JP2009226926A - 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 - Google Patents
液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009226926A JP2009226926A JP2008305332A JP2008305332A JP2009226926A JP 2009226926 A JP2009226926 A JP 2009226926A JP 2008305332 A JP2008305332 A JP 2008305332A JP 2008305332 A JP2008305332 A JP 2008305332A JP 2009226926 A JP2009226926 A JP 2009226926A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pressure chamber
- head
- liquid
- ink
- flow path
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/015—Ink jet characterised by the jet generation process
- B41J2/04—Ink jet characterised by the jet generation process generating single droplets or particles on demand
- B41J2/045—Ink jet characterised by the jet generation process generating single droplets or particles on demand by pressure, e.g. electromechanical transducers
- B41J2/04501—Control methods or devices therefor, e.g. driver circuits, control circuits
- B41J2/04588—Control methods or devices therefor, e.g. driver circuits, control circuits using a specific waveform
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/015—Ink jet characterised by the jet generation process
- B41J2/04—Ink jet characterised by the jet generation process generating single droplets or particles on demand
- B41J2/045—Ink jet characterised by the jet generation process generating single droplets or particles on demand by pressure, e.g. electromechanical transducers
- B41J2/04501—Control methods or devices therefor, e.g. driver circuits, control circuits
- B41J2/04581—Control methods or devices therefor, e.g. driver circuits, control circuits controlling heads based on piezoelectric elements
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/135—Nozzles
- B41J2/14—Structure thereof only for on-demand ink jet heads
- B41J2/14201—Structure of print heads with piezoelectric elements
- B41J2/14274—Structure of print heads with piezoelectric elements of stacked structure type, deformed by compression/extension and disposed on a diaphragm
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J29/00—Details of, or accessories for, typewriters or selective printing mechanisms not otherwise provided for
- B41J29/38—Drives, motors, controls or automatic cut-off devices for the entire printing mechanism
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/135—Nozzles
- B41J2/14—Structure thereof only for on-demand ink jet heads
- B41J2002/14475—Structure thereof only for on-demand ink jet heads characterised by nozzle shapes or number of orifices per chamber
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2202/00—Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
- B41J2202/01—Embodiments of or processes related to ink-jet heads
- B41J2202/11—Embodiments of or processes related to ink-jet heads characterised by specific geometrical characteristics
Landscapes
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
- Ink Jet (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Coating Apparatus (AREA)
Abstract
【課題】高粘度液体の吐出を安定化させる。
【解決手段】この液体吐出方法に用いる液体吐出ヘッドは、液体が吐出されるノズルと、液体をノズルから吐出させるために液体に圧力変化を与える圧力室と、圧力室に連通し、圧力室に液体を供給する供給部と、を有する。液体の粘度は、6ミリパスカル秒以上であって15ミリパスカル秒以下の範囲内である。供給部の流路抵抗は、圧力室の流路抵抗以上であって圧力室の流路抵抗の2倍以下である。圧力室の流路長さは、供給部の流路長さ以上であって供給部の流路長さの2倍以下である。
【選択図】図7
【解決手段】この液体吐出方法に用いる液体吐出ヘッドは、液体が吐出されるノズルと、液体をノズルから吐出させるために液体に圧力変化を与える圧力室と、圧力室に連通し、圧力室に液体を供給する供給部と、を有する。液体の粘度は、6ミリパスカル秒以上であって15ミリパスカル秒以下の範囲内である。供給部の流路抵抗は、圧力室の流路抵抗以上であって圧力室の流路抵抗の2倍以下である。圧力室の流路長さは、供給部の流路長さ以上であって供給部の流路長さの2倍以下である。
【選択図】図7
Description
本発明は、液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置に関する。
インクジェットプリンタ等の液体吐出装置には、液体が吐出されるノズルと、ノズルから液体を吐出させるべく、液体に圧力変化を与える圧力室と、リザーバに貯留された液体を圧力室に供給するための供給部とを有する液体吐出ヘッドを有するものがある。この液体吐出ヘッドでは、粘度が水の粘度に近い液体を対象にして、ヘッド内の液体流路における大きさが定められている。
特開2005−34998号公報
近年、インクジェット技術を利用して、一般的なインクよりも粘度の高い液体を吐出する試みがなされている。そして、従来の形状のヘッドでこのような粘度の高い液体を吐出させると、液体の吐出が不安定になるという問題が生じることが判った。例えば、液体の飛行曲がりが生じたり、吐出量の不足が生じたりする場合があることが判った。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一般的なインクよりも粘度の高い液体について、吐出を安定化することにある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一般的なインクよりも粘度の高い液体について、吐出を安定化することにある。
前記目的を達成するための主たる発明は、
液体吐出方法であって、
液体吐出ヘッドから液体を吐出させることを有し、
前記液体の粘度は、
6mPa・s以上であって15mPa・s秒以下の範囲内であり、
前記液体吐出ヘッドは、
前記液体が吐出されるノズルと、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力室と、
前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、
前記供給部の流路抵抗は、
前記圧力室の流路抵抗以上であって前記圧力室の流路抵抗の2倍以下であり、
前記圧力室の流路長さは、
前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出方法である。
本の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
液体吐出方法であって、
液体吐出ヘッドから液体を吐出させることを有し、
前記液体の粘度は、
6mPa・s以上であって15mPa・s秒以下の範囲内であり、
前記液体吐出ヘッドは、
前記液体が吐出されるノズルと、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力室と、
前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、
前記供給部の流路抵抗は、
前記圧力室の流路抵抗以上であって前記圧力室の流路抵抗の2倍以下であり、
前記圧力室の流路長さは、
前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出方法である。
本の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
すなわち、液体吐出方法であって、液体吐出ヘッドから液体を吐出させることを有し、前記液体の粘度は、6mPa・s以上であって15mPa・s秒以下の範囲内であり、前記液体吐出ヘッドは、前記液体が吐出されるノズルと、前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力室と、前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、前記供給部の流路抵抗は、前記圧力室の流路抵抗以上であって前記圧力室の流路抵抗の2倍以下であり、前記圧力室の流路長さは、前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出方法を実現できることが明らかにされる。
このような液体吐出方法によれば、液体の吐出後における残留振動を早期に収束できる。その結果、高い粘度の液体について吐出を安定化できる。
このような液体吐出方法によれば、液体の吐出後における残留振動を早期に収束できる。その結果、高い粘度の液体について吐出を安定化できる。
かかる液体吐出方法であって、前記ノズルの流路抵抗は、前記供給部の流路抵抗よりも大きいことが好ましい。
このような液体吐出方法によれば、圧力室への液体の供給不足を抑制できる。
このような液体吐出方法によれば、圧力室への液体の供給不足を抑制できる。
かかる液体吐出方法であって、前記ノズルのイナータンスは、前記供給部のイナータンスよりも小さいことが好ましい。
このような液体吐出方法によれば、液体に与えた圧力振動によって液体を効率よく吐出することができる。
このような液体吐出方法によれば、液体に与えた圧力振動によって液体を効率よく吐出することができる。
かかる液体吐出方法であって、前記供給部の流路抵抗は、1.73×1012Pa・s/m3以上であって3.46×1012Pa・s/m3以下の範囲内であり、前記圧力室の流路長さは、500μm以上であって1000μm以下の範囲内であることが好ましい。
このような液体吐出方法によれば、10ng前後の量の液体をノズルから吐出させることができる。
このような液体吐出方法によれば、10ng前後の量の液体をノズルから吐出させることができる。
かかる液体吐出方法であって、前記ノズルの直径は、10μm以上であって40μm以下の範囲内であり、前記ノズルの長さは、40μm以上であって100μm以下の範囲内であることが好ましい。
このような液体吐出方法によれば、10ng前後の量の液体をノズルから吐出させることができる。
このような液体吐出方法によれば、10ng前後の量の液体をノズルから吐出させることができる。
かかる液体吐出方法であって、前記圧力室は、前記圧力室の一部を区画し、変形によって前記液体に圧力変化を与える区画部を有することが好ましい。
このような液体吐出方法によれば、圧力室内の液体に効率よく圧力変化を与えることができる。
このような液体吐出方法によれば、圧力室内の液体に効率よく圧力変化を与えることができる。
かかる液体吐出方法であって、前記液体吐出ヘッドは、印加された吐出パルスにおける電位の変化パターンに応じた度合いで、前記区画部を変形させる素子を有することが好ましい。
このような液体吐出方法によれば、圧力室内の液体の圧力を精度良く制御できる。
このような液体吐出方法によれば、圧力室内の液体の圧力を精度良く制御できる。
また、次の液体吐出ヘッドを実現できることも明らかにされる。
