JP3493738B2 - 放電加工装置 - Google Patents

放電加工装置

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JP3493738B2
JP3493738B2 JP21474494A JP21474494A JP3493738B2 JP 3493738 B2 JP3493738 B2 JP 3493738B2 JP 21474494 A JP21474494 A JP 21474494A JP 21474494 A JP21474494 A JP 21474494A JP 3493738 B2 JP3493738 B2 JP 3493738B2
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は放電加工装置に係り、
特に加工槽の前扉構造及び前扉を支持する機構に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図11は、従来の放電加工装置の一例を
示す側面図である。図において、34は電極、35は電
極34により加工される被加工物、8は被加工物35を
取り付けるテーブル定盤、9は電極34を被加工物35
の上部に取り付ける電極取付定盤、5aは前面が開放さ
れた加工槽本体、20は加工槽本体5aに、その前面開
放部を閉塞するよう、取り付けられた開閉自在な一枚の
前扉で、加工槽本体5aとともに加工槽5を構成してい
る。43は加工槽本体5aの側面に設置されている支
点、44は前扉20に設けられている支点、37は支点
43、44との間でリンク機構を構成する支持板、45
は支持板37に設けられている支点、46は加工槽本体
5aの側面に設けられている支点、38は支点45と支
点46の間に取り付けられるガススプリング(空気ば
ね)、42はハンドル(図示せず)と掛け金(図示せ
ず)により構成され、前扉20に回転可能に取り付けら
れるクランプレバーで、上記ハンドルを回動させ、掛け
金を加工槽本体5aに設けられた係合部(図示せず)に
係合させることにより、前扉20を加工槽本体5aの前
面開放部に保持する。
【0003】18は加工槽5の下に取り付けられるト
イ、4はテーブル定盤8および加工槽5を固定している
テーブル、3はテーブル4を載置するサドル、11はテ
ーブル4に保持され、テーブル4を駆動するX軸駆動用
モータ、10はサドル3を駆動するY軸駆動用モータ、
31はY軸駆動用モータ10の動力をサドル3に伝達す
るためのボールねじ、2はY軸駆動用モータ31を保持
しサドル3を載置するベッド、6はベッド2上に載置さ
れるコラム、7はコラム6に取り付けられ、電極取付定
盤9を保持し、上下に駆動されるヘッド、32は加工液
タンク、33は加工液タンク32に設置された供給ポン
プ、12は加工液タンク32に備蓄され加工槽5内に供
給される加工液、36は電極34と被加工物35に電圧
を印加するための加工電源である。以上のように構成さ
れるワイヤ放電加工装置は、特開昭62−259716
号公報に開示されているものである。
【0004】次に、従来の技術の作用・動作について説
明する。被加工物35をテーブル定盤8に取り付け、X
軸駆動用モータ11、Y軸駆動用モータ10によってテ
ーブル定盤8をXY軸方向に移動し、加工位置決めを行
う。前扉20を閉めた後、加工液12を加工液タンク3
2から供給ポンプ33で汲み上げて加工槽5内に充満さ
せる。電極取付定盤9に取り付けた電極34をヘッド7
内のZ軸駆動用モータ(図示せず)によってZ軸方向に
移動させ、被加工物35に近づけ、電極34と被加工物
35との間に加工液12を介在させて、加工電源36か
ら供給される電気エネルギーにより、電極34と被加工
物35との間に放電を生じさせ、被加工物35を溶融し
て加工する。
【0005】前扉20が開いた状態において、前扉20
の前面に取り受けられているクランプレバー42のハン
ドルを手で持ち、前扉20を上へ持ち上げる。前扉20
は支持板37により構成されるリンク機構により垂直な
状態で移動される。ガススプリング38は前扉20が下
限位置にある時に最も圧縮された状態になっており、前
扉20の荷重はガススプリング38の反力により低減さ
