JP3492017B2 - 繊維構造物およびそれを用いてなる繊維成型品の製造方法 - Google Patents

繊維構造物およびそれを用いてなる繊維成型品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な圧縮繊維構造物
および該圧縮繊維構造物を用いてなる繊維成型品の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】不織布を製造するのに融点の異なる複数
の重合体からなる複合繊維の低融点成分の熱融着を利用
する方法はすでに良く知られており、例えば、繊維形成
成分がポリプロピレンであり、可接着成分がポリエチレ
ンであるポリオレフィン系複合繊維が特開平4−281
014号や特公昭55−17807号公報に開示されて
おり、また繊維形成成分がポリエステルであり、可接着
成分がポリエチレンあるいはポリプロピレンである複合
繊維が特開昭57−176217号公報に開示されてい
る。さらにポリオレフィンからなる鞘成分とポリエステ
ルを主成分とする芯成分からなる複合熱接着繊維を用い
てウェブを形成し、さらに加熱処理で該熱接着繊維の鞘
成分が熱接着された不織布が特開平4−100920号
や特開平3−269147号公報などに開示されてお
り、またポリエチレンテレフタレート繊維がポリエステ
ル系ないしポリアミド系バインダー繊維で点接合され所
定の面密度に形成されたポリエステル固綿が特開昭57
−35047号、特開昭59−168159号、特公平
2−6864号、特開平4−126856号、特開平4
−309398号公報などに開示されているほか、部分
的に熱圧着された高強力な不織布が特公昭42−213
18号、特公昭43−1776号、特開昭63−165
564号、特開昭63−227814号および特開昭4
9−47676号公報などに開示されている。
【0003】しかしながら、こうした不織布では、空気
を多量に含む嵩高で密度の小さい不織布が用いられてお
り、このため該不織布を運搬したり、保管したりするこ
とはいわば空気を運搬したり、保管したりしているよう
なものであり、一度に多量のものを運搬したり、保管し
たりすることはかなり広いスペースを必要とし、コスト
的に極めて不利であった。さらには、このような嵩高の
不織布は、実際の縫製現場など最終の繊維成型品を形成
する作業を行う場合、嵩高で柔らかいので取り扱いにく
いという欠点を有していた。
【0004】上記欠点を解決する手段として、嵩高不織
布をフィルムに包装し、その内部の空気を減圧下に抜き
取り、容積を小さくして運送、保管し、使用時に熱風を
吹き込んでもとの嵩高の状態に復元するという方法が特
公昭60−58086号公報に開示されている。
【0005】しかしながら、上記公報に開示されている
方法の場合には、最初に内部空気を抜き取る時に、嵩高
不織布の構成繊維の配置に影響を及ぼし、シワが発生し
たり変形したりしてしまうため、もとの形状への回復性
が極めて悪く、また内部空気の抜き取り、熱風復元の2
段階の操作を必要とするため、極めて作業効率が悪い。
さらには、この方法では実際の縫製作業で嵩高の不織布
を用いるため取扱い難く、作業性が悪いという欠点につ
いてはまったく解決されていないものであった。
【0006】また、別の解決方法として、特開平3−2
20355号公報には、従来技術として知られているも
のに、潜在捲縮繊維を構成繊維とする不織布を生産する
時に低融点粉末樹脂を用いて圧縮固定し、実際に使用す
るときに熱処理によって該低融点粉末樹脂を再溶融させ
て嵩を回復させ、冷却することによって低融点粉末樹脂
が再固化して新規形状を保持する方法があることが記載
されている。
【0007】しかしながら、上記解決方法では、後工程
で熱が加わる場合に、嵩回復のときと同じように低融点
粉末樹脂の溶融が生じ、圧縮された状態で固定された
り、変形された状態で固定されたりするということがあ
った。また低融点粉末樹脂で固定しているだけのものな
ので、再加熱して溶融させた場合の形状安定性が悪いと
いう問題もあった。
【0008】さらに上記課題を解決する手段として、特
開平3−220355号公報には、構成繊維が繊維結合
用接着剤によって結合されている不織布が、該構成繊維
および繊維結合用接着剤のいずれの溶融温度よりも低い
溶融温度をもつ仮接着剤によって圧縮状態で固定されて
いることを特徴とする嵩回復可能な不織布が開示されて
おり、さらに嵩回復可能な不織布の製造方法として、構
成繊維と仮接着剤たる熱溶融性繊維とを混合した繊維ウ
ェブを繊維結合用接着剤で結合して不織布としたのち、
該不織布を加熱圧縮して熱溶融繊維を溶融し、圧縮状態
に該不織布を固定することを特徴とするものが開示され
ている。さらに上記構成繊維には、中空繊維、繊度6デ
ニール以上の太い繊維、捲縮半径の大きい繊維、加熱や
加湿などにより収縮して3次元スパイラル構造となる一
般に高捲縮繊維といわれる繊維などが利用でき、繊維結
合用接着剤には、熱硬化型樹脂バインダーおよび熱接着
性繊維が利用でき、このうち熱接着性繊維としては、未
延伸ポリエステル、低融点ポリエステル、低融点ポリア
ミドなどの樹脂からなる全溶融繊維、これらの樹脂を1
成分とする複合繊維が挙げられ、その溶融温度は仮接着
剤の溶融温度よりも10℃以上高いとするものであり、
また仮接着剤には、繊維形状や粉末形状のものが利用で
き、このうち繊維形状の仮接着剤としては、熱融着複合
ないし単一成分繊維であり、熱融着複合繊維には低融点
ポリエステル成分−高融点ポリエステル成分、低融点ポ
リアミド成分−高融点ポリエステル成分などがあり、こ
れらがサイドバイサイド型や芯鞘型に形成されているも
のを用いることができることが記載されている。さらに
上記公報では上記嵩回復可能な不織布を、仮接着剤の溶
融温度以上で、かつ構成繊維と繊維結合用接着剤のいず
れの溶融温度よりも低い温度で熱処理を施して嵩を回復
させることを特徴とする不織布の嵩回復方法も記載され
ている。
【0009】上記公報の不織布では、構成繊維および繊
維結合用接着剤よりも低融点の仮接着剤が用いられてい
るので、仮接着するときの加熱、接着力を弱めるときの
再加熱の際に構成繊維および繊維結合用接着剤に与える
影響がなく、物性が仮接着の前と後で変化することがな
く、このため安心して嵩高の不織布を薄くすることがで
きるので、輸送、保管のコスト削減に役立ち、密度が高
いので裁断、縫製などの作業が効率的に行うことができ
るとするものである。
【0010】しかしながら、弾力性に富んだへたりの少
ない嵩高の不織布を形成するために構成繊維を結合する
バインダーとしての「繊維結合用接着剤」と該嵩高の不
織布を圧縮固定するための「仮接着剤」との2種類の接
着剤の併用となっており、該構成繊維を繊維結合用接着
剤で結合する際には必然的に加熱による熱硬化ないし熱
接着により結合する必要があるが、いずれにしても仮接
着剤の溶融温度よりも高い温度で加熱する必要が生じ
る。そのため、事前に仮接着剤を配合している場合に
は、該仮接着剤も同時に溶融してしまうため、得られる
初期の嵩高の不織布の交絡(固定)点は、上記繊維結合
用接着剤および仮接着剤の双方で形成されているもので
あり、これを再度、仮接着剤のみが溶融する低温で加熱
圧縮した状態で該仮接着剤を用いて接点を結合して嵩回
復可能な圧縮固化された不織布を形成するものである
が、輸送、保管後に嵩を回復させる場合には、仮接着剤
のみが溶融する低温で加熱して該仮接着剤を溶融させて
接点を解除させるものであり、初期の嵩高の不織布に比
べ嵩回復後の不織布では仮接着剤による交絡点が減少し
ており弾力性に劣るなど物性が異なる場合が多かった。
また、該構成繊維を繊維結合用接着剤で結合した後に仮
接着剤を添加する場合には、該仮接着剤を不織布全体に
