JP3491187B2 - インクジェット式記録装置による記録方法 - Google Patents
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Description
ザーバに連通する圧力発生室を、印刷データに対応させ
て圧電振動子により圧力変動させてノズル開口からイン
ク滴を吐出させる記録ヘッドを備えたインクジェット式
記録装置、より詳細にはインク滴の吐出技術に関する。
口とリザーバとに連通する圧力発生室と、圧力発生室を
加圧する圧力発生手段とからなるインクジェット式記録
ヘッド用い、インクジェット式記録ヘッドに印刷データ
に対応した駆動信号を供給してノズル開口からインク滴
を吐出させて記録媒体にドットを形成するもので、色の
異なるインクを用いることにより簡単にフルカラー印刷
を行うことができる。このようなグラフィック印刷を可
及的に写真に近い品質で印刷するためには、インク滴に
より形成するドットのサイズを可及的に小さくする必要
がある。このようなドットの微小化には、ノズル開口の
開口面積を小さくすることが有効ではあるが、微小な開
口を高い精度で穴開け加工することには自ずと限界があ
る。
収縮させることができる縦振動モードの圧電振動子を圧
力発生手段に使用したインクジェット式記録ヘッドを用
いた記録装置においては、特公平4-36071号公報に見ら
れるようにメニスカスの運動エネルギを利用してノズル
開口で決まるサイズよりも小さな断面積のインク滴を発
生させる技術が提案されている。
よりインク充填時よりも速い速度で膨張させ、ノズル開
口近傍のメニスカスを圧力発生室側に急速に引込む。こ
れによりメニスカスの中央線上の表面に共振により上下
動するインクの波動を発生させ、メニスカスの盛り上が
り時に、メニスカス本体から一部が分断してノズル開口
からしぶきとなって記録媒体に向けて飛行する。これに
より、ノズル開口できまるインク滴よりもはるかに小さ
なサイズ、具体的には開口径51乃至56μmのノズル
開口から最大断面積が10乃至15μm程度、つまりノ
ズル開口径の20%程度のインク滴を吐出させることが
できる。
利用できるインク滴のサイズがノズル開口のサイズに比
較してあまりにも小さいため、隣接するノズル開口から
吐出されたインク滴による記録媒体上のドットの間に間
隙が生じたり、またノズル開口と記録媒体との1乃至2
mm程度の間隙を所定の経路で飛翔させるにはインク滴
が保持できる運動エネルギがあまりにも小さく、飛行曲
がり等が生じ、さらにはインク滴を発生させる波動がイ
ンクの粘度に大きく依存するため、温度などに大きく影
響されて安定に吐出させることができない等の数多くの
問題を抱えている。本発明はこのような問題に鑑みてな
されたものであってその目的とするところは、ノズル開
口等の機械的サイズよりも小さなインク滴を安定に吐出
させることができるインクジェット式記録ヘッドを用い
た記録装置の記録方法を提案することである。
するために本発明においては、インク供給口を介してリ
ザーバに連通してインクの供給を受け、またノズル開口
からインク滴を吐出する圧力発生室を、圧電振動子を変
位させて前記ノズル開口のメニスカスを前記圧力発生室
側に引込む第1工程と、第1工程による前記圧力発生室
の容積を一定時間保持する第2工程と、前記第1工程よ
りも前記圧電振動子を大きく変位させて前記ノズル開口
のメニスカスの中央領域を前記ノズル開口の壁面側の領
域よりも選択的に前記圧力発生室側に引込む第3工程
と、第3工程により移動する前記メニスカスの中央領域
が前記ノズル開口側に反転する時点で前記圧電振動子を
変位させて前記圧力発生室をインク滴を吐出させること
が可能な速度で収縮させる第4工程とを備えるようにし
た。
き込み、次に圧力発生室の容積を一定に保持してから急
激に引込んで、メニスカスの中央領域を相対的に大きく
圧力発生室側に変位させ、メニスカスの中央領域の変位