れる。前扉20が加工槽本体5aの前面に当てられた状
態で、クランプレバー42のハンドルを回転させること
により、掛け金を加工槽本体5aに取り付けられた上記
係合部に係合させると、前扉20に取り付けられたパッ
キン(図示せず)が加工槽本体5aの前面周縁部に押し
当てられる。この結果、加工槽本体5aの前面開放部は
密閉状態に閉塞されることになって、加工液12を加工
槽5内に充満しても、加工液12は加工槽本体5aと前
扉20との隙間から漏れない。
【0006】前扉20が閉じられた状態において、加工
槽5内の加工液12を排出する。クランプレバー42を
回転し、上記掛け金を上記係合部からはずし、クランプ
レバー42のハンドルを手で持って下へ移動する。前扉
20、パッキンには加工液12が付着しているため移動
時に下に垂れるが、トイ18により回収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の放電加工装置は
以上のように構成されているので、大型機など加工槽高
さが高い機種においては、前扉20を下に下げたときに
前扉20の上端がテーブル定盤8上面よりも高い状態に
しか下げられないため、ワーク設置が困難であるという
問題点があった。なお、一枚の前扉20を加工槽本体5
aに沿って下方にスライド出来るよう構成し、この前扉
20を加工槽本体5aに沿って下方にスライドさせたと
きに、前扉20の上端がテーブル定盤8の上面より下方
に位置できるように構成したものにおいては、前扉20
の下端とベッド2の干渉を避けるために、ベッド2の高
さを低く構成することが必要な為、放電加工装置の剛性
を低下させるという問題点があった。
【0008】また、前扉20を開放しこの前扉20を下
げたときには、ガススプリング38がほとんど水平状態
になるため、前扉20を開放状態から閉鎖状態にすると
きにおける前扉20を持ち上げるための荷重を軽減させ
る効果が低くなるという問題点があった。
【0009】さらに、前扉20と加工槽本体5aと支持
板37により構成されるリンク機構は左右方向(X軸方
向)への拘束をしていないため、前扉20の開閉時に前
扉20が左右にガタを生じるという問題点があった。
【0010】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたものであり、大型機など加工槽高さが高い
機種においても、前扉を下に下げたときに前扉の上端が
テーブル定盤上面よりも低い状態にできることでテーブ
ル定盤に被加工物を設置するのが容易になり、且つ前扉
の下端とベッドの干渉を避けるためにベッドの高さを低
く構成することが不要となる、換言すれば放電加工装置
の剛性を低下させさせない放電加工装置を得ることを目
的とする。
【0011】また、前扉を開放状態から閉鎖状態にする
ときにおける前扉を持ち上げるための荷重を軽減できる
放電加工装置を得ることを目的とする。
【0012】更にまた、前扉開閉時に前扉が左右にガタ
を生じることがない放電加工装置を得ることを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る放電加工
装置(請求項1)は、前面が開放され、加工液を貯留す
る加工槽本体と、この加工槽本体の前面開放部を閉塞す
る前扉とを有する加工槽を備え、この加工槽内に被加工
物を載置するテーブル定盤を配置してなる放電加工装置
において、上記前扉を、上下方向に分割された複数の前
扉部材を折り曲げ可能に接続して構成し、且つこの前扉
を、扉開放時に折曲がってその前扉の上端が上記テーブ
ル定盤の上面より下方に位置するよう、上記加工槽本体
に取り付けたものである。
【0014】また、この発明に係る放電加工装置(請求
項2)は、上記放電加工装置において、加工槽本体の前
面縁部と前扉との間に介在されたシール部材と、前扉部
材間に介在され、前扉が面一になったとき圧縮されて前
扉部材間を密封状態とするシール部材とを設けたもので
ある。
【0015】また、この発明に係る放電加工装置(請求
項3)は、上記放電加工装置において、加工槽本体の前
面縁部と前扉との間に介在されたシール部材と、加工液
を透過しないシート状材料から成り、前扉部材間を密封
