以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る格納装置の構成および作用を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
まず、図1を参照してスクリーン印刷装置11の概要について説明する。図1は、実施の形態1におけるマスクチェンジャ15(格納装置の一例)を備えたスクリーン印刷装置11の斜視図である。
スクリーン印刷装置11は、印刷対象物としての基板KB(図2参照)の上面に、半田ペースト等のペーストPst(図2参照)を印刷する装置である。スクリーン印刷装置11は、印刷部13と、マスクチェンジャ15と、を備える。マスクチェンジャ15は、印刷部13に隣接して設けられる。印刷部13は、印刷部カバー17によって覆われ、基板KBを搬送すると共に、印刷位置にて基板KBを保持する基板搬送保持部21を有している。
マスクチェンジャ15は、印刷部13の後部に隣接して設けられている。マスクチェンジャ15の筐体23は、マガジン25を収納可能な内部空間SP(図2参照)を有しており、筐体23の後面側の下部には、内部空間SPに対してマスク27を収納したマガジン25を出し入れ可能な開口部29が設けられている。筐体23は、例えば印刷部13で何らかのエラーが発生した場合等に警報音を発生させる発報部が後面側の上部に設けられている。本実施の形態1において、発報部は、例えばLED等を備えたタッチパネル31であるが、これに限定されず、例えばスクリーン印刷装置11の印刷部カバー17または筐体23上に設けられたランプ等の他の報知手段であってもよい。
次に、図2および図3を参照して、スクリーン印刷装置11の内部構造について説明する。図2は、発明の実施の形態1に係るスクリーン印刷装置11の一部透視斜視図である。図3は、発明の実施の形態1に係るスクリーン印刷装置11の透視側面図である。
印刷部13は、基板搬送保持部21の上方にマスクガイド33が設けられる。また、印刷部13は、マスクガイド33の上方にマスク保持部35が配置され、マスク保持部35の上方に、印刷ヘッド37、スクレイパユニット39、マスク上面クリーナ41および気体吹付け部43がそれぞれ設けられている。
また、印刷部13は、マスク保持部35の上方に左右(X軸方向)に沿って配置された2つのマスク保持部昇降シリンダ45のそれぞれと、前後左右の4つのマスク保持部押さえシリンダ47のそれぞれとが設けられている。2つのマスク保持部昇降シリンダ45のそれぞれおよび4つのマスク保持部押さえシリンダ47のそれぞれは、マスクガイド33の左右に設けられた前後方向ガイド部(不図示)が有する垂直部に固定して設けられている。2つのマスク保持部昇降シリンダ45のそれぞれは、マスク保持部35においてY軸方向に延びる左右の2つの直線部分の中間部の上方に設けられている。4つのマスク保持部押さえシリンダ47のそれぞれは、マスク保持部35の四隅もしくはその近傍の上方に設けられている。マスク保持部35の下方には、マスク移動機構49およびカメラ51と、マスク下面クリーナ53が設けられる。
気体吹付け部43は、印刷工程の実行によりマスク27がペーストPstで汚れる前(すなわちマスク27の使用前、あるいはマスク27に最初のペーストPstが供給される前)にマスク27の上面をクリーニングするマスククリーナとして機能する。気体吹付け部43は、マスク27が搬送されるマスクガイド33の上方に、マスク27の搬送方向(Y軸方向)に対してほぼ直行して交差する横方向(つまり、X軸方向)に延びた管状部55と、管状部55の一端側に繋がるバルブ部57を備える。管状部55は、2つの前後方向ガイド部(不図示)のそれぞれの後端側に、2つの前後方向ガイド部のそれぞれを跨ぐようにして設けられている。
マスク下面クリーナ53は、マスク下面クリーナガイド(不図示)によって、マスクガイド33の下方の領域を、Y軸方向に移動自在に設けられている。マスク下面クリーナ53は、移動ベース連結部(不図示)によってマスク移動機構49の移動ベース59と連結され、移動ベース59と一体となってY軸方向に移動してマスク27の下面をクリーニングする。
マスク下面クリーナ53は、移動ベース59によってY軸方向に移動されないときは、マスク搬送位置の前方のクリーナ待機位置に位置して待機する(図2参照)。マスク下面クリーナ53は、上述したマスク下面クリーナガイド(不図示)に設けられた下面クリーナ昇降部(不図示)によって、マスクガイド33に対して(すなわち搬送位置に設置されたマスク27に対して)昇降自在となっている。