がノズル開口側に反転する時点で、圧力発生室の容積を
収縮させて慣性流を発生させる。これにより、慣性流が
メニスカスの中央領域に集中的に作用して中央領域だけ
を大きな速度で押し出してノズル開口の直径よりも細い
インク滴を印字に適した速度で安定に吐出させる。
した実施例に基づいて説明する。図1は、本発明のプリ
ンタの印刷機構周辺の構造を示すものであって、図中符
号1は、キャリッジで、タイミングベルト2を介してキ
ャリッジ駆動モータ3に接続されていて、ガイド部材4
に案内されて記録用紙5の紙幅方向に往復動し、その位
置をリニアエンコーダ6により検出可能に構成されてい
る。
面、この実施例では下面に後述するインクジェット式記
録ヘッド7、8が取り付けられ、キャリッジ1に搭載さ
れているインクカートリッジ9、10からインクの補給
を受けてキャリッジ1の移動に合わせて記録用紙5にイ
ンク滴を吐出してドットを形成して、記録用紙に画像や
文字を印刷する。
12が設けられていて、休止中に記録ヘッド7、8のノ
ズル開口を封止する一方、印刷動作中に行なわれるフラ
ッシング動作による記録ヘッド7、8からのインク滴を
受けるように構成されている。なお、図中符号13は、
クリーニング手段を、また14は紙送りモータをそれぞ
れ示す。
すものであって、図中符号15は、流路形成基板で、中
央領域には後述するノズル開口20の配列ピッチに合わ
せて圧力発生室16、16、‥‥を複数列形成し、また
これらの周囲に圧力発生室16にインクを供給するリザ
ーバ17と、各圧力発生室16とリザーバ17を接続す
るインク供給口18を形成して構成されている。
るノズルプレート19は、中央領域に各圧力発生室16
の一端に対向するようにノズル開口20が形成されてい
る。
る弾性板21は、各圧力発生室16の中央領域に後述す
る圧電振動子22に当接して圧電振動子22の変位を、
各圧力発生室16に効率的に伝達する比較的剛性が大き
なアイランド部23と、これの周囲を取り囲むように弾
性変形可能な薄肉部24が形成されている。この薄肉部
24は、図5に示したようにアイランド部23の両側
と、ノズル開口側とインク供給側との領域24a、24
bにも形成されていて、ノズル開口近傍とインク供給口
近傍とに積極的にコンプライアンスを与えるように構成
されている。
したように複数の圧電振動子22を圧力発生室16の配
列ピッチに合わせて、その一端を金属やセラミック等の
剛性の高い材料で構成された固定基板26に固定し、ま
た両端に位置決め部材や導電パターン形成材として機能
するダミーの振動子27、27を配して構成されてい
る。
以外でラップするように複数の電極29、30をチタン
酸ジルコン酸鉛等の圧電材料28を挟んでサンドイッチ
状に配し、電極29、30がラップする領域を活性領
域、つまり軸方向に伸縮に関与する領域となるように構
成されている。
ー31により各圧電振動子間で並列接続された上でダミ
ーの振動子27に形成された導電パターンを介して固定
基板26の表面に形成された導電パターン32に接続さ
れ、また他方の電極30は各圧電振動子毎に独立するよ
うに形成された導電パターン33に接続され、これら導
電パターン32、33を介してリードフレーム34によ
り後述する駆動回路に接続されている。
15、及び弾性板21は、一体に積層されて流路ユニッ
トに構成された上で、高分子材料等により構成されたヘ
ッドフレーム35の開口部に固定され、また圧電振動子
ユニット25は、各圧電振動子22の先端を各アイラン
ド部23に接着剤で固着するとともに、固定基板26を
フレーム35に接着剤により固定して記録ヘッドに纏め
られている。フレーム35には、図示しないインクタン
クに接続するインクチューブ36が引込まれていて、そ
の先端が弾性板21に形成されたインク導入口37に接
続されている。これにより外部からリザーバ17にイン
クを供給することができる。
ト式記録ヘッドの特性について説明する。細い流路を加
