本発明は、皮膚表面に貼付し、創傷部等を保護するために用いる裏打材付きドレッシング材に関し、特に皮膚の屈曲部や湾曲部、凹凸部などに貼付する場合でもシワや隙間を生じず、操作性よく貼付部位を密封できる裏打材付きドレッシング材に関するものである。
ドレッシング材は、皮膚表面、例えば火傷や擦傷、潰瘍、褥創などの創傷部や、カテーテル挿入部などの外科的切開部などを保護したり、シャワーなどの際の防水のために用いられる医療用貼付材である。
そして、保護する部位が水などにさらされることを防いで清潔な状態に保つとともに、適度な湿潤状態に維持することにより、治癒を早める効果もある。
したがって、その使用においては創傷部等への水や細菌の侵入を防ぐことが必要であり、シワや隙間が生じないようにドレッシング材を貼付し、貼付部位周辺を完全に密封することが重要である。
しかし、一般的なドレッシング材は、皮膚貼付中の貼付感を良好なものにするために、非常に薄く柔軟性のあるフィルムを支持フィルムとして用いており、その結果、多くのドレッシング材は自己支持性が非常に小さくなっている。
そのため、ドレッシング材を貼付する際の操作性は良いとは言えず、例えば、ドレッシング材を両手で持って貼付しようとしても、ドレッシング材の粘着剤層が貼付部位以外の部位に付着してしまったり、ドレッシング材の粘着剤層同士が互いにくっついてしまうことがあった。
そして、このような場合には、ドレッシング材にシワや隙間が生じて貼付部位の密封性が保てなくなることもあった。
この問題を解決するために、支持フィルム背面にポリエチレンやポリプロピレン等のフィルムからなる裏打材を積層した裏打材付きドレッシング材が提案されており、このような構成とすれば、支持フィルム背面の全面に設けられた裏打材が適度な剛性を有するために、裏打材のないドレッシング材に比べて自己支持性が向上する。(例えば特許文献1など)
そして、この自己支持性の向上により、粘着剤層を覆うセパレーターを除去した状態でも裏打材付きドレッシング材の取扱性が比較的良好であり、裏打材を有しない従来のドレッシング材に比べて貼付操作性が飛躍的に向上した。
特に、ドレッシング材を腹部や背中等の比較的平坦な部位に貼付する場合には、裏打材による取扱性向上効果は顕著であり、裏打材付きドレッシング材を貼付部位に軽くかぶせ、その上から裏打材付きドレッシング材全体を押圧してしっかりと皮膚表面に密着させ、その後に支持フィルム背面の裏打材を剥がすという単純な作業により、シワや隙間を生じることなくドレッシング材を貼付し、貼付部位を容易に密封できるのである。
ところが、このような裏打材付きドレッシング材を膝や肘等の屈曲部や肩等の湾曲部、くるぶしなどの凹凸部に貼付する場合には、この裏打材による自己支持性が問題となることがあった。
具体的には、ドレッシング材の形状が裏打材により拘束されているために、体の屈曲部や湾曲部、凹凸部などの皮膚表面の形状に沿って裏打材付きドレッシング材を貼付することが難しく、その結果として、裏打材付きドレッシング材を貼付した際にシワや隙間が生じて貼付部位を密封できなくなることがあり、このような場合には、外部からの細菌汚染が懸念されるのである。
また、膝や肘などを曲げた状態、つまり皮膚が伸びた状態でこれら裏打材付きドレッシング材を貼付すると、貼付後に裏打材を剥がして膝や肘を伸ばした際に、皮膚が収縮する一方でドレッシング材は十分に収縮しきれず、貼付部位のドレッシング材がたるんで波状になることがあり、これにより皮膚に必要以上の負荷をかけてしまったり、また、ドレッシング材と皮膚との間に隙間が生じて密封性が低下してしまうこともあった。
これら課題に対し、皮膚追従性を向上させた裏打材付きドレッシング材として、ドレッシング材の支持フィルム全面ではなく、周縁部のみに裏打材を設けた裏打材付きドレッシング材も提案されている。(例えば特許文献2など)
このような裏打材付きドレッシング材を用いれば、上記の問題は多少改善されるものの、裏打材によりドレッシング材の形状が拘束されているという点では従来の裏打材付きドレッシング材と同じであり、根本的な解決手段とはなり得ていないのが現実である。
特開平7−132139号公報(請求項1)
実開平7−40744号公報(請求項1)
本発明は、従来の裏打材付きドレッシング材における上記の問題点を解決するためになされたものであり、貼付操作性を向上させるという裏打材の効果を維持しつつ、屈曲部や湾曲部、凹凸部のような平坦でない部分に貼付する場合でも、シワや隙間を生じずに貼付部位を完全に密封できる裏打材付きドレッシング材を提供することを目的とする。
本発明は、伸縮性支持フィルムの片面に粘着剤層が積層され、他面に裏打材が剥離可能に積層された裏打材付きドレッシング材であって、裏打材を剥離した後のドレッシング材が少なくとも一方向に50〜400%の伸び率、および80%以上の伸長回復率を有すると共に、上記裏打材のみの30%モジュラスが、上記伸び率および伸長回復率の測定方向への上記ドレッシング材の30%モジュラスの1.2倍を超えない範囲であることを特徴とする裏打材付きドレッシング材に関するものであり、このような構成の裏打材付きドレッシング材とすることにより、上記課題を解決しうることを見出したのである。
