JP2004059489A - 貼付剤用布帛および貼布剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、貼付剤を身体に貼り付ける時は貼付剤が硬くて作業性が良いが、貼り付けるときの貼付剤の引張りや、貼り付けた後の身体の屈曲、伸縮などの動作を加えることにより、該貼付剤が柔軟になり、しかも、剥がれにくく、着用感の良い貼付剤として機能する貼付剤用布帛および貼付剤を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明の貼付剤用布帛は、少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性布帛に硬仕上げ剤が付着していることを特徴とするものであり、また、本発明の貼付剤は、かかる貼付剤用布帛の片面に、薬物を含有した粘着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の貼付剤用布帛は、少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性布帛に硬仕上げ剤が付着していることを特徴とするものであり、また、本発明の貼付剤は、かかる貼付剤用布帛の片面に、薬物を含有した粘着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハップ剤、プラスター剤などとして用いられる貼布剤用布帛および貼布剤に関する。更に詳しくは、肘、膝、首筋、脇腹などと追随性が良い伸縮性貼付剤を身体に貼り付ける時の取り扱い性に優れた貼付剤用布帛および貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、肘、膝、首筋、脇腹など屈曲の大きい部位や首筋、脇腹など皮膚が複雑な動きをする部位に追随し剥離しにくい貼付剤用布帛、貼付剤が開発されている(特開昭63−122621号公報、特開平1−121214号公報、特開平3−161433号公報、特開平3−161436号公報、特許2726948号公報、特許2729520号公報、特許2879228号公報、特開2002−1855号公報、特開2002−4146号公報)。これらの貼付剤用布帛は、貼り付け部位との追随性を改善するために、該布帛が伸縮するように工夫し、薄く、柔軟な布帛としていたり、更に該布帛に塗工薬剤層が追随するように、薬剤組成が工夫されていたりされている。確かに該貼付剤を身体に貼り付けると、身体の動きに追随し、剥離しにくく、着用感の良いものであるが、貼付剤そのものが非常に柔軟であるために、身体に貼り付けるまでの作業が、極めて困難になったという重大な問題を有するものであった。
【0003】
例えば、貼付剤の薬剤部のライナーフィルムを剥離すると、貼付剤に腰がないために形態安定性がなく、粘着性を有する薬剤塗工面同士がくっついたり、身体に貼り付けるときに、うまく貼れなかったりする場合が多く、貼付剤を無駄にしてしまうことが多々あるのが現状であった。また、かかる貼付剤は、高齢者が使用するケースが多いので、取り扱い性の改善は急務である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、貼付剤を身体に貼り付ける時は貼付剤が硬くて作業性が良いが、貼り付けるときの貼付剤の引張りや、貼り付けた後の身体の屈曲、伸縮などの動作を加えることにより、該貼付剤が柔軟になり、しかも、剥がれにくく、着用感の良い貼付剤として機能する貼付剤用布帛および貼付剤を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の貼付剤用布帛は、少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性布帛に硬仕上げ剤が付着していることを特徴とするものであり、また、本発明の貼付剤は、かかる貼付剤用布帛の片面に、薬物を含有した粘着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり貼付剤を身体に貼り付ける時は貼付剤が硬くて作業性が良いが、貼り付けるときの貼付剤の引張りや、貼り付けた後の身体の屈曲、伸縮などの動作を加えることにより、該貼付剤が柔軟になり、しかも、剥がれにくく、着用感の良い貼付剤として機能する貼付剤用布帛について、鋭意検討し、伸縮性布帛を硬仕上げ処理して硬くし、特定の伸張力が加わったときに、該布帛を拘束している該硬仕上げ剤が破壊して、該伸縮性布帛本来の柔軟で伸張性のあるものに戻す機能を付与することによって、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。すなわち、本発明によって、初めて取り扱い性とフィット性の両方を満足することができる貼付剤用布帛を提供し得たものである。