速されながらインクが流れると、インクの質量がイナー
タンスとして作用する。イナータンスMは、インクの密
度をρ、流路の断面積、長さをそれぞれS、Lとする
と、
り決まる形状係数で、断面が円形、もしくは縦横比が1
に近いものではおよそ1.3となる。一方、圧力発生室
16のコンプライアンスCは、インクの圧縮性によるコ
ンプライアンス成分Cinkが作用する。この成分Cink
は、
率で、水系のインクでは約0.45(GPa)−1であ
り、またVinkは圧力発生室16の容積を表す。さら
に、圧力発生室16は周囲を弾性部材で囲われているた
め、これらの弾性変形分もコンプライアンスとして作用
するが、これらは形状に大きく支配され、かつ圧力発生
室は複雑な形状であるため、通常、有限要素法等により
実験的に求められる。
ヘッドは、圧電振動子22による加圧領域の他に、これ
から離れたノズル開口20側の領域、及びインク供給口
側の領域にもそれぞれ薄肉部24a、24bを形成し、
かつ圧力発生室16自体のイナータンスMc、及びイン
ク供給口18のイナータンスMsが、ともにノズル開口
20のイナータンスMnより大きくなるように構成され
ている。
m、ストレート部の長さが15μmで、これにテーパ部
が形成されていて、イナータンスMnが8×10の7乗
(kg/mの4乗)であり、また、インク供給口18
は、断面が40μm×50μmの矩形で、長さが300
μmであるから、そのイナータンスMsは21×10の
7乗(kg/mの4乗)であり、さらに圧力発生室16
は、断面が40×100μmの矩形で、長さが500μ
mであるから、そのイナータンスMcは、25×10の
7乗(kg/mの4乗)である。
ル開口側の薄肉部24aによる成分がCc1≒4×10の
マイナス21乗(mの3乗/Pa)、インク供給口側の
薄肉部24bによる成分がCc2=8×10のマイナス2
1乗(mの3乗/Pa)となる。
おける圧電振動子の変位と、これに対応して生じるイン
クの流れとは、一般的に電気回路にアナロジーさせて考
察されているので、上記記録ヘッドを電気回路に相似さ
せると、静的には図7(a)に示したようにノズル開口
20、圧力発生室16、及びインク供給口18の各イナ
ータンスMn、Mc、Msの直列回路と、各イナータンス
の接続点にノズル開口側の薄肉部24aによるコンプラ
イアンスCc1と、インク供給口側の薄肉部24bのコン
プライアンスCc2をそれぞれ接続した回路と考えること
ができる。
大きくした場合には、インク供給口18の薄肉部24b
まで振動するから、ノズル開口側及びインク供給口側の
コンプライアンスCc1、Cc2がともに流体回路全体でも
コンプライアンスとして機能する。この振動モードでは
ヘルムホルツ共振周波数が160kHzとなるから、メ
ニスカスは6μsの固有振動周期を持つことになる。
くした場合には、ノズル開口20側の薄肉部24aだけ
が振動し、これによるインクの流れは、この薄肉部24
aによるコンプライアンスCc1よりも大きく形成されて
いるインク供給口側のコンプライアンスCc2が作用する
ため、インク流はインク供給口側ではここのコンプライ
アンスCc2により大部分が吸収されてしまう。
口側は短絡されたのと同様となり、図7(b)に示した
ように圧力発生室16のイナータンスMcとノズル開口
20のイナータンスMnの直列回路に、これらの接続点
にノズル開口側のコンプライアンスCc1を接続したもの
と等価となる。この振動モードではヘルムホルツ共振周
波数が320kHzとなるから、メニスカスは3μsの
固有振動周期を持つことになる。
室16の膨張、収縮により生じたインク流は、固有振動
周期6μsと、固有振動周期3μsとの2つの振動モー
ドの合成された運動を行うことになる。このため、圧力
発生室16の薄肉部24が関与するインク流路系の上記
2つの振動モードよりも短い周期、この実施例では3μ
s以下で、インク流路系の2つの振動モードの周期より