すなわち、液体が吐出されるノズルと、前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力室と、前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、前記供給部の流路抵抗は、前記圧力室の流路抵抗以上であって前記圧力室の流路抵抗の2倍以下であり、前記圧力室の流路長さは、前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出ヘッドを実現できることも明らかにされる。
すなわち、液体が吐出されるノズルと、前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力室と、前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、前記供給部の流路抵抗は、前記圧力室の流路抵抗以上であって前記圧力室の流路抵抗の2倍以下であり、前記圧力室の流路長さは、前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出ヘッドを実現できることも明らかにされる。
また、次の液体吐出装置を実現できることも明らかにされる。
すなわち、吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、ノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、前記液体を前記ノズルから吐出させるために、区画部を変形させることで前記液体に圧力変化を与える圧力室と、印加された前記吐出パルスにおける電位の変化パターンに応じた度合いで、前記区画部を変形させる素子と、前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、前記圧力室の流路長さは、前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出ヘッドとを有する液体吐出装置を実現できることも明らかにされる。
すなわち、吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、ノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、前記液体を前記ノズルから吐出させるために、区画部を変形させることで前記液体に圧力変化を与える圧力室と、印加された前記吐出パルスにおける電位の変化パターンに応じた度合いで、前記区画部を変形させる素子と、前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、前記圧力室の流路長さは、前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出ヘッドとを有する液体吐出装置を実現できることも明らかにされる。
===第1実施形態===
<印刷システムについて>
図1に例示した印刷システムは、プリンタ1と、コンピュータCPとを有する。プリンタ1は液体吐出装置に相当し、用紙、布、フィルム等の媒体に向けて、液体の一種であるインクを吐出する。媒体は、液体が吐出される対象となる対象物である。コンピュータCPは、プリンタ1と通信可能に接続されている。プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータCPは、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に送信する。
<印刷システムについて>
図1に例示した印刷システムは、プリンタ1と、コンピュータCPとを有する。プリンタ1は液体吐出装置に相当し、用紙、布、フィルム等の媒体に向けて、液体の一種であるインクを吐出する。媒体は、液体が吐出される対象となる対象物である。コンピュータCPは、プリンタ1と通信可能に接続されている。プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータCPは、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に送信する。
===プリンタ1の概要===
プリンタ1は、用紙搬送機構10、キャリッジ移動機構20、駆動信号生成回路30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び、プリンタ側コントローラ60を有する。
プリンタ1は、用紙搬送機構10、キャリッジ移動機構20、駆動信号生成回路30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び、プリンタ側コントローラ60を有する。
用紙搬送機構10は、用紙を搬送方向に搬送させる。キャリッジ移動機構20は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジを所定の移動方向(例えば紙幅方向)に移動させる。駆動信号生成回路30は、駆動信号COMを生成する。この駆動信号COMは、用紙への印刷時にヘッドHD(ピエゾ素子433,図2Aを参照)へ印加されるものであり、図4に一例を示すように、吐出パルスPSを含む一連の信号である。ここで、吐出パルスPSとは、ヘッドHDから滴状のインクを吐出させるために、ピエゾ素子433に所定の動作を行わせる電位の変化パターンである。駆動信号COMが吐出パルスPSを含むことから、駆動信号生成回路30は、吐出パルス生成部に相当する。なお、駆動信号生成回路30の構成や吐出パルスPSについては、後で説明する。ヘッドユニット40は、ヘッドHDとヘッド制御部HCとを有する。ヘッドHDは液体吐出ヘッドの一種であり、インクを用紙に向けて吐出させる。ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ60からのヘッド制御信号に基づき、ヘッドHDを制御する。なお、ヘッドHDについては後で説明する。検出器群50は、プリンタ1の状況を監視する複数の検出器によって構成される。これらの検出器による検出結果は、プリンタ側コントローラ60に出力される。プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1における全体的な制御を行う。このプリンタ側コントローラ60についても後で説明する。
===プリンタ1の要部===
<ヘッドHDについて>
図2Aに示すように、ヘッドHDは、ケース41と、流路ユニット42と、ピエゾ素子ユニット43とを有する。ケース41は、ピエゾ素子ユニット43を収容して固定するための収容空部411が内部に設けられた部材である。このケース41は、例えば樹脂材によって作製される。そして、ケース41の先端面には、流路ユニット42が接合されている。
<ヘッドHDについて>
図2Aに示すように、ヘッドHDは、ケース41と、流路ユニット42と、ピエゾ素子ユニット43とを有する。ケース41は、ピエゾ素子ユニット43を収容して固定するための収容空部411が内部に設けられた部材である。このケース41は、例えば樹脂材によって作製される。そして、ケース41の先端面には、流路ユニット42が接合されている。
流路ユニット42は、流路形成基板421と、ノズルプレート422と、振動板423とを有する。そして、流路形成基板421における一方の表面にはノズルプレート422が接合され、他方の表面には振動板423が接合されている。流路形成基板421には、圧力室424となる溝部、インク供給路425となる溝部、及び、共通インク室426となる開口部などが形成されている。この流路形成基板421は、例えばシリコン基板によって作製されている。圧力室424は、ノズル427の並び方向に対して直交する方向に細長い室として形成されている。インク供給路425は、圧力室424と共通インク室426との間を連通する。このインク供給路425は、共通インク室426に貯留されたインク(液体の一種)を圧力室424に供給する。従って、インク供給路425は、液体を圧力室424に供給するための供給部の一種である。共通インク室426は、インクカートリッジ(図示せず)から供給されたインクを一旦貯留する部分であり、共通の液体貯留室に相当する。
ノズルプレート422には、複数のノズル427が、所定の並び方向に所定の間隔で設けられている。インクは、これらのノズル427を通じてヘッドHDの外に吐出される。このノズルプレート422は、例えばステンレス板やシリコン基板によって作製されている。
振動板423は、例えばステンレス製の支持板428に樹脂製の弾性体膜429を積層した二重構造を採っている。振動板423における各圧力室424に対応する部分は、支持板428が環状にエッチング加工されている。そして、環内には島部428aが形成されている。この島部428aと島部428a周辺の弾性体膜429aとがダイヤフラム部423aを構成する。このダイヤフラム部423aは、ピエゾ素子ユニット43が有するピエゾ素子433によって変形し、圧力室424の容積を可変する。すなわち、ダイヤフラム部423aは、圧力室424の一部を区画し、変形によって圧力室424内のインク(液体)に圧力変化を与える区画部に相当する。
ピエゾ素子ユニット43は、ピエゾ素子群431と、固定板432とを有する。ピエゾ素子群431は櫛歯状をしている。そして、櫛歯の1つ1つがピエゾ素子433である。各ピエゾ素子433の先端面は、対応する島部428aに接着される。固定板432は、ピエゾ素子群431を支持するとともに、ケース41に対する取り付け部となる。この固定板432は、例えばステンレス板によって構成されており、収容空部411の内壁に接着される。
ピエゾ素子433は、電気機械変換素子の一種であり、圧力室424内の液体に圧力変化を与えるための動作(変形動作)をする素子に相当する。図2Aに示すピエゾ素子433は、隣り合う電極同士の間に電位差を与えることにより、積層方向と直交する素子長手方向に伸縮する。即ち、上記の電極は、所定電位の共通電極434と、駆動信号COM(吐出パルスPS)に応じた電位になる駆動電極435とを有する。そして、両電極434,435に挟まれた圧電体436は、共通電極434と駆動電極435との電位差に応じた度合いで変形する。ピエゾ素子433は、圧電体436の変形に伴って素子の長手方向に伸縮する。本実施形態において、共通電極434は、グランド電位、若しくは、グランド電位よりも所定電位だけ高いバイアス電位に定められる。そして、ピエゾ素子433は、駆動電極435の電位が共通電極434の電位よりも高くなるほど収縮する。反対に、駆動電極435の電位が共通電極434の電位に近付くほど、或いは、共通電極434の電位よりも低くなるほど伸張する。
前述したように、ピエゾ素子ユニット43は、固定板432を介してケース41に取り付けられている。このため、ピエゾ素子433が収縮すると、ダイヤフラム部423aは、圧力室424から遠ざかる方向に引っ張られる。これにより、圧力室424が膨張される。反対に、ピエゾ素子433が伸長すると、ダイヤフラム部423aが圧力室424側に押される。これにより、圧力室424が収縮する。圧力室424内のインクには、圧力室424の膨張や収縮に起因して圧力変化が生じる。すなわち、圧力室424の収縮に伴って圧力室424内のインクは加圧され、圧力室424の膨張に伴って圧力室424内のインクは減圧される。ピエゾ素子433の伸縮状態は駆動電極435の電位に応じて定まるので、圧力室424の容積も駆動電極435の電位に応じて定まる。従って、ピエゾ素子433は、印加された吐出パルスPSにおける電位の変化パターンに応じた度合いで、ダイヤフラム部423a(区画部)を変形させる素子といえる。そして、圧力室424内のインクに対する加圧度合いや減圧度合いは、駆動電極435における単位時間あたりの電位変化量等によって定めることができる。
<インク流路について>
ヘッドHDには、共通インク室426からノズル427に至る一連のインク流路(液体で満たされる液体流路に相当する)が、ノズル427の数に応じた複数設けられている。このインク流路では、圧力室424に対して、ノズル427及びインク供給路425がそれぞれ連通している。このため、インクの流れなどの特性を解析する場合、ヘルムホルツの共鳴器の考え方が適用される。図2Bは、この考え方に基づくヘッドHDの構造を模式的に説明する図である。
ヘッドHDには、共通インク室426からノズル427に至る一連のインク流路(液体で満たされる液体流路に相当する)が、ノズル427の数に応じた複数設けられている。このインク流路では、圧力室424に対して、ノズル427及びインク供給路425がそれぞれ連通している。このため、インクの流れなどの特性を解析する場合、ヘルムホルツの共鳴器の考え方が適用される。図2Bは、この考え方に基づくヘッドHDの構造を模式的に説明する図である。
一般的なヘッドHDにおいて、圧力室424の長さL424は200μmから2000μmの範囲内に定められる。圧力室424の幅W424は20μmから300μmの範囲内に定められ、圧力室424の高さH424は30μmから500μmの範囲内に定められる。そして、インク供給路425の長さL425は50μmから2000μmの範囲内に定められる。インク供給路425の幅W425は20μmから300μmの範囲内に定められ、インク供給路425の高さH425は30μmから500μmの範囲内に定められる。また、ノズル427の直径φ427は10μmから40μmの範囲内に定められ、ノズル427の長さL427は40μmから100μmの範囲内に定められる。
ここで、図2Bはインク流路を模式的に説明する図である。このため、インク流路は、実際とは異なる形状で示されている。このようなインク流路では、圧力室424内のインクに圧力変化を与えることで、ノズル427からインクを吐出させる。このとき、圧力室424、インク供給路425、及び、ノズル427は、ヘルムホルツの共鳴器のように機能する。このため、圧力室424内のインクに圧力が加わると、この圧力の大きさはヘルムホルツ周期と呼ばれる固有の周期で変化する。すなわち、インクには圧力振動が生じる。
ここで、ヘルムホルツ周期(インクの固有振動周期)Tcは、一般的には次式(1)で表すことができる。
Tc=1/f
f=1/2π√〔(Mn+Ms)/(Mn×Ms×(Cc+Ci))〕・・・(1)
式(1)において、Mnはノズル427のイナータンス(単位断面積あたりのインクの質量、後述する。)、Msはインク供給路425のイナータンス、Ccは圧力室424のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す。)、Ciはインクのコンプライアンス(Ci=体積V/〔密度ρ×音速c2〕)である。
この圧力振動の振幅は、インク流路をインクが流れることで次第に小さくなる。例えば、ノズル427やインク供給路425における損失、及び、圧力室424を区画する壁部等における損失により、圧力振動は減衰する。
Tc=1/f
f=1/2π√〔(Mn+Ms)/(Mn×Ms×(Cc+Ci))〕・・・(1)