状態とするように前扉部材間に跨って設けられたシール
部材とを設けたものである。
【0016】また、この発明に係る放電加工装置(請求
項4)は、前面が開放され、加工液を貯留する加工槽本
体と、この加工槽本体の前面開放部を閉塞する前扉と、
この前扉と加工槽本体との間に介在され、上記前扉の開
閉を案内するリンク機構と、このリンク機構と加工槽本
体との間に介在されたガススプリングと、上記前扉が開
放状態のとき、その前扉に閉塞方向に荷重をかける部材
とを備えたものである。
【0017】また、この発明に係る放電加工装置(請求
項5)は、前面が開放され、加工液を貯留する加工槽本
体と、この加工槽本体の前面開放部を閉塞する前扉と、
この前扉に回動自在に設けられ、前扉閉鎖時に加工槽本
体に設けられた係合部材に係合して前扉を閉塞状態に維
持するクランクレバーと、このクランクレバーと前扉と
の間に介在され、クランクレバーを回動して上記係合を
解除したときその回動位置を保持するOリングとを備え
たものである。
【0018】更にまた、この発明に係る放電加工装置
(請求項6)は、前面が開放され、加工液を貯留する加
工槽本体と、この加工槽本体の前面開放部を閉塞する前
扉と、この前扉と加工槽本体との間に介在され、上記前
扉の開閉を案内するリンク機構と、リンク機構と加工槽
本体との間に介在され、上記前扉の開閉時にリンク機構
を加工槽本体の側面に沿って案内する案内部材とを備え
たものである。
【0019】
【作用】この発明に係る前扉(請求項1)は、扉開放時
に折曲がってその前扉の上端が上記テーブル定盤の上面
より下方に位置し、また扉開放時に下端はさほどベッド
側に突出しない。
【0020】また、この発明に係る前扉部材間に介在さ
れたシール部材(請求項2)は、前扉が面一になったと
き圧縮されて前扉部材間を密封状態とし、前扉部材間か
らの液漏れを防止する。
【0021】また、この発明に係る前扉部材間に跨って
設けられたシール部材(請求項3)は、前扉部材間から
の液漏れを防止する。
【0022】また、この発明に係る、前扉が開放状態の
ときその前扉を閉塞方向に荷重をかける部材(請求項
4)は、上記前扉を閉塞するためその前扉を持ち上げる
とき、その前扉の荷重を軽減する。
【0023】また、この発明に係るOリング(請求項
5)は、クランクレバーを回動して加工槽本体に設けら
れた係合部材との係合を解除したとき、その回動位置を
保持し、クランクレバーが加工槽本体に設けられた係合
部材に再係合するのを防止する。
【0024】更にまた、この発明に係る案内部材(請求
項6)は、前扉の開閉時にリンク機構を加工槽本体の側
面に沿って案内し、もって開閉時における前扉の左右の
ガタツキを防止する。
【0025】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図1〜図4を用
いて説明する。図1はこの発明の実施例1に係る放電加
工装置全体の概略構成を示す側面図である。図におい
て、34は電極、35は電極34により加工される被加
工物、8は被加工物35を取り付けるテーブル定盤、9
は電極34を被加工物35の上部に取り付ける電極取付
定盤、5aは図2(a)に示すように、前面が左右部及
び下部のみ縁部5bを残して開放された加工槽本体、2
0は加工槽本体5aの前面開放部を閉塞するよう加工槽
本体5aに取り付けられ、加工槽本体5aとともに加工
槽5を構成する開閉自在な前扉で、図4にその詳細を示
すように、上下方向に二分割された上部前扉部材20a
と下部前扉部材20bとから構成されており、またこの
上部前扉部材20aと下部前扉部材20bは、ヒンジ2
0cにて折り曲げ可能に接続されている。なお、図4
(b)は加工槽本体5aのカバー5cを取り外した状態
の正面図、図4(a)は図4(b)の上面図である。
【0026】またこの前扉20の下部前扉部材20bの
下端は、ヒンジ24により加工槽本体5aの前面下部に
枢支されており、またこの前扉20の上部前扉部材20
aの両側上端は、図4にその詳細を示すように、各一端
が加工槽本体5aの両側面外側に枢支された一対の支持
板37の他端に枢支されている。更にまた、この前扉2
0の裏面(加工槽本体5a側)には、加工液の洩れを防