均質に添加させる必要上、従来のエマルジョンタイプの
バインダーを用いる必要があるため、従来より知られて
いる歩留り低下の問題があった。さらに、上記嵩回復可
能な不織布では、製造段階で2種類の接着剤を異なる熱
処理条件でそれぞれ熱硬化ないし熱接着(熱融着)させ
る必要があり、製造工程が複雑となり経済的にもコスト
高となるものであった。さらにまた、上記公報に開示さ
れている嵩回復可能な不織布では、輸送および保存に適
するように最初に繊維結合用接着剤によって半永久的に
固定化して、いわば形状が記憶された状態の嵩高の不織
布をつくり、その後嵩高の不織布を仮接着剤で一時的に
圧縮固定化して縫製などした後に、該仮接着剤の固定化
部分だけ解除して、最初に記憶させておいた形状の嵩だ
かな不織布に回復するとすることでスポーツ衣料などに
入れる中入綿、ブラジャーカップ素材、肩パッド素材、
フィルターなどに適した不織布を提供しようとするもの
であり、繊維構造物(不織布)を積極的に型に入れて加
圧を部分的に加えることで凹凸形状をもつ複雑な形状に
加工してなる繊維成型品として自動車のシートのクッシ
ョン材やソファーや椅子などの背もたれなどに適した繊
維形成品を提供しようとするものでなく、仮に上記公報
に開示した手段で凹凸形状をもつ複雑な形状の繊維成型
品(不織布)を得ようとすれば、初期の嵩高な不織布を
造る際に凹凸をもつ形状に加工しておき、これを圧縮固
化し、その後再度加熱してもとの凹凸をもつ形状に嵩回
復させる必要があるが、この場合には嵩回復率が凹凸形
状のあらゆる部分において均等でありかつ極めて高い回
復率でなければ初期に記憶させた凹凸形状どおりには十
分に復元できないのに反し、実際には圧縮時に印加され
る圧力が凹部分と凸部分で異なるため、凹凸形状に嵩を
回復しようとする際に生じる復元力(反発力)も不均一
になるほか、該仮接着剤が嵩回復時に再固化するもので
あるが、凹部分と凸部分とではその嵩回復率や回復速度
などが異なるため、その固定の分布のバラツキが大きく
なるなど、最初に記憶した凹凸形状に対する十分な復元
性を示さないなど繊維結合用接着剤と仮接着剤との併用
による弊害があるなど、解決すべき課題を内在しおり、
こうした複雑な形状のものに適用することは極めて困難
であるといえる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、最終的にあらゆる形状に成型加工することがで
きる潜在性能を有し、かつ取扱性、輸送性、保管性に優
れた繊維構造物を提供するものである。
【0012】また、本発明は、最終的にあらゆる形状に
成型加工することができる潜在性能を有し、かつ取扱
性、輸送性、保管性に優れた繊維構造物を用い、かかる
潜在性能を発現させて所望の形状に自在にかつ安定的に
成型加工することができる最終の繊維成型品の製造方法
を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記の課題を解決するために、新規な繊維構造物および
該繊維構造物を用いてなる繊維成型品の製造方法につき
鋭意検討した結果、従来のポリエステルなどの一般繊維
を捲縮化処理した繊維に加えて嵩回復性に中空繊維が極
めて効果的であることに着目し、少なくともこれらを必
須成分として嵩高な繊維構造物を構成することとし、さ
らに嵩高な繊維構造物を加熱圧縮後に一時的に固定化す
る機能部材と、その後熱処理により該機能部材を溶融し
て嵩を回復させたものを型などに入れるなどして部分的
に圧縮した状態で半永久的に固定化することのできる機
能部材を一つのバインダー繊維を用いて行うことによる
ものである。言い換えれば、未圧縮でかつ未接合な状
態、すなわちば形状が何ら記憶されていない状態の嵩高
な繊維構造物を一旦、バンンダー繊維のバインダー成分
を用いて圧縮状態で一時的に固定化することで取扱性、
輸送性および保管性に優れた簡易形状を有する圧縮繊維
構造物を得ることができることを見出だし、さらに該圧
縮加工した繊維構造物をバインダー成分が溶融する温度
以上で熱処理することで、極めて高い復元性を発現で
き、もとの未圧縮でかつ未接合な状態の嵩高な繊維構造
物に戻し、さらにこの嵩高な繊維構造物を型などを使っ
て所望の形状に加圧成型し、その後溶融状態にあるバイ
ンダー成分を半永久的に固定化させることで最終の繊維
成型品を得ることができることを見出だし、これにより
上記諸目的を達成することができることを知り、これら
の知見に基づき本発明を完成するに至ったものである。
【0014】 すなわち、本発明の目的は、(1) ポ
リエステル系合成繊維(ただし、バインダー繊維に含ま
れる未延伸ポリエステルおよび低融点ポリエステル樹脂
からなる全溶融繊維並びに該溶融繊維成分を一部に用い
た複合繊維を除く)およびバインダー繊維を主要構成部
材とする繊維構造物において、構成部材として中空繊維
10〜40重量%の範囲で配合され、かつ、バインダ
ー繊維によって圧縮状態で固定されていることを特徴と
する繊維構造物により達成されるものである。
【0015】また、本発明は、(2) 上記繊維構造物
が、面密度1.5kg/m2 以下に圧縮状態で固定され
ていることを特徴とする上記(1)に示す繊維構造物に
よっても達成される。
【0016】さらに、本発明は、(3) 上記繊維構造
物への前記中空繊維の配合比率が、10〜40重量%の
範囲であることを上記(1)または(2)に示す繊維構
造物によっても達成される。
【0017】さらにまた、本発明は、(4) 上記中空
繊維が、繊度1〜20デニール、中空率5〜50%の範
囲である上記(1)ないし(3)のいずれかに示す繊維
構造物によっても達成される。
【0018】なお、本発明は、(5) 上記繊維構造物
への前記ポリエステル系合成繊維の配合比率が、20〜
80重量%の範囲であることを特徴とする上記(1)な
いし(4)のいずれかに示す繊維構造物によっても達成
されるものである。
【0019】なお、本発明は、(6) 上記ポリエステ
ル系合成繊維の繊度が、1〜20デニールの範囲である
上記(1)ないし(5)のいずれかに示す繊維構造物に
よっても達成されるものである。
【0020】なお、本発明は、(7) 上記繊維構造物
への前記バインダー繊維の配合比率が、10〜40重量
%の範囲であることを特徴とする上記(1)ないし
(6)のいずれかに示す繊維構造物によっても達成され
るものである。
【0021】なお、本発明は、(8) 上記バインダー
繊維の繊度が、1〜20デニールの範囲であることを特
徴とする上記(1)ないし(7)のいずれかに示す繊維
構造物によっても達成されるものである。
【0022】なお、本発明は、(9) 上記バインダー
繊維が、芯鞘構造を有し、該鞘部材成分が該鞘部材以外
の繊維部材のいずれの溶融温度よりも低い溶融温度をも
つことを特徴とする上記(1)ないし(8)のいずれか
に示す繊維構造物によっても達成されるものである。
【0023】なお、本発明は、(10) 上記繊維構造
物を構成する繊維の少なくとも1種を捲縮することを特
徴とする上記(1)ないし(9)のいずれかに示す繊維
構造物によっても達成されるものである。
【0024】なお、本発明は、(11) 上記(1)な
いし(10)のいずれかに示す繊維構造物を、上記バイ
ンダー繊維の鞘部材成分の溶融温度以上でかつ、該バイ
ンダー繊維の鞘部以外の該繊維構造物を構成する繊維な
いし繊維部材のいずれの溶融温度よりも低い温度で熱処
理を施して該鞘部材成分を溶融して嵩を回復させ、さら
に該熱処理可能な温度で圧縮成型し、その後、圧縮状態
で上記バインダー繊維の鞘部材成分の溶融温度より低い
温度で冷却して該鞘部材成分を固化することを特徴とす
る繊維成型品の製造方法により達成されるものである。
【0025】
【作用】以下に、本発明を具体的に説明する。
【0026】まず、本発明に係る繊維構造物に含まれる