式(1)において、Mnはノズル427のイナータンス(単位断面積あたりのインクの質量、後述する。)、Msはインク供給路425のイナータンス、Ccは圧力室424のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す。)、Ciはインクのコンプライアンス(Ci=体積V/〔密度ρ×音速c2〕)である。
この圧力振動の振幅は、インク流路をインクが流れることで次第に小さくなる。例えば、ノズル427やインク供給路425における損失、及び、圧力室424を区画する壁部等における損失により、圧力振動は減衰する。
一般的なヘッドHDにおいて、圧力室424におけるヘルムホルツ周期は5μsから10μsの範囲内に定められる。例えば、図2Bのインク流路において、圧力室424の幅W424を100μm、高さH424を70μm、長さL424を1000μmとし、インク供給路425の幅W425を50μm、高さH425を70μm、長さL425を500μmとし、ノズル427の直径φ427を30μm、長さL427を100μmとした場合、ヘルムホルツ周期は8μs程度になる。なお、このヘルムホルツ周期は、隣り合う圧力室424同士を区画する壁部の厚さ、弾性体膜429の厚さやコンプライアンス、流路形成基板421やノズルプレート422の素材によっても変化する。
<プリンタ側コントローラ60について>
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1における全体的な制御を行う。例えば、コンピュータCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。図1に示すように、プリンタ側コントローラ60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63とを有する。インタフェース部61は、コンピュータCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行う。メモリ63は、コンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。CPU62は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、用紙搬送機構10やキャリッジ移動機構20を制御する。また、CPU62は、ヘッドHDの動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路30に送信したりする。
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1における全体的な制御を行う。例えば、コンピュータCPから受け取った印刷データや各検出器からの検出結果に基づいて制御対象部を制御し、用紙に画像を印刷させる。図1に示すように、プリンタ側コントローラ60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63とを有する。インタフェース部61は、コンピュータCPとの間でデータの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行う。メモリ63は、コンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。CPU62は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、用紙搬送機構10やキャリッジ移動機構20を制御する。また、CPU62は、ヘッドHDの動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに送信したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路30に送信したりする。
ここで、駆動信号COMを生成させるための制御信号はDACデータとも呼ばれ、例えば複数ビットのデジタルデータである。このDACデータは、生成される駆動信号COMの電位の変化パターンを定める。従って、このDACデータは、駆動信号COMや吐出パルスPSの電位を示すデータともいえる。このDACデータは、メモリ63の所定領域に記憶されており、駆動信号COMの生成時に読み出されて駆動信号生成回路30へ出力される。
<駆動信号生成回路30について>
駆動信号生成回路30は、吐出パルス生成部として機能し、DACデータに基づき、吐出パルスPSを有する駆動信号COMを生成する。図3に示すように、駆動信号生成回路30は、DAC回路31と、電圧増幅回路32と、電流増幅回路33とを有する。DAC回路31は、デジタルのDACデータをアナログ信号に変換する。電圧増幅回路32は、DAC回路31で変換されたアナログ信号の電圧を、ピエゾ素子433を駆動できるレベルまで増幅する。このプリンタ1では、DAC回路31から出力されるアナログ信号は最大3.3Vであるのに対し、電圧増幅回路32から出力される増幅後のアナログ信号(便宜上、波形信号ともいう。)は最大42Vである。電流増幅回路33は、電圧増幅回路32からの波形信号について電流の増幅をし、駆動信号COMとして出力する。この電流増幅回路33は、例えば、プッシュプル接続されたトランジスタ対によって構成される。
駆動信号生成回路30は、吐出パルス生成部として機能し、DACデータに基づき、吐出パルスPSを有する駆動信号COMを生成する。図3に示すように、駆動信号生成回路30は、DAC回路31と、電圧増幅回路32と、電流増幅回路33とを有する。DAC回路31は、デジタルのDACデータをアナログ信号に変換する。電圧増幅回路32は、DAC回路31で変換されたアナログ信号の電圧を、ピエゾ素子433を駆動できるレベルまで増幅する。このプリンタ1では、DAC回路31から出力されるアナログ信号は最大3.3Vであるのに対し、電圧増幅回路32から出力される増幅後のアナログ信号(便宜上、波形信号ともいう。)は最大42Vである。電流増幅回路33は、電圧増幅回路32からの波形信号について電流の増幅をし、駆動信号COMとして出力する。この電流増幅回路33は、例えば、プッシュプル接続されたトランジスタ対によって構成される。
<ヘッド制御部HCについて>
ヘッド制御部HCは、駆動信号生成回路30で生成された駆動信号COMの必要部分をヘッド制御信号に基づいて選択し、ピエゾ素子433へ印加する。このため、図3に示すように、ヘッド制御部HCは、駆動信号COMの供給線の途中に、ピエゾ素子433毎に設けられた複数のスイッチ44を有する。そして、ヘッド制御部HCは、ヘッド制御信号からスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号によって各スイッチ44を制御することで、駆動信号COMの必要部分(例えば吐出パルスPS)がピエゾ素子433へ印加される。このとき、必要部分の選択の仕方次第で、ノズル427からのインクの吐出を制御できる。
ヘッド制御部HCは、駆動信号生成回路30で生成された駆動信号COMの必要部分をヘッド制御信号に基づいて選択し、ピエゾ素子433へ印加する。このため、図3に示すように、ヘッド制御部HCは、駆動信号COMの供給線の途中に、ピエゾ素子433毎に設けられた複数のスイッチ44を有する。そして、ヘッド制御部HCは、ヘッド制御信号からスイッチ制御信号を生成する。このスイッチ制御信号によって各スイッチ44を制御することで、駆動信号COMの必要部分(例えば吐出パルスPS)がピエゾ素子433へ印加される。このとき、必要部分の選択の仕方次第で、ノズル427からのインクの吐出を制御できる。
<駆動信号COMについて>
次に、駆動信号生成回路30によって生成される駆動信号COMについて説明する。図4に示すように、駆動信号COMには、繰り返し生成される複数の吐出パルスPSが含まれている。これらの吐出パルスPSは、いずれも同じ波形をしている。すなわち、電位の変化パターンが同じである。前述したように、この駆動信号COMは、ピエゾ素子433が有する駆動電極435に印加される。これにより、固定電位とされた共通電極434との間に、電位の変化パターンに応じた電位差が生じる。その結果、ピエゾ素子433は、電位の変化パターンに応じて伸縮し、圧力室424の容積を変化させる。
次に、駆動信号生成回路30によって生成される駆動信号COMについて説明する。図4に示すように、駆動信号COMには、繰り返し生成される複数の吐出パルスPSが含まれている。これらの吐出パルスPSは、いずれも同じ波形をしている。すなわち、電位の変化パターンが同じである。前述したように、この駆動信号COMは、ピエゾ素子433が有する駆動電極435に印加される。これにより、固定電位とされた共通電極434との間に、電位の変化パターンに応じた電位差が生じる。その結果、ピエゾ素子433は、電位の変化パターンに応じて伸縮し、圧力室424の容積を変化させる。
例示した吐出パルスPSの電位は、基準電位としての中間電位VBから最高電位VHまで上昇した後に、最低電位VLまで下降する。そして、中間電位VBまで上昇する。前述したように、ピエゾ素子433は、駆動電極435の電位が共通電極434の電位よりも高いほど収縮して、圧力室424の容積を拡大させる。
従って、この吐出パルスPSがピエゾ素子433に印加されると、圧力室424は、中間電位VBに対応する基準容積から、最高電位VHに対応する最大容積まで膨張する。その後、最低電位VLに対応する最小容積まで収縮し、基準容積まで膨張する。そして、最大容積から最小容積に収縮する際に、圧力室424内のインクが加圧され、ノズル427からインク滴が吐出される。従って、この吐出パルスPSにおける最高電位VHから最低電位VLまで変化する部分が、インクを吐出させるための吐出部分に相当する。
インク滴の吐出周波数は、相前後して生成される吐出部分の間隔によって定められる。例えば、図4の例において、実線の駆動信号COMではインク滴が期間Ta毎に吐出され、一点鎖線の駆動信号COMではインク滴が期間Tb毎に吐出されている。このため、実線の駆動信号COMによる吐出周波数は、一点鎖線の駆動信号COMによる吐出周波数よりも高いといえる。
===吐出動作について===
<概要>
この種のプリンタ1では、インクの吐出を安定化させたいという要望がある。例えば、低い周波数でインク滴を吐出させた場合と、高い周波数でインク滴を吐出させた場合とで、インク滴の量や飛行方向、或いは、飛行速度等を同じにしたいという要望がある。しかし、一般的なインクの粘度(約1ミリパスカル秒[mPa・s])よりも十分に高い粘度のインク、具体的には粘度が6〜20mPa・sのインク(便宜上、高粘度インクともいう。)を、従来のヘッドで吐出させた場合には、インクの吐出が不安定になってしまうという問題があった。図5Aは、高粘度インクが安定な状態で吐出されている様子を示している。これに対し、図5Bは、高粘度インクが不安定な状態で吐出されている様子を示している。これらの図を比較すると、不安定な状態では、飛行速度が不足しているインク滴や吐出曲がりが生じているインク滴があることが判る。
<概要>
この種のプリンタ1では、インクの吐出を安定化させたいという要望がある。例えば、低い周波数でインク滴を吐出させた場合と、高い周波数でインク滴を吐出させた場合とで、インク滴の量や飛行方向、或いは、飛行速度等を同じにしたいという要望がある。しかし、一般的なインクの粘度(約1ミリパスカル秒[mPa・s])よりも十分に高い粘度のインク、具体的には粘度が6〜20mPa・sのインク(便宜上、高粘度インクともいう。)を、従来のヘッドで吐出させた場合には、インクの吐出が不安定になってしまうという問題があった。図5Aは、高粘度インクが安定な状態で吐出されている様子を示している。これに対し、図5Bは、高粘度インクが不安定な状態で吐出されている様子を示している。これらの図を比較すると、不安定な状態では、飛行速度が不足しているインク滴や吐出曲がりが生じているインク滴があることが判る。
インクの吐出を不安定にする要因は種々考えられるが、その要因の一つに流路抵抗のバランスのずれがあると考えられる。
ここで、流路抵抗とは、媒質の内部損失である。本実施形態では、インク流路を流れるインクが受ける力であって、インクの流れる方向とは逆向きの力である。図2Bで説明したように、圧力室424やインク供給路425は、略直方体状の流路で構成されている。この流路における流路抵抗R直は、次式(2)で表すことができる。
流路抵抗R直=(12×粘度μ×長さL/幅W×高さH3) ・・・(2)
この式(2)において、粘度μはインクの粘度、Lは流路の長さ、Wは流路の幅、Hは流路の高さをそれぞれ表している。
ここで、流路抵抗とは、媒質の内部損失である。本実施形態では、インク流路を流れるインクが受ける力であって、インクの流れる方向とは逆向きの力である。図2Bで説明したように、圧力室424やインク供給路425は、略直方体状の流路で構成されている。この流路における流路抵抗R直は、次式(2)で表すことができる。
流路抵抗R直=(12×粘度μ×長さL/幅W×高さH3) ・・・(2)
この式(2)において、粘度μはインクの粘度、Lは流路の長さ、Wは流路の幅、Hは流路の高さをそれぞれ表している。
圧力室424やインク供給路425について流路抵抗のバランスが悪いと、例えば、圧力室424内におけるインクの圧力振動が過度に長い時間残ってしまったり、圧力室424側へのインクの供給が不十分になってしまったり、圧力室内のインクの圧力が不安定になってしまったりする不具合が生じ得る。そして、このような不具合が生じることで、インクの吐出が不安定になると考えられる。
このような事情に鑑み、本実施形態のヘッドHDでは、インク供給路425の流路抵抗を圧力室424の流路抵抗に基づいて定めるとともに、圧力室424の流路長さをインク供給路425の流路長さに基づいて定めている。すなわち、インク供給路425の流路抵抗を、圧力室424の流路抵抗以上であって圧力室424の流路抵抗の2倍以下の範囲内に定め、かつ、圧力室424の長さL424を、インク供給路425の長さL425以上であってインク供給路425の長さL425の2倍以下の範囲内に定めている。
これにより、インク滴の吐出に起因して圧力室424内のインクに生じた圧力振動を、インク供給路425にて効率よく収束させることができ、圧力振動に起因してインク滴の吐出が不安定になってしまう不具合を抑制できる。その結果、インク滴の吐出を安定化できる。また、圧力室424内のインクにおける過度な圧力変化を抑制することもできる。これもインク滴の吐出の安定化に寄与すると考えられる。以下、詳細に説明する。
<吐出パルスPSについて>
まず、評価に用いた吐出パルスPS1について説明する。図6はこの吐出パルスPS1を説明する図である。なお、図6において、縦軸は駆動信号COM(吐出パルスPS1)の電位であり、横軸は時間である。
まず、評価に用いた吐出パルスPS1について説明する。図6はこの吐出パルスPS1を説明する図である。なお、図6において、縦軸は駆動信号COM(吐出パルスPS1)の電位であり、横軸は時間である。