ぐため単泡ニトル等からなる弾性を有するパッキン26
a、26b、26cが、図2に示すように各々設けられ
ている。なお、図2(a)は図2(b)のA−A断面で
あり、図2(c)は図2(b)のB−B断面である。
【0027】パッキン26aは、図2に示すように、上
部前扉部材20aの裏面に加工槽本体5aの左右の縁部
5bの上方と当接してその部分からの加工液の洩れを防
ぐよう、縦方向に設けられており、また後述するパッキ
ン26cとの重なり部分には図2(d)に示すように切
り欠き部26dが形成されている。また、パッキン26
bは、図2に示すように、下部前扉部材20bの裏面に
加工槽本体5aの左右の縁部5bの下方及び加工槽本体
5aの下部の縁部5bと各々当接してそれらの部分から
の加工液の洩れを防ぐよう、縦方向及び横方向に各々設
けられている。
【0028】また、パッキン26aとパッキン26b
は、前扉20を面一にしたとき、上部前扉部材20aと
下部前扉部材20bとの継目から加工液が洩れないよ
う、両者は互いに密接するよう考慮して設けられてい
る。更にまた、パッキン26cは、図2(b)、(c)
に示すように、上部前扉部材20aと下部前扉部材20
bとの継目から加工液が洩れるのを防止するため、その
継目部分に、前扉20を面一にしたとき、下部前扉部材
20bの片部20dに弾性変形して当接するよう、上部
前扉部材20aに横方向に設けられている。なお、この
パッキン26cを横方向に設けると、パッキン26aと
交差するが、パッキン26aのその部分には切り欠き部
26dが形成されているので、支障はない。また、この
パッキン26a、26b、26cは、加工液が洩れ防止
として機能しない方向に変形しないよう、上部前扉部材
20aと下部前扉部材20bの各片部にて両側より保持
されている。
【0029】また24は前扉20と加工槽本体5aとの
回動支点となるヒンジ、43は支持板37と加工槽本体
5aとの回動支点、44は支持板37と前扉20との回
動支点、38は一端が加工槽本体5aの両側面外側に枢
支され、他端が支持板37の略中央部に枢支されたガス
スプリング(空気ばね)、45は支持板37とガススプ
リング38との回動支点、46は加工槽本体5aとガス
スプリング38との回動支点、42は前扉20を加工槽
本体5aに対し閉塞したり、開放したりするクランプレ
バーで、上部前扉部材20aと下部前扉部材20bの各
左右端前部に合計4個設けられている。またこれらのク
ランプレバー42は、図3に示すように、前扉20を貫
通し、先端にねじが形成されたクランプレバー本体42
aと、このクランプレバー本体42aに一体化された回
動ハンドル42bと、クランプレバー本体42aの先端
に固定された掛け金40とから構成されている。
【0030】そしてこのクランプレバー本体42aを、
前扉20の内側に設けられたクランプレバー支持部材3
9に回動自在に挿入し、その先端に、加工槽本体5aの
左右端部外側に固定されたテーパー形状のカム41に係
合する掛け金40を、クランプレバー本体42aに対し
回動不能にナット42dにより固定している。従って回
動ハンドル42bを回動させることにより、掛け金40
をカム41に係合させたり、その係合を解除したりする
ことができる。また回動ハンドル42bを回動させ、掛
け金40とカム41との係合を解除したとき、その回動
位置を保持するよう、クランプレバー支持部材39とク
ランプレバー本体42aとの間にOリング51を介在さ
せている。
【0031】また47は図4に示すように、一端が支持
板37に形成された長穴37aに挿入されたピン37b
に固定され、また他端が加工槽本体5a外側に固定され
たピン37cに固定された引っ張りコイルばね、18は
加工槽本体5aの下に取り付けられるトイ、4はテーブ
ル定盤8および加工槽5を固定しているテーブル、3は
テーブル4を載置するサドル、11はテーブル4に保持
され、テーブル4を駆動するX軸駆動用モータ、10は
サドル3を駆動するY軸駆動用モータ、31はY軸駆動
用モータ10の動力をサドル3に伝達するためのボール
ねじ、2はY軸駆動用モータ31を保持しサドル3を載
置するベッド、6はベッド2上に載置されるコラム、7
はコラム6に取り付けられ、電極取付定盤9を保持し、
