WO2009084611A1

WO2009084611A1 - かゆみ止めシート

Info

Publication number: WO2009084611A1
Application number: PCT/JP2008/073680
Authority: WO
Inventors: Shuhei Kurata
Original assignee: Zuiko Corporation; Natsui, Makoto
Priority date: 2007-12-28
Filing date: 2008-12-26
Publication date: 2009-07-09
Also published as: US20100239643A1; JPWO2009084611A1; CN101909606A; CN101909606B

Abstract

　本発明は、虫刺されによる痒み又は日焼けによる痒みの新たな知見による治癒乃至緩解に適した、密閉層とその肌当接面側に密閉層の肌への適用を容易にするための固定層とを設けてなることを特徴とするかゆみ止めシートを提供する。

Description

かゆみ止めシート

　本発明は、かゆみの治癒又は緩解に有用な貼付シートの提供に関するものであり、更に詳しくは、虫刺され、とりわけ、蚊、毛虫又はぶゆ等に刺されたあとに生ずるたまらない痒み又は、日焼けをした時の痒みの速やかな治癒又は緩解に有用な貼付シートを提供するものである。

　現在、市場で入手できるかゆみ止め薬剤としては、液体状薬剤、軟膏状薬剤等様々なものが提供されている。しかしながら、何れのかゆみ止め薬剤も、かゆみを弱める鎮痒剤又は炎症を押さえる抗炎症剤等の薬剤が含まれているか、或いは、これら薬剤と同時に局所的に神経を麻痺させてかゆみを感じない状況とするために、麻酔薬が含まれている。このような鎮痒剤又は抗炎症剤としては、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、酢酸デキサメタゾン等のステロイド剤が知られており、麻酔薬としてはプロカイン、テトラカイン、ジブカイン、リドカイン等が知られている。更に、助剤として、Ｌ－メントール、カンフル等を添加したものが知られている。

　また、ツボクサ抽出物とティーツリーオイルが含まれている局所適用かゆみ止め製剤が知られている。（特許文献１）
　更に、Ａｇ、Ｍｎ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｎｉ、Ｃｕ、Ｚｎ等の金属イオンを含む貼付剤がかゆみ止めに有効であるとした特許出願が公開されている。（特許文献２）
　これら何れにおいても、添加、含有されている薬剤、金属イオンのはたらきに鎮痒効果を期待しているものである。
ＷＯ２００３／４７６０９号パンフレット特開２００４－１６１６４２号公報

　本発明は、蚊、毛虫又はぶゆ等の虫刺されによる痒み又は、日焼けによる痒みを止める又は緩解に効を奏するかゆみ止めシートを提供するものである。

　本発明の発明者らは、痒み、特に蚊、毛虫、ぶゆ等の虫刺されによる痒み又は、日焼けによる痒みに関し、鋭意研究を重ねた結果、虫刺され箇所又は日焼け箇所が空気に触れない状況を作ることによって、痒みを感じることがないことを見出し、本発明に至ったものである。即ち、本発明は、虫刺され箇所又は日焼け箇所をすぐさま密閉状態にして、当該箇所を空気と遮断することによって痒みを止めることができるという意外な新知見に基づき、これを実用に向けるべく工夫を重ねた結果、実用化手段を構築することに成功し、本発明をなしたものである。

　すなわち、本発明は、
［１］密閉層とその肌当接面側に固定層を設けてなることを特徴とするかゆみ止めシート、
［２］密閉層がゲル層であり、固定層が粘着剤層であることを特徴とする前記［１］記載のかゆみ止めシート、
［３］固定層の非肌当接面側に密閉層が設けられ肌当接面側に固定層の保護シートを設けてなることを特徴とする前記［１］又は［２］記載のかゆみ止めシート、
［４］密閉層に補強材を設けてなることを特徴とする前記［３］記載のかゆみ止めシート、
［５］密閉層がシリコーン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選択される１以上からなることを特徴とする前記［３］記載のかゆみ止めシート、
［６］固定層がアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤及びウレタン系粘着剤から選択される１以上からなることを特徴とする前記［３］記載のかゆみ止めシート、
［７］鎮痒剤が固定層に含有されていることを特徴とする前記［３］記載のかゆみ止めシート、
［８］鎮痒剤が抗ヒスタミン剤及び／又はステロイド剤であることを特徴とする前記［７］に記載のかゆみ止めシート、
［９］密閉層とその補強材とから成ることを特徴とするかゆみ止めシート、及び
［１０］密閉層が鎮痒剤を含有していることを特徴とする前記［９］記載のかゆみ止めシート、
［１１］前記［１］記載のかゆみ止めシートからなる虫刺され又は日焼けによる痒み治療剤、
［１２］前記［１１］記載の虫刺され又は日焼けによる痒み治療剤を製造するためのかゆみ止めシートの使用、
［１３］前記［１］記載のかゆみ止めシートを痒みを有する部位に、密閉状態で接着することを特徴とする虫刺され又は日焼けによる痒みの治療方法、
に関する。