【0007】
本発明の伸縮性布帛を構成する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維などの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、合成繊維、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維を使用することができ、また、該伸縮性布帛を構成する組織としては、織物、編物、不織布からなるものを使用することができる。
【0008】
かかる伸縮性布帛を形成する方法としては、例えばポリエチレンテレフタレート繊維を例に説明すると、仮撚り加工、サイドバイサイド方式の複合、収縮率の異なる糸のミックスなどにより糸条に捲縮を形成して伸張およびその回復性を持たせ、該糸条で布帛を形成する。かかる布帛構造で、少なくとも1方向、好ましくは多方向に伸縮するものとしては、編物および/または不織布が好ましく使用される。
【0009】
本発明の伸縮性布帛は、硬仕上げ剤を付与して、硬くして取り扱い性を改善し、かつ該硬仕上げ剤が該伸縮性布帛に伸張力が加わったときに、該硬仕上げ剤の破壊や繊維からの剥離などにより、該伸縮性布帛が柔軟化するようにしたものである。
【0010】
かかる硬仕上げ剤としては、かかる硬仕上げ剤により、布帛構造が拘束されて、伸縮性布帛が硬くなればよい。かかる硬仕上げ剤としては、一般に繊維構造物の樹脂加工に使用されているものを適宜選択して使用することができるが、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂およびオレフィン系樹脂などの合成樹脂や、さらには澱粉などから選ばれた少なくとも1種を、水あるいは溶剤に分散、溶解してなる液状の形で使用する。
【0011】
かかる硬仕上げ剤の中でも、40℃以上の融点を持つ熱可塑性樹脂が好ましく使用される。本発明における伸縮性布帛を、かかる硬仕上げ剤を用いて硬仕上げしたのち、該伸縮性布帛に薬剤を含有した粘着剤を塗工するものである。かかる塗工時に掛かる外力で、布帛構造を拘束している硬仕上げ剤が外れる場合があるので、外れた硬仕上げ剤を塗工工程における熱で再固定し、さらに身体に貼り付けた後に外れた硬仕上げ剤が体温で溶融再固定しないように、かかる熱可塑性樹脂としては、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは55〜150℃の融点を持つものがよい。
【0012】
かかる硬仕上げ剤を付着させる方法としては、該硬仕上げ剤からなる処理液に該伸縮性布帛を浸漬し、マングルで絞って所定の付着量として乾燥するか、該伸縮性布帛の少なくとも片面にグラビアコーター、ナイフコータなどで該処理液を付与し乾燥するなど公知の方法を使用することができる。
【0013】
かかる硬仕上げ剤の付着量は、該伸縮性布帛構造の種類、使用する糸種などにより異なるが、該布帛重量に対して、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。
【0014】
かかる硬仕上げ剤を付着させて硬くした伸縮性布帛は、身体の必要部位に貼り付けた後、部位の屈曲、伸張運動で糸状間の硬仕上げ剤が破壊あるいは剥離して柔軟化し、部位に的確にフィットし、かつ、剥離などが生じないように風合いが変化するものである。肘、膝、首筋、脇腹などの屈曲、伸張で該伸縮性布帛に作用する力は、一般的に伸縮性布帛の伸張率が20〜50%に相当するといわれているので、該伸縮性布帛は50〜100%の伸張率を有するものを使用するのが好ましい。
【0015】
本発明の貼付剤用布帛は、少なくとも一方方向に、好ましくは5%以上の伸張を加えたときに柔軟化するものであればよく、より好ましくは10%以上の伸張を加えたときに柔軟化するものがよい。要するに、身体の各部位の伸張力より小さい、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上の伸張で柔軟化させ、身体各部位でかかる20〜50%伸張時においては、十分に柔軟化することができるような、そんな硬仕上げ剤を選択することが重要であり、そのために硬仕上げ剤の種類や、付着量および該硬仕上げ剤の塗布方法などを設定するのがよい。
【0016】
