JP3494371B2 - アモルファス合金薄帯の製造方法、およびこれを用いたナノ結晶合金薄帯の製造方法 - Google Patents
アモルファス合金薄帯の製造方法、およびこれを用いたナノ結晶合金薄帯の製造方法Info
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Description
及び端部の形状に優れたアモルファス合金薄帯の製造方
法、及びこれを用いたナノ結晶合金薄帯の製造方法に関
するものである。
モルファス合金薄帯を製造するための製造方法として
は、液体急冷法が広く知られている。液体急冷法には単
ロール法、双ロール法、遠心法等があるが、生産性およ
びメンテナンス性から考えると、高速で回転する一つの
冷却ロール上に溶融金属を供給して、急冷凝固させて薄
帯を得る単ロール法が優れている。
1に母合金3を挿入した後、高周波コイル2にて溶解
し、溶湯噴出ノズル4から溶湯を高速回転する冷却ロー
ル5上に噴出、急冷凝固してアモルファス合金薄帯6を
得る。急冷凝固後のアモルファス合金薄帯は、例えば図
1に示すように、凝固直後に冷却ロールの回転方向とは
逆向きに、剥離ガスノズル7から窒素や圧縮空気等の高
圧ガスを吹き付けることによって、薄帯を冷却ロールか
ら強制的に剥離させ、回収することが行われている。
を作製した場合、薄帯の冷却ロール接触面側にはエアポ
ケットと呼ばれる窪みが形成される。これは、冷却ロー
ルの回転に伴い発生する連れ回りガスが、湯だまり部分
(以下パドルと呼ぶ。)と冷却ロールとの境界層に巻き
込まれた際、凝固するまでにパドル内部で膨張するため
であると言われている。このようなエアポケットの形成
は薄帯の面粗さを増大するため、少ないことが好まし
い。
手法として、ドイツ特許DD266046A1、特開平
6−292950号公報等では、パドル前方(リボンの
出る側)および後方、あるいは後方のみからCO2ガス
を流す方法が提案されている。この提案はエアポケット
の発生を抑制することで、薄帯の冷却ロール接触面側の
表面粗さが小さくなるという点で優れている。
気中で製造する方法や、あるいはパドル後方より、常温
のHeガスや加熱したCOガス等、常温の空気と比べて
密度の低いガスを流しながら製造する方法が、特開昭5
9−209457号、特公平1−501924号公報等
で提案されている。これらの方法でエアポケットの発生
が抑えられるのは、前述したような冷却ロールの回転に
伴い発生する連れまわりガスの密度を下げることによ
り、パドルに衝突するガスの動圧が低下し、パドルの振
動が抑制されることによると考えられている。上述した
様々な手法の内、コスト及びメンテナンス性の点から、
パドル後方からCO2ガスを流す方法が量産に適してい
る。
連続的に製造されるアモルファス合金薄帯の全長は30
00mを越える。この場合、鋳造終了後にリール等で薄
帯を巻き取って回収することは、薄帯に生じる捩じれ等
のため非常に難しい。従って、薄帯の回収は、鋳造中に
冷却ロール上から剥離させながら連続的に行うことが必
要となる。
例えば、特開平8−318352号や、特開平11−1
88458号公報に開示されているような、表面に磁性
を帯びた巻取りロールを冷却ロールと逆向きに回転させ
ながら剥離させた薄帯に近づけ、薄帯を付着、巻取るこ
とにより連続的に回収することができる。
の成分のアモルファス合金薄帯を前駆体として結晶化温
度以上で熱処理することによって、平均結晶粒径100
nm以下のナノ結晶合金が得られることが知られてい
る。
ては、代表的な組成としては特公平4―4393号、特
公平7―74419号、特許第2812574号公報等
に記載のFe―Si―B―(Nb、Ti、Hf、Mo、
W、Ta)―Cu合金、Fe―(Co、Ni)―Cu―
Si―B―(Nb、W、Ta、Zr、Hf、Ti、M
o)合金、Fe−(Hf、Nb、Zr)−B合金、Fe
−Cu−(Hf、Nb、Zr)−B合金等が知られてい
る。前記ナノ結晶合金はアモルファス合金にみられる熱
的不安定性がほとんどなく、経時変化も小さく、低磁歪
で高い透磁率を有することから、コモンモードチョーク
コイル、パルストランス、漏電ブレーカー等に使用され
ている。
に鋳造時間が30秒未満の実験装置を用い、ガスの流量
やガスノズルの形状等を変え、様々な条件でCO2ガス
を流しながらアモルファス合金薄帯の製造テストを行っ
た。その結果、表面性状に優れた薄帯を製造することが
できた。次に、上記結果に基づき量産装置への適用を行
った。その結果、CO2ガスの導入により、薄帯の冷却
ロール接触面側の表面形態を改善することが出来る一方
で、鋳造時間が経過するに従い、薄帯の脆化、結晶化と
いう短時間の鋳造では見られない問題を生じることがわ
かった。さらにこれら2つの問題に加え、薄帯端部形状
が鋸状に乱れるという全く新たな問題を生じることがわ
かった。これはCO2ガスを導入しない場合には、長時
間の鋳造を行っても生じない現象である。
的に製造されるアモルファス合金薄帯の全長は3000
mを越える場合が多く、効率の点から回収は鋳造しなが
ら連続的に巻き取ることによって行う。この後、巻磁心
等の製品を製造する上で扱いやすい重量にするため、例
えばリールに分割して巻き取りなおす。このとき薄帯の
端部が鋸状に乱れていると、薄帯の端部がリールの端部
等にひっかかるため、非常に取り扱い難い。加えて、端
部の乱れは上記巻磁心を作製する上でも不都合を生じ