本発明の裏打材付きドレッシング材では、ドレッシング材の支持フィルムと裏打材の両方に引き伸ばし可能な材料を採用しているので、裏打材付きドレッシング材を皮膚表面の形状に沿って引き伸ばして貼付操作を行うことができ、これにより、貼付部位が屈曲部や湾曲部、凹凸部などであってもシワや隙間を生じずに貼付することができ、貼付部位の形状によらず貼付部位を良好に密封することができる。
また、裏打材付きドレッシング材を引き伸ばしながら膝や肘に貼付すれば、貼付後に裏打材を剥がし、膝や肘を伸ばす際に、伸縮性支持フィルムの持つ伸長回復性によりドレッシング材が皮膚の動きに追従して元どおりに縮むので、引き伸ばさずに貼付した場合に見られたように貼付部位の皮膚を波状に曲げてしまうことがなく、皮膚に必要以上の負荷をかけてしまう事がない。
さらに、貼付後のドレッシング材は、その伸び性および伸長回復性により皮膚の動きに追従することができ、良好に密着することから、ドレッシング材と皮膚との間に隙間が生じることもなく、密封性が低下してしまうこともない。
本発明の裏打材付きドレッシング材は、伸縮性支持フィルムの片面に粘着剤層が積層され、その伸び率および伸長回復率が特定の範囲であるドレッシング材と、ドレッシング材における伸縮性支持フィルムの他の面に剥離可能に積層され、その30%モジュラスがドレッシング材の30%モジュラスの1.2倍を越えない裏打材から構成されている。
ドレッシング材の伸縮性支持フィルムとしては、少なくとも一方向に伸縮するフィルムを使用し、特に、ドレッシング材を皮膚表面に貼付した際の皮膚表面の動きに対する追従性を考えれば、一方向だけでなく任意方向に伸縮するフィルムを用いるのが好ましい。
この伸縮性支持フィルムの伸び率は50%以上、好ましくは100%以上とし、このようなフィルムを使用することにより、貼付後の皮膚の伸び具合に応じてドレッシング材を適度に引き伸ばした状態で貼付できるだけでなく、膝や肘等の屈曲部にドレッシング材を貼付した際に、皮膚の伸びに十分に追従できるドレッシング材となる。
なお、本発明でいう伸び率とは、後述の実施例において「ドレッシング材の伸び率の測定方法」として記載する方法により測定した値である。
このような伸縮性支持フィルムを構成する樹脂の選択にあたっては、ドレッシング材用支持フィルムとしての特性、例えば柔軟性や透湿性などとともに、その素材自体の伸縮性も考慮する。
これらの特性に優れる伸縮性支持フィルムとして適した樹脂としては、ポリエーテルポリウレタンやポリエステルポリウレタン等のウレタン系樹脂、いわゆるナイロンやポリエーテルポリアミドブロックポリマーなどのアミド系樹脂、ポリアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体、変性ポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂、アイオノマーなどの樹脂が使用でき、この中でも特に柔軟性や透湿性が良好なウレタン系樹脂を用いるのが好ましい。
伸縮性支持フィルムの厚さは通常、5〜100μmの範囲とし、ドレッシング材の支持フィルムとしての強度や取扱性、貼付感などを考慮すれば、20〜70μm、さらには30〜50μmの厚さとすることが好ましい。
伸縮性支持フィルムの厚さが5μm以上であれば、ドレッシング材の支持フィルムとして充分なフィルム強度を発揮することができ、製造工程やドレッシング材を貼付する際、皮膚から剥離する場合などに支持フィルムが破断するなどのトラブルを抑制することができる。
また、伸縮性支持フィルムの厚さを100μm以下とすれば、上記5μm程度の厚みのフィルムを使用した場合に比べて製造時や剥離時の破損の可能性をより抑えることができ、また、この程度の厚みのフィルムであれば、ドレッシング材の支持フィルムとして使用してもいわゆるゴワゴワ感などの違和感が生じず、良好な貼付感を維持することができる。
上記伸縮性支持フィルムの片面に粘着剤層を積層してドレッシング材とするが、粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤やゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤、ウレタン系粘着剤などから選ばれる1種もしくは2種以上の粘着剤を使用する。
これら粘着剤の中でも、皮膚接着性が優れるという点で疎水性の粘着剤が好ましく、ドレッシング材としての特性、例えば皮膚接着性や低皮膚刺激性、透湿性などのバランスを考慮すると、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤を使用するのが好ましい。