　本発明によって提供されるかゆみ止めシートは、従前のかゆみ止め剤のように鎮痒剤を含有することがなくても、虫刺されによる痒み、又は日焼けによる痒みを効果的に治癒又は緩解せしめることができるという特徴を有する。従って、薬品に対する過剰反応、例えば、かぶれや蕁麻疹等を心配することなく、使用でき、また、薬品の劣化による効果の低減の心配も払拭できる。

図１は、本発明のかゆみ止めシートの模式図（断面図）である。図２は、密閉層が肌当接面側に粘着性を有する密閉層からなるかゆみ止めシートの模式図（断面図）である。図３は、密閉層が非肌当接面側及び肌当接面側の両面に粘着性を有し、タック止めシートを密閉層の非肌当接面側に設けたかゆみ止めシート模式図（断面図）である。図４は、密閉層が肌当接面側に粘着性を有し、非肌当接面側に補強材を積層したかゆみ止めシートの模式図（断面図）である。図５は、密閉層、固定層及び補強材の三層からなり、密閉層の非肌当接面側に補強材を積層したかゆみ止めシートの模式図（断面図）である。図６は、密閉層が非肌当接面側及び肌当接面側の両面に粘着性を有し、タック止めシートを密閉層の非肌当接面側に設け、密閉層内に補強材を内蔵したかゆみ止めシートにおいての模式図（断面図）である。図７は、密閉層内に補強材を内蔵したかゆみ止めシートの模式図（断面図）である。図８は、密閉層の非肌当接面側に補強材を剥離可能に設けたかゆみ止めシートの模式図（断面図）及び該かゆみ止めシートを痒みを有する部位に貼り付けた後に補強材のみを剥がすことができることを示すかゆみ止めシートの模式図（断面図）である。

符号の説明

１　密閉層
２　固定層
３　肌当接面側に粘着性を有する密閉層
４　非肌当接面側及び肌当接面側の両面に粘着性を有する密閉層
５　タック止めシート
６　補強材
７　痒みを有する部位

　本発明により提供されるかゆみ止めシートは、以下に述べる構成を有するものである。即ち、図１に示すように、密閉層とその肌当接面側に固定層を設けていることを原則とする構成から成り立っているものである。密閉層とは、空気との接触を断つために設けられているものであって、空気遮断性能を有する素材からなるシート状物を意味する。なお、空気遮断性能とは、空気との接触を完全に断つ性能である他、虫刺されの箇所と外気との接触を実質的に妨げることができるものであれば、不完全なものであっても許容される概念である。固定層とは密閉層を虫に刺された所定の場所に動かないように留め置くために必要とされるものであって、粘着性のある素材からなるものを意味する。本発明において、密閉層を空気遮断層と表記することがある。以下同様である。

　本発明により提供されるかゆみ止めシートは、上述したところを要件とする構造からなるものである。さらに、前記かゆみ止めシートには、（Ａ）固定層の肌当接面側に粘着剤層を保護する保護シートを設ける、（Ｂ）密閉層の非肌当接面側に必要に応じて密閉層を支えるため若しくはその剛性を補うための補強材を設ける、又は（Ｃ）固定層の中に痒みを緩和する効能を有する薬剤を含有させる等、製造上、保管上、携帯上、使用上、更には効果を一層高める上での通常行われるところの付加が適宜行われ、これらは全て本発明に含まれるものである。