る。一般的に巻磁心は、薄帯を連続的に巻き取って作製
するが、巻取りは磁心高さを一定にするため、薄帯の端
部に板等を当てながら行われることが多い。この場合も
薄帯の端部が鋸状に乱れていると、前述した当て板等に
薄帯がひっかかり磁心の作製が難しくなる。
の形状に打抜いて積層磁心を作製する場合、ひび割れ、
欠け等を生じ問題となる。薄帯に粗大な結晶相が生じた
場合には、結晶磁気異方性が大きくなるため、軟磁性が
劣化するという問題が生じる。鋳造後の薄帯を結晶化温
度以上で熱処理しナノ結晶合金とする場合にも同様に軟
磁性が劣化する。
ロール接触面側の表面形態が改善される効果を損なうこ
となく、脆化、結晶化を生じず、端部の形状に優れた薄
帯を連続的な製造を可能とする製造方法を提供するもの
である。
ァス合金の製造において、冷却ロール接触面側の表面粗
さ改善に効果のあるCO2ガスの導入に際し、鋳造量の
増加(鋳造の長時間化)に伴い生じる薄帯端部形状の乱
れ、及び薄帯の脆化、結晶化の問題を検討した結果、鋳
造中に冷却ロールの研磨を行うことで前記CO2ガス特
有の問題を改善できることを見出し本発明に到達した。
上で急冷、鋳造するアモルファス合金薄帯の製造方法で
あって、鋳造中に上記合金溶湯に向かってCO2を主体
とするガスを供給しつつ、JISB0601で測定する
表面粗さにおいて平均粗さRaで0.5μm以下、十点
平均粗さRzで4μm以下に維持するよう冷却ロールの
研磨を行うことを特徴とするアモルファス合金薄帯の製
造方法である。上記の際、冷却ロールの研磨はブラシで
行うことが好ましい。
6A族の少なくとも1種以上の元素を15at%以下含
み、残部実質的にFeからなる合金溶湯を冷却ロール上
で急冷鋳造することが好ましく、薄帯にナノ結晶化のた
めの熱処理を施す場合には合金溶湯はCu、Ag、Au
の少なくと1種以上の元素を3at%以下含有すること
が好ましい。
に、鋳造開始直後の薄帯の破断を生じることがあるが、
鋳造開始から一定時間経過後、CO2ガスを主体とする
ガスの供給を開始することにより破断を低減でき好まし
い。ここで一定時間とは、鋳造中の冷却ロールの表面温
度が定常温度に達するまでの時間を言う。すなわち冷却
ロールの表面温度は鋳造開始直後から上昇し、数秒〜十
数秒で合金溶湯からの入熱と冷却ロールから外部への放
熱とが平衡するが、冷却ロール表面温度が平均温度に対
して10℃以内で一定となる状態に達するまでの時間を
言う。
c未満、溶湯の温度を母合金の融点+50〜融点+25
0℃、ノズル先端と冷却ロール間の距離を200μm以
下の条件で鋳造することが好ましく、特に冷却ロールの
周速を20〜30m/sec、板厚を8〜19μmとす
るとよい。
帯を結晶化温度以上で熱処理し、平均結晶粒径100n
m以下のナノ結晶組織を形成することが出来る。
特徴は、長時間の鋳造においてCO2ガスを主体とする
ガスを供給しながらアモルファス合金薄帯を製造する
際、鋳造中に研磨を行うことである。本発明でCO2ガ
スを主体とするガスとは、ガス中にCO 2を含有するこ
とにより、本発明に記載するCO2ガスと実質的に同様
の効果をもたらすガスを言う。本発明者は、上記CO2
ガスを用いた長時間の鋳造における問題を鋭意検討した
結果、鋳造中にCO2ガスを導入する場合には、CO2
ガスを導入しないで鋳造した場合と比べ、冷却ロール表
面の面粗さの劣化が該冷却ロールの溶湯冷却能に著しく
影響し、さらに鋳造により得られる薄帯の端部の形状に
も影響することを見出した。この冷却ロール面粗さの劣
化は、高温の溶湯が衝突し続けることによる凹凸の形成
や、冷却ロール表面への付着物によるものである。
却ロール表面の面粗さについて種々検討した。その結
果、凹凸の大きさの評価方法としてJISB0601に
記載の表面粗さで比較したところ、鋳造中、冷却ロール
を平均粗さRaで0.5μm以下、十点平均粗さRzで
4μm以下に研磨維持することで良好な薄帯が得られ
た。好ましくは平均粗さRaで0.3μm以下、十点平
均粗さRzで2μm以下に維持することによって、より
良好な薄帯が得られる。以下CO2ガスの供給、冷却ロ
ール研磨の有無に対する端部形状、脆化、結晶化状態の
比較をもとに、CO2ガスを供給しながら研磨を行う理
由を述べる。
わずにCO2ガスを供給する場合、短時間の鋳造では脆
化、結晶化はほとんど生じないが、長時間の鋳造を行う
場合、鋳造の後半において著しい脆化、結晶化を生じ
る。なお、通常薄帯の脆化、結晶化は溶湯の冷却速度が
遅い場合に生じる現象である。冷却ロールの研磨を行い
つつCO2ガスを供給する場合、長時間の鋳造において
も脆化、結晶化をほとんど生じない。
O2ガスを供給する場合、短時間の鋳造では端部形状の
乱れはほとんど生じないが、長時間の鋳造を行う場合、
鋳造の後半において著しく端部形状が乱れ、鋸状とな
る。端部形状の鋸状の乱れは、鋳造時間の経過とともに
次第に大きくなる。冷却ロールの研磨を行いつつCO2
ガスを供給する場合、長時間の鋳造においてもほとんど
端部形状の乱れを生じない。
行うことで、エアポケットの低減を目的とするCO2ガ
スの導入に伴い発生する問題を改善できる。これは以下
の理由によると考えられる。
低減は、第一にCO2ガスによりパドルの振動が抑制さ
れ、連れまわりガスがパドル内に巻き込まれにくくなる
ためと考えられている。これは溶鋼等の熱でCO2が熱
分解されることによって発生するCOにより、パドル周