粘着剤層の厚みについては適宜設定すればよいが、薄すぎると皮膚接着力が不十分となり、ドレッシング材が剥がれる原因となる場合があるために、これを防ぐために10μm以上の厚さとすることが好ましい。
一方、あまり粘着剤層を厚くすると、ドレッシング材全体が厚くなり、貼付感が悪くなる場合があることから、200μm以下の厚みにすることが好ましい。
そして、皮膚接着力と貼付感のバランスを考えれば、上記範囲の中でも15〜100μmの厚みが好ましく、20〜50μmの厚みがより好ましい。
本発明では、伸び率が少なくとも一方向に対して50〜400%のドレッシング材と伸びを有する裏打材を用いることに特徴を有し、このような構成とすることにより、膝や肘等の屈曲部やくるぶしなどの凹凸部に貼付する場合でも、皮膚の伸び具合に応じて裏打材付きドレッシング材を適度に引き伸ばした状態で貼付することができる。また、このようなドレッシング材であれば、貼付中も皮膚の伸びに対して十分に追従することができる。
伸び率が50%未満のドレッシング材を用いた場合には、ドレッシング材を貼付した膝や肘等を大きく曲げた場合に十分な皮膚追従性が得られない場合があり、貼付部位につっぱり感などの違和感を生じることがあり、また、このように皮膚追従性が良くない場合には、皮膚が伸縮する際に粘着剤層全面、もしくは一部が皮膚から剥がれてしまうことがあり、貼付部位を密封するというドレッシング材本来の機能を発揮できないことにもなりかねない。
また、ドレッシング材の伸び率は400%以下とし、350%以下とするのがより好ましい。単に皮膚への追従性のみに着目するのであれば、伸び率400%を超えるドレッシング材を使用することもできるが、あまりに伸び率の大きなドレッシング材では伸長回復性に劣る場合があり、貼付操作時に張力を弱めた場合や、貼付中に皮膚が縮む際などに、ドレッシング材が十分に収縮せずに満足する皮膚追従性が得られない場合がある。
また、このように伸び率の大きなドレッシング材を使用すると、ドレッシング材を皮膚表面から引き剥がす際にドレッシング材が大きく伸びてしまい、ドレッシング材貼付部に剥離力が伝わりにくくなる場合がある。このような場合には、ドレッシング材が非常に剥がしにくくなるだけでなく、剥離時に貼付部位が引っ張られる時間が長くなるため、患者に余計な苦痛を与えてしまうことになるため、好ましくない。
また、本発明の裏打材付きドレッシング材では、ドレッシング材の伸長回復率が80%以上である点にも特徴を有し、皮膚追従性の点から、伸長回復率はなるべく大きい方が好ましい。好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上の伸長回復率を有するドレッシング材を採用する。
本発明における伸長回復率は、後述の実施例で「ドレッシング材の伸長回復率測定方法」として説明するJISL−1096(一般織物試験方法)の6.14(伸縮性織物の伸縮性)のB−1法に準じて測定した値である。
この方法で測定すると、除重後の試験片が引き伸ばす前の長さまで縮んだ場合には伸長回復率が100%となり、逆に試験片が全く縮まずに引き伸ばされたままの長さとなった場合には、伸長回復率が0%となる。
ドレッシング材の伸長回復率が80%以上であれば、裏打材付きドレッシング材を引き伸ばしながら貼付する際に、仮に引き伸ばし過ぎたとしても、張力を多少緩めることにより自然に裏打材付きドレッシング材が収縮し、元どおりの張った状態となり、貼付操作性が良好となる。
また、このようなドレッシング材を膝や肘などに貼付した後で、一旦膝や肘などを曲げてから再度伸ばすと、皮膚の収縮に合わせてドレッシング材が速やかに収縮することから、皮膚追従性が良好となり、優れた貼付感を示すドレッシング材となる。
それに対し、ドレッシング材の伸長回復率が80%未満の場合には、ドレッシング材の収縮が不十分となる場合があり、貼付時に引っ張り過ぎた場合に、張力を緩めても裏打材付きドレッシング材が縮まず、たるんで貼付操作性が低下してしまったり、また、貼付後のドレッシング材が皮膚の動きに十分に追従できず、貼付部位に違和感を生じる場合がある。
次に、裏打材について説明する。
本発明の裏打材は、ドレッシング材貼付後に除去されて廃棄されるものであるから、伸縮性支持フィルムのような伸長回復性を有する必要はなく、伸長回復率が0%、すなわち、引き伸ばした状態から除重しても全く縮まないものから、伸長回復率が100%、すなわち、除重により引き伸ばす前の長さに縮むものまで、任意のものを使用できる。
しかし裏打材は、ドレッシング材が本来有する伸び性を維持したままドレッシング材に腰を持たせて自己支持性を向上させ、貼付操作性を改善するためのものであるため、適度の剛性を有する一方で、ドレッシング材を引き伸ばす際に、余分な張力をなるべく必要としない材質を選択する必要がある。
そこで、本発明の裏打材付きドレッシング材では、裏打材の30%モジュラスが前記ドレッシング材の伸長方向の30%モジュラスの1.2倍を超えない範囲、より好ましくはドレッシング材の30%モジュラスを超えない裏打材を使用する。そして、このような裏打材を用いることにより、裏打材の存在を意識せずに、裏打材付きドレッシング材を容易に貼付することができる。