図6に示す吐出パルスPS1は、符号P1から符号P5で示される複数の部分を有する。すなわち、吐出パルスPS1は、第1減圧部分P1と、第1電位保持部分P2と、加圧部分P3と、第2電位保持部分P4と、第2減圧部分P5とを有する。
第1減圧部分P1は、タイミングt1からタイミングt2に亘って生成される部分である。この第1減圧部分P1は、タイミングt1における電位(始端電位に相当する)が中間電位VBであり、タイミングt2における電位(終端電位に相当する)が最高電位VHである。このため、第1減圧部分P1がピエゾ素子433に印加されると、圧力室424は、基準容積から最大容積まで第1減圧部分P1の生成期間に亘って膨張する。
この吐出パルスPS1における中間電位VBは、吐出パルスPS1における最低電位VLよりも、最高電位VHから最低電位VLまでの差(26V)の32%分高い電位に定められている。また、第1減圧部分P1の生成期間は2.0μsである。
第1電位保持部分P2は、タイミングt2からタイミングt3に亘って生成される部分である。この第1電位保持部分P2は、最高電位VHで一定である。このため、第1電位保持部分P2がピエゾ素子433に印加されると、圧力室424は、第1電位保持部分P2の生成期間に亘って最大容積が維持される。この吐出パルスPS1において、第1電位保持部分P2の生成期間は2.1μsである。
加圧部分P3は、タイミングt3からタイミングt4に亘って生成される部分である。この加圧部分P3は、始端電位が最高電位VHであり、終端電位が最低電位VLである。このため、加圧部分P3がピエゾ素子433に印加されると、圧力室424は、最大容積から最小容積まで加圧部分P3の生成期間に亘って収縮する。この圧力室424の収縮に伴ってインクが吐出されるので、加圧部分P3はインク滴を吐出させるための吐出部分に相当する。この吐出パルスPS1において、加圧部分P3の生成期間は2.0μsである。
第2電位保持部分P4は、タイミングt4からタイミングt5に亘って生成される部分である。第2電位保持部分P4は、最低電位VLで一定である。このため、第2電位保持部分P4がピエゾ素子433に印加されると、圧力室424は、第2電位保持部分P4の生成期間に亘って最小容積が維持される。この吐出パルスPS1において、第2電位保持部分P4の生成期間は5.0μsである。
第2減圧部分P5は、タイミングt5からタイミングt6に亘って生成される部分である。この第2減圧部分P5は、始端電位が最低電位VLであり、終端電位が中間電位VBである。このため、第2減圧部分P5がピエゾ素子433に印加されると、圧力室424は、最小容積から基準容積まで第2減圧部分P5の生成期間に亘って膨張する。この吐出パルスPS1において、第2減圧部分P5の生成期間は3.0μsである。
<粘度が15mPa・s秒のインクについて>
図7は、評価対象の各ヘッドHDにおける構造上のパラメータを説明する図である。図7において、縦軸はインク供給路425の流路抵抗R425の値を示し、横軸は圧力室424の長さ(流路長さ)L424を示す。なお、圧力室424の長さL424は、図2Bに同じ符号を付して示すように、モデル化した圧力室424の長さを示している。すなわち、実際のものと等価な直方体形状の圧力室424を定め、この圧力室424の長さを用いている。そして、No1〜No16の各点は、粘度が15mPa・s秒のインク(比重はほぼ1である)を連続的に吐出させるシミュレーションを行ったヘッドHDを示している。例えば、No1のヘッドHDは、インク供給路425の流路抵抗R425が3.8×1012Pa・s/m3であって、圧力室424の長さL424が450μm(10−6m)であることを示している。また、No12のヘッドHDは、インク供給路425の流路抵抗R425が1.56×1012Pa・s/m3であって、圧力室424の長さL424が1100μmであることを示している。
図7は、評価対象の各ヘッドHDにおける構造上のパラメータを説明する図である。図7において、縦軸はインク供給路425の流路抵抗R425の値を示し、横軸は圧力室424の長さ(流路長さ)L424を示す。なお、圧力室424の長さL424は、図2Bに同じ符号を付して示すように、モデル化した圧力室424の長さを示している。すなわち、実際のものと等価な直方体形状の圧力室424を定め、この圧力室424の長さを用いている。そして、No1〜No16の各点は、粘度が15mPa・s秒のインク(比重はほぼ1である)を連続的に吐出させるシミュレーションを行ったヘッドHDを示している。例えば、No1のヘッドHDは、インク供給路425の流路抵抗R425が3.8×1012Pa・s/m3であって、圧力室424の長さL424が450μm(10−6m)であることを示している。また、No12のヘッドHDは、インク供給路425の流路抵抗R425が1.56×1012Pa・s/m3であって、圧力室424の長さL424が1100μmであることを示している。
ここで、シミュレーションに用いた他の数値は次の通りである。まず、評価対象の各ヘッドHD(No1〜No16のヘッドHD)における圧力室424の流路抵抗R424は、1.73×1012Pa・s/m3であり、インク供給路425の長さL425は500μmである。各ヘッドHDにおける圧力室424の容積は9680000×10−18m3であり、圧力室424の高さH424は80μmである。ノズル427の直径φ427は25μmであり、ノズル427の長さL427は80μmである。
なお、シミュレーションに際し、ノズル427は、略漏斗状をしているもの、すなわちテーパー部分427aとストレート部分427bを有するものを対象にした(図59を参照)。ここで、テーパー部分427aは、円錐台状の空間を区画する部分であり、圧力室424から離れる程に開口面積が小さくなっている。すなわち、先細り形状に設けられている。ストレート部分427bは、テーパー部分427aにおける小径側の端部に連続して設けられている。このストレート部分427bは、円柱状の空間を区画する部分であり、ノズル方向と直交する面で、断面積がほぼ一定の部分である。そして、ノズル427の直径φ427は、ストレート部分427bにおける直径を意味する。このシミュレーションにおいて、ストレート部分427bの長さは20μmとし、テーパー角θ427は25度とした。また、ノズル427の長さL427は、テーパー部分427aとストレート部分427bとを足し合わせたものになる。従って、テーパー部分427aの長さは60μmになる。
評価対象の各ヘッドのうち、本実施形態に属するヘッドは、No13〜No16のヘッドHDである。そして、No1〜No12のヘッドHDは、比較例のヘッドである。以下、これらのヘッドHDによるシミュレーション結果について説明する。
<No13のヘッドHDについて>
No13のヘッドHDは、圧力室424の長さL424が500μmであり、インク供給路425の長さL425と等しくなっている。また、インク供給路425の流路抵抗R425が3.46×1012Pa・s/m3であり、圧力室424の流路抵抗R424の2倍になっている。なお、図2Bに同じ符号を付して示すように、インク供給路425の長さL425も、直方体形状にモデル化したインク供給路425の長さを示している。
No13のヘッドHDは、圧力室424の長さL424が500μmであり、インク供給路425の長さL425と等しくなっている。また、インク供給路425の流路抵抗R425が3.46×1012Pa・s/m3であり、圧力室424の流路抵抗R424の2倍になっている。なお、図2Bに同じ符号を付して示すように、インク供給路425の長さL425も、直方体形状にモデル化したインク供給路425の長さを示している。
このようなインクの流路を有するヘッドHDにおいて、図6の吐出パルスPS1をピエゾ素子433へ印加すると、ノズル427からはインク滴が吐出される。図8は、No13のヘッドHDによるインク滴の連続的な吐出時、具体的には60kHzの周波数で吐出させた場合におけるシミュレーション結果である。図8において、縦軸はメニスカス(ノズル427で露出しているインクの自由表面)の状態をインクの量で示しており、横軸は時間である。縦軸に関し、0ngは、定常状態におけるメニスカスの位置を示す。そして、正側に値が大きくなるほど、メニスカスは吐出方向に押し出された状態になっている。反対に、負側に値が大きくなるほど、メニスカスは圧力室424側に引き込まれた状態になっている。これらの縦軸や横軸の内容は、他の図(例えば図9〜図23)の縦軸や横軸にも同様にあてはまる。このため、他の図における説明は省略する。
吐出パルスPS1の第1減圧部分P1がピエゾ素子433に印加されると、圧力室424は膨張する。この膨張に伴い圧力室424内のインクが負圧となり、インクがインク供給路425を通じて圧力室424側に流入する。また、インクが負圧になったことに伴って、メニスカスがノズル427内で圧力室424側に引き込まれる。
メニスカスの圧力室424側への移動は、第1減圧部分P1の印加終了後も継続される。すなわち、圧力室424を区画する壁部や振動板423のコンプライアンス等により、メニスカスは第1電位保持部分P2の印加期間中も圧力室424側へ移動する。その後、メニスカスは圧力室424から遠ざかる方向に反転する(符号Aで示すタイミング)。このとき、加圧部分P3の印加に伴う圧力室424の収縮も加わるため、メニスカスの移動速度は速い。加圧部分P3の印加に伴って移動したメニスカスは柱状になる。そして、第2電位保持部分P4のピエゾ素子433への印加が終了するまでに、柱状になったメニスカスの先端側の一部分が切れ、滴状になって吐出される(符号Bで示すタイミング)。なお、図8において、タイミングBでのインク量が、吐出されたインク滴の量を示している。
吐出の反動で、メニスカスは圧力室424側に速い速度で戻る。このとき、ピエゾ素子433には第2減圧部分P5が印加される。この第2減圧部分P5の印加に伴って圧力室424が膨張する。この膨張に伴い圧力室424内のインクが負圧となる。第2減圧部分P5が印加された後、メニスカスは、移動方向を吐出側に切り替える(符号Cで示すタイミング)。その後、メニスカスの移動方向が切り替わるタイミングで、次の吐出パルスPS1のピエゾ素子433への印加が開始される(符号Dで示すタイミング)。以降は、前述の動作が繰り返し行われる。
なお、他の図(例えば図9〜図23)に示すシミュレーションでも図6の吐出パルスPS1をピエゾ素子433へ印加している。このため、タイミングA〜タイミングDでのメニスカスの挙動は上述した通りである。
本実施形態では、図6の吐出パルスPS1にて60kHzの周波数でインク滴を繰り返し吐出させた場合に、吐出量として10ng以上を確保でき、かつ、吐出量が安定していることを、ヘッドHDの評価基準としている。10ng以上のインク滴を安定的に吐出できれば、高粘度インクを用いても、従来のインクを吐出するプリンタと同等以上の速度や画質で画像が印刷できるからである。No13のヘッドHDにおいて、4番目以降の各インク滴は、10.5ng程度の量で安定的に吐出されている。このため、No13のヘッドHDは、上記の評価基準を満たしているといえる。言い換えれば、高粘度インクを高い周波数で連続的に吐出させても、一滴の量が所定量以上であり、かつ、吐出量のばらつきが極めて少ないヘッドといえる。
ところで、1番目から3番目の各インク滴には吐出量のばらつきが多少見られる。これは、慣性によるインクの流れが少なく、安定していないことが原因と考えられる。ここで、慣性によるインクの流れとは、インク滴が次々と吐出されることで生じる、共通インク室426からノズル427へ向かうインクの流れのことである。そして、上記の評価基準は、インク滴の連続的な吐出時を対象としている。このため、4番目以降の各インク滴について吐出量や吐出周波数が安定していれば、1番目から3番目の各インク滴に多少の吐出量のばらつきが見られても、安定的な吐出が行われていると評価している。
<No14のヘッドHDについて>
No14のヘッドHDは、圧力室424の長さL424が1000μmであり、インク供給路425の長さL425の2倍になっている。また、インク供給路425の流路抵抗R425は、圧力室424の流路抵抗R424の2倍になっている。No13のヘッドHDと比較すると、インク供給路425の流路抵抗R425が圧力室424の流路抵抗の2倍となっている点で共通しているが、圧力室424の長さL424がインク供給路425の長さL425の2倍になっている点で相違する。
図9は、No14のヘッドHDによるインク滴の連続的な吐出時におけるシミュレーション結果である。No14のヘッドHDにおいて、4番目以降の各インク滴は、11.5ng程度の量で安定的に吐出されている。このため、No14のヘッドHDも、前述の評価基準を満たしているといえる。
No14のヘッドHDは、圧力室424の長さL424が1000μmであり、インク供給路425の長さL425の2倍になっている。また、インク供給路425の流路抵抗R425は、圧力室424の流路抵抗R424の2倍になっている。No13のヘッドHDと比較すると、インク供給路425の流路抵抗R425が圧力室424の流路抵抗の2倍となっている点で共通しているが、圧力室424の長さL424がインク供給路425の長さL425の2倍になっている点で相違する。
図9は、No14のヘッドHDによるインク滴の連続的な吐出時におけるシミュレーション結果である。No14のヘッドHDにおいて、4番目以降の各インク滴は、11.5ng程度の量で安定的に吐出されている。このため、No14のヘッドHDも、前述の評価基準を満たしているといえる。
<No15のヘッドHDについて>
No15のヘッドHDは、圧力室424の長さL424が500μmであり、インク供給路425の長さL425と等しい。また、インク供給路425の流路抵抗R425が1.73×1012Pa・s/m3であり、圧力室424の流路抵抗R424と等しい。No13のヘッドHDと比較すると、圧力室424の長さL424とインク供給路425の長さが等しい点で共通しているが、インク供給路425の流路抵抗R425が圧力室424の流路抵抗と等しくなっている点で相違する。
図10は、No15のヘッドHDによるインク滴の連続的な吐出時におけるシミュレーション結果である。No15のヘッドHDにおいて、4番目以降の各インク滴は、11.5ng程度の量で安定的に吐出されている。このため、No15のヘッドHDも、前述の評価基準を満たしているといえる。
No15のヘッドHDは、圧力室424の長さL424が500μmであり、インク供給路425の長さL425と等しい。また、インク供給路425の流路抵抗R425が1.73×1012Pa・s/m3であり、圧力室424の流路抵抗R424と等しい。No13のヘッドHDと比較すると、圧力室424の長さL424とインク供給路425の長さが等しい点で共通しているが、インク供給路425の流路抵抗R425が圧力室424の流路抵抗と等しくなっている点で相違する。