中空繊維の材料としては、バインダー繊維の鞘部材成分
の融点よりも高い融点をもつ材料であれば、特に制限さ
れるものでないが、中空繊維の材料の融点が、バインダ
ー繊維の鞘部材成分の溶融温度より高いものが望まし
く、こうした融点をもつ中空繊維であれば従来公知の中
空繊維を好適に利用することができ、例えば、再生セル
ロース、酢酸セルロース、ポリアセタール、ポリカーボ
ネート、芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン1
1、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン68、ナイ
ロン610、ナイロン613、ナイロン7、ナイロン
8、ナイロン9、ナイロン13またはナイロン13,1
3のようなポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ
メタクリレート、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリア
クリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステルのホ
モまたはコポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、芳香族ポリスルホン、カーボネート−エチレンオ
キシド共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン−スチ
レン共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリジメチルシキロサ
ン−ポリカーボネートブロック共重合体、アクリロニト
リル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体な
どが挙げられる。
【0027】上記中空繊維の繊度としては、通常1〜2
0デニールの範囲である。該繊度が1デニール未満の場
合には、中空繊維を加えることにより得られる嵩高の繊
維構造物に対して所望の嵩ないし形状(厚さ)を付与す
ることができず、また20デニールを越える場合には、
軽いものが造りにくいほか、一旦熱融着により圧縮する
際および輸送、保管後に最終的に繊維成型品を加工する
段階で再度熱を加えて嵩を回復する際の熱伝導率が該中
空繊維を多量に含むことで、該中空繊維の中空部が低熱
伝導率であることから、繊維構造物の中心部のように熱
の伝播が遅い部分における熱融着性能への悪影響が生じ
るおそれがあるなど好ましくない。なお上記中空繊維の
繊維長は、特に制限されるものでない。
【0028】また上記中空繊維の中空率は、通常5〜5
0%、好ましくは10〜30%である。ここで、中空率
とは、中空部の断面積と繊維の断面積の比をいう。該中
空率が5%未満の場合には、中空繊維の配合による軽量
化およびボリュウムが不十分となるほか、再度熱処理に
より接着させた交絡点を解除する場合に、該中空繊維の
持つ反発力が十分でなく所望の嵩回復性能が得られない
ため好ましくなく、また該中空率が50%を越える場合
には、該中空繊維の中空部が低熱伝導率であることか
ら、繊維構造物の中心部のように熱の伝播が遅い部分に
おける熱融着性能への悪影響が生じるおそれがあるほ
か、嵩高になり過ぎ嵩回復後の圧縮で所望の製品形状に
圧縮固定しにくいなどの問題があり好ましくないもので
ある。
【0029】さらに、中空繊維の中空部の断面形状とし
ては、特に制限されるものでなく、例えば、円形、楕円
形など従来技術により形成できる形状のいずれをも用い
ることができる。なお、上記中空繊維の中空膜を多孔質
にするなどの付加機能の付与に関しては、中空繊維の配
合目的であるボリュウムがありかつ軽い繊維構造物を形
成できるだけの機能を備えてありさえすれば、その他の
付加機能の付与は任意である。
【0030】さらに本発明に係る繊維構造物における上
記中空繊維の配合比率は、通常10〜40重量%の範囲
である。該配合比率が10重量%未満の場合には、得ら
れる繊維構造物および最終的な繊維成型品において従来
品と同様に軽いものが得られず、かつボリュウムも不十
分となるほか、再度熱処理により接着させた交絡点を解
除する場合に、該中空繊維の持つ反発力が十分でなく所
望の嵩回復性能が得られないため好ましくなく、また4
0重量%を越える場合には、嵩高になり過ぎ、嵩回復後
の圧縮で所望の製品形状に圧縮固定しにくいなどの問題
があり好ましくないものである。
【0031】なお、上記中空繊維においても繊維構造物
を熱処理を施して嵩を回復させるときに、嵩を大きく回
復させることができる機能を有するものが好ましく、こ
のように嵩を大きく回復させることのできる中空繊維と
しては、例えば、高捲縮繊維などの捲縮繊維が挙げられ
る。こうした捲縮繊維を用いることにより、繊維構造物
の嵩を回復するために熱処理を施す際に、それまで固化
されていたバインダー繊維の鞘部材成分が溶融して接着
力が弱まったときに、それまで圧縮応力により歪んだ状
態にあった捲縮繊維がもとの状態に戻ろうとする反発力
(復元力)が嵩回復のための推進力として働くものであ
る。該捲縮繊維としては、例えば、太い中空繊維、捲縮
半径の大きい中空繊維、加熱や加湿などにより3次元ス
パイラル構造となる一般に高捲縮繊維といわれる中空繊
維などが挙げられる。これらの他にも機械的に捲縮が付
与された中空繊維を用いることもできる。
【0032】また、上記捲縮の加工法としては、例え
ば、熱収縮による捲縮加工を行う方法のほか構造捲縮法
により3次元的なランダムループを付与する方法や、複
合捲縮法により綺麗なサイン曲線またはコイル型を付与
する方法など従来公知の捲縮加工方法を適用することが
できる。なお、通常の繊維(中実繊維)で用いられてい
る機械的な方法による捲縮加工では、中空部分が潰れて
しまう恐れがあるため好ましい方法とは言えないもので
ある。該捲縮加工により、上記中空繊維に伸縮性と嵩高
性を付与することができるものであり、これにより圧縮
固定してなる繊維構造物に捲縮による反発力が内部留保
され、これを輸送、保管後に最終的に繊維成型品に加工
する段階で再度熱を加えて交絡点を解除して嵩高な状態
に復元する際に、熱活性により該捲縮による反発力によ
り極めて優れた復元性を発現することができるものであ
る。
【0033】次に、本発明に係る繊維構造物に用いるこ
とのできるバインダー繊維としては、バインダー機能を
持つものであれば特に制限されるものでないが、好まし
くは、特定の重合体を主成分とする芯部と該芯部材より
融点の低い重合体を主成分とする鞘部材とからなる芯鞘
構造を有する複合繊維を用いることが望ましい。こうし
た融点の異なる重合体を主成分とする芯鞘構造を有する
複合繊維を用いることで、本発明の未圧着(未圧縮固
定)の繊維構造物を鞘部材成分の融点以上でかつ芯部材
成分の融点未満の温度で加熱圧縮することにより、該鞘
部材成分が溶融して周囲の中空繊維を含む繊維に融着な
いし接着した状態となり、この状態で冷却することで、
融着部分を接点とする点接着構造を有する繊維構造物を
形成することができるものである。これにより、嵩高の
未圧着(未圧縮固定)の繊維構造物の容積(面密度)を
大幅に低減することができ、その後の取扱性、輸送性お
よび保管性を改善することができるものである。
【0034】上記バインダー繊維の材料としては、まず
芯部に用いることのできる材料としては、中空繊維や後
述するポリエステル系合成繊維の材料と同様に、ポリエ
ステルのホモまたはコポリマーを用いることができる。
これにより、中空繊維、後述するポリエステル系合成繊
維およびバインダー繊維の芯材の融点がほぼ同じ範囲に
できることから、以後の加熱圧縮工程および嵩回復のた