も短い時間の間、この実施例では3μs以下の期間、圧
力発生室16を容積変化させると、メニスカスに上記2
つの振動モードに対応した運動を生じさせることができ
る。
子22は、長さ1.5mmで、軸方向の固有振動周波数
は450kHzで、周期が2.2μsであり、また軸方
向の変位を利用するため、たわみ振動を利用する場合に
比較してその剛性が極めて大きく、圧力発生室16のア
イランド部23の剛性の10倍以上となる。したがっ
て、圧電振動子22の変位を圧力発生室16に時間遅れ
なく伝達することができる。このため、圧電振動子22
の固有振動周波数よりも低い周波数の領域にメニスカス
の振動のピークを観測することができた。
置の一実施例を示すものであって、図中符号40は、制
御手段で、ホストからの印字信号(図9 I)に同期し
て出力端子41、42から充電パルス(図9 II)及び
放電パルス(図9 III)を出力するように構成されて
いる。
ベースに入力してNPN型トランジスタ43が導通する
と、PNP型トランジスタ44、45及び抵抗46によ
り構成された定電流回路47が作動し、コンデンサ48
を電圧V1までメニスカスを引込むの適した一定電流Ir
aで充電する。
ると、NPN型トランジスタ49、50及び抵抗51か
らなる定電流回路52により、コンデンサ48の電荷を
零電圧まで一定電流Ifaで放電させる。なお、図中符号
53、54により示すNPN型トランジタは電流増幅器
を構成しており、圧電振動子22を駆動するに適した電
流を出力端子55に出力する。
する。先ず、ノズル開口のように狭い間隙を有する管路
や2枚の平行平板間に満たされた流体に振動的な圧力勾
配α
説する(例えば今井功著、裳華房出版の流体力学(前
編)参照)。圧力振動をP、圧力振動の角周波数をω、
流路が円管を例に採ると円管の直径をd、流体の動粘性
係数をυとし、
たように管壁から所定の厚さδの範囲内では、粘性が支
配的であり、圧力勾配と同位相の流れが発生し、また境
界層より外側、この図では中央よりの領域では、流れは
慣性の影響を大きく受けて一体となって振動するもの
の、圧力勾配の時間的変化、つまり振動の位相に対して
π/2遅れた位相を持つことになる。
は、管壁から
m、インクの動粘性係数υが2×10−6m2/s、圧力
振動の固有周期を10μsとすると、境界層の厚さδは
およそ2.5μmとなる。
すると、制御手段40は、印字信号(図9 I)にタイ
ミングを合わせて時間幅t11の充電信号(図9 II)を
端子41に出力する。圧電振動子22は定電流回路47
による一定電流Iraで時間t11の間、一定の勾配で電圧
V1まで急速に充電され、一定速度で収縮する。これに
より圧力発生室16は、急速に膨張してノズル開口20
に静止しているメニスカスmの内(図11 I)、ノズ
ル開口20の壁面から前述の粘性が支配的な領域の厚さ
δよりも中央領域が相対的に大きく圧力発生室側に急激
に引込む(図11 II)。
22を充電した段階でこの電圧V1を時間t12だけ保持
し、圧力発生室16の容積変化を可及的に防止する。一
方、メニスカスは、以後自己の固有振動周期にしたがっ
てさらに圧力発生室側に移動するが、その過程で境界層
近傍には外向きの流れ(図中 矢印A)が生じ、また中
央部分は依然として圧力発生室側に引込まれる(図11
III)。
ズル開口側に押し出され、中央部ほど大きく圧力発生室
側に変位したメニスカスとなり、さらにノズル開口20
の中央領域ではインクが少なくイナータンスが境界層に
比較して小さいため、ノズル開口20の中央領域だけが
選択的に圧力発生室側に急速に引込まれる(図11I
V)。
発生室側に大きく引込まれた段階で、制御手段40は端
子42から放電パルス(図9 III)を出力する。圧電
振動子22は定電流回路52による一定電流Ifaで時間
t13の間放電され、一定速度で急激に伸長して圧力発生
室16を一定速度で収縮させる。