図10は、No15のヘッドHDによるインク滴の連続的な吐出時におけるシミュレーション結果である。No15のヘッドHDにおいて、4番目以降の各インク滴は、11.5ng程度の量で安定的に吐出されている。このため、No15のヘッドHDも、前述の評価基準を満たしているといえる。
<No16のヘッドHDについて>
No16のヘッドHDは、圧力室424の長さL424が1000μmであり、インク供給路425の長さL425の2倍になっている。また、インク供給路425の流路抵抗R425が圧力室424の流路抵抗R424と等しい。No13のヘッドHDと比較すると、圧力室424の長さL424がインク供給路425の2倍となっている点、及び、インク供給路425の流路抵抗R425が圧力室424の流路抵抗と等しくなっている点で相違する。
図11は、No16のヘッドHDによるインク滴の連続的な吐出時におけるシミュレーション結果である。No16のヘッドHDにおいて、4番目以降の各インク滴は、10.5ng程度の量で安定的に吐出されている。このため、No16のヘッドHDも、前述の評価基準を満たしているといえる。
No16のヘッドHDは、圧力室424の長さL424が1000μmであり、インク供給路425の長さL425の2倍になっている。また、インク供給路425の流路抵抗R425が圧力室424の流路抵抗R424と等しい。No13のヘッドHDと比較すると、圧力室424の長さL424がインク供給路425の2倍となっている点、及び、インク供給路425の流路抵抗R425が圧力室424の流路抵抗と等しくなっている点で相違する。
図11は、No16のヘッドHDによるインク滴の連続的な吐出時におけるシミュレーション結果である。No16のヘッドHDにおいて、4番目以降の各インク滴は、10.5ng程度の量で安定的に吐出されている。このため、No16のヘッドHDも、前述の評価基準を満たしているといえる。
<まとめ>
以上のように、No13のヘッドHD〜No16のヘッドHDの何れも、前述の評価基準を満たすことが確認された。すなわち、圧力室424の長さL424は、インク供給路425の長さL425と等しい長さからこの長さL425の2倍の長さの範囲内、具体的には500μm以上であって1000μm以下の範囲内であればよいことが確認された。また、インク供給路425の流路抵抗R425は、圧力室424の流路抵抗R424と等しい値からこの流路抵抗R424の2倍の値の範囲内、具体的には1.73×1012Pa・s/m3以上であって3.46×1012Pa・s/m3以下の範囲内であればよいことが確認された。
以上のように、No13のヘッドHD〜No16のヘッドHDの何れも、前述の評価基準を満たすことが確認された。すなわち、圧力室424の長さL424は、インク供給路425の長さL425と等しい長さからこの長さL425の2倍の長さの範囲内、具体的には500μm以上であって1000μm以下の範囲内であればよいことが確認された。また、インク供給路425の流路抵抗R425は、圧力室424の流路抵抗R424と等しい値からこの流路抵抗R424の2倍の値の範囲内、具体的には1.73×1012Pa・s/m3以上であって3.46×1012Pa・s/m3以下の範囲内であればよいことが確認された。
ここで、インク供給路425の流路抵抗R425は、圧力室424の流路抵抗R424と同じ値から2倍の値の範囲内に定められている。このため、圧力室424内のインクに与えられている圧力振動を、インク供給路425にて早期に収束させることができる。あわせて、圧力室424内へ十分な量のインクを供給することもできる。この点がインク滴の安定的な吐出に寄与していると考えられる。
また、圧力室424の長さL424は、インク供給路425の長さL425以上であってインク供給路425の長さL425の2倍以下に定められている。このため、インク滴の連続的な吐出に起因して生じる、共通インク室426からノズル427側へ向かうインクの流れを、インク滴の吐出を補助する目的で使用できる。その結果、高い周波数でインク滴を吐出させた際に、圧力室424内にてインクの供給不足が生じ難くなり、インク滴の安定的な吐出に寄与する。加えて、本実施形態のように、圧力室424の一部をダイヤフラム部423aで区画したヘッドHDの場合には、ダイヤフラム部423aの変形により、効率よくインク滴を吐出させることができる。
<ノズル427との関係について>
上記のヘッドHDにおいて、ノズル427の形状もインク滴の吐出に影響を与え得る。以下、ノズル427との関係について説明する。
上記のヘッドHDにおいて、ノズル427の形状もインク滴の吐出に影響を与え得る。以下、ノズル427との関係について説明する。
流路抵抗に関し、ノズル427の流路抵抗は、インク供給路425の流路抵抗R425よりも大きいことが好ましい。これは、ノズル427の流路抵抗をインク供給路425の流路抵抗R425よりも大きくすることで、圧力室424へのインクの供給不足が生じ難くなると考えられるからである。すなわち、共通インク室426からノズル427側へ向かうインクの流れに関し、インク供給路425の方をノズル427よりも流れ易くすることができ、インクの供給不足が生じ難くなると考えられる。ここで、円形状断面の流路抵抗R円は次式(3)にて近似して表すことができる。
流路抵抗R円=(8×粘度μ×長さL)/(π×半径r4) ・・・(3)
この式(3)において、粘度μはインクの粘度、Lは流路の長さ、rは円形状断面を有する流路の半径をそれぞれ表している。
流路抵抗R円=(8×粘度μ×長さL)/(π×半径r4) ・・・(3)
この式(3)において、粘度μはインクの粘度、Lは流路の長さ、rは円形状断面を有する流路の半径をそれぞれ表している。
なお、前述したように、ノズル427は略漏斗状をしている。この場合、上記式(3)を適用するに際しては、例えば図60に示すように、テーパー部分427aをモデル化すればよい。すなわち、圧力室424側からストレート部分427bに近付くにつれて半径を段階的に小さくした複数の円盤状部分によって、テーパー部分427aを近似的に定義すればよい。
前述したノズル寸法範囲において、流路抵抗が最も小さくなるのは、ノズル427の直径φ427が40μmでありノズル427の長さが40μmの組み合わせである。そして、この組み合わせの流路抵抗は約9.55×1012Pa・s/m3になる。すなわち、インク供給路425の流路抵抗R425の最大値のほぼ3倍である。
イナータンスに関し、高粘度インクを吐出させる場合、ノズル427のイナータンスをインク供給路425のイナータンスよりも小さくすることが好ましい。ここで、イナータンスとは、次式(4)で近似して表される値であり、流路内におけるインクの移動し易さを表している。
イナータンスM=(密度ρ×長さL)/断面積S ・・・(4)
式(4)において、ρはインクの密度、Sは流路の断面積、Lは流路の長さをそれぞれ表している。
イナータンスM=(密度ρ×長さL)/断面積S ・・・(4)
式(4)において、ρはインクの密度、Sは流路の断面積、Lは流路の長さをそれぞれ表している。
この式(4)から、イナータンスは、単位断面積あたりのインクの質量と考えることができる。そして、イナータンスが大きいほど、インクは圧力室424内のインク圧力に応じて移動し難くなり、イナータンスが小さいほど、インクは圧力室424内の圧力に応じて移動しやすくなることが判る。
図2Bに示すように、ここでの流路の長さLや断面積Sは、モデル化したインク流路における各部の長さや断面積を示している。長さLは、インクの流れ方向の長さである。また、断面積Sに関しては、インクの流れ方向とほぼ直交する面の面積である。例えば、圧力室424については符号Scavで示すように、圧力室424の長手方向と直交する面の面積が断面積になる。インク供給路425もやノズル427も同様である。すなわち、符号Ssupや符号Snzlで示すように、インク供給路425やノズル427の長手方向と直交する面の面積が断面積になる。
一般に、流路の外部から圧力を加えた場合、流路の断面積が大きいほど流路内のインクは移動し易く、流路内のインクの質量が大きいほど流路内のインクは移動し難いといえる。従って、この式(4)から、イナータンスが大きいほど、インクは圧力室424内のインク圧力に応じて移動し難くなり、イナータンスが小さいほど、インクは圧力室424内の圧力に応じて移動しやすくなることが判る。
そして、ノズル427のイナータンスをインク供給路425のイナータンスよりも小さくすることにより、圧力室424内のインクに与えられた圧力振動に基づき、メニスカスの移動を効率よく行うことができる。その結果、インク滴を効率よく吐出させることができる。
なお、このヘッドHDでは、ノズル427の直径φ427及び長さL427を、インク供給路425の開口形状(W425,H425)及び長さL425に基づいて定めることで、ノズル427のイナータンスをインク供給路425のイナータンスよりも小さくすることができる。
<比較例について>
次に比較例のヘッドHDについて説明する。前述したように比較例のヘッドHDは、図7におけるNo1〜No12の各ヘッドHDである。ここで、No1〜No4の各ヘッドHDは、インク供給路425の流路抵抗R425が、圧力室424の流路抵抗R424の2倍よりも大きい値に定められている。具体的には、3.8×1012Pa・s/m3に定められている。No9〜No12の各ヘッドHDは、インク供給路425の流路抵抗R425が、圧力室424の流路抵抗R424よりも小さい値に定められている。具体的には、1.56×1012Pa・s/m3に定められている。No1,5,7,9の各ヘッドHDは、圧力室424の長さL424がインク供給路425の長さL425よりも短く定められている。具体的には、450μmに定められている。No4,6,8,12の各ヘッドHDは、圧力室424の長さL424がインク供給路425の長さL425の2倍よりも長く定められている。具体的には、1100μmに定められている。
次に比較例のヘッドHDについて説明する。前述したように比較例のヘッドHDは、図7におけるNo1〜No12の各ヘッドHDである。ここで、No1〜No4の各ヘッドHDは、インク供給路425の流路抵抗R425が、圧力室424の流路抵抗R424の2倍よりも大きい値に定められている。具体的には、3.8×1012Pa・s/m3に定められている。No9〜No12の各ヘッドHDは、インク供給路425の流路抵抗R425が、圧力室424の流路抵抗R424よりも小さい値に定められている。具体的には、1.56×1012Pa・s/m3に定められている。No1,5,7,9の各ヘッドHDは、圧力室424の長さL424がインク供給路425の長さL425よりも短く定められている。具体的には、450μmに定められている。No4,6,8,12の各ヘッドHDは、圧力室424の長さL424がインク供給路425の長さL425の2倍よりも長く定められている。具体的には、1100μmに定められている。
図12から図23は、比較例の各ヘッドHDにおけるシミュレーション結果を示している。例えば、図12はNo1のヘッドHDによるシミュレーション結果を示している。そして、図13はNo2のヘッドHDによるシミュレーション結果を示し、図14はNo3のヘッドHDによるシミュレーション結果を示す。以後は同様に、図面の番号とヘッドHDのNoとが対応している。従って、図23にはNo12のヘッドHDによるシミュレーション結果が示されている。
<流路抵抗R425が過度に大きいヘッドHDについて>
流路抵抗R425が過度に大きいヘッドHDとは、図7に示すNo1〜No4の各ヘッドHDが相当する。図12(No1のヘッドHD)から図15(No4のヘッドHD)に示すように、これらのヘッドHDでは、インク滴の量が基準値(10ng)よりも少ない点で共通している。例えば、No1のヘッドHDでは、4番目以降のインク滴にて吐出量は揃っているものの、その量は符号LV1の直線で示すように約8.5ngであり、基準値に達していない。No2〜No4のヘッドHDに関し、4番目以降のインク滴について最大の吐出量を比較すると、No2のヘッドHDで7ng(LV2a)、No3のヘッドHDで8ng(LV3a)、No4のヘッドHDで8ng(LV4a)である。
流路抵抗R425が過度に大きいヘッドHDとは、図7に示すNo1〜No4の各ヘッドHDが相当する。図12(No1のヘッドHD)から図15(No4のヘッドHD)に示すように、これらのヘッドHDでは、インク滴の量が基準値(10ng)よりも少ない点で共通している。例えば、No1のヘッドHDでは、4番目以降のインク滴にて吐出量は揃っているものの、その量は符号LV1の直線で示すように約8.5ngであり、基準値に達していない。No2〜No4のヘッドHDに関し、4番目以降のインク滴について最大の吐出量を比較すると、No2のヘッドHDで7ng(LV2a)、No3のヘッドHDで8ng(LV3a)、No4のヘッドHDで8ng(LV4a)である。
インク滴の吐出量が基準値に達しない理由としては、インク供給路425の流路抵抗R425が過度に大きいため、共通インク室426から圧力室424へインクが流れ難くなっていることが考えられる。
加えて、No2〜No4のヘッドHDでは吐出量が不安定になっている。すなわち、吐出量の周期的な変化が生じている。例えば、No2のヘッドHDでは、符号LV2bの線で示すように、5番目以降のインク滴に関して、多い量のインク滴(約7ng)と少ない量のインク滴(約3ng)とが交互に吐出される。また、No4のヘッドHDでは、符号LV4bの線で示すように、最小量のインク滴(約2ng)から最大量のインク滴(約8ng)まで4種類のインク滴が繰り返し吐出される。4番目のインク滴では2番目に量の多いインク滴(約7ng)が吐出され、5番目のインク滴では最大量のインク滴(約8ng)が吐出されている。また、6番目のインク滴では最小量のインク滴(約2ng)が吐出され、7番目のインク滴では3番目に量の多いインク滴(約5.5ng)が吐出されている。吐出量の周期的な変化は、圧力室424の長さL424が長くなるほど変化の幅が大きくなっている。
このように、流路抵抗R425が過度に大きいヘッドHDでは吐出量の不足が生じ、さらに圧力室424の長さL424が長くなるほど吐出が不安定になっている。
<流路抵抗R425が過度に小さいヘッドHDについて>
流路抵抗R425が過度に小さいヘッドHDとは、図7に示すNo9〜No12の各ヘッドHDが相当する。図20(No9のヘッドHD)から図23(No12のヘッドHD)に示すように、これらのヘッドHDでは、インク滴の量が基準値よりも少ない点で共通している。例えば、No9,No10の各ヘッドHDでは、4番目以降のインク滴について最大の吐出量を比較すると、それぞれ8ng(LV9a,LV10a)である。No11,No12の各ヘッドHDでは、4番目以降のインク滴にて吐出量は揃っているものの、その量はNo11のヘッドHDで約7.5ng(LV11)であり、No12のヘッドHDで約8.5ng(LV12)である。
