブロー法により製造されて
いる。メルトブロー法では、熱可塑性ポリマーを溶融
し、細孔から吐出させ、これを高速の加熱気体で吹き飛
ばし、ネットコンベヤなどで捕集して不織布としてい
る。従来、ポリウレタン不織布の製造方法として、例え
ば、溶融した熱可塑性ポリウレタン弾性体にポリイソシ
アネート化合物を添加、混練した後、細孔から紡出され
たフィラメントを高速気流に随伴させて噴射し、ネット
コンベヤ上にシート状に堆積、捕集する方法が提案され
ている(特公昭64−8746号公報)。ネットコンベ
ヤ(無端ベルト)は、製造される不織布の流れ方向に移
動させる。ネットコンベヤ上に捕集されたウエブは、必
要によりローラーでプレスし、不織布として巻き取られ
る。捕集ウエブは、極細繊維の絡み合いと部分的融着の
ため、そのままでも充分な形態安定性を有するが、強度
を向上させるために、エンボス加工を行うことがある。
【0012】平均繊維径が7〜15μmの超極細フィラ
メントからなるポリウレタン不織布を製造するには、例
えば、メルトブロー法を改良して、ノズルの細孔の径を
極めて小さくする方法がある。このような製造法により
作製された不織布は、通常、製造時の製品の流れ方向
(MD)に少なからず配向している。不織布がMDに配
向していることは、MDの50%引張応力(x)とTD
方向の50%引張応力(y)の比α(y/x)により判
定することができる。従来の不織布基材は、α値が通常
0.90以下である。従来より救急絆創膏用粘着テープ
などの基材として使用されている市販の代表的なポリウ
レタン不織布について、α値の測定結果を表1に示す。
【0013】
【表1】 (*1)引張試験:巾19mm、つかみ間隔50mm、
単位N/19mm、23℃±2℃で測定。 (*2)エンボス加工(ポイント加熱圧着;MD、TD
各1.4mmピッチ)
【0014】本発明でポリウレタン不織布は、前記比α
が、通常、1.10〜2.00、好ましくは1.10〜
1.50の範囲内にあって、従来品に比べてTDに強く
配向していることが望ましい。このような方向性をもつ
伸縮性不織布は、メルトブロー法による不織布の製造方
法において、細孔を有するノズル自体を幅方向に往復移
動させ、かつ、ネットコンベヤの移動速度をノズルの幅
方向での往復移動速度よりも遅い速度(例えば、1/3
以下の速度)に調整することにより得ることができる。
上記方法によりポリウレタン不織布を製造すると、平均
繊維径が7〜15μmと一般的なポリウレタン不織布の
繊維径の約1/3〜約1/2程度と小さいものであって
も、必要な強度を得ることができ、しかも不織布にあり
がちな厚みムラが少なく均一な厚みを有する不織布を得
ることができる。
【0015】ポリウレタン繊維は、特異な伸縮性を示す
高弾性繊維であり、ポリウレタン不織布を構成する極細
繊維も伸縮性に優れたものである。ポリウレタン繊維の
化学構造は、結晶を殆どもたない低融点の柔らかい長鎖
状のソフトセグメントと、剛直性で凝集力の強い高融点
のハードセグメントからなるセグメント化ウレタンブロ
ック共重合体である。ポリウレタン不織布の製造法とし
ては、一般に、ポリオール、ジイソシアネート、及びハ
ードセグメントとなる低分子ジオールを原料として溶融
重合を行い、この重合体を用いてメルトブロー法により
不織布とする方法が採用されている。
【0016】ポリウレタンとしては、溶融紡糸が可能な
熱可塑性ポリウレタン弾性体が適している。原料のポリ
オールとしては、分子量500〜6000の低融点ポリ
オール、例えば、ジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロ
キシポリエステル、ジヒドロキシカーボネート、ジヒド
ロキシポリエステルアミド等が挙げられる。ポリエーテ
ル系ソフトセグメントとしては、通常、ポリテトラメチ
レングリコールが用いられている。ジイソシアネートと
しては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシア
ネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート等の有機ジイソシアネートが挙げられる。これら