めの熱処理工程などでの設定温度条件が比較的容易に決
定することができるものである。次に鞘部材に用いるこ
とのできる材料としては、上記芯部材に用いてなる材料
の融点より低い融点をもつ重合体であれば、特に制限さ
れるものでないが、鞘部材成分の溶融温度が、芯部材成
分の溶融温度より低いものが望ましく、かつ最終的に得
られる繊維成型品の使われる環境での温度条件よりは1
0℃程度は高い融点をもつものが望ましいものである。
該鞘部材成分としては、例えば、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテンなどのα−オレフィンの単独重合体また
は共重合体であるポリオレフィンなどを例示することが
できる。なお、上記バインダー繊維としては、上記に例
示したものに何ら制限されるものでなく、例えば、特公
昭42−21618号、特公昭52−37097号、特
開昭61−70012号、特開昭62−78214号公
報に開示されているような潜在捲縮性を有するポリエス
テル系複合繊維をはじめ、特開昭62−299514号
および特開昭63−264915号公報に開示されてい
るような低融点成分を鞘部、高融点成分を芯部とし、偏
心芯鞘型またはサイドバイサイド型に複合させ、かつ高
融点成分中に中空部を有する熱接着性中空複合繊維、特
開平1−118617号公報に開示されているような低
融点成分を鞘部にし、熱収縮性の異なる重合体を偏心芯
鞘または接合型に複合した芯部よりなる潜在捲縮性能を
有した熱接着性複合繊維、特開平3−19916号公報
に開示されているような2種のポリエステル重合体成分
(A)および(B)とから構成される熱融着型ポリエス
テル複合繊維であって、該成分(A)がイソフタル酸を
20〜80モル%共重合した改質ポリエチレンテレフタ
レートであり、成分(B)が実質的にポリエチレンテレ
フタレートからなるポリエステルであり、かつ30ケ/
25mm以上の捲縮数を発現する潜在捲縮能を有するこ
とを特徴とする熱融着型ポリエステル複合繊維、特開平
3−69614号公報に開示されているような比較的低
融点の鞘部と比較的高融点の芯部とからなる熱接着性中
空複合繊維において、中空部が鞘部と芯部の双方に跨が
って形成され、鞘部と芯部の成分比が20/80〜70
/30、中空率が5〜50%であることを特徴とする熱
接着性中空複合繊維、特開平3−249213号公報に
開示されているような芯部に中空部を有する芯鞘型中空
複合繊維であって、融点が220℃以下の繊維形成性重
合体Aからなる成分が鞘部を構成し、融点が重合体Aよ
り20℃以上高い重合体Bからなる成分と重合体A及び
重合体Bの混合容量比(A/B)が2/8〜6/4であ
る成分Cとが接合して芯部を構成し、かつ芯部の中心部
に中空部を有することを特徴とする熱接着性中空複合繊
維、特開平3−241012号公報に例示されているよ
うなポリエステルを鞘成分とし、ポリオレフィンを芯部
とする芯鞘型複合繊維および特開平4−240219号
公報に例示されているような融点が200℃以上のポリ
エステル成分と、酸成分の50〜80モル%がテレフタ
ル酸、主たるグリコール成分が1,4−ブタンジオー
ル、ポリ(アルキレノキシド)グリコール成分の共重合
量が30〜50重量%であって、特定の溶融粘度特性を
有するポリエーテルエステルブロック共重合体成分とか
らなるポリエステル系熱接着性複合繊維など、従来公知
のバインダー機能を有する複合繊維であれば特に問題な
く適用することができることはいうまでもない。
【0035】また、上記バインダー繊維における芯部材
と鞘部材との体積(容積)比は、用いる材料により適宜
決定されるものであり、例えば、上述した特開平3−6
9614号公報に開示されている熱接着性複合繊維を適
用する場合においては、鞘部と芯部の成分比が20/8
0〜70/30の範囲であり、上述した特開平3−24
9213号公報に開示されている熱接着性複合繊維を適
用する場合においては、鞘部と芯部の複合比(容量比)
が3/7〜5/5の範囲が接着性、嵩高性の点で望まし
く、特開平3−241012号公報に例示されているよ
うな芯鞘型複合繊維を適用する場合には、鞘部と芯部の
体積比が80/20〜20/80の範囲であり、特開平
3−19916号公報に開示されているような熱融着型
ポリエステル複合繊維を適用する場合には、鞘部と芯部
の複合比が40〜60:60〜40の範囲であるなど最
適範囲は、実際の使用態様に応じて決定することが望ま
しいものである。
【0036】さらに上記バインダー繊維の繊度としては
通常1〜20デニールの範囲である。該繊度が1デニー
ル未満の場合には、軽いものは造れるけれども、機械的
強度が低下するために繊維構造物を用いてなる繊維成型
品の腰がなくなり厚みを一定に保持できないほか、相対
的にバインダーとして機能する鞘部材成分の割合も少な
くなるため、加熱圧縮する際に所望の点接着(融着)が
発揮できず、所望の面密度に圧縮固定した繊維構造物を
得ることができない場合が生ずるなどの問題があり、2
0デニールを越える場合には、強度的には十分である
が、面密度が大きくなり過ぎ、得られる繊維構造物およ
び最終的な繊維成型品が面密度が従来品に比して大きく
なり過ぎるなど好ましくないほか、該バインダー繊維の
比率が高い繊維構造物では、輸送ないし保管した後、最
終的に繊維成型品に加工する段階で再度熱処理して嵩を
回復する際に、該バインダー機能を有する鞘部材成分が
過度に存在するため点接着部分の交点(交絡点)がなか
なか解除されず、所望の厚さ(面密度)まで復元するこ
とが困難になるなど好ましくない場合が生ずるものであ
る。なお、上記バインダー繊維の繊維長は、特に制限さ
れるものでない。
【0037】さらに本発明に係る繊維構造物における上
記バインダー繊維の配合比率は、通常10〜40重量%
の範囲である。該配合比率が10重量%未満の場合に
は、加熱圧縮する際に該バインダー繊維の鞘部材成分を
十分に供給できず、溶融固化による交絡点を形成するこ
とができないため所望の面密度(厚さ)に圧縮すること
ができ難くなるなど好ましくなく、また40重量%を越
える場合には、加熱圧縮時の熱融着性能は向上するが、
再度熱処理により接着固化させた交絡点を解除する場合
に、過度の交絡点の形成によりこれらを十分に解除する
のに長時間の熱処理を要し繊維構造物の耐久性などの低
下を招く恐れがあるほか、再度の熱処理時に過度のバイ
ンダー成分が繊維構造物の端部から垂れ落ちたり流れ出
たりする恐れがあるほか、該バインダー成分の粘性が強
い場合には、溶融して交絡点を解除しても多量のバイン
ダー成分により繊維間の緩やかな結合が保持されるため
嵩回復性能が十分でなく、さらに最終の繊維成型品が固
化した過度のバインダー成分により弾性が低下して軟ら
かくなるなどの問題があるため好ましくないものであ
る。
【0038】なお、上記バインダー繊維の芯部材におい
ても、該バインダー繊維により圧縮固定してなる繊維構
造物を熱処理を施して嵩を回復させるときに、嵩を大き
く回復させることができる機能を有するものが好まし
く、このように嵩を大きく回復させることのできるバイ
ンダー繊維の芯部材に用いられる繊維部材としては、例
えば、高捲縮繊維などの捲縮繊維が挙げられる。
【0039】こうした捲縮繊維を芯部材として用いるこ
とにより、繊維構造物の嵩を回復するために熱処理を施
す際に、それまで固化されていたバインダー繊維の鞘部
材成分が溶融して接着力が弱まったときに、それまで圧
縮応力により歪んだ状態にあった捲縮繊維がもとの状態
に戻ろうとする反発力(復元力)が嵩回復のための推進
力として働くものである。該捲縮繊維としては、例え
ば、太い繊維部材、捲縮半径の大きい繊維部材、加熱や
加湿などにより3次元スパイラル構造となる一般に高捲
縮繊維といわれる繊維部材などが挙げられる。これらの