上下に駆動されるヘッド、32は加工液タンク、33は
加工液タンク32に設置された供給ポンプ、12は加工
液タンク32に備蓄され加工槽5内に供給される加工
液、36は電極34と被加工物35に電圧を印加するた
めの加工電源である。
【0032】次に、この発明の実施例1の作用・動作に
ついて説明する。被加工物35をテーブル定盤8に取り
付け、X軸駆動用モータ11、Y軸駆動用モータ10に
よってテーブル定盤8をXY軸方向に移動し、加工位置
決めを行う。前扉20を閉めた後、加工液12を加工液
タンク32から供給ポンプ33で汲み上げて加工槽5内
に充満させる。電極取付定盤9に取り付けた電極34を
ヘッド7内のZ軸駆動用モータ(図示せず)によってZ
軸方向に移動させ、被加工物35に近づけ、電極34と
被加工物35との間に加工液12を介在させて、加工電
源36から供給される電気エネルギーにより、電極34
と被加工物35との間に放電を生じさせ、被加工物35
を溶融して加工する。
【0033】前扉20が開いた状態(図4の二点鎖線の
状態)において、上部前扉部材20aの前面に取り受け
られているクランプレバー42のハンドル42bを手で
持ち、上部前扉部材20aを上へ持ち上げる。下部前扉
部材20bが、ヒンジ20cにより上部前扉部材20a
と折曲げ可能に取り付けられ、またヒンジ24により加
工槽本体5aと折曲げ可能に取り付けられているため、
上部前扉部材20aを上方へ持ち上げることにより下部
前扉部材20bに設けられたパッキン26bが加工槽本
体5aの前面縁部5bに当てられる。また上部前扉部材
20bは、支持板37により構成されるリンク機構に規
制される軌跡(図4の二点鎖線)を通り移動するため、
上部前扉部材20aに設けられたパッキン26aが加工
槽本体5aの前面縁部5bに当てられる。
【0034】この前扉20を上へ持ち上げるとき、ガス
スプリング38は前扉20が下限位置にある時に最も圧
縮された状態になっており、前扉20が上方へ移動する
ときにガススプリング38が伸びる力を出すことによ
り、上部前扉部材20a、下部前扉部材20bの荷重が
低減される。さらに、引っ張りコイルばね47が、前扉
20が最も下方に下がった状態で最も伸びるように張架
されているため、前扉20が最も下がった位置にあると
きにガススプリング38がほとんど水平方向に向くこと
による前扉20の荷重を低減効果の減少分を補って、前
扉20の荷重が軽減される。なお、前扉20が閉塞され
たとき、図4に示すように、ピン37bが長穴37a中
を移動して引っ張りコイルばね47の伸びが少なくなる
ことを補うよう考慮されている。
【0035】上部前扉部材20aに設けられたパッキン
26a及び下部前扉部材20bに設けられたパッキン2
6bが、加工槽本体5aの前面縁部5bに当てられた状
態で、上部前扉部材20a、下部前扉部材20bに取り
付けられたクランプレバー42のハンドル42bを回転
させ、掛け金40を加工槽本体5bに取り付けられたテ
ーパー状のカム41に係合させると、パッキン26a及
び26bが弾性変形して加工槽本体5aの前面縁部5b
に密閉状態となるよう押し当てられる。またこの時、即
ち上部前扉部材20aと下部前扉部材20bが直線上に
並んだ場合(面一になった場合)には、上部前扉部材2
0a下面と下部前扉部材20b上面とは隙間が狭くな
り、上部前扉部材20a下端に取り付けられているパッ
キン26cは下部前扉部材20bの上面に形成された片
部20dに弾性変形して密閉状態となるよう押し当てら
れるとともに、上部前扉部材20a、下部前扉部材20
bに取り付けられている垂直方向のパッキンパッキン2
6a、26bはパッキン同士で押し当てられる。よっ
て、この状態で加工液12を加工槽5内に充満しても、
加工液12は、加工槽本体5aと前扉20との隙間から
も、また上部前扉部材20aと下部前扉部材20bとの
隙間からも漏れない。
【0036】放電加工が終了し、被加工物35を加工槽
5より取り出す場合、先ず加工槽5内の加工液12を排
出する。そしてハンドル42bを手で持って4個のクラ
ンプレバー42を回転し、掛け金40をカム41から外
し、上部前扉部材20a側に設けられたハンドル42b
を手で持って下へ移動する。なおこのとき、下部前扉部