なお、かかる硬仕上げ剤による硬仕上げ加工を施された伸縮性布帛は、後の貼付剤とする前に、何らかの外力により柔軟化されたとしても、薬剤を含む粘着剤を塗布し、乾燥する際の加熱処理により、再度硬仕上げ加工されるので、何ら心配する必要はなく、本発明の硬い伸縮性布帛である、つまり前記硬さを有する貼付剤用布帛を再現するものである。
【0017】
本発明において、貼付剤用布帛を構成する繊維と、硬仕上げ剤を構成する樹脂とを、同一分類の素材を使用すれば、リサイクル性に優れた貼付剤用布帛を提供することができる。
【0018】
本発明の薬剤を含む粘着剤とは、薬剤としては経皮から体内に吸収されて薬理効果を発揮したり、身体の熱を吸収したり、発熱して熱を加えるものであれば特に限定されないが、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、局所刺激剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、血行促進剤、精神安定剤などが例示される。粘着剤の成分としては、例えば天然ゴム系、ポリイソプレン系、ポリイソブチレン系、アクリル酸エステル系、メタアクリル酸エステル系のポリマーが例示できるが特に限定されるものではない。該薬剤を含む粘着剤を布帛に塗工する方法としては、例えば、溶剤に溶解して塗工し熱処理して溶剤を乾燥する方法、熱溶融して押し出し機から伸縮性布帛上に押し出す方法など公知の方法を使用することができ、特に限定されるものではない。
【0019】
本発明の貼付剤は、かかる貼付剤用布帛で構成されているので、身体部位に貼り付けるまでの取り扱い性が良く、貼り付けた後は身体部位の動きに追随性が良い伸縮性に優れたものである。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例中の品質評価は次の方法で実施した。
<布帛の柔軟性>
JIS L 1096−1979 6.19.1A法に規定されるカンチレバー法に基づいて、タテ方向の剛軟度を測定した。数値の小さいほど柔軟であることを示す。単位は(mm)で表示した。
【0021】
実施例1〜9、比較例1〜2
ポリエチレンテレフタレートからなる56デシテックス、36フィラメントの仮撚り加工糸を用いて、スムース組織で製編し、液流染色で90℃で精練し、130℃でベージュ色に染色した。該編物を脱水し、開布した後、170℃の温度でピンテンターでセットし、多方向に伸縮する編物とした(ウエル/コース 44/57本/2.54cm、重量100g/m2 )。該染色編物の柔軟性は26mmであった。引き続き、以下に示す条件で樹脂加工(硬仕上げ加工)した後、柔軟性を評価した結果を表1に示す。
(樹脂加工;硬仕上げ加工)
次に示す処理液の希釈液に編物を浸漬し、マングルで絞り130℃の温度で乾燥した。希釈濃度、マングル圧を変えて樹脂付着量を変更した。樹脂付着量は(g/m2 )で表示した。
【0022】
A.融点が60℃の脂肪族ポリエステル樹脂のエマルジョン(固形分50%)。
【0023】
B.融点が95℃の脂肪族ポリエステル樹脂のエマルジョン(固形分50%)。
【0024】
C.融点が120℃の脂肪族ポリエステル樹脂のエマルジョン(固形分50 %)。
(樹脂加工布帛の柔布処理):この処理は、上述硬仕上げ加工後の該編物を故意に外力を掛けて柔軟化した場合を仮想したときの柔軟性をチェックするためのものであり、実際には不必要な処理である。処理仕様は下記の通りである。
【0025】
上記樹脂加工編物の一部を常温(28℃)でピンテンターを用い、幅方向と長さ方向に20%の伸張を加えて通布した。該処理編物の柔軟性を測定した(実施例3、4、6)。
【0026】
実施例2の該処理編物の柔軟性は、
であった。
(粘着剤処理)
a.鎮痛剤薬剤を配合した天然ゴム系粘着剤を135℃の温度でTダイ押し出し機で10μmの厚みで塗工し、粘着剤層にライナーとして3.5μmの
厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した。
【0027】
b.抗炎症剤を配合した天然ゴム系粘着剤のトルエン溶液をコンマコーターで固形分の厚みが2μmになるように塗工し、120℃の温度で乾燥し、粘着剤層にライナーとして3.5μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した。
(取り扱い性テスト)
60歳代の健常男子7名(パネル1〜7)を選び、実施例、比較例の順に下記の評価を行った。
【0028】