ほかにも機械的に捲縮が付与された繊維部材を用いるこ
ともできる。
【0040】また、上記捲縮の加工法としては、例え
ば、上記バインダー繊維を緊張下に加熱刃と擦過させた
り、該繊維を加熱状態にして刃と擦過させることによ
り、該繊維と刃の接した部分の鞘部材、さらには芯部材
の分子の配列を乱すように熱履歴を与える方法、上記繊
維長の短繊維に切断する際に同時に機械的に捲縮加工を
施す方法、構造捲縮法により3次元的なランダムループ
を付与する方法、あるいは、複合捲縮法により綺麗なサ
イン曲線またはコイル型を付与する方法など従来公知の
捲縮加工方法を適用することができる。該捲縮加工によ
り、上記バインダー繊維の芯部材に恒久的に伸縮性と嵩
高性を付与することができる。
【0041】さらに、本発明に係る繊維構造物には、上
述の中空繊維およびバインダー繊維に加えてポリエステ
ル系合成繊維を必須成分として配合する必要がある。該
ポリエステル系合成繊維の材料としては、特に制限され
るものでなく、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等のジカルボ
ン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
p−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール、5−ナトリウムスルホレゾルシンなどのジオ
ール成分とから合成される熱可塑性ポリエステルが挙げ
られるほか、該ポリエステルのコポリマーも用いること
ができる。こうしたポリエステルとしては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンビベンゾエート、ポリプロピレンテレフタレー
ト、ポリペンチレンビベンゾエート、ポリ(エチレンテ
レフタレート−イソフタレート)、3,3−ビス(p−
オキシフェニル)ペンタンとテレフタル酸とのポリエス
テル、2,2−ビス(3−メチル−4−オキシフェニ
ル)プロパンとテレフタル酸とのポリエステル、2,2
−ビス(p−オキシフェニル)ペンタンとイソフタル酸
とのポリエステル、ビスフェノールAとテレフタル酸ま
たはイソフタル酸とのポリエステル、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどのホモポリ
エステルまたはこれらに共重合成分としてエチレングレ
コール、プロピレングリコール、ブタンジオール、キシ
レングリコール、ビスフェノールA、ジエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル
酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、p−オキシエト
キシ安息香酸、グリコール酸などが共重合されたものな
どのポリエステル系樹脂などを用いることができる。な
お、上記ポリエステル系合成繊維には、上記ポリエステ
ル系樹脂を単一成分またはブレンド体として用いて紡糸
したものであってもよい。
【0042】上記材料を用いてポリエステル系合成繊維
を製造する方法としては、従来公知の方法を適用するこ
とが可能であり、例えば、溶融紡糸法により、加熱溶融
した上記ポリエステルの融液を口金から冷たい気体の中
に押し出して繊維状にする方法等を利用することができ
る。
【0043】上記ポリエステル系合成繊維の繊度として
は、通常1〜20デニールの範囲である。該繊度が1デ
ニール未満の場合には、軽いものは造れるけれども、機
械的強度が低下するために得られる製品の腰がなくなり
厚みを一定に保持できないなどの問題があり、20デニ
ールを越える場合には、強度的には十分であるが、面密
度が大きくなり過ぎ、得られる製品が重くなり過ぎるな
ど好ましくないものである。また、上記ポリエステル系
合成繊維の繊維長は、特に制限されるものではない。
【0044】さらに本発明に係る繊維構造物における上
記ポリエステル系合成繊維の配合比率は、通常20〜8
0重量%の範囲である。該配合比率が20重量%未満の
場合には、得られる製品のボリューム感に欠け、また、
嵩および形がでにくく厚みが保ちにくいなどの問題があ
り、80重量%を越える場合には、相対的にバインダー
繊維の割合が減少するため、熱融着時に十分な接着によ
る交絡点を形成することができず、所望の厚さに圧縮す
ることができ難くなるほか、面密度が大きくなため、得
られる繊維構造物、さらには最終的な製品の重量が重く
なり過ぎるなどの問題があり好ましくないものである。
【0045】さらに上記ポリエステル系合成繊維は、該
ポリエステル系合成繊維を含む繊維構造物を熱処理を施
して嵩を回復させるときに、嵩を大きく回復させること
ができる機能を有するものが好ましく、このように嵩を
大きく回復させることのできるポリエステル系合成繊維
としては、例えば、高捲縮繊維などの捲縮繊維が挙げら
れる。
【0046】こうした捲縮繊維を用いることにより、繊
維構造物の嵩を回復するために熱処理を施す際に、それ
まで固化されていたバインダー繊維の鞘部材成分が溶融
して接着力が弱まったときに、それまで圧縮応力により
歪んだ状態にあった捲縮繊維がもとの状態に戻ろうとす
る反発力(復元力)が嵩回復のための推進力として働く
ものである。該捲縮繊維としては、例えば、太い繊維、
捲縮半径の大きい繊維、加熱や加湿などにより3次元ス
パイラル構造となる一般に高捲縮繊維といわれる繊維な
どが挙げられる。これらのほかにも機械的に捲縮が付与
された繊維を用いることもできる。
【0047】また、上記捲縮の加工法としては、例え
ば、上記繊維を緊張下に加熱刃と擦過させたり、該繊維
を加熱状態にして刃と擦過させることにより、繊維と刃
の接した部分の分子の配列を乱すように熱履歴を与えた
る方法、上記繊維長の短繊維に切断する際に同時に機械
的に捲縮加工を施す方法、構造捲縮法により3次元的な
ランダムループを付与する方法、あるいは、複合捲縮法
により綺麗なサイン曲線またはコイル型を付与する方法
など従来公知の捲縮加工方法を適用することができる。
該捲縮加工により、上記ポリエステル系合成繊維に伸縮
性と嵩高性を付与することができるものである。
【0048】次に、本発明に係る繊維構造物に用いるこ
とのできる繊維としては、上記必須成分であるポリエス
テル系合成繊維、バインダー繊維および中空繊維以外に
も、使用するバインダー繊維の熱融着温度より高い融点
を有するものであれば、化学繊維および綿、ウールなど
の天然繊維のいずれでも特に制限されるものでなく必要
に応じて添加することができる。これらの繊維において
も上述した必須成分の繊維程度の繊度を有し、捲縮加工
が付与されてなるものが望ましい。
【0049】続いて、上記中空繊維、バインダー繊維お
よびポリエステル系合成繊維を必須成分として配合して
嵩高の繊維構造物を製造し、さらにこれを加熱圧縮して
圧縮固定されてなる繊維構造物を製造する方法として
は、特に制限されるものでなく、従来公知の嵩高の不織
布(繊維構造物)の製造方法および特開平3−2203
55公報に開示されているような嵩回復可能な不織布の
製法方法などを適当に利用することができるものであ
り、具体的な態様を例示すれば、各構成繊維をばらばら
にふらせ、例えば、エアなどを使ってで飛ばしながら各
種繊維をブレンドしあるいはあらかじめ混合したものを
ふらせてカーディングなどの手段によりほぐして調合し
て適用な厚さ(嵩)の繊維ウェブを形成し、該調合した
該繊維ウェブを順次適当な大きさで折り畳みながら積層
して所望の初期厚みに形成した嵩高の繊維構造物を製造
する。なお、積層することなく一度に所望の初期厚みの
嵩高の繊維構造物を作製することも可能でなるが、この
場合には嵩高になればなるほど密度ムラを起こしやすく