辺が還元性雰囲気となるため、パドル表面に均一な酸化
膜が形成されることで、パドルの粘性が高まった結果、
パドルの振動が抑制されたためと推測される。
べCO2ガスの比熱が大きいためと考えられている。高
温の溶湯との接触、摩擦により冷却ロール表面に凹凸が
形成され、冷却ロールの回転に伴い発生する連れ回りガ
スがパドルに巻きこまれる頻度が高くなった場合も、C
O2ガスは比熱が大きいことからパドル内での熱膨張が
小さいので、エアポケットが形成しにくくなると考えら
れる。
気や窒素に比べ熱の吸収率が大きいため、パドルからの
輻射熱により加熱されやすく、よってパドルと冷却ロー
ルの境界層に巻き込まれる際の温度は、空気や窒素に比
べて高い。高温のCO2ガスが上記境界層に巻き込まれ
た場合、空気や窒素を導入した場合に比べ、冷却ロール
上での薄帯形成時の冷却速度を低下させ、脆化、結晶化
が生じやすくなると考えられる。
形成されると、ガスがパドルに巻きこまれる頻度が高く
なるが、熱の吸収率が大きいCO2ガスを用いる場合に
は凹凸の形成が薄帯での脆化、結晶化の増大に直結す
る。よって、長時間の鋳造においてCO2ガスによりエ
アポケットを減少させ、同時に鋳造開始から一定時間経
過後に生じ始める脆化、結晶化の抑制を達成するには、
冷却ロール表面上に形成される凹凸を抑制することがと
りわけ重要となる。具体的には既述の値の範囲に面粗さ
を維持することが重要となる。
り大きい。ガス流体の動圧はガスの比重の二乗に比例し
て大きくなることが一般に知られているが、これからC
O2ガスが衝突した際、パドルに与えられる運動量は空
気等と比べ著しく大きいと考えられる。例えば300K
で比重が1.1の窒素と、1.8のCO2で比較する
と、300Kで流速が同一の場合、CO2の動圧は窒素
の約2.7倍となる。
へのガスの巻きこみが少ない場合にはCO2ガスが与え
る大きな運動量は問題にならない。一方、冷却ロール上
に多数の凹凸が形成した状態では、パドルには多くのC
O2ガスが巻きこまれる。この場合、CO2ガスの大き
な運動量の影響が著しく、パドルが揺動しやすくなるた
め、薄帯端部の鋸状の乱れが生じると考えられる。よっ
て、CO2ガスを用いた場合に形成する薄帯端部の鋸状
の乱れ抑制に対しても、鋳造時間の経過と共に増大する
冷却ロール上の凹凸を抑制することがとりわけ重要とな
る。
状態では上述の諸問題がないことから、本発明の冷却ロ
ール表面の研磨は鋳造途中から開始してもよい。また、
研磨はある間隔をおきながら断続的に行っても良いが、
制御のしやすさから連続的に行うことが好ましい。
も良いが、研磨によって発生する粉塵の回収が不充分な
場合、薄帯に穴が空く等の問題が生じるため、粉塵の発
生が少ないブラシで行うことが好ましい。また、研磨に
用いるブラシの硬さは、過度に大きいと冷却ロール表面
の研磨傷が深くなり、薄帯が鋳造中に切れる、表面粗さ
の改善効果が薄れる等の不都合を生じるので、冷却ロー
ルの硬さと同等以下のものが良い。
Be合金、Cu−Cr合金等の熱伝導率が高い材料が良
い。また、冷却ロール内部に冷却ロールの円周方向また
は軸方向に水等の冷却媒体を流すと、より冷却ロール表
面の温度調整が容易となる。
て、B量はアモルファス形成能の点から多い方が良い
が、あまり多いと合金薄帯の脆化および磁束密度の低下
を招くだけでなく、Bは高価な元素でありコストの点で
問題となるため13at%以下とすることが好ましい。
3A、4A、5A族の元素は、磁歪の調整および透磁率
の向上に有効であるため、その少なくとも1種以上を1
5at%以下の範囲で添加した方が良い。15at%以
下としたのは、あまり添加量が多いと磁束密度の低下お
よびアモルファス合金薄帯が脆化しやすくなるからであ
る。
相を含まないアモルファス合金薄帯が得られるので、鋳
造後に熱処理によりナノ結晶化を行うナノ結晶合金の前
駆体とするアモルファス合金薄帯を製造するにおいても
好適である。また、ナノ結晶合金の前駆体とするアモル
ファス合金薄帯を製造するにおいて、その合金組成は以
下の範囲にあることが特に好ましい。本発明でナノ結晶
合金とは平均結晶粒径が100nm以下の結晶材料を意
味する
まれるB量は、10at%以下が特に好ましい。B量を
10at%以下とすることにより、ナノ結晶化のための
熱処理した際、磁壁の移動を妨げるFe3BやFe2B
といった磁気的にハードな化合物相が析出しにくくな
り、bcc−Fe固溶体を主相とする均一なナノ結晶相
を一層得やすくなる。このため、ナノ結晶合金用のFe
基アモルファス合金に含まれるB量は、磁気特性の点か
ら好ましくは10at%以下が良い。
元素はTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、M
o、Wを意味するが、これらの元素はアモルファス薄帯
を結晶化温度以上で熱処理した際には、生成するbcc
−Fe結晶相の周囲に残存するアモルファス相に濃縮
し、残存するアモルファス相を安定化させるため、bc
c−Fe結晶粒の成長を抑制する。これらの元素のbc
c−Fe結晶粒を抑制する効果は異なるが、より好まし
い範囲は1〜10at%である。
薄帯では、Cu、Ag、Auを、4A、5A、6A族元
素と複合添加することによって、結晶化温度以上で熱処
理した際に初晶の核の数を増加させることから、ナノ結
晶合金としての結晶粒を微細化する効果がある。Cu、
Ag、Auの少なくとも1種以上を3at%以下とした