材20bに取り付けられたクランプレバー42は作業者
が把支しないが、クランプレバー本体42aとクランプ
レバー支持部材39と間に介在されたOリング51の作
用により、掛け金40が加工槽本体のカム41と干渉し
ない位置に保持された状態で移動される。
【0037】またこの前扉20の移動は、上述した開放
状態から閉塞状態とするときの軌跡(図4の二点鎖線)
を描いて移動する。そして前扉20が完全に開放状態と
なったときは、図の二点鎖線のとおり、上部前扉部材2
0aと下部前扉部材20bがヒンジ20cを支点として
折れ曲るとともに、その折れ曲った前扉20がヒンジ2
4を支点として加工槽本体5aの下方に位置する状態、
即ち前扉20の上端がテーブル定盤8上面よりも低い状
態となり、また前扉20の下端がさほどベッド2側に大
きく突出しない状態となる。
【0038】このため、大型機など加工槽高さが高い機
種においても、テーブル定盤8に対し被加工物35の設
置・取り外しが容易になり、また前扉20の下端とベッ
ド2の干渉を避けるためにベッド2の高さを低く構成す
ることが不要となる。なお、前扉20、パッキン26
a、26b、26cには加工液12が付着しているため
移動時に下に垂れるが、トイ18により回収される。ま
た、上記実施例において、前扉20を、上部前扉部材2
0a及び下部前扉部材20bの2枚の前扉部材で構成し
たものについて説明したが、3枚以上の前扉部材で前扉
を構成してもよい。
【0039】実施例2.なお実施例1において、前扉2
0を開放したときにける前扉20の荷重を低減するた
め、ガススプリング38と引っ張りコイルばね47を併
用したが、ガススプリング38単独で使用してもよい。
また、引っ張りコイルばね47に換えて圧縮コイルバ
ネ、ねじりコイルばね、トーションバー等を用い、これ
らを引っ張りコイルばね47と同様の作用を奏させるよ
うに配置して使用してもよい。
【0040】実施例3.また実施例1において、加工液
12が上部前扉部材20aと下部前扉部材20bとの隙
間からも漏れないよう、パッキン26cを横方向に設け
たものについて説明したが、このパッキン26cに換え
て、図5に示すように、上部前扉部材20aと下部前扉
部材20bとの接合部に、加工液を透過しないポリウレ
タン等のシート(0.2mm程度)により構成される布
状のシール部材27を、その裏面(加工槽本体5a側)
から貼着してもよい。
【0041】実施例4.また実施例1における前扉20
の構成を、図6〜図8に示すように構成してもよい。な
お図6は前扉20を閉じた状態を示す図、図7は前扉2
0を開放した状態を示す図、図8は前扉20を閉じた状
態から開放状態に至るまでの前扉20の動作を示す図で
ある。即ち、図に示すように、前扉20の下部前扉部材
21bが、加工槽本体5aの前縁溝部5dにスライド自
在に保持されているとともに、クランクレバーがパチン
錠17に変更されている。なおその他の構成は、実施例
1のものと実質的に同一である。
【0042】実施例4のものは以上のように構成されて
いるので、加工槽5の前扉20を開ける場合、図8に示
すように、上部前扉部材20aの両側に取り付けられた
パチン錠17をはずすことにより、上部前扉部材20a
は下部前扉部材20bの上部との間のヒンジ20cを中
心に加工槽本体5aの外側に回転できる(a)。さら
に、下部前扉部材20bの両側に取り付けられているパ
チン錠17をはずすことにより下部前扉部材20bは下
方にスライドできる(b)。そして上部前扉部材20
a、下部前扉部材20bは加工槽本体5a前面を下方に
スライドした位置で収まる(c)。また前扉20を閉じ
る場合にはその逆の動作を行えばよい。前扉20が完全
に開放状態となったときは、図7の状態、即ち前扉20
の上端がテーブル定盤8上面よりも低い状態となり、ま
た前扉20の下端がさほどベッド2側に大きく突出しな
い状態となる。このため、大型機など加工槽高さが高い
機種においても、テーブル定盤8に対し被加工物35の
設置・取り外しが容易になり、また前扉20の下端とベ
ッド2の干渉を避けるためにベッド2の高さを低く構成
することが不要となる。
【0043】実施例5.また実施例1における前扉20
の構成を、図9に示すように構成してもよい。即ち、上