　前記密閉層としては、プラスチックスシートからなるゲル層が好適な例として挙げられる。前記プラスチックスシートはプラスチック材料を単独又は混合して製造することができ、得られたプラスチックスシートは重ね合わせて積層体として用いてもよい。前記プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド等の重合物、又は、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステルを適宜組み合わせて重合した重合物のアクリル樹脂ゲル化物、例えば、アルコキシエチル（メタ）アクリレートとジビニル化合物、例えば、Ｎ、Ｎ－メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールメタクリレート等をアゾビスイソブチロニトリルや過酸化べンゾイル等を用いた重合により得られる樹脂ゲル化物、又は、ウレタン樹脂ゲル化物、例えば、ポリエーテルポリオールとトルエンジイソシアネートを可塑剤と共にジブチル錫ラウレート触媒の存在下、重合させた重合物から得られる樹脂ゲル化物、或いは、シリコーン樹脂ゲル化物、即ち、アルキルポリシロキサンのゲル化物から得られる樹脂ゲル化物が挙げられる。密閉層のプラスチック材料としては、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選択される１以上が好ましく、これらのゲル化物の中でも、シリコーンのゲル化物が特に好ましい。さらに、密閉層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフィルムであってもよい。密閉層の厚さは、通常５μｍ以上１ｍｍ以下、好ましくは１０μｍ以上１５０μｍ以下である。５μｍ未満では十分な強度を保てず、１ｍｍを超えると厚すぎて嵩張りすぎるためである。また、密閉層は、不感蒸泄による蒸れを防ぐ目的で、透湿性を有していてもよい。透湿度は、３００～１２，０００ｇ／ｍ^２・２４ｈｒｓである。

　前記アルキルポリシロキサンのゲル化物は、特開昭６２－２０５５７号、特開昭６２－１８１３５７号、特開２０００－２６７３３号等の開示に準じて、製造されるものが挙げられる。例えば、分子中、特に、（ａ）分子末端又は分子中に２個以上のビニル基を有するオルガノポリシロキサンと（ｂ）硅素に直接結合した水素原子を分子中に有するオルガノポリシロキサンとを混合し、所望により白金系触媒の存在下に必要に応じて加熱等して、架橋・硬化させて得られるアルキルポリシロキサン等が好適に使用される。

　（ａ）分子末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、ビニルメチル－ジメチルポリシロキサン、ビニルメチル－フェニルメチル－ジメチルポリシロキサン等が挙げられ、（ｂ）硅素に直接結合した水素原子を分子中に有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、メチルハイドロジェンシロキサン－ジメチルシロキサン環状共重合体、分子両末端がトリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン－メチルハイドロジェンシロキサン共重合体が挙げられる。

　硬化前の上記オルガノポリシロキサン混合物を使用して、密閉層として使用するシート状シリコーン樹脂ゲルを製造するには、当該混合物を剥離可能な基材、例えば、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、これらを張り合わせた紙、フロロシリコーン処理したクラフト紙等の上に、ドクターナイフ、ロールコーター、ワイヤーコーター等の手段で塗布し、これを加熱等して硬化させることにより製造することができる。アクリル樹脂ゲル、ウレタン樹脂ゲルも同様の手段で製造することができる。

　前記固定層は、密閉層の肌当接面側に設けられ、密閉層を肌に動かないように固定する機能を発揮する。固定層は、粘着剤を用いた粘着剤層とするのが好ましい。

　粘着剤層に用いる粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤及びウレタン系粘着剤から選択される１以上が好適に挙げられる。アクリル系粘着剤としては、特に限定されるものではなく、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステル体から選択される１以上のモノマーを重合又は共重合することにより得られる重合体であって、自体公知のものが挙げられる。前記モノマーとしては、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピル（イソ又はノルマル）エステル、アクリル酸ブチル（イソ又はノルマル）エステル、アクリル酸２－エチルヘキシルエステル、アクリル酸オクチルエステル、アクリル酸ペンチルエステル、アクリル酸ヘプチルエステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸プロピル（ノルマル又はイソ）エステル、メタクリル酸ブチル（ノルマル又はイソ）エステル、メタクリル酸オクチルエステル、メタクリル酸ペンチルエステル、メタクリル酸へプチルエステル、メタクリル酸アミド等の自体公知のものが挙げられる。

　ゴム系粘着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム、合成ゴム、スチレン－ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン－ブタジエン－スチレンブロック共重合体、スチレン－イソプレン－スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、スチレン－ブタジエンゴム等の自体公知のものが挙げられる。

　シリコン系粘着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ジアルキルシロキサンポリマー、例えば、ジメチルシロキサンポリマー、ジエチルシロキサンポリマー等の自体公知のものが挙げられる。