なるため嵩の大きい場合には積層手段を用いるほうが同
一組成で密度の均一な嵩高な繊維構造物を得るのに適し
ていると言える。ここで形成される嵩高の繊維構造物の
面密度は、構成繊維の材質や繊維の配合比、捲縮率、使
用用途および用いる製造方法などにより異なるものであ
る。
【0050】その後、上記嵩高の繊維構造物を、例え
ば、加熱圧縮装置に送り、この中でまず、ローラープレ
ス、フラットプレス、ベルトプレスなどを用いて所望の
面密度になるまで圧縮する。この場合の面密度として
は、上記と同様、構成繊維の材質や繊維の配合比、捲縮
率、使用用途および用いる製造方法などにより異なる
が、通常1.5kg/m2 以下、好ましくは0.2〜
1.4kg/m2 に圧縮することが望ましい。1.5k
g/m2 を越える場合には、極めて優れた取扱性、輸送
性および保存性を供えてなる繊維構造物を形成すること
ができる反面、過度の圧縮応力が負荷されるため、該繊
維の該捲縮構造(形状)ないし中空構造の一部がいわば
弾性限界である降伏点を越えて塑性変形を受けた形とな
り復元性能を喪失してしまうため、その後、加熱により
嵩を回復させる際に、各繊維のもつ捲縮の反発力が圧縮
時に失われているため完全な復元性能を発現することが
できず十分な嵩の回復が得られないいほか、用いた中空
繊維の中空構造も同様に潰れてしまうなど好ましくない
ものである。
【0051】次いで、該加熱圧縮装置の中を圧縮状態の
ままで該繊維構造物全体が素早く均一な温度に加熱され
るように強制的にサクションしながらバインダー繊維の
鞘部材成分の融点以上でかつ繊維構造物の他の構成繊維
ないし構成繊維部材の融点より低い温度の熱風を用い
て、例えば、該繊維構造物の下方から上方へ吹き込むこ
とのできる機構を備えた装置内部を通すことにより、バ
インダー繊維表面の鞘部材成分を溶融させて他の繊維と
の交絡部分を融着させる。上記熱処理に要する温度は、
上述のようにバインダー繊維の鞘部材成分の融点以上で
かつ繊維構造物を構成する他の繊維ないし繊維部材の融
点より低い温度であれば、特に制限されるものでない
が、該熱処理温度が鞘部材成分の融点近傍である場合に
は、他の繊維に影響を与えることは少ないが、熱処理に
より該鞘部材成分が溶融するまでに時間を要すると共
に、溶融した際の該鞘部材成分の溶融時の粘性が比較的
高いため、十分に他の繊維との融着して十分な交絡点を
形成するのが困難であることから、該熱処理温度として
は該鞘部材成分よりも高い温度で熱処理すればよい。他
方、該熱処理温度が繊維構造物を構成する鞘部材以外の
他の繊維ないし繊維部材の融点近傍である場合には、鞘
部材成分を融着するには支障はないが、繊維構造物を構
成する鞘部材以外の他の繊維ないし繊維部材では、繊維
に付与した捲縮性能が高温熱処理によって失われ、捲縮
性を喪失する恐れがあるため、該熱処理温度としては、
繊維構造物を構成する鞘部材以外の他の繊維ないし繊維
部材の融点よりも低い温度で熱処理すればよい。したが
って本発明では、バインダー繊維の鞘部材成分の融点と
繊維構造物を構成する他の繊維ないし繊維部材の融点と
の温度差ができるだけ大きいものを選択して用いること
が望ましいといえる。さらに上記熱処理時間としては、
構成繊維の材質や重合度および用いる加熱手段などによ
り異なるが、鞘部材成分が十分に溶融しさらに液だれや
滲み出しを起こさない範囲で行うことが必要である。
【0052】また、上記加熱圧縮装置としては、例え
ば、熱処理機構を有するローラープレス装置、フラット
プレス装置ないしベルトプレス装置などを用いることが
できるが、本発明に用いることのできる加熱圧縮装置と
しては、上記に例示した装置に限定されることなく、圧
縮機構と加熱機構を有し、さらに好ましくは後述する冷
却機構を有する装置であれば、特に制限されるものでな
く、従来公知な装置や既に市販されている各種装置を適
用ないし改良(設計変更)して用いることができること
はいうまでもない。
【0053】さらに、上記例示の方法で圧縮状態のまま
で該繊維構造物全体が素早く均一な温度に加熱されるよ
うに強制的にサクションしながら熱風を該繊維構造物の
下方から上方へ吹き込むこととしたのは、長時間熱処理
する場合には、溶融したバインダー成分の液だれや滲み
だしにより、繊維構造物の下端部に該バインダー成分が
溜まり、さらには上記装置の搬送用のローラーなどに付
着するなどの弊害が生じるため、できるだけ短時間で熱
処理を行うことが好ましいためである。このための対策
として、上記方法では、熱風の吹き出し方向を下方から
上方として液だれを抑制すると共に熱風を強制的にサク
ションして、より早く均一な加熱を促進しているもので
ある。
【0054】続いて、加熱圧縮された繊維構造物を圧縮
した状態のまま該加熱圧縮装置より取り出して自然放冷
するかあるいは同じ加熱圧縮装置の内部にで熱風と同様
にエアをサクションしながら該繊維構造物に吹き込んで
強制的に速やかに冷却することのできる機構を設け、そ
こを通すことによって該交絡点の鞘部材成分を固定化す
ることができ、これにより所望の面密度を有する圧縮固
定されてなる繊維構造物を1度の熱処理だけで簡便に製
造することができるものである。ここでも、上記と同様
に、圧縮後は、バインダー成分を速やかに固化すること
が望ましいことから、できれば自然放冷するよりも、む
しろ強制的に冷却する方が好ましいものである。この場
合の冷却温度としては、とくに制限されるものでない
が、経済性の面から常温以上、すなわち別途、冷却のた
めの装置を付加することなく、上記例示のような常温の
エアを用いるのがコスト的に優れているといえる。ただ
し、上記加熱温度が高い場合には、常温で急冷すること
により、バインダー成分にクラックなどのストレスが発
現する場合もあるため、こうした冷却条件に関しても、
実際に用いる繊維成分などに応じて適宜検討して選定す
る必要がある。
【0055】なお、本発明に係る圧縮固定されてなる繊
維構造物の製造方法は、上記に例示した方法に制限され
るものでなく、従来公知の製造技術を適用することがで
きるものであることはいうまでもない。
【0056】なお、該圧縮固定されてなる繊維構造物
は、取扱性、輸送性および保存性を高める必要上、通常
直方体、立方体など画一化ないし定型化された簡易形状
に圧縮加工することが望ましく、現段階で凹凸形状など
複雑な形状をもつ最終的な繊維成型品の形状に圧縮加工
する必要は無いという利点を有するものである。
【0057】次に本発明に係る上記圧縮固定されてなる
繊維構造物を用いて最終の繊維成型品を製造する方法と
しては、該圧縮固定されてなる繊維構造物を、前記バイ
ンダー繊維の鞘部材成分の溶融温度以上でかつ、該バイ
ンダー繊維の鞘部以外の該繊維構造物を構成する繊維な
いし繊維部材のいずれの溶融温度よりも低い温度で熱処
理を施して該鞘部材成分を溶融して嵩を回復させ、さら
に該熱処理可能な温度で圧縮成型し、その後、圧縮状態
で前記バインダー繊維の鞘部材成分の溶融温度より低い
温度で冷却して該鞘部材成分を固化することを特徴とす
るものである。
【0058】上記製造方法の具体的な態様を例示すれ
ば、輸送ないし保管に供された上記該圧縮固定されてな
る繊維構造物を、必要に応じて、適当な形状(大きさ)
に裁断した後、例えば、熱風循環ドライヤー、熱風貫流
ドライヤー、サクションドラムドライヤー、ヤンキード
ラムドライヤーなどの熱処理装置に通すことにより、バ
インダー繊維の鞘部材成分の溶融温度以上でかつ、該バ
インダー繊維の鞘部材以外の該繊維構造物を構成する繊
維ないし繊維部材のいずれの溶融温度よりも低い温度で
熱処理を施して該鞘部材成分による交絡(固定)点を溶
融解除して嵩を回復させる。この場合の熱処理温度とし
ても、バインダー繊維の鞘部材成分の融点以上でかつ繊
維構造物を構成する他の繊維ないし繊維部材の融点より