これに対し、裏打材の30%モジュラスがドレッシング材の30%モジュラスの1.2倍を超える場合、ドレッシング材を引き伸ばすための張力よりもむしろ、裏打材を引き伸ばすための張力が支配的になり、裏打材を設けないドレッシング材に比べて貼付操作性が著しく低下してしまう場合があるため、好ましくない。
本発明の裏打材としては、編物や不織布、織布、樹脂フィルムなどを例示できる。
編物、不織布および織布としては、天然繊維、合成繊維のいずれからなるものでも本発明の裏打材として使用できるが、合成繊維は繊維の太さや形状などを種々調製することができるので、所望する特性の材料を得やすいという利点がある。
また、合成繊維の方が天然繊維に比べて一定品質のものを安定的に得やすいとの利点もあることから、合成繊維からなる編物や不織布、織布を用いるのが好ましい。
これらの合成繊維としては、例えばポリエーテルポリウレタンやポリエステルポリウレタン等のウレタン系樹脂や、いわゆるナイロンなどのアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、アセテート系樹脂、ベンゾエート等の樹脂からなる繊維や、これら繊維を混合して得られた複合繊維などが挙げられる。
また、これら以外の繊維として、レーヨンやポリノジック、キュプラ、プロミックス、ポリクラール等の再生繊維、半合成繊維も好適に用いることができる。
この中でも、柔軟性や伸縮性に優れるアミド系樹脂やウレタン系樹脂よりなる編物や不織布、織布が特に好ましく、このような材質からなる裏打材を用いれば、編物や不織布、織布の空隙を利用する構造的な伸縮性に加え、素材としての柔軟性や伸縮性も利用することができる。
そして、編物や不織布、織布を裏打材として用いる場合、裏打材付きドレッシング材の自己支持性を十分に発揮させるために目付量を10〜100g/m2の範囲とするのが好ましく、さらに伸縮性や柔軟性などの特性のバランスも考えれば、10〜60g/m2の範囲とするのがより好ましい。
目付量が10g/m2未満の場合、裏打材による自己支持性向上効果が小さく、裏打材付きドレッシング材を貼付する際の操作性改善効果が乏しくなる場合がある。
一方、100g/m2を超える目付量の場合には、裏打材付きドレッシング材全体の柔軟性が損なわれる場合があり、膝や肘等の屈曲部に沿って貼付する際にゴワゴワ感が生じて自由に曲がらず、皮膚に密着させにくくなるなど、貼付操作性が低下することがある。
裏打材として樹脂フィルムを用いる場合には、柔軟でよく伸びるフィルムを使用し、例えば、先に伸縮性支持フィルムの説明において例示したものと同様の樹脂よりなるフィルム、特に好ましい樹脂フィルムとして、柔軟性や伸縮性に富むウレタン系樹脂からなる樹脂フィルムを使用するのが好ましい。
これら編物や不織布、織布、樹脂フィルムを裏打材として使用するには、構成する素材や製造方法を適宜選択するとともに、さらに編物や不織布、織布の場合には目付量、樹脂フィルムの場合には厚みなどを調節することにより、その30%モジュラスをドレッシング材の30%モジュラスの1.2倍を超えない範囲のものを選択する。
本発明の裏打材付きドレッシング材では、以下の理由により、樹脂フィルムのように表面が平滑なものよりも、編物や不織布、織布のように表面が多孔形状のものを用いるのが好ましい。
本発明の裏打材付きドレッシング材のような積層体では、裏打材とドレッシング材がそれぞれ個別の伸び率や伸長回復率を有することから、このような積層体を引き伸ばした際に、裏打材とドレッシング材の伸び率や伸長回復率に僅かな差が生じ、この差により両層界面の接着部にせん断力が生じる。
そして、このせん断力が大きくなった場合には、裏打材とドレッシング材の界面の接着部が部分的、もしくは全体的に破壊されて剥がれてしまい、本発明のドレッシング材の特徴である貼付時の取扱性向上効果が十分に発揮できなくなる場合がある。
特に、本発明では最終的に裏打材を剥離することが必要であることから、両層は粘着剤を用いたり、熱融着手段によって弱い接着力で積層されており、裏打材付きドレッシング材の構成を検討する際には、このように接着力の低い裏打材付きドレッシング材でも両層の剥離が起こりにくくするように、その構成を検討する必要がある。
編物や不織布、織布などの表面が多孔形状の裏打材を用いる場合には、ドレッシング材の伸縮性支持フィルムと裏打材とは、いわゆる点接着として積層される。そして、このような裏打材付きドレッシング材を貼付するために引き伸ばした場合には、両層の界面にせん断力が生じるものの、このせん断力は編物や不織布の空隙部を利用した構造的な応力緩和性により緩和されることになる。
そして、その結果、両層界面に生じるせん断力は小さくなり、また、僅かに残ったせん断力も両層の素材としての柔軟性により緩和され、両層が層間剥離することが非常に少なくなる。