部前扉部材20aが下部前扉部材20bに重なることが
できるよう、上部前扉部材20aと下部前扉部材20b
とはリンク機構(図示せず)により連結されており、ま
た下部前扉部材20bは、加工槽本体5aの前面に上下
にスライド可能に支持されている。なおその他の構成
は、実施例1のものと実質的に同一である。
【0044】実施例5のものは以上のように構成されて
いるので、加工槽5の前扉20を開ける場合、図に示す
ように、上部前扉部材20aの両側に取り付けられたパ
チン錠(図示せず)をはずすことにより、上部前扉部材
20aの上部はリンク機構の作用によりそのリンク機構
の支点を中心に下方にスライドしながら、加工槽本体5
aより離れる(a)。さらに、上部前扉部材20bを下
方にスライドさせることにより、上部前扉部材20bは
下部前扉部材20bの上部に重なる(b)。そして下部
前扉部材20bの両側に取り付けられたパチン錠(図示
せず)をはずすことにより、上部前扉部材20bと下部
前扉部材20bは加工槽本体5a前面を下方にスライド
した位置で収まる(c)。また前扉20を閉じる場合に
はその逆の動作を行えばよい。
【0045】前扉20が完全に開放状態となったとき
は、図9(c)の状態、即ち前扉20の上端がテーブル
定盤上面よりも低い状態となり、また前扉20の下端が
さほどベッド側に大きく突出しない状態となる。このた
め、大型機など加工槽高さが高い機種においても、テー
ブル定盤8に対し被加工物の設置・取り外しが容易にな
り、また前扉20の下端とベッドの干渉を避けるために
ベッドの高さを低く構成することが不要となる。
【0046】実施例6.最後に実施例6を図10を用い
て説明する。なお図10(b)は加工槽本体5aのカバ
ー5cを取り外した状態の正面図、図10(a)は図1
0(b)の上面図である。図において、50は一対の支
持板37に取り付けられ、加工槽本体5aの両外側面上
を転がるローラである。なお他の構成は実施例1と実質
的に同一であるので説明を省略する。
【0047】この実施例6のものによれば、前扉20を
開閉するとき、ローラー50が加工槽本体5aの両外側
面上を転がるため、ローラー50は支持板37と加工槽
本体5aの側面との間の距離を一定に保つ。このため、
前扉20開閉動作時に前扉20の左右のガタを低減でき
る。なお、支持板37と加工槽本体5aの側面との間の
距離を一定に保てれば、ローラー50以外の摺動機構で
もかまわない。またこの実施例のものは、実施例1〜実
施例5のものにも適宜適用出来ることは言うまでもな
い。
【0048】
【発明の効果】以上のように請求項1に係る発明によれ
ば、扉開放時に前扉が折曲がってその前扉の上端が上記
テーブル定盤の上面より下方に位置し、また扉開放時に
前扉の下端がさほどベッド側に突出しないので、大型機
など加工槽高さが高い機種においても、テーブル定盤に
対する被加工物の設置・取り外しが容易になり、また前
扉の下端との干渉を避けるためにベッドの高さを低く構
成することが不要となり、放電加工装置の剛性を低下さ
せない効果がある。
【0049】また、請求項2、3に係る発明によれば、
上記の効果に加え、前扉と加工槽本体との間からの液漏
れを防止できるばかりでなく、前扉部材間からの液漏れ
も確実に防止できる効果がある。
【0050】また、請求項4に係る発明によれば、前扉
を閉塞するため、開放状態にあるその前扉を持ち上げる
とき、その前扉を持ち上げるための荷重が軽減される効
果がある。
【0051】また、請求項5に係る発明によれば、クラ
ンクレバーを回動して加工槽本体に設けられた係合部材
との係合を解除したとき、Oリングの作用によりその回
動位置を保持するので、クランクレバーより手を離して
も、そのクランクレバーが加工槽本体に設けられた係合
部材に再係合するのを防止できる。
【0052】更にまた、請求項6に係る発明によれば、
前扉の開閉時に案内部材によりリンク機構を加工槽本体
の側面に沿って案内するので、開閉時における前扉の左
右のガタツキを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1に係る放電加工装置の概
略構成を示す図である。
【図2】 この発明の実施例1に係る放電加工装置のパ