のは、3at%を越えると薄帯が脆くなるからである。
また、Cu、Ag、AuはFeと分離しやすい元素であ
るため、あまり多いと液体急冷法を用いてもFeと分離
し、均一に固溶させることができなくなる点でも問題と
なるため、3at%以下が良い。これらの元素の効果を
明確に得るためには、好ましくは、0.1at%以上添
加する。
を主体とするガスの供給は鋳造開始から一定時間経過後
とすることが好ましい。既述のようにCO2ガスを主体
とするガスをパドル部に供給することによりエアポケッ
トの形成を抑制することが出来るが、一方ガスを供給し
ない場合と比べ鋳造初期にアモルファス合金薄帯の破断
を生じる確率が高くなることがある。これに対しガスの
供給を鋳造開始から一定時間経過後とすることにより、
鋳造初期のアモルファス合金薄帯の破断を低減すること
が出来る。以下にその理由を述べる。
供給を開始した場合に、鋳造のごく初期に薄帯が破断し
た際の薄帯巻取りの様子及び、巻取り後の薄帯を調査し
た結果、薄帯の破断は冷却ロール上で発生しており、ま
た巻き取られた薄帯は、薄帯の端部に欠けや割れが生じ
た状態で巻取り用ロールに接触していることが分かっ
た。
帯の面粗さ改善のために導入するCO2等のガスの有無
に関わらず、既述のように冷却ロールの表面温度が不安
定なため、パドルの形状が安定しない。その結果、鋳造
開始直後の薄帯は帯の厚みが小さく、また穴等の欠陥が
多い。このため薄帯は強度が低く、破断を生じ易い状態
にある。
O2ガスを主体とするガスを供給した場合、前述したよ
うに薄帯のロール接触面側に発生するエアポケットが減
少することから、溶湯および凝固後の薄帯が冷却ロール
と直接接触する面積が大きくなり、薄帯の冷却速度が高
くなる。その結果、凝固後の薄帯は急激に熱収縮し、C
O2ガスを主体とするガスを供給しない場合よりも内部
に高い応力が発生する。本発明者らが巻取り後の薄帯を
検証した際に、薄帯の端部に欠けや割れが見られたのは
このためと考えられる。さらに、上記のように破断を生
じ易い状態の薄帯でこのような高い応力が発生した場合
には、冷却ロール上で破断を生じると考えられる。
薄帯の破断防止のためには、冷却ロールの表面温度が一
定となり薄帯の状態が安定した後に、CO2ガスを主体
とするガスの供給を開始することが有効である。
ec未満、溶湯の温度を母合金の融点+50〜融点+2
50℃、溶湯を噴出するノズル先端と冷却ロール間の距
離を200μm以下の範囲で保持することが好ましい。
さらに好ましくはCO2ガスを主体とするガスを噴出方
向の主軸が実質的にパドルより後方の冷却ロールに向く
ように噴出させるとよい。
することにより、薄帯の表面形態あるいは端部の形状を
より改善できる。特に端部の形状の劣化は、冷却ロール
の周速を35m/sec以上とした場合と比べより改善
できる。また、CO2ガスを主体とするガスの噴出方向
の主軸を実質的にパドルより後方の冷却ロールに向くよ
うに噴出させた場合、ノズル先端部あるいはパドルに直
接吹き付けた場合と比較してより自由凝固面の性状を向
上し、またエアポケットの形成をより抑制でき好まし
い。
帯の場合と比べて高いロール周速で鋳造を行うのが通常
であるが、上記の理由から製造する板厚が薄くても、可
能な限り冷却ロール周速を遅くした方が良い。本発明者
らの検討によれば、請求項7に記載の範囲に溶湯温度等
を制御すれば、周速35m/sec未満で19μm以下
の薄い板厚でも、表面形態や端部の形状の良好な薄帯が
得られることが確認された。周速を遅くして薄板材を作
製する場合、主として溶湯ノズルスリットサイズあるい
は、溶湯ノズルと冷却ロール間の距離を小さくするが、
制御のし易さの点から、好ましい範囲は20〜30m/
secである。より好ましくは27〜30m/secで
ある。
いアモルファス合金薄帯を得ることが出来る。さらに結
晶化の少ないアモルファス合金薄帯が得られる本発明の
方法は、鋳造後に熱処理によりナノ結晶化を行うナノ結
晶合金の前駆体とするアモルファス合金薄帯を製造する
に非常に好適である。
晶化の前の前駆体としてのアモルファス薄帯に粗大な結
晶相がないことが非常に重要だからである。これは前記
熱処理前のアモルファス相中の粗大な結晶相は、ごくわ
ずか表層に生成されただけでも結晶化温度以上で熱処理
した後の磁気特性を著しく劣化するためである。鋳造中
に析出する結晶相は、粒径0.2〜1μmのナノ結晶で
はないデンドライト状の結晶であり、熱処理によってア
モルファス相から結晶化した結晶相よりも異常に大き
い。このような結晶相が存在すると熱処理後の組織が不
均一となることから、結晶磁気異方性が大きくなり、磁
気特性の劣化を招く。
ス合金を結晶化温度以上で熱処理することにより大な結
晶粒を含まず平均結晶粒径が100nm以下の均質なナ
ノ結晶合金薄帯を製造することが出できる。このナノ結
晶合金を得るための熱処理は、大気中で熱処理すると表
面が酸化し、熱処理後の磁気特性が劣化するので、窒
素、アルゴン等の酸素が少ない雰囲気中で行うことが好
ましい。
製されたat%で1Cu−2.5Nb−13.5Si−
7B、残部実質的にFeからなり、鋳造後の熱処理によ
ってナノ結晶組織が発現可能な組成のインゴットを装
入、高周波誘導加熱で溶解した。これをCu−Be合金
からなる冷却ロール上に噴出、急冷凝固して、幅30m
m、厚さ19μmのナノ結晶軟磁性材用アモルファス合
金薄帯を製造した。鋳造は下記の条件で行った。