マスク移動機構49は、マスクチェンジャ15が備える後述のマガジン25と所定のマスク搬送位置との間でマスク27を移動させる機能を有する。具体的に、マスク移動機構49は、マガジン25に収納されたマスク27を引き出して印刷部13内の所定のマスク搬送位置までマスク27を移動させる。また、マスク移動機構49は、所定のマスク搬送位置に位置するマスク27を移動させて、マガジン25内に戻す(収納する)。マスク移動機構49は、X軸方向に延びて設けられた移動ベース59と、移動ベース59に設けられた昇降アクチュエータ61とによって昇降自在な引出しプレート63を備える。
次に、図4および図5を参照して、マスクチェンジャ15について説明する。図4は、実施の形態1におけるマスクチェンジャ15における筐体23の透視斜視図である。図5は、実施の形態1におけるマスクチェンジャ15における筐体23の透視側面図である。図5(a)は、マガジン25がマスク供給位置である供給空間SP1に位置した時の筐体23の透視斜視図である。図5(b)は、マガジン25がマガジン供給位置である作業空間SP2に位置した時の筐体23の透視斜視図である。
マスクチェンジャ15は、印刷部13の後部に隣接して設けられる。マスクチェンジャ15は、筐体23と、マガジン25と、移動部の一例としての昇降機65と、タッチパネル31と、を備えて構成される。
マスクチェンジャ15は、作業者がマスク27の供給作業を行うための開口部29を有する。マスクチェンジャ15における筐体23の内部空間SPは、図2および図3に示すように、上方空間が供給空間SP1となっており、下方空間が作業空間SP2となっている。供給空間SP1は、マガジン25に収納されたマスク27を、マスク通過開口71を介して印刷部13に供給するときにマガジン25が位置する空間である。作業空間SP2は、マガジン25またはマガジン25に収納された1枚以上のマスク27を作業者が供給するときにマガジン25が位置する空間である。開口部29は、筐体23内の作業空間SP2にアクセス可能な位置に形成される。
筐体23は、筐体23の前面側(つまり、筐体23の筐体奥壁137)にマスク通過開口71が設けられている。マスク通過開口71は、供給空間SP1が印刷部13の内部(つまり、印刷部カバー17の内部)と連通するように設けられている。また、マスク通過開口71は、マスク27が前後方向に通過可能な大きさを有している。
図3に示すマスク移動機構49は、マガジン25のいずれかの棚部に収納された印刷部13に供給される供給対象としてのマスク(以降、「供給対象マスク」と表記)をマスク通過開口71から前方へ引き出して所定のマスク搬送位置まで搬送する。また、マスク移動機構49は、マスク搬送位置まで搬送されたマスク27をマスク通過開口71からマガジン25(詳細には、マガジン25のいずれかの棚部)に収納する(戻す)。このように実施の形態1におけるマスクチェンジャ15は、印刷部13内に設けられたマスク移動機構49により、マガジン25に収納された供給対象マスク83をマガジン25から取り出して印刷部13に供給可能に構成される。
マガジン25は、前後方向に開口した略直方体形状を有しており、内部には上下方向に並んだ複数の棚部が設けられている。複数の棚部のそれぞれは、印刷部13に供給するためのマスク27が水平姿勢で載置(収納)されている。マガジン25は、基板KBの品種に応じた異なる複数種類(複数枚)のマスク27のそれぞれが収納される。このように、実施の形態1において、マガジン25は、印刷部13に供給するためのマスク27をY軸方向に挿抜自在に収納した構成となっている。
昇降機65は、略矩形状に形成され、マガジン25の底面を下方から支持する昇降体73と、X軸方向に延びて昇降体73を支持する昇降体支持部75と、昇降体支持部75の一端側に設けられたナット部77と、ナット部77に螺合して上下方向に延びたボール螺子79と、ボール螺子79を回転駆動させる昇降体昇降モータ81とにより構成される。昇降機65は、昇降体昇降モータ81の作動によりボール螺子79が所定の方向に回転し、この回転によりナット部77に連結されて一体的に構成された昇降体支持部75が上下に昇降する。これにより、昇降機65は、昇降体支持部75に連結された昇降体73と、昇降体73が支持するマガジン25を、供給空間SP1と作業空間SP2との間にわたって昇降させる。