評価(1) 貼付剤のライナーを剥がすときの作業性、ライナーを剥がした後に粘 着剤層同志が接着するなどの準備作業に支障を来したかを調べ、次の 評価基準で表示した。
【0029】
○:問題なく作業できる。
【0030】
△:どちらとも言えない
×:作業トラブルがある。
【0031】
評価(2) ライナーを剥がした貼付剤を右側首筋(首から肩にかけて)貼付した 時の貼り易さを評価した。
【0032】
○:貼りやすい。
【0033】
△:どちらとも言えない。
【0034】
×:貼りにくい。
【0035】
評価(3) 首筋に貼付した後、5時間後にフィット性、剥がれ等の試着状態を評 価した。
【0036】
○:問題ない。
【0037】
△:周囲がめくれ上がる。
【0038】
×:剥がれ落ちる。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から明らかなように、比較例1,2のものに比して、実施例1〜9のものは、粘着剤を塗工した状態での貼付剤用基布は硬仕上げされているので、ライナーフィルム剥離作業、所定部位への貼付作業がしやすく、また、貼付時の伸張や、貼付後の部位の伸縮作用で基布が柔軟化するので、貼付着用性にも優れていることが判る。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、貼付剤の貼付作業性と貼付後の着用性の両方を兼ね備えた貼付剤用基布および貼付剤を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハップ剤、プラスター剤などとして用いられる貼布剤用布帛および貼布剤に関する。更に詳しくは、肘、膝、首筋、脇腹などと追随性が良い伸縮性貼付剤を身体に貼り付ける時の取り扱い性に優れた貼付剤用布帛および貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、肘、膝、首筋、脇腹など屈曲の大きい部位や首筋、脇腹など皮膚が複雑な動きをする部位に追随し剥離しにくい貼付剤用布帛、貼付剤が開発されている(特開昭63−122621号公報、特開平1−121214号公報、特開平3−161433号公報、特開平3−161436号公報、特許2726948号公報、特許2729520号公報、特許2879228号公報、特開2002−1855号公報、特開2002−4146号公報)。これらの貼付剤用布帛は、貼り付け部位との追随性を改善するために、該布帛が伸縮するように工夫し、薄く、柔軟な布帛としていたり、更に該布帛に塗工薬剤層が追随するように、薬剤組成が工夫されていたりされている。確かに該貼付剤を身体に貼り付けると、身体の動きに追随し、剥離しにくく、着用感の良いものであるが、貼付剤そのものが非常に柔軟であるために、身体に貼り付けるまでの作業が、極めて困難になったという重大な問題を有するものであった。
【0003】
例えば、貼付剤の薬剤部のライナーフィルムを剥離すると、貼付剤に腰がないために形態安定性がなく、粘着性を有する薬剤塗工面同士がくっついたり、身体に貼り付けるときに、うまく貼れなかったりする場合が多く、貼付剤を無駄にしてしまうことが多々あるのが現状であった。また、かかる貼付剤は、高齢者が使用するケースが多いので、取り扱い性の改善は急務である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、貼付剤を身体に貼り付ける時は貼付剤が硬くて作業性が良いが、貼り付けるときの貼付剤の引張りや、貼り付けた後の身体の屈曲、伸縮などの動作を加えることにより、該貼付剤が柔軟になり、しかも、剥がれにくく、着用感の良い貼付剤として機能する貼付剤用布帛および貼付剤を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の貼付剤用布帛は、少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性布帛に硬仕上げ剤が付着していることを特徴とするものであり、また、本発明の貼付剤は、かかる貼付剤用布帛の片面に、薬物を含有した粘着剤が塗布されていることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり貼付剤を身体に貼り付ける時は貼付剤が硬くて作業性が良いが、貼り付けるときの貼付剤の引張りや、貼り付けた後の身体の屈曲、伸縮などの動作を加えることにより、該貼付剤が柔軟になり、しかも、剥がれにくく、着用感の良い貼付剤として機能する貼付剤用布帛について、鋭意検討し、伸縮性布帛を硬仕上げ処理して硬くし、特定の伸張力が加わったときに、該布帛を拘束している該硬仕上げ剤が破壊して、該伸縮性布帛本来の柔軟で伸張性のあるものに戻す機能を付与することによって、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。すなわち、本発明によって、初めて取り扱い性とフィット性の両方を満足することができる貼付剤用布帛を提供し得たものである。