の主軸を冷却ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設
置(図2参照)。 冷却ロール周速:27m/sec 溶湯温度:1350℃ 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:120μm ガス流量:30L/min ガス供給開始:鋳造開始から5秒経過後 冷却ロールの研磨:線径0.06mmの真鍮製ブラシを
用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨
行い、巻取り用ロールへの巻取りは鋳造開始約2秒経過
後から開始した。また、図2中のパドル9とガスノズル
8の吹き出し口との距離Lは15mmとし、ガスノズル
8の吹き出し口の形状は、冷却ロールの幅方向に40m
m、回転方向に1mmとした。
合についても、他の条件は同様として製造した。加え
て、鋳造中におけるCO2ガスの導入および研磨を共に
しなかった場合についても、他の条件は同様として製造
した。評価は鋳造開始から1min及び10min後相
当部分の薄帯を採取し、薄帯の自由凝固面側、及び冷却
ロール接触面側の表面粗さ、結晶相の有無、脆化の有無
を調べた。なお、薄帯の表面粗さはJISB0601に
基づいて薄帯の平均粗さRaを測定した。結晶相の有無
はX線回折装置を用いて、α−Fe(200)ピーク強
度で求めることで評価した。また脆化の有無は、JIS
Z2248に記載の180°曲げ試験を行った際の割れ
の有無で評価した。さらに、上記評価項目に加えて、走
査型電子顕微鏡を用いて薄帯の端部の反射電子像を撮影
し、端部の鋸状の乱れについても評価した。
価結果を表1、2に示す。表1に示すように、鋳造開始
から1min後の薄帯では、ロール研磨の有無に関係無
くCO2ガスを導入したNo.1、2は同等の値を有
し、且つCO2ガスを導入しなかったNo.3よりも表
面粗さは小さくなっている。また、脆化、結晶化および
端部の形状については明確な差が認められない。一方、
表2に示した鋳造開始から10min後の薄帯でも、表
面粗さはロール研磨の有無に関係無く、CO2ガスを導
入したNo.4、No.5は同程度の値を示し、且つN
o.6に比べ非常に小さな値である。しかし、ロール研
磨を行わずCO2ガスの導入のみとしたNo.5は、結
晶化、脆化、および端部形状の点で問題があることが分
かる。これに対し、本発明例の鋳造中に研磨を行ったN
o.4では、上記問題点は明らかに改善されている。
を図3、4、5に示す。図3、4から、CO2ガスを導
入しながら薄帯の製造を行う場合、鋳造中研磨したもの
は、研磨しなかった場合に比べ端部の形状が平坦であ
る。また、図5からCO2ガスを導入しなかった場合
は、端部形状は平坦であるがエアポケットが多い。
から採取した薄帯を用いて外径20mm、内径15mm
の巻磁心を作製した後、550℃で熱処理し、周波数1
kHzにおける初透磁率を測定した。結果を上記表1、
2に併せて示す。表から明らかなように、CO2ガスを
導入しながら鋳造中に研磨した方が、長時間にわたって
安定して優れた軟磁気特性を有している。また、透過型
電子顕微鏡を用いて熱処理後の組織を観察したところ、
本発明例であるNo.1、No.4および比較例である
No.2、No.3の試料の平均粒径は20nm程度の
組織を有していたが、鋳造時間10min経過後の比較
例No.5およびNo.6の試料には粒径0.1μmを
越えるものが認められた。
溶製されたat%で9Si−13B、残部実質的にFe
からなる組成のインゴットを装入、高周波誘導加熱で溶
解した。これをCu−Cr合金からなる冷却ロール5上
に噴出、急冷凝固して、幅40mm、厚さ20μmのアモ
ルファス合金薄帯6を製造した。鋳造は下記の条件で行
った。
の主軸を冷却ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設
置(図2参照)。 冷却ロール周速:30m/sec 溶湯温度:1300℃ 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:180μm ガス流量:40L/min ガス供給開始:鋳造開始から5秒経過後 冷却ロールの研磨:線径0.08mmの真鍮製ブラシを
用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨
冷却ロールの回転方向とは逆向きに窒素ガスを吹き付け
ることによって強制的に剥離させた薄帯に、表面に永久
磁石を埋め込んだ巻取り用ロールを冷却ロールとは逆向
きに回転させながら近づけることによって行った。巻取
り用ロールへの巻取りは、鋳造開始約2秒経過後から開
始した。また、図2中のパドル9とガスノズル8の吹き
出し口との距離Lは10mmとし、ガスノズル8の吹き
出し口の形状は、冷却ロールの幅方向に55mm、回転
方向に1mmとした。
合についても、他の条件は同様として製造した。加え
て、鋳造中におけるCO2ガスの導入および研磨を共に
しなかった場合についても、他の条件は同様として製造
した。評価は薄帯の表面粗さ、結晶相の有無、脆化の有
無、端部の形状について実施例1と同様にして行った。
価結果を表3、4に示す。表3に示すように、鋳造開始
から1min後の薄帯ではロール研磨の有無に関係無く
CO 2ガスを導入したNo.7、8は同等の値を有し、