これにより、昇降機65は、作業者により筐体23の開口部29から搬入されたマガジン25を、筐体23の開口部29が設けられた作業空間SP2と、その開口部29から離れた供給空間SP1との間で移動させるマガジン25の移動(昇降)機構として機能する。すなわち、昇降機65は、マガジン供給位置Mgspと任意のマスク供給位置Mssp1との間でマガジン25を移動(昇降)させることができる。
昇降体73は、昇降体昇降モータ81の作動方向(すなわち、ボール螺子79の回転方向)に応じて上昇または下降する。昇降体73が筐体23内における作業空間SP2の下降限度位置(つまり、図5(b)に示すマガジン供給位置)にあるとき、作業者は、開口部29からマガジン25を筐体23内に入れて、昇降体73の上面に載置できる。また、昇降体73が下降限度位置)にあるとき、作業者は、昇降体73に載置されたマガジン25を開口部29から取り出すことができる。
昇降機65は、昇降体昇降モータ81を駆動させて、マガジン供給位置においてマガジン25がセットされた状態で昇降体73がマスク通過開口71から供給対象となる供給対象マスク83が取り出し可能となる所定の作業高さHsとなるように調整する。なお、ここでいう所定の作業高さHsは、マスク通過開口71を通じてマスク移動機構49がマガジン25に収納された供給対象マスク83を取り出し可能な高さである。図5(b)は、供給対象マスク83が所定の作業高さHsに位置した状態を示している。なお、所定の作業高さHsの位置は、マスク供給位置Mssp1に等しい。
次に、図6を参照して、マガジン25の位置(高さ)の検出方法について説明する。図6は、実施の形態1におけるマスクチェンジャ15における筐体23の透視斜視図である。なお、図6(a)は、マガジン25がマスク供給位置である供給空間SP1に位置した時の筐体23の透視斜視図である。図6(b)は、マガジン25がマガジン供給位置である作業空間SP2に位置した時の筐体23の透視斜視図である。なお、図6では、マガジン25の位置(高さ)の検出方法の説明を分かりやすくするために、マガジン25を破線で示す。
次に、図7を参照して、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置11の制御部について説明する。図7は、本発明の実施の形態1におけるスクリーン印刷装置11の制御部を示すブロック図である。
スクリーン印刷装置11が備える制御部93は、基板搬送保持制御部95と、マスク搬送設置制御部97と、印刷動作制御部99と、撮像制御部101と、昇降機制御部105と、を含んで構成される。制御部93は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されて、印刷部13が備えるメモリ(不図示)と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部93はメモリに保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
基板搬送保持制御部95は、所定の基板搬送位置まで基板KBを搬送し、基板搬送保持部21によって搬送された基板KBを保持する。また、基板搬送保持制御部95は、カメラ51により撮像された基板KBの撮像画像に基づいて、所定の基板搬送位置で保持された基板KBがマスク27のマスク搬送位置に対して位置ずれがあると判定した場合、保持された基板KBの位置合わせを行う。
マスク搬送設置制御部97は、マスク移動機構49を制御してマガジン25に収納された供給対象マスク83の取り出し、所定のマスク搬送位置までマスク27を搬送して保持する。詳細には、マスク搬送設置制御部97は、移動ベース駆動モータ107による移動ベース59のY軸方向への移動制御と、昇降アクチュエータ61による引出しプレート63の昇降制御と、張力付与シリンダ(不図示)によるマスク設置位置に位置したマスク27への張力付与制御等を実行する。
印刷動作制御部99は、印刷ヘッド37を駆動させて、マスク27の下面と接触する基板KBへのペーストPstの印刷動作制御を行う。詳細には、印刷動作制御部99は、スキージベース駆動モータ109によるスキージベース(不図示)のY軸方向への移動制御と、スキージ昇降駆動部111によるスキージの昇降制御とを実行する。