のジイソシアネートの中でも、特に4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネートが好ましい。鎖延長剤には、
低分子ジオール、アミノアルコール、トリオールなどを
挙げることができる。鎖延長剤としては、特に、1,4
−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−
ブタンジオールが好ましい。熱可塑性ポリウレタン弾性
体は、それ単独で使用することができるが、所望によ
り、特公昭64−8746号公報に開示されているよう
に、ポリイソシアネート化合物を5〜30重量%の割合
で添加してもよい。
【0017】ポリウレタン不織布の製造法としては、公
知のメルトブロー法を採用することが好ましい。MDの
50%引張応力とTDの50%引張応力の比αが1.1
0〜〜2.00の方向性をもつ不織布を作製するために
は、細孔を有するノズル自体を幅方向に往復移動させ、
かつ、ネットコンベヤの移動速度をノズルの幅方向での
往復移動速度よりも遅い速度に調整する。ネットコンベ
ヤなどによって連続的に捕集されたウエブは、そのまま
で、あるいはエンボス加工した後巻き取られ、不織布と
なる。
【0018】本発明で使用するポリウレタン不織布の好
ましい物性及び性状は、次のとおりである。 (1)坪量(目付け):通常30〜250g/m2、好
ましくは40〜150g/m2 (2)厚み:通常100〜500μm、好ましくは12
0〜350μm (3)α値:1.10〜2.00、好ましくは1.10
〜1.50 (4)MDの50%引張応力:好ましくは1.2〜4.
8N/19mm、より好ましくは1.6〜4.0N/1
9mm (5)TDの50%引張応力:好ましくは2.0〜6.
0N/19mm、より好ましくは2.4〜5.5N/1
9mm (6)伸び:MD及びTDともに、通常、300%以
上、好ましくは350%以上 (7)50%伸長回復率:MD及びTDともに、通常、
90%以上 (8)MDの破断強度:通常6.3〜32.0N/19
mm、好ましくは8.0〜28.0N/19mm (9)TDの破断強度:通常8.0〜40.0N/19
mm、好ましくは10.0〜36.0N/19mm
【0019】本発明では、前記特定のポリウレタン不織
布を基材とし、その片面に粘着剤を塗布して粘着テープ
とする。粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、
ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤などを挙げることがで
きる。これらの粘着剤の中でも、アクリル系粘着剤は、
ポリウレタン不織布との接着性が良好で、価格的にも有
利であるため好ましい。本発明の粘着テープから救急絆
創膏を作製するには、通常、略長方形の小判型に打ち抜
き、その際、長辺を基材のTDに、短辺を基材のMD
に、それぞれ一致させる。粘着剤層の略中央部には、パ
ッドを配置する。パッドとしては、特殊織布、ガーゼ、
不織布などを使用することができるが、これらの中で
も、吸水性の良い伸縮性の編み地や伸縮性不織布にアト
ラス編みしたネットを貼り合わせた伸縮性パッドが好適
である。パッドには、予め殺菌剤を滲み込ませて殺菌消
毒するか、あるいは完成品とした後殺菌処理を行うなど
をしてもよい。粘着剤面には、常法に従って、剥離ライ
ナーを貼り合わせて、1枚ごとに包装してもよい。剥離
ライナーとしては、クレープ状セロハン、ポリエステル
フィルム、ポリオレフィン系フィルムに剥離処理を施し
たものや、剥離紙などが挙げられる。
【0020】救急絆創膏の長辺を基材のTDに、短辺を
基材のMDに、それぞれ一致させると、長辺方向の強度
のみならず、短辺方向の柔らかさをも得ることができ
る。この救急絆創膏は、長辺方向に強度が強く配分され
ているので、不織布基材において、全体的な強度のもと
になっている坪量(単位面積当りの質量)を低く抑える
ことができる。基材となる不織布を構成するフィラメン