ッキン部の詳細を示す図である。
【図3】 この発明の実施例1に係る放電加工装置のク
ランプレバー部の詳細を示す図である。
【図4】 この発明の実施例1に係る放電加工装置の前
扉部及びリンク機構部の詳細を示す図である。
【図5】 この発明の実施例3に係る放電加工装置の前
扉部の詳細を示す図である。
【図6】 この発明の実施例4に係る放電加工装置の前
扉を閉じた状態を示す図である。
【図7】 この発明の実施例4に係る放電加工装置の前
扉を開放した状態を示す図である。
【図8】 この発明の実施例4に係る放電加工装置の前
扉を閉じた状態から開放状態に至るまでの前扉の動作を
示す図である。
【図9】 この発明の実施例5に係る放電加工装置の前
扉を閉じた状態から開放状態に至るまでの前扉の動作を
示す図である。
【図10】 この発明の実施例6に係る放電加工装置の
要部詳細を示す図である。
【図11】 従来の放電加工装置の概略構成を示す図で
ある。
【符号の説明】
2はベッド、 5は加工槽、5aは加工槽本体、8はテ
ーブル定盤、12は加工液、17はパチン錠、20は前
扉、20aは上部前扉部材、20bは下部前扉2部材、
20cはヒンジ、24はヒンジ、26a、26b、26
cはパッキン、35は被加工物、37は支持板、38は
ガススプリング、40は掛け金、41はカム、42はク
ランプレバー、47は引っ張りコイルばね、50はロー
ラ、51はOリングである。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前面が開放され、加工液を貯留する加工
    槽本体と、この加工槽本体の前面開放部を閉塞する前扉
    とを有する加工槽を備え、この加工槽内に被加工物を載
    置するテーブル定盤を配置してなる放電加工装置におい
    て、上記前扉を、上下方向に分割された複数の前扉部分
    を折り曲げ可能に接続して構成し、且つこの前扉を、扉
    開放時に折曲がってその前扉の上端が上記テーブル定盤
    の上面より下方に位置するよう、上記加工槽本体に取り
    付けたことを特徴とする放電加工装置。
  2. 【請求項2】 加工槽本体の前面縁部と前扉との間に介
    在されたシール部材と、前扉部材間に介在され、前扉が
    面一になったとき圧縮されて前扉部材間を密封状態とす
    るシール部材とを設けたことを特徴とする請求項1に記
    載の放電加工装置。
  3. 【請求項3】 加工槽本体の前面縁部と前扉との間に介
    在されたシール部材と、加工液を透過しないシート状部
    材から成り、前扉部材間を密封状態とするように前扉部
    材間に跨って設けられたシール部材とを設けたことを特
    徴とする請求項1に記載の放電加工装置。
  4. 【請求項4】 前扉と加工槽本体との間に介在され、上
    記前扉の開閉を案内するリンク機構と、このリンク機構
    と加工槽本体との間に介在されたガススプリングと、上
    記前扉が開放状態のとき、その前扉に閉塞方向に荷重を
    かける部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載
    の放電加工装置。
  5. 【請求項5】 前扉に回動自在に設けられ、前扉閉鎖時
    に加工槽本体に設けられた係合部材に係合して前扉を閉
    塞状態に維持するクランクレバーと、このクランクレバ
    ーと前扉との間に介在され、クランクレバーを回動して
    上記係合を解除したときその回動位置を保持するOリン
    グとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の放電加
    工装置。
  6. 【請求項6】 前扉と加工槽本体との間に介在され、上
    記前扉の開閉を案内するリンク機構と、リンク機構と加
    工槽本体との間に介在され、上記前扉の開閉時にリンク
    機構を加工槽本体の側面に沿って案内する案内部材とを
    備えたことを特徴とする請求項1に記載の放電加工装
    置。
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