一方、裏打材として樹脂フィルムなどの平滑なものを使用する場合には、裏打材と伸縮性支持フィルムは面全体もしくは面の一部を利用する、いわゆる面接着として積層される。そして、この場合には編物や不織布を用いた場合のような、空隙部を利用したせん断力緩和作用は期待できず、その結果、編物や不織布などを用いた場合に比べてせん断力が大きいまま残り、このせん断力により接着層が破壊されて両層が剥離する場合が多くなる。
よって、このようなことを避けるために、裏打材としては樹脂フィルムのような平坦なものではなく、編物や不織布のような多孔性状のものが好ましいのである。
裏打材付きドレッシング材の粘着剤層の表面には、粘着剤層を使用時まで保護するためのセパレーターを設けておくのが好ましい。セパレーターとしては、上質紙やグラシン紙、パーチメント紙、樹脂フィルムなどのセパレーター基材にシリコーン等を含有する剥離剤をコーティングしたものや、レジンアンカーコーティングを行ったものが適しており、そのコート面を粘着剤層の表面に当接させる。
これらセパレーターと粘着剤層との間の接着力は、裏打材と伸縮性支持フィルムとの間の接着力よりも低くなるように調節する。
仮に、粘着剤層とセパレーターとの間の接着力が、裏打材と伸縮性支持フィルムとの間の接着力よりも大きい場合、ドレッシング材の粘着剤層表面からセパレーターを除去する際に、セパレーターが剥がれるよりも先に伸縮性支持フィルム背面から裏打材が剥がれてしまうことがあり、この場合、貼付操作性を向上するという本発明の効果が損なわれてしまうのである。
以上、本発明の裏打材付きドレッシング材の構成を説明したが、例えば以下のような方法により製造することができる。
好ましい製造方法としては、予め伸縮性支持フィルムの片面に裏打材を剥離可能に積層し、裏打材と伸縮性支持フィルムの積層体を作製する。
裏打材を伸縮性支持フィルムに積層する場合、両層の接着強度に注意し、両層の接着強度が弱すぎると製造時や貼付操作時に伸縮性支持フィルムから裏打材が剥がれてしまう場合がある。
一方、接着強度が強すぎると、裏打材付きドレッシング材を貼付部位に貼付した後で裏打材を剥がす際に、裏打材と伸縮性支持フィルムの界面では剥がれず、ドレッシング材が皮膚表面から剥がれてしまう場合がある。
このような問題を回避するためには、裏打材と伸縮性支持フィルムとの接着強度を特定の範囲、具体的には0.05〜2N/19mmにして積層するのが好ましく、例えば低接着力の粘着剤を用いて両層を積層する方法や、伸縮性支持フィルムおよび裏打材の少なくとも一方が熱可塑性樹脂で形成されている場合には、裏打材と伸縮性支持フィルムを熱圧着して積層する方法により、上記接着強度で両層を積層することができる。
特に後者の方法によれば、両層を積層するために粘着剤を使用する必要が無く、短時間の加熱を行うという単純な操作により積層することが可能となるため、生産性も非常に高く好ましい。
なお、ここでは予め裏打材と伸縮性支持フィルムを積層する方法を示したが、先に伸縮性支持フィルムの片面に粘着剤層を形成し、その後に伸縮性支持フィルムの他の面に裏打材を積層しても良い。
上記伸縮性支持フィルムの裏打層を設ける面の反対側の面に、所定の厚みの粘着剤層を形成することにより、本発明のドレッシング材を製造する。この粘着剤層を形成するための手段として、以下の2つの方法を例示する。
第1の方法は、セパレーターの剥離処理を行った面に粘着剤溶液を塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、その粘着剤層を伸縮性支持フィルムの裏打材を設ける面の反対側の面に貼り合わせる方法である。
第2の方法は、伸縮性支持フィルムの裏打層を設ける面の反対側の面に直接粘着剤層を形成する方法であり、伸縮性支持フィルム上に粘着剤溶液を塗布した後に乾燥させて粘着剤層を形成する方法である。
そして、このようにして製造した裏打材付きドレッシング材について、必要に応じて粘着剤層上にセパレーターを積層し、また、所望の形状に裁断して使用すればよい。
以上、本発明の裏打材付きドレッシング材について説明したが、本発明は上記構成からなる裏打材付きドレッシング材だけでなく、各種の応用が可能である。
例えば、上記構成の裏打材付きドレッシング材の粘着剤層の一部に吸液パッドを設ければ、皮膚からの滲出液が多い場合でも貼付部位からの液漏れを防止でき、さらに、吸液パッドに予め治療効果を増進する物質を含ませておけば、治療効果をより高めることができる。
この場合に使用する吸液パッドとしては、ガーゼや綿布、不織布、脱脂綿と不織布との複合品、脱脂綿と編物との複合品などを使用し、さらに、ドレッシング材の貼着中にこれらが傷口に固着してしまうのを防ぐために、その表面にメッシュや穴空きフィルムを設けておくこともできる。