6で加圧されたインクの流れ、つまり慣性流は、圧力発
生室側に近いメニスカスmの中央領域mcに集中的に作
用し(図11 V)、メニスカスmの中央領域mcだけを
選択的に非常に大きな速度で押し出す(図11 VI)。
このようにメニスカス自体の運動だけに頼ること無く、
中央領域を積極的に加圧するため、ノズル開口20の直
径よりも細いインク滴を印字に適した速度で安定にノズ
ル開口20から吐出させることができる。
段階で、次の印字信号の入力を待ち、印字信号が入力す
る度に前述の工程を繰返してドットを形成する。
心にして図12に基づいて詳説する。第1のステップに
より圧力発生室16が急激に膨張すると、前述したよう
にノズル開口20近傍のメニスカスは、2つの振動モー
ドの重畳による振動形態で圧力発生室側に引込まれる。
そしてそれぞれの固有振動周期、つまり3μs及び6μ
sにより圧力発生室側への移動と、ノズル開口側への移
動を繰返す。
る2つの振動モードの重ね合わせでメニスカスが励振を
受けるため、メニスカスが圧力発生室側に引込まれる
と、短い周期(3μs)の振動に起因するメニスカスの
戻り(P1)が始まった後、再びメニスカスが圧力発生
室側に引込まれ、ついには最大深度(P2)に到達す
る。
μs)の振動も重なるから、2つのモードの振動が同期
し、メニスカスはノズル開口20に向けて急速に戻り始
める。したがって、この時点にタイミングを合わせて放
電パルス(図9 III)を出力して圧力発生室16を急
激に収縮させると、前述の断面積の小さなインク滴k
(図11)をより高速度で吐出させることができる。
は、メニスカス全体の振動を周期の異なる2つの振動が
支配していて、かつそれぞれの周期が3μsと6μsと
いうように整数倍となるように構成されているため、2
つのモードによるメニスカスの振動成分が、メニスカス
がノズル開口側に戻る2回目の時点、つまり最大深度
(P2)に到達した以後からインク吐出までの間は同期
し、メニスカスが効率的にノズル開口側に加速される。
電時間t11とホールド時間t12との和(t11+t12)
が、メニスカスが最大振動(P2)に到達する時点に一
致するように設定し、また圧電振動子22の伸長時間、
つまり放電時間t14を振動モードの短い方の周期、この
実施例では3μsよりも短いか、望ましくはこの周期に
一致させて、残留振動の発生を防止する。
発明の記録ヘッドにおいては、インク重量3μg乃至8
μgのインク滴が5m/s乃至10m/sの速度で吐出
し、本インクジェット式記録ヘッドを通常の方法により
駆動した時のインク滴の飛行速度を維持したまま、イン
ク量だけを60乃至80%に低下させることができた。
生室16を収縮させるタイミングを確認するため、イン
ク供給口側のコンプライアンスCc2だけを、前述の実施
例のほぼ2倍程度の14×10のマイナス21乗(mの
3乗/Pa)とし、ノズル開口側の薄肉部24aに起因
するメニスカスの固有振動周期を3μとする一方、イン
ク供給口側の薄肉部24bによるメニスカスの固有振動
周期を8μsと大きくしたインクジェット式記録ヘッド
を製作して同様の試験を行なった。
ニスカスの2度目のノズル開口側への移動時P3にタイ
ミングを合わせて圧力発生室16を前述と同様に急速に
収縮させると、前述と同様にノズル開口20の口径より
も断面積の小さなインク滴が印刷に適した高速度で吐出
した。
にコンプライアンスが増大されたインク供給口側の薄肉
部24bに起因する低い周波数の成分の戻り時(Q1)
にタイミングを合わせて圧力発生室16を収縮させて
も、メニスカスの運動を加速するだけで、印刷に適した
インク滴を形成するまでには至らなかった。
クジェット式記録ヘッドの他の実施例を示すものであっ
て、この実施例では、ノズル開口側の薄肉部24aと圧
電振動子22の変位を直接受ける領域との間、及びイン
ク供給口側の薄肉部24bと圧電振動子22の変位を直
接受ける領域との間に、絞り部60、61が形成されて