且つCO2ガスを導入しなかったNo.9よりも表面粗
さは小さくなっている。また、脆化、結晶化および端部
の形状については明確な差が認められない。一方、表4
に示すように、鋳造開始から10min後の薄帯では、
冷却ロール研磨の有無に関わらず、CO2ガスの導入に
よって、No.10、No.11の表面粗さは、CO2
ガスを導入しなかったNo.12よりも小さくなってい
る。また、結晶化、脆化の点ではいずれの試料について
も差がない。これは、実施例1で製造した合金に比べ、
アモルファス形成能が高いためと思われる。しかし、N
o.11に示すようにCO2ガスの導入のみの場合、端
部形状に問題がある。図6、7にNo.10、No.1
1の端部形状の顕微鏡写真を示す。図から本発明例のN
o.10では、薄帯の端部形状の問題点は明らかに改善
されている。
溶製された表5に示す組成のインゴットを装入、高周波
誘導加熱で溶解した。これをCu−Be合金からなる冷
却ロール上に噴出、急冷凝固して、幅30mm、厚さ2
2μmのアモルファス合金薄帯を製造した。
た。 ガス導入位置:ガスノズルをガス噴出方向の主軸を冷却
ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設置(図2参
照)。 冷却ロール周速:27m/sec 溶湯温度:1350℃ 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:120μm ガス流量:30L/min ガス供給開始:鋳造開始から5秒経過後 冷却ロールの研磨:線径0.06mmのステンレス製ブ
ラシを用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨
約2秒経過後から巻取り開始し、薄帯の回収方法、及び
ガスノズルの位置等は実施例1と同様にして行った。
基づき、薄帯の自由凝固面およびロール接触面側の平均
粗さRaを測定した。また、JISZ2248に記載の
180°曲げ試験も行い、組成毎に割れの生じた割合も
評価した。結果を表5に併せて示す。表からいずれの組
成においても、Ra0.5μm以下の良好な表面粗さが
得られるが、B量が13at%を越えた場合、薄帯が脆
化していることが分かる。また、顕微鏡にて薄帯の端部
形状を観察したが、いずれも鋸状の乱れは認められなか
った。
溶製された表6に記載の組成からなり、鋳造後の熱処理
によってナノ結晶組織が発現可能な組成のインゴットを
装入、高周波誘導加熱で溶解した。これをCu−Be合
金からなる冷却ロール上に噴出、急冷凝固して、幅40
mm、厚さ20μmのナノ結晶軟磁性材用アモルファス
合金薄帯を製造した。
の主軸を冷却ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設
置(図2参照)。 冷却ロール周速:27m/sec 溶湯温度:1350℃ 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:120μm ガス流量:30L/min ガス供給開始:鋳造開始から5秒経過後 冷却ロールの研磨:線径0.07mmの真鍮製ブラシを
用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨
秒経過後から開始し、その他の薄帯の回収方法、及びガ
スノズルの位置等は実施例1と同様にして行った。
薄帯を用い、冷却ロール接触面側におけるαFe結晶相
の析出ピークの有無及び、熱処理後の磁気特性について
評価した。結晶相の析出ピークはX線回折装置を用いて
評価し、磁気特性は外径19mm、内径15mmの巻磁
心を熱処理温度500〜600℃で1h保持後冷却し、
周波数1kHzにおける比初透磁率μの最大値を求め
た。熱処理前の薄帯にはいずれも結晶相の析出ピークは
認められなかった。また、熱処理後の薄帯を透過電子顕
微鏡にて観察したところ、いずれも平均粒径100nm
以下であった。1kHzにおける比透磁率μは本発明の
範囲の組成を有する薄帯では、80000〜13000
0の高い値が得られた。一方、B11mol%の薄帯で
は最大11000と非常に小さい値となった。なお、い
ずれにおいても薄帯の端部形状の乱れは観察されなかっ
た。
溶製されたat%で1Cu−2.5Nb−13.5Si
−7B、残部実質的にFeからなり、鋳造後の熱処理に
よってナノ結晶組織が発現可能な組成のインゴットを装
入、高周波誘導加熱で溶解した。これをCu−Be合金
からなる冷却ロール上に噴出、急冷凝固して、幅30m
m、厚さ19μmのナノ結晶軟磁性材用アモルファス合
金薄帯を製造した。
た。 ガス導入位置:ガスノズルをガス噴出方向の主軸を冷却
ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設置(図2参
照)。 冷却ロール周速:27m/sec 溶湯温度:1350℃ 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:120μm ガス流量:30L/min ガス供給開始:鋳造開始から5秒経過後 冷却ロールの研磨:線径0.06mmのステンレス製ブ
ラシを用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨
秒経過後から開始し、その他の薄帯の回収方法、及びガ
スノズルの位置等は実施例1と同様にして行った。
L/min流す場合、及びガスを全く流さない場合につ