なお、吸液パッドを設ける場合、吸液パッドが粘着剤層の面積の1/3以下の小面積を覆うような場合には、吸液パッド自身の伸縮性についてそれほど気にする必要はないが、吸液パッドが粘着剤層の広範囲を覆うような場合には、吸液パッドの伸縮性も考慮のうえ、ドレッシング材の伸び性および伸長回復性にあまり影響を与えない特性のものを選択して裏打材付きドレッシング材の構成を決定する。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
以下の方法によりドレッシング材および裏打材の物性値の測定、そして裏打材付きドレッシング材としての貼付操作性、皮膚密封性、皮膚追従性の評価を行った。なお、以下の記載では、特に断りのない限り「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
(ドレッシング材の伸び率の測定方法)JISL−1096(一般織物試験方法)の6.14項「伸縮織物の伸縮性評価方法」のB−1法(定荷重法)に準じて測定を行った。
試験片1としては図1に示す50×100mmに切り取ったドレッシング材を用い、その試験片1の長手方向の両端から10mmの部分をそれぞれ掴みシロ2,2’として張力測定装置(オートグラフAGIS;株式会社島津製作所製)にセットして測定を行った。試験開始時の2つの印、3,3’間の距離L0は50mmである。
この試験片1を1.5kgの張力を維持しながら引き伸ばし、引き伸ばし始めから1分後に印3,3’の間の距離を測定してL1(mm)とした。このL1およびL0を下記式に代入し、伸び率を求めた。
(ドレッシング材の伸長回復率の測定方法)ドレッシング材の伸び率を測定した後、直ちに除重し、除重してから30秒後の印3,3’間の距離を測定してL2(mm)とした。L1、L2およびL0の値を下記式に代入し、伸長回復率を求めた。
(30%モジュラスの測定方法)JISZ−0237(粘着テープ、粘着シート試験方法)の30%モジュラスの測定方法に準じて測定を行った。試験片4としては図2に記載する20×120mmに切り取ったドレッシング材および裏打材を用い、その試験片4の長手方向の両端から10mmの部分をそれぞれ掴みシロ5,5’として、張力測定装置(オートグラフAGIS;株式会社島津製作所製)にセットして測定を行った。
(貼付操作性評価)折り曲げた状態の肘部に7×10cmの大きさに裁断した裏打材付きドレッシング材を貼付し、その際の貼付し易さについて以下の基準により評価を行った。なお、貼付する際には、ドレッシング材にできるだけシワが発生しないように貼付した。
○:貼付しやすかった。
△:やや貼付しにくかった。
×:非常に貼付しにくかった。
なお、本発明におけるシワとは、ドレッシング材の粘着剤層が十分に皮膚に密着していない状態を意味するものであり、例えば粘着剤層が皮膚から浮いて隙間を生じているような状態や、ドレッシング材の粘着剤層同士が互いにくっつき、その部分が皮膚と密着していないような状態を意味するものである。
よって、外観上はシワが生じているように見えても、そのシワが皮膚の形状によるものであり、そのシワに沿って粘着剤層が皮膚に完全に密着している場合には、シワは発生していないと判断した。
(皮膚密封性評価)貼付した裏打材付きドレッシング材の伸縮性支持フィルム背面から裏打材を剥がし、ドレッシング材の外観を観察することにより、ドレッシング材が貼付部位を完全に密封できているかどうかを以下の基準により評価した。
○:ドレッシング材の粘着剤層全体が完全に皮膚に密着しており、貼付部位を完全に密封できていた。
△:貼付部位のごく一部にシワが入っていたものの、密封性には影響はないと考えられた。
×:貼付部位に複数の大きなシワが生じたり、多数の小さなシワが生じており、貼付部位の密封性に影響があると考えられた。
(皮膚追従性評価)皮膚密封性評価後に肘の曲げ伸ばしを行い、以下の基準によりドレッシング材の皮膚追従性を評価した。
○:皮膚の曲げ伸ばしにドレッシング材が十分追従し、ほとんど違和感を生じなかった。
△:皮膚の曲げ伸ばしにドレッシング材が追従するものの、曲げる時もしくは伸ばす時に違和感があった。
×:皮膚の曲げ伸ばしに対するドレッシング材の追従性が悪く、曲げる時もしくは伸ばす時に大きな違和感があった。
(実施例1)
イソノニルアクリレート65部、2−メトキシエチルアクリレート30部、およびアクリル酸5部からなる単量体混合物、および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部を酢酸エチル中に入れて共重合反応を行い、次いでカプリル酸トリグリセリド45部およびイソシアネート系架橋剤0.1部を配合し、粘着剤の酢酸エチル溶液を調製した。
セパレーターのシリコーン処理面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmとなるように上記粘着剤溶液を塗布し、100℃で3分間乾燥を行って粘着剤層を形成した。
この粘着剤層を伸縮性支持フィルムであるポリエーテルポリウレタンフィルムAの片面に貼り合わせ、60℃で72時間加温して伸縮性支持フィルムと粘着剤層とを十分に馴染ませることにより、ドレッシング材を作製した。