撮像制御部101は、基板搬送保持部21によって所定の基板搬送位置で保持された基板KBの上面と、マスク搬送位置に設置されたマスク27の下面とのそれぞれをカメラ51で撮像するための制御を実行する。詳細には、撮像制御部101は、移動ベース駆動モータ107による移動ベース59のY軸方向への移動制御と、移動ベース59に沿ったカメラ51のX軸方向への移動制御と、カメラ51が備える下方撮像カメラ(不図示)の下方の領域に位置する基板KBの上面の撮像制御と、カメラ51が備える上方撮像カメラ(不図示)の上方の領域に位置するマスク27の下面の撮像制御とを実行する。
昇降機制御部105は、昇降体昇降モータ81を駆動させて、昇降機65によるマガジン25の昇降を制御する。また、昇降機制御部105は、後述する安全制御部113の機能を実現する。
安全制御部113は、マスクチェンジャ15の外カバー115の開閉状態に基づいて、以下に説明する制御により昇降機65への電力供給制御を実行する。
安全制御部113は、マガジン25がマガジン供給位置Mgspに位置した状態、かつ、マスクチェンジャ15の外カバー115が閉まっている状態で、昇降機65への動力用電源の供給を行う制御を実行する。
また、安全制御部113は、マスクチェンジャ15の外カバー115が開いている状態で、昇降機65への動力用電力の供給を停止する制御を実行する。これにより、安全制御部113は、外カバー115が開いた状態で行われる、作業者によるマガジン25またはマガジン25に収納されたマスク27の供給作業中に昇降機65が稼働することを防止できる。さらに、安全制御部113は、昇降機65への動力用電力の供給を停止している間、タッチパネル31あるいは他の報知手段(例えば、スクリーン印刷装置11の筐体23の外部に設けられたランプ等の照明)により、マガジン25がマガジン供給位置(つまり、昇降体73の下降限度位置)に位置しており、マガジン供給作業が可能であることを作業者に報知する。これにより、作業者は、マガジン供給作業が可能であるか否かを知ることができる。
報知の一例としてのタッチパネル31は、制御部93との間で電気的に接続される。タッチパネル31は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等の表示装置と、入力装置とによって構成されたユーザインターフェースである。タッチパネル31は、作業者による入力操作を受け付け可能であり、入力操作を電気信号に変換してスクリーン印刷装置11における制御部93に出力する。また、タッチパネル31は、マガジン供給作業が可能であることを作業者に報知してもよい。
次に、スクリーン印刷装置11におけるマスクの供給動作手順例について説明する。作業者は、スクリーン印刷に必要な1枚以上のマスク27が事前に収納されたマガジン25を、マスクチェンジャ15の作業空間SP2の昇降体73上に載置するマガジン供給作業を行う。
制御部93は、マガジン供給作業完了後に作業者により外カバー115が閉じられると、安全制御部113に対して昇降機65への動力用電力の供給を行うように制御を実行する。なお、制御部93は、作業者によるタッチパネル31への操作に基づいて、安全制御部113の運用モードの切り替え制御を行ってもよい。
また、制御部93は、外カバー115が閉じていない状態で、作業者によりタッチパネル31にマガジン供給作業の終了操作が行われた場合、外カバー115が開いていることを示す画面をタッチパネル31に表示したり、LED等を点灯させたりして作業者に報知してもよい。
制御部93は、昇降機制御部105により昇降機65を駆動させて、供給対象マスク83が収納された棚部の高さがマスク通過開口71に対応する所定の作業高さHsになるようにマガジン25を上昇させる。制御部93は、マガジン25の上昇制御後に、マスク移動機構49を駆動させて、マスク通過開口71を介して供給対象マスク83を取り出し、所定のマスク搬送位置まで搬送する。