【0007】
本発明の伸縮性布帛を構成する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維などの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、合成繊維、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維を使用することができ、また、該伸縮性布帛を構成する組織としては、織物、編物、不織布からなるものを使用することができる。
【0008】
かかる伸縮性布帛を形成する方法としては、例えばポリエチレンテレフタレート繊維を例に説明すると、仮撚り加工、サイドバイサイド方式の複合、収縮率の異なる糸のミックスなどにより糸条に捲縮を形成して伸張およびその回復性を持たせ、該糸条で布帛を形成する。かかる布帛構造で、少なくとも1方向、好ましくは多方向に伸縮するものとしては、編物および/または不織布が好ましく使用される。
【0009】
本発明の伸縮性布帛は、硬仕上げ剤を付与して、硬くして取り扱い性を改善し、かつ該硬仕上げ剤が該伸縮性布帛に伸張力が加わったときに、該硬仕上げ剤の破壊や繊維からの剥離などにより、該伸縮性布帛が柔軟化するようにしたものである。
【0010】
かかる硬仕上げ剤としては、かかる硬仕上げ剤により、布帛構造が拘束されて、伸縮性布帛が硬くなればよい。かかる硬仕上げ剤としては、一般に繊維構造物の樹脂加工に使用されているものを適宜選択して使用することができるが、例えばポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂およびオレフィン系樹脂などの合成樹脂や、さらには澱粉などから選ばれた少なくとも1種を、水あるいは溶剤に分散、溶解してなる液状の形で使用する。
【0011】
かかる硬仕上げ剤の中でも、40℃以上の融点を持つ熱可塑性樹脂が好ましく使用される。本発明における伸縮性布帛を、かかる硬仕上げ剤を用いて硬仕上げしたのち、該伸縮性布帛に薬剤を含有した粘着剤を塗工するものである。かかる塗工時に掛かる外力で、布帛構造を拘束している硬仕上げ剤が外れる場合があるので、外れた硬仕上げ剤を塗工工程における熱で再固定し、さらに身体に貼り付けた後に外れた硬仕上げ剤が体温で溶融再固定しないように、かかる熱可塑性樹脂としては、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは55〜150℃の融点を持つものがよい。
【0012】
かかる硬仕上げ剤を付着させる方法としては、該硬仕上げ剤からなる処理液に該伸縮性布帛を浸漬し、マングルで絞って所定の付着量として乾燥するか、該伸縮性布帛の少なくとも片面にグラビアコーター、ナイフコータなどで該処理液を付与し乾燥するなど公知の方法を使用することができる。
【0013】
かかる硬仕上げ剤の付着量は、該伸縮性布帛構造の種類、使用する糸種などにより異なるが、該布帛重量に対して、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。
【0014】
かかる硬仕上げ剤を付着させて硬くした伸縮性布帛は、身体の必要部位に貼り付けた後、部位の屈曲、伸張運動で糸状間の硬仕上げ剤が破壊あるいは剥離して柔軟化し、部位に的確にフィットし、かつ、剥離などが生じないように風合いが変化するものである。肘、膝、首筋、脇腹などの屈曲、伸張で該伸縮性布帛に作用する力は、一般的に伸縮性布帛の伸張率が20〜50%に相当するといわれているので、該伸縮性布帛は50〜100%の伸張率を有するものを使用するのが好ましい。
【0015】
本発明の貼付剤用布帛は、少なくとも一方方向に、好ましくは5%以上の伸張を加えたときに柔軟化するものであればよく、より好ましくは10%以上の伸張を加えたときに柔軟化するものがよい。要するに、身体の各部位の伸張力より小さい、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上の伸張で柔軟化させ、身体各部位でかかる20〜50%伸張時においては、十分に柔軟化することができるような、そんな硬仕上げ剤を選択することが重要であり、そのために硬仕上げ剤の種類や、付着量および該硬仕上げ剤の塗布方法などを設定するのがよい。