おり、ノズル開口側のコンプライアンスCc1及びイン
ク供給口側のコンプライアンスCc2を発生する領域6
2、63と、圧電振動子22の加圧力が作用する領域6
4のコンプライアンスとを可及的に分離して、前述の2
つの振動モードを積極的に発現させるように構成されて
いる。
例を示すものであって、この実施例においては圧力発生
室70のイナータンスMc’をノズル開口20のイナー
タンスMnとほぼ同一となるように調整し、メニスカス
が実質的に単一の振動で運動するように構成されてい
る。そして、圧力発生室70を構成する振動板21の薄
肉部71の可撓性を調節して、メニスカスが最適な固有
振動周波数を持つように構成されている。
6に示す等価電気回路として表すことができ、圧力発生
室16のヘルムホルツ共振周波数は、
つまり5μs程度となる。なお、圧電振動子22は前述
と同様に構成されていて、固有振動周波数が450kH
zで、周期が約2.2μsである。
回路の一実施例を示すものであって、図中符号80は、
制御手段で、ホストからの印字データの基づいて印字信
号に同期して出力端子81、82、83から図18に示
した第1の充電パルス(II)、第2の充電パルス(II
I)、及び放電パルス(IV)を出力するように構成され
ている。
84のベースに入力してNPN型トランジスタ84が導
通すると、PNP型トランジスタ85、86及び抵抗8
7により構成された定電流回路88が作動し、コンデン
サ89を第2の電圧V2までメニスカスを引込むの適し
た一定電流Iraで充電する。
パルスがNPN型トランジスタ90のベースに入力して
NPN型トランジスタ90が導通すると、PNP型トラ
ンジスタ91、92及び抵抗93により構成された定電
流回路94が作動し、コンデンサ89をメニスカスを急
速に引込むのに適した一定電流Irbで電圧V2から電圧
V1まで追い充電し、以後所定時間この電圧V1を維持さ
せる。
ると、NPN型トランジスタ95、96及び抵抗97か
らなる定電流回路98がコンデンサ89の電荷を零電圧
まで、インク滴を吐出させるのに適した一定電流Ifaで
放電させる。なお、図中符号99、100により示すN
PN型トランジタは電流増幅器を構成しており、圧電振
動子を駆動するに適した電流を出力端子101に出力す
る。
て説明する。ホストから印字指令が制御手段80に出力
すると、制御手段80は、印字信号(図18 I)にタ
イミングを合わせて時間幅t21の第1の充電信号(図1
8 II)を端子81に出力する。圧電振動子22は定電
流回88による一定電流Iraで時間t21の間、一定の勾
配で電圧V2まで充電され、一定速度で収縮して圧力発
生室16を一定速度で膨張させる。
るメニスカスm(図11 I)が圧力発生室側に急激に
引込まれ、メニスカスmは自己の固有振動周波数で振動
を開始する。このとき前述したようノズル開口20の壁
面から前述の粘性が支配的な領域の厚さδよりも中央領
域が選択的に圧力発生室側に大きく引込まれる(図11
II)。
22を充電した段階でこの電圧V2を時間t22だけ保持
し、圧力発生室16の容積変化を可及的に防止する。メ
ニスカスは、圧力振動が負から正に反転すると、その境
界層の部分に外向きの流れ(図中 矢印A)が生じ、ま
た中央部分は依然として圧力発生室側に引込まれ、時間
の経過とともに境界層部分がノズル開口側に押し出さ
れ、中央部ほど大きく圧力発生室側に変位したメニスカ
スとなる(図11 III)。
の充電パルス(図18 III)を出力する。圧電振動子
22は、定電流回路94による一定電流Irbで時間t23
の間、一定の勾配で電圧V1まで充電され、一定速度で
大きく収縮して圧力発生室16をさらに一定速度で膨張
させる。これにより、ノズル開口20の中央領域ではイ
ンクが少なくイナータンスが境界層に比較して小さいた
め、ノズル開口20の中央領域mcだけが選択的に圧力
発生室側に急速に引込まれる(図11 IV)。