具体的に、制御部93は、マスク搬送設置制御部97により移動ベース駆動モータ107を駆動させて、移動ベース59を後方(マスクチェンジャ15側)に移動させる。制御部93は、移動ベース59に取り付けられた引出しプレート63の上面にX軸方向に並んで設けられた2つのマスク移動用係合突起(不図示)と、マガジン25に収納された供給対象マスク83の前縁側に設けられた2つの係合孔(不図示)とを係合させる。制御部93は、2つのマスク移動用係合突起と2つの係合孔とが係合した状態で、移動ベース駆動モータ107を駆動させて、マガジン25内からマスク通過開口71を通過して供給対象マスク83を印刷部13内部に引き出し、供給対象マスク83が前方に位置する所定のマスク搬送位置に位置するまで移動させる。これにより、制御部93は、マガジン25内から供給対象マスク83を取り出し、所定のマスク搬送位置まで搬送できる。なお、移動ベース59により搬送中の供給対象マスク83は、その左右の両辺が前後方向に沿って設けられた一対のガイド部の段差(ガイド)によって案内されるので、まっすぐに前方方向へ引き出される。
また、制御部93は、マガジン25の供給が必要であると判定した場合(例えば、マガジン25内に収納された未使用状態のマスクがなくなった場合、作業者によりタッチパネル31にマガジン25のマガジン供給作業の開始操作が行われた場合等)、昇降機制御部105を駆動させて昇降機65を制御して、昇降体73を下降限度位置(つまり、マガジン供給高さMgsp)まで降下させて、タッチパネル31または他の報知手段を用いて作業者にマガジン供給が可能であることを報知する。作業者は、昇降体73が下降限度位置(マガジン供給高さMgsp)まで降下したことをタッチパネル31または他の報知手段による報知によって確認し、タッチパネル31にマガジン供給作業の開始入力操作を行う。制御部93は、タッチパネル31から入力されたマガジン供給作業の開始入力操作を受け付けたことを示す電気信号に基づいて、安全制御部113に昇降機65への動力用電力の供給を停止させる制御を実行する。これにより、マスクチェンジャ15は、作業者によりマガジン供給作業が行われている間、昇降機65の稼働を停止させることができる。
作業者は、下降限度位置(つまり、マガジン供給高さMgsp)に位置する昇降体73上に新たなマガジン25を載置し、マガジン供給作業が完了すると、タッチパネル31にマガジン供給作業の終了入力を行う。制御部93は、外カバー115が閉じられたことを検出すると、安全制御部113に昇降機65への動力用電力の供給を再開させる制御を実行する。
制御部93は、安全制御部113に昇降機65への動力用電力の供給を再開させる制御を実行した後、印刷部13に供給対象マスク83の供給可能にするためにマガジン25を所定の作業高さHs(図5参照)まで上昇させるように昇降機制御部105に昇降機65の駆動を行わせる。
以上により、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置11は、マスクチェンジャ15の外カバー115が開かれている間、昇降機65への動力用電源の供給を停止することで、作業者によりマガジン供給作業が行われる間の昇降機65の稼働を防止できる。したがって、作業者は、マガジン供給作業を安全に行うことができる。
ここで、図8を参照して、マスクチェンジャ15における開口部29の形成位置について説明する。図8は、実施の形態1におけるマスクチェンジャ15の分解斜視図である。なお、図8は後述するロック部119の説明を分かり易くするために、外カバー115の図示を省略している。
実施の形態1に係るマスクチェンジャ15は、昇降機65を駆動させて1枚以上のマスク27を格納するマガジン25をマスク供給位置Mssp1まで持ち上げ、印刷部13へ供給対象マスク83(つまり、マスク27)を供給可能にする。マスクチェンジャ15は、開口部29と、第1のカバーの一例としての外カバー115(図9参照)と、昇降機65と、第2のカバーの一例としてのドア117と、ロック部119とを含んで構成される。
開口部29は、マスクチェンジャ15の下方、つまり作業空間SP2側に通ずる位置(具体的には、マガジン供給位置Mgspに位置するマガジン25を供給可能な位置)に形成され、作業者によるマガジン25のマガジン供給作業を実行可能にする。
次に、図9を参照して、マスクチェンジャ15における開口部29およびマガジン25の開閉構造について説明する。図9は、マスクチェンジャ15における開口部29およびマガジン25の開閉構造について説明である。図9(a)は、外カバー115が閉まっている状態を示す図である。図9(b)は、外カバー115が開いている状態、かつ、ドア117が閉まっている状態を示す図である。図9(c)は、外カバー115およびドア117が開いている状態を示す図である。