いても、他の条件は同様としてそれぞれ10回、薄帯の
製造を繰り返して行った。
始した場合、及びCO2ガスを供給しなかった場合で
は、薄帯の巻取り成功率は100%であるのに対し、鋳
造開始前からCO2ガスを供給した場合は10%と低い
数値となった。
溶製されたat%で9Si−13B、残部実質的にFe
からなる組成のインゴットを装入、高周波誘導加熱で溶
解した。これをCu−Be合金からなる冷却ロール5上
に噴出、急冷凝固して、幅40mm、厚さ20μmのアモ
ルファス合金薄帯6を製造した。
ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設置(図2参
照)。 冷却ロール周速:30m/sec 溶湯温度:1300℃ 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:180μm ガス流量:40L/min ガス供給開始:鋳造開始から5秒経過後 冷却ロールの研磨:線径0.06mmのステンレス製ブ
ラシを用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨
秒経過後から開始し、その他の薄帯の回収方法、及びガ
スノズルの位置等は実施例1と同様にして行った。
ついても、同様の条件で10回繰り返して薄帯の製造を
行った。上記2種類の製造条件で作製した結果、ガスを
鋳造開始から5秒経過後より行った場合は、いずれのガ
スにおいても100%の確率で巻取りに成功し、薄帯を
回収できた。一方、鋳造開始よりCO2ガスを流した場
合は20%であった。
中で破断することなく薄帯の巻取りが成功する確立が高
い結果を示した。
製されたat%で1.3Fe−3.7Mn−2.5Mo
−15Si−9B、残部実質的にCoからなる組成のイ
ンゴットを装入、高周波誘導加熱で溶解した。これをC
u−Be合金からなる冷却ロール上に噴出、急冷凝固し
て、幅40mm、厚さ16μmのアモルファス合金薄帯を
製造した。
ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設置(図2参
照)。 冷却ロール周速:30m/sec 溶湯温度:1250℃ (母合金の融点1050℃) 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:160μm ガス流量:40L/min 冷却ロールの研磨:線径0.08mmの真鍮製ブラシを
用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨
ズルの吹き出し口の形状は、ロールの幅方向に50m
m、回転方向に1.5mmとした。巻取り用ロールへの
巻取りは鋳造開始約2秒経過後から開始し、薄帯の回収
方法は実施例1で述べた方法と同様とした。
cとし薄帯の製造を行った。ただし、溶湯噴出ノズルの
スリットサイズを大きくし、板厚が前述したものとほぼ
同様になるようにした。
し、鋳造開始から8min後相当部分の薄帯を採取し、
JISB0601に基づき、薄帯の自由凝固面およびロ
ール接触面側の平均粗さRaを測定した。表7に結果を
示す。ロール接触面側の面粗さは特に周速の影響を受け
やすいことが分かる。また、走査型電子顕微鏡にて端部
の形状を観察した結果を図8および図9に示す。図から
周速30m/secで作製した薄帯の端部形状に比べ、
周速を40m/secとしたものは、端部の形状の乱れ
が大きいことが分かる。なお、ガスを流さない場合で
は、このような端部形状の乱れは認められない。
製されたat%で1Cu−2.5Nb−13.5Si−
7B、残部実質的Feからなる、鋳造後の熱処理により
ナノ結晶が発現可能な組成のインゴットを装入、高周波
誘導加熱で溶解した。これをCu−Be合金からなる冷
却ロール上に噴出、急冷凝固して、幅35mm、厚さ1
8.5μmのアモルファス合金薄帯を製造した。
ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設置(図2参
照)。 冷却ロール周速:30m/sec 溶湯温度:1230℃、1300℃、1390℃ (母
合金の融点1150℃) 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:150μm ガス流量:32L/min 冷却ロールの研磨:線径0.08mmの真鍮製ブラシを
用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨
ズルの吹き出し口の形状は、ロールの幅方向に45m
m、回転方向に2mmとした。巻取り用ロールへの巻取
りは鋳造開始約2秒経過後から開始し、製造した薄帯の
回収は、実施例1に記載した方法と同様とした。
1430℃として、同様の手法で薄帯を製造した。ただ
し、母合金の加熱温度を1130℃とした場合、製造開
始して数秒でノズルが閉塞したため、薄帯の回収はでき
なかった。
開始から8min後相当部分の薄帯を採取し、JISB
0601に基づき、薄帯のロール接触面側の平均粗さR
aを測定した。結果を表8に示す。表から好ましい温度
で鋳造を行ったNo.30〜32の3種類の薄帯のRa
はいずれも0.4μm以下であるが、母合金を1430
℃まで加熱出湯して作製したNo.33の薄帯のRaは
0.51μmと約1.5倍の粗さとなった。
製されたat%で1Cu−3Nb−15.5Si−6.