生室側に大きく引込まれた段階で、制御手段80は端子
83から放電パルス(図18 IV)を出力する。圧電振
動子22は定電流回路98による一定電流Ifaで時間t
25の間放電され、一定速度で大きく急激に伸長して圧力
発生室16を一定速度で収縮させる。
ンクの流れ、つまり慣性流は、圧力発生室側に近いメニ
スカスの中央領域mcに集中的に作用し(図11 V)、
メニスカスの中央領域だけを非常に大きな速度で押し出
す(図11 VI)。このようにメニスカス自体の運動だ
けに頼ること無く、中央領域を積極的に加圧するため、
ノズル開口20の直径よりも細いインク滴を印字に適し
た速度で安定にノズル開口20から吐出させることがで
きる。
段階で、次の印字信号の入力を待ち、印字信号が入力す
る度に前述の工程を繰返してドットを形成する。
テップ(図11 I)としてのメニスカスの引込みは、
メニスカスとノズル開口20の壁面との間に境界層を発
生させるための工程であるから、その引込み量を少なく
するのが望ましく、これに対して第2ステップ(図11
IV)としてのメニスカスの中央部のイナータンスを動
的に小さくし、かつ引き続くインクの慣性流の作用を大
きく作用させるためのものであるから、その引込み量
は、大きい程効果がある。したがって圧電振動子22の
充電電圧V2と、追い充電電圧V1−V2との電圧比は、
1:3、好ましくは1:4、望ましくは1:6以上にな
るように設定する。
の立ち上がり時間t23は、圧電振動子22の固有振動周
期よりも短い方が、一層効果的であることを実験的に確
認した。このため、本実施例では時間t21+t23を2μ
s乃至3μsに設定されている。また、インク滴吐出の
ための立ち下がり時間t25は、前述の実施例と同様に圧
電振動子22の固有振動周期以下、望ましくは一致させ
ると、残留振動を防止することができる。
トとすると、第1段階の充電電圧V2を3乃至5ボルト
に、またインク滴吐出のための立ち下がり時間t25を2
μs乃至4μsに設定して記録ヘッドを駆動すると、イ
ンク重量が5ng乃至7ng程度のインク滴を速度10
m/s乃至15m/s程度で吐出させることができた。
して圧電振動子22を充電する従来の駆動方法による
と、インク滴のインク量には大きな変化が無いものの、
速度が4m/s乃至8m/sと約1/2にまで低下し
た。
端と、第2の立ち上がりの始端との時間差を規定するホ
ールド時間t22も重要な要素で、圧力発生室70のヘル
ムホルツ共振周波数によるメニスカスの振動の周期(本
実施例では5μs)の約1/2(2μs乃至3μs)に
設定することにより、インク滴のインク量を減少させて
インク滴の飛行速度を増大させることができる。
設定すると、インク滴のインク量が増大するばかりでな
く、飛行速度までが低下して初期の目的を達成すること
が不可能となる。
カスの引込み後、メニスカスの振動の1周期よりも短い
時間内に第2段階のメニスカスの引込みを実行すること
が必須の要件となる。
振動子22の変位によるメニスカスの中央部の位置を示
す線図で、第1段階の充電による圧電振動子22の縮小
によりメニスカスが引込まれる。そしてこの引込み量よ
りも少ない変位量で復帰した時点で圧電振動子22を大
幅に縮小させてメニスカスを大きく引込み、この引込み
によるメニスカスの振動が反転してノズル開口20に向
かう時点で、圧電振動子22を放電させてインク滴を吐
出させる。
生室に最も近づき、かつノズル開口側に向かう時点で、
圧力発生室16が加圧されるから、インク滴のインク量
の減少させ、かつ飛行速度を落とすことなく飛翔させる
ことができる。
子の長手方向を変位方向とする圧電振動子に例を採って
説明したが、図20に示したように、インク供給口11
0を介してリザーバ111と、ノズル連通孔112、1
13を介してノズル開口114に連通する圧力発生室1
15の一部を弾性変形可能な蓋体116により封止し、
蓋体116の表面にたわみモードで変位する圧電振動子