図9(a)に示すように、外カバー115は、マスクチェンジャ15の筐体23に上下方向でスライド自在に設けられ、作業者により上下方向にスライドされて開口部29を開閉する。外カバー115は、作業者により閉じられた時に開口部29を塞ぐ。外カバー115のスライド方向は、直線方向であっても、屈曲する方向であってもよい。外カバー115は、開口部29を塞いだ状態で制御部93との間で電気的に接続され、開口部29を開放した状態で制御部93との間で電気的な接続が解除される。なお、外カバー115は、開口部29を塞いだ状態で制御部93と動力用電源との間を電気的に接続し、開口部29を開放した状態で制御部93と動力用電源との間の電気的な接続を解除してもよい。
これにより、制御部93は、外カバー115がきちんと閉まっている状態であるか否かを検出できるため、外カバー115が閉まっている状態(つまり、作業者の手がマスクチェンジャ15の内部空間SP内に進入できない状態)で昇降機65への動力用電源の供給を行い、外カバー115が閉まっていない状態(つまり、作業者の手がマスクチェンジャ15の内部空間SP内に進入可能な状態)で昇降機65への動力用電源の供給を停止できる。
また、外カバー115は、昇降機65で昇降されたマガジン25がマガジン供給位置Mgsp以外の位置(例えば、図12に示す任意の停止位置Mssp2等)にあるとき、マガジン25の取り出しおよびドア117の開放を不可にするロック部119(図10,図13参照)を有する。ロック部119については、図13の説明で詳述する。
ドア117は、マガジン25の正面に設けられ、マガジン25内からのマスク27の取り出し、およびマガジン25内へのマスク27の収納を可能にする。図9(b)および図9(c)に示すように、ドア117は、マガジン25がマガジン供給位置Mgspに位置する時に左右方向にスライド自在(つまり、開閉可能)となる一対のドア117である。なお、ドア117のスライド方向は、外カバー115のスライド方向と直交する方向であればよく、例えば外カバー115が左右方向にスライド自在である場合、ドア117は、上下方向にスライド自在な構成を有していてもよい。
次に、図10を参照して、外カバー115のロック部119について説明する。図10は、ロック部119の要部拡大図である。なお、図10に示すマスクチェンジャ15は、ロック部119の説明を分かり易くするために、筐体23の内部およびマガジン25の図示を省略している。
ロック部119は、ドア117に設けられた凸部123(図8参照)が上下方向にスライド可能なスリット125を備える。ロック部119は、外カバー115を構成する開閉体127の下枠129に、筐体23内側を向いて設けられる。ロック部119は、下枠129の延在方向に長い略直方体で形成されて、マガジン25の筐体23内部側に張り出す。スリット125は、筐体23内部側の面に凹設されて、上下方向に沿って開口するように切り込まれた溝を有する。このスリット125の溝幅は、一対のドア117のそれぞれの戸先に設けられた一対の凸部123を挟み入れることができる間隔を有している。
下枠129の略中央部の外側(つまり、筐体23の外側)には取手部131が設けられる。取手部131は、作業者が外カバー115を開閉する時に掴むための把持軸133を備える。
次に、図11を参照して、マガジン25のドア117に設けられた凸部123について説明する。図11は、凸部123の要部拡大図である。
一対のドア117のそれぞれは、作業者により閉じられて互いに接触した時に、接触部分が1つの凸部123を形成する。凸部123は、ドア117の高さ方向に沿って設けられる。凸部123は、マスクチェンジャ15の外カバー115に設けられたスリット125の溝の内部に接触状態または非接触状態で入り込み、上下方向に昇降可能となり、昇降機65によるマガジン25の上下方向の昇降を可能にする。
次に、図12および図13を参照して、マガジン供給位置Mgspおよび任意の停止位置Mssp2のそれぞれの位置(高さ)におけるロック部119と凸部123との位置関係を説明する。図12は、マガジン供給位置Mgspおよび任意の停止位置Mssp2のそれぞれにおけるマスク通過開口71とマガジン25との位置関係を説明する図である。図13は、マガジン供給位置Mgspおよび任意の停止位置Mssp2のそれぞれにおけるロック部119と凸部123との位置関係を説明する図である。