トの繊維径を小さくすれば、表面のきめが細かく、厚み
ムラが小さい救急絆創膏を得ることができる。もちろ
ん、この不織布基材は、通気性と伸縮性に優れたもので
ある。本発明の粘着テープを用いた救急絆創膏は、フィ
ット性が良好で違和感が少なく、特に、不織布基材の坪
量を低く抑えることができるのでコスト的にも有利であ
る。本発明の救急絆創膏は、指などに巻いた場合、巻き
締まりがきつくもゆるくもなく、程よい感じであり、し
かも従来品のように、温度が上がったり、繰り返しの伸
縮を受けると配向が緩和して、短辺方向に縮み、長辺方
向には伸びることがないので、ゆるんですっぽ抜けが生
じることが少ない。また、貼付時にエッジからの剥れが
抑制される。本発明の救急絆創膏は、通気性が良く、皮
膚呼吸を妨げず、むれなどによる不快感、雑菌の増殖な
どを抑制することができる。
【0021】本発明で使用する不織布は、繊維径を細く
するとTDの配向を得やすいが、繊維の冷却速度が速く
なるので、各繊維(フィラメント)の接触点での熱融着
が不足することがある。そのような場合には、エンボス
加工を行うことにより、不織布の内部強度を高めること
ができる。エンボス加工法としては、ポイント加熱圧着
法を採用することが好ましい。このようなエンボス加工
により、1cm 当り10個以上の熱融着点を形成さ
せて、内部強度の不足を補うことができる。しかも、エ
ンボス加工により、救急絆創膏の表面(粘着剤層の背
面)の滑り性が皮膚の滑り性と合致し、指に巻いてもの
をつかむ際などの違和感が少なくなる。エンボス加工を
施すと、不織布製造時にバインダーを使用しなくても、
内部強度を高めることができるので、衛生材料として好
ましい不織布を得ることができる。
【0022】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明についてより
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに
限定されるものではない。物性の測定法は、次のとおり
である。 (1)引張試験 JIS K−7113に準じて引張試験を行い、50%
引張応力の測定を行った。 ・試験機:インストロン型引張試験機 ・試験片:幅19mm、長さ100mm、標線間距離5
0mmの短冊状 ・つかみ間隔:50mm ・クロスヘッド移動速度:300mm/min ・繰返し試験数:n=3 ・測定雰囲気:23℃、65%RH ・50%引張応力の測定法:サンプルシートから幅19
mm、長さ100mmの短冊を裁断し、中央部に50m
mの標線をつけ、その状態で1時間以上状態調節を行っ
た後、インストロン型引張試験機のクロスヘッドに上記
50mmのつかみ間隔で取り付ける。下部クロスヘッド
を300mm/minの速度で下げ、上記試験片を引っ
張った。引張り長さが25mmに至ったときの荷重を5
0%引張応力とした。荷重の単位は、ニュートン(N)
で表した。MDを長く切り出して、その方向に引っ張っ
たときの測定結果をMDのデータとした。測定温度は、
23℃±2℃である。 (2)救急絆創膏の実用試験 被験者:15〜50歳の健康な男女、計100名 貼付部位:左右手の中指及び薬指 試験方法:被験者に各試料を配り、サイクル形式で2
回に分けて貼付 評価方法:表3に示す各評価項目をチェック 貼付期間:1回当り8時間以上
【0023】[実施例1]数平均分子量が2000のポ
リヘキサメチレンジオールと4,4−ジフェニルメタン
ジイソシアネートと1,4−ブタンジオールを2軸重合
機で溶融重合して、ショアA硬度90の熱可塑性ポリウ
レタンを得た。このようにして得られた粉末状のポリウ
レタンを押出機によりペレット状に形成した。このよう
にして作製したポリウレタン弾性体のペレットを原料と
し、溶融ブロー紡糸装置を用いて、溶融温度245℃で
溶融させ、ポリウレタン溶融液を特別に細い細孔を有す
るノズル群から吐出した。そのノズル群は、幅方向に常
時往復運動しており、マシン速度(ネットコンベヤの移
動速度)をノズルの巾方向での往復移動速度の約1/5
に設定した。この溶融繊維群をネットコンベヤ上に落と