【0016】
なお、かかる硬仕上げ剤による硬仕上げ加工を施された伸縮性布帛は、後の貼付剤とする前に、何らかの外力により柔軟化されたとしても、薬剤を含む粘着剤を塗布し、乾燥する際の加熱処理により、再度硬仕上げ加工されるので、何ら心配する必要はなく、本発明の硬い伸縮性布帛である、つまり前記硬さを有する貼付剤用布帛を再現するものである。
【0017】
本発明において、貼付剤用布帛を構成する繊維と、硬仕上げ剤を構成する樹脂とを、同一分類の素材を使用すれば、リサイクル性に優れた貼付剤用布帛を提供することができる。
【0018】
本発明の薬剤を含む粘着剤とは、薬剤としては経皮から体内に吸収されて薬理効果を発揮したり、身体の熱を吸収したり、発熱して熱を加えるものであれば特に限定されないが、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、局所刺激剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、血行促進剤、精神安定剤などが例示される。粘着剤の成分としては、例えば天然ゴム系、ポリイソプレン系、ポリイソブチレン系、アクリル酸エステル系、メタアクリル酸エステル系のポリマーが例示できるが特に限定されるものではない。該薬剤を含む粘着剤を布帛に塗工する方法としては、例えば、溶剤に溶解して塗工し熱処理して溶剤を乾燥する方法、熱溶融して押し出し機から伸縮性布帛上に押し出す方法など公知の方法を使用することができ、特に限定されるものではない。
【0019】
本発明の貼付剤は、かかる貼付剤用布帛で構成されているので、身体部位に貼り付けるまでの取り扱い性が良く、貼り付けた後は身体部位の動きに追随性が良い伸縮性に優れたものである。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例中の品質評価は次の方法で実施した。
<布帛の柔軟性>
JIS L 1096−1979 6.19.1A法に規定されるカンチレバー法に基づいて、タテ方向の剛軟度を測定した。数値の小さいほど柔軟であることを示す。単位は(mm)で表示した。
【0021】
実施例1〜9、比較例1〜2
ポリエチレンテレフタレートからなる56デシテックス、36フィラメントの仮撚り加工糸を用いて、スムース組織で製編し、液流染色で90℃で精練し、130℃でベージュ色に染色した。該編物を脱水し、開布した後、170℃の温度でピンテンターでセットし、多方向に伸縮する編物とした(ウエル/コース 44/57本/2.54cm、重量100g/m2 )。該染色編物の柔軟性は26mmであった。引き続き、以下に示す条件で樹脂加工(硬仕上げ加工)した後、柔軟性を評価した結果を表1に示す。
(樹脂加工;硬仕上げ加工)
次に示す処理液の希釈液に編物を浸漬し、マングルで絞り130℃の温度で乾燥した。希釈濃度、マングル圧を変えて樹脂付着量を変更した。樹脂付着量は(g/m2 )で表示した。
【0022】
A.融点が60℃の脂肪族ポリエステル樹脂のエマルジョン(固形分50%)。
【0023】
B.融点が95℃の脂肪族ポリエステル樹脂のエマルジョン(固形分50%)。
【0024】
C.融点が120℃の脂肪族ポリエステル樹脂のエマルジョン(固形分50 %)。
(樹脂加工布帛の柔布処理):この処理は、上述硬仕上げ加工後の該編物を故意に外力を掛けて柔軟化した場合を仮想したときの柔軟性をチェックするためのものであり、実際には不必要な処理である。処理仕様は下記の通りである。
【0025】
上記樹脂加工編物の一部を常温(28℃)でピンテンターを用い、幅方向と長さ方向に20%の伸張を加えて通布した。該処理編物の柔軟性を測定した(実施例3、4、6)。
【0026】
実施例2の該処理編物の柔軟性は、
であった。
(粘着剤処理)
a.鎮痛剤薬剤を配合した天然ゴム系粘着剤を135℃の温度でTダイ押し出し機で10μmの厚みで塗工し、粘着剤層にライナーとして3.5μmの
厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した。
【0027】
b.抗炎症剤を配合した天然ゴム系粘着剤のトルエン溶液をコンマコーターで固形分の厚みが2μmになるように塗工し、120℃の温度で乾燥し、粘着剤層にライナーとして3.5μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した。
(取り扱い性テスト)