　これらの粘着剤は、種類を問わず、単独で又は２以上を混合して使用することができる。粘着剤の混合に際し、粘着剤層の接着性を向上させるために、例えば、ポリビニルピロリドンを添加することもできる。当該粘着剤層の前記密閉層の肌当接面側への布設は常法に従って塗布することにより行うことができる。固定層の厚さは、通常５μｍ以上１００μｍ以下、好ましくは１０μｍ以上３０μｍ以下である。固定層の粘着力は、対スチール板で通常０．５～８．０Ｎ／ｃｍ程度、好ましくは、２．０～４．０Ｎ／ｃｍ程度である。粘着力が０．５Ｎ／ｃｍ未満である場合、かゆみ止めシートを固定することができず、粘着力が８．０Ｎ／ｃｍより大きい場合、使用後に剥がせないためである。

　密閉層自体が粘着性を有し、その粘着性（タック性）が当該層の肌への密着を可能とする程度のものである場合、密閉層のみで肌に直接固定することができるので、本発明のかゆみ止めシートは固定層の積層を必要としない。このような粘着性を有する密閉層としては、図２に示されるような密閉層の肌当接面側に粘着性を有する密閉層（以下、片面タック性を有する密閉層と略称する。）、又は図３に示されるような非肌当接面側及び肌当接面側の両面に粘着性を有する密閉層（以下、両面タック性を有する密閉層と略称する。）が挙げられる。具体的には、両面タック性を有する密閉層としては、ゲル化シートが好適に挙げられる。前記ゲル化シートは、生体に塗布した際、生体温度に感応して塗布物が溶液状態からゲル状体に硬化し、塗布部にゲル皮膜を形成する高分子材料等を単独又は混合して製造することができ、得られたゲル化シートを積層体としてもよい。前記高分子材料としては、例えば、特開２００３－２５２９３６号に開示されている温度応答性材料（又は温度応答性重合体）が好適に挙げられる。このように、固定層を必要としない場合には、密閉層の非肌当接面側にタック止めシート（例えば、フィルム、不織布、紙又はゲルシート等）を積層し、密閉層の肌当接面側に直接、剥離可能な保護シートを設けたかゆみ止めシートとすることもできる。当該保護シートは、下記例示の保護シートから適宜選択され、使用される。

　本発明のかゆみ止めシートにおいて、固定層の肌当接面側には、剥離可能な、固定層の保護シートが製造上、又は保管上の理由から設けられることが好ましい。前記保護シートとしては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、フッ素樹脂等の薄膜、又はこれらの樹脂を被覆した紙が使用され、これらの表面はシリコーン化合物、例えば、フロロシリコン等で処理することにより、使用時における当該保護シートの剥離が容易になる。

　本発明のかゆみ止めシートは、必要に応じて、密閉層の剛性を補うため又は密閉層を支えるために、補強材を設けていてもよい。また、前記補強材は、密閉層の補強のみならず、貼り付け時の貼り付け補助手段となる。前記補強材としては、密閉層に設ける前記タック止めシートを含め、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、又はエチレン酢酸ビニル等の重合物を用いて単独で又は混合して得られるプラスチックスシート、シリコーン製シート、ＦＲＰ製シート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、シリコン等からなるフィルム材、織編物、紙（例えば、離型紙等）、布等、自体公知のものが使用され、補強材は貼り付け後、外すことができるものが好ましい。前記補強材は、図４及び５に示されるように密閉層の非肌当接面側に設けてもよいし、密閉層によって挟持されてもよい。補強材を密閉層の非肌当接面側に設ける場合、図８に示されるように、密閉層の非肌当接面側に剥離可能に設けてもよい。剥離可能な補強材を設けることによって、かゆみ止めシートが薄膜のフィルムであっても、操作性良く貼り付けることができ、貼り付けた後に補強材のみを剥がすことにより、貼り付け時の不快感を解消することができる。図４に示される態様では、密閉層は、肌当接面側に粘着性を有し、固定層としても機能するため、固定層として、別途粘着剤層を設けなくてもよい。また、図６及び７に示されるように密閉層内に補強材を内蔵させてもよい。かかる補強材によって、かゆみ止めシート、取り分け密閉層が補強され、貼りやすく且つ剥しやすくなる。

　本発明のかゆみ止めシートは固定層に鎮痒剤を含有していてもよい。固定層に含有させる鎮痒剤としては、特に限定されないが、抗ヒスタミン剤及び／又はステロイド剤等が好適に挙げられる。前記抗ヒスタミン剤としては、塩酸ジフェンヒドラミン、ｄ－マレイン酸クロルフェニラミン、メキタジン等が例として挙げられ、前記ステロイド剤としては、酢酸メチルプレゾニゾロン、酢酸デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、酢酸プレゾニゾロン、吉草酸酢酸プレゾニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン等が例として挙げられる。これら薬剤の含有量は、薬剤の種類によっても異なるが、抗ヒスタミン剤は、かゆみ止めシート全量に対して、１重量％以下、ステロイド剤は、かゆみ止めシート全量に対して、０．０３重量％以下を目処に調整される。この他に、本発明のかゆみ止めシートを使用した際の清涼感や防腐、殺菌的効果に役立つところのメントール、イソプロピルメチルフェノール、カンフル等を必要により加えることができる。