5B、残部実質的Feからなる、鋳造後の熱処理により
ナノ結晶が発現可能な組成のインゴットを装入、高周波
誘導加熱で溶解した。これをCu−Be合金からなる冷
却ロール上に噴出、急冷凝固して、幅20mm、厚さ1
5μmのナノ結晶軟磁性材用アモルファス合金薄帯を製
造した。
ロールに向け、溶湯噴出ノズルの後方に設置(図2参
照)。 冷却ロール周速:25m/sec 溶湯温度:1350℃ (母合金の融点1135℃) 溶湯噴出ノズル先端と冷却ロールとの距離:120μm ガス流量:40L/min 冷却ロールの研磨:線径0.06mmのステンレス製ブ
ラシを用い、鋳造開始直後から終了まで連続して研磨 なお、図2中のLは25mmとし、ガスノズルの吹き出
し口の形状は、ロールの幅方向に30mm、回転方向に
1mmとした。製造した薄帯の回収は、実施例1に記載
した方法と同様とした。
の距離を250μmとして行った。このとき板厚が前述
した値とほぼ同じになるように、溶湯噴出ノズルのスリ
ットサイズを小さくした。
01に基づき、薄帯の自由凝固面および、ロール接触面
側の平均粗さRaを測定した結果を表9に示す。表から
溶湯ノズルと冷却ロールとの距離を200μmより小さ
くした方が、表面粗さが小さいことは明らかである。
トロイダル状に巻き回し、外径19mm、内径15mm
の磁心を作製した。これらを非反応性雰囲気中、520
℃で熱処理し、薄帯を構成する結晶粒の平均粒径が10
0nm以下のナノ結晶組織とした。このように作製した
磁心に1次線10回、2次線10回の巻線を施し、50
Hzにおける最大透磁率μmを測定した。結果を表9に
併せて示す。自由凝固面、ロール接触面共にRaが小さ
い薄帯を用いた磁心で、高い透磁率が得られている。
量が多く鋳造時間が長い)アモルファス合金薄帯の製造
装置に薄帯の表面粗さ改善に効果のあるCO2ガスを主
体とするガスを導入するに際し問題となる薄帯の脆化、
結晶化および、薄帯端部の鋸状の乱れを改善することが
できる。また、鋳造中に薄帯が破断することなく連続的
な回収が可能となりその工業的価値は大きい。
模式図である。
を示す模式図である。
顕微鏡写真である。
微鏡写真である。
微鏡写真である。
顕微鏡写真である。
微鏡写真である。
顕微鏡写真である。
顕微鏡写真である。
出ノズル 5.冷却ロール、6.アモルファス合金薄帯、7.剥離
ガスノズル 8.巻取り用ロール、9.ガスノズル、10.パドル
Claims (9)
- 【請求項1】 合金溶湯を冷却ロール上で急冷、鋳造す
るアモルファス合金薄帯の製造方法であって、鋳造中に
上記合金溶湯に向かってCO2を主体とするガスを導入
しつつ、JISB0601で測定する表面粗さにおいて
平均粗さRaで0.5μm以下、十点平均粗さRzで4
μm以下に維持するよう冷却ロールの研磨を行うことを
特徴とするアモルファス合金薄帯の製造方法。 - 【請求項2】 冷却ロールの研磨をブラシで行うことを
特徴とする請求項1に記載のアモルファス合金薄帯の製
造方法。 - 【請求項3】 Bを13at%以下、4A、5A、6A
族の少なくとも1種以上の元素を15at%以下含み、
残部実質的にFeからなる合金溶湯を冷却ロール上で急
冷鋳造することを特徴とする請求項1または2に記載の
アモルファス合金薄帯の製造方法。 - 【請求項4】 合金溶湯はCu、Ag、Auの少なくと
1種以上の元素を3at%以下含有することを特徴とす
る請求項3に記載のアモルファス合金薄帯の製造方法。 - 【請求項5】 鋳造開始から一定時間経過後、CO2ガ
スを主体とするガスの供給を開始することを特徴とする
請求項1乃至4のいずれかに記載のアモルファス合金薄
帯の製造方法。 - 【請求項6】 冷却ロールの周速を35m/sec未
満、溶湯の温度を母合金の融点+50〜融点+250
℃、ノズル先端と冷却ロール間の距離を200μm以下
の条件で鋳造することを特徴とする請求項1乃至5のい
ずれかに記載のアモルファス合金薄帯の製造方法。 - 【請求項7】 冷却ロールの周速を20〜30m/se
cとすることを特徴とする請求項6に記載のアモルファ
ス合金薄帯の製造方法。 - 【請求項8】 板厚が8〜19μmのアモルファス合金
薄帯を製造することを特徴とする請求項1乃至7のいず
れかに記載のアモルファス合金薄帯の製造方法。 - 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の方法
で製造したアモルファス合金薄帯を結晶化温度以上で熱
処理し、平均結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織を
形成することを特徴とするナノ結晶合金薄帯の製造方
法。
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