加えて、No9,No10のヘッドHDでは吐出量の周期的な変化が生じている。符号LV9b,LV10bの線で示すように、これらのヘッドHDでは、最小量のインク滴(約2ng)から最大量のインク滴(約8ng)まで4種類のインク滴が繰り返し吐出されている。この吐出量の周期的な変化は、先に説明したNo4のヘッドHDと同様である。
このように、流路抵抗R425が過度に小さいヘッドHDでは吐出量の不足が生じ、さらに圧力室424の長さL424が短くなるほど吐出が不安定になっている。
流路抵抗R425が過度に小さいヘッドHDとは、図7に示すNo9〜No12の各ヘッドHDが相当する。図20(No9のヘッドHD)から図23(No12のヘッドHD)に示すように、これらのヘッドHDでは、インク滴の量が基準値よりも少ない点で共通している。例えば、No9,No10の各ヘッドHDでは、4番目以降のインク滴について最大の吐出量を比較すると、それぞれ8ng(LV9a,LV10a)である。No11,No12の各ヘッドHDでは、4番目以降のインク滴にて吐出量は揃っているものの、その量はNo11のヘッドHDで約7.5ng(LV11)であり、No12のヘッドHDで約8.5ng(LV12)である。
加えて、No9,No10のヘッドHDでは吐出量の周期的な変化が生じている。符号LV9b,LV10bの線で示すように、これらのヘッドHDでは、最小量のインク滴(約2ng)から最大量のインク滴(約8ng)まで4種類のインク滴が繰り返し吐出されている。この吐出量の周期的な変化は、先に説明したNo4のヘッドHDと同様である。
このように、流路抵抗R425が過度に小さいヘッドHDでは吐出量の不足が生じ、さらに圧力室424の長さL424が短くなるほど吐出が不安定になっている。
<圧力室424の長さL424が過度に短いヘッドHDについて>
圧力室424の長さL424が過度に短いヘッドHDとは、図7に示すNo1,No5,No7,No9の各ヘッドHDが相当する。図12(No1のヘッドHD)、図16(No5のヘッドHD)、図18(No7のヘッドHD)、及び、図20(No9のヘッドHD)に示すように、これらのヘッドHDでは、インク滴の量が基準値よりも少ない点で共通している。例えば、No1,No5の各ヘッドHDでは、4番目以降のインク滴にて吐出量は揃っているものの、その量はそれぞれ8.5ng(LV1,LV5)である。また、No7,No9の各ヘッドHDの最大吐出量は、No7のヘッドHDで約6.5ng(LV7a)であり、No9のヘッドHDで約8ng(LV9a)である。
加えて、No7,No9のヘッドHDでは吐出量の周期的な変化がある。符号LV7bの線で示すように、No7のヘッドHDでは、多い量のインク滴(約6.5ng)と少ない量のインク滴(約3ng)とが交互に吐出されている。符号LV9bの線で示すように、No9のヘッドHDでは、最小量のインク滴(約2ng)から最大量のインク滴(約8ng)まで4種類のインク滴が繰り返し吐出されている。
このように、圧力室424の長さL424が過度に短いヘッドHDでは吐出量の不足が生じ、さらに流路抵抗R425が小さくなるほど吐出が不安定になっている。
圧力室424の長さL424が過度に短いヘッドHDとは、図7に示すNo1,No5,No7,No9の各ヘッドHDが相当する。図12(No1のヘッドHD)、図16(No5のヘッドHD)、図18(No7のヘッドHD)、及び、図20(No9のヘッドHD)に示すように、これらのヘッドHDでは、インク滴の量が基準値よりも少ない点で共通している。例えば、No1,No5の各ヘッドHDでは、4番目以降のインク滴にて吐出量は揃っているものの、その量はそれぞれ8.5ng(LV1,LV5)である。また、No7,No9の各ヘッドHDの最大吐出量は、No7のヘッドHDで約6.5ng(LV7a)であり、No9のヘッドHDで約8ng(LV9a)である。
加えて、No7,No9のヘッドHDでは吐出量の周期的な変化がある。符号LV7bの線で示すように、No7のヘッドHDでは、多い量のインク滴(約6.5ng)と少ない量のインク滴(約3ng)とが交互に吐出されている。符号LV9bの線で示すように、No9のヘッドHDでは、最小量のインク滴(約2ng)から最大量のインク滴(約8ng)まで4種類のインク滴が繰り返し吐出されている。
このように、圧力室424の長さL424が過度に短いヘッドHDでは吐出量の不足が生じ、さらに流路抵抗R425が小さくなるほど吐出が不安定になっている。
<圧力室424の長さL424が過度に長いヘッドHDについて>
圧力室424の長さL424が過度に短いヘッドHDとは、図7に示すNo4,No6,No8,No12の各ヘッドHDが相当する。図15(No4のヘッドHD)、図17(No6のヘッドHD)、図19(No8のヘッドHD)、及び、図23(No12のヘッドHD)に示すように、これらのヘッドHDでは、インク滴の量が基準値よりも少ない点で共通している。例えば、No4,No6の各ヘッドHDの最大吐出量は、No4のヘッドHDで約8ng(LV4a)であり、No6のヘッドHDで約6.5ng(LV6a)である。また、No8,No12の各ヘッドHDでは、4番目以降のインク滴にて吐出量は揃っているものの、その量はNo8のヘッドHDで約7.5ng(LV8)であり、No12のヘッドHDで約8.5ng(LV12)である。
加えて、No4,No6のヘッドHDでは吐出量の周期的な変化がある。符号LV4bの線で示すように、No4のヘッドHDでは、最小量のインク滴(約2ng)から最大量のインク滴(約8ng)まで4種類のインク滴が繰り返し吐出されている。符号LV6bの線で示すように、No6のヘッドHDでは、多い量のインク滴(約6.5ng)と少ない量のインク滴(約3ng)とが交互に吐出されている。
このように、圧力室424の長さL424が過度に長いヘッドHDでは吐出量の不足が生じ、さらに流路抵抗R425が大きくなるほど吐出が不安定になっている。
圧力室424の長さL424が過度に短いヘッドHDとは、図7に示すNo4,No6,No8,No12の各ヘッドHDが相当する。図15(No4のヘッドHD)、図17(No6のヘッドHD)、図19(No8のヘッドHD)、及び、図23(No12のヘッドHD)に示すように、これらのヘッドHDでは、インク滴の量が基準値よりも少ない点で共通している。例えば、No4,No6の各ヘッドHDの最大吐出量は、No4のヘッドHDで約8ng(LV4a)であり、No6のヘッドHDで約6.5ng(LV6a)である。また、No8,No12の各ヘッドHDでは、4番目以降のインク滴にて吐出量は揃っているものの、その量はNo8のヘッドHDで約7.5ng(LV8)であり、No12のヘッドHDで約8.5ng(LV12)である。
加えて、No4,No6のヘッドHDでは吐出量の周期的な変化がある。符号LV4bの線で示すように、No4のヘッドHDでは、最小量のインク滴(約2ng)から最大量のインク滴(約8ng)まで4種類のインク滴が繰り返し吐出されている。符号LV6bの線で示すように、No6のヘッドHDでは、多い量のインク滴(約6.5ng)と少ない量のインク滴(約3ng)とが交互に吐出されている。
このように、圧力室424の長さL424が過度に長いヘッドHDでは吐出量の不足が生じ、さらに流路抵抗R425が大きくなるほど吐出が不安定になっている。
<吐出周波数に起因する吐出量の変化について>
前述したNo1,No5の各ヘッドHDに関し、吐出周波数に起因する吐出量の変化について考察する。これらのヘッドHDでは、図24(No1のヘッドHD)及び図25(No5のヘッドHD)に示すように、1つのインク滴を吐出させた場合において基準値以上の吐出量が得られている。しかし、図26(No1のヘッドHD)及び図27(No5のヘッドHD)に示すように、吐出周波数を30kHzにした場合、吐出量は基準値に達しなくなる。この例では、No1,No5の各ヘッドHDにおいて吐出量は約8.5ngまで減少している。
No8,No11,No12の各ヘッドHDについても吐出周波数に起因する吐出量の変化について考察する。これらのヘッドHDでは、図29(No8のヘッドHD)、図30(No11のヘッドHD)及び図31(No12のヘッドHD)に示すように、1つのインク滴を吐出させた場合において基準値以上の吐出量が得られている。しかし、図33(No8のヘッドHD)、図34(No11のヘッドHD)及び図35(No12のヘッドHD)に示すように、吐出周波数を30kHzにした場合、吐出量は基準値に達しなくなる。この例では、No8,No11,No12の各ヘッドHDにおいて吐出量は約7.5ngまで減少している。
これに対し、No16のヘッドHDでは、図28及び図32に示すように、1つのインク滴を吐出させた場合と吐出周波数を30kHzにした場合の何れも、吐出量は基準値以上になっている。このように、本実施形態のヘッドHDと比較例のヘッドHDとは、吐出周波数に起因する吐出量の変化について有意の差があるといえる。
前述したNo1,No5の各ヘッドHDに関し、吐出周波数に起因する吐出量の変化について考察する。これらのヘッドHDでは、図24(No1のヘッドHD)及び図25(No5のヘッドHD)に示すように、1つのインク滴を吐出させた場合において基準値以上の吐出量が得られている。しかし、図26(No1のヘッドHD)及び図27(No5のヘッドHD)に示すように、吐出周波数を30kHzにした場合、吐出量は基準値に達しなくなる。この例では、No1,No5の各ヘッドHDにおいて吐出量は約8.5ngまで減少している。
No8,No11,No12の各ヘッドHDについても吐出周波数に起因する吐出量の変化について考察する。これらのヘッドHDでは、図29(No8のヘッドHD)、図30(No11のヘッドHD)及び図31(No12のヘッドHD)に示すように、1つのインク滴を吐出させた場合において基準値以上の吐出量が得られている。しかし、図33(No8のヘッドHD)、図34(No11のヘッドHD)及び図35(No12のヘッドHD)に示すように、吐出周波数を30kHzにした場合、吐出量は基準値に達しなくなる。この例では、No8,No11,No12の各ヘッドHDにおいて吐出量は約7.5ngまで減少している。
これに対し、No16のヘッドHDでは、図28及び図32に示すように、1つのインク滴を吐出させた場合と吐出周波数を30kHzにした場合の何れも、吐出量は基準値以上になっている。このように、本実施形態のヘッドHDと比較例のヘッドHDとは、吐出周波数に起因する吐出量の変化について有意の差があるといえる。
<粘度が6mPa・s秒のインクについて>
前述の評価結果にて、インクの粘度は15mPa・sであった。そして、インク供給路425の流路抵抗R425と圧力室424の流路長さとを前述のように定めることで、粘度が6mPa・sのインクも同様に吐出することができる。すなわち、インク供給路425の流路抵抗R425を、圧力室424の流路抵抗以上であって圧力室424の流路抵抗の2倍以下の範囲内に定め、かつ、圧力室424の流路長さを、インク供給路425の流路長さ以上であってインク供給路425の流路長さの2倍以下の範囲内に定めることで、10ng以上のインク滴を60kHzの高い周波数で吐出することができる。
前述の評価結果にて、インクの粘度は15mPa・sであった。そして、インク供給路425の流路抵抗R425と圧力室424の流路長さとを前述のように定めることで、粘度が6mPa・sのインクも同様に吐出することができる。すなわち、インク供給路425の流路抵抗R425を、圧力室424の流路抵抗以上であって圧力室424の流路抵抗の2倍以下の範囲内に定め、かつ、圧力室424の流路長さを、インク供給路425の流路長さ以上であってインク供給路425の流路長さの2倍以下の範囲内に定めることで、10ng以上のインク滴を60kHzの高い周波数で吐出することができる。
ここで、インクの粘度が低いということは、流路抵抗が低くなることを意味する。このため、インク供給路425の流路抵抗R425が低い場合について評価をすればよいといえる。そして、粘度が15mPa・s秒のインクの評価結果を考慮すると、No8,No11,No12の各ヘッドHDよりもNo7,No9,No10の各ヘッドHDの方が、吐出量の不足に加えて不安定にもなるため、流路抵抗の影響を受けやすいといえる。
そこで、粘度が6mPa・s秒のインクについては、No15,No7,No9,No10の各ヘッドHDを評価すればよいといえる。言い換えれば、No15のヘッドHDで粘度が6mPa・s秒のインクを安定的に吐出できれば、No13,No14,No16の各ヘッドHDでもこのインクを高い周波数で安定的に吐出できるといえる。
図36は、No15のヘッドHDを用いて粘度が6mPa・s秒のインク(比重はほぼ1である)を60kHzの周波数で吐出させた場合のシミュレーション結果である。No15のヘッドHDにおいて、4番目以降の各インク滴は、11ng程度の量で安定的に吐出されている。この結果からNo15のヘッドHDも、前述の評価基準を満たしているといえる。すなわち、No15のヘッドHDは、粘度が6mPa・s秒のインクであっても、インク滴を高い周波数で安定的に吐出できるといえる。
図37〜図39は、No7,No9,No10の各ヘッドHDを用いて粘度が6mPa・s秒のインクを60kHzの周波数で吐出させた場合のシミュレーション結果である。これらの図に示すように、何れのヘッドHDもインク滴の最大量が基準量(10ng)に達していない(LV7a,LV9a,LV10a)。また、吐出量のばらつきも生じている(LV7b,LV9b,LV10b)。これらの結果から、No7,No9,No10の各ヘッドHDでは、粘度が6mPa・s秒のインクを高い周波数で吐出させると、インク滴の量の不足が生じ、インク滴の量が不安定になるといえる。
<他の吐出パルスPS2について>
次に、電位の変化パターンが前述の吐出パルスPS1と異なる他の吐出パルスPS2を用いて行った評価結果について説明する。図40は、他の吐出パルスPS2を説明する図である。なお、図40において、縦軸は駆動信号COMの電位であり、横軸は時間である。この吐出パルスPS2は、符号P11から符号P13で示される複数の部分を有する。すなわち、吐出パルスPS2は、減圧部分P11と、電位保持部分P12と、加圧部分P13とを有する台形状の電位変化パターンに定められている。
次に、電位の変化パターンが前述の吐出パルスPS1と異なる他の吐出パルスPS2を用いて行った評価結果について説明する。図40は、他の吐出パルスPS2を説明する図である。なお、図40において、縦軸は駆動信号COMの電位であり、横軸は時間である。この吐出パルスPS2は、符号P11から符号P13で示される複数の部分を有する。すなわち、吐出パルスPS2は、減圧部分P11と、電位保持部分P12と、加圧部分P13とを有する台形状の電位変化パターンに定められている。