60歳代の健常男子7名(パネル1〜7)を選び、実施例、比較例の順に下記の評価を行った。
【0028】
評価(1) 貼付剤のライナーを剥がすときの作業性、ライナーを剥がした後に粘 着剤層同志が接着するなどの準備作業に支障を来したかを調べ、次の 評価基準で表示した。
【0029】
○:問題なく作業できる。
【0030】
△:どちらとも言えない
×:作業トラブルがある。
【0031】
評価(2) ライナーを剥がした貼付剤を右側首筋(首から肩にかけて)貼付した 時の貼り易さを評価した。
【0032】
○:貼りやすい。
【0033】
△:どちらとも言えない。
【0034】
×:貼りにくい。
【0035】
評価(3) 首筋に貼付した後、5時間後にフィット性、剥がれ等の試着状態を評 価した。
【0036】
○:問題ない。
【0037】
△:周囲がめくれ上がる。
【0038】
×:剥がれ落ちる。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から明らかなように、比較例1,2のものに比して、実施例1〜9のものは、粘着剤を塗工した状態での貼付剤用基布は硬仕上げされているので、ライナーフィルム剥離作業、所定部位への貼付作業がしやすく、また、貼付時の伸張や、貼付後の部位の伸縮作用で基布が柔軟化するので、貼付着用性にも優れていることが判る。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、貼付剤の貼付作業性と貼付後の着用性の両方を兼ね備えた貼付剤用基布および貼付剤を提供することができる。
Claims (7)
- 少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性布帛に硬仕上げ剤が付着していることを特徴とする貼布剤用布帛。
- 該硬仕上げ剤が、該伸縮性布帛を構成する糸条の糸条間、単糸間および糸状交錯部から選ばれた少なくとも1カ所に付着している請求項1記載の貼付剤用布帛。
- 該貼布剤用布帛が、5%以上伸張したときに柔軟化する性質を有するものである請求項1または2記載の貼布剤用布帛。
- 該貼布剤用布帛が、10%以上伸張したときに柔軟化する性質を有するものである請求項1または2記載の貼付剤用布帛。
- 該硬仕上げ剤が、融点が40℃以上である熱可塑性樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の貼付剤用布帛。
- 該硬仕上げ剤が、0.5〜10g/m2 の範囲で該伸縮性布帛に付着している請求項1〜5のいずれかに記載の貼付剤用布帛。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の貼付剤用布帛の片面に、薬物を含有した粘着剤が塗布されていることを特徴とする貼布剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002219263A JP2004059489A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 貼付剤用布帛および貼布剤 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002219263A JP2004059489A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 貼付剤用布帛および貼布剤 |
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---|---|
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ID=31940212
Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010073327A1 (ja) * | 2008-12-24 | 2010-07-01 | リードケミカル株式会社 | 貼付剤 |
JP2018114151A (ja) * | 2017-01-19 | 2018-07-26 | 帝人フロンティア株式会社 | 貼布剤用布帛およびその製造方法および貼布剤 |
-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002219263A patent/JP2004059489A/ja active Pending
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