低い温度であれば、特に制限されるものでないが、該熱
処理温度が鞘部材成分の融点近傍である場合には、他の
繊維に影響を与えることは少ないが、熱処理により該鞘
部材成分が溶融するまでに時間を要すると共に、溶融し
た際の該鞘部材成分の溶融時の粘性が比較的高いため、
他の繊維のもつ捲縮による反発力によって固定化されて
いる交絡点を解除するのが困難であることから、該熱処
理温度としては該鞘部材成分よりも高い温度で熱処理す
ればよい。他方、該熱処理温度が繊維構造物を構成する
鞘部材以外の他の繊維ないし繊維部材の融点近傍である
場合には、鞘部材成分の溶融した際の粘性が極めて低下
するため、液だれなどを生じ易くなり、鞘部材成分分布
に偏りが生じるため、後工程での圧縮時の固化性能が繊
維部位によって異なる恐れがあり、繊維構造物を構成す
る鞘部材成分以外の他の繊維ないし繊維部材では、嵩を
回復する際に、繊維に付与した捲縮性能が高温熱処理に
よって失われ、捲縮性を喪失する恐れがあるため、該熱
処理温度としては、繊維構造物を構成する鞘部材以外の
他の繊維ないし繊維部材の融点よりも低い温度で熱処理
すればよいが、バインダー繊維の鞘部材成分の融点と繊
維構造物を構成する他の繊維ないし繊維部材の融点との
温度差ができるだけ大きいものを選択し、これらの溶融
温度のちょうど中間近辺の温度を用いて熱処理すること
が望ましいものである。
【0059】さらに上記熱処理時間としては、構成繊維
の材質や繊維の配合比および用いる加熱手段などにより
異なるが、十分に鞘部材成分を溶融させて交絡点を解除
させ、さらに液だれや滲み出しを起こさない範囲で行う
必要がある。
【0060】続いて、熱処理された状態の繊維構造物
を、上記の熱処理可能な温度で最終的な繊維成型品の形
状に対応する型などを用いて圧縮成型すると同時に、あ
るいは圧縮成型後に圧縮状態で前記バインダー繊維の鞘
部材成分の溶融温度より低い温度で冷却して該鞘部材成
分を固化することで所望の繊維成型品を得る方法などが
挙げられる。これらの方法により、部分的に加圧されて
成るような凹凸形状など複雑な形状を有する目的とする
最終の繊維成型品を極めて簡便な方法により製造するこ
とができるものである。ここで、熱処理可能な温度で圧
縮成型するとしたのは、まだバインダー成分が溶融して
いる状態で圧縮し、その後冷却することで該バインダー
成分を固化させて圧縮状態で固定化させようとするため
のものである。したがって、熱処理後、短時間の間であ
れば、さらに熱を加えなくてもバインダー成分が溶融状
態にさえあれば、そのまま常温の型などを使って成型プ
レスすればよいものである。しかしながら、上記例示し
たように型などを使って圧縮成型するタイミングとして
は、熱処理により嵩を回復した時点で加熱処理とほぼ同
時に行っても良いほか、熱処理炉から取り出して、該バ
インダー成分が一旦固化した後、再度加熱機構を有する
型などを使って、加熱しながら圧縮加工を施してもよい
ことはいうまでもない。
【0061】なお、本発明に適用することのできる繊維
成型品の製造方法としては、上記に例示した方法に制限
されるものでなく、従来公知の他の熱処理技術、圧縮技
術および成型加工技術を適当に組み合わせて適用するこ
とができるものである。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0063】実施例1 (1)ポリエステル系合成繊維 ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて紡糸
し、クリンパーを用いて捲縮数10個/25mm程度の
捲縮が付与された繊度2デニール、繊維長51mmのポ
リエステル系合成繊維を得た。該ポリエステル系合成繊
維の繊維構造物における配合比率は60重量%とした。
【0064】(2)バインダー繊維 融点260℃のポリエステルを芯部材に、また融点11
5℃のPETの共重合体を鞘部材に用いて紡糸して複合
繊維とし、これを捲縮加工して繊度2デニール、繊維長
51mmのバインダー繊維を得た。該バインダー繊維の
繊維構造物における配合比率は20重量%とした。
【0065】(3)中空繊維 融点260℃のポリエステル材料を用いて紡糸し、これ
を捲縮加工して繊度6デニール、繊維長54mm、中空
率15%の中空繊維を得た。該中空繊維の繊維構造物に
おける配合比率は20重量%とした。
【0066】次に、上記(1)〜(3)の3種類の繊維
を用いて、各構成繊維をばらばらにふらせ、エアを使っ
て飛ばしながら各種繊維をブレンドしてカーディング手
段によりほぐして調合して厚さ5mmの繊維ウェブを形
成し、該調合した該繊維ウェブを順次、縦1530mm
×横2100mmの大きさで折り畳みながら積層して、
面密度0.800kg/m2 程度になるように嵩高の繊
維構造物を形成した。
【0067】その後、上記嵩高の繊維構造物を、熱処理
機構を有するローラープレス装置に送り、この中でま
ず、ローラープレスを用いて設定厚さ30mm(実際に
は厚さ30.5mm、面密度0.822kg/m2 )で
圧縮した。
【0068】次いで、該加熱圧縮装置の中を圧縮状態の
ままで該繊維構造物全体が素早く均一な温度に加熱され
るように強制的にサクションしながらバインダー繊維の
鞘部材成分の融点以上でかつ繊維構造物の他の構成繊維
ないし構成繊維部材の融点より低い温度で熱風を用いて
該繊維構造物の下方から上方へ吹き込むことのできる機
構を備えた装置内部を通すことにより、バインダー繊維
表面の鞘部材成分を溶融させて他の繊維との交絡部分を
融着させた。この際、熱処理温度は160℃±2℃の範
囲で制御し、熱処理時間は、熱風機構部分の通過数時間
が3.2m/分となるように調整した。
【0069】続いて、加熱圧縮された繊維構造物を同じ
加熱圧縮装置の内部にて熱風と同様にエア(常温)を1
0秒間、サクションしながら該繊維構造物に吹き込んで
強制的に冷却し、交絡点の鞘部材成分を固定化し、上記
面密度を有する直方体の定型化された簡易形状に圧縮固
定されてなる繊維構造物を製造した。なお、該繊維構造
物の厚さは、各コーナーより約5mm内側の4点および
中心点部分の計5点を計った平均値を表したものであ
り、嵩回復後の戻り厚さに関しても同様にして測定し、
同様に表示したものである。
【0070】次に、一定期間(1週間)保管に供された
上記圧縮固定されてなる繊維構造物を、定温熱処理装置
に通すことにより、バインダー繊維の鞘部材成分の溶融
温度以上でかつ、該バインダー繊維の鞘部材以外の該繊
維構造物を構成する繊維ないし繊維部材のいずれの溶融
温度よりも低い温度で熱処理を施して該鞘部材成分によ
る交絡(固定)点を溶融解除して嵩を回復させた。この
際、熱処理温度を100〜260℃の範囲で20℃ずつ
段階的に変化させ、各熱処理温度での該繊維構造物の戻
り厚さを測定した。得られた結果を表1に示す。
【0071】続いて、熱処理され嵩回復した状態の繊維
構造物(180℃のもの)を、冷却固化させることなく
最終的な繊維成型品の形状に対応する凹凸形状の型を用
いて圧縮成型し、そのままの状態でバインダー繊維の鞘
部材成分の溶融温度より低い温度(ここでは常温)で冷
却して該鞘部材成分を固化することで所望の繊維成型品
を得た。得られた繊維成型品は、従来の未圧縮状態の嵩
高の繊維構造物を輸送した後に、加熱圧縮して繊維成型
品(以下、単に従来品という)とした場合と遜色のない
ものであった。
【0072】実施例2 実施例1において、ポリエステル系合成繊維の繊維構造
物における配合比率を60重量%とする代わりに40重
量%とし、中空繊維の繊維構造物における配合比率を2
0重量%とする代わりに40重量%とした以外は、実施
例1と同様にして、嵩高の繊維構造物を製造し、該嵩高
の繊維構造物を設定厚さ30mm(実際には厚さ33.