減圧部分P11は、タイミングt1における始端電位が最低電位VLであり、タイミングt2における終端電位が最高電位VHである。この吐出パルスPS2において減圧部分P11の生成期間は2.0μsである。電位保持部分P12は、タイミングt2からタイミングt3に亘って生成され、最高電位VHで一定の部分である。この吐出パルスPS2において電位保持部分P12の生成期間は2.0μsである。加圧部分P13は、タイミングt3における始端電位が最高電位VHであり、タイミングt4における終端電位が最低電位VLである。この吐出パルスPS2において、加圧部分P13の生成期間は2.0μsである。
他の吐出パルスPS2がピエゾ素子433に印加されると、ノズル427からはインクが吐出される。このときのメニスカスの挙動は、前述の吐出パルスPS1をピエゾ素子433に印加した場合と同様である。簡単に説明すると、減圧部分P11に起因して圧力室424内のインクが減圧され、メニスカスが圧力室424側に引き込まれる。メニスカスの移動は電位保持部分P12の印加中も継続される。そして、メニスカスの移動方向が反転したタイミング(図42に符号Aで示すタイミング)にあわせて、加圧部分P13が印加される。これにより、圧力室424内のインクが加圧され、メニスカスが柱状に延びる。タイミングBでは、メニスカスの先端側の一部分がインク滴として吐出される。その反動でメニスカスは圧力室424側に急速に戻り、その後反転する(符号Cで示すタイミング)。そして、タイミングDでは、次の吐出パルスPS2の印加が開始される。
<評価結果について>
図41は、評価対象のヘッドHDにおける構造上のパラメータを説明する図であり、先に説明した図7に対応している。ヘッドHDの構造は前述したものと同じであるが、便宜上、他の吐出パルスPS2を用いた評価結果については番号に[’]を付けて示している。従って、評価対象の各ヘッドHDのうち、本実施形態に属するヘッドは、No13’〜No16’の各ヘッドHDである。そして、No1’〜No12’の各ヘッドHDは、比較例のヘッドである。
図41は、評価対象のヘッドHDにおける構造上のパラメータを説明する図であり、先に説明した図7に対応している。ヘッドHDの構造は前述したものと同じであるが、便宜上、他の吐出パルスPS2を用いた評価結果については番号に[’]を付けて示している。従って、評価対象の各ヘッドHDのうち、本実施形態に属するヘッドは、No13’〜No16’の各ヘッドHDである。そして、No1’〜No12’の各ヘッドHDは、比較例のヘッドである。
図42から図57は、粘度が15mPa・sのインクを、No1’〜No16’の各ヘッドHDを用いて吐出させた場合のシミュレーション結果である。
図42から図45に示すように、本実施形態に属するNo13’〜No16’の各ヘッドHDでは、インク滴を60kHzの高い周波数で吐出させても、基準量(10ng)以上の吐出量が確保でき、かつ、各インク滴の吐出量が揃っていることが判る。これらのことから、他の吐出パルスPS2を用いても、前述の吐出パルスPS1を用いた場合と同様に、基準量以上のインク滴を高い周波数で安定的に吐出させることができるといえる。
図42から図45に示すように、本実施形態に属するNo13’〜No16’の各ヘッドHDでは、インク滴を60kHzの高い周波数で吐出させても、基準量(10ng)以上の吐出量が確保でき、かつ、各インク滴の吐出量が揃っていることが判る。これらのことから、他の吐出パルスPS2を用いても、前述の吐出パルスPS1を用いた場合と同様に、基準量以上のインク滴を高い周波数で安定的に吐出させることができるといえる。
一方、図46から図57に示すように、比較例としてのNo1’〜No12’の各ヘッドHDでは、インク滴を高い周波数で吐出させると、最大吐出量が基準量に達せず(LV1a’〜LV12a’)、吐出量に周期的なばらつきが生じている(LV1b’〜LV12b’)。
これらの結果は、程度の差はあるが前述の吐出パルスPS1を用いた場合と同じことを示している。すなわち、インク供給路425の流路抵抗R425を、圧力室424の流路抵抗R424以上であってこの流路抵抗R424の2倍以下の範囲内に定め、かつ、圧力室424の流路長さL424を、インク供給路425の流路長さL425以上であってこの流路長さL425の2倍以下の範囲内に定めることで、他の吐出パルスPS2であっても、10ng以上のインク滴を60kHzの高い周波数で吐出することができることを示している。
===その他の実施形態について===
前述した実施形態は、主として、液体吐出装置としてのプリンタ1を有する印刷システムについて記載されているが、その中には、液体吐出方法、液体吐出システム、吐出パルスの設定方法等の開示が含まれている。また、この実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述した実施形態は、主として、液体吐出装置としてのプリンタ1を有する印刷システムについて記載されているが、その中には、液体吐出方法、液体吐出システム、吐出パルスの設定方法等の開示が含まれている。また、この実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<他のヘッドHD´について>
前述した実施形態のヘッドHDでは、ピエゾ素子433として、吐出パルスPS(PS1,PS2)で与えられる電位が高いほど、圧力室424の容積を大きくするための動作をするタイプのものを用いていた。ヘッドに関し、他のタイプのものを用いてもよい。図58に示した他のヘッドHD´は、ピエゾ素子75として、吐出パルスPSで与えられる電位が高いほど、圧力室73の容積を小さくするための動作をするタイプのものを用いている。
簡単に説明すると、他のヘッドHD´は、共通インク室71と、インク供給口72と、圧力室73と、ノズル74とを有する。そして、共通インク室71から圧力室73を通ってノズル74に至る一連のインク流路をノズル74に対応する複数有している。他のヘッドHD´でも圧力室73は、その容積がピエゾ素子75の動作によって変化される。すなわち、圧力室73の一部は振動板76によって区画され、圧力室73とは反対側となる振動板76の表面にはピエゾ素子75が設けられている。
前述した実施形態のヘッドHDでは、ピエゾ素子433として、吐出パルスPS(PS1,PS2)で与えられる電位が高いほど、圧力室424の容積を大きくするための動作をするタイプのものを用いていた。ヘッドに関し、他のタイプのものを用いてもよい。図58に示した他のヘッドHD´は、ピエゾ素子75として、吐出パルスPSで与えられる電位が高いほど、圧力室73の容積を小さくするための動作をするタイプのものを用いている。
簡単に説明すると、他のヘッドHD´は、共通インク室71と、インク供給口72と、圧力室73と、ノズル74とを有する。そして、共通インク室71から圧力室73を通ってノズル74に至る一連のインク流路をノズル74に対応する複数有している。他のヘッドHD´でも圧力室73は、その容積がピエゾ素子75の動作によって変化される。すなわち、圧力室73の一部は振動板76によって区画され、圧力室73とは反対側となる振動板76の表面にはピエゾ素子75が設けられている。
ピエゾ素子75はそれぞれの圧力室73に対応して複数設けられている。各ピエゾ素子75は、例えば圧電体を上電極と下電極とで挟んだ構成であり(何れも図示せず。)、これらの電極間に電位差を与えることにより変形する。この例では、上電極の電位を上昇させると圧電体が充電され、これに伴ってピエゾ素子75は圧力室73側に凸となるように撓む。これにより圧力室73が収縮される。なお、他のヘッドHD´では、振動板76における圧力室73を区画している部分が区画部に相当する。
他のヘッドHD´でも、圧力室73内のインクに圧力変化を与え、この圧力変化を利用してインク滴を吐出させている。このため、インク滴の吐出時における圧力室73内のインクの挙動は、前述のヘッドHDと同じである。従って、圧力室73の長さやインク供給口72の長さなどを調整することにより、前述のヘッドHDと同じような作用効果が得られる。
他のヘッドHD´でも、圧力室73内のインクに圧力変化を与え、この圧力変化を利用してインク滴を吐出させている。このため、インク滴の吐出時における圧力室73内のインクの挙動は、前述のヘッドHDと同じである。従って、圧力室73の長さやインク供給口72の長さなどを調整することにより、前述のヘッドHDと同じような作用効果が得られる。
<吐出動作をする素子について>
前述のヘッドHD,HD´では、インクを吐出させるための動作(吐出動作)をする素子として、ピエゾ素子433,75を用いている。ここで、吐出動作をする素子は、ピエゾ素子433,75に限定されるものではない。例えば、磁歪素子であってもよい。そして、ピエゾ素子433,75を用いた場合には、圧力室424,73の容積を吐出パルスPSの電位に基づいて精度良く制御できるという利点を有する。
前述のヘッドHD,HD´では、インクを吐出させるための動作(吐出動作)をする素子として、ピエゾ素子433,75を用いている。ここで、吐出動作をする素子は、ピエゾ素子433,75に限定されるものではない。例えば、磁歪素子であってもよい。そして、ピエゾ素子433,75を用いた場合には、圧力室424,73の容積を吐出パルスPSの電位に基づいて精度良く制御できるという利点を有する。
<ノズル427やインク供給路425等の形状について>
前述の実施形態において、ノズル427は、ノズルプレート422の厚さ方向を貫通する略漏斗状の孔によって構成されていた。また、インク供給路425は、矩形の開口形状を有し、圧力室424と共通インク室426とを連通する孔によって構成されていた。言い換えれば、角柱状の空間を区画する連通孔によって構成されていた。
前述の実施形態において、ノズル427は、ノズルプレート422の厚さ方向を貫通する略漏斗状の孔によって構成されていた。また、インク供給路425は、矩形の開口形状を有し、圧力室424と共通インク室426とを連通する孔によって構成されていた。言い換えれば、角柱状の空間を区画する連通孔によって構成されていた。
ここで、ノズル427やインク供給路425は種々の形状を採り得る。例えば、ノズル427に関し、図61Aに示すように、ノズル方向と直交する面で、断面積がほぼ一定になっている形状、すなわち、円柱状の空間を区画する形状であってもよい。言い換えれば、前述したストレート部分427bのみで構成されているノズル427であってもよい。
また、インク供給路425に関し、例えば図61Bに示すように、縦方向に長い長円状(半径の等しい二つの半円を共通外接線でつないだ形状)の開口を有する流路で構成してもよい。この場合、インク供給路425の断面積Ssupは、斜線で示す長円状部分の面積が該当する。この長円状開口を有するインク供給路425については、これと等価な矩形状開口を有する流路を定義して、解析してもよい。この場合、インク供給路425の高さH425は、実際のインク供給路425の最大高さよりも多少低くなる。なお、インク供給路425の開口が楕円状であっても同様である。
さらに、圧力室424についても同様である。図61Bに示すように、圧力室424における長手方向と直交する面が、横長の六角形状をしていた場合には、これと等価な矩形状断面を有する流路を定義して、解析してもよい。すなわち、高さがH424であり、幅が圧力室424の最大幅よりも多少小さいW424である矩形状断面の流路を定義して、解析してもよい。
<他の応用例について>
また、前述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
また、前述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
1 プリンタ,10 用紙搬送機構,20 キャリッジ移動機構,
30 駆動信号生成回路,31 DAC回路,32 電圧増幅回路,
33 電流増幅回路,40 ヘッドユニット,41 ケース,
411 収容空部,42 流路ユニット,421 流路形成基板,
422 ノズルプレート,423 振動板,423a ダイヤフラム部,
424 圧力室,425 インク供給路,426 共通インク室,
427 ノズル,428 支持板,428a 島部,429 弾性体膜,
43 ピエゾ素子ユニット,431 ピエゾ素子群,432 固定板,
433 ピエゾ素子,434 共通電極,435 駆動電極,
436 圧電体,44 スイッチ,50 検出器群,
60 プリンタ側コントローラ,61 インタフェース部,
62 CPU,63 メモリ,71 共通インク室,
72 インク供給口,73 圧力室,74 ノズル,75 ピエゾ素子,
76 振動板,CP コンピュータ,HC ヘッド制御部,
HD ヘッド,HD´ 他のヘッド,COM 駆動信号,
PS 吐出パルス,PS1 吐出パルス,PS2 他の吐出パルス
30 駆動信号生成回路,31 DAC回路,32 電圧増幅回路,
33 電流増幅回路,40 ヘッドユニット,41 ケース,
411 収容空部,42 流路ユニット,421 流路形成基板,
422 ノズルプレート,423 振動板,423a ダイヤフラム部,
424 圧力室,425 インク供給路,426 共通インク室,
427 ノズル,428 支持板,428a 島部,429 弾性体膜,
43 ピエゾ素子ユニット,431 ピエゾ素子群,432 固定板,
433 ピエゾ素子,434 共通電極,435 駆動電極,
436 圧電体,44 スイッチ,50 検出器群,
60 プリンタ側コントローラ,61 インタフェース部,
62 CPU,63 メモリ,71 共通インク室,
72 インク供給口,73 圧力室,74 ノズル,75 ピエゾ素子,
76 振動板,CP コンピュータ,HC ヘッド制御部,
HD ヘッド,HD´ 他のヘッド,COM 駆動信号,
PS 吐出パルス,PS1 吐出パルス,PS2 他の吐出パルス
Claims (9)
- 液体吐出方法であって、
液体吐出ヘッドから液体を吐出させることを有し、
前記液体の粘度は、
6mPa・s以上であって15mPa・s秒以下の範囲内であり、
前記液体吐出ヘッドは、
前記液体が吐出されるノズルと、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力室と、
前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、
前記供給部の流路抵抗は、
前記圧力室の流路抵抗以上であって前記圧力室の流路抵抗の2倍以下であり、
前記圧力室の流路長さは、
前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出方法。 - 請求項1に記載の液体吐出方法であって、
前記ノズルの流路抵抗は、
前記供給部の流路抵抗よりも大きい、液体吐出方法。 - 請求項1又は2に記載の液体吐出方法であって、
前記ノズルのイナータンスは、
前記供給部のイナータンスよりも小さい、液体吐出方法。 - 請求項1から3の何れか1項に記載の液体吐出方法であって、
前記供給部の流路抵抗は、