　本発明のかゆみ止めシートは、肌に適用したとき、空気を遮断することができ、用済後の剥離に際し、破断を起こさない程度の強度を有するものであれば足りるが、本発明のかゆみ止めシートを肌に適用した後、用済後に剥離、破棄する際、剥離困難や破損による肌への残留等を考慮して、適切な、厚みを有することが望ましい。かゆみ止めシートの密閉層及び固定層を合わせた厚みは、通常約０．０１ｍｍ以上１．１ｍｍ以下、好ましくは約０．０２ｍｍ以上０．１８ｍｍ以下である。

　本発明のかゆみ止めシートのサイズは、特に限定されないが、虫刺されの痒みの治療に使用する場合、虫に刺されて膨れたサイズを完全に被覆できる程度の大きさが好ましく、例えば、３０ｍｍ×３０ｍｍ程度以上で使用される。

　本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。

［実施例１］
　ポリウレタンフィルムを密閉層とし、ポリプロピレンフィルムを補強材とし、アクリル系粘着剤を固定層とし、保護シートとしてシリコンコート紙を採用して、以下の方法でかゆみ止めシートを製造した。

　膜厚３０μｍのポリウレタンフィルムの片面をポリプロピレンフィルムで補強し、前記ポリウレタンフィルムの裏面に膜厚２０μｍとなるようにアクリル系粘着剤を塗布した。該固定層の粘着力は、２．２Ｎ／ｃｍ（対スチール板）であった。次いで、前記粘着剤をシリコンコート紙により覆い、積層シートを製造し、幅３０ｍｍ、長さ３０ｍｍのサイズに打ち抜き、かゆみ止めシートを製造した。

　なお、本かゆみ止めシートは、離型紙を外し、露出した粘着剤層で掻痒患部を被覆・固定して使用する。被覆後、補強材を剥がすことで、薄膜の密閉層と粘着剤層のみで、掻痒患部を被覆することができる。

［比較例１］
　市販の鎮痒消炎剤（抗ヒスタミン剤、商品名：ムヒＳ、株式会社池田模範堂社製）を比較例１とした。

［試験例１］
　アカイエカのメス７、８匹を入れた無菌箱に、被験者の前腕を数分間挿入し、アカイエカに前腕部の少なくとも３箇所以上を吸血させた。数分後、掻痒が大きくなった時点で、以下の各処置を行った。
処置例１：実施例１で得られたかゆみ止めシートを虫刺され部位に貼った。
処置例２：比較例１の鎮痒消炎剤を吸血部の上に適量塗布（局所適用）した。
対照：吸血後、無処置とした。

　本試験は、被験者１０名に実施し、処置を行ってから５分後の掻痒の度合い及び緩解を、下記の評価基準に従い、４段階評価で被験者が官能的に採点し、平均点を算出して評価とした。結果を表１に示す。
評価基準：掻痒がない（３点）、弱い掻痒がある（２点）、掻痒がある（１点）、強い掻痒がある（０点）；
結果：

　本発明によって提供されるかゆみ止めシートは、虫刺されによる痒み又は日焼けによる痒みの治癒又は緩解に使用されるものであるから、医療分野におけるかゆみ止め製剤と同様の利用が期待されるものである。

Claims

　密閉層とその肌当接面側に固定層を設けてなることを特徴とするかゆみ止めシート。
　密閉層がゲル層であり、固定層が粘着剤層であることを特徴とする請求の範囲第１項記載のかゆみ止めシート。
　固定層の非肌当接面側に密閉層が設けられ肌当接面側に固定層の保護シートを設けてなることを特徴とする請求の範囲第１項又は第２項記載のかゆみ止めシート。
　密閉層に補強材を設けてなることを特徴とする請求の範囲第３項記載のかゆみ止めシート。
　密閉層がシリコーン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選択される１以上からなることを特徴とする請求の範囲第３項記載のかゆみ止めシート。
　固定層がアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤及びウレタン系粘着剤から選択される１以上からなることを特徴とする請求の範囲第３項記載のかゆみ止めシート。