図12(a)は、昇降機65によりマガジン25がマガジン供給位置Mgspに降下された場合のマスクチェンジャ15内の様子を示す図である。マスクチェンジャ15は、昇降機65によりマガジン25がマガジン供給位置Mgspに降下された時、開口部29とマスク通過開口71との間にマガジン25が配置されて、このマガジン25の上面によって作業者の手が開口部29からマスク通過開口71へ通り抜けできないように塞ぐ。これにより、昇降機65によりマガジン25がマガジン供給位置Mgspに降下された時(つまり、マガジン供給作業時)、作業者の手は、マスク通過開口71に進入不可となる。
図13(a)は、昇降機65によりマガジン25がマガジン供給位置Mgspに降下された場合のロック部119と凸部123との位置関係を示す図である。マガジン25がマガジン供給位置Mgspまで降下されると、マガジン25の凸部123は、ロック部119のスリット125から抜け出した状態となる。つまり、このような場合、マスクチェンジャ15は、凸部123がスリット125の溝から抜け出すことで、一対のドア117のそれぞれの左右方向への開放、およびマガジン25の前後方向への移動(つまり、マガジンの供給)を可能にする。なお、このような場合、ロック部119は、ドア117の上端部と凸部123の上端部との間の退避空間135に位置する。
図12(b)および図13(b)に示すマスクチェンジャ15は、昇降機65によりマガジン25が任意の停止位置Mssp2に昇降された状態であって、かつ、例えば作業者、または他の要因等により外カバー115が開いている状態を示す。図12(b)は、昇降機65によりマガジン25が任意の停止位置Mssp2に昇降された場合のマスクチェンジャ15内の様子を示す図である。また、図13(b)は、昇降機65によりマガジン25が任意の停止位置Mssp2に昇降された場合のロック部119と凸部123との位置関係を示す図である。このような場合、まず、制御部93は、外カバー115が開いていることを検出したタイミングで、安全制御部113の運用モードを第2の運用モードで制御させて、昇降機65への動力用電源の供給を停止させる。
従来のマスクチェンジャ15は、制御部93により昇降機65への動力用電源の供給を停止されると、図12(b)に示すように、昇降機65によりマガジン25が任意の停止位置Mssp2に昇降された位置で停止し、作業者の手が開口部29からマガジン25内のマスク収納空間121通じてマスク通過開口71へ通り抜け可能となる。実施の形態1に係るマスクチェンジャ15は、マガジン25が任意の停止位置Mssp2で停止した状態で外カバー115が開かれても、図13(b)に示すようにマガジン25の凸部123がロック部119のスリット125に入った状態となる。つまり、マガジン25の一対のドア117のそれぞれは、ロック部119のスリット125により、左右方向にスライド不可となる。また、マガジン25は、ロック部119のスリット125に凸部123が入った状態であるため、マスクチェンジャ15外への取り出し(供給作業)が不可となる。
これにより、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置11は、何らかの原因で昇降機65によりマガジン25が任意の停止位置Mssp2で停止しても、マガジン25のドア117の凸部123がロック部119のスリット125の溝に入り込んだ状態(言い換えると、ロック部119のスリット125の溝により凸部123が挟まれた状態)となって、マガジン25のドア117が開かないため、マスク通過開口71およびマスクチェンジャ15内への作業者の手の進入をより確実に阻止できる。また、スクリーン印刷装置11は、何らかの原因で昇降機65によりマガジン25が任意の停止位置Mssp2に昇降された位置で停止した時にマスクチェンジャ15内への作業者の手の進入を阻止することで、例えばスクリーン印刷装置11の故障により昇降機65が急に稼働を開始した場合であっても、作業者の負傷をより確実に防ぐことができる。
以上により、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15(格納装置の一例)は、1枚以上のマスク27を格納したマガジン25を供給可能なマガジン供給位置Mgspに設けられる開口部29と、開口部29を覆い、所定の方向に開閉可能な外カバー115と、マガジン供給位置Mgspからマスク供給位置Mssp1の間でマガジン25を移動させる昇降機65(移動部の一例)と、マガジン供給位置Mgspにて開口部29を覆う開閉可能なドア117(第2のカバーの一例)と、を備える。外カバー115(第1のカバーの一例)は、昇降機65によりマガジン25がマガジン供給位置Mgsp以外に移動された場合にドア117の開閉をロックするロック部119を有する。