1.73×1012Pa・s/m3以上であって3.46×1012Pa・s/m3以下の範囲内であり、
前記圧力室の流路長さは、
500μm以上であって1000μm以下の範囲内である、液体吐出方法。 - 請求項4に記載の液体吐出方法であって、
前記ノズルの直径は、
10μm以上であって40μm以下の範囲内であり、
前記ノズルの長さは、
40μm以上であって100μm以下の範囲内である、液体吐出方法。 - 請求項1から5の何れか1項に記載の液体吐出方法であって、
前記圧力室は、
前記圧力室の一部を区画し、変形によって前記液体に圧力変化を与える区画部を有する、液体吐出方法。 - 請求項6に記載の液体吐出方法であって、
前記液体吐出ヘッドは、
印加された吐出パルスにおける電位の変化パターンに応じた度合いで、前記区画部を変形させる素子を有する、液体吐出方法。 - 液体が吐出されるノズルと、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために前記液体に圧力変化を与える圧力室と、
前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、
を有し、
前記供給部の流路抵抗は、
前記圧力室の流路抵抗以上であって前記圧力室の流路抵抗の2倍以下であり、
前記圧力室の流路長さは、
前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出ヘッド。 - 吐出パルスを生成する吐出パルス生成部と、
ノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
前記液体を前記ノズルから吐出させるために、区画部を変形させることで前記液体に圧力変化を与える圧力室と、
印加された前記吐出パルスにおける電位の変化パターンに応じた度合いで、前記区画部を変形させる素子と、
前記圧力室に連通し、前記圧力室に前記液体を供給する供給部と、を有し、
前記圧力室の流路長さは、
前記供給部の流路長さ以上であって前記供給部の流路長さの2倍以下である、液体吐出ヘッドと、
を有する、液体吐出装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008305332A JP2009226926A (ja) | 2008-02-29 | 2008-11-28 | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 |
CN200910118316XA CN101518988B (zh) | 2008-02-29 | 2009-02-27 | 液体喷射方法、液体喷射头以及液体喷射装置 |
US12/394,155 US8113630B2 (en) | 2008-02-29 | 2009-02-27 | Method, head, and apparatus for ejecting liquid |
US13/350,479 US20120182353A1 (en) | 2008-02-29 | 2012-01-13 | Method, head, and apparatus for ejecting liquid |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008050545 | 2008-02-29 | ||
JP2008305332A JP2009226926A (ja) | 2008-02-29 | 2008-11-28 | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009226926A true JP2009226926A (ja) | 2009-10-08 |
Family
ID=41012841
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008305332A Withdrawn JP2009226926A (ja) | 2008-02-29 | 2008-11-28 | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US8113630B2 (ja) |
JP (1) | JP2009226926A (ja) |
CN (1) | CN101518988B (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020168738A (ja) * | 2019-04-01 | 2020-10-15 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出ヘッド |
JP2021084283A (ja) * | 2019-11-27 | 2021-06-03 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出ヘッド |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8177338B2 (en) * | 2009-12-10 | 2012-05-15 | Xerox Corporation | High frequency mechanically actuated inkjet |
US8272717B2 (en) * | 2010-03-29 | 2012-09-25 | Fujifilm Corporation | Jetting device with reduced crosstalk |
JP5615307B2 (ja) * | 2012-02-14 | 2014-10-29 | 富士フイルム株式会社 | 液滴吐出装置 |
JP7289423B2 (ja) | 2017-09-29 | 2023-06-12 | キヤノン株式会社 | 液体吐出装置および液体吐出ヘッド |
US11453213B2 (en) * | 2018-12-28 | 2022-09-27 | Canon Kabushiki Kaisha | Driving method of liquid feeding apparatus |
JP7512678B2 (ja) * | 2020-05-28 | 2024-07-09 | ブラザー工業株式会社 | 液滴吐出ヘッド |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0858089A (ja) * | 1994-08-25 | 1996-03-05 | Seiko Epson Corp | インクジェット記録装置 |
JPH09327909A (ja) * | 1996-02-05 | 1997-12-22 | Seiko Epson Corp | インクジェット式記録装置による記録方法、及び前記記録方法に適した記録ヘッド |
JP2007038654A (ja) * | 2005-07-01 | 2007-02-15 | Ricoh Printing Systems Ltd | 微小インク滴の吐出方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6517199B1 (en) * | 1999-11-12 | 2003-02-11 | Canon Kabushiki Kaisha | Liquid composition, ink set, colored area formation on recording medium, and ink-jet recording apparatus |
JP4075317B2 (ja) * | 2001-04-11 | 2008-04-16 | 富士ゼロックス株式会社 | インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置 |
US7562428B2 (en) | 2002-09-24 | 2009-07-21 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Manufacturing an ink jet head |
JP2005034998A (ja) | 2003-07-15 | 2005-02-10 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド |
-
2008
- 2008-11-28 JP JP2008305332A patent/JP2009226926A/ja not_active Withdrawn
-
2009
- 2009-02-27 US US12/394,155 patent/US8113630B2/en active Active
- 2009-02-27 CN CN200910118316XA patent/CN101518988B/zh active Active
-
2012
- 2012-01-13 US US13/350,479 patent/US20120182353A1/en not_active Abandoned
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0858089A (ja) * | 1994-08-25 | 1996-03-05 | Seiko Epson Corp | インクジェット記録装置 |
JPH09327909A (ja) * | 1996-02-05 | 1997-12-22 | Seiko Epson Corp | インクジェット式記録装置による記録方法、及び前記記録方法に適した記録ヘッド |
JP2007038654A (ja) * | 2005-07-01 | 2007-02-15 | Ricoh Printing Systems Ltd | 微小インク滴の吐出方法 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020168738A (ja) * | 2019-04-01 | 2020-10-15 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出ヘッド |
JP7268450B2 (ja) | 2019-04-01 | 2023-05-08 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出ヘッド |
JP2021084283A (ja) * | 2019-11-27 | 2021-06-03 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出ヘッド |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20120182353A1 (en) | 2012-07-19 |
US20090219313A1 (en) | 2009-09-03 |
CN101518988A (zh) | 2009-09-02 |
CN101518988B (zh) | 2012-07-04 |
US8113630B2 (en) | 2012-02-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8109588B2 (en) | Liquid ejecting method, liquid ejecting head, and liquid ejecting apparatus | |
JP2009226926A (ja) | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 | |
JP2009234253A (ja) | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 | |
JP5251093B2 (ja) | 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 | |
JP5428970B2 (ja) | 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 | |
JP2009255514A (ja) | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 | |
JP2009234252A (ja) | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 | |
JP5446295B2 (ja) | 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 | |
JP2010110968A (ja) | 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 | |
JP5347325B2 (ja) | 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 | |
JP5169227B2 (ja) | 吐出パルスの設定方法 | |
JP5187046B2 (ja) | 液体吐出装置 | |
JP2010188703A (ja) | 液体吐出装置、液体吐出方法、及び、吐出パルス設定方法 | |
JP2010131909A (ja) | 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 | |
JP5200556B2 (ja) | 吐出パルスの設定方法 | |
JP5256930B2 (ja) | 液体吐出ユニット、液体吐出装置、及び、液体吐出方法 | |
JP2015080945A (ja) | インクジェット装置、及びインクジェット方法 | |
JP2011067999A (ja) | 液体吐出方法、及び、液体吐出装置 | |
JP2010110969A (ja) | 液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置 | |
JP2009172920A (ja) | 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 | |
JP2013177001A (ja) | 液体吐出装置、及び、液体吐出方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110805 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20121011 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121016 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20121218 |