次いで、作製したドレッシング材の伸縮性支持フィルム上に、裏打材として目付量15g/m2のポリアミド編物Aを被せ、熱圧着機により70℃で10秒間熱圧着処理を行って伸縮性支持フィルムおよび裏打材を積層し、本発明の裏打材付きドレッシング材を作製した。
このようにして作製した裏打材付きドレッシング材を用いて、伸び率、伸長回復率、30%モジュラス、貼付操作性評価、皮膚密封性評価、皮膚追従性評価を行った。その結果を表1にまとめた。
(実施例2〜6)
実施例1と同様の操作により、実施例2〜6の試験片の作製、各物性値の測定、裏打材付きドレッシング材としての特性評価を行った。各実施例に用いた伸縮性支持フィルムおよび裏打材については表1に示した。また、測定結果、評価結果についても表1にまとめた。
(実施例7)
実施例1と同様の操作により粘着剤層を形成し、この粘着剤層を予め作製しておいた伸縮性支持フィルム/裏打材積層体の伸縮性支持フィルム側に積層し、60℃で72時間加温して伸縮性支持フィルムと粘着剤層とを十分に馴染ませることにより、裏打材付きドレッシング材を作製した。
なお、伸縮性支持フィルム/裏打材積層体は、両層を重ね合わせて熱圧着することにより積層体としたものである。
そして、作製した裏打材付きドレッシング材を用いて、伸び率、伸長回復率、30%モジュラス、貼付操作性評価、皮膚密封性評価、皮膚追従性評価を行った。
伸縮性支持フィルムおよび裏打材の種類とともに、各物性値の測定結果、裏打材付きドレッシング材としての特性評価の結果については、表1にまとめた。
(実施例8〜9)
表1に示した伸縮性支持フィルムおよび裏打材を用い、実施例1と同様の操作により裏打材付きドレッシング材を作製するとともに、各物性値を測定した。また、裏打材付きドレッシング材のセパレーターを一旦剥がし、3×5cmの大きさの吸液パッドを粘着剤層の中央部に置き、その後あらためて粘着剤層をセパレーターで被覆して図3に示すような吸液パッドを有する裏打材付きドレッシング材を作製した。
なお、使用した吸液パッドは、セルロース−ポリエステル−ポリオレフィン混合繊維よりなる目付量120g/m2の不織布の表面にポリエチレンメッシュを設けたものである。
この吸液パッドを有する裏打材付きドレッシング材を用いて、裏打材付きドレッシング材としての特性の評価を行った。使用した伸縮性支持フィルムおよび裏打材の種類とともに、各物性値の測定結果、特性の評価結果についても表1にまとめた。
(比較例1〜3)
実施例1と同様の操作により、比較例1〜3の裏打材付きドレッシング材について試料片の作製、物性値測定、裏打材付きドレッシング材としての特性評価を行った。各実施例に使用した伸縮性支持フィルムおよび裏打材の種類とともに、各物性値の測定結果、裏打材付きドレッシング材としての特性評価の結果についても表1にまとめた。
これら実施例および比較例の貼付操作性評価、皮膚密封性評価、皮膚追従性評価を行った結果、本発明の実施態様である実施例1〜7の裏打材付きドレッシング材は、貼付部位である肘部の形状に沿って裏打材付きドレッシング材を貼付する際の貼付操作性が非常に良好であり、シワや隙間を生じずに皮膚の形状に沿って貼付することができた。
これは、ドレッシング材の伸縮性支持フィルムが所定の伸び率を有するとともに、その伸長回復率も所定の範囲であることが良好に作用した結果であると考えられ、この特性により、単に伸びるだけでなく、引き伸ばしすぎた場合でも張力を緩めることにより速やかに収縮するために、貼付操作の際に裏打材付きドレッシング材がたるまずに貼付操作を行えることが大きく寄与しているものと考えられた。
また、これら実施例では、裏打材の30%モジュラス値をドレッシング材の30%モジュラス値の1.2倍よりも小さくしているため、裏打材付きドレッシング材を引き伸ばす際に必要な張力も比較的小さくてすみ、裏打材による自己支持性向上効果を合わせて考えれば、貼付操作が非常に良好となった。
また、曲げた肘に裏打材付きドレッシング材を貼付する際に、このように引き伸ばして貼付することにより、裏打材を剥がした後のドレッシング材は貼付部分の皮膚が伸びる場合には皮膚の伸びに合わせてドレッシング材が適度に伸びることができ、皮膚が縮む際にも、伸縮性支持フィルムが適度な伸長回復率を持っていることにより、皮膚の縮みに合わせて速やかに縮み、貼付部位に違和感を与えないのである。
粘着剤層の表面に吸液パッドを設けた実施例8および実施例9についても実施例1〜7のサンプルと同様の貼付操作性、貼付密封性、皮膚追従性を発揮し、パッド付きドレッシング材として良好な特性を示すものであった。
一方、本発明の構成を満たさない比較例1〜3では、皮膚追従性、貼付操作性、そして皮膚追従性の全ての特性をバランスよく備える裏打材付きドレッシング材とはならず、いずれかの特性に問題を有するものであった。
比較例1の裏打材付きドレッシング材は、ドレッシング材の伸縮性支持フィルムだけでなく裏打材にも伸ばすことができる材料を使用しており、本発明の裏打材付きドレッシング材と同様に引き伸ばしながら貼付操作を行うことができた。