して、坪量65g/m2にシーティングした。繊維径
は、約7〜15μmφの範囲であった。得られたウエブ
には、内部強度を向上させるため、ポイント加熱圧着法
により加熱エンボス加工を施した。加熱圧着スポット
は、MD及びTDとも1.4mmピッチにした。
【0024】上記ポリウレタン不織布の片面に、アクリ
ル系粘着剤(2−エチルヘキシルアクリレート87重量
%、酢酸ビニル10重量%、及びアクリル酸3重量%の
共重合体)を40g/m2有孔塗工し、剥離紙を貼り合
わせて粘着シートとした。この粘着テープをMDに19
mm、TDに72mmの長方形に打ち抜き、次いで、粘
着剤層の上に13×22mmのガーゼパッドを載せ、製
品ライナーで粘着面を覆い救急絆創膏とした。このよう
にして得られた救急絆創膏は、きめの細かい外観をも
ち、柔軟で、通気性、収縮性に優れており、そして、貼
付後の外観が良好で、指に巻いた場合に巻締まりが良
く、貼りごこちが良好で、フィット性に優れたものであ
った。不織布の物性を表2に示す。
【0025】[実施例2〜5]ノズルの巾方向での往復
移動速度、マシン速度、ポリウレタン不織布の坪量など
を適宜変動させて、表2に示す物性、性状のポリウレタ
ン不織布を作製し、次いで、実施例1と同様にして救急
絆創膏を作製した。ただし、エンボス加工は施さなかっ
た。このようにして得られた各救急絆創膏は、いずれも
きめの細かい外観をもち、柔軟で、通気性、収縮性に優
れており、そして、貼付後の外観が良好で、指に巻いた
場合に巻締まりが良く、貼りごこちが良好で、フィット
性に優れたものであった。
【0026】
【表2】
【0027】<救急絆創膏の実用試験>実施例1で得ら
れた救急絆創膏及び市販の代表的な各種救急絆創膏につ
いて、実用試験を行った。結果を表3に示す。なお、各
種市販品の構造等については、表4に示す。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、外観及びフィット性が
良好で違和感が少なく、巻き締まり、使用中の接着性な
どが良好な救急絆創膏が提供される。
フロントページの続き (72)発明者 藤沢 博充 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチ バン株式会社内 (72)発明者 大山 国広 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチ バン株式会社内 (72)発明者 堀田 直人 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチ バン株式会社内 (72)発明者 手島 勉 山口県防府市緑町一丁目10番20−807号 (56)参考文献 特開 昭61−22855(JP,A) 特開 平1−97454(JP,A) 近藤芳広,エスパンシオーネの開発, 不織布情報,日本,株式会社不織布情 報,1986年 7月10日 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61F 13/00 - 13/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通気性と伸縮性を有する不織布基材の片
    面に粘着剤を塗布した粘着テープからなる略長方形の救
    急絆創膏において、(1) 該不織布が、平均繊維径7〜15μmの超極細ポ
    リウレタンフィラメントより形成された、機械方向(M
    D)の50%引張応力(x)と幅方向(TD)の50%
    引張応力(y)との比(y/x)が1.10〜2.00
    の範囲内にあるポリウレタン不織布であり、かつ、 (2)前記略長方形の長辺を基材のTDに、短辺を基材
    のMDに一致させて打ち抜かれたものであ ることを特徴
    とする救急絆創膏
  2. 【請求項2】 該ポリウレタン不織布基材がポイント加
    熱圧着法によりエンボス加工されたものである請求項
    載の救急絆創膏
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