これにより、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15は、何らかの原因で昇降機65によりマガジン25が任意の停止位置Mssp2で停止しても、ロック部119によりマガジン25のドア117が開かないため、マスク通過開口71およびマスクチェンジャ15内への作業者の手の進入をより確実に阻止できる。
また、以上により、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15におけるドア117は、外カバー115と直交する方向にスライド自在であって、閉じた時に互いに接触して凸部123を形成する一対のドアである。ロック部119は、凸部123を配置可能なスリット125を有する。これにより、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15は、マガジン25のドア117の凸部123がロック部119のスリット125の溝に入り込んだ状態(言い換えると、ロック部119のスリット125の溝により凸部123が挟まれた状態)となって、マガジン25のドア117が開かないため、マスク通過開口71およびマスクチェンジャ15内への作業者の手の進入をより確実に阻止できる。
また、以上により、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15における凸部123は、ドア117の高さ方向に沿って設けられる。スリット125は、マガジン25がマガジン供給位置Mgspにあって、かつ、外カバー115が開いている場合、凸部123を配置できない位置(具体的に、外カバー115が開いている場合、凸部123が退避空間135に位置する位置)に設けられる。これにより、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15は、マガジン25がマガジン供給位置Mgspまで降下されると、ロック部119がドア117の上端部と凸部123の上端部との間の退避空間135に位置することで一対のドア117のそれぞれの左右方向への開放、およびマガジン25の前後方向への移動(つまり、マガジンの供給)を可能にする。つまり、マスクチェンジャ15は、マガジン25がマガジン供給位置Mgsp以外の位置にある場合、マガジン25のドア117の凸部123がロック部119のスリット125の溝に入り込んだ状態(言い換えると、ロック部119のスリット125の溝により凸部123が挟まれた状態)となってマガジン25のドア117が開かないため、マスク通過開口71およびマスクチェンジャ15内への作業者の手の進入をより確実に阻止できる。
また、以上により、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15の外カバー115は、閉じた状態で昇降機への電源を供給可能な制御部93との間で電気的に接続され、開いた状態で制御部93との間で接続が解除される。これにより、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15は、外カバー115が開口部29を閉鎖した状態で制御部93との間で電気的に接続され、開口部29を開放した状態で制御部93との間で電気的な接続が解除されるため、外カバー115がきちんと閉まっている状態であるか否かを検出できる。また、マスクチェンジャ15は、外カバー115が閉まっている状態(つまり、作業者の手がマスクチェンジャ15の内部空間SP内に進入できない状態)で昇降機65への動力用電源の供給を行い、外カバー115が閉まっていない状態(つまり、作業者の手がマスクチェンジャ15の内部空間SP内に進入可能な状態)で昇降機65への動力用電源の供給を停止できる。
また、以上により、実施の形態1に係るマスクチェンジャ15は、マガジン25がマガジン供給位置Mgspにあるとき、外カバー115が開扉可能であることを報知するタッチパネル31(報知部の一例)、をさらに備える。これにより、作業者は、マガジン供給作業が可能であるか否かを知ることができる。
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。