しかし、裏打材付きドレッシング材を貼付操作の際に伸ばし過ぎると、張力を緩めてもあまり縮まずにたるんだ状態となった。そして、このたるみにより、貼付する際には張力を微妙に調節してなるべく張った状態にする必要があり、本発明のドレッシング材に比べると、貼付操作をスムーズに行うことが難しかった。
また、このドレッシング材を貼付した後、裏打材を剥がして肘の曲げ伸ばしを行うと、肘を伸ばした際に貼付部位のドレッシング材が波状にたわみ、違和感を生じるものであった。
これらの結果は、ドレッシング材の伸長回復率が比較的小さいために、肘を曲げた際にドレッシング材が充分に縮まず、ドレッシング材がたるんでしまったためと考えられる。
この比較例1に対し、本発明の裏打材付きドレッシング材、例えば、同じ裏打材を用いた実施例4の裏打材付きドレッシング材では、少し張力を緩めてやれば裏打材付きドレッシング材が速やかに縮み、また、貼付後の皮膚追従性も良好であり、貼付操作を容易に行うことができた。
比較例2の裏打材付きドレッシング材は、貼付時にほとんど伸ばすことができず、裏打材付きドレッシング材の初期長さとほぼ同程度の長さで貼付せざるを得ず、また、裏打材付きドレッシング材の剛性も高かったことから、皮膚表面の形状に合わせて貼付することが非常に難しかった。
そして、貼付後の裏打材付きドレッシング材から裏打材を剥がし、ドレッシング材の外観を観察すると、ドレッシング材の粘着剤層の裏面同士でくっついている部分が多数のシワが発生しており、これら多数のシワにより皮膚表面が密封されていないおそれがあった。このようなシワは特に、肘の側面部において多く発生していた。
これは、ドレッシング材自体は伸び性および伸長回復性に優れるものの、裏打材が伸びにくく、また、その裏打材の30%モジュラスが本発明の範囲から外れるほど大きかったことがその理由と考えられる。
一方、本発明の実施態様である実施例1〜7のドレッシング材では、いずれも良好な貼付操作性を発揮し、比較例2で見られたような貼付操作性の悪さやシワの発生は起こらなかった。
実施例1〜7では、いずれも50%以上の伸び率を有するドレッシング材を用いるために、貼付部位の形状に沿わせるのに十分な程度に伸ばすことができ、さらに、裏打材も少なくとも30%伸びるとともに、両層の30%モジュラスも所定の範囲であることから、比較的小さな張力をかけるだけで皮膚の伸びに合わせて貼付することが容易であったことがその理由の一つと考えられた。
また、上記のように比較例2のドレッシング材では、肘を曲げている状態では問題が無いものの、肘を伸ばした際には皮膚に密着するドレッシング材がだぶつき、いわゆるゴワゴワ感が生じて貼付感が良いものではなかったが、本発明の実施態様である実施例1〜7のドレッシング材では、このような問題は生じなかった。
さらに、比較例2のドレッシング材では、ドレッシング材を皮膚から剥がす際にも問題があり、ドレッシング材を端からめくって引っ張る際に、ドレッシング材の伸縮性支持フィルムの伸び率が非常に大きいために、貼付部位を引っ張る時間が比較的長くなり、また、剥離の際の痛みも実施例や他の比較例に比べて大きかった。
比較例3の裏打材付きドレッシング材は、肘に貼付する際に、充分に引き伸ばすことができず、肘の形状に沿わせて貼付しようとしても貼付操作性が悪かった。裏打材としてよく伸びる編物を使用している一方で、ドレッシング材の伸縮性支持フィルムの伸び率が20%と小さく、これらを積層しても、ほとんど伸ばすことができない点が原因の一つと考えられた。
さらに、この比較例3のドレッシング材は、伸縮性支持フィルムの伸び率が小さく、伸長回復率も小さいことから、皮膚表面の微妙な動きに追従することはできず、その結果、単に貼付しているだけでもある程度の違和感を生じた。また、曲げた肘にドレッシング材を貼付し、その後に肘を伸ばした際には、肘部の皮膚表面にドレッシング材がだぶつくような違和感が生じ、貼付感が良いとは決して言えるものではなかった。
それに対し、本発明の構成を有する実施例1〜7、特に比較例3と同じ裏打材を用いる実施例1の裏打材付きドレッシング材では、伸縮性支持フィルムとして所定範囲の伸び率を有するフィルムを用いていることから、比較例3のような問題は生じず、裏打材付きドレッシング材を引き伸ばしながら貼付することにより、肘部の形状に合わせて貼付することが容易であった。
また、肘部に貼付した実施例1のドレッシング材は、適度な伸縮性と伸長回復率を有するものであり、非常に貼付感の優れるものであった。
ドレッシング材の伸び率を測定するための試験片について説明する平面図である。
30%モジュラスを測定するための試験片について説明する平面図である。
吸液パッド付き裏打材付きドレッシング材の平面図である。
符号の説明
1 試験片
2,2’ 掴みシロ
3,3’ 印
4 試験片
5,5’ 掴みシロ
6 裏打材付きドレッシング材
7 粘着剤層
8 吸液パッド