0mm、面密度0.767kg/m2 )で加熱圧縮し、
圧縮固定されてなる繊維構造物を形成し、その後溶融し
て嵩を回復させ、その戻り厚さを調べた。得られた結果
を表1に示す。
【0073】次に嵩回復した繊維構造物(180℃のも
の)を実施例1と同様に圧縮成型して所望の繊維成型品
を得た。この繊維成型品は従来品と遜色なかった。
【0074】実施例3 実施例1において、ポリエステル系合成繊維の繊維構造
物における配合比率を60重量%とする代わりに40重
量%とし、また中空繊維の繊維構造物における配合比率
を20重量%とする代わりに40重量%とし、さらに圧
縮固定されてなる繊維構造物が厚さ30mm、面密度
0.800kg/m2 程度になるように嵩高の繊維構造
物を製造する代わりに厚さ30mm、面密度1.200
kg/m2程度になるように嵩高の繊維構造物を製造し
た以外は、実施例1と同様にして、嵩高の繊維構造物を
製造し、該嵩高の繊維構造物を設定厚さ30mm(実際
には厚さ35.0mm、面密度1.233kg/m2
で加熱圧縮し、圧縮固定されてなる繊維構造物を形成
し、その後溶融解除して嵩回復させ、その戻り厚さを調
べた。得られた結果を表1に示す。
【0075】次に嵩回復した繊維構造物(180℃のも
の)を実施例1と同様に圧縮成型して所望の繊維成型品
を得た。この繊維成型品は従来品と遜色なかった。
【0076】実施例4 実施例1において、ポリエステル系合成繊維の繊維構造
物における配合比率を60重量%とする代わりに40重
量%とし、また中空繊維の繊維構造物における配合比率
を20重量%とする代わりに40重量%とし、さらに圧
縮固定されてなる繊維構造物が厚さ30mm、面密度
0.800kg/m2 程度になるように嵩高の繊維構造
物を製造する代わりに厚さ30mm、面密度1.400
kg/m2程度になるように嵩高の繊維構造物を製造し
た以外は、実施例1と同様にして、嵩高の繊維構造物を
製造し、該嵩高の繊維構造物を設定厚さ30mm(実際
には厚さ35.5mm、面密度1.354kg/m2
で加熱圧縮し、圧縮固定されてなる繊維構造物を形成
し、その後溶融解除して嵩回復させ、その戻り厚さを調
べた。得られた結果を表1に示す。
【0077】次に嵩回復した繊維構造物(180℃のも
の)を実施例1と同様に圧縮成型して所望の繊維成型品
を得た。この繊維成型品は従来品と遜色なかった。
【0078】比較例1 実施例1において、中空繊維を用いる代わりに融点26
0℃、繊度6デニール、繊維長54mmの捲縮加工した
ポリエステル系合成繊維を用いた以外は、実施例1と同
様にして、嵩高の繊維構造物を製造し、該嵩高の繊維構
造物を設定厚さ30mm(実際には厚さ29.3mm、
面密度0.847kg/m2 )で加熱圧縮し、圧縮固定
されてなる繊維構造物を形成し、その後溶融して嵩を回
復させ、その戻り厚さを調べた。得られた結果を表1に
示す。
【0079】次に嵩回復した繊維構造物(180℃のも
の)を実施例1と同様に圧縮成型して所望の繊維成型品
を得た。この繊維成型品は、従来品に比して嵩回復が少
ないため、凹凸形状のうち凸部分の寸法が不十分であ
り、製品としての規格に適合しない箇所が有ることが確
認された。
【0080】
【表1】
【0081】上記表1に示すように、各圧縮固定されて
なる繊維構造物ごとに適正な熱処理温度が存在し、該構
成成分の違いによって、その嵩回復性能に差が生じるこ
とが確認された。したがって、目的とする繊維成型品の
使用用途における製品の機能特性、品質基準等の要求を
勘案すると共に、本発明による嵩回復における繊維構造
物の嵩回復性に関しても、各繊維を選択するうえで重要
な要素となり得るものであるといえる。なお、一定の熱
処理温度以上では、むしろ嵩の高さがへたる現象を起こ
すことが観察されたが、これは繊維のもつバインダー繊
維の鞘以外の他の繊維成分の融点に接近ないし融点を越
える熱処理温度を付加することとなるために、こうした
繊維がその強度を失うことに因ると考えられるものであ
る。
【0082】また、実施例1と比較例1での圧縮固定さ
れてなる繊維構造物の各熱処理温度における該繊維構造
物の戻り厚さを表すグラフを図1に示す。図1より、中
空繊維を必須構成要件とする本実施例では、中空繊維を
用いていない比較例1(その他の条件は同一)に比し
て、極めて優れた嵩回復性を示すことが確認された。
尚、ここでは省略しているが、他の実施例2〜4の場合
にも、中空繊維の代わりにポリエステル系合成繊維を用
いた以外は、それぞれ実施例2〜4と同じ条件で得られ
た圧縮固定されてなる繊維構造物において、各熱処理温
度における該繊維構造物の戻り厚さを比較した場合に、
まったく上記と同様の結果が得られた。
【0083】
【発明の効果】本発明に係る繊維構造物では、直方体や
立方体など画一化ないし定型化された簡易形状に圧縮加
工することができ、わざわざ凹凸形状など複雑な形状を
もつ最終的な繊維成型品の形状に圧縮加工する必要がな
いという利点を有し、さらに極めて優れた取扱性、輸送
性および保存性を有するものである。
【0084】また、本発明に係る繊維成型品では、上記
の簡便な形状の圧縮固定されてなる繊維構造物を従来の
加熱圧縮による成型加工と同様に、加熱して嵩を回復さ
せ、これを引き続いて従来と同様に型などを用いて圧縮
成型加工を施すことで、所望の凹凸形状を有する複雑な
形状を持つ繊維最終的な繊維成型品を製造することがで
きるものであり、例えば、マットレスなどの寝装具、家
具、自動車用内装品などの各種クッション材、ソファー
や椅子などの背もたれなどをはじめとして種々の断熱材
や吸音材などの用途に広範囲に適用することができるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1および比較例1での圧縮固定されて
なる繊維構造物の各熱処理温度における該繊維構造物の
戻り厚さを表すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芝原 和彦 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三菱化学株式会社内 (72)発明者 松川 浩 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三菱化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−220355(JP,A) 特開 平5−222658(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 B68G 1/00 - 15/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル系合成繊維(ただし、未延
    伸ポリエステルおよび低融点ポリエステル樹脂からなる
    全溶融繊維並びに該溶融繊維成分を一部に用いた複合繊
    維を除く)およびバインダー繊維を主要構成部材とする
    繊維構造物において、 構成部材として中空繊維が10〜40重量%の範囲で
    合され、かつ、 バインダー繊維によって圧縮状態で固定されていること
    を特徴とする繊維構造物。
  2. 【請求項2】 前記繊維構造物が、面密度1.5kg/
    以下に圧縮状態で固定されていることを特徴とする
    請求項1に記載の繊維構造物。
  3. 【請求項3】 前記中空繊維が、繊度1〜20デニー
    ル、中空率5〜50%の範囲である請求項1または2
    記載の繊維構造物。
  4. 【請求項4】 前記繊維構造物への前記ポリエステル系
    合成繊維の配合比率が、20〜80重量%の範囲である
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の
    繊維構造物。
  5. 【請求項5】 前記ポリエステル系合成繊維の繊度が、
    1〜20デニールの範囲である請求項1ないしのいず
    れかに記載の繊維構造物。
  6. 【請求項6】 前記繊維構造物への前記バインダー繊維
    の配合比率が、10〜40重量%の範囲であることを特
    徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の繊維構造
    物。
  7. 【請求項7】 前記バインダー繊維の繊度が、1〜20
    デニールの範囲であることを特徴とする請求項1ないし
    のいずれかに記載の繊維構造物。
  8. 【請求項8】 前記バインダー繊維が、芯鞘構造を有
    し、該鞘部材成分が該鞘部材以外の繊維部材のいずれの
    溶融温度よりも低い溶融温度をもつことを特徴とする請
    求項1ないしのいずれかに記載の繊維構造物。
  9. 【請求項9】 前記繊維構造物を構成する繊維の少なく
    とも1種を捲縮することを特徴とする請求項1ないし
    のいずれかに記載の繊維構造物。
  10. 【請求項10】 請求項1ないしのいずれかに記載の
    繊維構造物を、 前記バインダー繊維の鞘部材成分の溶融温度以上でか
    つ、該バインダー繊維の鞘部以外の該繊維構造物を構成
    する繊維ないし繊維部材のいずれの溶融温度よりも低い
    温度で熱処理を施して該鞘部材成分を溶融して嵩を回復
    させ、さらに該熱処理可能な温度で圧縮成型し、 その後、圧縮状態で前記バインダー繊維の鞘部材成分の
    溶融温度より低い温度で冷却して該鞘部材成分を固化す
    ることを特徴とする繊維成型品の製造方法。
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