117を貼着したり、また圧電材料をスパッタリングに
より形成した記録ヘッドに適用しても同様の作用を奏す
る。
ニスカスの中央領域だけを効果的、選択的に加圧して、
インク量の少ないインク滴を印刷に適した飛行速度で、
かつインクの粘度による影響を可及的に少なくして吐出
させることができる。
記録機構を中心にして示す図である。
視図である。
について示す図である。
の一実施例を示す図である。
示す斜視図である。
の構造を拡大して示す図である。
の流体特性をモデル化して示す図である。
を示す回路図である。
生する2つの異なる流体特性の範囲を示す図である。
動方法によるメニスカスの運動を模式的に示す図であ
る。
の位置の時間的変化を示す線図である。
示すメニスカスの中央部の位置の時間的変化を示す線図
である。
記録ヘッドの他の実施例を、圧力発生室近傍を拡大して
示す断面図である。
ト式記録ヘッドの他の実施例を、圧力発生室近傍を拡大
して示す断面図である。
す図である。
の一実施例を示す回路図である。
変位に対するメニスカスの中央部の変位の時間的変化を
示す線図である。
ト式記録ヘッドの他の実施例を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 インク供給口を介してリザーバに連通し
てインクの供給を受け、またノズル開口からインク滴を
吐出する圧力発生室を、圧電振動子を変位させて前記ノ
ズル開口のメニスカスを前記圧力発生室側に引込む第1
工程と、第1工程による前記圧力発生室の容積を一定時
間保持する第2工程と、前記第1工程よりも前記圧電振
動子を大きく変位させて前記ノズル開口のメニスカスの
中央領域を前記ノズル開口の壁面側の領域よりも選択的
に、かつ前記第1工程よりも強く前記圧力発生室側に引
込む第3工程と、第3工程により移動する前記メニスカ
スの中央領域が前記ノズル開口側に反転する時点で前記
圧電振動子を変位させて前記圧力発生室をインク滴を吐
出させることが可能な速度で収縮させる第4工程とから
なるインクジェット式記録装置による記録方法。 - 【請求項2】 第1工程、及び第3工程の引込み時の前
記圧電振動子の各変位量の比が、1対3乃至1対6であ
る請求項1に記載のインクジェット式記録装置による記
録方法。 - 【請求項3】 第1工程、第3工程、及び第4工程にお
ける前記圧電振動子の変位時間が、前記メニスカスの固
有振動の周期以下である請求項1に記載のインクジェッ
ト式記録装置による記録方法。 - 【請求項4】 外部からインクの供給を受けるリザーバ
と、一部が弾性変形可能な蓋材により封止されて容積変
化によりインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐
出させる圧力発生室と、前記リザーバと前記圧力発生室
とを接続するインク供給口と、前記蓋材を弾性変形させ
る圧電振動子とを備え、前記圧力発生室自体のイナータ
ンスが、前記ノズル開口のイナータンスと実質的に同一
となるように設定され、前記ノズル開口のメニスカスが
実質的に単一の振動モードで運動するインクジェット式
記録ヘッドによる記録方法において、 前記圧力発生室を、前記圧電振動子を変位させて前記ノ
ズル開口のメニスカスを前記圧力発生室側に引込む第1
工程と、第1工程による前記圧力発生室の容積を一定時
間保持する第2工程と、前記第1工程よりも前記圧電振
動子を大きく変位させて前記ノズル開口のメニスカスの
中央領域を前記ノズル開口の壁面側の領域よりも選択的
に前記圧力発生室側に引込む第3工程と、第3工程によ
り移動する前記メニスカスの中央領域が前記ノズル開口
側に反転する時点で前記圧電振動子を変位させて前記圧
力発生室をインク滴を吐出させることが可能な速度で収
縮させる第4工程とからなるインクジェット式記録装置
による記録方法。
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